【SS】朝香果林と埼玉県を巡る旅
果林「……」
果林「…………」
果林「それにしてもいかにもベットタウンって感じで、いいところね」
果林「少し歩いてみようかしら」
果林「最悪迷っても、電車に乗ればなんとかなるだろうし」
果林「『線路は続くよどこまでも』ってすごい人が言っていたような気がするわ」
果林「さっきまで畑ばかりでのどかな雰囲気だったのに、大通りに出たら結構にぎやかだわ」
果林「へぇ~……コストコやIKEAがあるのね。思ったより都会じゃない」
果林「あら?ららぽーともあるなんて……もう陸のお台場ね」
果林「ららぽーとにはトーマスタウンも入って……小さなお子さんまで楽しめるようになっているのね」
果林「……」
果林「そういえば朝食がまだだったわね」
果林「あ、良いこと思いついたわ」
果林「ここで何か買って、さっき通ったみさと公園で食べましょ」
たこ焼きにチョコ入れるタイプ〜?それとも納豆〜?
果林「三郷市って小松菜が有名なのね。つい買っちゃったわ」
果林「しばらくは小松菜スムージー生活ね」
果林「ところで……」
果林「さっきのみさと公園どこっだったかしら……?」
果林「あら?あそこに大きな建物があるわ」
果林「『ピアラシティ』?ここもショッピングモールかしら」
果林「魅力的だけど……今は落ち着けるところがいいわ」
果林「何かないのかしら……」スマスマ
果林「……におどり公園?」
果林「良さそうな場所ね。決めたわ。ここにしましょ」
果林「におどり公園にはたどり着けなかったけど、早稲田公園のなかなか奇麗でいいところだったわね」
果林「あれから結構歩いたけど、ここはどこかしらね」
果林「そろそろ駅が見えてもいい頃なんだけど……」
果林「さすがに不安になってきたわ……」
『春日部温泉 湯楽の里』
果林「おん……せん……!?」
果林「はあ~~……お風呂上がりのこの時間……」
果林「これが“ととのう”ってことなのね」
果林「…………」
果林「もう今日は何もしたくないわね……」
果林「ここって、宿泊できないのが残念ね」
果林「…………」
果林「さっき売店で売っていた麦わら帽子……。名産品かしら?」
果林「きっとエマに似合うわ」
果林「後で買っていきましょ」
果林「さて……そろそろお台場に帰らなきゃね」
果林「駅は……どっちかしら?」
果林「…………」
果林「ここは……」
prrrrrr prrrrrr
果林「エマ?」
果林「もしもし?」
エマ『果林ちゃん!?今どこ!?迷ってる!?お腹空いてる!?寂しくない!?』
果林「ちょ……エマ、落ち着いて!」
エマ『……その……大丈夫なの?』
果林「ええ」
エマ『今どこにいるかだけ教えて?迎えに行くから』
果林「ありがとう」
果林「今は……」
『上尾駅』
果林「……」
果林「うえお駅よ」
エマ「うえお駅だって!」
愛「うえお駅?」
エマ「うん。果林ちゃんそう言ってた」
愛「どこだろ……」
エマ「えっ?」
愛「聞いたことないんだけど……」
エマ「えぇ……」
~~~~~
果林「とりあえずエマにはさっきの麦わら帽子にして……」
果林「みんなにも何か買っておこうかしら」
果林「……」
果林「色々あるわね……」
果林「もしかして、探せばもっとあるんじゃないかしら」
果林「ちょっともう少し見てみましょ」
璃奈「多分上尾のことだと思う」
愛「それだ!さすがりなりー!」
璃奈「璃奈ちゃんボード『えっへん』」
エマ「待ってて果林ちゃん、今行くから!」
愛「あのさ」
エマ「なに?」
愛「エマっちが上尾まで行くより、お互いの中間地点で落ち合った方が早くない?」
エマ「そっかぁ」
~~~~~
果林「うんまきゃ~!」
果林「牧場で食べるジェラートは格別ね」
果林「でも、ここはエマが来てから寄るべきだったかしらね」
果林「今度はエマと乳搾りしたいわね」
