愛「『攻略してほしい女がいる』……?」璃奈『無理なら絶対に返信しないように』#3 エマ編
璃奈「ねえ愛さん」
愛「どしたのりなりー?」
璃奈「スクールアイドル同好会に入ろう」
愛「ん!?」
璃奈「心の隙間センサーに反応が出た子たちが、続々とスクールアイドル同好会に集まってるみたいなの」
愛「そ、そーなんだ。やっぱり惹かれ合っちゃうのかな?」
璃奈「そうかも。だから、近くにいた方が攻略しやすいかなって」
愛「うーん、まあそれはそーなんだけど、不味くない?」
愛「同好会には、かすみんやせっつーだっている訳だし、これから攻略する子たちとも接触し続けることになるんじゃ……」
璃奈「うん。でも、かすみちゃんやせつ菜さんを見る限り、私の記憶操作は有効。それに」
璃奈「私も入部するから」
愛「ええ!?」
これまでと違ってまだ最後まで書けていない状態での投下なので、今日完結するかは微妙です。
エマ「ようやく復活だね~」
かすみ「それじゃあ、スクールアイドル同好会、始めま~」
愛「やっほー!」
「「「???」」」
愛「もしかして、スクールアイドル同好会の人たち?」
せつ菜「そうですが……。お二人は確か」
愛「情報処理学科2年、宮下愛だよ!」
璃奈「1年、天王寺璃奈……です」
愛「私たち、この間のせっつーのライブ見てドキドキしちゃってさ! 同好会に入りたいなって!」
侑「わかるよ! ときめいたんだね!」ガシッ
愛「うん! そうそう!」
せつ菜「あ、ありがとうございます!」
かすみ「ほんとですよぉ、前に見た時より更にレベルアップしてましたよね。実はせつ菜先輩、活動休止中もこっそり練習してたんですかー?」
せつ菜「ええっと……。もちろん練習はしていたのですが、ある方に励まされたのがきっかけと言いますか……」
かすみ「?」
愛「ねえ、りなりー」ボソッ
璃奈「大丈夫。愛さんとのイベントは、他の記憶と齟齬がないように、別の誰かとの思い出として、分割して置換されてる。せつ菜さんの『ある方』は愛さんじゃない」ボソボソッ
愛「……そう、なんだ……」ボソッ
愛「というわけで、二人とも入部希望です!」
かすみ「おーっ!」
エマ「大歓迎だよお!」
愛「やるからにはバッチリ頑張るし、皆のことも手伝うよ!」
侑「てな感じで、一応うちの同好会では、それぞれソロアイドルとして活動していく方針なんだ!」ホワイトボードトントン
愛「なるほどねー!」
侑「でも、もしユニットとか組みたかったら、是非やってみてほしいな!」
愛「おっけー!」
愛(良かった。全員ソロなら、せっつーも上手くいってるみたいじゃん。かすみんも元気そうだし、アタシも多少は役に立ったのかな?)
璃奈(恐らく、同好会がソロ活動主体になっているのは、せつ菜さん攻略時の愛さんの発言が影響を与えてる……。こういう風に残るんだ)
※※※
エマ「璃奈ちゃん、同好会はどう?」
璃奈「楽しい」
エマ「ん?」
愛「こんなにウキウキなりなりー始めてみたよ! 愛さんも楽しい!」ダキッ
璃奈「ごめんなさい。私、上手く気持ち出せなくて」
璃奈(愛さん、こういう時だけ表情読めてる。というか、私が不機嫌な時だけ読めない)ムスッ
エマ「ううん。楽しんでくれてるなら良かった」ニコッ
~♪📳
愛「ん?」
かすかす『明日のランニング、朝9時にレインボー公園に集合ですよー!』
りなりー『ラジャーv(・・)』
りなりー『😺😸😼YEAAAA!!』
りなりー『😸OK』
カナちゃん『おっけー』
※※※
愛「……。早く起きちゃったな……」ガサゴソ
📱
愛「1時間前かぁ……。ちょっと先に走っとこ」タッタッタッ
~
愛「……。あれは」
エマ「ふぅ~」
愛「エマっち!」
エマ「あ! 愛ちゃん!」
愛「どうしたの?」
エマ「ちょっと早起きしちゃって……。愛ちゃんは?」
愛「一緒」ニコッ
愛「う、うん。ずっと団体競技の助っ人ばかりやってきたし……」
