【SS】せつ菜「二人と」歩夢「一人の秘密」【ラブライブ!虹ヶ咲】
アニメ2期6話、第二回スクフェス開催数日前あたり
(下記企画参加作品です)
ラブライブ!SSコンペを開催します!
せつ菜「歩夢さん!すみません、夕方に呼び出してしまって」
歩夢「ううん、大丈夫!……ここでせつ菜ちゃんの格好してて平気なの?」
せつ菜「この時間にはもう誰も来ませんよ。まぁでも一応、鍵をかけておきましょうか」
歩夢「せつ菜ちゃんがそう言うなら良いけど……フェスティバルの日程、紫苑女学院の参加で埋まってよかったね」
せつ菜「それで一言、歩夢さんにお礼を言いたくて」
歩夢「お礼だなんて、そんないいのに」
せつ菜「いやいや、本当に感謝はしてるんですよ!……しかし一週間しかないというのに、他校の皆さんもここまで協力してくれるとは」
歩夢「もともとキャパオーバーしちゃうくらいにみんなが参加したいと思ってるんだから、不思議な事でもないのかも?」
せつ菜「なるほど、そう言われると納得できます……歩夢さん、さすが頭が切れますね」
せつ菜「じゃあ聡明、という言葉はどうでしょう?」
歩夢「大げさだよぉ……聡明って言葉はそれこそ菜々ちゃんにピッタリだと思うよ?」
せつ菜「そうでしょうか?私なんかより、歩夢さんは気配りと優しさを持った上で、いつも周囲の方に助言をしていると傍から見ていても思います」
歩夢「ほんとにそう思ってる?せつ菜ちゃん、一人でなんでもこなしちゃうイメージがあるから」
せつ菜「それこそ大げさですよ」
歩夢「ううん、実際のところ、三船さんが言っていた通りスクールアイドルとしても、生徒会長としても成果を出してるんだから……でも」
せつ菜「でも?……なんでしょう」
せつ菜「……」
歩夢「せつ菜ちゃん、私と二人で話したいって呼び出してくれたの、お礼がしたいからだけじゃないでしょ?」
せつ菜「……やっぱり聡明です、歩夢さんは」
歩夢「私じゃなくたって、そんなのわかるよ」
せつ菜「……ひとつ、悩んでいる事があって」
歩夢「……うん、大丈夫だよせつ菜ちゃん、まずは私を……私を呼んでくれた、せつ菜ちゃん自身を信じて」
歩夢「そっか……みんなに菜々ちゃんが優木せつ菜だって、公表するかどうか、かぁ」
せつ菜「はい……私は今まで、スクールアイドルと生徒会の活動は全く違うものだと考えていて、もしかするとお互いが干渉をしてしまうのではないか、というのが正体を秘密にしていた理由のひとつです」
せつ菜「でも今回は何よりも、虹ヶ咲の皆さんが文化祭とフェスティバルの合同のみならず、他の学校をも巻き込む事を歓迎してくれている」
せつ菜「学校のために仕事をすることと、スクールアイドルの活動が、今回のフェスティバルでは綺麗に重なり合っているんです」
せつ菜「まさに盲点でした。考えてみれば、本来スクールアイドルは学校の代表として活動をする面が強いはずなのですが、その視点が私には抜けていたな、と」
歩夢「確かに、私と侑ちゃんが同好会に最初に入ろうとした時は部室を探しても知っている生徒がほとんどいなかったっけ。おまけに部室は目の前で無くなっちゃったし……ごめんごめんせつ菜ちゃん!そういうつもりじゃなくて!そんな顔しないで!」
せつ菜「すみません、部室を無くした張本人です……でもそこから同好会と、私を立ち上がらせてくれたのが侑さんと歩夢さんです。改めてですが、この事も本当に感謝しています」
せつ菜「いえ、歩夢さんのスクールアイドルをやりたい、という強い思いがあったからこそ、侑さんも、そしてそこから今の同好会のみなさんの今に繋がっているんだと思っています」
せつ菜「ふふっ、歩夢さんこそ、もっと自分に自信を持つべきです!」
歩夢「そうかな……でも、憧れの人にそう言って貰えるのは嬉しい」
歩夢「もう、私はせつ菜ちゃんのライブを見てスクールアイドルになったんだよ?」
