【SS】果林「歩夢、侑、あなた達カップルセラピー受けなさい」【ラブライブ!虹ヶ咲】
都内某所 芸能事務所
カタカタ
侑「あの、果林さんちょっと体調が悪くて……定時前だけど早退して良いですか?」
果林「良いけど……今週3日連続じゃない。大丈夫なの?」
侑「はい、早く帰って休めば大丈夫だと思います」
果林「わかったわ。お大事にね」
侑「お先に失礼します」
ネットカフェ
ウィーン
店員「いらっしゃいませー」
侑「すいません、VRルームを使いたいんですけど」
店員「ご予約のお客様でいっぱいでして……」
侑「これ」スッ
店員「!それは天王寺グループの特別プラチナ会員証!? 失礼しました、どうぞお使い下さい!」
侑「ありがとうございます」
『VRルームへようこそ。シチュエーションを選んでね』
侑「カスタムシチュエーションで」
『スマホを接続してね』
侑「はい」ピッ
『シチュエーションのインストールが完了しました』
侑「スタートで」
キュイイイン
せつ菜(裸エプロン)「あ、おかえりなさい侑さん!」
侑「ただいま」
せつ菜(裸エプロン)「ご飯できてますよ!!」
侑「そんなことより……せつ菜ちゃんを味わいたいな」
せつ菜(裸エプロン)「もう、侑さんったら気が早いですよ//」
侑「ふふっ……」チュッ
せつ菜(裸エプロン)「んっ……//」
イチャイチャ
深夜
ガチャ
侑「ただいまー……」
ゴソゴソ
歩夢「ううっ……侑ちゃん?」
侑「ごめんね、起こしちゃった?」
歩夢「今何時……?」
侑「もう遅いからそのまま寝てなよ」
歩夢「……え、もう0時過ぎてる。こんな遅くまで何やってたの?」
侑「今日も仕事だよ。どうしても残業しなきゃいけなくてさ」
歩夢「今週ずっと遅くまで残業してるよね、心配だよ」
歩夢「果林さんに言って仕事減らしてもらえないの?」
侑「そんな事できないよ。果林さんだって忙しいんだから」
歩夢「でも……」
侑「ほら、寝よう?」
歩夢「ねえ侑ちゃん……」
侑「……何?」
歩夢「今から、したい……//」
侑「ごめん、明日も朝から仕事だから」
歩夢「で、でも最近全然してないし……」
侑「……疲れてるの。ごめんね、おやすみ」
ゴソゴソ
歩夢「……」
次の日
カチャカチャ
侑「ごちそうさま。行ってきます」
歩夢「今日は早く帰って来れる?」
侑「うーん、仕事がたまってるんだよねー」
歩夢「わかったよ。じゃあ私が果林さんに電話してお願いしてみるね」
侑「ま、待って! そんなことしなくて良いよ! 仕事はなんとかするから!」
歩夢「本当!?」パァ
侑「うん、絶対に早く帰ってくるよ。歩夢の晩御飯、久々に食べたいしね」
歩夢「嬉しい……頑張って作るね!」
芸能事務所
カタカタ
侑(そろそろかな)
侑(ケーキとかスイーツを歩夢に買って帰ろう)
侑「果林さん。すいません今日も定時前に帰りたいんですけど」
果林「ちょっと……また体調不良なの? いい加減、病院に……」
侑「いえ、違うんです! 今日は歩夢とディナーの約束があって」
果林「あら、何か記念日だったかしら?」
侑「そういうわけではないんですけど……」
果林「まあいいわ。歩夢によろしくね」
果林「あと、予定があって早退するなら事前に言いなさい」
侑「ありがとうございます! お先に失礼します!」
タタッ
侑「よーし、駅前のケーキ屋さんに寄ろうっと」
スタスタ
侑「この辺だったような」テクテク
「ネットカフェ新装開店しましたー! いかがですかー!」
侑「!」
「VRルームも完備してますよー!」
侑「定時前に上がったし……まだ歩夢との約束まで時間あるよね。30分くらいなら……」
侑「うん、早く帰りすぎても歩夢に迷惑だし、ちょっと時間つぶしたほうが良いよね」
『VRルームへようこそ。シチュエーションを選んでね』
侑「カスタムシチュエーションで」
侑(今日は短めのやつにしないと)
『スマホを接続してね』
『本日は開店記念で有料オプションが無料です』
侑「え、ならせっかくだからこれを試そうかな……」ピッ
『シチュエーションのインストールが完了しました』
侑「スタート」
キュイイイン
ガシャ ボロ
侑「うう……誰か! 誰かここから出して!」
侑「この鎖を解いて!」ガシャ
ギギィ
侑「!」
ランジュ「きゃぁっ! 酷いざまね、スパイさん」
侑「早く解放して!」
ランジュ「無理に決まってるじゃない。あなたは処刑されるのよ」
侑「そんな……!」
ランジュ「絶望にまみれた良い顔ね。ゾクゾクするわ!」
侑「お願い、助けて……」ポロポロ
ランジュ「そうねぇ、あなたの態度次第では助けてあげてもいいわよ?」
侑「本当!? お願い、何でもするから!」
ランジュ「なら、ちょっとだけ相手をしてもらおうかしら」
シュルシュル パサッ
侑「なっ!? 急に服を脱いだ!? まさか相手って……!」
ランジュ「あら、嫌なの? なら処刑……」
侑「待って、わかった。相手になるよ」
ランジュ「ふふ、良い子ね。ランジュのモノになりなさい」
チュッ
侑「んんっ///」
夜
ガチャ
侑「ただいま……」
歩夢「……」ジー
侑「ごめん、どうしても残業が必要で……」
歩夢「何時間も待って、お料理も冷めちゃった」
