千砂都「ういっす! 免許取ったんで車買いたいっす!」渡辺「車屋さん紹介しようか?」第2話
中川「普通の部屋とも違いますしね・・・・・・」
カシュッ
渡辺「んむっ・・・・・・」 グビッ グビッ
渡辺「ぷはぁっ・・・ いやぁ・・・・・・ 効くなぁ、これ」
中川「あはは・・・ 9%ですからね・・・・・・」
渡辺「もっと軽いのにしておけば良かったかな・・・・・・」
渡辺「菜々ちゃんの食べてるそれ何?」
中川「これは冷やし中華ですよ」
渡辺「あー、コンビニのチルド麺ってかなり本格的だよね」
中川「ですね、会社の昼食の時もたまに食べてますよ」 アハハ
渡辺「あ、そういえばお風呂そのままにしてたっけ・・・・・・」 スクッ
ガラガラッ
ジャーーーーー ジョボジョボ・・・
渡辺「おっ! あぶな! あふれるところだったじゃん!」
キユッ
渡辺「ふぅ~、間一髪・・・・・・」
渡辺「菜々ちゃん、お風呂たまったよ?」
中川「────すみません、ありがとうございます」
渡辺(ん? なんだこのバスチェア・・・・・・ 変な形だなぁ・・・・・・)
渡辺(こんなのもあるんだ・・・・・・)
────
──
曜「え? 一緒に入ろうよ!」
中川「い、一緒!? そ、そんな・・・・・・ 恥ずかしいです・・・・・・」
曜「そのための広いお風呂なんだろうからさぁ」
中川「お風呂と言っても・・・ どうせ曜さん・・・・・・ エッチなことが目的なんですよね・・・・・・」
曜「こんなホテルに来てるのに今更だよ~」
中川「やはり、お先どうぞ・・・・・・ 冷やし中華が思いのほかお腹一杯になりました・・・・・・」
曜「あ~あ! 一緒に入りたかったなぁ・・・・・・」
中川「また今度にしましょうね」
曜「はいはーい」
ガラガラッ
────
──
中川「お疲れさまです」 ニコッ
中川「では私も入りますね」
ガラガラッ
曜「ごゆっくり~」
・
・
・
曜(あ、買って来たサワー飲まないと温くなっちゃうな)
曜「んっ・・・・・・」 グビッ グビッ グビッ・・・
曜「くはぁっ! ストゼロ効くなぁ~」
曜(2本も買ってくる必要なかったかも・・・・・・)
カシュッ
曜(もったいないから飲むか・・・・・・)
曜「んぐっ・・・・・・」 ゴクリッ
曜「むはぁ・・・・・・」 ポワーン
曜「テ・・・ テレビでもつけよ・・・・・・」
ポチッ
「ああんっ・・・ あんっ! あんっ! あんっ!」
曜「び、びっくりしたぁ・・・・・・ AVじゃん!」
曜(AV見てテンション上げよっかなぁ・・・・・・)
「あんっ! あああっ! あんっ! あっ!」
曜「・・・・・・」 グビッ グビッ・・・
曜「ぷはぁっ・・・・・・」 ポワーン
曜(やばっ・・・ 回るわぁ・・・・・・) フラフラ・・・
────
──
ガラガラッ
中川「お待たせしました・・・・・・」
「ああんっ! あんっ! あんっ! あんっ! あんっ! 」
中川「曜さん? まったく・・・ 何見てるんですか!」
渡辺「くあああっ・・・・・・」 Zzz・・・・・・
中川「って、曜さん!? いやらしい動画かけたまま眠ってるし・・・・・・」
ポチッ ・・・プツンッ
中川「ん?」
中川(ああ、度の強いお酒一気に飲むから・・・・・・)
渡辺「すぅ・・・ すぅ・・・・・・」 Zzz・・・・・・
中川(はぁっ・・・・・・ 起こすのも可哀想だし・・・ 大人しく寝ますか・・・・・・)
────
──
渡辺「んんっ・・・・・・・・・」 ムクッ
渡辺(あれ?) キョロキョロ・・・
渡辺(今何時だ?)
渡辺「・・・・・・・・・・・・」
渡辺(って、朝じゃん・・・・・・)
中川「すぅ・・・ すぅ・・・・・・」 Zzz・・・
渡辺(あれ? 昨日の夜・・・・・・ 先にお風呂入って・・・・・・ その後・・・・・・)
渡辺(うわぁ・・・・・・ 眠ってしまったのか・・・・・・) ガクッ
渡辺「はぁっ・・・」
渡辺(水でも飲むか・・・・・・)
渡辺「・・・」 ゴクッ ゴクッ・・・
渡辺「ぷはっ」
渡辺(ていうか、私めっちゃカッコ悪いじゃん・・・・・・)
・
・
中川「ん・・・・・・ んん・・・」
中川「お、おはようございます・・・・・・」
渡辺「ゴメン、起こしちゃったかな・・・・・・ あはは」
中川「い、今、何時ですか・・・・・・?」
渡辺「まだ5:30頃だよ」
中川「そ、そうでしたか・・・・・・」
渡辺「昨日、先寝ちゃったね・・・ ゴメン」
中川「強いお酒一気に飲むからですよ?」
渡辺「だね、我ながら情けない・・・・・・」 ポリポリ
中川「まだ早いんで、もっと寝ましょう・・・・・・」
渡辺「そうだね」
ドサッ
中川「んんっ・・・ おやすみなさ・・・・・・ い・・・」
中川「すぅ・・・ すぅ・・・」 Zzz・・・
渡辺「はやっ!」
渡辺(こういう時って、抱きしめて寝てもいいのかな・・・・・・) ドキドキ・・・
ガバッ ギュッ
中川「んっ・・・」
渡辺「・・・・・・・・・・・・」
渡辺(おやすみ~・・・・・・)
──
~上原・実家~
上原「ん゛~・・・・・・」
上原「ううっ・・・・・・ 頭いった・・・・・・」 ズキズキ
歩夢「あ、おはよう侑ちゃん」
上原「歩夢おはよう・・・・・・」
歩夢「もう! 昨日は随分と飲み過ぎたんじゃない?」
上原「うん・・・・・・ そうだね・・・・・・」
上原「あ~・・・ ダメだ・・・・・・ もうしばらく横になってるよ・・・・・・」 グッタリ
歩夢「昨日の記憶はちゃんとあるの?」
上原「うーん・・・ 途中までは・・・・・・」
歩夢「もう!」
上原「どうやって帰って来たんだろ・・・・・・」
歩夢「送って貰って帰って来たの覚えてない?」
上原「そうだったんだ・・・・・・」
上原「うん・・・・・・」
歩夢「何で菜々ちゃんに送られて来たのかな?」
