【SS】侑「魔法学校ニジガサキ?」【ラブライブ!虹ヶ咲】
「……あ…た… あなた………!」
あ…れ……?あゆ……む……?
「………ちゃん……!……侑ちゃ……」
やっ…ぱり…… あゆむ……!
起き…なきゃ…… はや…く……
「……あ…た… あなた………!」
歩夢「……なた!…あなた!!大丈夫!?」ユサユサ
侑「んぅ……あ…ゆむ…?」
歩夢「ど、どうして私の名前… ううん、そんなことより… どうしてこんなところで倒れてたの?痛いところはない?」
侑「う、うん……すこし頭がぼや〜って…」
歩夢「大丈夫…?立てる?」
侑「大丈夫……だけど、ここは…」キョロキョロ
侑「どこかの森の中?私たち、ピクニックしてたっけ…?」
歩夢「……!」
歩夢「あなたは、私を知ってるの…?」
侑「あ、歩夢?知ってるも何もさっきまで一緒に…」
侑「……あれ?思い出せない……」
歩夢「もしかして… あなた、人間?」
侑「あはは、なにその質問?人間に決まってるでしょ?」
歩夢「もしかして… 地球から、来たの?」
侑「来た…っていうか、私たちは地球に住んでるでしょ?」
歩夢「よく聞いて。ここは… 地球ではない場所なの」
侑「ち、地球ではないってそんなの」
歩夢「……」キリッ
侑「(真剣な顔… 本当なの…?)」
歩夢「そして、私はおそらくあなたとは別の世界の歩夢… だと思う」
歩夢「信じられないとは思うけど、ゆっくり説明するから私のおうちまで来てくれる?」
侑「何が何だかわからないけど… もしかしてこれ、異世界転生ってやつ…?」
歩夢「そう…なのかも」
歩夢「…ところで、あなたのお名前、なんていうの?」
侑「私は… 高咲侑。歩夢には『侑ちゃん』って呼ばれてるよ」
歩夢「じゃあ私も『侑ちゃん』って呼んでいいかな?」
侑「もちろん!よろしくね!歩夢」
侑「あはは、なんか変な感じ」
──歩夢の家
侑「わあ!ここが歩夢のおうち?素敵なログハウスだね!!」
歩夢「ありがとう。私もとっても気に入ってるの」
侑「歩夢はここで1人で暮らしてるの?」
歩夢「うん。正確にはもう1人家族が…
サスケーっ!」
サスケ「ギャオオオス!」
侑「ひゃいあああ!!どどどドラゴン!?」
歩夢「ああっそっか、地球にはいないんだよね」
歩夢「大丈夫だよ。サスケはまだ子供だし、とっても優しい子だから。ねっ、サスケ?」
サスケ「ギャオン!」
侑「め、めまいがしてきた…… ここは一体どこなの…?」
歩夢「そ、そうだよね… えっと、何から話そうかな…」
侑「そもそも、ここは地球じゃない、んだよね…?」
歩夢「うん。ここは…魔法世界、なの」
歩夢「私はこの魔法世界の魔法学校ニジガサキの3年生で… あ、えっと魔法学校っていうのは…」
侑「 ま…ほう……!キラキラ
歩夢「?」
侑「魔法!!すごい!!すごいよ!マンガとかアニメの世界じゃん!」
侑「ねね、歩夢も使えるの?魔法!」
歩夢「い、一応…」
侑「えーーーっ!見たい見たい!どんな魔法使えるの?やっぱり回復系!?それとも意外と攻撃魔法?」
歩夢「ちょっと侑ちゃん落ち着いて?魔法は…」
侑「いや〜〜トキメくなぁ!歩夢の魔法!早く早くぅ〜!」
歩夢「落ち着いてってばっ」
歩夢「…ごめんなさい、私、魔法は使いたくないの…」
侑「ええっ、どうして?」
歩夢「理由は… ちょっと、色々ね」
侑「そんなぁ……」
侑「あれ?でも歩夢は…魔法学校?っていうのに行ってるんじゃないの?」
侑「詳しくはわからないけど、魔法を学ぶところ…なんじゃないの?」
歩夢「………」
歩夢「それも… 実は今は行ってないんだ。お休みしてるの」
侑「そう、なんだ」
侑「い、色々あるんだねっ!なんか、ごめん…」
歩夢「ううん、大丈夫!気にしないで──」
コンコンッ
「歩夢さん… いらっしゃいますか?せつ菜です。今日の分のプリントを──」
歩夢「!」
歩夢「…侑ちゃん、隠れて」ヒソヒソ
侑「え?なんで──むぐっ」
歩夢「いいから!お願い」ヒソヒソ
侑「…」コクリ
──────
────
──
歩夢「お、お待たせっ」
せつ菜「お忙しかったですか?すみません」
歩夢「ううん、大丈夫!ごめんね」
せつ菜「なら良かったです!えっと、こちらが今日のプリントとノートです」
歩夢「いつもありがとうね、せつ菜ちゃん」
せつ菜「いえ、これくらい全然大したことでは…」
せつ菜「…それで、歩夢さん。その…学校には…」
歩夢「う、うん…」
歩夢「ごめんね、ちょっとまだ…行く気にはなれない、かな」
せつ菜「そう、ですか…」
せつ菜「やっぱり、『大魔導師』の件、ですか?」
せつ菜「あれは歩夢さん1人で抱えこむべきではありません!なんなら、誰かにお願いしても…」
歩夢「やめて!」
せつ菜「!」
せつ菜「す、すみません…」
歩夢「今はその話、考えたくないの…」
せつ菜「で、でも…」
歩夢「せつ菜ちゃん、お願い… 今は…」
せつ菜「はい…」
せつ菜「私は、歩夢さんの味方ですから」
せつ菜「力になれることがあったら、なんでも言ってくださいね」
歩夢「ありがとう。せつ菜ちゃん」
侑(私はベッドの中でその会話の一部始終を聴いていた──)
侑(なんの話かはよくわからなかったけど… 歩夢が学校に行ってないこと、魔法を使いたくないこと、どうしてせつ菜ちゃんに会ってはいけなかったのか…… それ以上聞く気にはなれなかった──)
──魔法学校ニジガサキ・魔道管理室
ランジュ「璃奈、お疲れ様ね」
璃奈「ランジュさん。お疲れ様」
ランジュ「それで、結果はどうかしら?」
璃奈「…転送は成功。ただ、相変わらず座標は特定できてない。これからエネルギーを観測しないと」
ランジュ「そこは相変わらずなのね… 全く、手間がかかるわ」
璃奈「こればっかりは仕方ない… とりあえず、『奇跡の子』の生体データを送っておくね」
璃奈「30%……………むんっ!」キュピーン
ランジュ「……受け取ったわ。ありがとう」
ランジュ「しかし、便利な魔法ね。ランジュも習得したいわ!」
璃奈「テレパシーは簡単。ランジュさんならすぐにできるよ」
ランジュ「今度教えてもらおうかしら」
璃奈「いつでも教える。璃奈ちゃんボード、『٩( ‘ω’ )و』」
ランジュ「ありがとう。それと、璃奈。次から生体データの『名前』はいらないわ」
璃奈「…どうして?あると便利だと思うけど」
ランジュ「………情が湧いちゃうもの。彼方もきっと… それで潰れちゃったんでしょう?」
璃奈「……」コクリ
璃奈「わかった。次からは無しにするね」
ランジュ「次が……あるといいけど」
チュンチュン
侑「んぅ…… 朝………?」
歩夢「あ、侑ちゃん起きた?おはよう」
侑「おはよう、歩夢」
侑「あはは、異世界でも朝最初におはようって言うのは歩夢なんだね」
歩夢「地球でもそうなの?ふふっ、仲良しなんだね」
侑「うん!地球では幼馴染で、ずーっと一緒だったよ」
侑「今もこうしてずっと手を握って…………」
侑「……え?」
歩夢「侑ちゃん?」
侑「あれ、何を言ってるんだろ、私…」
歩夢「?」
侑「……私、帰らなきゃ。地球に」
侑「歩夢、どうやったら地球に帰れるか… わかったりする?」
歩夢「…ごめんね、私にはわからないの」
歩夢「でも知ってそうな人なら…いる、かな」
侑「ほんと!?」
歩夢「うん。魔法学校の後輩の子なんだけど」
歩夢「でもね、多分教えてくれない…と思うの」
侑「そんなぁ………」
歩夢「詳しくは…言えないんだけど」
歩夢「この世界では地球から来た人が元の世界に帰るのは… 良しとされてない、っていうか」
侑「そうなの?」
歩夢「…うん」
侑(やっぱり、歩夢は何か隠してる……)
侑(この世界には、歩夢が言えない『何か』がある────!)
歩夢「と、とりあえずお昼ご飯の支度をしなきゃ」
歩夢「私、ここで自給自足で暮らしてて」
歩夢「普段は森に果物を取りに行ってるんだけど…」
侑「なんかすごく異世界っぽい…!」
侑「私も着いていっていい?異世界探検だー!!」
歩夢「ふふっ、じゃあお手伝いお願いするね」
侑「任せて!」
──森の中
侑「りんごにみかん…」
侑「なんか普通の果物、だね…」
歩夢「そうなの?」
侑「異世界っていうくらいだから、光る木の実とか、喋るやつとか!そういうのがあるのかと思ったのに」
歩夢「そんなおとぎ話みたいなのはないかな…あはは」
侑「魔法もおとぎ話じゃん!」
歩夢「そ、それは確かにそうだけど」
歩夢「あとは、飲み水かな。侑ちゃん川まで歩ける?」
侑「大丈夫!私3個しか持ってないし!」
歩夢「あはは… ありがとう」
ザッ
侑「?」
歩夢「どうしたの?」
侑「今あそこの木の裏が動いたような… 気のせいかな」
しずく(見つけた────!)