歩夢「……話を戻すけど、生徒会とスクールアイドルの活動、そして虹ヶ咲のみんなが同じ方向を向いているから、もう菜々ちゃんとせつ菜ちゃんが別々でなくても良い、ってことかな」
せつ菜「はい、その通りです。正体を隠して活動する事を楽しんでいた面も……まぁ、あるにはあるのですが」
せつ菜「かわいいだなんて……え、ちょっとおかしいってどういう」
歩夢「楽しんでる面も、ってことは逆もあったんだね」
せつ菜「……まぁ、いいでしょう。ええ、隠すことを意識するあまりそこで労力を使うというか、疲れてしまう部分もあるというか」
せつ菜「ええ、ドキドキもさせてくれますけど、そのために自分を縛ってしまう事もあります」
歩夢「うん、私も……前のフェスティバルの時は、直前になっても誰にも言えずに縛られてて」
歩夢「でもその時はせつ菜ちゃんが手を差し伸べてくれた」
歩夢「秘密とは、ちょっと違うかもしれないけど」
せつ菜「……見過ごしたくなかったんです、私が口を挟むべきではないのかとも思いましたが」
歩夢「……だから、今日こうして私を呼んでくれたの、嬉しかったんだ」
せつ菜「歩夢さん……」
歩夢「私はあの時のせつ菜ちゃんのお陰で、みんなの応援を受けてステージに立てるスクールアイドルになれたの」
歩夢「うん、本当に……んん?」
歩夢「そっか、そうだよ」
せつ菜「歩夢さん?」
歩夢「せつ菜ちゃんさ、正体を明かしたら菜々ちゃんも併せて二人分の応援を受けられるって事でしょ?それってちょっと……」
歩夢「ちょっと……羨ましいかも」
せつ菜「ふっ……あっははははは!!」
歩夢「もう!せつ菜ちゃん!そんなに笑わなくても!!」
せつ菜「いや、ごめんなさい……!」
歩夢「!……うん!でも」
歩夢「私をこんなにさせたのは、せつ菜ちゃんなんだからね!」
せつ菜「えへへ、責任重大ですね!……ありがとうございます、歩夢さん!決心が付きました!」
せつ菜「私と、私を応援してくれる人の大好きを大きく出来るのなら、その方法を採らない訳にはいきません!」
せつ菜「さて……とは言ったものの、後はどうやって公表するかですが」
歩夢「うーん……やるならパーッと盛大にやりたくない?」
せつ菜「盛大にって、そんなパーティじゃないんですから」
歩夢「しずくちゃんにも相談してみよう?」
せつ菜「どうしてそこでしずくさんが……ってまさか前夜祭のステージですか!?」
歩夢「絶対盛り上がるよ!」
せつ菜「歩夢さん、遊園地でも思いましたがたまにビックリなアイデア出しますよね……でも」
せつ菜「……受けて立ちます!言い出したからには、歩夢さんのファンを取っちゃっても知りませんよ!」
【第二回スクールアイドルフェスティバル 前夜祭 ステージ裏】
歩夢「せつ菜ちゃん、緊張してる?」
せつ菜「……!い、いえ、大丈夫です!」
歩夢「もう、そんなすぐわかる嘘つかないで」
せつ菜「……やっぱり、受け入れてもらえるか不安で」
歩夢「せつ菜ちゃんが立つステージ、それとこれからのフェスティバルと文化祭を今日まで準備をしたのは菜々ちゃんだよ。準備をしてた時、本当に楽しそうだったみんなの顔を信じよう?」
せつ菜「そう、ですが……」
歩夢「……じゃあ、まずは私を信じてこっちを見て」
せつ菜「歩夢さん……」
せつ菜「……!そうです、いつまでも、こうしていてはいけませんね!」
コツン
歩夢「もうすぐひとつ、せつ菜ちゃんの秘密は無くなっちゃうけど……これはその代わり」
せつ菜「はい、でもこの秘密は」
演劇部部長「二人とも、そろそろ所定の位置にお願い!しずくはもうスタンバってるよ!」
歩夢「ごめんなさい!今向かいます!……行こう、せつ菜ちゃん!」
せつ菜「……ええ、歩夢さん!」
せつ菜(……この秘密は自分を縛るものではなく、これから先も私の心を支えてくれるものです、きっと!)
おわり
2期6話はいいぞ
ありがとう
良質な補完SSを読ませて貰いました
ぽむせついいね
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