上原「ええっ・・・ 覚えてないから分からないし・・・・・・」
歩夢「あと、もう1人の人は会社の人かな?」
上原「んー? もう1人??」
歩夢「亜麻色の肩くらいまである髪の人・・・・・・」
上原「あー、渡辺さんかな・・・・・・」
歩夢「渡辺さんっていうんだ・・・・・・ 随分仲いいんだね」
上原「お世話になってる先輩だから・・・・・・」
歩夢「ふーん」
上原「ううっ・・・・・・ もういい? 私もう一眠りするから・・・・・・」 グッタリ
────
──
渡辺「んんっ・・・・・・」
中川「すぅ・・・・・・ すぅ・・・・・・」 Zzz・・・
渡辺(うっ・・・ 腕しびれてる・・・・・・)
渡辺(菜々ちゃんに抱きついたまま寝てたからか・・・・・・)
渡辺(うへぇ~・・・ きっついなぁ・・・ この感覚・・・・・・)
渡辺(今何時かな・・・・・・ 9時前か・・・・・・)
渡辺(何時まで居ていいんだろ・・・ このホテル・・・・・・)
中川「すぅ・・・ すぅ・・・ んっ・・・・・・」 Zzz・・・
渡辺(ああ・・・ 菜々ちゃん柔らかいなぁ・・・・・・)
渡辺「・・・・・・・・・・・・」
渡辺(昨日は潰れてそのまま眠ってしまったとはいえ・・・・・・ できなかったからモヤモヤするんだよなぁ・・・・・・)
中川「すぅ・・・ すぅ・・・」 Zzz・・・・・・
渡辺「・・・・・・ 菜々ちゃん? 菜々ちゃん??」
中川「んっ・・・・・・ ん~・・・・・・」 Zzz・・・
渡辺(眠ってるのにしたら怒られるかな・・・・・・)
・
・
中川「すぅ・・・ すぅ・・・」 Zzz・・・
渡辺「・・・・・・・・・・・・」 ドキドキ
渡辺(眠ってる菜々ちゃん・・・ 可愛いな・・・・・・)
渡辺(キ・・・ キスしちゃお・・・・・・)
渡辺(んん~・・・・・・・・・)
渡辺「!?」 ビクッ
中川「んっ! ん~・・・・・・!」
中川「ふぅ・・・・・・ よ、曜さん起きてらしたんですね・・・・・・」
渡辺「う、うん!」
中川「結構眠れたかもです・・・・・・」 ムクッ
中川「曜さん、一度帰りませんか? 私下着替えたいですし・・・・・・」
渡辺「そ、そうだったね・・・・・・ 急遽だったから・・・ あはは・・・・・・」
中川「着替えたら出ましょう」
渡辺「うん・・・・・・」
渡辺(したかったなぁ・・・・・・) モヤモヤ
────
──
千砂都(今日は何しようかなぁ・・・ 中古車でも見に行こうかな・・・・・・)
~♬~♬~♬
千砂都(あ、かのんちゃんからだ・・・・・・)
千砂都「もしもし? かのんちゃん?」
澁谷「あ~、ちーちゃん? ひまぁ?」
千砂都「暇と言えば暇かなぁ」
澁谷「日曜だもんね~ ま、私には曜日は関係ないけど~・・・ あはは~」
千砂都「ははは・・・・・・」
澁谷「ええ!? ちーちゃんそこは盛大に笑うところ! ニートの自虐風ギャグだから!」
千砂都「ご、ごめんごめん!」
澁谷「ちぇっ、ノリ悪いよちーちゃん」
千砂都「ところで、中古車屋さん巡りしたいんだけどかのんちゃんも行く?」
澁谷「そっか! 免許取ったんだもんね! 車買っちゃうの?」
千砂都「欲しいとは思ってるけどね」
澁谷「じゃあ今日はちーちゃんの中古車探しに付き合うわ~」
千砂都「とりあえずかのんちゃんち行くね」
澁谷「うん! 待ってる!」
────
──
上原「!?」
上原「ううっ・・・・・・」
上原(さっきよりは良くなったかな・・・・・・ 相変わらず頭痛いけど・・・・・・)
上原(水でも飲もうかな・・・・・・) ムクッ
ガチャッ
上原母「あら侑ちゃん、二日酔い大丈夫?」
上原「あはは・・・ まだ頭痛いですね・・・・・・」
上原母「はい、お水」 コトッ
上原母「たくさん飲んだ方いいわよ?」
上原「ありがとうございます」
ゴクッ・・・ ゴクッ・・・
上原「うえっぷ・・・・・・」 オエッ
上原母「まだ胃の中にアルコールが残ってるみたいね」
上原「そのようですね・・・・・・」
上原母「胃薬も飲んだ方いいわよ」 スッ
上原「すみません・・・ 色々と・・・・・・」
上原母「それ飲んだらもう少し寝てた方がいいわね」
上原「そうします・・・・・・」
────
──
中川「とりあえず、一旦会社に車を戻してそれから帰りましょう」
渡辺「そういえば黒澤建設の社用車乗って来てたんだもんね」
中川「そうですよ」
渡辺「いやぁ、なんだか私が振り回したみたいで申し訳ないよ・・・・・・」 シュン
中川「ふふっ♪ まぁでも私はそこそこ楽しかったです」
渡辺「そ、そう?」
中川「あと、私が寝てる隙にエッチなことしなかったのは良かったと思います・・・・・・」
渡辺「え!?」
渡辺(よかった・・・・・・)
中川「曜さん、帰って着替えたらどうしますか?」
渡辺「ああ、そうだなぁ・・・・・・ そこまで考えてなかった・・・・・・」
中川「昨夜出来なかった事の続きしますか?」
渡辺「え!? いいの!!」
中川「露骨に喜ばないで下さいよ・・・・・・」 ジーッ
渡辺「あははは・・・・・・」 ポリポリ
中川「まぁ、帰って少しゆっくりしたらどこか出掛けましょう」
渡辺「そうだね」
ブウウウン・・・・・・
────
──
カランカランッ
千砂都「こんにちは~」
かのん「あ、ちーちゃん! 待ってたよ~」
千砂都「さて、行こうか」
かのん「え? もう行くの?」
千砂都「うん、早くみたいしね」
かのん「少しゆっくりしてからでもいいと思ったんだけどなぁ~」
千砂都「時間がもったいない! 行こ行こ!」
かのん「はーい・・・・・・」
かのん「行って来まーす・・・・・・」
カランカランッ
────
──
千砂都「それが無いんだよね~」
かのん「え!? そんなのアリ!?」
千砂都「でもあると言えばある」
かのん「どっちなの!?」