しずく(『奇跡の子』高咲侑────!)
書き溜めてきます
歩夢「よいしょ…っと」
歩夢「これくらいあれば足りるかな」
侑「お、重たい…」
歩夢「侑ちゃん大丈夫?持てる?」
侑「もう無理… みかん3個にお水1リットルなんて…」
侑「オモタスギテモテナイヨー!!」
歩夢「侑ちゃんってこんなに貧弱だったんだ…」
侑「これでもいつもより頑張ってる方なんだから!」
侑「それよりもう帰ろう?私限界だ…よ?ってあれ」
サーッ
歩夢「霧……?」
侑「急に出てきたね…前が全然見えないや」
歩夢「侑ちゃん、私について来てね」
侑「わかった…ぐぬぬ…重い…」
侑「でも、こんなにたくさんいっつも運んでるの?」
歩夢「今日は侑ちゃんの分も運んでるし…」
歩夢「それにサスケが成長期だから…たくさん運ばなきゃいけないの」
侑「へぇ〜、ドラゴンにも成長期とかあるんだね」
歩夢「ドラゴンは大人になったらすごいんだよ。火も吹けるようになるし」
侑「すごい… まさにファンタジーって感じ」
侑「でも、なんでドラゴンを飼ってるの?」
歩夢「サスケはね… この森の中で傷ついてるところを保護したの」
歩夢「それからすっかりなついちゃって… 今では一緒に暮らしてるんだ」
侑「……優しいんだね。歩夢ちゃんは」
侑「かわいそうな子を、放っておけない…」
歩夢「?」
歩夢「それって、どういう…」ハッ
歩夢(歩夢『ちゃん』──?)
歩夢「侑ちゃん、ひとつ、聞いてもいいかな?」
侑「ん?どうしたの」
歩夢「侑ちゃんの地球での幼馴染… なんていう名前だっけ?」
侑「…………」
侑「え、えーっと何だったかな?ほら私記憶があいま」
ザシュッ
侑「」スウ…
歩夢「やっぱり…幻惑魔法…っ!」
歩夢「しずくちゃん… こんなに早く来るなんて………!」
歩夢(侑ちゃんが危ない………っ!!)
──────
────
──
侑「あゆむ〜〜〜!もう歩けないよぉーーー!」
歩夢「もう少し頑張って?ほら、もう少し奥に行ったら光る果実見せてあげられるから」
侑「そう言ってもう結構歩いてるし… どんどん奥まで来てるし…」
侑「あーもう限界!ちょっと休憩っ!」ドサッ
キィィィィン
歩夢「……っ!」
歩夢(幻惑が…消された…!思ったより早いですね…)
侑「あゆむ〜〜。お水ちょっと飲んでもいいー?」
歩夢「追ってくるのも時間の問題…ですね」
侑「へ?どうしたの?」
歩夢「ううん、なんでもない。こっちの話」
歩夢(まだ未完成ですが… ここは果林さん直伝の魅了«チャーム»で……!)
歩夢「侑ちゃん、ちょっとこっちに来てくれる?」
侑「?」
侑「どうしたの?歩夢も疲れた?」
歩夢「そのまま私の目を見て、じっとしてて?」
侑「う、うん。わかった」
歩夢「…30%───」
歩夢「『魅了«チャーム»』…ッ!!」
侑「……………?」
侑「な、なに?急に…」
歩夢「あ、あれ?効いてない… 魔力が足りなかったかな」
歩夢「ご、ごめんね。失敗しちゃった。疲れをとる魔法をかけようと思ったんだけど…」
歩夢「もう一回、試してみるね」
歩夢「よし、今度こそ… 次は少し増やして…」
歩夢「…20%───」
歩夢「チャーーーーーム…ッ!!」
シーーーーーン……
侑「あの… 何にも変わらないんだけど…」
侑「それに、昨日魔法は使いたくないって…」
歩夢「くっ…… 作戦は失敗です……」
侑「えぇ…」
歩夢「こ、こうなったら実力行使です!高咲侑さん!貴女にはニジガサキまで来てもらいます!」ガシッ
侑「どどどどうしたの急に!?なんか口調も変だし!」ジタバタ
歩夢「来てっ…もらわないと…困るんです…っ!!暴れないでください!」
「40%── 『薔薇の棘』……ッ!!」
歩夢「!? くっ……私の幻惑が…っ」シュン
侑(薔薇の棘が歩夢に……刺さった……!?)
歩夢「侑ちゃん!怪我はない!?」
侑「う、うん… 今のは歩夢の…魔法…?って歩夢がもう1人!?」
歩夢「あっちは偽物。しずくちゃんの幻惑魔法だよ」
しずく「ぐっ……!見つかってしまいましたか……」
しずく「歩夢さん、その子をこちらに渡してください…ッ!」
歩夢「それは……できない」
歩夢「侑ちゃんは渡さない……っ!」
しずく「『奇跡の子』をかばうなんて…… 歩夢さん、それは裏切りですよ…ッ!!」
侑(『奇跡の子』…?裏切り……?)
侑「ふ、二人とも!一体なんの話なの!?」
侑「一旦戦うのはやめて、話し合おう?ね?」
しずく「それはできません……!歩夢さん、あなたがどうしても渡さないというのなら、私も使いますよ…」
しずく「最終魔法«スカイラブハリケーン»を……!」
歩夢「………………」
しずく「ど、どうしました?使いますよ?」
歩夢「別に…… 使ってもいいけど……?」
しずく「いいんですね!?ほんとに使いますよ?本当ですよ?」
しずく「降参しなくていいんですね!?」
歩夢「………50%、『カズラの蔓』」シュルシュルシュル!
しずく「きゃうん!」
侑(一瞬でしずくちゃんが縛り上げられた!!)
しずく「な…っ!解いてください!」
歩夢「それはできない…かな… しずくちゃん、本気で侑ちゃんのこと捕まえようとしてるみたいだし」
しずく「くっ… ここまでですか…」
しずく「………ぐすん」
しずく「ぐすっ…うっ…ぁ……」ポロポロ
侑「な、泣いちゃった!?」オロオロ
しずく「元から… 勝てるわけなかったんですう…ぐすっ…… 私が…あゆむさんにっ…」
しずく「だから… かすみさんと二人で行こうって… なのに…ぐすっ」
しずく「でも、かすみさん寝坊しちゃって……私がこんな目に…うわああああああん!!」
侑「これは… なんというか…気の毒…」
歩夢「もう、侑ちゃん。危なかったんだよ?縛るくらい当然だよ」
「しず子を……いじめるなあーーーーーっ!!」
「10%!!キャンディ、ハンマーぁぁぁ!!!」
ドゴォ!!!
侑「な……っ!!」
かすみ「はぁ…はぁ… な、なんとか間に合いました!」
かすみ「後輩をいじめるなんて、それが先輩のやることですか!!歩夢先輩!」
歩夢「い、いじめてはないと思うけど……」
かすみ「いじめてます!」
かすみ「しず子、立てる?」
しずく「…うん、ありがとう。かすみさん」
しずく「はーっはっは!見事に引っ掛かりましたね!さっきまでのは全て演技です!これで2対1ですね?歩夢さん」
侑(え、演技だったんだ… 危うく許しそうに… さすがしずくちゃん)
歩夢「確かに…これは少し厳しいかも…っ」
かすみ「攻撃魔法を使えるかすみんがいれば百人力です!歩夢先輩、覚悟!」
歩夢(仕方ない… こんなに魔力は使いたくないけど…っ)
歩夢「…30%── 花粉爆弾«フラワーボム»ッ!!」
ボンッ!!!
かすみ「…けほっ…なんですかこれ…?煙幕?」
しずく「!」
しずく「かすみさん!歩夢さんと高咲侑さんがいないよ!」
>>50
コピペミス
かすみ「攻撃魔法を使えるかすみんがいれば百人力です!歩夢先輩、覚悟!」
歩夢(仕方ない… こんなに魔力は使いたくないけど…っ)
歩夢「…30%── 花粉爆弾«フラワーボム»ッ!!」
ボンッ!!!
かすみ「…けほっ…なんですかこれ…?煙幕?」
しずく「!」
しずく「かすみさん!歩夢さんと高咲侑さんがいないよ!」
かすみ「なっ… 逃げた!?追うよ!しず子!