愛(かすみんやせっつーにソロ活動を促したのは私なんだけど……。いざ自分がやってみるとなると、案外ハードル高いかも……)
エマ「私だって不安だよ。でも、同じくらい楽しみなんだ!」
エマ「今はまだ一歩を踏み出す勇気がないだけ……。でもね、愛ちゃんが来てから、同好会に笑顔が増えたんだよ!」
愛「エマっち……!」
愛「よーし、学校まで競走しよ!」
エマ「え!? ま、待ってよ愛ちゃ~ん!」
愛(エマっち、良い子だなあ)
愛「りっなりー!」
璃奈「どうしたの」
愛「同好会には慣れた?」
璃奈「うん。皆優しい。同好会、すき」
愛「そっかそっかー! 愛さんも入って良かった!」
璃奈「……ところで」
愛「?」
璃奈「目的を忘れてない?」
愛「……!」
愛「わ、忘れてないよ?」
璃奈「嘘」
愛「忘れてました……」
愛「エマっち?」
璃奈「ん?」
愛「エマっちってとっても強くて、まるで同好会のママって感じだよねー」
璃奈「うん」
愛「心の隙間が見えないというか……。ちょっと意外」
愛(かすみちゃんは自分を信じきれないこと、せっつーは自ら課した大好きへの抑圧……。だけどエマっちは、特別何か悩みがあるようには見えない……)
璃奈「でも、センサーにはしっかり反応が出てる。何か悩みはあるはず」
愛「そっか、そうだよね……」
璃奈「しばらく接触を続けてみて」
愛「わかった!」
昼休み
果林「それで? 私に何の用かしら?」
愛「エマっちと仲良いって聞いてさ! 愛さんエマっちともっと仲良くなりたくて、色々教えてほしーんだ!」
果林「そんなの、エマ本人に聞けばいいじゃない」
愛「それはそーなんだけど、客観的に見たエマっちのことも知っときたくて!」
果林「なるほどね?」
愛「カリンって、エマっちと一番仲良いんだもんね! 親友なんでしょ?」
果林「……分かってるじゃない。いいわよ? エマのことなら何でも聞いて」
愛「ありがと!」
愛「本当に、隙がないなー……」
果林「そうね、エマは優しくて包容力があって……」
果林「何より、何事も一生懸命頑張れる良い子だわ」
愛「うんうん! よく分かったよ! ありがとう、カリン!」
果林「良いのよ。エマの良さが分かる子が増えて嬉しいわ」フフフッ
果林「……最後に一つ、私からも質問して良いかしら?」
愛「? いーよ!」
果林「……ここから三年生の教室には、どうやって戻れば良いのかしら?」
愛「え」
朝
愛(昔からお姉さんで、今は同好会のママ……。確かにエマっちの母性はすごいもんね……)タッタッタッ
愛「うーん」
エマ「愛ちゃ~ん!」
愛「……エマっち!」
エマ「えへへ、昨日と同じ時間に会えたね~!」
愛「うん! エマっちも毎日この時間走ってるの?」
エマ「ううん、私も早くライブがしたくて」
エマ「せつ菜ちゃんやかすみちゃんに追いつけるよう、昨日から早く起きて自主練することにしたの!」
愛「へー! そーなんだ! 私も準備はしてるんだけどね、まだイマイチ勇気が出なくて」
愛「え、えへへ///」
愛(アタシのは、ほとんどかすみんと練習してた二人曲の流用なんだけどね……)
愛「ね、ねえエマっち! お互いに早くライブが出来るよう、今度からこの時間に二人で特訓しない?」
エマ「わあ! それはとっても素敵な提案だね~! やろうやろう!」
愛「やった! じゃあ早速……」
愛(それからアタシたちは、お互いの曲を見せ合い、振り付けや表情、ライブのテーマなどについて意見を交換した)
愛(エマっちのテーマは『皆の心をぽかぽかにしたい』。とってもエマっちらしい、優しいテーマだと思う)
※※※
部活
せつ菜「侑さん、次からの練習なんですが……」
侑「ああうん、それならこの本が参考になると……」
ペラペラ
かすみ「どーしてしず子は、かすみんのこと可愛いって言ってくれないのぉ~?」
しずく「え? かすみさんは可愛いよ?」
かすみ「何か心がこもってなーいー!」
ワイワイ
愛(皆頑張ってるなあ。早く皆のライブが見たい!)