千砂都「ウチの会社に来てるトヨタの担当なら少しだけ面識あるかも・・・・・・」
かのん「そうなんだ、いきなり新車買っちゃうの?」
千砂都「いやいや、中古で十分」
千砂都「先輩がその担当の人から車買う契約したみたいだから、先輩から紹介してもらう形で行ってみようかと思うんだよね」
かのん「ふーん」
千砂都「・・・・・・」 Prrr・・・・・・
千砂都「あ、もしもし渡辺さんですか?」
千砂都「千砂都です!」
────
──
ブウウウン・・・・・・
~♬~♬~♬
渡辺「あ、電話だ・・・・・・ ちさとちゃんか」
渡辺「もしもし?」
渡辺「うん、昨日はお疲れ~ 二日酔いになってない? 大丈夫?? それなら良かった」
渡辺「え? トヨタの人? ああ~ 桜坂さんね」
渡辺「うん、中古も扱ってるんじゃない?」
渡辺「じゃあ私が桜坂さんに電話しておくからお店行ってみなよ」
渡辺「うん! 頑張ってね~」
プツッ
中川「後輩の方、車買うのですか?」
渡辺「買うかどうかは分からないけど免許取ったから欲しいみたいだよ」
渡辺「えーと・・・ 桜坂さんの番号は・・・・・・」
渡辺「あ、あったあった・・・・・・」
渡辺「・・・・・・」 Prrr・・・・・・・・・・・・
渡辺「・・・・・・・・・・・・」
渡辺「あれ? 出ないな」
中川「日曜ですから、お忙しいのではないですかね?」
渡辺「そうかもね」
────
──
~♬~♬~♬
渡辺「あ、桜坂さんから折り返し来た」
渡辺「はい! もしもーし!! 渡辺です♪」
中川「えっ?」
渡辺「お久しぶりだね! 桜坂さん!」
渡辺「いやぁ、今日はさぁ・・・ 大した用事じゃないんだけどね、後輩が中古車欲しいみたいだから桜坂さんに相談したいんだって」
渡辺「うん、お店にいる?」
渡辺「あ、そう・・・ じゃあ、嵐千砂都って子なんだけど、桜坂さん訪ねて行かせるから面倒見てやってくれない?」
渡辺「あ~・・・、私は行けないんだ・・・ 残念だけどね」
渡辺「私の車の件は追々連絡貰えればいいから」
渡辺「じゃ! よろしく~♪」
プツッ
渡辺「・・・・・・」 Prrrr・・・・・・
渡辺「あ、ちさとちゃん?」
渡辺「桜坂さんに話通しておいたから」
渡辺「うん! よろしくね~」
プツッ
渡辺「ふぅ~・・・・・・」
中川「しずくさんと話す時は随分とテンション高いんですね・・・・・・」 ギロッ
渡辺「え? 普通だと思うけど・・・・・・」
中川「すごくウキウキされてましたよ・・・・・・」
渡辺「そ、そんなこと無いと思うなぁ~・・・ あはは」
────
──
ウィーーーン(自動ドア)
千砂都「ごめんください、嵐と申しますが桜坂さんいますか?」
桜坂「────あ、お待ちしておりました!」
千砂都「あ、こんにちは!」
桜坂「渡辺さんからお電話頂いておりますよ」 ニコッ
千砂都「すみません、お忙しいところ」 ペコッ
桜坂「まぁ、席におかけ下さい」 ニコッ
千砂都「ありがとうございます」
桜坂「お飲み物いかがですか?」 スッ
千砂都「じゃあ、アイスコーヒーで」
かのん「私も同じのでいいです」
桜坂「お待ちくださいね」 ニコッ
かのん「私ただちーちゃんについて来ただけなのに飲み物貰っていいのかな」
千砂都「気にしなくていいんじゃない?」
かのん「こういうお店・・・ ニートには敷居高いわ~」
千砂都「あはは・・・・・・」
────
──
コトッ コトッ
千砂都「ありがとうございます」 ペコッ
かのん「あ、ありがとうございます・・・」 ペコッ
桜坂「嵐さん、渡辺さんからお聞きしたお話ですと中古のお車を探しているのですか?」
千砂都「はい、フルエアロにインチのデカイアルミ履かせてベッタベタに車高落として爆音鳴らしながら乗るの憧れているんすよ~」 ニコニコ
桜坂「あはは・・・ お気持ちお察ししますが、おそらく違法改造にあたりますね」
千砂都「車検の時に戻すんで大丈夫っす!」 ニコッ
桜坂「2年に一度と思われているかもしれませんが、車検を通す為に戻すにしても膨大な費用が掛かりますのであまり良い方法とは言えないかもしれませんね」
桜坂「それと、一度違法改造してしまったら、復元以外の整備はお断りしなければいけませんので、せめてほどほどになさった方が良いと思いますよ?」
千砂都「そうなんですかね~」
千砂都「最初からいじってある車とかありませんか?」
桜坂「ディーラーですと、純正パーツでのカスタム車しかありませんね」
桜坂「例えばこういうのはどうですか? タブレットをご覧下さい」 スッ
千砂都「あ、カッコいい!」
かのん「これでいいんじゃない?」
千砂都「いや、高くて買えないし・・・・・・」
桜坂「ご予算はおいくらですか?」
千砂都「安ければ安いほどいいです・・・・・・」
桜坂「うーん・・・ それだと難しいですね・・・・・・」
千砂都「やはりそうですか・・・・・・」
・
・
桜坂「ディーラー勤務の私がこんなことを言うのは本来マズイのかもしれませんが、ココに行けば嵐さんの相談に乗ってくれるかもしれませんよ?」 ヒソヒソ・・・
桜坂「これ、連絡先です・・・・・・」 スッ
千砂都「あ、ありがとうございます」 ペコッ
桜坂「お気に入りが見つかるといいですね」 ニコッ
千砂都「すみませんでした、それでは失礼します」
桜坂「またいらしてくださいね」 ニコッ
────
──
かのん「どうするの?」
千砂都「やっぱりディーラーでは私が乗りたい車は無いんだね~」
千砂都「桜坂さんに教えてもらったところに行ってみようか・・・・・・」
かのん「遠いのは勘弁してね」
千砂都「うーん、そんなに遠く無さそうだね」
────
──
~某所~
千砂都「え? ここ?? Googlemapだと住所合ってるみたいだけど・・・・・・」
