かのん「このクソガキっ!!」夏美「にゃははははww」すみれ「やめなさいよ」第2話
きな子「先輩達と学校帰りにファミレスっす〜♪」
かのん「えへへ、好きなの頼んでいいからね?きな子ちゃん」
すみれ「ほんと甘いわね。きな子には」
きな子「きな子、これとこれとこれがいいっす!」
かのん「いいよ~♪デザートもつけようね」
きな子「わーいっす♪」
すみれ「かのんは何頼むの?」
かのん「え~とね…………う~んとね…………じゃあ、これにしようかな」
すみれ「じゃあ注文しとくわね」
きな子「都会ではタブレットで注文するんすね!凄いっす〜」
すみれ「今時、チェーン店ならどこもこんなんじゃない?」
かのん「あっ!!!やっぱりこっちの方がいい!」
すみれ「はいはい、こっちがいいのね」
かのん「うーん、でもなぁ」
すみれ「もう確定しちゃったからメニュー見るのやめなさい」
かのん「えー」
きな子「すみれ先輩ってお母さんみたいっす」
かのん「あー、それわかる。呆れながらもなんだかんだ世話焼いてくれるんだよねー」
すみれ「あんたって頼りないからね。つい面倒みたくなるのよ」
かのん「ままー!これからも頼りにするからね?」
すみれ「やめなさい。気色悪い」
きな子「仲良しっすね〜、そういえば先輩達ってどうやって出会ったんすか?」
かのん「えー?」
きな子「気になるっす〜」
かのん「どうやってって」
すみれ「まぁ、同じ科の同じクラスだったから自然とかしら」
かのん「でも、こんな風に仲良くなったのって夏休み明けからだよね」
すみれ「そうだったかしらね」
かのん「えー!?覚えてないのー?」
すみれ「なんかベンチに座ってたらいきなり話しかけられたのは覚えてるわ」
かのん「そう、なんか話しかけて欲しそうにしてたんだよ」
すみれ「してないけどね」
きな子「たしかにかのん先輩ってちょっと馴れ馴れしいところあるっすもんね」
かのん「えー?そうかな?(照れ)」
すみれ「褒められてないと思うけど」
かのん「可可ちゃんとはたまに話すよクラスも一緒だしね」
すみれ「私はかのんみたいに社交的じゃないから話してないわね」
かのん「そうなの?すみれちゃんなら仲良くなれると思うけどな〜」
すみれ「話すにも接点ないし」
かのん「ちぃちゃんは私の幼馴染!親友だよ!」
すみれ「私は高校からの知り合いだからほとんど喋ったことないわね」
かのん「すみれちゃんなら仲良くなれると思うけどな~」
すみれ「特に接点ないし」
かのん「私という接点があるじゃん」
すみれ「友達の友達が一番気まずいのよ」
かのん「恋ちゃんはあんまり話した事ないなぁ〜、科も違うし生徒会長だしなんだか遠い人って感じで」
すみれ「私も一言も喋ったことないわね」
かのん「すみれちゃんなら仲良くなれると思うけどな~」
すみれ「適当言い過ぎよあんた」
かのん「でも、ちぃちゃんとは仲良いみたい。やっぱり同じ音楽科だからかな?」
きな子「へぇ、やっぱり科が違うと壁を感じるんすね」
すみれ「あんた達はどうなのよ」
きな子「えー?きな子達っすか?きな子達は皆一年で同じ普通科だから仲良しっすよ」
きな子「夏美ちゃんの事は先輩達の方が詳しいっすよね」
かのん「詳しくないよ」
すみれ「かのんは特に詳しいわよね」
かのん「詳しくない」
きな子「そういえば四季ちゃんとメイちゃんは最初から仲良しだったっす〜昔からの友達らしいっすね」
かのん「私とちぃちゃんと一緒だね」
きな子「それで同じ学校受験したんじゃないっすかね」
すみれ「ふーん、さすが普通科の生徒って感じの志望理由ね」
かのん「すみれちゃん、あんまり後輩の前で普通科に対する偏見出さないでよ」
きな子「大丈夫っす。すみれ先輩には普通科の生徒には絶望しかないって教えてもらったっすからね〜」
かのん「ちょっとすみれちゃん」
すみれ「そこまでは言ってないわよ。まぁ、思いはしたけど」
かのん「あの子って凄いよね。なんでもできちゃうんでしょ」
きな子「そんな凄い才能を燻らせていたある日、可可先輩達と運命的な出会いをしてスクールアイドル部のスタッフにスカウトされたんす」
すみれ「へぇ、それでスタッフやってるのね」
きな子「最初はメンバーとしても誘われたみたいっすけど四季ちゃんはそういうの苦手で断っちゃったっす」
かのん「へー、そっかぁ。私と一緒だね。私も苦手なんだー、人前に出るの」
きな子「そうなんすか?そのわりには夏美ちゃんの動画に出てるっすけど」
かのん「勝手に撮られてるだけだし……でも、ああいうのは見られてるって実感ないからそこまでしんどくもないかな。動画だし一応プライバシーも保護はされてるし」
すみれ「実際に視線を感じたり、リアルタイムで人の反応を感じるのが苦手なんでしょ。かのんは」
かのん「うん、そう。でも、すみれちゃんはそういうの得意だよね」
すみれ「まぁ、子供の頃いろいろやった結果ね」
きな子「メイちゃんはあんな感じでアイドルが大好きな女の子っす。実は可可先輩達に憧れてこの学校に入ってきたんすよ」
かのん「ふーん、こわっ」
すみれ「まぁ、目的があって入学するのは素敵ね」
きな子「こんなところっすかね。きな子達は」
かのん「みんないろいろあるんだね~」
きな子「夢はないっすけどね」
すみれ「ふふっ」
かのん「まーた、すみれちゃんが普通科に対する偏見で笑ってるよ……」
きな子「……んー?なんか来たっす」
すみれ「あぁ、頼んでた料理よ」
きな子「わぁー!都会ではロボットが運んできてくれるんすね!」
かのん「うーん!きな子ちゃんはほんと100点のリアクションしてくれるよね!可愛がりがいがある!」
ロボ『おまたせしましたにゃ!』
きな子「はぇ~、喋るんすか〜」
かのん「これちょっと恥ずかしいよね」
すみれ「別になにも思わないけど」
すみれ「あー、それは自分でやるのよ」
きな子「へぇ、中途半端なロボットっすね。四季ちゃんならもっと凄いの作れるっすよ」
すみれ「まぁ、コストを考えたらこの辺が妥協点なんでしょ」
かのん「すみれちゃん取って〜私の席からだと取りにくい〜」
すみれ「そんくらい自分でやりなさいったら」
かのん「けちー」
きな子「普通に取っちゃっていいんすか?」
すみれ「いいわよ」
きな子「よーし、きな子やるっすよ〜」
ロボ『くすぐったいにゃ!』
きな子「ははは、感情もなにもないのに何か言ってるっす」