侑「ほんとごめん、温めて明日食べるからさ」
侑「今日はもう寝るね」
歩夢「侑ちゃん!」
侑「……何?」
歩夢「私こそごめんね、仕事大変なのに責めたりして……」
侑「ううん、歩夢は悪くないよ」
歩夢「ねえ、夜はまだ長いし……今夜くらいは//」
侑「ちょっと気力がないんだよね。疲れてるからさ……」
歩夢「……侑ちゃん、全然相手してくれないね」
歩夢「私達、結婚してるんだから……しようよ……たまには」
侑「明日も早いんだから、寝させてよ」
歩夢「……」
侑「おやすみ!」
スヤァ
深夜
侑「すやぁ……すぅ」
歩夢「……」
歩夢「侑ちゃん……今までありがとう」スッ
ザクッ
侑「!?」
侑「ぎゃぁああああああ!!!」
ピンポンピンポーン
「警察です! 開けてください!」
ピンポーン
ガチャ
「鍵が開いてる? 警察です! 入りますよ!」
歩夢「ううぅ、ごめんなさいごめんなさい」ポロポロ
「歩夢さん!?」
歩夢「え……栞子ちゃん!?」
栞子「ものすごい悲鳴が聞こえたとご近所から通報があって来ました。何かあったのですか?」
歩夢「そっか……栞子ちゃん警察に就職したんだっけ……」
栞子「そんなことより一体何が……」
歩夢「私、侑ちゃんを……」チラッ
栞子「!?」
侑「」
栞子「侑さん!? しっかりしてください!」バッ
ジワッ
侑「……うぅ、ごほっ」
栞子「息はあるけど出血が……! すぐに救急車を!」
侑「まって……栞子ちゃん、ごほっ」
侑「このまま死なせて……」
栞子「何言ってるんですか!」
侑「歩夢にポロポーズする時に私から言ったんだ。ずっと歩夢と一緒に居たいって」
侑「それができなくなるなら死んだ方が良いって」
歩夢「侑ちゃん……」
侑「だからこれは歩夢からの離婚届……私は刺されて当然……ごほっ」
栞子「お二人の関係に口を出すつもりはありませんが、目の前で大怪我している人を放置することは出来ません」
侑「……うぅ、そっか」
歩夢「私が刺しておいて言うのもおかしいけど……ごめんなさい、今すごく後悔してる」
歩夢「お願い栞子ちゃん、侑ちゃんを助けてっ……!」ポロポロ
侑「歩夢……」
栞子「当然です、今救急車を……」
侑「はあはあ、ま……まって、歩夢はこの後どうなるの?」
栞子「……それはもちろん、逮捕します」
侑「それだけは……歩夢は悪くないの、逮捕しないで……! このことは秘密にして……!」
栞子「いくらなんでもそれは……」
侑「だったら私はこの場で死ぬ……!」
歩夢「侑ちゃん……」
栞子「……わかりました。料理中に包丁の使い方を誤ったと報告しておきます。ですから大人しく救急車に乗って下さい」
侑「……ありがとう」
栞子「今回だけですよ。私も上にバレたら反省文じゃ済みませんからね」
栞子「……さて、救急車は呼びました。あとは私で出来る限りの応急処置をします」
栞子「歩夢さん、清潔なタオルはありますか? あとアルコール消毒液があれば」
歩夢「う、うんっ」タタッ
栞子「それから……後ほど警察として職場にも連絡しないといけません。侑さんの上司は果林さんでしたよね?」
栞子「果林さんには本当のことを話しますので」
侑「うん……色々ありがとね、栞子ちゃん……」
歩夢「持ってきたよ!」タタタ
栞子「傷を消毒します!」バシャァ
侑「ぎゃぁあああああ!!!染みる!!!」
2日後
侑「すいません、ご迷惑をおかけしました!」ペコリ
歩夢「私からも、ごめんなさい果林さん」ペコリ
果林「……いや、あなたたち正気?」
侑「血はたくさん出たけど案外傷は浅かったみたいで、やっぱり歩夢はやさしいなあって」ヘヘ
歩夢「もう、侑ちゃんったら」
果林「刺された人間と刺した人間とは思えないわね」
侑「もう普通に歩けるくらいにはなったので……明日からこの職場に復帰して良いですか?」
果林「いいえ、駄目よ」
侑「えっどうしてですか?」
果林「逆になんで大丈夫だと思ったのよ……」
果林「いい? あなた達、夫婦喧嘩で包丁で刺すなんて普通しないの」
果林「そんな異常な状況にいる人間を安心して働かせることが出来ると思う?」
侑「それは、私が悪くて」
歩夢「ううん、私が悪いの!」
果林「どっちが悪いとかに関わる気はないわ。とにかく夫婦関係を改善すること」
果林「それまでは職場復帰は許さないから」
果林「お互いに、本当は言いたいことがあるんじゃないかしら?」
歩夢「……」
侑「……」
果林「と言っても、こうなると2人だけで解決するのは難しいかもしれないわね」
果林「だから……」
果林「歩夢、侑、あなた達カップルセラピー受けなさい」
侑「カップルセラピー?」
果林「ええ、専門のカウンセラーにカップルや夫婦の悩みを聞いてもらって、解決を目指すの」
歩夢「でも他人に夫婦のことを話すなんて……」
果林「大丈夫。信頼できる人を紹介するわ」
果林「私もエマと国際結婚する時に、お互いの生活をどうするかで色々と喧嘩しちゃったことがあったのよ」
果林「でもカップルセラピーのお陰で2人が納得できる道を見つけることが出来た」
歩夢「果林さん達にもそんなことがあったんだ……」
侑「そういえばエマさん、今スイスで里帰り出産の準備してるんですよね」