果林「『榎本牧場』さんね、よし!覚えたわ」
果林「どうやって来たかは、あんまり覚えてないけど」
果林「もしもしエマ?」
エマ『果林ちゃん、今上尾にいるんだね?』
果林「……今は牧場にいるわね」
エマ『は?(低音)』
エマ『……なに?璃奈ちゃん……多分まだ上尾にいる?……うん、わかった』
エマ『果林ちゃん』
果林「な、何?」
エマ『今から言うことよく聞いて?』
果林「え、ええ」
エマ『果林ちゃんは今から所沢駅に向かって?』
果林「所沢……?」
エマ『大丈夫?来れる?』
果林「所沢って前にみんなでライブしたところでしょ?知ってるわ」
果林「山を登った先に、湖とドーム……間違いないわね」
果林「なんか……ドームってこんなに小さかったかしら?」
prrrrrr prrrrrr
果林「もしもし愛?」
愛『カリン着いた?』
果林「ええ」
愛『ちょっとさ……カメラで周りの風景撮ってみてよ』
果林「ええ、いいわよ」
璃奈「画像来た」
愛「……ここって……」
璃奈「八丁湖と吉見百穴」
璃奈「間違いない。果林さんが今いるのは、埼玉県吉見町」
愛「エマっち聞いた?カリン今吉見町だって!」
エマ『なんで!?』
~~~~~
果林「……」
果林「そう……。私今埼玉県にいるのね」
かすみ「果林先輩、埼玉県に入るには通行手形が必要なんですよ~」
果林「ふふっ、かすみちゃんは今日も可愛いわね。でもそんなことじゃ、お姉さんは騙されないわよ」
しずく「かすみさんの言う通りですよ?」
果林「しずくちゃん?」
しずく「私の遠い親戚の知り合いの兄弟の友達の玄孫のクラスメイトが埼玉県に住んでるんですけど」
しずく「いつも会うとき通行手形持っていってますよ?」
果林「……あのねえ、しずくちゃんまで……」
ミア「No kidding!?」
果林「ミア……?」
ミア「こないだベイビーちゃんと観た映画は本当のことだったっていうのかい?」
しずく「はい、ノンフィクションです💙」
ミア「Oh……」
果林「……」
果林「……」
果林「私、通行手形持ってないわ……」
果林「もしかしてヤバいんじゃないの?」
果林「…………」
果林「急いでここから離れる必要があるわね」
愛『カリン?もしもーし!』
愛「どう?」
璃奈「逆探知完了。紐づけできたから、今後はGPSで追える」
愛「りなりーナイス!」
璃奈「でも、追えるだけじゃ追いつけない」
璃奈「どこに向かうか予想して先回りする必要がある」
愛「う~ん……酸っぱいものがあれば足止めできるのに」
璃奈「?」
愛「acid(酸っぱいもの)で足止め!なんてね」
璃奈「愛さん、今じゃない」
~~~~~
果林「ふぅ……」
果林「ここまで来れば大丈夫よね」
果林「さっきの所より幾分都会だし、埼玉県から離れたわよね」
果林「途中アウトレットモールもあったし、もうお台場に帰ってきたのかしら」
果林「……」グウゥゥゥ
果林「そういえば、ジェラートから何も食べてなかったわね」
果林「ここで晩ご飯にしましょ」
果林「ねぎ料理のお店が多いわね」
果林「後は……“武州和牛”なんてのもあるわね」
果林「……ヒトツダケナンテエラベナイヨー……」ボソッ
果林「……」
果林「…………///」
果林「あの“渋沢栄一煮ぼうとう”にしましょ」
果林「きっと渋沢さんが作ったほうとうなのね」
エマ「エマージェンシーだよ~~!!」
エマ「もう夜だし、果林ちゃんは見つからないし、独りぼっちだし……」
エマ「どうしよう……」
嵐珠「エマーー!!」
エマ「ランジュちゃん!?」
栞子「ようやく会えました」
エマ「栞子ちゃんもどうして……」
栞子「愛さんから事情を伺いまして、エマさん一人では心細いのではないかと」
エマ「~~……!」
エマ「ありがとう!!」
栞子「璃奈さんから、果林さんは今埼玉県深谷市にいるそうです」