──────
────
──
侑「あ、歩夢、重くない?」
歩夢「はぁ…はぁっ…うん…」
侑「わ、私走れるよ!?なにもお姫様抱っこしなくても…」
歩夢「大丈夫… それに多分侑ちゃん遅… ごめん、なんでもない」
侑「歩夢が大丈夫ならいいんだけど…」
侑「それよりどうしよう… 家に帰るわけにもいかないし…」
歩夢「とりあえずあの二人が追ってこなくなるまで…走る!」
かすみ「いた!あそこっ!」
しずく「まってよかすみさん… くしゅんっ…さっきの花粉の煙幕で鼻が… くしゅんっ!」
歩夢「くっ…!もうここまで追いついてきてる…っ」
しずく「歩夢さん、残念ながらそこから先は行き止まりです!くしゅんっ!」
歩夢「!」
歩夢(が、崖…)
歩夢(こうなったら… もっと強い魔法を使うしか……)
かすみ「くっくっく… 観念したようですね…」
歩夢「侑ちゃん、下がってて」
侑「あ、歩夢… やっぱり戦うの…?」
「………ォォン…!」
歩夢「この声…!」
歩夢「侑ちゃん!私に捕まって!早く」
侑「え?下がっててって…」
歩夢「いいから!!」
歩夢「……」スゥゥゥゥ
歩夢「サスケェェえええええーーーーーー!!!!!!」
サスケ「ギャオオオオオオ!!!!!」
かすみ「ななななんですかあれ!?ドラゴン!?」
歩夢「やっぱり!来てくれたんだね、サスケ!」
サスケ「ギャオン!」
歩夢「侑ちゃん!!乗って!!」
侑「わ、わかった!」
しずく「なっ… かすみさん!また逃げられちゃう!ぶえっくしょいっ!」
かすみ「逃がしませんっっ!!10%──!『飴の雨«キャンディ・シャワー»』!!」
サスケ「ギャオオオオオオオオア!!」ボウッ
かすみ「な!?かすみんのキャンディが全部燃やされた!?」
歩夢「すごい!火、吹けるようになったんだね!」
サスケ「ギャオオオン!」
歩夢「それじゃあ逃げるよ!侑ちゃん、しっかり捕まっててね!」
侑「あわわわわわ」
侑(私……ドラゴンの背中に乗って………)
侑(空、飛んでるううううう!?)
また書き溜めて投下します
まだまだ続く予定です
歩夢「…ふう。ここまで来たらひとまず大丈夫かな」
歩夢「サスケ、ありがとう」
サスケ「ギャオン!」
侑「こ、怖かった… 下見れなかったよ…」
歩夢「ごめんね… 侑ちゃん」
侑「なんで歩夢が謝るの?」
歩夢「いきなりしずくちゃんとかすみちゃんが来て… サスケに乗って逃げて…」
歩夢「何が何だかわからないよね」
歩夢「本当に… ごめんなさい」
侑「気にしないでよ。それに、歩夢は私のこと、守ってくれたでしょ?」
歩夢「侑ちゃん……!」
侑「うん。だから気にしないで」
侑「そっかぁ… なんとなく気づいてたけど、私、この世界では追われる身なんだね」
歩夢「…………」
侑「もし捕まったら、その後はどうなるの…?」
歩夢「それは……」
侑「もしかして… 〇される?はは」
歩夢「…………」
歩夢「…」コクリ
侑「え」
侑「じょ、冗談半分で言ったんだけど!?本当に〇されるの?」
歩夢「…〇される、とはちょっと違うんだけど…」
歩夢「でも、ほぼ正解だよ。捕まったら、魔法をかけられて… エネルギーにされてしまうの」
歩夢「──この世界を存続させるための、ね」
侑「…嘘…でしょ…?」
歩夢「………」フリフリ
歩夢「…本当だよ。近いうちに開かれる『魔導祭』で… 地球から来た生贄を使ってこの世界の『充電』が行われるの」
歩夢「侑ちゃんは──そのためにこの世界に連れてこられたんだと思う」
侑「そんな…」
侑「でも、それならどうして歩夢は私のこと助けてくれたの…?」
侑「よくわからないけど… その『充電』が行われなきゃまずいんじゃ…」
歩夢「わかんないよっ!!」
侑「………」
侑「…ご、ごめん」
歩夢「私にも…わからないの…」
歩夢「でも、こんなのは間違ってるんじゃないか、って…そう思うだけなの…」
歩夢「私…決めた」
歩夢「侑ちゃんを守る… この世界から帰る方法を一緒に探すよ!」
侑「歩夢…」
歩夢「行こう、魔法学校ニジガサキへ…!」
歩夢「侑ちゃんをこの世界に連れてきたのも、おそらくニジガサキの転送魔法なの。だから、ニジガサキに必ず手掛かりがあるはず」
侑「で、でもっ、学校にはしずくちゃんやかすみちゃんみたいに私を捕まえようとしてくる子がいっぱいいるんじゃ…」
歩夢「確かに… 果林さんや愛ちゃんと戦うことになったら…私でも勝てるかどうか…」
歩夢「!」
歩夢「せつ菜ちゃんなら…!」
歩夢「せつ菜ちゃんなら、協力してくれるかもしれない…!」
侑(確かに… あの時せつ菜ちゃんは『私は歩夢さんの味方』って…)
侑「うん。二人で行こう。せつ菜ちゃんに会いに!」
侑「でも歩夢、何か作戦はあるの?さすがに玄関からこんにちはーってわけには…」
歩夢「作戦なんて…そんなのないよ」
歩夢「──サスケに乗って正面突破!だね」
侑「」
─魔法学校ニジガサキ
ピンポン♪
栞子「『全校生徒の皆さんに連絡です。本日は魔導祭準備のため、午前授業になります。放課後は残らず、速やかに帰宅してください』」
栞子「…ふう。本日は私も帰りましょうか。魔導祭準備はランジュとミアさんに任せましょう」
ワーワー ギャーギャー
栞子「…?何やら下が騒がしいですね」
「か、会長!大変です!」
栞子「どうしたんですか?この騒ぎは?」
「そ、それが… 1階で3年生の上原さんがドラゴンに乗って暴れていまして…!!」
栞子「な…!?すぐに行きます!」
歩夢「おらおらぁ!せつ菜ちゃんを出せぇ!」ドカ
サスケ「ギャオオオオオア!」
侑「あ、歩夢?なんか性格変わってない?」
歩夢「こういうのは勢いが大事なの!ほら侑ちゃんも!」
侑「う…」
侑「ぉ…おらあー!せつ菜ちゃんに会わせろーー!」
歩夢「ついでに璃奈ちゃんも出せぇー!さもなくばドラゴンが火を噴くぞぉ!!」
「20%──『文字魔法≪水流≫』ッ!」
侑「み、水?うわあああああ!!」
ザバアアン‼︎
歩夢「侑ちゃん…っ!」
侑(踏ん張りがきかない…!流される…っ!)
侑「ごめん…あゆむ………!」
歩夢「ゆ、侑ちゃん!!今助けに」
栞子「行かせませんよ」バッ
歩夢「栞子…ちゃん!」
──────
────
──
侑「ううっ…全身びしょびしょ…はっ!」
侑「水流に流されて…変な教室に来ちゃったけど…」
侑「歩夢のところに戻らなきゃ…!」
ミア「hey」
侑「うわわわわ!?」
ミア「そんなにびっくりしなくてもいいだろ」
ミア「キミが高咲侑か。へぇ」
侑(ヤバイヤバイヤバイ、〇される…!)
侑「………」スッ
ミア「?なんだいその構えは」
侑「ジャ、ジャパニーズ・カラテだよ!!やったことないけど!」
侑「こ、こんなところで死んでたまるかぁー!!」
ミア「………ぷっ」
ミア「あははははっ!とっても面白いねキミ…!」
ミア「安心してよ、僕は非戦闘員だから」
侑「非…戦闘員…?」
ミア「そ。ボクは攻撃魔法は使えない」
ミア「だからこの場でキミを捕まえてどうこうしたりしないよ」
ミア「ま、キミの場合は魔法無しでも勝てそうだけど…」
侑「な、なんだぁ〜…よかったぁ…」ヘナヘナ
ミア「…それで?キミはどうしてこんなところに来たの?追われてるんだろ?」
侑「……そ、それは」
侑(ど、どうしよう… 信用していいのかな…?)
ミア「?」
侑(ええい!もう一か八かでいくしかない!)
侑「わ、私地球に帰りたくて!そのために璃奈ちゃんに会いたくて!で、えーっとそのためにせつ菜ちゃんにも会いたくてっ」
侑「だからお願い!力を貸して!」
ミア「…………」
侑「み、ミアちゃん……」ウルウル
ミア「……驚いたよ。キミは本当に『奇跡の子』なんだね」
侑「ど、どういう意味…?」
ミア「本当に運がいいってことだよ、ふふっ」
侑「それはつまり…どういう…?」
ミア「つまり、地球に帰るための1番の近道を引いたってことさ」
ミア「何を隠そうボクは去年の魔導祭で──」
ミア「被験体『近江遥』を地球に転送した、張本人だから────」
.
栞子「歩夢さん…お久しぶりですね」
歩夢「久しぶりだね、栞子ちゃん」
栞子「『大魔導師』の心労で長らく休んでいたかと思えば… これはどういうつもりですか?」
歩夢「見た通りだよ… この学校に乗り込みにきたの」
栞子「答えになっていません!」
歩夢「ごめんね。おしゃべりしている暇はないの」
歩夢「──30% 、『種爆弾≪シード・ボム≫』!!」
ボムッ!ボムッ!
栞子「──10%、『花の壁≪フラワー・ウォール≫」
栞子「…………」
歩夢(防がれた!?)
歩夢「わざわざ花魔法を使うなんて…」
栞子「…貴女に教えてもらった魔法です」
栞子「私は!憧れていたんです!強くて優しい貴女に!」
栞子「それなのに…」
栞子「今となっては奇跡の子と共にドラゴンに乗って校内で暴れるなんて…!」
栞子「目を覚ましてください…ッ!」
栞子「──20%、『文字魔法≪灼熱≫』っ!」
歩夢(まずい…火は……っ)
歩夢「サスケっ!」
ドゴォ!
歩夢(な、なんとか避けた…)
歩夢「花魔法の弱点を狙うなんて…栞子ちゃん、本気で…」
栞子「私はいつでも本気です!」
栞子「歩夢さんが『大魔導師』として魔導祭での職務を全うすると言うまで… 攻撃をやめるつもりはありません」
歩夢「くっ……」
歩夢(強力な魔法を使えば…栞子ちゃんにはおそらく勝てる…!)
歩夢(でも…っ!)