ありがとう
いつもありがとう
こちらこそ毎日更新ありがとう😊
アニメにしろ、スクスタにしろ、そこまでメンタル崩すキャラじゃなかったからなぁ
一応、初めからソロ活動が決定していたこと、愛さんがレインボー公園に1人で行かず、エマと一緒に向かったことで発生した分岐と考えてます。
朝
愛「エマっちおっはよー」
エマ「おはよう愛ちゃん!」
愛「よぉし、今日も張り切っていきますかね」
エマ「うん!」
愛(エマっちとの自主練習を始めてから一週間。未だエマっち攻略の光は見えない……。というか、本当に攻略する必要があるのかな……?)
エマ「……愛ちゃん、何か悩み事でもあるの?」
愛「え!? な、ないよ!」
エマ「嘘。愛ちゃん、日に日に元気なくなっていってる……」
エマ「私は愛ちゃんの力になりたい。お願い、何かあるなら話して?」
愛「ホントに何も無いってー!」アハハ
愛(『エマっちをどうやって落としたら良いか悩んでるんだ』なんて言えないでしょ!)
エマ「そっか……。愛ちゃんも、私を頼ってくれないんだね……。ごめん、今日はもう学校行くね」スタスタ
愛「エ、エマっち!」
璃奈「なるほどね」
愛「ママであるが故に、頼られないと納得いかないのがエマっちの悩み?」
璃奈「ううん。多分、エマさんは人一倍責任感が強いんだと思う」
璃奈「自分の身近で何か悪いことが起きた時、例え自分に落ち度が無くても、責任を感じてしまう……」
璃奈「そんな感じじゃないかな」
愛「てことは、何かの責任、罪悪感を今も引きずっているのかな……」
璃奈「うん」
愛「……わかった。それ、探ってみる」
璃奈「愛さん」
愛「ん?」
璃奈「今は大丈夫なんだろうけど、本当に何かあったら、私には相談してね」
璃奈「エマさんと同じで、愛さんも強いから……」
璃奈「きっと、自分で何でも解決しようとしちゃうんだろうけど」
愛「……ありがと!」ニコッ
朝
愛(りなりーの言ってる通りなら、アタシ、ちょっとエマっちの気持ち分かるかも……)タッタッタッ
愛(面倒なことはあんまり好きじゃないけど、もし友達が困ってたら、愛さんだって何でも相談してほしいし)
――――
――
せつ菜「私の大好きも、ぶつけておきますね///」
――
――――
愛(役に立てたら、絶対嬉しいもん!)
愛「おーい! エマっちー!」
エマ「……愛ちゃん」
愛「愛さん、ちゃんと悩み事話すよ!」
エマ「……! ほんと?」
エマ「私には相談しにくい内容?」キョトン
愛「うん、実は――」
愛「エマっちに、私のこと好きになってもらいたいなって」
エマ「? ええっと、私はもう愛ちゃんのこと好きだよ?」
愛「そ、そういう好きじゃなくてさ……。その、恋愛的な意味で?」
エマ「……!?」
エマ「どどど、どういうことかな!?」
愛「そして、私の方からキスがしたい!!」
エマ「~~~~っ///」
愛「それが私の悩みなんだ!!!」
エマ「えーーーー!?」
アタシか愛さんで脳内補完しといてください……。
エマ「そ、それは、愛ちゃんは、私のことが好きってこと……だよね?」
愛「……うん」
エマ「う、うわぁ///こんな情熱的な告白、初めてだよ~」
愛(あれ? これもういける感じ? りなりーのシミュレーションでは、大半はチョロいらしいけど……。流石にこれは肩透かしというか……)
愛「うんうん! だから、ちゅーしてもいい?」ズイッ
エマ「ええ!? だ、駄目だよ~! まだ私たち、そんなに深い関係でもないし」
愛「これから深い関係にしていこうよ」キリッ
エマ「愛ちゃん、よくそんなに恥ずかしいことどんどん言えるよね……」
愛「何でも話せって言ったのはエマっちだもーん」
エマ「それは、そうなんだけど~」
愛「じゃ、どうしたらエマっちともっと仲良くなれるの?」
エマ「えっと、その……。甘えさせてほしい……かな?」
愛「?」
エマ「私にだってパパやママはいるんだし、たまには甘えたい時だってある……よ?///」
愛(か、可愛い!)