エマ「……どこ?」
栞子「ここからだと、そこそこ遠いですね」
エマ「そっかぁ……」
栞子「なので、今夜はここに泊まりましょう」
栞子「そして明日改めて会いに行きましょう」
エマ「うん!」
嵐珠「じゃあこの街一番のホテルでフルコースをいただきましょ!」
栞子「ランジュ、私たちは遊びに来たのではありませんよ?」
嵐珠「なによぅ……」
エマ「でもせっかくだから美味しいものが食べたいなぁ」
栞子「この辺はうなぎが名物らしいですね」
嵐珠「決めたわ!ランジュうなぎが食べたいわ!」
エマ「私もうなぎ食べたいな」
栞子「分かりました。うなぎ屋さんに行きましょう」
栞子「埼玉県川越市ですよ。ランジュ」
栞子「埼玉県の南西部に位置し、さいたま市、川口市に次ぐ3番目の人口誇り」
栞子「今でも歴史的建造物が多く残っていることから“小江戸”の愛称で親しまれている埼玉県の都市ですね」
嵐珠「へ、へぇ~……」
エマ「栞子ちゃんも楽しみだったんだね」
~~~~~
果林「いいホテルだったわ。シャワーも浴びれたし」
果林「でも……ここも埼玉県だったのね」
果林「今日こそ埼玉から抜け出して家に帰らなきゃね」
果林「とりあえずは……着替えたいわね」
果林「スクールアイドルが二日続けて同じ服っていうのも……ねぇ……」
果林「あと、歩きやすい靴も欲しいわね」
果林「!」
果林「そうだわ!昨日通ったアウトレットモールに行きましょ」
嵐珠「う~~ん……!よく寝たわ!」
エマ「果林ちゃん今日こそ見つけるからね!」
嵐珠「今日はどこへ行くの?」
栞子「ランジュ、今日は観光に来たわけではありませんよ」
嵐珠「なによぅ……。せっかくカワゴエに来たんだから、少しくらい観光してもいいじゃない」
栞子「そういう訳には……」
エマ「栞子ちゃん、璃奈ちゃんから連絡は?」
栞子「それは……まだですね」
エマ「じゃあ、璃奈ちゃんから連絡来るまでこの辺見て周ろっか」
エマ「早く果林ちゃんを見つけたいのは私も一緒だよ」
エマ「でも果林ちゃんがどこに行くか分からないし、私たちまで勝手に動いたら璃奈ちゃん大混乱だよ」
栞子「それは……」
エマ「だったら璃奈ちゃんの分析が出るまで、色々見てもいいんじゃない?」
栞子「……分かりました。私も小江戸に来るのは初めてですし、少しくらい楽しむのもいいでしょう」
嵐珠「きゃあっ!ならランジュ、菓子屋横丁に行きたいわ!」
エマ「菓子屋?私も行きたい!」
栞子「では、時の鐘を目指しつつ、そちらに向かいましょう」
嵐珠「きゃあっ!これが時の鐘ね!」
栞子「なかなか大きいですね」
エマ「これ今でも鳴るの?」
栞子「どうやら朝6時、正午、午後3時、午後6時の4回鳴るみたいですね」
エマ「そっかぁ……聴きたかったなぁ」
栞子「それは仕方ないですね」
エマ「でもこういう昔の街並みって落ち着くよね~」
嵐珠「そうね。古き良き日本って感じがするわ」
栞子「ランジュ、あなたは古き良き日本を知らないでしょう」
エマ「そうだ!菓子屋横丁にも行かなきゃだよ!」
嵐珠「そうだったわ!」
栞子「私はもう少しこの辺りを……って、移動が速すぎませんか?」
~~~~~
果林「結構歩いたわね……」
果林「動きやすい服にして正解だったわ」
果林「でもこの辺り……なにもないわね……」
果林「島にいた頃を思い出すけど、さすがに不安になってきたわ」
果林「こっちで合ってるのかしら……」
果林「えっ…………?」
果林「富士山……?」
果林「歩きすぎて東京を超えてしまったのね……」
果林「私はどこへ行けばいいのかしら……」
果林「…………」
果林「『考えても答えが出ないときは一度立ち止まって風の声を聴くといい』」
果林「誰か言ってた気がするわ」
果林「せっかくだから、ちょっと寄り道してみましょうかしら」
無敵の迷子