歩夢(お願い… 届いて!せつ菜ちゃん…!)
せつ菜「…………っ!」キィン
せつ菜「歩夢さんからの…テレパシー……!」
──────
────
──
ミア「そもそも、キミはこの世界のこと、どれくらい知っているんだい?」
侑「えっと…ここは地球ではない場所で…私は捕まったら〇される…くらい?」
ミア「なるほどね」
侑「あ、あと魔導祭と充電?みたいなことを言ってたような…」
ミア「なんだ、知ってるじゃないか」
侑「どんなものなのかは全くわからないけど…」
ミア「じゃ、わかりやすく説明しよう」
ミア「ニジガサキでは年に一度、魔導祭という儀式が行われる──」
ミア「その年の3年生で1番の魔力を持つものが、『大魔導師』として選ばれ──」
ミア「地球から転送した『奇跡の子』に充電の魔法をかけるんだ」
侑「…………」ゴクリ
ミア「充電の魔法をかけられた『奇跡の子』はエネルギーの結晶となり、この世界の存続のために使われる──それだけさ」
侑「そ、それだけって…」
侑「その…エネルギーの結晶になったら、私はどうなっちゃうの?」
ミア「さあ?なったことがないからわからないよ」
侑「そんな……」
ミア「…………」
ミア「……彼方も、こんな気持ちだったんだろうな」ボソッ
侑「彼方さん?」
ミア「……ああ」
ミア「…彼方は、去年の大魔導師だったんだ」
ミア「だけど… 彼女は『奇跡の子』と接触してしまった…」
ミア「そして、不運なことに…」
ミア「去年の『奇跡の子』は、地球の彼方の妹、近江遥だったんだよ」
侑「………」
ミア「それを知った彼方は大魔導師を降り、ボクが転送魔法を使って近江遥を地球に転送した…」
侑「そ、それなら」
侑「ミアちゃんが私を転送してくれれば…」
ミア「sorry… それはできないんだ」
侑「どうして!」
ミア「この世界が滅びかかっているからだよ」
ミア「この世界はもう2年近く充電されていない… もう限界なんだ」
ミア「ボクは去年の責任を感じているんだ。うまくやれなかった、ってね」
ミア「だからこうして卒業した後もニジガサキに関わり続けてる… 璃奈のサポートとしてね」
ミア「だから、今年の魔導祭はなんとしてでも実行しなければならない…」
ミア「わかってくれ…」
侑「……………」
ミア「ただ、方法がないわけじゃない」
侑「……!」
ミア「そうだね… 考えられるのは3つかな」
侑「3つ!?結構あるじゃん!」
ミア「全て現実的じゃないけどね…」
ミア「1つ目は、この世界の全ての人を説得すること。みなさん滅びますけどいいですか?ってね」
侑「うわ…確かに現実的じゃない…」
ミア「2つ目は『ホノカ』を説得すること」
侑「ホノカ?」
ミア「この世界を作った神のことだよ… 本当にいるのかもわからないけど」
侑「?よくわからないんだけど…」
ミア「申し訳ないがボクもわからないんだ。だからこれも現実的じゃない」
ミア「3つ目は──」
ミア「キミ自身が魔法をつかうこと、だ」
一旦休憩
──────
────
──
栞子「──20%、『文字魔法≪灼熱≫』…っ!」
ドゴォ!
歩夢(もうそろそろ避けるのも限界…っ!)
栞子「はぁ…はぁ…」
栞子「そろそろ、本気の魔法を使ったらどうですか…っ!」
歩夢「栞子ちゃん… 私は教えたよね?魔法は犠牲を伴うって」
栞子「それは…」
栞子「それでも、私たちは魔法を使うしかないんです…!!」
栞子「5%────!!!!」
栞子「『文字魔法«豪炎»』ッッッ!!」
歩夢(まずい…っ!!)
「──炎魔法«スカーレットストーム»!!!」
バゴォーン!
栞子「な…『豪炎』が燃やされた…?」
「やはり… 炎タイプに炎タイプは今ひとつですね…」
せつ菜「──呼ばれて参上!優木せつ菜です!!」
栞子「せつ菜さんまで… どうして…」
歩夢「せつ菜ちゃん…ありがとう」
せつ菜「いえいえ…それより、どうします?まだ戦いますか?」
せつ菜「ちなみに私、スカーレットストーム以外の魔法は使えませんので、手加減はできませんよ?」
栞子「……くっ…」
栞子「わかりました… 降参です…」
歩夢「私、侑ちゃんを追いかけるね!」タッタッタッ
せつ菜「あっ… 行ってしまいましたか」
せつ菜「栞子さん… 悪く思わないでくださいね」
──────
────
──
侑「私が… 魔法を…?」
ミア「そうだよ。不可能じゃない」
侑「ど、どうやるの?今からでも間に合うかな?」
ミア「どうやる…って言われても」
ミア「感覚としか言えないかな…」
ミア「だいたい、キミは奇跡の子だろ?そういうのを奇跡でなんとかするんだよ」
侑「そ、そんなぁ…」
歩夢「侑ちゃんっ!!」
侑「歩夢…!」
歩夢「……」キッ!
ミア「おいおい…そんなに睨むなよ。ボクは彼女に何もしてない」
歩夢「侑ちゃん、一旦ここを離れよう?結構派手にやっちゃったし… せつ菜ちゃんにも会えたし」
侑「う、うん」
侑「ミアちゃん、止めないの?」
ミア「……うん。ボクは本来もう部外者だからね。歩夢が連れて行くと言うなら、止めはしない」
ミア「……一つアドバイスだ」
ミア「エマに会いに行くといい。彼女ならホノカのこと、魔法のこと、何か知っているはずだ」
侑「!」
侑「ありがとう!ミアちゃん」
ミア「幸運を祈っているよ、ベイビーちゃん」
侑「歩夢、行こう」
歩夢「ちょっと待って、最後に…」
──────
────
──
せつ菜「……ごめんなさい。一緒に行くことは…できません」
侑「やっぱり…?」
せつ菜「私も、この世界が滅ぶような選択はできないんです」
せつ菜「でも、歩夢さんの意志も尊重したい…」
せつ菜「だから… 見守らせてください」
せつ菜「ずるい、ですよね…」
歩夢「ううん、そんなことない」
歩夢「私たち、エマさんに会いに行きたいんだけど…せつ菜ちゃん、何か知ってる?」
せつ菜「エマさんなら… 近くの町で町医者をやっていると聞いたことがあります」
歩夢「ありがとう。そこで…侑ちゃんが帰る方法がないか、聞いてみるつもり」
せつ菜「そう…ですか」
せつ菜「もしかしたら、これが最後の会話になるかもしれませんね」
侑「!」
せつ菜「歩夢さん…」
せつ菜「始まったのなら、貫くのみ!です」
せつ菜「私は、歩夢さんの決めたこと… 応援します」
侑(せつ菜ちゃん…)
歩夢「うん!」
歩夢「じゃあ侑ちゃん、行こっか」
侑「うん…」
侑(歩夢は… 私が生贄になるなんで間違ってる、って… そう言ってくれたけど)
侑(じゃあこれが… この世界のみんなを見捨てるのが、正解なの…?)
>>100
一応修正
せつ菜「歩夢さん…」
せつ菜「始まったのなら、貫くのみ!です」
せつ菜「私は、歩夢さんの決めたこと… 応援します」
侑(せつ菜ちゃん…)
歩夢「うん!」
歩夢「じゃあ侑ちゃん、行こっか」
侑「うん…」
侑(歩夢は… 私が生贄になるなんて間違ってる、って… そう言ってくれたけど)
侑(じゃあこれが… この世界のみんなを見捨てるのが、正解なの…?)
また明日更新します!
─ニジガサキの近く、とある町
歩夢「教えてもらった場所だと…ここ、なんだけど…」
侑「これは…どう見ても…廃墟…?」
歩夢「い、一応、呼んでみよっか」
歩夢「エマさーん!いますかーー!」
シーーン…
侑「やっぱり、こんなところに住んでるわけないよね…」
「………ぅうん…!ちーずぅぅ…」
歩夢「!」
歩夢「中からエマさんの声がする…!!」
歩夢「……よし」
歩夢「エマさん!開けますねー!」ドゴォ!
侑「あ、歩夢!?さすがにドアを破壊するのは…」
エマ「…むにゃ……すぅ………」
侑「って玄関で寝てる!?」
歩夢「…もう!やっぱりエマさんの寝言だ」
歩夢「エマさーん!起きてくださーい!」
エマ「……んぅ…?歩夢…ちゃん?」
歩夢「エマさん!話があるんです!真剣なんですから」
エマ「どうしたの…?急に…」
エマ「あれれれれ…?」
エマ「歩夢ちゃん、無理したね〜?」
歩夢「?」
エマ「無理する子にはお仕置きっ。スリープ〜〜〜!」
歩夢「な……に…………」トロン
歩夢「…………すやぁ………」パタリ
侑「あ、歩夢っ!」
エマ「私もまだ寝足りないなぁ…」
エマ「すやぁ…………」
侑「えっ」
歩夢・エマ「zzZ…………」
侑(な、何この状況────!?)
侑「歩夢っ!あゆむ〜〜っ!」ユサユサ
歩夢「すやぴ………………」zzz
侑「だめだ……全然起きそうにない…」
侑「多分、魔法で眠らされてたもんね…」
侑「エマさぁぁぁん… 起きてぇ…」
エマ「むにゃむにゃ…はぁーぃ……」
侑「エマさーーーーん!」
エマ「聞こえてるよぉ……はっ!!」パチリ
侑「急に起きた…っ!?」
エマ「そうだった…さっきの夢の中で…!!」
エマ「30%!『チーズ魔法≪モッツァレラ≫』ぁぁあ!!!』
バゴォォォン!!!