愛「そーなんだ! ちょっと意外だけど、愛さんは大歓迎! どんどん甘えてほしーな!」
エマ「ほんと? じゃ、じゃあ……」
エマ「まずは、なでなでしてほしいな///」
愛「任せて! エマっち、よーしよーし」ナデナデ
エマ「えへへ///」
エマ「次! 次はね! ぎゅーってしてほしい!」
愛「う、うん!」ダキッ
エマ「愛ちゃんあったか~い!」スリスリ
エマ「……このままナデナデもして?」
愛「……おっけー!」ナデナデ
愛(何これ! エマっちが甘える側になると、こんなに攻撃力高いの!?)
愛(少しは前に進んだ……のかな?)
夜
~♪📳
愛「お、エマっちからだ」
エマっち『今日はとっても恥ずかしかったよ~😳』
エマっち『でも、日本にもママみたいな存在が出来て嬉しかった!』
エマっち『明日も沢山甘えさせてね!』
エマっち『😴オヤスミ』
愛「……」
愛「ああんもうっ、可愛いなあ!」
愛「『うんうん、いっぱい甘えてね!』っと……」タプタプ
~♪📳
愛「わ!?」ビクッ
りなりー『タ ー ゲ ッ ト と 必 要 以 上 に 仲 良 く な ら な い よ う に』
愛「……!?」
愛「ま、まさか、LINEの内容まで見えてるわけじゃないよね……?」
3日後
エマ「えへへ~、愛ちゃ~ん」スリスリ
愛「よしよーし」ナデナデ
愛(一回スイッチが入ってしまったエマっちの甘えっぷりは、凄まじかった)
エマ「愛ちゃんの指って、とっても細くて長くて、綺麗だよね~」ニギニギ
愛「そ、そうかな?///」
エマ「うん! この手でもっと私のこと触ってほしいな~」ニギニギ
エマ「……愛ちゃん?」
愛「……! な、何かな?」
エマ「なでなでが止まってるよ?」
愛「あ、ごめんごめん!」ナデナデ
エマ「えへへ~!」
愛(エマっち可愛いすぎるよ~! ……ちょっと早いかもしれないけど、今なら!)
愛「ね、ねえエマっち」
エマ「どうしたの~?」ウワメヅカイ
愛「そろそろさ、ちゅーしても良いかな?」
エマ「うん! いいよ~!」
愛「え! いいの!?」
エマ「もちろんだよ~! 愛ちゃん、ちゅー!」
チュッ
璃奈「お疲れ様」ムスッ
愛「何か、不思議な攻略だったね……」
璃奈「出来てないよ」
愛「……?」
璃奈「攻略、出来てない」
愛「え!?」
璃奈「エマさんの心の隙間は、まだ埋まってない」
璃奈「もちろん、多少隙間は小さくなってるんだけど、この状況は非常に不味い」
愛「というと?」
璃奈「甘えたい欲求も隙間だったのは確か。愛さんは確かにエマさんにとって大切な存在にはなれてる」
璃奈「でも、それはお母さんに近い存在」
璃奈「……恋愛対象としては見られてないってこと」
愛「そうか……!」
璃奈「キスをする時は、やっぱり恋愛的にドキドキさせている必要がある」
愛「うわー、愛さんやらかしちゃったなあ……」
愛「……やっぱり、りなりーが前に言ってた通り、責任感の方が鍵なのかな?」
璃奈「かもしれない。ただ、さっきも言ったように、甘えたい欲求も両立させる必要がある」
愛「難しいなあ……」
エマ「愛ちゃん、ちゅーしよ!」
愛「……だめ!」
エマ「……え?」
愛「愛さん言ったよね? 恋愛的な意味で好きになってほしいって」
エマ「……うん」
愛「エマっちは、アタシとちゅーする時、ドキドキしてる?」
エマ「う~ん、どちらかと言えば、安心してるかも。心がぽかぽかする感じ?」
愛「愛さんは、ドキドキしてるよ? エマっちとっても可愛くて美人だから。今だって、ほら!」グイッ
エマ「!」
愛「わかる? 愛さんの心臓、すっごくドキドキしてるんだ!」
愛(さっきちょっと踊ったからだけど)
エマ「そう……なんだ……」
エマ「ごめんね愛ちゃん。私、簡単にキスなんかしちゃって……。もうしないね」
愛「え、ええっと……」
愛「愛さんこそごめん。今度はちゃんと、エマっちをドキドキさせてみせるから……」