果林「ええ、とっても楽しみだわ……って私の話は良いの!」
果林「とにかく、私からカウンセラーに連絡しておくから今から行ってきなさい!」
都内某所 住宅街
スタスタ
侑「果林さんから送られた住所はこの辺だ」
歩夢「こんな閑静な住宅街にあるんだね」
侑「あ、ここだここだ」
ピンポーン
「はーい」
侑「えっと、高咲です。予約が入ってると思うんですけど……」
「中へどうぞー」
侑「おじゃましまーす……」
歩夢「失礼します」
ガチャ
彼方「いらっしゃーい。カウンセラーの彼方ちゃんだよー」
侑「!?」
歩夢「!?」
侑「まさか彼方さんがカウンセラーだったなんて」
彼方「あれ~、果林ちゃんから聞いてなかった?」
彼方「まま、とりあえず座ってよ」
歩夢「夫婦のことを話すのは恥ずかしいって思ってたけど、彼方さんならちょっと安心かも」
侑「なんだか昔を思い出すよね」
彼方「うんうん、一緒に解決していこうねー」
彼方「じゃあセラピーを始める前に、彼方ちゃんと2つ約束してもらえるかな?」
侑・歩夢「「はい」」
彼方「ひとつめ。どんなことがあっても絶対にお互いに暴力は振るわないこと」
歩夢「……」
彼方「約束できる?」
侑「はい」
歩夢「は、はい」
彼方「ふたつめ。嘘はつかないこと。もし、答えたくないことがあったら答えなくても良いけど……」
彼方「嘘はつかないで、正直に『答えたくない』って言ってね」
歩夢「はい」
侑「わかりました」
彼方「うんうん、約束だからねー?」
彼方「……さて、今日は初日だから短めにしようか。ふたりとも自分の家みたいにリラックスしてね」
彼方「眠かったらすやぴしちゃっても良いからねー」
侑「あ、あはは。そこまではさすがに」
彼方「じゃあ簡単だけど重要な質問をするね」
彼方「ふたりは、離婚したいと思う?」
侑・歩夢「「!!」」
彼方「じゃあ、侑ちゃんから」
侑「……離婚したくないです」
彼方「歩夢ちゃんは?」
歩夢「私も、離婚したくない……」
彼方「はーい、じゃあお互いに椅子を動かして向き合ってもらえる?」
ガタッ
侑「よいしょ……こうですか?」
彼方「向き合ったね? 次はお互いの目を見つめ合って」
侑「な、なんか照れるね//」ジッ
歩夢「うん//」ジッ
彼方「そのまま自分の名前と、相手の名前を出しつつ、相手の目を見ながら『離婚したくない』ってゆっくり言ってね」
彼方「『私〇〇は〇〇と離婚したくありません』って感じねー。侑ちゃんからどうぞ」
侑「私、侑は歩夢と離婚したくありません」ジッ
歩夢「///」カァ
彼方「はい、歩夢ちゃんも」
歩夢「わ……私、歩夢は侑ちゃんと離婚したくありません」ジー
彼方「はい、ふたりともよく出来ました~」
侑「これがセラピーなんですか?」
彼方「離婚したくないっていうお互いの共通目標を決めるのは大事なことなんだよー」
彼方「今日はこのくらいにしとこうかな」
歩夢「え、これだけ?」
彼方「うん。あとはふたりに彼方ちゃんから宿題を出すよー」
歩夢「宿題……?」
彼方「ふたりで『一緒にやりたいことリスト』を作ってもらいまーす」
彼方「そうだな、とりあえず次のセラピーまでに10項目考えてきてね」
侑「やりたいことってどんな?」
彼方「一緒にできることで、難しすぎないことなら何でも良いよー。そのリストをセラピーと同時進行で実現してってもらうからね」
歩夢「それ、なんだかすごく楽しそう!」
彼方「じゃあまた3日後にいらっしゃーい」
侑「あ、ありがとうございました」
駅前
スタスタ
歩夢「なんだか、彼方さんのセラピーすごく良かったね」
侑「うん。それにしても白衣姿の彼方さん綺麗だったなー。ときめいちゃった」
歩夢「……侑ちゃん?」ジトー
侑「あはは、冗談だって。歩夢が一番キレイだよ」
歩夢「もう、侑ちゃんったら//」
侑「しばらく職場に復帰できなそうだし、果林さんに私の仕事の引き継ぎの説明だけしてくるね」
歩夢「うん、果林さんによろしくね。あと彼方さんを紹介してくれたお礼も」
侑「じゃあ行ってくるね! 夕飯までには帰るから!」
歩夢「あ、侑ちゃん。今夜一緒にやりたいことリスト考えようね!」
侑「うん!」
タタッ
芸能事務所付近
侑「もしもし、果林さんお疲れ様です」
侑「報告と引き継ぎの件で……そうですか、わかりました。大丈夫です、待ってます」
ピッ
侑「果林さんはちょうど外出してて戻ってくるまで1時間か……」
侑「それまで何か時間を潰さないと……」
キョロキョロ
侑「……あくまで時間つぶしだから、いいよね」
ネットカフェ
ウィーン
店員「いらっしゃいませー」
侑「VRルームお願いします!」
『VRルームへようこそ♪』
侑「カスタムシチュエーションで、このキャラクターだけ変更で!」ハアハア
侑「シチュエーション開始!」
キュイイイン
彼方(白衣)「あなたが患者さんだね~」
侑「はい」ドキドキ
彼方(白衣)「どこが悪いのか診てあげるから、まずは全部脱いで?」
侑「ぜ、全部ですか!?///」
彼方(白衣)「ほら、早く脱いで? 隅から隅まで検診してあげるよー?」
侑「検診のためですよね、わかりました//」