侑「ひいいいいい!!!爆発した!?!?」
パラ… パラ…
侑「て、天井が… なくなっちゃった…」
エマ「うーん… 失敗かぁ…」
エマ「魔法で食べ物を出しちゃえばいいじゃん!って。我ながらいいひらめきだったんだけど…」
侑「あの… お邪魔してます…」
エマ「ふんふん…」
エマ「そのエネルギー…もしかして今年の『奇跡の子』?」
侑「!」
侑「そ、そうなの!私、帰る方法を探してて…」
侑「ミアちゃんがエマさんを紹介してくれて… それで」
エマ「なるほどね〜」
エマ「それで、歩夢ちゃんも頑張りすぎちゃってたんだね…」
エマ「わかった!話を聞くねっ」
エマ「その前に〜」
エマ「ふとん魔法〜っ♪」
ファサッ…
歩夢「……ぅぅん……すぅ……」
侑「す、すごい!一瞬でふとんが…!」
侑「エマさん、いろんな魔法が使えるんだね!」
エマ「うふふっ、何を隠そう私は──」
エマ「医者!兼っ!」
エマ「──魔導研究者、だからね!」
──────
────
──
エマ「それで、私に何を聞きに来たの?」
エマ「あ、はいお茶っ。特製の魔法茶だよ〜!」
侑「あ、ありがとう…」
侑「…………」ズズッ
侑(普通のお茶だ……)
侑「何を聞きたいのかも… 正直、わからなくて」
侑「ミアちゃんに、『ホノカ』っていう人のことと、私が魔法を使う方法について」
侑「エマさんなら何か知ってるかもしれない、って。そう言われたんだ」
エマ「ふむふむ…… なるほど…」
エマ「ミアちゃんも余計なこと教えたねぇ〜。ふふっ」
侑「……!」
エマ「だって、もし私がここで正解を教えちゃったら、世界が滅んじゃうかもなんだよ?」
エマ「責任重大っ!だよ」
侑「そう、だよね…」
エマ「侑ちゃんが知りたいこと、部分的には知ってるけど…」
侑「!」
侑「そ、それを教えてもらうっていうのは…」
Safariから書き込んでる情弱だから大丈夫なはず…!
エマ「うーん…」
エマ「約束… してくれるなら、教えてあげてもいいかな」
侑「約束?」
エマ「うん」
エマ「なんだか侑ちゃんなら…. 守ってくれそうな気がするの」
エマ「この先どんな結末を迎えても──」
エマ「誰も悲しませない、って」
エマ「私との、約束」
侑「……!」ゴクリ
侑「わ、私に… 出来るかな……?」
エマ「できるよ!きっと!」
エマ「だって、侑ちゃんは『奇跡の子』だもん!」
侑「奇跡の子…」
侑「しずくちゃんもミアちゃんも言ってたけど、それって一体どういうことなの?」
エマ「うん、ゆっくり説明するね」
この世界と、侑ちゃんのこと────
.
侑ちゃんは『奇跡』を体験したことはあるかな?
そう。この『奇跡』っていうのは、侑ちゃんが思いつくようなもので間違ってないよ。
例えば、「宝くじに当たった」とか、「二度と目を覚まさないと言われていた難病患者が奇跡の回復を遂げた」とか… そういうの。
あはは、すぐには思いつかないかあ。そうだよね。
でもね、この世界から見れば「地球という惑星で、そこに人間として生まれた」ということが、もうとんでもないような奇跡なんだよ。
侑ちゃんはこんな話を聞いたことがあるかな。
「惑星に生命が誕生する確率は、25mプールにバラバラの時計を入れて、水の流れで組み立てられる確率と同じ」って。
これはあくまで例え話でね。要するに、「ありえないくらい低い確率」ってことなんだよ。
でも、地球という惑星にはそれを意図的に引き起こす力がある──。
地球という惑星に生命が誕生し、今日まで繁栄してきたのは…
地球が持つ膨大な「奇跡を引き起こすエネルギー」のおかげなの。
──ここからは、私たちの世界の神話なんだけど。
私たちの世界はね、大昔に始祖ホノカによって作られたんだ。
言うなれば、超次元的存在、神様だよ。
ホノカは何もない宇宙に突然生まれて…
途方もない時間、宇宙を彷徨ったの。
そして、地球という惑星を見つけた────
ホノカは特別な力を使って、この世界を、この惑星を創造した。
「奇跡のエネルギーを具現化する力」だよ。
これがいわゆる「魔法」というものなの。
そのあと…ホノカは自らが地球とこの世界をつなぐ「橋」となった。そして、自分の意志を継ぐ者として私たちのような魔導師を生み出した…って言い伝えられてる。
侑ちゃん、この世界でたくさん魔法を見たでしょ?
あれはね。魔導師がホノカの「橋」を通じて地球の奇跡のエネルギーを具現化したものなんだよ。魔法を使う前に〜%、とかって唱えているのは、具現化させるエネルギーの大きさのこと。
簡単に言うと、確率が低ければ低いほど、それは大きなエネルギーとなる──
50%の事象を引き起こすエネルギーより、1%の事象を引き起こすエネルギーの方が強大なんだ。
ふふっ、難しいよね…
すっごく簡単に言うと、私たちが魔法を使うと、地球の誰かがちょっぴり不幸になるんだよ。
地球の誰かが引き起こすはずだった奇跡を、私たちがこの世界で具現化させちゃってるわけだからね。
地球で暮らす生命はみな、その身体に奇跡のエネルギーを宿している──
そして時折、現れるの。
膨大な奇跡のエネルギーを身体に秘めた、『奇跡の子』が、ね。
──────
────
──
─夜、寝室
侑(うう…眠れない… 頭がこんがらがりそう)
侑(私は膨大なエネルギーを持っていて… この世界は地球のエネルギーで出来てて…)
侑「…誰も悲しまない、結末かぁ…」
侑「あーーもうっ!」
侑(外の空気でも吸いにいこ…)
侑「天井もないし、ほとんど外なんだけどね…」スタスタ
歩夢「侑ちゃんっ!」
侑「歩夢!起きたの?」
歩夢「うん。エマさんの魔法が切れたみたい」
歩夢「起きたら天井は無くなってるし… エマさんはすやすや寝てるし…」
歩夢「な、何があったの?ケガはない?」
侑「あはは、大丈夫だって」
侑「歩夢、少し…話さない?」
─ベランダ
歩夢「そっか、エマさんから聞いたんだね… この世界のこと」
歩夢「本当は知ってたの。私も…」
歩夢「隠してて、ごめんなさい…」
侑「大丈夫。気にしてないよ」
侑「歩夢が魔法を使いたくなかった理由… やっとわかったよ」
侑「誰かを不幸にさせたくなかったんだね」
歩夢「……うん」
侑「歩夢は…優しいね」
侑「私だったら、魔法の力をぱーっと使っちゃうけどね!誰かの不幸なんて知るかー!って感じで!」
歩夢「よく……ないよ」
侑「………」
歩夢「人のものを奪って… 自分たちだけいい思いをしようなんて、間違ってるよ…っ」
歩夢「私たちが魔法を使わなければ、地球で命が生まれたり、助かったりするかもしれないのに…っ!」
歩夢「私たちは、寄生虫だよ… 侑ちゃんたちの星のエネルギーを吸い取って生きてる」
歩夢「だから私、たまに思うんだ」
歩夢「こんな世界、無くなっちゃえばいいのに…って」ポロポロ
侑「歩夢っ──!」
ダキッ
歩夢「ゅ…う…ちゃん…ぐすっ」ボロボロ
侑「歩夢は…… 私が魔導祭でエネルギーにされたら…悲しい?」
歩夢「かな……しいよっ!そんなの……嫌……!」
侑「……うん、そうだよね」
侑「でも私… それでもいいかなって、思ってた」
侑「歩夢たちが消えちゃうのは…… 私も悲しいから」
侑「それにね」
侑「歩夢が私を結晶にする魔法をかける、『大魔導師』なんでしょ?」
侑「歩夢に〇されるなら、いいかな?みたいな」
侑「ふふふっ」
侑「でも私…決めた」
侑「絶対に私は〇されたりしない…っ!そして、この世界も消えさせない!」
歩夢「ゆう…ちゃん…」
侑「約束…しちゃったからね」
侑「誰も悲しまなせない結末にする、って」
侑「歩夢…… 一緒に、来てくれる?」
歩夢「もち…ろんだよっ!ぐすっ…」
侑(ミアちゃん… エマさん…そしてニジガサキのみんな……!待ってて!)
侑(私が必ず、救ってみせる──っ!)
今日はここまでにします。
明日書けることを祈って寝ます…!