エマ「うん……楽しみにしてる、ね?」
エマ「愛ちゃんはさ、もし私が愛ちゃんを好きになった後、キス出来れば良いんだよね?」
愛「う、うん?」
エマ「それって、もちろんお付き合いするってこと……だよね?」
愛「……」
愛「そう……だね」
エマ「キスだけじゃなくって、ちょっとえっちなこともしたいの?」
愛(流石にそこまでは……。でも……)
愛「したい、よ?」
エマ「そうなんだ。話してくれて、ありがとう」
エマ「私もあの時、愛ちゃんみたいにちゃんと自分の気持ちを出せてたら、皆を傷つけずに済んだのかな?」
愛「?」
エマ「同好会が一度解散した時、私はせつ菜ちゃんにも、かすみちゃんにも何も言えなかった」
エマ「そしたらね、誰も私なんて頼ってくれなかった。彼方ちゃんも、1年生のかすみちゃんも、しずくちゃんも!」
愛「……」
エマ「仲間が苦しんでいるのを無視して、何も行動せず、侑ちゃんが同好会を立ち直らせてくれたら、何食わぬ顔で戻ってきた卑怯者……!」
エマ「だから、次は絶対に取りこぼさないんだ。仲間が悩んでるのは見逃さない。頼られないなら、こっちから聞き出すまでだよ!」
愛「エマっち……」
愛ちゃん(そうか、エマっちは同好会最初の5人のうちの一人……。一見平気そうだったけど、せっつーとかすみんの件に責任を感じてたんだ……!)
愛「そういう風に思ってたんだね……」
愛「でも、せっつーたちは気にしてないと思うよ?」
エマ「せつ菜ちゃんたちが気にしてなくても、私は今でも後悔してるよ……」
エマ「『皆の心をぽかぽかにしたい』なんて言いながら、私は身近な人たちの心も温めてあげられてなかった……!」
愛「で、出来てるよ! 少なくとも、アタシは……」
愛「エマっちといるとドキドキする。顔が熱くなる。でもね、すっごく安心もするんだ」
エマ「じゃあ、どうしてせつ菜ちゃんたちは……」
愛「せっつーたちは、優しいんだよ。三年生のこの時期、進路だって考えなきゃいけないエマっちやカナちゃんに、心配かけたくなかったんだ」
愛「それにね、エマっち――」
エマ「……!」
愛「同好会解散後、エマっちは誰かに頼った?」
エマ「果林ちゃんに……ちょっと相談した」
愛「そしたら?」
エマ「生徒会長がせつ菜ちゃんだって調べてくれた」
愛(あ、やっぱり皆そこは気付いてなかったんだ……)
愛「カリンは、エマっちのこと頼ってくれるの?」
エマ「あ……」
エマ「頼って、くれるよ」
愛「でしょでしょ? エマっちは頼られるために強くあろうとしてるけど、頼られたかったら、自分も弱みを見せるのが大事なんだよ! 多少はワガママ言うのも良いかも!」
エマ「そっか……!」
愛「うんうん! それに、多少弱みがあった方が、女の子は可愛いしね!」ニコッ
愛「? いいよ」
エマ「私ね、本当は」
エマ「……ライブするの、怖いんだ」
エマ「上手く出来るのかな、ガッカリされないかなって」
エマ「弱みを見せるのは大切だってわかったけど、流石にライブは失敗したくないよ……」
愛「そうなんだ……」
愛(あんなに早くライブしたいって言ってたのに……。あれもまた、強くあるための虚勢だったんだね)
愛(でも……!)
愛「大丈夫だよエマっち。愛さんと二人で特訓してきたじゃん! 一番近くで見てた愛さんが断言する! エマっちは、既に最高のライブが出来るよ!」
エマ「愛ちゃん……」
愛「そんなに不安なら、ついてきて!」ギュッ ダッ
エマ「え!?」
レインボー公園
エマ「ど、どうしたの愛ちゃん!」
愛「エマっち! そこでしっかり見ててね!」
愛「……アタシ、今からライブやる!」
エマ「えー!?」
エマ(告知もなし、もちろん他の部員への連絡もしてない……)
エマ(公園だから多少は人いるけど……)
エマ(こんな状況でライブなんて……!)