ヌギヌギ シュル パサッ……
彼方(白衣)「良い子だねー。じゃあ裸のままそのベッドに寝転がってねー」
侑「うう、恥ずかしい//」ゴロン
彼方(白衣)「さて……」
シュルッ パサッ
彼方(全裸)「じゃあ検診を始めちゃうね~ 」
侑「せ、先生// 白衣の下は裸だったんですね//」
彼方(全裸)「んっ」チュ
侑「んんっ//」チュ レロ…
夜
ガチャ
侑「ただいま……」
歩夢「おかえり……遅かったね」
侑「歩夢ごめん、あの」
歩夢「大丈夫だよ。仕事の引き継ぎに時間かかったんだよね?」
侑「う、うん」
歩夢「ねえ、やりたいことリストは明日で良いから……今夜は、ね?//」
侑「ごめん、疲れて……」
侑(いや、ダメだ。ここで歩夢を拒否したら何も変わらない。ちゃんと受け入れなきゃ)
侑「うん……シャワー浴びてくるね。先ベッド行ってて?」ニコッ
歩夢「侑ちゃん//」パァァ
歩夢「はぁ、はぁ」チュ
ギシッ
歩夢「んっ……侑ちゃん、どう?」
侑「うん……気持ち良いよ」
侑(なんだろう……歩夢は可愛いし大好きなはずなのに……)
侑(……なんか、物足りない)
朝
チュンチュン
歩夢「ん……」ムニャ
侑「歩夢、おはよう」
歩夢「おはよう、侑ちゃん……どうしたの、こんな早起きして」
歩夢「休職してるのに、働いてる時より早いよ?」
侑「ちょっと出かけてくるから歩夢はまだ寝てなよ」
歩夢「出かけるってどこに?」
侑「ネットカフェ。資格の勉強をしようと思うんだ」
侑「休職中、何もしないわけにもいかないしね」
歩夢「そうなんだ、偉いね侑ちゃん」
歩夢「でも、夜は」
侑「もちろん! 夕飯までには帰ってくるから!」
歩夢「良かった。資格の勉強頑張ってね」
侑「うん。行ってきます」
ネットカフェ
侑「VRルームお願いします!」
侑「ふふ、すごく良いシチュエーション思いついちゃったんだよね」
ピッピッ
ブー!!!
侑「えっ何!?」
『エラーです。このシチュエーションは再現できません』
侑「なんでー?」
『このVRルームではキャラクターを2人以上出すことは出来ません』
侑「そ、そんなぁー」
トボトボ
侑「うう、せっかく思いついたのに……」
侑「想像しただけでやばい……」ムラムラ
侑「諦めきれないよー! こうなったらイチかバチか!」
ピッピ プルルル
侑「もしもし、璃奈ちゃん?」
璃奈『侑さん。久しぶり』
侑「実は、天王寺グループのVRルームの件なんだけど……」
侑「カクカクシカジカで……」
璃奈『それは仕方ない。あのVRルームは高度なAI演算をリアルタイムに実行してる』
璃奈『特に実際にコミュニケーションが出来るキャラクターを処理するのはAIの負担が大きいから、1体までって制限してあるの』
侑「そんな……なんとかならないの?」
璃奈『侑さんはなんで複数キャラクターをそこまで出したがるの?』
侑「えーと、その、私、芸能事務所に務めてるからさ。複数の子を同時にマネージメントするための練習がしたくて!」
侑「1人と話すことと多数と話すのってぜんぜん違うでしょ?」
璃奈『さすが侑さん、真面目』
侑「だからなんとかならないかな?リミッターみたいなの解除するとかさ……」
璃奈『そもそものVRルームのスペックが追いつかないから無理だよ』
璃奈『全国どこのお店に行っても設置してるVRルームは同じ型だし、仮に無理やり演算させたとしても』
璃奈『世界中にある天王寺グループのあらゆる機械はネットワークで繋がってるから異常があればすぐに感知して動作を停止するよ』
侑「そっか、璃奈ちゃんがそこまで言うんなら本当に駄目なんだね……」シュン
璃奈『あ……でも、アレなら』
侑「アレって?」
璃奈『私が初めて作った、VRルームの初号機。スペックは量産品よりもずっと高くて、今でも新機能の実験に使ったりしてるんだけど』
璃奈『普段は他のVRルームみたいにお店に置いて一般解放されてるから、そのルームを使えば侑さんの望みが叶うかも』
侑「本当に!? ありがとう璃奈ちゃん!」
璃奈『頑張ってる侑さんを応援してあげたいから。遠隔でキャラクター作成数の制限を解除しておくね』
侑「助かるよぉ! それで、そのVRルームが置いてあるお店ってどこ?」
カランカラン
愛「いらっしゃいませー!」
愛「もんじゃみやしたにようこそ……って、ゆうゆじゃん!」
侑「愛ちゃん久しぶり!」
侑「お店、すごく繁盛してるね!」
愛「えへへ、どんなもんじゃい!」エッヘン
侑「それで、その」
愛「りなりーから聞いてるよ! VRルームはこっち!」
侑「ありがとう!」
愛「仕事熱心なのもいいけど、今度歩夢と一緒にもんじゃも食べに来てよ!」
侑「うん……そういえば、このVRルームも天王寺グループのネットワークに繋がってるんだよね?」
愛「そうだよー」
侑「ちょっとその接続を一時的に切ったりとかできる? オフラインで起動したいんだよね」
愛「んー、愛さんもVRルーム開発するの手伝ったし、出来ると思うけどなんで?」
侑「いやー、芸能事務所が持ってるデータを使って色々シミュレートしてみたくてさ」
侑「個人情報とかもあるから念のため、ね」
愛「へー! いいよ、愛さんがちゃちゃっといじってあげる!」