──────
────
──
彼方「ここも始まってる……世界の崩壊が…」
彼方「──1%、『修復』ッ!」
彼方「はぁ、はぁっ…」
彼方(やっぱり…これじゃ体が持たない…)
ザッ…
果林「彼方、久しぶりね…」
彼方「果林ちゃん…?」
彼方「どうして、ここに…」
果林「『奇跡の子』の居場所を特定するために、璃奈ちゃんがエネルギーを観測していてね」
果林「その中で、不自然なエネルギーの揺らぎがいくつかあったの」
果林「やっぱり貴女だったのね…」
彼方「ふふっ、バレちゃったかぁ…」
彼方「でも彼方ちゃんももう限界。こんなのいつまでできるか…」
果林「彼方……お願いがあるの」
彼方「…聞かなきゃ、ダメ?」
果林「…………」
果林「こんなことは本当は言いたくないけれど」
果林「あなたには、責任を取る必要があると思う」
果林「…ニジガサキに戻って来て」
果林「そして……」
果林「今年の『大魔導師』になって欲しいの」
──────
────
──
侑「ぐぬぬぬぬ…」
歩夢「頑張って!侑ちゃん!」
エマ「集中だよぉ〜〜!」
侑「ご、50%……!」
侑「ウィ、ウィンガーディアム…レヴィオーサ…?」
歩夢「…………」
歩夢「もう!真剣にやってよっ!」プンスカ
侑「でも、魔法のイメージなんて湧かないよぉ…」
エマ「うんうん… 私も最初はそうだったなぁ…」
エマ「とにかく、何回もやって想像力を鍛えるしかないね」
エマ「具現化の力は想像力そのものだから」
侑「うぅ……」
侑「歩夢は、どうやって自分の魔法を作ったの?」
歩夢「私?」
─ 6年前・とある森の中
サスケ「グルルル……」
歩夢「あなた!大丈夫!?」
サスケ「クゥン………」
歩夢「ひどいケガ………!」
歩夢「ど、どうしよう……血を止めなきゃ…!」
歩夢(何か包帯になりそうなもの…… 私の服をちぎれば…!)
歩夢「え、えいっ!」ブチッ
歩夢「これで……なんとかっ!」グルグル
サスケ「グォォン………」
歩夢「よしっ」
サスケ「……………」
歩夢「これでケガは大丈夫そうだけど…まだ元気がないみたい… お腹が空いてるのかな」
歩夢「ど、どうしよう…何か食べ物…今は冬だから果物は取れないし…」
歩夢「……!」ハッ
歩夢「そうだ……魔法!」
歩夢「魔法を使えば、冬でも木に果物をつけられるかも……!!」
歩夢「よ、よしっ……」
歩夢(………実がなるのをイメージして………)
歩夢「……………っ!!」
歩夢(お願い…………っ!!)
パァァァァァ……
歩夢「あ……れ…?」
歩夢(花が一面に……咲いた!?)
歩夢「く、果物は……ない…」
歩夢「失敗……かな」
サスケ「ギャオオオオ!!」
歩夢「!」
歩夢「ありがとう、って…言ってくれてるの…?」
サスケ「ギャオン!」
歩夢「ふふっ、それなら…よかった!あははっ」
──────
────
──
歩夢「とまあ、こんな感じで… 最初の魔法は失敗だったんだけどね」
エマ「素敵な話…!」
侑「うんうんっ!」
侑「私にも教えてよ!花の魔法!」
歩夢「お、教えるって言っても… 私も実際どうやってるのかはわからなくて…」
エマ「誰かのために……とか、そういう強い気持ちが大事なのかも」
エマ「侑ちゃん、歩夢ちゃんを喜ばせるために…魔法を使ってみて?」
侑「歩夢を…喜ばせる…」
侑「わかった!やってみる」
侑「ぐぬぬ……!!!!」
侑(イメージしろ……一面の花畑を……!)
侑「50%───!花魔法…っ!」
侑「うおおおお!!!」
ポンッ!
エマ「おおっ!」
侑「さ、咲いた……!」
侑「歩夢!咲いたよ!!」
歩夢「侑ちゃん!やったね!」
侑「歩夢の喜ぶ顔を想像したんだよ…!はい、どうぞっ」
歩夢「侑ちゃん… ありがとう…!」
エマ「……感動的なところ、悪いんだけどっ」
エマ「侑ちゃんっ!!」
侑「は、はいっ!」
エマ「侑ちゃんは、世界を救いたいんだよね?」グイッ
エマ「世界を救うような、すっごい魔法を使いたいって」
エマ「そう言ったよねっ!?」グイグイッ
侑「エマさん… ち、近…」
エマ「一輪、お花を咲かせたくらいで… 喜んでていいのかなぁ〜〜?」
侑「ぅ… そんなぁ…」
エマ「時間も限られてるし… これは最短で修行しなきゃだね」
侑「最短?」
エマ「そう!最短!」
侑「最短って… そんな方法があるなら早く教えてよ!」
エマ「私なんかより、もっといい先生がいるんだよ!すぐには呼べなさそうだから言ってなかったんだけど…」
侑「なるほど… その人はどんな人なの?」
エマ「ふっふっふ〜!と〜ってもすごい人だよ」
エマ「侑ちゃんが世界を救うには彼女に会いに行くしかない…」
エマ「────世界最強の魔導師、彼方ちゃんにね!」
──────
────
──
彼方「なんとなく…そんな気はしてたよ」
彼方「去年歩夢ちゃんを大魔導師に推薦したとき…悪い予感がしたんだよね」
果林「ええ… その予感は的中よ」
果林「今はランジュが『私が歩夢の代わりに大魔導師をやる』って、意気込んでいるけれど…」
果林「貴女や歩夢の魔力に比べると…」
彼方「…………」
果林「お願い……できるかしら?」
彼方「…いや、って言ったら?」
果林「────3%、『雷魔法≪スパーク≫』ッ!!」
ドゴォ!
果林「力ずくでも、来てもらうわ」
果林「次は当てるわよ」
彼方「………ふぅん」
彼方「…果林ちゃん、私に勝てると思ってるの?」
果林「私は本気よ」
果林「貴女が行方をくらませてからの一年… ニジガサキの教師として、鍛錬を重ねてきたわ」
彼方「………」
果林「私だけじゃない… ミアもエマも… それぞれ自分の役目を果たしてる」
果林「この世界を救えるのは… 貴女しかいないのよっ!!彼方!」
彼方「………わかったよ」
彼方「やるよ!やればいいんでしょ!」
彼方「みんな彼方ちゃんに辛いこと押し付けて…」
彼方「でもそれが役目だ、ってそう言うなら」
彼方「使うよ… 悪魔の魔法を──っ!」
──────
────
──
侑「それで、彼方さんにはどうやったら会えるの?」
エマ「それがねぇ… わかんないんだよね…」
侑「ええ!?」
エマ「彼方ちゃんは去年の魔導祭以降行方をくらませちゃって…」
歩夢「私たちも必死に探したんだけどね…」
歩夢「責任、感じてるんだと思う」
侑「そう、なんだ…」
コンコンッ
エマ「あれ?お客さんかな?」
エマ「緊急の患者さんかも!はーいっ」
璃奈「…あれ、開いてる」
璃奈「こんにちは」
果林「お邪魔するわね」
歩夢「!」
歩夢「璃奈ちゃんに…果林さん!!」
歩夢「侑ちゃん!私の後ろに!」
歩夢「どうして…ここが」
璃奈「侑さんのエネルギーは私が観測してるから… 大体の位置はわかる」
愛「ちなみに、愛さんもいるよ!」シュン
侑「な!?」
侑(一瞬で私の後ろに愛ちゃんが…!?)
愛「歩夢、さっそくだけどこの子渡してもらうね」
歩夢「くっ…」
歩夢「つ、連れて行ったところでどうするの!?」
歩夢「私は大魔導師として魔法を使う気はない…」
歩夢「侑ちゃんを連れて行ったって無駄だよ!」
歩夢「だから… 侑ちゃんを離して」
璃奈「それは大丈夫」
果林「彼方が来るわ」
果林「今年の大魔導師は… 彼方にやってもらうことにしたの」
侑(彼方さん…!?行方がわからなかったんじゃ…)
璃奈「そういうことだから」
璃奈「…こっちは愛さんと果林さんの2人」
璃奈「歩夢さん、抵抗は無駄」
歩夢「──5%、『薔薇の剣≪ローズ・ブレード≫』ッ!」
シュッ!
愛「おっと」ヒョイ
愛「不意打ちは卑怯だよ!」
果林「…3%、『雷魔法≪スパーク≫』」
ドゴォ!
侑「歩夢ッ!」
歩夢「ぐ…….っ…」ビリビリ
歩夢(だめだ……5%なんかじゃ……!)
歩夢(やらなきゃ…!)
歩夢「0.1%────っ!!」
果林「いいのかしら?」
歩夢「!」
果林「目の前のその子のために… 大きなエネルギーを使う」
果林「誰かのために、誰かを犠牲にする…」
果林「それって、私たちがしようとしていることと何も変わらないでしょう?」
果林「歩夢、これは自然なことよ。地球の生命だって、他の生命から奪うことで成り立っている」
歩夢「…………っ!」
果林「………愛っ!!」
愛「OKっ!」
愛「10%、『強化魔法≪アーム≫』っ!」
ドン…ッ!
歩夢「か………はっ……」
愛「歩夢…… ごめんね…」
──────
────
──
─魔法学校ニジガサキ・とある教室
侑「……はっ!ここは…」
ジャラ…
侑「て、手錠…!」
侑(そうだ、私愛ちゃんと果林さんに捕まって…!)