果林「昨日の春日部温泉もよかったけど、今日の『おがわ温泉花和楽の湯』いい所ね」
果林「ラジウム陶板浴なんて初めて体験したわ」
果林「説明はよく分からなかったけど、身体がよくなった気がするわ」
果林「それにこの武蔵野うどんも田舎風のつけ汁にとても合うわね」
果林「きっとエマなら「ボーノだよ~」って言うわね」フフッ
果林「あ…………」
果林「エマ達、今どうしてるかしら」
果林「愛もあれから言ってこないし……」
果林「一度無事って伝えなきゃね」
pipipi
果林「もしもしエマ?」
エマ『もしもし果林ちゃん?今どこ?』
果林「エマ聞いて。私今富士山にいるの」
エマ『えっ?富士山?』
栞子「エマさん、果林さんは何と?」
エマ「今富士山にいるんだって」
栞子「ふ、富士山ですか!?」
嵐珠「ずいぶん離れたわね」
エマ「どうしよう……」
栞子「さすがにそれはありえません」
栞子「ここは一度璃奈さんに相談すべきかと」
~~~~~
果林「え?何?私まだ埼玉県にいるの?」
エマ『うん。埼玉県小川町にも富士山(ふじやま)っていうのがあってね?』
果林「そうだったのね」
栞子『ちなみにこの後どちらに向かうつもりですか?』
果林「どちらにって……帰るつもりだけど?」
果林「でもどこに行けば分からないのよね……」
栞子『ええっと……とりあえず電車に乗って……いえそれでは私たちが追えなく……』
エマ『果林ちゃん!』
果林「エマ?」
エマ『果林ちゃんの思う方へ行って!』
エマ『そしたら私たちに会えるから!』
果林「……分かったわ。ありがとう」
pi
栞子「エマさんどうして……」
エマ「果林ちゃんが道に迷うのはね、きっと島育ちの勘が働かないからだと思うの」
エマ「東京の人工的な街並みの雑多な情報が果林ちゃんを惑わせてる」
エマ「って璃奈ちゃんが言ってたの」
栞子「それは一理ありますね」
エマ「だから私たちがあれこれ言うより、自然に囲まれた果林ちゃんの本能を信じようって」
栞子「なるほど」
嵐珠「それで本当に帰ってこれるの?」
栞子「事実東京には近づいていますね」
栞子「このまま南下すれば果林さんが行く先は……」
エマ「め……飯……」
栞子「飯能市ですね」
エマ「はんのうし……」
prn
栞子「璃奈さんからですね」
エマ「璃奈ちゃんはなんて?」
栞子「私たちは飯能駅を最終防衛ラインとし、そこで果林さんを迎え撃ちます!」
嵐珠「きゃあっ!最終決戦ね!」
栞子「ということで私たちはまず所沢に戻りましょう」
~~~~~
果林「『ムーミンバレーパーク』……」
果林「エマの言う通り、気のまま歩いたけど……」
果林「へぇ~……同じ敷地に、ムーミンの世界をイメージした『ムーミンバレーパーク』と」
果林「フィンランドをはじめとした北欧の雰囲気を楽しめる『メッツァビレッジ』があるのね」
果林「『メッツァ』の方は入場自体は無料なのね」
果林「その中のお土産やワークショップ、アクティビティが有料なのね」
果林「『ムーミンバレーパーク』の方は入場料が¥3,200(大人、当日23年5月1日より¥3,600)かかるのね」
果林「ジップラインも気にはなるけど、今回は『メッツァ』の方にしましょ。入り口も近いし」
果林「何するか迷った挙句、結局園内併設のスタバ……」
果林「我ながら保守的ね」
果林「でも、大自然の中で飲むメロンフラペチーノは普段より美味しく感じるわ」
果林「ふう…………」
果林「休日なら子供たちでにぎやかなんでしょうけど、平日のこの時間は静かね……」
果林「……これが北欧の過ごし方なのね」
果林「…………」
果林「……」
果林「北欧って……どこの国かしら?」
ってことになったら大変だった
嵐珠「所沢駅に着いたわ!」
栞子「果林さんも飯能市に入ったみたいですね」
エマ「私たちも飯能市に……」
嵐珠「ところで所沢ってどんなところなの?」