~♪(サイコーハート)
ザワザワ
エマ(……! 人が、集まってきてる!)
エマ(毎朝何度も見た振り付け、何度も聞いた歌……。でも――)
エマ(見たことないほど、自信に満ち溢れた表情!)
エマ「かっこいいよ、愛ちゃん……!」
~
愛「はぁ……、はぁ……!」
観客「おおおおお!!」パチパチ
愛「……最っ高ー!!」
エマ「お疲れ様! すごかったよ~!」
愛「ありがと!」
エマ「でも、どうして急にライブなんて……?」
愛「エマっちのライブが早く見たいから……かな?」
エマ「?」
愛「ずっと一緒に特訓してきたアタシが、どれくらいのライブを出来るか見せたら、エマっちも自信持てるかなって!」
愛「本当は不安だったけど、歌い出したら吹き飛んじゃった!」
愛「それに、愛さん歌い終わるまで、お客さんがいることにも気が付かなかったよ……エマっちしか見てなかったから」
エマ「愛、ちゃん……」
愛「どう? ライブ出来そう?」
エマ「……無理だよ。あんな大勢の前でなんて……」
愛「アタシ、大勢の前でライブしたつもりないよ?」
エマ「?」
愛「そしたら、自然と良いライブが出来たんだよ!」
愛「まだ不安なら、そうだなー……」
愛「エマっちも、最初は大好きな人一人の前でライブしてみたらどうかな?」
エマ「……!」
エマ「じゃ、じゃあさ――」
エマ「愛ちゃんの前、予約しても良いかな?」
愛「……もちろん!」
エマ「私さっきから、愛ちゃんを見てると心がぽかぽかするんだ。でも、いつもよりちょっと熱すぎるかも……って」
エマ「それに、とっても不安な気持ちになるの。心臓が、まるで私のものじゃないくらい忙しなく動いて」
エマ「……ねえ愛ちゃん、これの抑え方知ってる?」
愛「――知ってるよ」
チュッ
璃奈「お疲れ様」ムスッ
愛「おつかれー」
璃奈「思わぬ大苦戦だったね」
愛「ホントだよー、愛さんしばらく動けなーい!」ゴロンッ
璃奈「……そう」
~♪(サイコーハート)
愛「……!」
愛「りなりー、いつの間に!」
璃奈「ドローン飛ばしてた」
愛「ええ……」
璃奈「次はちゃんと私の前でもライブすること。じゃないと、私のライブも愛さんには見せない」
愛「わかった! わかったよー!」
『今、一番興味があることは?』
『スクールアイドル』
エマ「これ……!」
侑・歩夢「?」
エマ「あの……ごめんね! 私、行ってくる!」ダッ
~
「アンケート用紙……」
「どこいったのかしら?」
コンコン
「ん?」ガチャ
「エ、エマ?」
エマ「……来て」ガシッ
「え?」
エマ(頼ってほしかったら、まずは自分から! 多少ワガママを言ってみる!)
~
エマ(それにしても……。あの子はどうして突然公園でライブなんかしたんだろう?)
エマ(……ま、いっか! 今はそれより、約束を守らなきゃ!)
エマ(私の最初のライブは、大好きな人一人の前でするって約束!)
エマ「ね?」
エマ「……果林ちゃん!」
エマ編 完
サクッと終わらせるつもりが、かすみ編5000字・せつ菜編7500字を上回る約9000字と長丁場になりました。
話全体としてはここで折り返しだと思います。平日は仕事もあるのでしばらくペース落ちますが、これからもお付き合いいただけると嬉しいです。
やっぱり最近よく見るよねイケ愛さん。結構それに救われてるわ
>>1乙です。続き楽しみにしてます
ありがとうございます
一応ここからあと5人攻略予定ですね。シナリオ的にはここが折り返しだと思います。
まだまだ続くの楽しみ
ありがとう
大オチだけで次の彼方編何も考えてないけど……
ゆっくりでいいと思う
考えてついたら更新してくれたら嬉しい
無理して毎日更新しなくても大丈夫だから
保守して待ってます
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