ミア「目が覚めたかい」
侑「ミアちゃん!」
侑「あ、歩夢は無事!?」
ミア「…無事だよ。彼女も同じように捕まっているけど」
侑「そんな…」
ミア「ボクも拘束まではしなくていいんじゃないか、って言ったんだけどね」
ミア「危険だから、ってさ」
侑「…………」
侑「ミアちゃん、お願い。私を逃してほしい」
侑「私、歩夢を助けなきゃ…!」
ミア「残念だが、それはできない」
侑「どうして!」
ミア「言っただろ、ボクは責任を感じているって」
ミア「ニジガサキを裏切るようなことはできないんだ」
侑「なら!」
侑「一つだけ…最後のお願いを聞いて」
ミア「………」
ミア「…なんだい、聞くだけ聞くよ」
侑「…彼方さんに会わせてほしい」
侑「エマさんに言われたの!彼方さんに魔法を教われば、この世界を救えるようなすっごい魔法を使えるようになるかもって!」
ミア「ダメだ」
ミア「彼方には去年のことがある。キミに情が湧いたらどうするんだ」
侑「………っ!」
ポンッ
ミア「な…っ!花…?」
侑「ミアちゃん… 私、魔法使えるようになったんだよ」
侑「みんなの、おかげで……っ!」
侑「約束する!絶対みんなを救うって!だから…」
侑「だから…… お願い……っ」ポロポロ
ミア「………泣き落としは卑怯だよ」
侑「わかってる……ぐすっ…」
ミア「…彼方は明日の魔導祭に向けて魔力を高めている最中だ。必ず来るとは約束できない」
ミア「彼方が会わないと言ったら、それまでだ」
侑「ミア……ちゃんっ!」
ミア「…まったく。お人よしすぎて自分が嫌になるよ」
侑「ありがとう…!本当に!」
ミア「ああ」
ミア「それと… この花、大事にするよ」
ミア「──必ず世界を救えよ!ベイビーちゃん!」
──────
────
──
「侑ちゃーん、起きて〜!」
「ぱっち !だよ!」
侑「……ぁ、れ… いつのまにか、寝ちゃってた…?」
「やっと起きてくれた… 聞こえる?」
侑「!」
侑「この声… 彼方さん!?」
「うん。ミアちゃんにお願いされてね」
「直接会いに行くのは難しそうだから… こうやってテレパシーでの会話になっちゃうけど…」
侑「ううん、ありがとう!」
侑「それでね、私──」
「その前に、これを見てほしいの」
キィィィン…
侑「…っ!」
侑(映像が、頭に流れ込んでくる…!)
「これは、今の世界の状況」
「もう半分くらいは消えてなくなってしまっているの…」
侑「世界が、消える…」
「うん。崩壊は加速的に進んでる。もってあと1日…ってところかな」
「だから、タイムリミットは明日の魔導祭まで」
「それまでに侑ちゃんが答えを見つけられなかったら… 私は魔法を使うしかない」
侑「……わかってる」
侑「必ず!見つけてみせるよ!」
侑「だから、彼方さんが知っていることがあるのなら… 教えてほしい」
「うん」
「私が教えられるのは1つだけ… 侑ちゃんがどうやって魔法を使えているか、だよ」
「本来、魔法を使うにはホノカの加護を受けて、地球からエネルギーを取ってこなきゃいけない…」
「それはこの世界の住人しかできないことのはずなの」
侑「えっと…じゃあなんで私は魔法を使えたんだろ?」
「これはあくまで仮説なんだけど…」
「侑ちゃんはおそらく、自分の持っているエネルギーを使って魔法を使っているんだよ」
侑「!」
「だから、侑ちゃんがこの世界を救うには…」
「自分の可能性を信じること」
侑「私の…可能性…!」
「侑ちゃんの可能性はきっと無限大だよ」
「それを形にできれば… きっと…」
「ごめん、魔力を消耗しちゃうから… そろそろテレパシーを切るね」
「侑ちゃん、私は…信じてるよ」
プツン
侑「彼方さん…っ!」
侑(私の中に、眠っているのかな…)
侑(この世界を救えるような…奇跡の力…!)
─魔導祭・当日
せつ菜「はぁ… はぁ…やっと見つけた…」
歩夢「せつ菜ちゃん!」
せつ菜「また… 会えましたね!」
せつ菜「スカーレットストォーム!!」ボゴォ!
歩夢「!?」
せつ菜「これで拘束は解けました!」ペカー
歩夢「もうちょっと優しい解き方はないの…?」
せつ菜「私はこれ以外の魔法が使えませんので!」
せつ菜「それより… 急ぎましょう!もう時間がありません」
せつ菜「侑さんを助けに… 屋上、ホノカの祭壇へ!」
歩夢「うん!」
果林「──行かせないわよ」
歩夢「…っ!」
愛「歩夢… お願いだから。ここで大人しくしてて」
歩夢「果林さん、愛ちゃん…っ!」
せつ菜「やはり、見張りがいましたか…!」
せつ菜「歩夢さん、ここは私に任せてください…!!」
せつ菜「───10%スカーレットストォォォォム!!」
ドォォン!!
せつ菜「さらに倍ぃっ!」
ドォォン!! ドォォン!!
果林「な!?」
果林「あなた、学校を破壊するつもり!?」
せつ菜「学校1の火力バカですから!めちゃくちゃにやってやりますよ!うおおおお!!!」
ドォォン!! ドォォン!! ドォォン!! ドォォン!!
せつ菜「歩夢さん!今のうちに!」
歩夢「わかった──っ!」
愛「行かせないっ!15%強化魔法≪レッグ≫ッ!」ヒュン
せつ菜(早い──っ!でも!)
せつ菜「5%×10ッ!炎魔法≪スカーレットストーム≫連弾っっっ!!!」
せつ菜「数打ちゃ……当たれぇぇぇええ!!」
ドドドドドドドドドド‼︎‼︎‼︎‼︎
愛「くっ…!」
歩夢(愛ちゃんが怯んだ…っ!)
歩夢「30%── 花粉爆弾«フラワーボム»ッ!!」
ボンッ!
歩夢(これで…振り切る…っ!!)
歩夢(待ってて…… 侑ちゃん……!!)
タッタッタッ
──────
────
──
─屋上
歩夢「侑ちゃんっ!!」バァン
侑・彼方「………すぅ……すぅ…」zzz
歩夢「……え?」
歩夢(侑ちゃんと彼方さんが…お姫様みたいなベッドで…寝てる…!?)
歩夢「えっと………」
侑「むにゃ……彼方さん……えへへへ……」
歩夢「なんだろう…なんかすっごく許せない……」
歩夢「侑ちゃんっ!!起きてっ!!」
侑「……はっ!!歩夢!?」
歩夢「もう… これからエネルギーの結晶にされちゃうかもしれないのに…」
歩夢「なんなの…この緊張感のなさは…」
侑「いやぁ〜 いざ魔導祭をやるぞっ、て時に彼方さんが眠たくなっちゃったみたいで…」
侑「なんか一緒に寝る流れに…」
歩夢「あ、危なかった… おかげで間に合ったよ…」
彼方「むにゃ……侑ちゃん、起きた…?」
彼方「はっ!」
彼方「歩夢ちゃん!?」
歩夢(まずい…っ!)
歩夢「40%、薔薇の棘≪ローズニードル≫ッ!」
パァン!
彼方「──80%、聖なる護り≪ホーリー・シールド≫………」
歩夢(防がれた……っ!”80%”の魔法で……!!)
歩夢(やっぱり、この人はヤバい…っ!)
彼方「寝起きにいきなり魔法で攻撃されるとは…」
彼方「歩夢ちゃんも本気だね…!」
彼方「10%、聖なる剱の踊り≪サーベル・ダンス≫──!」
ヒュンヒュンヒュンヒュン‼︎
歩夢「!」
歩夢「ご、5%…!花の壁≪フラワー・ウォール≫……!」
キィン!
歩夢(だめだ……押し返される!!)
歩夢「ぐ…っ……!」ズサ
歩夢「はあっ…はあっ…」
歩夢「彼方…さん、侑ちゃんを…解放してください!」
歩夢「彼方さんだって、こんなことはおかしいって、そう思ってるんでしょう!?」
彼方「そうだね… そう思うよ」
歩夢「だったら!」
彼方「もうすぐ… 歩夢ちゃんもわかるよ」
歩夢「言われなくても…わかってます!!」
歩夢「でも…っ!彼方さん、貴女は──っ!」
歩夢「侑ちゃんを遥ちゃんの身代わりにしているだけです……っ!」
彼方「っ!」
歩夢「こんなの… 私たちのエゴですよ…!」
彼方「───5% 、聖なる祝福の焔≪ホーリー・フレイム≫!!!」
侑「歩夢ッ!避けてっ!!!」
歩夢(この魔法は… 防げないっ…)
歩夢(…………っっ!!)
ドゴォ!!!!!!!!!
.
歩夢「……ぅ……っ……」
侑「あ、歩夢!!」
彼方「……やっぱり、強い魔法を使わないんだね」
彼方「歩夢ちゃんがその気になれば…」
彼方「1%以上の魔法だって、使えたはず…」
歩夢「……きめ…て…るんです…」
歩夢「わた…しは……!」
歩夢「だれかの奇跡を……うばわない…って…っ……!!」
彼方「歩夢ちゃん…」
彼方「それでも私は、1年前の過ちの責任を… 取らなきゃいけない…っ!」
彼方「あれから今まで… 世界の崩壊のはじまりをこの目で見て…」
彼方「その度に修復の魔法で、なんとか食い止めてきたの」
彼方「その度に、ニジガサキのみんなの顔が浮かんだ…」
彼方「今度こそ…守らなきゃいけないんだよ…!」
歩夢「…………」
彼方「そろそろ、時間がくる────」
.
プツン…
.
侑(ひ、光が……消えた!?)
「これが…エネルギー切れだよ」
「──1%、修復ッ!!」
パァァ
彼方「なんとか…月の明かりくらいには戻せたかな…」
歩夢「………っ!」
彼方「侑ちゃんも…これでわかったでしょう?」
彼方「これが… 私たちの魔法の限界だよ」
彼方「今の私の修復魔法で食い止められるのはせいぜいあと数十分…」
彼方「ギリギリまで、待ったよ… 侑ちゃん」
彼方「時間切れ、だよ…」
侑「そん…な…」
歩夢「……………0.1%………!!!!!」
歩夢「『湧き上がる花々の叫び≪フラワー・スクリーム≫』!!!!!」
ゴゴゴゴゴゴ!!!!