すみれ「熱いから気をつけるのよ」
きな子「はいっす〜」
すみれ「かのんも早く取りなさい」
かのん「はいはい」
ロボ『お客様、早く取って欲しいにゃ!』
かのん「は?今取ろうとしてんじゃん。なんなのよ、せかしてきて。ばーか」
すみれ「やめなさい、ロボット相手に」
きな子「ロボットだから空気が読めないんすよ」
かのん「ほら、取ったよ。取ったから向こう行ってよね。ふーんだっ」
ロボ『ごゆっくりお楽しみくださいにゃ!』
かのん「ねぇー?ゆっくり楽しませて欲しいよねぇー?」
すみれ「やめなさいって」
かのん「見て見てきな子ちゃん。こいついちいち回転しなきゃ進めないんだよ」
きな子「あはは、ほんとっす。ぎこちない動き方がポンコツロボットっすね〜」
かのん「やーいぽんこつー」
ロボ(チッ、うっぜーな……クソガキども)
きな子「!?」
すみれ「ほら、いつまでもばか言ってないで、冷めないうちに食べましょ」
かのん「はーい、いただきまーす」
ロボ(ガキだけでファミレスなんかきてんじゃねぇっつうの)
きな子「…………」
きな子「……???」
四季「出来た、人工衛星」
メイ「んなもん軽いノリで作ってんじゃねぇよ」
夏美「流石ですの四季!」
メイ「で、人工衛星なんかどうすんだよ」
四季「車に自動運転させるには、精度の高くて通信が繋がりやすい人工衛星が絶対に必要。これはかかせない」
メイ「ふーん」
四季「だからこれを打ち上げて使う」
メイ「どうやって打ち上げるんだ?」
四季「このロケットで」
夏美「流石ですの!これで後は車だけですの!」
四季「うん」
メイ「……そんなもん作れるならさぁ、もう空飛ぶ車でも作った方が早いんじゃねぇか?」
夏美「ねぇ、四季?私、渋滞が嫌いですの。なんとか出来ない?」
メイ「空飛ぶ車作れよ」
四季「いい方法がある。車高を高くして通り抜ける方法」
夏美「タイヤに足を生やして渋滞の上を通り抜けるようなイメージですの?」
四季「そう」
夏美「流石ですの!」
四季「ふふん」ドヤッ
メイ「いや、空飛ぶ車の方がいいだろ」
夏美「……メイ、空飛ぶ車なんて作れるわけ無いでしょ?常識的に考えて」
メイ「は?」
夏美「あんなもの所詮は机上の空論ですの。現実的にもう少しものを考えてください?」
四季「空飛ぶ車なんて子供っぽい夢。ほんとメイってかわいいね」
夏美「やーい、お子様ですの~w」
四季「ふふっ、年少さん」
メイ「ぶっとばすぞ、お前ら」
千砂都「よーし!三都市大会に向けて大特訓だぁー!」
恋「はい!」
可可「もう、千砂都の特訓は結構デス!!クク達は自分達で勝手にやりますから!!」
千砂都「ほんと可可ちゃんって遠慮ばっかりするねー」
恋「とても謙虚な方なんです。可可さんは」
可可「ほんとにいいって言ってるんデス!日本人的な1回断るのがマナーみたいなのを実践してるわけじゃないデス!!」
千砂都「今までの特訓でわかったのは二人とも飲み込みはいいけど、可可ちゃんは体力不足」
可可「ぐぐっ……」ギクリ
千砂都「恋ちゃんは自信がないよね」
恋「そう……でしょうか?」
千砂都「そういう返答ひとつ取ってみてもさ、自信がなさそうでしょ?もっと前に出なきゃいけないと思うなぁ」
可可「でも、そこがレンレンのいいところなんデス!」
千砂都「けど、大きな舞台に出て色んな人に見てもらうんだから、もっとアピールしないと失礼だよね」
恋「失礼、ですか?」
千砂都「うん、やっぱり自分からやりたいって皆の前に出てきてるんだから、自信なさそうにしてるのは失礼だと思うよ」
可可「急にまともな事言うなデス!」
恋「たしかにそうですね……でもアピールしろと言われてもなにをどうすればいいのやら」
千砂都「自分の持ち味を見せるとか」
恋「私の持ち味ですか……なんだと思いますか?可可さん?」
可可「それはとっても優しい所です!レンレンの優しさ、ククが一番理解してますよ!1年の時、ククと一緒にスクールアイドルやってくれました!今でも感謝してるデス!」
千砂都「うん、優しいのは素敵なポイントだけど、そういうのじゃないんだよね」
可可「あと頭もいいデス!勉強もとてもよく出来ます!」
千砂都「う~ん、それも可可ちゃん目線の良さだからなぁ。今日初めましての人に私勉強が得意なんですって言われても、なにがどういいんだろう?ってなると思うよ」
可可「あとあとひたむきで真っ直ぐな所デスね。レンレンはとても真面目なんデスよ?」
千砂都「そういうのじゃなくて、こう『見て凄い!』ってなる恋ちゃんのアピールポイントが聞きたいんだよ~」
可可「身長が高いデス!」
千砂都「あーたしかに大きいね。でも、なんていうかな。もっとパンチがあるようなものが聞きたくて」
可可「ぐぬぬ、千砂都は否定ばっかりデスね!」
可可「な!なにをいきなり言ってるんデスか!そんなことありません!!」
恋「でも、可可さんみたいに親しみやすくて、見ただけで好きになってしまうような魅力は私には……」
可可「レンレンはとてもキュートですよ!とくにこのタレ目な所が可愛いデス!ね?千砂都!」
千砂都「可愛いのはわかるけど、それをどうアピールするかなんだよね」
可可「そうです!キャラ付けデス!決めポーズを作ったり語尾に何かつけたりするんデスよ!」
千砂都「あー、可可ちゃんみたいにわざとカタコトで喋ったりとかかー」
可可「ワザとじゃないデスっ!!!自然とこうなるんですよっ!!!」
千砂都「でも、わりといい方法かもね。引っ込み思案な子がキャラを演じる事で前に出れるようになったりするし」
恋「そんな事で上手くいくのですか?」
千砂都「いくいく。理想の自分を思い描いてさ、その自分ならどうするだろうって考えて演じるの。それだけで活発な子になれたりするんだから」
可可「まるで経験してきたみたいな言い草デスね」
千砂都「実体験を話してるからねー」
可可「貴方の?」
千砂都「うん」
可可「信じられませんねー」
千砂都「えー?」
可可「貴方は生まれた時からこんなハチャメチャな人に決まってます!」
千砂都「えへへ、そんな褒めないでよ」
可可「褒めてません!」
恋「キャラを演じる……なかなか難しそうですね。でも、やってみる価値はありそうです」
可可「ククにいい案があります!キャラ付けといえばコレというのがありますよ!偉大なスクールアイドルのメンバーにもこういう方がおられました!」
恋「なんですか?」