かのん「ええ~!? 看板も無いよ? 車も置いてないし大丈夫なの??」
千砂都「ボロい建物だけど、桜坂さんが言うんだから大丈夫なんじゃないかな・・・・・・」
かのん「ちーちゃん、入る?」
千砂都「うん、行ってみようよ」
かのん「うわ~・・・ 怖いわ~・・・・・・」
ガラッ
かのん「ひいっ!」 ビクッ
千砂都「こんにちは・・・・・・」
「何かご用?」
千砂都「えーと・・・ 中古車探してまして・・・・・・ トヨタの桜坂さんから紹介されて来たんですが・・・・・・」
千砂都「って、あれ??」
天王寺「ちさとちゃん、いらっしゃい」
千砂都「なんで天王寺さんがここに??」
天王寺「だってここ私の店だし」
千砂都「え? 天王寺さんパチプロなんじゃ!?」
天王寺「パチンコはただの趣味、本業はこっちだよ」
千砂都「えーー! そうなんですか!」
天王寺「とはいえ、大々的に営業しているわけじゃないけどね」
千砂都「看板も無いですもんね・・・・・・」 アハハ
天王寺「はい、名刺」 スッ
千砂都「あざっす」
千砂都「天王寺モータースっていうお店なんですね」
天王寺「うん、中古車販売と車の修理を細々とやっているよ」
千砂都「でも、こんなこと言ったら失礼ですけど
、買いに来る人いるんすか?」
天王寺「いないよ、紹介とか既存のお客さんから仕事貰うだけ」
天王寺「本業以外にも時間使いたいから積極的にはしてないんだ」
千砂都「そうなんすか~」
千砂都「フルエアロに爆音マフラー、インチのデカイアルミに薄いタイヤ履かせて乗りたいんすよ!」
天王寺「車種は?」
千砂都「特にないんで安ければ安いほどいいです」
天王寺「それもまた難しい注文だね」
天王寺「事故車とか冠水車とか直せば安く作れるけど」
千砂都「あはは・・・・・・ それはちょっと・・・・・・」
天王寺「見ての通りウチは在庫がないから、付き合いのある業者とかお客さんからいい車回して貰うしか無いかもね」
カタカタッ
天王寺「うーん・・・・・・」
千砂都「何見てるんですか?」
天王寺「オークションだよ。 でも、良さそうなのないなぁ・・・・・・」
天王寺「何か安くて良いのあったら連絡するよ」
千砂都「ありがとうございます!」
天王寺「ああ、修理中の車とか、これから売る車を置いているんだよ」
千砂都「そうなんすね」
かのん「ん? 軽トラック? 何でも売ってるんですね~」
天王寺「車種は問わず扱ってるけど、あれは修理中で預かっているの車だよ」
千砂都「天王寺さんて凄いですね~」
天王寺「やりたいことやってるだけだから」
千砂都「じゃあ、いい車あったら教えて下さいね!」 ニコッ
天王寺「うん、分かった」
千砂都「それじゃ、失礼するっす!」
天王寺「またね」
────
──
かのん「他にも回ってみる?」
千砂都「いや、天王寺さんが探してくれるっていうから待ってみるよ」
かのん「なんか安いの売ってくれそうだもんね」
千砂都「うん、そうだね」
かのん「さて、これからどうする?」
千砂都「そろそろ、お昼食べよっか~」
かのん「マックでよくない?」
千砂都「あーいいね」
かのん「ちーちゃんのおごりね~」 ニコニコ
千砂都「仕方ないなぁ~」
────
──
天王寺「・・・・・・」 Prrr・・・
天王寺「あ、もしもし天王寺モータースです」
天王寺「例の廃車頼まれてたやつ、取りにいくの遅くなっててごめんなさい」
天王寺「それでなんだけど、廃車しないで5万で買取るから」
天王寺「うん、これから出発する」
天王寺「よろしく」
プツッ
天王寺(さてと、ちさとちゃんの要望に合いそうだな・・・ 多分)
ガラッ
天王寺「ん? いらっしゃい」
彼方「璃奈ちゃーん、彼方ちゃんの車直ったかなぁ~」
天王寺「ゴメン! 部品足りなくてまだ終わってないんだ」
彼方「そっか~、残念だよぉ」
天王寺「ゴメンね、なるべく早めに直すから」
彼方「よろしく~」
天王寺「彼方さんゴメン、私これから買取りの車引き上げに行くから」
彼方「忙しそうで何よりだねぇ~」
────
──
ブオオオオオオ・・・・・・
キキーッ
果南「あ! 来た来た!」
バタンッ
天王寺「連絡もらってたのに遅くなってゴメンなさい」
果南「いいよいいよ、遠いところわざわざ来てくれるんだから」
天王寺「ところでいらなくなった車ってコレ?」
果南「うん、昔私が乗ってたやつなんだけど、後輩に乗せてたらエンジン故障しちゃったみたいで」
天王寺「どれどれ?」
果南「あ、バッテリー上がってるよ?」
天王寺「大丈夫、繋ぐから」
カチッ
キュルルッ
プスンッ
天王寺「あー、これくらいなら何とかなるかも」
果南「これを5万で買ってくれるの?」
天王寺「うん、いいよ」
天王寺「はい、お金」 スッ
果南「いやぁー、儲かったなぁ」 ニコニコ
天王寺「書類ある?」
果南「ああ、廃車するために用意してたんだけどこれでいい?」 スッ
天王寺「うん、オッケー」
天王寺「じゃあ、持っていくから」
果南「よろしく~」
天王寺「・・・ていうか、ここって建設会社か何かの土地?」
果南「そうだよ、私の友達がやってる会社の駐車場」
果南「しばらくの間置かせてて貰ったんだ」
天王寺「それより、あっちにたくさん転がってるガラクタに興味がある」
果南「え?」
天王寺「あれ、欲しい・・・・・・」
果南「何だろ、処分する廃材だと思うけど」
天王寺「友達なら聞いてみて欲しい」
果南「あ、うん、分かった」
果南「・・・」 Prrrr・・・
────
──
果南「私の知り合いがね、ダイヤの会社の土地に置いてある廃材が欲しいんだって」
果南「いいの? 分かった」
プツッ
果南「あそこにあるやつは全部処分する予定だから欲しいなら持って行っていいって」
天王寺「ありがとう、助かる」
────
──
天王寺「じゃ、また何かあったらよろしくね」
