【SS】さやか「綴理先輩がわたしを食べてくるんですけど…」【ラブライブ！蓮ノ空】

さやか「はい、今日のお弁当です。ご要望に応えて唐揚げですよ」

綴理「今日もありがとう、さや」

さやか「いえいえ、それではまた放課後に──えっ？」

綴理「んむんむ、うん。さやの味がする」

さやか「……」

さやか「！？！！ つ、綴理先輩っ！？」

さやか「なななっ、なんで私の耳食べたんですかっ！！？」

～

花帆「え？最近綴理先輩が積極的……？」

さやか「相談に乗ってもらってすみません、花帆さん。そうなんです、とても距離が近くなったというか……」

花帆「うーん、さやかちゃんと綴理センパイが仲良しなのは別にいいと思うけどなあ。どんなふうに近くなったの？」

さやか「ええとですね。触る頻度が増えたのがまずあって」

花帆「うんうん」

さやか「その、匂いを嗅がれることが増えて」

花帆「へー、さやかちゃん良い匂いするのかなー？」

さやか「それでですね、その、今朝なんですけど。耳を…耳を…こう、食べられました……」

花帆「えーっ！！？」

花帆「たた、大変！ どっちの耳！？ こっち？ あれっ、どっちも残ってる…！」

さやか「ち、違います！ こうぱくって咥えられただけですから！ ああっわざわざ説明させないください！」

花帆「なんだそっかぁ、ごめんごめん！ てっきり綴理センパイが人を食べちゃう人だったのかと」

さやか「一体どこの喰種ですか……まあいいです、そんな感じで、スキンシップが急に増えてきたんです」

花帆「うーん、でもさ。素直にセンパイやめてください、って言ってみたらいいんじゃないかな？」

さやか「……」

さやか「ええとそれは、嫌だからやめてください、って……言うんですか？」

花帆「？ うん、そうだけど……綴理センパイはさやかちゃんのこと大事に思ってるもん。聞いてくれる筈だよ」

さやか「その……嫌、っていうのはまた違うんです」

花帆「……？」

さやか「嫌だから嫌なんじゃないんです！ むしろ嫌じゃないと言いますか、心の準備がまだと言いますか……ああ、もう！」

花帆「わー！ もしかして、あたし惚気話を聞かされてるだけ！？」

～
　
綴理「さや～、お弁当美味しかったよ」

さやか「わっ、急に後ろから抱き着かないでください……美味しかったなら良かったです」

綴理「うん……すんすん」

さやか「……えっ！？今嗅いでます！？」

綴理「嗅いでるよ。今日のさやはちょっと甘い匂いがする。お昼寝みたいな匂いもするし、好きな匂いだ」

さやか「つ、綴理先輩っ！！お願いですから、少し控えてください……！」

綴理「ボク結構控えてると思うけど……わかった。またあとでにするね」

さやか「ふーっ……はい、そうしてください」

さやか（そうしてください？？）

～
　
綴理「さや。次のところ教えるから、こっち立って」

さやか「はいっ」

綴理「ちょっと、待って」

さやか「はい？」

綴理「──さや、良い匂い」

さやか「っっ！」

綴理「さやの汗、ボクの知ってる匂いみたい。さやの肌もあったかくなってる」

さやか「う、うぅ。づづりぜんぱいっ、流石に今は駄目です……！汗、汗かいてまずって…」

綴理「？ でも今、二人だよ？」

綴理「うーん」

さやか「……？」

さやか「！？！？」

綴理「さやの味、だ」
　　
さやか「ぁ、あぁっ、綴理先輩っ！！……くび、すじっ、なんで」

綴理「ごめん、痛かったかな。綺麗に見えたから……」

さやか「～～～！」

～

綴理「さや、今日もおつかれさま」

さやか「はい。お疲れ様です綴理先輩」

綴理「……さや」

さやか「！ はいストップです！一回顔近付けるの止めてください！」

綴理「えっ。わ、わかった。止まる」

さやか「あの、綴理先輩。最近少し変ですよ。どうしてそんなにわたしのこと嗅いだり食べたりするんですか！？」

綴理「えっ……それは、なんでかな」

綴理「さやのこと好きだから、かも」

さやか「それは、知ってます。よく分かっています。でもこれまではそんなこと無かったじゃないですか」

さやか「嫌とかじゃないんです……でも、少し困ってます。それと、恥ずかしいですって」

綴理「……」
　
綴理「さや、ごめん。また言葉が足りなかった」