可可「ククに任せるデス!」
夏美「さぁ!いよいよ明後日には夏休みですの!」
かのん「夏休みはどこ遊びに行こっか?すみれちゃん」
夏美「二人は遊びになんか行ってる場合じゃありませんよ。私の手伝いをするんですの!」
かのん「やだって言ったじゃん」
すみれ「私もやっぱ今回は気乗りしないわね。スクールアイドルなんて興味ないし」
夏美「かわいい後輩が困っているのに貴方達は手も差し伸べてくれないのですか?血も涙もありませんの!」
かのん「かわいくないし」
夏美「かわいいですの♡」
かのん「かわいくない」
すみれ「だいたい私達がついていって何するのよ」
夏美「そりゃ色々ありますよ。主に荷物を運んだりとか」
かのん「うっわ、よりによって肉体労働?絶対やりたくないね」
すみれ「それに手伝っても、私達にはなんの得もないしね」
夏美「タダで旅行が出来ますの!」
かのん「う〜ん」
夏美「素敵な思い出も出来ますの!」
すみれ「それは言い切れないでしょ」
夏美「むむっ、引き受けてくれないなら今この場で駄々をこねますよ?」
かのん「おっ、いいね。動画に撮っちゃおっと」
夏美「いいですの?制服を着たまま、この薄汚れた地面に寝転がって、大声で泣き喚きますよ?貴方達の後輩が!貴方達の名前を叫んで!」
すみれ「はいはい、もうわかったわよ。手伝ってあげるから、目立つ事しないでちょうだい」
かのん「えぇぇー」
夏美「よっしゃ!ですの!」
すみれ「その代わりあんた達もうちの神社の手伝いね」
かのん「なんで私も入ってるのかな?すみれちゃん」
夏美「タダでは引き受けませんよ」
すみれ「知ってるわよ。よく当たるおみくじタダで引かせてあげるわ」
夏美「う~ん、しょぼい。くだらなすぎる。ですが……まぁその辺が妥協点でしょうね。こちらも猫の手も借りたい状況ですし」
かのん「あー、せっかくの夏休みがぁ〜」
すみれ「いいじゃない。どうせダラダラするしか予定なかったでしょ」
かのん「まぁ、そうだけどさぁ」
夏美「きまりですのー♡」
四季「ロボットに……感情?」
きな子「っす」
四季「うーん、人間みたいな感情が芽生えるかと聞かれたら答えるのは難しい」
きな子「四季ちゃん自身はどう思うっすか」
四季「そういうプログラミングを組むことは出来る。例えば仲間を思いやる気持ちを持たせて、その子に他の仲間ロボットがもってる大事なものを壊すよう命令する。そうするとその子は嫌がって命令に背こうとするの」
きな子「人間みたいっすね~」
四季「けどそれも、そうなるようプログラ厶された事だから本当の感情じゃないのかなって思ったりする」
きな子「う~ん、どうなんすかね~」
四季「でも、人も無意識に本能っていう、遺伝子にプログラムされた通りに動いてるだけだから、プログラミングされたロボットと変わらないんじゃないかって思う事もある」
きな子「たしかに人の感情も仕組みを辿れば本能的なものっすもんね」
四季「そう、原始時代まで遡れば、人の楽しいって感情も『それをするといいことがあったからまたしよう』と思わせるための脳の作用でしかないし、悲しいとか怖いとかもそれを避けるためにあえて不快な感情を脳が湧き上がらせてるに過ぎない。全部生き残るための本能」
きな子「ざっくりいっちゃうとそうっすね~」
四季「それに現代人にある良心みたいなものも、所詮は教育によって打ち込まれたコードであって、そんなのは本来存在しないんじゃないかなと考えたら、さっきあげた仲間思いのロボットと私達の感情の違いってなんなんだろうって思う」
きな子「う~ん、難しくなってきたっす」
四季「世の中わからない事だらけ」
きな子「……今作ってるロボットにはその、プログラミングっていうのはしてるんすか?」
四季「自動運転に自分で考える能力は必要不可欠。だからちゃんとそういうAIを組んだ」
きな子「……」
車『…………』
きな子(この車からは、なにも感じないっす)
四季「今日のきな子ちゃん変だね」
きな子「……ちょっと変な事があったんすよ。でも気のせいだったみたいっす」
四季「そう?ならよかった」
四季「もうじきこれも完成する。完成したらドライブいこう」
きな子「いきたいっす〜!」
四季「カラーは真っ赤にしよう」
きな子「メイちゃんカラーっすね!」
車(えー?いやよ、赤なんてだっさい。わたしは真っ青なブルーがいいんだけどなぁー)
きな子「!!?」
夏美「というわけでこれがスケジュールですの!」
可可「初日に名古屋、次の日に大阪、そしてその次の日に東京に戻ってライブ……デスか。中々にハードスケジュールですね」
夏美「これが大会の詳細資料ですの」
可可「ふむふむ……他の出場者の情報は一切出てないんですね」
夏美「そうですの。誰でも飛び入り参加できる大会ですから誰がどういう形で参加してるか行ってみるまでわかりません」
可可「なるほど」
夏美「有名な人や期待の新人とぶつかるかもしれませんね」
可可「鬼が出るか蛇が出るか、出たとこ勝負というやつデスね」
夏美「ふふ、怖気づきました?」
可可「ふふん、愚問デスね?イマサラそんな事で怖気づいたりなどしませんよ!ね!レンレン!」
恋「そ、そうです……にゃ」
夏美「……」
恋「れ、レン達、たくさん頑張ってきたにゃ……だから絶対負けないですにゃ」
夏美「……」
恋「にゃ、にゃーんっ!」
夏美「……それでですね。集合時間の方なのですが」
恋「もうっ!!なにか言ってくださいよっ!!」
夏美「なにかと言われましても……」
恋「なにか思われたでしょ?それを言ってください!」
夏美「あんまり触れたくないなぁと思ったから触れなかったんですの」
可可「あまりの可愛さに触れるのも遠慮してしまったんですね。わかりマス!」
夏美「いいえ、ヤバいと思ったので触れませんでした」
恋「っ……」ガーン
夏美「留学生に日本語を解説してもらってる日本人。この絵はちょっと面白いですの。ショート動画のネタになりそうですの」
恋「もぅいいですっ!わたくしには不向きなキャラでした!」
可可「そんなことないデスよー!これにあった衣装も作ったんデスからやめちゃだめデス!」
恋「最初から無理があると思ってました」
可可「そういうキャラでやっていくとククと決めたじゃないですか!」
恋「なしです。夏美さんの反応を見て却下することにしました」
可可「もうっ!!ちょっとあなたっー!」