果南「あ、そうだ! 私ヴォクシー飽きてきたからヴェルファイアで良いのあったら教えてくれない?」
天王寺「分かった、調べとく」
果南「よろしく~」
ブオオオオオオ・・・・・・
────
──
渡辺「肩こったかも・・・・・・」
中川「すみません、私がどうしても観たかったから無理矢理連れてきてしまいまして」
渡辺「いや、私も面白かったし構わないよ」
中川「このアニメの劇場版、楽しみにしてたんですよ~」
渡辺「そうなんだ」
中川「いや~、よかったです!」 ニコニコ
渡辺「菜々ちゃんが楽しかったなら何よりだよ」 ニコッ
中川「さて、この後はどうします?」
渡辺「うーん、どうしようか・・・・・・」
~♬~♬~♬
渡辺「あ、電話だ・・・」
渡辺「もしもし~」
渡辺「あ、果南ちゃんどうしたの? え? あのワゴンR売れたの?? エンジン壊れてるのに?」
渡辺「お金?? あの時は果南ちゃんに助けてに来て貰ったり世話になったから私いらないよ」
渡辺「果南ちゃんがもらっておきなよ」
渡辺「え? 半分?? まぁ、それくらいなら・・・・・・ うん、わかった」
プツッ
中川「どうされたんですか?」
渡辺「故障した前の私の車、売れたんだって」
中川「良かったじゃないですか!」
────
──
ブオオオオオオ・・・・・・
キキーッ
天王寺(到着、車と荷物下ろさないと・・・・・・)
ガシャンツ
ピー ピー ピー ピー・・・・・・ ガゴッ
天王寺(フルフラットのキャリアカーは便利だなぁ・・・・・・)
天王寺(よいしょ・・・ よいしょ・・・)
天王寺(丁度いいの見つかってよかった・・・・・・)
天王寺(これで彼方さんもよろこぶ・・・・・・)
天王寺(積んで来た車は・・・ 軽だから押せる・・・) グイッ
天王寺(これでよし!)
天王寺(まずは彼方さんのから完成させよう・・・・・・)
カンカンカンッ
ガガガガガ・・・・・・
キュイーーーン・・・・・・
天王寺(あ、今日はパチンコ行けなかった・・・・・・)
天王寺(ま、毎日儲けてるから別にいいか・・・・・・)
天王寺(使うあても無いし・・・・・・)
────
──
遥「璃奈さんこんにちは! 修理してくれてありがとう!」 ニコッ
天王寺「あ、待ってたよ2人共」
天王寺「丁度今完成したところ・・・・・・」
彼方「おお~! すごーい!」
天王寺「念のため正常に作動するか試してみて?」
彼方「りょーかーい! 遥ちゃーん?」
遥「お姉ちゃん、了解!」
シュボッ
彼方「おお~! これは良さそうだよ~」
天王寺「事故車引き上げに行った先で丁度いいの見つけてね」
彼方「それは良かった~」 ニコニコ
遥「修理代はおいくら?」
天王寺「これくらいならいらない」
彼方「え? そんな悪いよ~」
天王寺「いいからいいから」
彼方「じゃあお言葉に甘えて・・・・・・」
遥「今度何かでお返しするね?」
────
──
遥「はーい!」
天王寺「気をつけて」
彼方「ありがとねぇ~」
キュルルッ
ブィーーーーン
────
──
天王寺(さてと・・・ こっちの事故車はまずちさとちゃんに見せてから方向性を決めるか・・・・・・)
・・・・・・ ブィーーーーン
キイーーーッ
天王寺(ん? 軽トラの音・・・ あれ? 彼方さんのどこかおかしかったのかな・・・・・・)
バタンッ
かすみ「りなこぉ~!」
天王寺「あ、かすみちゃんか、びっくりした」
天王寺「どうしたの? 軽トラ故障した?」
かすみ「んーん、壊れてないけど・・・ かすみんの軽トラさぁ、家で焼いたパン運ぶだけの簡単な車だけどさ」
かすみ「移動した先でも焼き立てパン作れるように出来ない?」
天王寺「出来ないこともないけど、パン用ともなると色々お金掛かるだろうし営業許可とかもとらないといけないかもよ?」
かすみ「ええ~! そうなんですかぁ!」 ガクッ
かすみ「焼き立てを売ってお客さんに喜んでもらうというかすみんの夢が・・・・・・」 ブツブツ・・・
かすみ「え? 何ですか? アレ」
天王寺「拾ってきたガラクタだよ」
かすみ「ええ~! ガラクタってゴミじゃないですかぁ! 可愛いかすみんの軽トラにゴミ付けたら可愛いくなくなりますよぉ!」 プンプンッ
天王寺「故障して預かってた彼方さんの軽トラにもアレ使って直したんだよね」
かすみ「彼方せんぱい?? あ~、石焼き芋売ってるんだよね、彼方せんぱいって」
天王寺「うん、そうだよ」
かすみ「なるほど~・・・ 移動先でパンを作るのは諦めるとして・・・ かすみんが家で焼いたパンと甘~い石焼き芋の両方を売るというのもなかなか可愛いですねぇ~・・・・・・」
かすみ「よし! りなこよろしく! 車置いていくから!」 ニコッ
天王寺「そんなに時間掛からないと思うから明日には完成すると思う」
かすみ「じゃ、お願いしますよぉ~」 ニコニコ
天王寺「うん、任せて」
────
──
彼方「遥ちゃーん? そっちの用意は大丈夫??」
遥「うん! バッチリだよ!」
彼方「どれどれ~?」
遥「これね、窯だけじゃなくて石も今までと違う物を用意してくれたみたい」
彼方「そうなんだ~・・・・・・」
彼方「あ、これだとお芋にじっくりと火が通りそうだねぇ」
遥「お姉ちゃんのお芋が更に美味しくなるといいね!」 ニコッ
彼方「そうだねぇ~」
────
──
~♬~♬~♬
千砂都「あ、天王寺さんからだ・・・・・・」
かのん「良いの見つかったんじゃない?」
千砂都「ういっす! 千砂都っす!」
千砂都「え? 良いの見つかったっすか!?」
千砂都「ういっす! 見たいっす!」
千砂都「これから行ってみますね!」
プツッ
千砂都「エンジン載せ替えて外装直すと乗れるカスタムカーがあるんだって!」 ニコッ
かのん「マジで? 良かったじゃん! 買ったらドライブ行こうよ~」