カチャカチャ カタカタカタ
愛「はい、これでオフラインになったよ! 一度終了したら自動的にオンラインに復帰するようになってるからね」
侑「ほんとありがと、じゃあ使わせてもらうね!」
侑(天王寺グループのネットワークに繋がってると、璃奈ちゃんに内容見られちゃうかもしれないからね)
愛「いってらっしゃーい」
愛「ふう、ゆうゆと話したら久々にみんなに会いたくなっちゃったなぁ。最近はりなりーとしか会ってないし」
愛「そうだ、カリンに電話してみよ♪」
ピッピ
愛「もしもしカリン?」
果林『愛!? どうしたの?』
愛「そろそろエマっちが日本に帰ってくるでしょ?」
果林『ええ、本格的にスイスで出産する前に最後の準備をしに一時的にね』
愛「2人でもんじゃでも食べに来なよ! 前祝いでさ!」
果林『ありがとう。でも体調にもよるからエマに聞いておくわね』
果林『それにすごいタイミングね。エマはちょうど今頃、飛行機に乗ってると思うわ』
愛「あ、確か最近導入された天王寺グループの自動運転飛行機だったよね」
果林『ええ、璃奈ちゃんが融通してくれたの。それにしても急に誘ってくれるなんて、嬉しいけどどうしたの?』
愛「さっきゆうゆが来てね、仕事のためにウチのVRルーム使いたいって。カリンも良い仲間と仕事できて最高だね!」
果林『……歩夢は?』
トントン
歩夢「侑ちゃんのために、美味しい料理を作ってあげないと」
ブーブー
歩夢「果林さんから電話?」
ピッ
歩夢「はい」
果林『歩夢、駄目じゃない。夫婦仲を改善するために侑を休ませたんだから一緒に居ないと』
歩夢「なんで一緒に居ないって果林さんが……侑ちゃんに聞いたんですか?」
果林『愛から聞いたのよ。今、侑がもんじゃみやしたに来てるって』
歩夢「愛ちゃんの所……?」
歩夢「侑ちゃんは資格勉強のためにネットカフェに行ったはず……」
果林『……話し合う必要があるみたいね』
もんじゃみやした
カランカラン
愛「いらっしゃ……歩夢!」
歩夢「はあはあ、侑ちゃんは!?」
愛「そこのVRルームだけど」
歩夢「侑ちゃんと話したいの。電源って切れる?」
愛「ダメダメ! 起動中にいきなり電源切ったらショートして中にいるゆうゆが危険!」
愛「話したいなら歩夢もVRルームの中に入ってみなよ。ロック解除するね!」
歩夢「ありがとう愛ちゃん」
ウィィィン
歩夢「ここがVRルームの中……」
アハハハ キャッキャ
歩夢「!」
侑「ほらほらー」モミモミ
しずく(水着)「きゃっ♪ いきなりお 揉まないでください 」
かすみ(水着)「先輩、かすみんにも構ってくださいー!」ギュー
侑「ふふ、かすみちゃんも可愛いよー!」
せつ菜(水着)「侑さん、私のことも見てください!」
侑「うっひょー、大胆な水着!」
侑「KA・ZU・NAランド最高!」
歩夢「……」
イチャイチャ キャッキャ
侑「うへへへ」
かすみ「あ、歩夢先輩!」
しずく「こっちで一緒に快楽に溺れませんか? 」
侑「え、歩夢?」
歩夢「……」
侑「……」
歩夢「……」
侑「歩夢……こ、これはその」
歩夢「っ」ダッ
侑「あ! 待って歩夢!」タッ
キュイイイン
愛「お、2人とも出てきた」
歩夢「最低……!」ツカツカ
侑「待って、説明させて歩夢!」
歩夢「説明って何を!?」
歩夢「彼方さんとの約束が無かったらもう1回刺してるよ!」
彼方「はーい、その彼方ちゃんだよー。歩夢ちゃん落ち着いてね」
侑「彼方さん、どうしてここに?」
彼方「果林ちゃんに大変なことになりそうだから行ってほしいって頼まれたんだよ~」
愛「カナちゃん、ここじゃ話しにくいでしょ? 個室空いてるけど使う?」
彼方「ありがとー。使わせてもらうね、ほらふたりともこっちおいで」
歩夢「……はい」
侑「……」
ガチャ
彼方「さて、果林ちゃんと愛ちゃんの話でだいたい状況はわかってるよー」
彼方「VRルームの内容は見ないでおくけど……歩夢ちゃんの反応から察すると工 な奴だったんだねー?」
侑「はい……羞恥心で死にそうです」
歩夢「ホント信じられない! 果林さんや愛ちゃんにまで迷惑かけて!」
彼方「うんうん、歩夢ちゃんが怒るのも仕方ないよね。裏切られた気分だよねー?」
歩夢「ものすごく怒ってます!」ワナワナ
彼方「でもね、ポルノ依存症は治療が必要な『病気』なんだよー」
彼方「だから、侑ちゃんをあまり責めないであげてねー」
侑「私が……病気……」
歩夢「そうだったんだ……」
彼方「大丈夫。時間はかかるかもしれないけど意思があれば治していけるよー」
彼方「だから、歩夢ちゃんも侑ちゃんに寄り添ってあげてほしいなぁ」
歩夢「……ごめんね侑ちゃん、病気だったなんて知らないで怒ったりして」
侑「そんな……病気だとしても悪いのは全面的に私だから……」
侑「歩夢が謝ることなんて何もないんだから、ほんとに……自分がみじめになるよ」ポロッ
歩夢「侑ちゃん……」ギュッ
歩夢「乗り越えよう。2人で一緒に」ナデナデ
侑「あ゛ゆ゛む゛うぅ」ポロポロ
空港
果林「ふう、やっと着いたわ。エマの飛行機が到着する前に来れてよかった」
果林「なんで空港までの交通手段ってたくさんあるのかしら」