夏美「はい?私ですか?」
可可「こっちにちゃんと話をあわせやがれデス!!」
夏美「打ち合わせもなしに話なんてあわせられませんのー。それにやるにしても追加料金も貰ってませんのー」ベー
可可「むぅ!ほんとに貴方という人は!なまいきデスね!」
夏美「この生意気なところが私の愛されポイントなんですの!」
可可「自分でいうなデス!」
恋「……おや?」
可可「?どうかしましたか?」
恋「これは……記載ミスでしょうか?」
夏美「?」
恋「名古屋大会と大阪大会の開催日です」
夏美「なにか不備でも?」
恋「その……同日になっているようですが……?」
夏美「…………」
夏美「……にゃはっ!?」
千砂都「ねぇー、メイちゃんもまる好きなのー?」
メイ「えっ?まる?どういうことですか?」
千砂都「ほら、お団子にしてるじゃん」
メイ「あぁ、これっすか」
千砂都「完璧なお団子だねぇ……触ってもいいかな?」
メイ「別にいいですけど」
千砂都「あぁ〜、やっぱり他人のお団子を触るのは格別だなぁ」ポンポン
メイ「そ、そういうもんですか……」
千砂都「中が空洞になってない完璧なお団子だぁ……♡中までギッシリ……♡ねぇ?毎日どんくらい時間かけてるの?このぴょんって出た髪の毛が大変そうだよね?でも凄くこだわりを感じるよ。凄いね。まるだよ!まんまる!」
メイ「ありがとう、ございます……」
千砂都「メイちゃんってさ」
メイ「はい」
千砂都「かわいいよね」
メイ「なっ!なっ!か、かかかかかわいくねぇよっ!ばかっ!!」
千砂都「……ふふ」ニコニコ
メイ「あっ、す、すみません……口が悪くて、わたし……」
千砂都「いいんだよー?だって、これからだからねー♪」
メイ「な、なにがですか?」
千砂都「これからまるくなっていけばいいんだよ」ニコッ
メイ「えっ」
千砂都「なにもかもまるーくなればいい。身も心もまるーく、まるーくね?」
メイ「……」
千砂都「私ね?とがったものがまるくなってくの好きなんだぁ」
千砂都「ふふ、まるくなったメイちゃんもかわいいだろうなー♪」
千砂都「ねー?」
メイ「あ、あははは、変な冗談やめてくださいよ、千砂都先輩っ」
千砂都「んー?」
メイ「ははっ……」
千砂都「ふふっ」ニコッ
メイ「……」
メイ(な、なんかヤバい人に目つけられてないか?わたしっ……!)
千砂都「ふふふ」
メイ「あ、あははっ……」
可可「どういう事ですか!ちゃんと説明するデス!」
夏美「わざとじゃないですの!こういううっかりミスも人間生きてればありますの!寛大な心で許してくださいですの!」
可可「さんざん偉そうにしておいてなんですかそれはー!」
すみれ「あら、夏美が追い回されてるわよ」
かのん「あっ、ほんとだ。可可ちゃんみたいな優しい子怒らせるなんてほんととんでもない後輩だね」
すみれ「ほら、早く仲裁に入ってあげなさいよ」
かのん「えっ?なんで私が」
すみれ「あの子の先輩でしょ」
かのん「ふーん、ちがうもんねー」
夏美「あっ!!かのん先輩!」
かのん「げっ」
夏美「お助けをーですの!!」
かのん「やーだよ!こっちに来ないで!」
夏美「まってー!!」
可可「まちやがれデスー!」
かのん「やだやだ!!こないでってば!」
夏美「せんぱーい!!」
可可「このナッツヤロー!!許すまじデス!!」
かのん「きゃああああ!!」
キャッキャッ キャッキャッ
すみれ「……まったく、元気な子達ね」
すみれ「でも、なんで追いかけられてたのかしら?」
恋「それはですね」
すみれ「っ!」ビクッ
恋「あぁ、すみません!驚かせるつもりはなかったのですが」
すみれ「ううん、へーきよ。まさか生徒会長さんに声かけられるとは思ってなかったからびっくりしただけ」
恋「恋でいいですよ」
すみれ「それでなんかあったの?」
恋「はい、実は……」
かのん「予定日を間違えたー?」
可可「はいデス!」
夏美「まったく、困ったものですの。しっかりしてもらいたいですの!」
可可「アナタですよ!アナタ!」
かのん「ははっ、これが凄腕プロデューサー様かぁ」
可可「それでどうするんデスか!責任取れるんでしょうね!?」
夏美「大丈夫ですの!わたしにいい考えがあります」
かのん「さぁて、どんな苦しい案を出してくれるのかな」
夏美「我が校のスクールアイドルは可可さんと恋さん二人のグループですよね?」
可可「そうデスよ。ククとレンレン二人三脚でやってきました!まるで二人で一つのスクールアイドルみたいにカタトキも離れずにやってきたんデス!それはもう一緒じゃないなんて考えられないほどに!!」
夏美「それですの!二人いるのですから片方が名古屋でもう片方大阪で出場すればいいんですの!」
かのん「一緒じゃないなんて考えられないって言ったばかりじゃん」
夏美「ここらで個人の力も見せつけるべきではありませんか?」
可可「どういう事デスか?」
夏美「スクールアイドルとは互いに高めあう存在であるべきでしょ?なのに仲間内で馴れ合ってる。貴方達が伸び悩んでいるのもその辺が原因かもしれませんよ?」
かのん「なに失礼なこと言ってんのこの子」
可可「……」
かのん「あーあ、呆れてものも言えなくなっちゃったよ可可ちゃん」
夏美「仲間でありライバルであるのがチームというものでしょ?同じ志をもつ者同士で切磋琢磨しあう。それこそが青春ではありませんか」
可可「……」
夏美「そう思いません?ねぇ、かのん先輩もそう思うでしょ?」
かのん「うわぁ、苦しいなぁ。でも、もうちょっと泳がせてみよっか」
夏美「成長というのはどういう状況で起こると思いますか?それはピンチの時です。予想もしてないような環境や状況に置かれた時、人は進化を強いられるんです。どうなるか予想もついて準備も万全の状態で臨んだ所で流れ作業的にそれを終えるだけ。そんなんじゃいつまで経っても壁を乗り越える事なんて出来ません。試練というのは『今から何時にいきますから準備しておいてくださいね』なんていって来てくれやしないんですよ?当然ですよね?別にここで私を糾弾するのも自由ですが、その時点で貴方達はこの壁に覆われたぬるま湯の中で一生過ごす事が確定するでしょうね。それでいいのですか?よくないはずです。ならば、選ぶ道は一つですの!決断しなさい!!貴方はどうしたいんですか!!さぁ!!さぁ!!」
かのん「もう、ここまでくると逆に尊敬しちゃうね。よくこんなめちゃくちゃな言い分が瞬時に出てくるよ」