栞子「えっと……典型的な東京のベッドタウンですね」
栞子「『となりのトトロ』の舞台にもなったように、豊かな自然に囲まれてますね」
嵐珠「あー……そうじゃなくて美味しいものとかないの?」
栞子「美味しいもの……名物ですか」
嵐珠「きゃあっ!お肉があるのね!」
栞子「地元名産品なども改札出て目の前の『グランエミオ所沢』で買うこともできますね」
嵐珠「なら今すぐ『グランエミオ所沢』に行くべきね!」
栞子「私たちの目的を忘れていませんか?」
栞子「エマさんからも何か言って……エマさん?」
エマ「あれって……歩夢ちゃん?」
歩夢「え?えっ?エマさん!?」
エマ「こんな所で何してるの?」
歩夢「それは……えっと……まあ……」
エマ「?」
嵐珠「きゃあっ!歩夢じゃない!」
栞子「あ、本当ですね」
歩夢「ランジュちゃんに栞子ちゃんも!?」
嵐珠「璃奈から聞いてない?果林が今埼玉で迷子になってるって」
歩夢「果林さんが?」
エマ「それで今から飯能駅に行くの」
歩夢「飯能……」
嵐珠「そうだわ!歩夢も一緒に探しましょ!」
歩夢「ええっ!」
栞子「よければ協力してくれますか?」
歩夢「えーーっと……うん、いいよ」
エマ「歩夢ちゃんありがとう!」
~~~~~
果林「ずいぶん車も多くなってきたわね」
果林「さっきまでの山道と比べると、ずいぶん都会ね」
果林「ここはどこなのかしらね」
侑「あれ?果林さん?」
せつ菜「あっ、本当ですね」
果林「あら?侑とせつ菜じゃない。あなたたちも迷子?」
侑「いやあ……迷子じゃ……」
せつ菜「私たちはこれです!」
せつ菜「スタンプラリーです!」
果林「スタンプラリー……」
せつ菜「はい!今この西武鉄道とラブライブがコラボスタンプラリーをやっているんです!」
果林「そうだったのね」
せつ菜「特に今回は侑さんも気になっていたスクールアイドルだったので、一緒に来てもらっちゃいました!」
侑「えへへ……」
果林「まあ……そんなところね」
侑「迷子以外何が?」
せつ菜「エマさんたちに連絡しましたか?」
果林「もちろん」
果林「そうしたら、私の思うままに進めって言ってたわ」
せつ菜「?」
侑「私からエマさんに連絡してみるね……」
ピロンッ
エマ「侑ちゃんから?」
歩夢「侑ちゃん!?今どこにいるの!?」
嵐珠「歩夢落ち着いて」
侑【今私たち飯能駅で果林さんに出くわしてるんだけど……】
エマ「よかった……飯能駅に着いたみたい」
栞子「そうですか」
栞子【では、そのまま引き留めていてください。今迎えに行ってます】
~~~~~
果林「そう。やっと東京に帰れるのね」
果林「でも悪かったわね。せっかくのデートだったのに」
せつ菜「ち、違います!っででデートとかそういうのでは!」
果林「焦り過ぎじゃないかしら」
侑「それにこの駅が最後の駅だったしね」
せつ菜「そうです!これであとは池袋に戻れば、限定ポストカードがもらえるんです!」
果林「それで、ちょっといい?」
侑&せつ菜「?」
果林「二人は、通行手形持ってる?」
エマ「果林ちゃん!」
果林「エマ!」
エマ「やっと会えたー!」
果林「なんだかすごい久しぶりに会った気がするわ」
歩夢「侑ちゃん!!」
侑「あ、歩夢!?どうして……」
歩夢「えっ!?それは別に……」
せつ菜「もしかして歩夢さんも果林さんを探していたんですか!?」
歩夢「…………そうだよ」
嵐珠「え?歩夢、さっき車内で侑に撒かれたって言ってたじゃない」
歩夢「ランジュちゃん、しーっ!」
果林「なんだか迷惑かけてしまったみたいね。ごめんなさい」
嵐珠「無問題ラ!いつものことじゃない」
果林「いつもの……」
侑「それで、埼玉旅してどうでした?」
果林「そうね……」
果林「とても素敵なところだったわ」
果林「あ」
果林「みんなに埼玉のお土産渡すの忘れてたわ」