.
彼方「な!?歩夢ちゃん……っ!?」
彼方「くっ、1%…!『聖なる妖精の護り≪フェアリー・シールド≫』!!!」
ドゴォ‼︎
彼方「く……っ!な、んとか…防いだ……!」
歩夢「やっぱり…!できた!」
侑「そ、その魔法……!」
歩夢「侑ちゃんの… 奇跡の力を使ったの…!!」
侑「私の…力…」
歩夢「これなら…強い魔法が使える!!」
彼方「そんな…ことが……!」
歩夢「これで…彼方さんも諦めてくれますよね」
彼方「!」
歩夢「今の私なら… 流石の彼方さんでも、簡単にはいかないはず」
歩夢「戦っているうちに… “時間切れ”で全員…」
彼方「…………」
侑「で、でもそれって」
歩夢「大丈夫」
歩夢「侑ちゃんは──私の魔法で地球に転送する…!」
侑「え…っ?でも…」
歩夢「みんなで消えちゃうよりは、いいでしょ?」
彼方「………」
歩夢「侑ちゃん、お願い」
歩夢「最後に、侑ちゃんのこと、救わせて──?」
侑「そんな……」
タッタッタッ
果林「彼方!」
歩夢「──果林さん!?」
果林「はぁ… はぁ…」
果林「やっぱり… 手こずっていたのね」
果林「私は…… まだ戦える…!」
果林「2対1なら…っ!」
歩夢「くっ…」
歩夢「侑ちゃん、ごめん。ちょっとだけ、力をもらうね──」
侑「──やめてっ!」
侑「もう、やめてよ……」
歩夢「ゆ、侑ちゃん…」
侑「私の力でみんなが傷つくところなんて、見たくないよ…」
侑「時間が、ないんだよね」
侑「一回だけ、チャンスをちょうだい」
歩夢「侑ちゃん、まさか魔法を…!」
侑「……うん」
侑「やってみる。エマさんと約束したから」
侑「やっぱり、誰も悲しませないためには、私が魔法を使うしかないみたい」
侑「………すぅぅ」
侑(ホノカの祭壇……)
侑(お願い……力を貸して!)
侑(この世界を救う… 全てをひっくり返す、そんな魔法を)
侑(生み出す……!想像できないものを、想像する……っ!!)
侑(必ず────!!!)
侑「0.1 ⁶⁴%────」
侑「『創造魔法』」
侑「≪ビッグ・バン≫────!」
.
侑「ここ…は……」
侑(上も下もわからない…… 海の……中…?)
侑(いや… 闇の…中…)
ホノカ「すごいすごいすごーーい!!!」
侑「ええ!?だ、誰!?」
ホノカ「私はホノカ!」
ホノカ「この世界の創造主だよ」
侑「あなたが…ホノカ!」
ホノカ「そうだよ!」
ホノカ「多分、なんでこんなところにいるのか、って、気になってるよね」
ホノカ「簡単に言うと、あなたの存在レベルが上がっちゃったの」
侑「存在レベル?」
ホノカ「うん」
ホノカ「あなたはとんでもないエネルギーを創造しちゃったからね…」
ホノカ「生命1個体の与える影響にしてはあまりにも大きすぎた…」
ホノカ「簡単に言うと… チート?」
侑「な、なるほど…?わかったような、わからないような…」
ホノカ「まあ、細かいことは気にしないっ!」
ホノカ「それにね、私、あなたにすーーっごく感謝してるの!」
侑「へ?どうして?」
ホノカ「あなたのビッグバンのおかげで充電の必要がなくなったんだよ!」
侑「ええええ!?そうなの!?」
侑「じゃあ、みんなも…」
ホノカ「…うん。消えてないよ」
ホノカ「あなたが生み出した途方もないエネルギーのおかげで… ニジガサキは負のスパイラルから抜けられる」
ホノカ「もうあの子たちに、悲しい思いさせなくてすむ…」
ホノカ「本当に… ありがとう」
侑「えへへ…」
侑「よかった… 私、約束守れたんだ!」
侑「きっと、これが誰も悲しまない結末、だよね…」
ホノカ「いやいや、まだ終わってないよ!」
ホノカ「最後にあなたを地球に帰さないと!」
侑「え、できるの?」
ホノカ「私は万能の神ホノカだよ!」
ホノカ「あなたを人間に戻して、地球に転送するなんて造作もない…っ!」
ホノカ「ちょちょいのちょいだよ!」
侑「………」
ホノカ「どうしたの?地球に戻りたくない?」
侑「ホノカさん」
侑「……テレパシーの魔法、教えてもらえる?」
─魔法学校ニジガサキ
侑「おおおう、すごい!自分が2つあるみたいな……感覚っ!」
歩夢「ゆ、侑ちゃん!?」
侑「歩夢!」
侑「よかった… これで最後に歩夢とお話できるね」
侑「歩夢… 今はホノカさんに協力してもらって、思念体でこうやってお話できてるんだ」
歩夢「ホノカさん…?」
侑「あはは、色々あってね…」
侑「私、これから地球に戻ることになったの」
歩夢「!」
侑「だから最後に… 歩夢にお礼が言いたくて」
侑「歩夢。この世界でずっと私を守ってくれて…… 本当にありがとう」
歩夢「そんな… 私たちは侑ちゃんを…」
侑「それももういいの」
侑「きっとね」
侑「歩夢のおかげで… 私は魔法が使えたの」
侑「最後は… 歩夢に消えて欲しくない、ってその気持ちでいっぱいだったから」
歩夢「侑ちゃん…」
歩夢「私、絶対に… 侑ちゃんのこと、忘れないから」
侑「ふふ、私はずっと歩夢のそばにいるよ」
侑「この世界の奇跡のエネルギーは、私が生み出したものでしょ?」
侑「だから、ずっとそばにいる」
歩夢「!」
歩夢「うん………!」
歩夢「私たちのこと、ずっと見守っていてね…!」
侑「歩夢」
歩夢「侑ちゃん」
「「ばいばい!」」
.
─地球・とある病室
侑「……………………」パチ
歩夢「……………!!」
侑(歩夢が……手を握ってくれてる)
侑(あれ………私………)
歩夢「…………ゆう、ちゃん……!」
歩夢「ぐすっ……ぅ……侑ちゃんっ!!うわあああん!!!」ボロボロ
──────
────
──
侑「───ふうん、そんなに……」
歩夢「うん…… 目覚める確率は1%もないだろう、ってお医者さんが…」
侑「それで…1年も?」
歩夢「……うん」
侑「あはは、そっかあ」
侑「じゃあこうやって私が生きてられるのって本当に奇跡だね!」
歩夢「うん。本当に…… 奇跡だよ」
侑「私ね…… 眠ってる間に」
侑「歩夢に何回も、助けられた気がするの」
侑「そして、歩夢が」
侑「こんな地球の奇跡を、守ってくれてた気がするんだ」
歩夢「よくわからないけど…」
歩夢「きっと、私が毎日病院に通ってたおかげだねっ!」ポムッ
侑「あははっ、そうだね──」
侑(きっと、歩夢のおかげだよ)
侑(奇跡を守ってくれて── ありがとう、歩夢)
おわり
終わりです。
終盤更新滞ってしまって本当にごめんなさいでした!
回収できなかった設定おまけ
しずく「そういえば、来年の大魔導師はかすみさんの予定だったみたいだよ?」
かすみ「え?しお子じゃなくて?」
かすみ「かすみん、5%以上の魔法使えないよ?」
しずく「うん、この前果林さんに聞いたんだけどね──」
──────
────
──
しずく「果林さん、教えてもらった魅了魔法、失敗しちゃいました……」
果林「あらあら…」
果林「ひょっとして、詠唱を間違えたんじゃないかしら?」
しずく「詠唱?」
果林「魔道師は素質によって詠唱方法が変わっていてね…」
果林「しずくちゃん、もしかしたら魅了≪チャーム≫って唱えたんじゃないかしら?」
果林「この技名での唱え方はね、大魔導師の素質がある子の特権なのよ…」
果林「私たちみたいな凡人は『魅了魔法≪チャーム≫』って唱えないと、使えないわ」
しずく「なるほど… 勉強になります」
しずく「あれ、じゃあかすみさんは──」
果林「そうね、もし次があれば… 大魔導師になっていたんじゃないかしら?」
──────
────
──
かすみ「なるほどねぇ…」
かすみ「え゛!じゃあかすみん、次の魔導祭があれば英雄だったの!?」
しずく「そう…なってたかもね?」
かすみ「なんてタイミングの悪い…… あと一年早ければぁ〜!」
しずく「私は… かすみさんが人〇しにならなくて、ホッとしてるけど…///」
かすみ「しず子……///」
「从[´・֊・]从しずかすは尊い」
かすみ「な…… テレパシー!?」
かすみ「だぁーっ!りな子!テレパシーで茶化すなっ!」
「しずくちゃん、がんばれ『٩( ‘ω’ )و』」
しずく「かすみさん、こっち向いて?『魅了魔法≪チャーム≫』───」
かすみ「ななななんでいきなり!?禁止!チャーム禁止!!!」
「从[´・֊・]从 微笑ましい」
かすみ「うがーーっ!」
おわり
お疲れ様です
すごい面白かったです!
ハッピーエンドで良かった
めちゃ面白かった
ありがとう
すき
2023年の名作だわ
ありがとう
引用元: https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1688873067/
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