可可「……」
かのん「ほら、そろそろ謝ろっか。流石の可可ちゃんもめちゃくちゃ怒ってるみたいだし」
可可「やって……やるデス」
かのん「え?」
かのん「ええっ??」
可可「ほんと、貴方は好き勝手言ってくれマスね……とんでもない後輩ですよ」
かのん「そうだよね?とんでもないんだよこの子は」
可可「でも、不思議とその言葉、胸に響いてきました」
かのん「うそでしょ??」
可可「たしかに私達、仲良し小好しになり過ぎていたかもしれませんネ……」
かのん「いや、部活動なんてそれでいいんじゃない?」
可可「不本意ですが貴方が言うピンチという状況で挑戦してやりますよ!試練というのはこちらの都合に関係なくやってくるのでしょう?」
夏美「……ふふ、顔つきが変わりましたね。なら後悔は、しませんね?」
かのん「ねぇ、どの立場から言ってるの?」
可可「かつて偉大なスクールアイドルも様々な逆境を乗り越えてきました!そしてククはその姿に憧れたんデス!なので今度はクク達の番ですよーっ!!」
かのん「可可ちゃんはなんで火付けられてるの?」
可可「うおおおおおっ!!!やりますよ!レンレンっ!!!」
すみれ「……って、なんか叫んでるみたいだけど」
恋「はい……」
すみれ「話し、聞こえた?」
恋「後半の内容だけなら、夏美さんも大きな声を出してたので聞こえましたが……」
すみれ「なんかそれぞれ一人でやる事になったみたいだけど」
恋「……」
すみれ「大丈夫なの?」
恋「……」フラッ
すみれ「ちょ、ちょっとっ!」
恋「む、むりかも……」
恋「むりかもしれませんんん……っ!!」
四季「…………」
夏美「そ、そんな怒らないでくださいですの♡」
四季「かわいくしてもダメ」
夏美「別に上手い事いったからいいでしょ?可可先輩もやる気になってくれましたし」
四季「慣れない事させて、先輩たちになにかあったらどうするの」
夏美「もう!四季は先輩想い過ぎですの!私の事も少しは想って?でーすの♡」
四季「夏美ちゃんの事も想ってるから怒ってるの」
夏美「……はいはい、ごめんなさいですの」
四季「うん」
夏美「心配しなくても大丈夫ですの。うまくいかせてみせますから」
四季「ほんとに?」
夏美「えぇ!この鬼塚夏美を信用しなさい!」
きな子「四季ちゃーん、夏美ちゃーん」
メイ「あー疲れた」
夏美「あら、きな子」
四季「メイ、おつかれさま」
きな子「明日の準備出来たっすよ」
メイ「まったく人使いが荒いんだからよ」
夏美「緊急事態ですの。こういうときは助け合いですの!」
メイ「お前、都合のいい時だけそれだよな」
夏美「貴方達が困った時は助けて上げますの!」
メイ「ほんとかよ」
きな子「きな子はいつでも助けてあげるっすよー」
夏美「明日はもっと忙しくなりますの!覚悟しておいてください」
メイ「ほんと調子いいんだからな」
四季「先輩達のためにがんばろう。メイ、きな子ちゃん」
メイ「まぁ、御二人のためだからやるけどよ」
きな子「きな子もやるっすよ〜」
夏美「ふふ、これが私の人望というやつですね」
四季「えいっ」バシッ
夏美「いたっ!!」
四季「調子に乗らない」
可可「レンレン!そんな弱気でどうするんデスか!」
恋「でも、私……一人でなんて歌ったことありませんし」
可可「ククもありません!でもやりますよ!!」
恋「私は無理ですぅ……」
可可「レンレン!これは試練なのデスよ!」
かのん「元はどっかの誰かさんのミスだけどねー」
すみれ「まぁ、そこは言っても仕方ないでしょ」
可可「そうデス、クク達はやらなければいけないのデス!!」
千砂都「う~ん、けど一人で出来るのかな」
可可「ククはやってやりますよ!」
千砂都「いや、気持ちじゃなくてパフォーマンス的に?」
可可「?」
千砂都「ほら、今まで二人でやってきたから踊りとか歌とかってそれ前提に作ってたんでしょ?」
可可「はいデス!」
千砂都「一人で踊るとなると見ててバランスが悪くなると思うし、歌もパート分けしてたら一人で全部歌わなくちゃいけなくなるよね。被さる部分とかはどう歌うのかなって」
可可「……」
千砂都「今から作り直すにしても明日の朝には出発でしょ?その辺いろいろ大丈夫かなって思って」
可可「なんとかなるデスよ!」
千砂都「ほんとかなぁ」
すみれ「……それより問題はこっちじゃない?」
恋「……」ズゥン…
可可「大丈夫ですよレンレン!貴方が自信を持てるようにククが素敵な衣装を作ってあげますから!」
かのん「衣装?」
可可「まるで別人になったみたいにして、自信を持たせるデス!」
可可「女の子は衣装で誰にだってなれるのデスから!!」
かのん「あー、めんどくさ」
すみれ「とか言いつつ結局来てるじゃない」
夏美「いよいよ遠征ですの!」
可可「なんだかワクワクしますね!クク達だけで車に乗って遠くに行くなんて!」
千砂都「たしかに。でもほんとに私達だけで大丈夫なのかな?大人もいない状態で」
四季「大丈夫かと聞かれたら大丈夫じゃない」
千砂都「やっぱり?」
四季「でも、技術的には問題ない。だから、お巡りさんに声さえかけられなきゃ大丈夫」
可可「目立たなければいいんデスよ!バレなけば問題ありませんからね!」
千砂都「う~ん」
車『……』マッカァァ…
千砂都「目立つよねーこの色は」
きな子「…………」
すみれ「何怯えてるのよ?きな子」
かのん「あー、もしかして車怖いの?きな子ちゃん。北海道には車ないもんねー」
すみれ「ないわけないでしょ。むしろないと生活できないレベルよ」
車(はぁ~9人も乗せるの?燃費悪くなっちゃうわよこんなの)
きな子「…………」
恋「…………」モジモジ
可可「レンレン!なにをモジモジしてるのデスか!」
恋「私にはこの格好はやはり……」
可可「とても似合ってマス!自信をもってください!」
メイ「あー緊張するなぁ……可可先輩と恋先輩と一つ同じ車両でなんて」
可可「あっ!あの方はよくクク達のライブに来てくれる人じゃないですか!今日は手伝ってくれるんですね!レンレン、挨拶しましょう!」
可可「ちょっと、そこのお方ー!」
メイ「えっ……あ゛っ!!!あっ、ぁっ、く、くぅくぅちゃんだぁ……うわぁ……くぅくぅちゃんがこんな近くに……」
可可「ほら、レンレンも!ククの後ろに隠れてないで!」
恋「えっ……で、でもっ……」
可可「ほら!早くするデス!」グイッ!