千砂都「天王寺さんのところ行くけど、かのんちゃんも行く?」
かのん「うん、私どうせ暇だし」
────
──
千砂都「こんばんは~ 遅くにすみません」
天王寺「あ、待ってたよ。倉庫に車入れてあるから見てみて」
千砂都「ういっす」
千砂都「あれ? このワゴンRのカスタム車って・・・・・・ どこかで見たような・・・・・・」
千砂都「渡辺さんが乗ってたやつ??」
天王寺「私の静岡のお客さんから引き上げて来た車だよ」
千砂都「そういえば渡辺さんの実家静岡だって言ってたなぁ・・・・・・」
天王寺「このエンジンなら余ってるのがあるからそれをオーバーホールして載せ替えれば走れるよ」
千砂都「そうなんすか!」
天王寺「あと、エアロ割れてるのとかは新しいのに替えるか補修して塗り直すかでなんとでもなるし」
天王寺「エンジン載せ替えと外装綺麗に仕上げて30万でいいよ」
千砂都「ほんとですか!!」
千砂都「でも、手持ちが・・・・・・」
天王寺「信販会社使って分割払いも出来るよ」
千砂都「じゃあそれで!」
天王寺「じゃあ書類書いてもらおうか」
千砂都「お願いします!」
────
──
千砂都「よろしくお願いします!」 ペコッ
かのん「良かったね、安い車が見つかって」
千砂都「いや~、良い買い物したねぇ~!」 ニコニコ
かのん「そういえば駐車場とかどうするの?」
千砂都「あ~、会社の駐車場に停めさせてもらうよ」
千砂都「先輩達もそうしてるみたいだし」
かのん「ふーん」
千砂都「親方が良い人だからね、ウチは」
かのん「いい会社入ったんだねぇ~」
千砂都「よーし! 気分いいから私のおごりで夜ご飯たべに行こう!」 ニコッ
かのん「え? まじ? シースーいっちゃう? 回転シースー」
────
──
ピィーーーーーー・・・・・・
彼方「いしや~きいも~・・・ いしや~きいも~・・・・・・ このえかなたちゃんとはるかちゃんのお芋だよぉ~」
「──お芋くださーい」
遥「お姉ちゃん! お客さん!」
キィッ
彼方「こんばんは♪ いらっしゃいませ~」 ニコニコ
「5本ください」
遥「はい! お待ち下さい!」
「最近見かけなかったけど、どうしたんですか?」
彼方「軽トラに積んでる石焼き窯が故障したもんで修理に出してたんですよ~」
「だから見かけなかったわけですね」
遥「はい! どうぞ!」 スッ
「ありがとね」 ニコッ
彼方「ありがとうございました~」
遥「璃奈さんに作って貰った窯で焼くと前より美味しく焼けるね」
彼方「これでいつものお客さんにたくさん食べて貰えれば口コミでもっとお客さんが増えそうな気がするよ~」 ニコニコ
遥「がんばろうね! お姉ちゃん!」 ニコッ
────
──
千砂都「ういっす!」
上原「ちーちゃんおはよう」 ニコッ
渡辺「あ、2人共おはよ~」
上原「ちーちゃん、妙にウキウキしてるけどいい事でもあった?」
千砂都「実はですね・・・ 天王寺モータースさんで中古の車売ってもらうことになったっす!」
渡辺「そうなの? 凄いじゃん!」
千砂都「30万円でフルカスタムっすからね~」 エッヘン
渡辺「凄いな~、納車されたら見せてよ!」
千砂都「もちろんすよ! 楽しみにしててくださいね」 ニコッ
上原「璃奈ちゃんの中古車屋はかなり良心的らしいよね」
千砂都「ですね~、ホント感謝です!」
渡辺「桜坂さんのところには行かなかったの?」
千砂都「桜坂さんのところだと高いのしかないもんで、桜坂さんに天王寺さんのお店紹介してもらったんですよ」
渡辺「ふーん、そうなんだ」
千砂都「いまからめっちゃ楽しみっす!」
────
──
ガラッ
かすみ「りなこぉ! もう完成したってホント??」 ニコニコ
天王寺「あ、かすみちゃん」
天王寺「ただ窯を軽トラに合わせて載せるだけだからすぐ終わるよ」
かすみ「どれどれ? おー! すっごーい!」
かすみ「ぐふふ・・・ これで美味しいパンと石焼き芋を売りまくって商売繁盛です!」 ニコッ
天王寺「彼方さんのにも同じの載せたんだけど、かなり美味しく焼き上がるみたいだよ」
かすみ「それはいいですねぇ~・・・ かすみんなら彼方せんぱいより美味しく焼いてみせますけどねぇ~」
天王寺「石焼き用の石もね、この窯拾ってきたところにあった石を使っているんだよ」
かすみ「へぇー、そうなんだ」
天王寺「ちょうどよく石焼きに適した石がたくさんあったから、それも分けて貰ってきた」
かすみ「ふーん」
かすみ「では早速、お芋を仕入れて来て試し焼きしてみるね~! りなこありがと!」 ニコッ
天王寺「どういたしまして」
キュルルッ
ブィーーーーン・・・・・・
────
──
遥「お姉ちゃん! 今ね、さつまいも仕入れに行って来たら昨日買ってくれた人が凄く美味しかったって褒めてくれたよ!」 ニコッ
彼方「そうなんだ~! 璃奈ちゃんのおかげだねぇ~」 ニコニコ
遥「今日はいつもより多めに仕込んだ方がいいんじゃないかな?」
彼方「そうだね、楽しみしてくれているお客さんも多いみたいだし、売り切れたら申し訳ないもんね」
遥「でも、璃奈さんが積んでくれたこの石焼き窯だけど、聞いたことがないメーカーだね」
彼方「なんか事故車引き上げに行った時に見つけたとか言ってなかった? だから部品を組み合わせた璃奈ちゃんオリジナルなんじゃない?」
遥「そっか~ そういうことなんだね」
────
──
かすみ(さてと、今日はこの場所でお世話になりますよ~!)
かすみ(どれ早速・・・ 石焼き芋を焼く用意もしましょうかね~・・・・・・)
かすみ(ま、本業はパンだから石焼き芋もはとりあえず試しに少量で十分かなぁ~・・・・・・)
カチッ シュボッ
かすみ(これで石を熱したら芋を入れて行けばいいのかな・・・・・・)
かすみ(まぁ、何とかなるでしょう!)