果林「彼方なら上手くやってくれると思うけど、侑たちも心配だし今日は忙しいわね」
璃奈「果林さん、こんにちは」ヒョコッ
果林「あら、璃奈ちゃんもエマのお迎えに来てくれたの?」
璃奈「うん。エマさんの乗ってる自動運転飛行機の視察も兼ねて」
果林「ありがとう。でもこの広い空港でよく私を見つけたわね」
璃奈「そんなことよりここは羽田空港。エマさんが来るのは成田空港だから一緒に行こう?」
ブゥーーン
ブロロロ……
果林「璃奈ちゃんがクルマで来てくれてて助かったわ」
璃奈「この車も飛行機と同じように自動運転の実証実験中」
果林「ずっとハンドルに手を置いてないと思ってたけどそういうことだったのね」
果林「エマの飛行機の件もそうだけど、色々とありがとう。今度必ずお礼するわね?」
璃奈「おかまいなく」
果林「そんなわけにはいかないわ。お姉さんに何でも言ってみなさい?」
璃奈「//」テレテレ
璃奈「じゃあちょっとだけお願いがある」
果林「何かしら?」
璃奈「VRルームのAI技術を応用して完全自立型のバーチャルアイドルを制作中なんだけど、完成したら果林さんの芸能事務所からデビューさせてほしい」
果林「へえ、すごい面白そうじゃない。ぜひ協力したいわ。開発はどのくらい進んでるの?」
璃奈「このタブレットの中に入ってる。見て」ピッ
邪悪なミア「ふふふ、ボクが世界を支配してやる」
果林「あら、ミアにそっくりね」
璃奈「見た目のモデルとして使わせてもらったけど、性格はぜんぜん違うよ」
璃奈「調整がまだまだ上手く行かなくて、AIが暴走してすぐに悪事をしようとするからネットから遮断してる」
邪悪なミア「ボクを外の世界に出せ! 世界を支配してやる!」
果林「これはこれで可愛らしいじゃない」
璃奈「でも、油断すると勝手に進化してコンピューターウイルスみたいになるから大変……」
果林「開発って大変なのね」
ピーポーピーポー
璃奈「!」
パトカー『そこの車両、路肩に寄せて止まってください!』
果林「え、パトカー!?」
璃奈「何も悪いことはしてないけど、とりあえず止めるね」
キィー
ガチャ
栞子「警察です! スピード違反ですよ!」
璃奈「栞子ちゃん……!」
栞子「璃奈さん!? それに、果林さんも!」
果林「あら、久しぶりね。警察の制服、とても似合ってるわね」
栞子「恐縮です。ですが取締はさせていただきます。仕事ですので」
璃奈「この車は法定速度で走ってたはずだけど」
栞子「いえ、この道路の制限速度は40キロですが璃奈さんの車は41キロ出ていました」
もんじゃみやした
彼方「さて、侑ちゃんはずっと歩夢ちゃんは悪くない、自分が悪いって言い続けてるけどー」
侑「だって実際そうですから」
彼方「もちろん、侑ちゃんが歩夢ちゃんを責めてないのはわかってるよー、ただ……」
彼方「歩夢ちゃんに対して何か不安があるならこの場で教えてもらえないかなぁ?」
侑「そ、それは……」
歩夢「侑ちゃん?」
彼方「嘘はつかない約束だからねー?
侑「そ、それは……答えたくありません」
歩夢「ってことは不満があるってこと!? 教えて侑ちゃん! 直すから!」
彼方「無理に聞こうとするのはよくないよー?」
彼方「侑ちゃん、今度で良いから話したくなったら話してほしいな」
侑「……いえ、ここまで来て何も言わないのもずるいと思うので言います」
歩夢「……」ドキドキ
侑「スクールアイドルの……雑誌……」
侑「新婚の頃、私が買ってたスクールアイドルの雑誌を歩夢に捨てられたんです……」
彼方「それを侑ちゃんはどう思ったのかな?」
侑「確かに、大人になって年下のスクールアイドルの雑誌を楽しく読んでるのは歩夢からしたら変かもしれない」
侑「だけど、私の好きなものを勝手に捨てられたのがショックで……それに歩夢だってあんなに素敵なスクールアイドルだったのに」
侑「それが悲しくて……ずっとそのことが心の奥底でモヤモヤしてたのかも」
彼方「なるほどねぇ、話してくれてありがとー」
歩夢「……」
歩夢「侑ちゃん……なんでそれをもっと早く言ってくれなかったの?」
侑「ご、ごめん……歩夢を傷つけるかと思って」
歩夢「そうじゃなくて……はぁ」タメイキ
彼方「歩夢ちゃん?」
歩夢「その雑誌のことなら覚えてるけど、あのとき……」
当時
歩夢『侑ちゃん、まだ寝てるの?』
侑『むにゃぁ』
歩夢『もう、今日休みだからって昨日遅くまで夜更かしして……』
歩夢『ゴミ収集来ちゃうから、このへんに散らかってるの片付けるよ?』
侑『ありがとぉ、むにゃむにゃ』ウトウト
歩夢『この床に投げ捨ててある雑誌も捨てて良い?』
侑『うん……』ウトウト
彼方「あらら……」
侑「……」タラー
歩夢「別に侑ちゃんがスクールアイドルの雑誌を読むのが嫌で捨てたんじゃないのに……」
彼方「勘違いだったみたいだねー」
侑「やばい……言われてみればそんなこともあったような」
歩夢「もう!」プクー
侑「ほんとごめん歩夢」
歩夢「ううん、いいの。そういうところも侑ちゃんらしいし。私もちゃんと起こせばよかったね」
彼方「さーて、こうして誤解も溶けたし、リラックスしてセラピーを……」
ドタドタ ガチャン!
