花帆「じゃじゃーん！梢センパイに選んでもらった水着！どうですかっ？」【SS】

梢「確かに言っていたわね」

花帆「お陰様で海にも水着にも縁のない人生を歩んできました……」

花帆「だからあたし、余計に嬉しかったんです！！」ﾌﾞﾙﾙﾝｯ

梢「花帆さん……」ｼﾞｰ

梢(ごめんなさい花帆さん……あなたがとても良いお話をしている最中に、私は目の前で揺れる其れから目が離せないでいるの)

梢「……か、花帆さん！？」

梢(そんな格好で部室から出たら、道行く生徒に襲われても文句なんて言えないと思うのだけれど……)

花帆「夏休み中なので先生たちもあんまり居ないし、大丈夫ですって！」

梢「そういう問題では……」ｱｾｱｾ

梢(だからといって、『あなたの水着姿はあまりにも扇情的だから、とても人前にお出しできるものではないわ』だなんて口が裂けても言えない……)

花帆「それじゃ！ちょっと行ってきますね！」ﾌﾞﾙﾝｯ

梢「……駄目よ」ｶﾞｼｯ

梢「花帆さんの水着姿を、その……今だけは独り占めさせてほしいの」ｷﾘｯ

花帆「こ、梢センパイ……///」ﾎﾟｯ

梢(なにやら本音を隠す為にもう一つ本音が飛び出た気がするけれど、花帆さんを守る為だもの、形振り構っていられないわ)

花帆「あたし、梢センパイに独り占めされちゃうんだ……///うわぁ～ん！///」ｷｬｯｷｬ

梢「人をまるで不埒者みたいに言わないで頂戴……///」

花帆「それじゃあ……えなちゃんたちに感想を聞けない分、梢センパイにい～っぱい褒めて欲しいです♡」

梢「ええ、とっても可愛いわ」ｼﾞｰ

梢(そうよ、私は水着を見ているだけ……何も恥じることなど無いのよ)

花帆「それって水着がですか？それとも……」ﾜｸﾜｸ

梢「はいはい、水着も花帆さんも両方可愛いわね」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

花帆「あーっ！なんだか投げやりになってきてませんか？」ﾌﾟﾝｽｶ

花帆「でもあたし、嬉しかったんです……梢センパイに独り占めしたいって言われて」

花帆「あとは可愛いって言ってもらえるのも嬉しいんです」

花帆「梢センパイがあたしのことを、普段から良く思ってくれてるのは伝わってます」

花帆「でもストレートに言葉にしてくれることって珍しかったので……えへへっ///」

梢「それは……そうかもしれないわね」

梢(花帆さんが真面目な話をする度に、胸元から目が離せないでいる私の愚かしさが際立つのだけれど……)

梢(恥じることなど無いと開き直ったのは、いったい何処の誰なのかしら……)

花帆「言葉にして、相手に伝えると、自分の中の気持ちも大きくなっていくような気がして……」

花帆「梢センパイへの“大好き”は日々大きくなっていってるんですよ！えへへっ」

梢「花帆さん……」ｳﾙｯ

梢(感動と自責の念で涙が……)

花帆「梢センパイは――」

梢「好きよ」

梢「……私も花帆さんのこと、大好きよ」ﾆｺｯ

梢「訊かれる前に私も言葉にしないと、って思って急いだの」ﾌﾌｯ

梢「思い返せば花帆さんは、何でも思ったことを言葉にしてくれていたわね」

梢「大好き、とか……綺麗、とか……“鬼”とか……」ｵﾆﾉﾎﾟｰｽﾞ

花帆「いやぁ、あのぉ、それは……」ｵﾛｵﾛ

梢「ふふっ、冗談よ」

梢「花帆さんが普段から言葉にしてくれていたから、私はそれに甘えていたのかも知れない」

花帆「梢センパイ……？」ﾄﾃﾄﾃ

梢「いつもありがとう、花帆さん」ｷﾞｭｩｯ

花帆「わわっ！？///どうしたんですか！？///」

梢「可愛い花帆さんも、元気な花帆さんも、一生懸命な花帆さんも、どんな花帆さんも大好きよ」ｷﾞｭｯ

花帆「言葉にしてもらえるのは嬉しいんですけど、こんな耳元でいっぺんに言われると……///」ｶｧｧ

梢「あなたの言う通りね、言葉にすることで想いがより大きく、強くなっていくのを感じるわ」

梢「私はどうにも言葉が足りないきらいがあるみたいだから、良い機会になったわ」ﾆｺｯ

花帆「そうしてお互いに“大好き”を言い合ったら、いつか……」

梢「花帆さん……？」

花帆「やっぱりなんでもないですっ！///梢センパイが急にカッコよくなるから、変なこと言いそうになったじゃないですか！///」ﾌﾟﾝﾌﾟﾝ

花帆「何でもかんでも言葉にすると思ったら、大間違いなんですからねっ！///」

梢「あら、反抗期かしら……ふふっ」

花帆「さっきから梢センパイが、あたしのおっ○いガン見してたの気づいてるんですからねっ！」

梢「かっ、花帆さんっ！？///違っ、私は……っ！///」ｱｾｱｾ

花帆「もう着替えて来ますっ！///」ﾄﾞﾀﾊﾞﾀ

梢「ちょっと、お待ちなさい！せめて何か羽織るものを……っ！花帆さんっ！」ﾄﾞﾀﾊﾞﾀ

おわり