バチバチッ
かすみ(火を焚いてると暖かいですねぇ~・・・ 眠くなってしまいます・・・・・・)
────
──
ピィーーーーーー・・・・・・
彼方「いしや~きいも~・・・ いしや~きいも~・・・」
遥「今日はたくさん売れるといいね」 ニコッ
彼方「うん、今日はいつもの広場に行ってみようか」
遥「そうだね」
ピィーーーーーー・・・・・・・・・
────
──
ゴロゴロ・・・・・・
遥「あれ? 雲行きが怪しくなって来たね・・・・・・」
彼方「おやぁ? 今日は晴れの予報なんだけどなぁ・・・・・・」
遥「あ、少し雨降って来たかも・・・・・・」
彼方「うーん・・・ 困ったなぁ・・・・・・ この天気では売れ行きに悪影響だよ・・・・・・」
遥「すぐ止むといいね」
彼方「そうだねぇ」
────
──
ポツ・・・ ポツ・・・
ザーーーーーー・・・・・・
彼方「あちゃー、降って来ちゃった!」
遥「困ったね、このままじゃ売れないよ」
彼方「とりあえず広場には向かおうよ、止むかもしれないし」
遥「そうだね」
ピィーーーーーー・・・・・・・・・
彼方「いやぁ、何だろう・・・・・・ 霧も濃いねぇ・・・・・・」
遥「お姉ちゃん、運転気をつけてね」
彼方「うん、分かってるよ遥ちゃん」
────
──
ピィーーーーーー・・・・・・
彼方「よし、いつもの広場だね」
遥「丁度よく雨も上がったんじゃない?」
彼方「そうだね、ていうかさっき通った道だけピンポイントで雨降ってたんじゃない?」
遥「それもあり得るかも!」
・
・
・
「こんにちは~! 珍しいのね、ここでお芋売ってるなんて」
遥「あ、いらっしゃいませ!」
「いつものように大きめのものを4本売ってくれる?」
遥「はい! わかりました!」
ガサゴソ
彼方「はい、どうぞ~」 スッ
「あら美味しそうね、ありがとね」 ニコッ
遥「こちらこそありがとうございました!」 ペコッ
彼方「私達のはずっとこの軽トラですよ~」
遥「窯は新しくなりましたけどね」
「あらそうなのね、だからかしら・・・・・・」
「じゃ、またね」
彼方「ありがとうございましたぁ」 ペコッ
遥「やはり荷台に積んである機材が違うと印象も変わるのかな?」
彼方「多分ね~」
・
・
・
「あら、見かけない芋売りさんね」
遥「いらっしゃいませ!」
「おひとつ下さる?」
彼方「どうぞぉ~」 スッ
「ありがとう。頂きますね」
「ぱくっ・・・ もぐもぐ・・・・・・」
遥「どうですか?」 ニコッ
「あら!? 凄く美味しいじゃない!」
彼方「ありがとうございま~す」
「これだけ美味しかったら有名でもおかしくないのに・・・・・・」
遥「有名になれたらいいのですけどね、あはは・・・」
「また見かけたら買うわね」 ニコッ
彼方「よろしくお願いします」 ニコッ
────
──
彼方「そうだね・・・・・・」
彼方「今日はタイミングが悪かったかなぁ・・・・・・」
遥「お天気には逆らえないもんね」
「あれ? あなたたちさっきスーパーの方にいなかった?」
彼方「え? 今日はずっとここですけど・・・・・・」
「あら、見間違いかしら・・・・・・」
遥「おひとついかがですか?」
「そうね、小さめの一つ頂こうかしらね」
彼方「小さめですね・・・ どうぞ」 スッ
「はむっ・・・・・・」 モグモグ
「あら、凄く美味しいじゃない!? どうしたの?」
遥「機材が変わりました!」
「そうなのね、これなら毎日でも買っていいわよ?」
彼方「ありがとうございます~」 ニコッ
遥「やっぱ好評だね、お姉ちゃん!」
彼方「そうだね♪」
──
ポツ ポツ・・・
ザーーーーーー・・・・・・
遥「あ、また雨降ってきた・・・・・・」
彼方「今日は諦めて帰ろうか」
遥「そうだね・・・・・・」
キュルルッ
ブィーーーーン・・・・・・
・
・
・
ブウウウウーーン・・・
彼方「また凄い霧だよぉ・・・」
遥「気をつけてね」
「いし や~きいもぉ~・・・・・・ いし や~きいもぉ~・・・・・・」
遥「え? こんな天気に同業が出てるよお姉ちゃん!」
彼方「まさかぁ、このご時世で石焼き芋売りしてるのなんて彼方ちゃん達くらいなんだから」
遥「それもそうだよね・・・・・・ 空耳かな」
彼方「遥ちゃん・・・ まさか体調不良!? 病院いく!?」 ワナワナ・・・
遥「だ、大丈夫だよお~」
────
──
かすみ「!?」 ピクッ
かすみ「あ、あぶなっ! 火使ってるのに危うく眠るとこだったよぉ~!」
「────石焼き芋いかがですかぁ~? 石焼き芋いかがですかぁ?」
かすみ(ん? 近くでも石焼き芋売ってるんですかね・・・・・・)
かすみ(念のため偵察してみましょう・・・・・・)
かすみ(危ないから一度火を止めてっと・・・・・・) パチッ
テク テク テク・・・・・・
かすみ(ん? あそこかな?)
「石焼き芋はいかがですかぁ? 可愛くて美味しい石焼き芋ですよぉ?」
かすみ(あちゃー、まったく売れてないじゃないですか!)