恋「あっ、え、えっと……」
メイ「!!!!!」
恋「よ、よろしくだにゃん……!」(猫耳衣装)
メイ「ぐはぁっっっっっっっ!!!」
恋「!!」
夏美「ちょっとメイー。こんな所でへばらないでくださいですのー」
恋「だ、だ、大丈夫ですか!?」
可可「うーん、これは気絶するほど似合っているという事デスね。わかります!」
恋「やっぱり似合ってないからですよ……!!」
可可「なにをいってるのですか!レンレン!」
恋「もう私、制服で行きますから!」
可可「せっかく似合っていたのに!」
メイ「……猫耳……れんちゃん……ふふっ……しゅごい……っ」
夏美「まったく先が思いやられますの」
すみれ「たしかに言われてみれば」
かのん「前に2人で後ろのシートに3人と3人」
すみれ「1人乗れないわね」
千砂都「ぎゅうぎゅうに詰めて4人で座る?なーんて」
夏美「心配ご無用、ちょうどメイがぶっ倒れましたの」
すみれ「なにがあったのよ」
夏美「3人並んでる膝にメイを寝かせればちょうどいい感じになります」
かのん「その3人に負担がかかりすぎる」
すみれ「名古屋まで4時間でしょ?」
夏美「四季に飛ばして貰えば3時間でいけますの」
かのん「3時間だとしてもしんどいよ」
夏美「大丈夫ですの。心配しなくてもちゃんと一年で面倒見ますの」
かのん「ふーん、ならいいや」
千砂都「痺れてきたらいつでも代わってあげるからねー」
恋「私が運転席ですか?」
四季「そう、一番大人っぽく見える人に乗って貰ったほうがいいと思うから」
恋「大人っぽく……」
千砂都「あー!たしかに恋ちゃんって大人っぽいよね」
四季「……」コクコク
恋「それは……実年齢よりも、年齢を重ねてるよう見える(老けて見える)という事でしょうか……」
千砂都「え?いや、違う違う。私達より上品で落ち着いてるから大人っぽいなぁっていう事だよね?」
四季「っ!」コクコク!
恋「そうですか……?」
すみれ「まぁ、高校生にもなると大人っぽいとか大人に見間違われたりしても、あんまり嬉しくないわよね」
かのん「あー!たしかに!」
すみれ「中学生くらいまでは嬉しかったけどね。実年齢より年上に見られるの」
かのん「わかるなぁ〜、これが大人でも子供でもない高校生特有の悩みってやつだよね!」
夏美「…………」
かのん「あー!見て見て!ここにわからない人がいる~!わからないよねぇ?いまだに小学生と見間違われてそうだからさぁ?」
夏美「うざがらみしないでください。流石に小学生には間違われませんの」
かのん「ふーん、どうだかぁ~??」
夏美「それよりさっさと出発しますよ。朝イチで出ないと間に合わないんですからね」
すみれ「大会は昼からなのよね」
夏美「えぇ、名古屋には余裕で間に合いますが大阪はギリギリですの。一秒一秒が惜しいので早く乗り込んでください」
かのん「はぁーあ、こういう旅行で時間に追われるのが一番嫌いだよ」
夏美「さぁ、早く乗り込んでください」
四季「全部自動でやってくれるから大丈夫」
恋「それはすごいですね!」
四季「だから何もしなくていい」
恋「わぁ、たくさんボタンがついています……!これはなんでしょうか?」
四季「そのボタンは絶対押しちゃダメ」
恋「押すとどうなるんですか?」ポチッ
四季「……なんで押したの?」
恋「……すいません、好奇心が抑えられませんでした」
夏美「全員乗りましたね?じゃあしゅっぱ─────」
四季「……みんな、なにかに掴まって」
ブウウウウウウウウウウンッ!!!!!!
千砂都「あははははははははっ!すっごいすごい!」
かのん「きゃぁぁぁっっ!!」
可可「おおおっ!早いデス!」
すみれ「ちょっ!なんなのよ!危ないわよこの速度は……」
きな子「……」シートベルト ギュウッ……
車(ひゃっはー!!!私は風になるぅ!!今ならマッハ20で走れそう!下等な人間どもを轟音でびびらせてやるわよ!やだぁっ!!)