愛「っ大変だよ! ゆうゆすぐ来て!」
侑「どうしたの!?」
果林「いくらなんでも1キロオーバーで取り締まりは厳しすぎるんじゃないかしら?」
栞子「違反は違反です。規則ですから車内の荷物を確認させてもらいますね。外でお待ち下さい」
璃奈「しょんぼり……」
栞子「といっても璃奈さんが怪しいものを持ってるはずはないと思いますが……」ガサゴソ
邪悪なミア「おい、ボクをここから出せ!」
栞子「人の声が!?」ガサゴソガサ
栞子「って、このタブレットから音声が出ているだけでしたか」ヒョイ
栞子「これは……ミアさんにそっくりのキャラクターですね」
邪悪なミア「なあ君、この右下にあるボタンを押してくれないか?」
栞子「? このタブレットに表示されているボタンですか?」ピッ
邪悪なミア「HAHAHAHA! Thank you!」
ギュイーン
璃奈「今の高笑いは、まさか」
ガチャ
璃奈「栞子ちゃん、何したの?」
栞子「このボタンを押しましたが……」
璃奈「璃奈ちゃんボード『絶望』」
璃奈「それはAIキャラクターをネットにアップロードするボタン……大変」
果林「何が起こってるの??」
璃奈「天王寺グループ本社に電話を……もしもし、こちら璃奈、今すぐグループのネットワークを……」
璃奈「そんな……! わかった、こっちでも対策を考える」ピッ
璃奈「恐れていたことが起きた。天王寺グループのネットワークに侵入した邪悪なミアちゃんがコンピューターウイルス化した」
栞子「さっきのキャラクターがですか!?」
璃奈「すでにグループのネットワークに不具合が起き始めている。ウチのあらゆる製品がネットワークに繋がってるから……」
璃奈「とにかくすぐに本社に行かなくちゃ。車を起動」
シーン
璃奈「駄目……完全に停止してる。自動運転システムもやられたみたい」
栞子「そんな……! 自動運転が停止したら各地で交通事故が起きてしまいます!」
璃奈「ウチのグループの自動運転自動車はこの実験用の1台だけだからそれは無いはずだけど」
果林「ちょっと待って……自動運転システムが停止したのなら、エマの乗ってる飛行機は?」
璃奈「あ……」
果林「っ!」ピッピッ
果林「お願い、電話に出てエマ!」
プルルル プープー
果林「繋がらない!」
璃奈「今、PCで調べる」カタカタカタ
璃奈「!! やっぱり飛行機のシステムも異常が出てる! たぶん車と同じようにエンジンが止まって……」
果林「な、直せるの!?」
璃奈「ネットワークそのものはダウンしてないから、遠隔で復旧できるかやってみるけど……高度なAI演算をしないと厳しい」
璃奈「本社にあるAIシュミレーターを使えればいいけど、それも全部ウイルスにやられて故障したみたい」
璃奈「それどころか天王寺グループのすべてのマシンがネットワークからウイルスに感染したと見て良い」
璃奈「ウチのグループ以外で高度なAI演算装置を持ってる所はないし……このままじゃダメかも……ごめんなさい」
果林「エマ……それにお腹の子も……嫌よ、こんなお別れなんて!」
果林「一緒に愛の所にもんじゃ焼きを食べに行きたかったし、もっとこれから色んな楽しいことを……」
璃奈「愛さんの所……あれもダメだと思うけど一応調べて……っ!?」
璃奈「もんじゃみやしたのVRルームがオフラインになってる!?」
璃奈「しかも履歴によるとオフラインになったのは邪悪なミアちゃんがアップロードされるよりも前の時間!」
璃奈「なぜかわからないけど、ネットワークに繋がっていないならウイルスに感染していない!」
果林「VRルームでどうにかなるの……?」
璃奈「愛さんの所のVRルームはハイスペック」
璃奈「複数のVRキャラクターを同時に動かせるほど高度な演算ができる」
果林「つまりVRルームを使って演算すればエマの飛行機のシステムを復旧できるのね!」
璃奈「そう、でも車は動かないしここからの距離が……」
栞子「話はわかりました」キリッ
璃奈「栞子ちゃん」
栞子「早くパトカーに乗ってください! 法定速度を無視してでも全速力でお送りします!」
ブロロロ ブォーン!
璃奈「は、早い」
果林「1キロオーバーで捕まえに来たとは思えない速度ね」
栞子「速度超過するのは初めてです! おふたりともシートベルトをしっかり着用してください!」
璃奈「今のうちに愛さんに連絡して少しでも早くAI演算を開始してもらう」ピッピ
ドタドタ ガチャン!