かすみ(石焼き芋は素人ですが、移動販売に関してはエキスパートのかすみんがアドバイスしちゃいましょうかねぇ・・・・・・)
かすみ「どうしたんですか? そこの方?」
「へ?」
かすみ「あちゃ~、こんなオンボロの軽トラに可愛いだけの装飾じゃ誰も寄り付きませんよ」 ハァッ
「ひ、ひどいですぅ!」
かすみ「かすみんはエキスパートですからね! あなたみたいなの見てると放っておけません!」
かすみ「まぁ、石焼き芋に関してはかすみんも始めたばかりの素人ですけど、この石焼き窯はさすがにないですよ・・・・・・」
「そんなこと言ったって・・・・・・」
かすみ「どうせ売れてないんだがら、一度手を止めてかすみんのところに来てみてください!」 グイッ
「い、いきなりひっぱらないでくださいよぉ!」
かすみ「ほらほらぁ~」
────
──
「りなこ?」
かすみ「どうですか? 参考になりますかぁ?」
「なんですかぁ? この軽トラは! 最新式ですか??」
かすみ「え? 5年落ちくらいだと思うけど、最新ではないかも・・・・・・」
「うわぁ、ガスの火力が凄いです! これなら石に火が通りやすそう!」
かすみ「試しに焼いたお芋もがそろそろ食べ頃ですね、はい食べてみていいですよ?」 スッ
「あ、ありがとう」
「はむっ・・・ 」 モグモグ
「え?? めっちゃ美味いです~! なんですかこれは!?」
かすみ「ただ焼いただけですけどね・・・・・・」
かすみ「あ、そうだ・・・・・・ 万が一の故障時の為の仕様書と設計書がたしかあったような・・・・・・」
かすみ「あ~、あったあった! これがこの特製石焼き窯の設計書です」 スッ
かすみ「それを参考にして同じような石焼き窯でも買うといいですよ」
「あ、ありがとうございます」 ペコッ
「私もりなこに相談してみよう・・・・・・」
かすみ「頑張ってね~♪」
かすみ「なんか放っておけないな・・・ あの子・・・・・・」
・
・
・
かすみ「あれぇ・・・・・・ 今日はさっぱりパンが売れないです・・・・・・」
かすみ「退屈で眠いですぅ・・・・・・」
────
──
ブウウウウーーン・・・
彼方「さっきと違って霧が晴れないねぇ・・・・・・」
遥「あ! 路駐してる車いる! 危ない!」
彼方「うわぁ!」
キキーーーーッ
彼方「こんなところで路駐してたら危ないよぉ?」
「すみません! 故障しちゃってエンジンがかからないんです・・・・・・」
「こまったなぁ・・・・・・」
彼方「いつまでも路駐してるとお巡りさんに捕まるよぉ?」
「お巡りさん??」
「ああ~、巡回の・・・ それはまずいね、免許停止になったらやばいよぉ~」
遥「車屋さんでも呼びましょうか?」
「ああ、行きつけがあるから大丈夫だよぉ」
「あれ? この軽トラ何ですか?」
彼方「何ですかって・・・ 確かに彼方ちゃんのは新しくはないけど・・・・・・」
「積んでる石焼き窯が凄い~! 最新型かなぁ??」
彼方「まぁ、作って貰ったばかりだけどねぇ~」
遥「あ、これ余ったお芋ですけど良かったら冷めないうちにどうぞ」 スッ
彼方「売れ残りだからお代いらないからぁ」
「すごい! 美味しそうだよ! お姉ちゃん!」
「はむっ・・・ んむっ・・・・・・ 美味い!!」
「こんなのどうやってるのぉ??」
彼方「これでただ焼いてるだけなんだけどねぇ~」
「お姉ちゃん、こんな美味しいの焼けたら石焼き芋売り諦めることないんじゃないかな・・・・・・」
「そうだね・・・・・・ 続けたいもんね・・・・・・」
遥「どうかしたんですか?」
「さっぱり売れないから、もう引退しようかと思ってたんだぁ」
彼方「まだ諦めちゃダメだよぉ」
「たしかに、こんな美味しいの頂いたら私達にも作れそうな気がして来ますね」
彼方「じゃ、私達もいつまでも停めてるわけに行かないから行くね」
「お気をつけて!」
遥「そちらもこの霧だから気をつけてね!」
「霧??」
ブィーーーーン・・・・・・
ブウウウウーーン・・・
「あの人達も姉妹で石焼き芋売りしてるのかなぁ・・・・・・」
────
──
ブウウウウーーン・・・
キィッ
天王寺「あ、かすみちゃん」
かすみ「りなこぉ~! せっかく付けて貰ったけどやっぱコレ要らない!」
かすみ「暖かくて眠くなるんだもん!」
天王寺「たしかに、この石には遠赤外線を発しやすいみたいだからそうなるのかもね」
かすみ「誰か欲しい人がいたらあげてよ」
天王寺「うん、分かった」
天王寺「じゃあすぐ外すよ」
かすみ「かすみんはパンだけ売っていれば十分ですねぇ~」
・
・
・
かすみ「そういえば、オンボロの軽トラに乗った石焼き芋売ってる子、りなこ知り合いなの?」
天王寺「いや、そんな子いないよ」
かすみ「おかしいなぁ・・・ さっきね、石焼き芋売れない子がいたから放って置けなくて、私の軽トラとか見せてあげたらりなこに相談してみるって言ってたから」
天王寺「うーん、そんな子は来てないなぁ・・・・・・」
天王寺「石焼き芋やってる人は彼方さん達しか知らないよ」
かすみ「そっかぁ・・・・・・」
────
──
ガガガガガ・・・・・・
ガゴッ ガシャンッ
千砂都「そういえば上原さん!」
上原「どうしたの? ちーちゃん」
千砂都「私の車、来週には仕上がるみたいっす!」
上原「そうなんだ! 良かったじゃん!」
千砂都「ナンバーも希望ナンバーにしてもらったっすよ!」 ニコッ
上原「どんな番号にしたの?」
千砂都「やっぱ私としては丸いのが好きなんで8888っす!」
上原「へぇ~! 8のゾロ目ってよく見かけるよね」
千砂都「しかも、光るナンバーっすからね!」 エッヘン
上原「凄いなぁ~」
園田「こら! そこの2人! 私語は慎みなさいと言ってるでしょう!」 プンプンッ
上原「す、すみません!」アタフタ
園田「まったく・・・・・・」
────
──
黒澤専務「おつかれしまでしゅ」
中川「あ、専務! お疲れ様です!」
中川「今週は沼津の現場じゃないのですか?」
黒澤専務「うん・・・ ルビィのダンプ故障しちゃったから・・・・・・ 修理ついで車検もするということですることないんだぁ・・・・・・」 シュン
中川「それで支社に?」
黒澤専務「うん・・・ 本社に余ってるポンコツの軽トラがあったから、それ乗って支社で仕事手伝って来いってお姉ちゃんが・・・・・・」 ウルウル
中川「あはは・・・・・・ さすがにダンプを壊したとなると専務には寛大な社長もお怒りなのでしょうかねぇ・・・・・・」
黒澤専務「中川しゃん・・・ 何かすることない?」
中川「うーん・・・・・・ 現場の方は人が余ってますから、とりあえず支社の事務所で私のお手伝いでもして頂けますか?」
黒澤専務「うん! 分かった!」
────
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