恋「はわわわわわっっ!!」
夏美「ちょっと!急いではいますが流石に飛ばし過ぎですの!四季!」
四季「仕方ない。恋先輩が押しちゃいけないボタン押したから」
夏美「なにを押してるんですか!っていうか四季もそんなボタンつけるんじゃないですの!」
恋「すみません!」
四季「出来る事があるならやってみたくなるのが研究者の性」
夏美「もうっ、ほんとに貴方は!」
四季「それに、このままスピード出せば間に合う」
千砂都「たしかに!この調子なら間に合っちゃうかもね!」
四季「結果オーライ」
可可「ふっふっふ……なら、もう勝ったも同然デスね!レンレン!」
恋「えっ!?ええっと……はいっ!勝ちました!」
夏美「気が早すぎますの!」
千砂都「大丈夫?かのんちゃん。怖くない?」
かのん「う、うん、最初びっくりしたけどなんか揺れもないし慣れてきたかも」
四季「この車は乗ってる人の安全のため、どんな振動も吸収する」
かのん「そっか。それで平気なのかな?」
夏美「ビビりのかのん先輩がビビらないなんてつまんねーですの」
かのん「なんかいった?」
夏美「べつに~?なーんもいってないですのー」
すみれ「揺れは感じなくてもこんな速さで走られたら普通に怖いと思うけど」
かのん「えー?すみれちゃんってもしかして新幹線で怖がっちゃうタイプ?意外とかわいいとこあるんだね(笑)」
すみれ「あんたって自分が余裕だと途端嫌な奴になるタイプよね」
すみれ「高速でもアウトよ。この速度は」
四季「大丈夫、ナンバープレートも偽装してるし、フロントガラスには特殊な繊維を組み込んでるから、オービスで写真を撮られてもモザイクがかかったようになる。だから違反してても絶対に捕まらない」
すみれ「なにも大丈夫じゃないわよ。倫理的に」
千砂都「あははは!もっと飛ばせ飛ばせー!」
夏美「そもそも四季、恋先輩が押したボタンとはなんなんですか?」
四季「最も効率のいいルートを爆走するモード。それにモードチェンジするボタン」
夏美「なんですのそれ」
四季「普通のカーナビなら高速道路とかに乗っていくルートが優先されるけど、これは出来る限り直線距離で走行する」
千砂都「ってことは普通なら東名高速道路を走っていくけど」
四季「これだと山の中に入って山梨県と長野県を突っ切っていく。道があろうがなかろうが」
千砂都「わー!山梨県といえば水信玄餅っていうのがあるんだよねぇ。完全に透明なまんまるなの!あーあ、一度でいいからこの目で拝んでみたいなぁ!」
夏美「そんな暇ないですの。そういうのは個人的にお取り寄せしてください」
千砂都「でもね。作ってから30分なんだぁー」
恋「なにがですか?」
千砂都「賞味期限が」
かのん「え、やばっ」
千砂都「早過ぎるよねー?だから現地に行って買わないと食べれないんだよ」
かのん「そっか~、ならせっかくだし寄ってみようか!」
千砂都「うん!」
夏美「寄らないっていってるんですの」
恋「ちなみに長野県は信州サーモンが美味しいんですよね。よく贈り物でいただきました」
かのん「あー!それは小学校の頃に修学旅行で食べたことあるよ。ね?」
千砂都「うん、あれは脂乗っていて最高だったな~」
かのん「あれは魚嫌いな子でも食べられるっていってたくらいおいしかったぁ」
千砂都「また行きたいって皆言ってたよねー」
かのん「じゃあさ、行っちゃう?」
夏美「ちょっと、観光気分で喋らないでくださいですの!」
かのん「だって楽しいじゃん。ねぇ?すみれちゃん?」
すみれ「なんであんた達そんな余裕なのよ。このスピードの中で」
千砂都「まぁ、この程度のトラブルはよくある事だしねー」
すみれ「あってたまるもんですか」
かのん「すみれちゃんだってそうは言うけど、さっきからずっと余裕そうじゃん」
すみれ「うろたえても仕方ないからそう振る舞ってるだけよ」
四季「皆が楽しくお喋りしてる間に、もう山梨に入った」
夏美「はやっですの」
千砂都「じゃあまずは水信玄餅だね!」
夏美「寄らないっていってますの!」
四季「大丈夫かと聞かれたら大丈夫じゃない」
すみれ「ならまずいじゃない」
四季「でも安全面では問題ない。他の車両にぶつからない理由がある」
すみれ「理由?」
四季「今この車はリアルタイムに衛星と通信して、他の車の動きを見てる」
夏美「四季が打ち上げたあの人工衛星ですね」
かのん「え、すご」
四季「そして、この車のスーパーコンピューターで他の車がどう動くか計算、予想し無数の可能性の中からAIで最適解を判断してその都度危険を回避する」
可可「なるほど、衛星情報をもとにこの車が勝手に判断して安全運転をしてくれるんですね」
四季「だから事故する可能性は多く見積もっても0.0001%。それに万が一事故をしても、さっき言った通り衝撃を吸収する素材を全面に使ってるから私達が死ぬ事はない。つまり、お巡りさんにさえ見つかりさえしなければ大丈夫」
すみれ「ふーん、なにも大丈夫じゃないわね。やっぱり」
可可「あっ!!!!シキシキ!あれっ!!」
四季「?」
可可「こ、このまま進むと前からあのトラックが突っ込んできマスよ!!」
すみれ「やばいじゃないの、スーパーコンピューターとやらはどうしたのよ」
四季「あのトラックが悪い。交通ルールを守ってないから。計算はあくまで他の車両は交通ルールを守ってる事が大前提。だからコンピューターは悪くない」
可可「冷静に解説してる場合ではないですよ!シキシキ!」
四季「大丈夫。ぶつかってこられても特殊な素材を使ってるから衝撃はほとんど吸収されて」
すみれ「いや、今ぶつからない努力をしなさいよ」
四季「それは無理。これはあくまで自動運転だから、自分で運転しちゃったら無免許運転になっちゃう」
すみれ「変な所で真面目になるんじゃないわよ」
四季「けど、今更なにも出来ない」
四季「だってもうぶつかる」
ドンッッッ!!!!!!!!
四季「……んん」
四季「……?」キョロキョロ
四季「ちょっとだけ気を失ってた(びっくり)」
四季「衝撃は吸収されてるはずなのに。気を失うなんて不思議」
夏美「……はっ!ここは?」
四季「……起きた?夏美ちゃん」
夏美「私達はたしか……」
四季「トラックに跳ね飛ばされて谷底に真っ逆さました」
夏美「軽いノリで言ってますけどとんでもないことになってますの」
四季「でも大丈夫、怪我ないでしょ?」
夏美「たしかに痛いところはないですけど」
四季「でも不思議、痛くないのになんで気を失うの?」
夏美「知らないですけどジェットコースターで失神するようなものなんじゃないですの?VRでも気絶しちゃう人がいるらしいですし」
四季「心理的ショックから?たしかに、そっちのダメージは吸収出来ない」
きな子「……」
四季「あ、きな子ちゃん。大丈夫?」
きな子「……まぁ、なんとかっす」
メイ「……zzz」
四季「メイも無事みたい。よかった」
夏美「はぁ、まったくメイは呑気ですの。ちょっと、いつまで寝てるんですのー?」
四季「メイは今日が楽しみ過ぎて昨日一睡もしてない。だから休ませてあげて」
夏美「大事な仕事を手伝うんだから万全な状態で来てくださいですの!」
きな子「……」
四季「それよりきな子ちゃん、ずっと元気ないみたい。大丈夫?」
夏美「そりゃこんなとこに落とされたんだからショックで元気も出ないでしょう」
四季「ううん、なんか昨日から変なの」
きな子「え?いや、いつもどおりっすよ、きな子は……」
四季「そう?」
きな子「はいっす……」
きな子「……」
車(もう!いったいわね!あのオンボロトラック私の邪魔してきやがって!ぶっ壊してやりたい!わたしよりも遙かに劣った下等マシンのくせにっ!!きーーーーっ!!!)