愛「っ大変だよ! ゆうゆすぐ来て!」
侑「どうしたの!?」
愛「エマっちが大変なの! かくかくしかじかで!」
歩夢「そんな、エマさんが……」
愛「とにかくゆうゆは一緒にVRルームに来て!」
愛「今、VRルームはゆうゆが使用中ってことになってるから、ゆうゆが中に居ないと使えないんだよね」
侑「わかった、行くよ!」タタッ
歩夢「私も!」
彼方「なにか手伝うことあるかなー」
愛「とりあえずみんな来て!」
愛「はい、じゃあゆうゆが最初にVRルームに入れば皆も入れるようになるから」
侑「う、うん……ってこれ、さっきのシチュエーションがずっと続いてるんだよね?」
愛「そう! 一度停止して再起動したらオンラインになってウイルスに感染しちゃうし」
侑「恥ずかしいけど……エマさんの命がかかってる!」
侑「シチュエーションスタート!」
ウィィィイン
かすみ・しずく・せつ菜「KA・ZU・NAランドへようこそ!」
せつ菜「私達とたくさん気持ちよくなりましょう!」
しずく「もう快楽から逃げられませんょ 」
かすみ「かすみんをたっぷり可愛がってくださいね 」
彼方「わぁお」
愛「これがゆうゆの作ったシチュエーションなんだね」
歩夢「なんか私も恥ずかしくなってきたよ」
愛「えーと確かこの辺に操作用の端末が」ガチャ
愛「おっけ、愛さんはここで作業してるから」
愛「AI演算でウイルスに対抗できるワクチンを作って、エマっちの飛行機を遠隔操作で助ける。時間がないからよろしくね!」
侑「よろしくって、何を?」
しずく「愛先輩 こっち来て下さい 」ムギュ
愛「こうやってアタシを邪魔するAIキャラクターを抑えといて!」
彼方「りょうかーい、はいしずくちゃんこっちおいでー」ズルズル
しずく「あぁ、彼方先輩も大胆ですね 」ズルズル
せつ菜「早く気持ちよくなりましょう! 脱いでください愛さん!」
愛「なんで愛さんばっかり狙われるのかなー、抑えをお願い!」
侑「こ、これはセーフだよね? 歩夢」
歩夢「エマさんのためなんだから何も言わないよ、頑張ろう」
侑「うん、ほーらせつ菜ちゃんこっちだよー」ヌギ
歩夢(ちょっと脱いだ!?//)
せつ菜「侑さん!! 大胆ですね! すぐ行きます!!」ダッ
かすみ「じゃーあー、かすみんのお相手は歩夢先輩がしてくれるんですかぁ? 」
歩夢「うん、おいで」ゴゴゴゴ
愛「みんなありがとう……」カタカタ ピッピ
愛「やっぱりアタシだけじゃ時間が……! いや、絶対エマっちを助けないと!」
ウィイイン
璃奈「愛さん!」
愛「りなりー!」
璃奈「ありがとう愛さん、私も加わるね」カタカタカタ
愛「りなりーさえくればあとはちょちょいのちょいだよ!」
ウィィン
果林「ここがVRルームなのね」
しずく「はぁはぁ、彼方さんの頭の感触最高です 」
彼方「しずくちゃんの膝枕も最高だよー」スヤピ
侑「ほらほら//」チラッチラ
せつ菜「うぉおおお! チラリズム最高です!」
かすみ「いだだだだだ! なんでかすみんだけ!」
ギリギリギリ
歩夢「かすみちゃんは悪くないけど、このシチュエーションやっぱり最低だよ侑ちゃん……」
栞子「一体何が起こっているのでしょうか」
愛「よっし、これで完璧っしょ!」カタカタ
璃奈「ワクチンと遠隔操縦の準備完了。これでVRルームをオンラインにしてウイルスを叩く」
愛「いくよー、シチュエーション終了!」
シュウウン
侑「あ、消えちゃった……」
璃奈「システム接続……すぐに邪悪なミアちゃんを補足してウイルスを中和」
邪悪なミア「Damn it!」
愛「飛行機の自動操縦システムに接続……大変! もう地面スレスレになってる!」
果林「エマ!!」
愛「こうなったら不時着させるしか無いね! ルートを計算すると、この店の前の道がベストかな!」
璃奈「大丈夫なの?」
愛「なんとかなる!」
カタカタカタ
果林「頼んだわよ、愛……!」
栞子「お店の外で住民の皆さんを避難誘導してきます!」
歩夢「私達も!」
彼方「手伝うよー」
ゴゴゴゴゴ
侑「来た! たぶんあれがエマさんの飛行機だよ」
愛「みんな離れて! 着陸するよ!」
栞子「道路の安全は確保しました!」
ゴゴゴゴゴ! ヴウウン ピタッ
侑「せ、成功した?」
歩夢「う、うん。飛行機は全然傷ついてないみたい」
果林「エマっ……!」
璃奈「今ドアをオープンさせる」
ガチャ
果林「エマ、中に居る? 無事なの!?」
エマ「……」
果林「エマ!! しっかりして!」
エマ「……ふにゃ? 果林ちゃん?」
エマ「飛行機がいきなり急降下して、私……気絶しちゃってたみたい」
果林「エマ……良かった、良かった」ギュウウ
エマ「果林ちゃんっ!」ギュウ
侑「うう……良かった」
歩夢「でもすぐに病院には連れて行かないと」
栞子「ええ、エマさん果林さん。こちらへ。病院へお送りしますよ」
愛「いやー、良かった良かった」
璃奈「ごめんなさい、私のせいで。邪悪なミアちゃんはちゃんと教育しておく」
彼方「おー、この飛行機のシート寝心地いいねー」
侑「歩夢……果林さんとエマさんを見てて改めて思ったよ……家族の大切さ」
侑「やっぱり私、歩夢とずっと一緒に居たい! 大好きだから!」
歩夢「侑ちゃん……私も! 大好き!」
ブーブ
侑「果林さんからだ……もしもし」
果林『侑、今回はありがとうね。あなたがVRルームをオフラインにしてくれたおかげよ』
侑「え、いやぁ……どういたしまして?」
果林『本当にありがとう。職場に復帰するのを楽しみにしてるわね』
侑「そっかぁ、私のVRルーム通いも役に立つんだね……」
侑「今後も嗜む程度なら……」
歩夢「侑ちゃん?」
侑「なんでもない!!」
果林『……』
果林『歩夢、侑、あなた達カップルセラピー続けなさい』
おわり
読んでくれた人ありがとうございました!
結局依存症治らなくて草wwww
乙
VRとか込みで全員出てきてるの凄い
乙
良いオチだ
乙、面白かった
引用元: https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/11177/1698666945/
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