エマ「なになにー?」
かすみ「何をくれるんですか?」
果林「まず、エマには麦わら帽子(春日部市)よ」
エマ「ありがとう!似合う?」
果林「ええ、とても似合ってるわ」
かすみ「エマ先輩もとーってもかわいいです」
果林「そんなかすみちゃんには『十万石まんじゅう』(行田市)よ」
かすみ「わあ!かわいい……かわいい?」
しずく「ありがとうございます。甘い匂いがしますね」
果林「なんでも『かおりん』って品種みたいね」
しずく「へぇ~……『かおりん』……」
果林「ランジュちゃんには……」
嵐珠「ランジュは当然お肉よね!」
果林「ええ。山田うどんの『赤パンチ』(所沢市)よ」
嵐珠「お……思ってたのと違うけれど、うれしいわ」
果林「愛には釣り竿(川口市)ね」
愛「嬉しいけどなんで……?」
果林「あなた最近釣りやりたいって言ってなかったかしら」
愛「それは……まあ……」
璃奈「『なめらかプリン』。朝霞市名物」
愛「朝香果林が朝霞市を紹介……」
侑「あははははははははははははは!!!」
果林「ミアにはわらじカツバーガー(秩父市)ね」
ミア「Thanks.でもこれ埼玉じゃなくても買えそうだけど?」
彼方「それを言っちゃあおしめえよ」
果林「彼方には深谷牛(深谷市)ね」
彼方「おお~!!遥ちゃん……今夜はすき焼きだよ……」
嵐珠「なんか納得いかないラ!」
果林「冗談よ。ランジュにも『彩の国黒豚』(入間市)があるわよ」
嵐珠「きゃあっ!黒豚よ!黒豚!」
栞子「ありがとうございます。使わせていただきます」
果林「せつ菜には埼玉が舞台のアニメ……何だったかしら」
せつ菜「『クレしん』ですか?『らき☆すた』ですか!?それとも『あの花』!?」
果林「思い出したわ。『浦和の調ちゃん』っていうアニメのポスター」
せつ菜「おおぅ……。これは予想外でした」
果林「知ってる?」
せつ菜「確かテレ玉でやってた5分アニメですよね。2期は『むさしの!』というタイトルで――」
果林「知ってるようでよかったわ」
侑「くきクッキー……あははははははははははははは!!」
果林「『どき土器クッキー』(志木市)と迷ったのだけど……」
侑「ドキドキと……土器で……あははははははははは!!」
歩夢「果林さん、その辺にしてもらえますか?」
果林「ごめんなさいね」
歩夢「何ですか?」
果林「『五家宝』(熊谷市)よ」
歩夢「……お菓子?ですか?」
果林「そうね確か」
歩夢「ええ……」
璃奈「『五家宝』は熊谷市の銘菓。『草加せんべい』、『川越の芋菓』と並ぶ埼玉三大銘菓の一つ」
歩夢「そうだったんだ……」
果林「そうだったのね」
歩夢「あっ、でもありがとうございます」
果林「ちょっと困らせちゃったかしら」
歩夢「いえいえいえいえ」
エマ「なに?かすみちゃん」
かすみ「このお菓子、よくおばあちゃんが買ってきてました!」
愛「あー……それな」
果林「お、おばあ……」
しずく「かすみさん、めっ」
栞子「確かに昔ながらのお菓子ですね」
しずく「栞子さんまで!?」
果林「…………」
彼方「果林ちゃん、銘菓ってそういうものだから」
歩夢「ああっ!待って!待ってください!」
エマ「もうやめよ?」
果林「でも……」
歩夢「ありがたいです!とても」
果林「そう?」
歩夢「うんうんうんうん」
愛「もし行くなら、愛さんも連れてって」
璃奈「今度は私も行きたい」
果林「そうね……今度行くときはみんなで行きたいわね」
果林「きっとみんなと行く埼玉は楽しいと思うわ」
おしまい
埼玉いいとこ一度はおいで
こういう話すき
五家宝すき
果林さん準伝説のポケモンみたいで可愛いね
おつだよー
少し行けば川本町もある
メチャクチャ面白かったわ
あの映画でも言ってたけど、さいたまはいい感じに色々あるから楽しいで
飯能〜秩父辺りは聖地だらけだし、手軽にハイキングできるからオススメ