綴理「ボクはさやが大好きだから、もっと近づいて、離れたくない」

綴理「でもほら、こうやってさやに触ったら……これ以上さやに近付けなくなっちゃうんだ」

さやか「そんなに優しく、頬を撫でないでください……」

さやか「先輩は……もっとわたしに、近付きたかったんですか？」

綴理「うん。好きだから、どうすればいいか分からなかった。触れてる以上に、近くに行きたいって思ったんだ……」

綴理「さやのこと好きなのはずっと変わらないよ。でも何か違うんだ。少し痛くて、穴が開いてる」

さやか「綴理、先輩……いえ、何も言わないでください」

さやか「わたしは先輩が触ったり嗅いだりしたって、嫌いになんてなりません。なれるわけありません」

さやか「綴理先輩のこと大好きなのはわたしだって一緒です。好きで、好きでたまらないんです。ずっとそばにいたいって思ってます」

綴理「さ、さやー」

さやか「ちょ、話の途中ですりすりしないでください！」

さやか「わたしがダメって言いたいのは、その。そこじゃないんです」

さやか「まず1つ、人が見ている場所は恥ずかしいのでやめてください」

綴理「うん、わかった」

さやか「本当ですか？ 約束ですからね？」

綴理「もちろん守るよ、約束」

さやか「はぁ、それでもう1つ。順番と言いますか……その、段階。段階を踏んでください」

綴理「……順番、段階？」

さやか「ですから、まだ早いと思うんです。……食べるとか舐めるとか……」

綴理「さや、赤いね。茹でた蛸だ」

さやか「あぁもう、誰が赤くしたと思ってるんですか！」

綴理「ボク、かな」

さやか「……はぁ、そうですよ。綴理先輩。すぐ赤くなっちゃうくらい、まだ早いんです。そういうの」

さやか「されるのは嫌じゃないですから。ゆっくり、段階を踏みませんか？」

綴理「うーん、分かったと思う。ありがとう、さや」

さやか「本当ですか？」

綴理「うん、本当。ボクはちょっと急ぎ過ぎてたみたいだから。明日、さやが消えちゃうわけじゃないのに」

さやか「ふぅ、そうです。そうですよ綴理先輩……」

さやか「わたしはいつだって綴理先輩の隣にいますし。綴理先輩だって、わたしの隣にいてくれますし。時間はまだまだあるんですから」

綴理「……でもさや、匂いは許してほしい」

さやか「えっと、なんでですか？」

綴理「なんか、もうボクの中で覚工　ゃったんだ。ずっと嗅げないままだと不安になるかもしれない」

さやか「え、えぇ……」

綴理「ダメかな、さや」

さやか（強く保たないとわたしの平常心がそろそろ、いえ。その目をされたら、なんだって断れないですね）

さやか（……もしかして、わたしの対応って甘すぎるんじゃ？）

さやか「いいですよ。嗅いでも。その代わり───」

～

綴理「さや～、こっち」

さやか「はい、今行きます」

綴理「えいっ。これで密着だよ」

さやか「……いちいち言わなくても大丈夫です」

綴理「じゃあえーと、いただきます？」

さやか「……一週間に一度だけの嗅いでいい時間なんですから、ちゃんと味わってくださいね」

綴理「うん。すんすん……さや、甘い匂いがする。でもいつもより、お花の香り？」

さやか「はい、今日はお気に入りの練り香水を付けてきたんです。わたしの好きな香り、綴理先輩にも知ってほしかったので」

綴理「うん、好き。好きだよさや。さやが選んだものなら何でも好き」

さやか「うぅ、はい。ありがとう、ございます……」

…
………

花帆「ど、どうしよう梢センパイ！」

梢「あらそんなに慌てて……何があったの？」

花帆「さやかちゃんと綴理センパイがっ、階段の裏でくっついてて……ただならぬ雰囲気になってて！」

梢「あら……後でちょっと注意しておかないと」

花帆「あの二人はいつもすごく仲良しだったけど、なんか空気が違ったんです！」

花帆「も、もしかして……登っちゃったのかな」

梢「ええと、登った？」

花帆「はい、その。大人の階段……みたいなの、あはは」

武神不動明王「そうとも言えるし、そうでないとも言える」

おわり

はい？

待ってほしい、おぼれそうだ･･･。

どういう事なのかしら？

まだまだ心眼が足りないわね

大人の階段を登ったかどうかは私が決めることにするわよ

もう…結婚しろ！