きな子「……きな子はだいじょぶっす」
四季「ならいいけど……?」
夏美「……あれ、なんか足りなくありません?人数が」
四季「え?」
夏美「先輩達がいないですの」
かのん「あ、見て見て!富士山だぁ!きれーい」
千砂都「う~ん、いい天気だねぇ」
すみれ「……」
可可「……頭クルクルして、気持ち悪いデス」
恋「大丈夫ですか、可可さん」
かのん「後ろから見る富士山ってなんか新鮮だね」
千砂都「普段テレビとかで見るのって静岡側からだもんねぇ」
かのん「ねー、すみれちゃんもそう思わない?」
すみれ「……そうね」
恋「それで、私達はどうなってしまったんでしょうか?」
千砂都「それが分からないんだよね。四季ちゃん達もいないし」
恋「まさか、遭難?」
かのん「おっ!じゃあ水信玄餅食べに行けるね!ちぃちゃん」
千砂都「やったー!」
すみれ「もうちょっと焦りなさいよ。あんた達」
可可「うぅっ、まだきもちわるいデス……」
恋「だ、大丈夫ですか?可可さん」
可可「う~、クラクラします」
すみれ「ほら、深呼吸して新鮮な空気を体に入れなさい。それで楽な体勢をとってしばらく休みましょう」
可可「ありがとうございマスです……」
かのん「さすがすみれちゃん!気が利くねぇ」
千砂都「すみれちゃんってお姉ちゃんなんだっけ?こういうところ凄いお姉ちゃんっぽいなぁ~」
かのん「ちぃちゃん、私もお姉ちゃんだよ!」
恋「はいっ、わかりました!」
可可「かたじけないデス……」
恋「ゆっくり休みましょう?可可さん」
可可「はい……」
すみれ「心配しなくてもちょっと休めばすぐよくなるわ」
千砂都「うーん!こういう時、お姉ちゃんの子って頼りになるよね!」
かのん「私も!私もお姉ちゃんだよ!」
恋「姉妹がいる人うらやましいです。私はひとりっこなものですから」
可可「ならレンレンはククの妹になりましょう……。毎日楽しいデスよ……」
恋「可可さんがお姉ちゃん……想像出来ませんね。ふふっ、でも楽しいと思います」
可可「……本当デス~?」
恋「ふふっ、本当ですよ」
可可「なにやら含みのある笑みデスね」
恋「そんな事ありませんよ」
可可「むむ~」
すみれ「とか言ってたら、元気出てきたみたいね」
可可「はい、少し休んだら落ち着いてきました。おかげさまで」
すみれ「なら、そろそろ移動しましょうか。いつまでもこんなとこにいても仕方ないし」
かのん「よーし、水信玄餅食べに行くぞー」
千砂都「おーーー!」
すみれ「……まぁ、人里に出れればなんでもいいか」
四季「まさかこの車内からいなくなるなんて考えもしなかったから気付かなかった……」
夏美「あの身勝手な先輩たちの事です。私達が気を失ってる間に勝手に外に出て遊びほうけているのでは?」
四季「ううん、考えられるのはトラックにぶつかる直前に恋先輩か可可先輩、あるいは両方が咄嗟にドアノブに掴まってしまって、回転する車内の勢いで開き先輩達だけが外に放り出されたケース。あのふたりならそういう事をやりかねない」
夏美「ふーん、ならどこかに落っこちてしまったんですねー先輩たちは」
四季「どうしよう……」ワナワナ…
夏美「落ち着きなさい四季。こういう時のためになにか用意があるんでしょう?例えば先輩たちの体内にGPSを埋め込んでるとか」
四季「今、私達は谷底にいるから電波がキャッチできない」
きな子「……埋め込んでるについては否定しないんすね」
四季「それに電波が届かないという事は車も動かない」
夏美「まじですの?」
四季「まじ」
四季「あくまで衛星の情報をもとに車が計算して動く。だから情報がなかったら運転は出来ない」
四季「膨大な知識がネットにあっても、ネットにつないでないスマホじゃなにも得られないのと一緒」
夏美「それだと私達このまま出られないんじゃ……」
四季「それより先輩たちが心配。可可先輩、恋先輩になにかあったら大変」
夏美「まぁ、あの人たちは大丈夫でしょ」
四季「どうにかしなくちゃ」
夏美「どうするもなにも、まずは私達がこっから這い上がらないとどうしようも出来ませんの」
四季「一度谷底に落ちたら人間の力で這い上がるのは不可能。一応この車には90度の斜面でも走っていけるタイヤを使ったけど、電波が繋がらないから自動運転が出来ない」
夏美「なら手動で運転するしかありませんね」
四季「無免許運転はダメ」
夏美「いや、そんな事いってる場合ですの?」
四季「ルールはルール」
夏美「変なところで律儀ですの」
かのん「山梨の自然ってすごいねぇ」
千砂都「うん、空気も澄んでるし木々も雄大だし水も綺麗だし」
可可「海がないのにとっても水が豊かな場所デス!」
恋「山梨にはアルプスがありますからね。その豊かな水を使ってウィスキーやワインなども作られており、どれも有名なんですよ」
かのん「お酒かぁ、そういえばワインってどんな味するんだろうね」
千砂都「子供の頃はジュースみたいなイメージだったけど砂糖的な甘さはないらしいね」
かのん「おいしいのかな?来たついでに飲んでみよっか?」
すみれ「やめなさい」
可可「はぁ、森林に囲まれて深呼吸すると気持ちいいデスねぇ……」ウットリ
恋「はい、緑に囲まれてるだけで気持ちが落ち着くものですね」ホッ
すみれ「落ち着きすぎでしょあんた達」
可可「はっ!見てください!この川のセセラギ……!!大きなお魚さんが泳いでマスよ!レンレン!」
恋「落ちたら大変なのであまり近付いちゃいけませんよー」
かのん「あははは、あんなにはしゃいで」
すみれ「まったく子供じゃないんだから」
千砂都「ああいうところが可可ちゃんのかわいいところなんだよね」
バシャンッ
可可「きゃああああ!!!あ、足が、滑りましたっ!たすけてくださいっ!!ごぼぼぼぼっ……!!」
恋「可可さんっ!!」
千砂都「あははは!ほらね?おっちょこちょいで可愛いでしょ?」
すみれ「いや、笑ってる場合じゃないでしょ」
………………
可可「た、たすかりました……」
恋「大丈夫ですか?可可さん」
すみれ「もう、あぶなっかしい子ね」
可可「くっしゅん!すみませんデス」
恋「あら、風邪ひいちゃいました?」
可可「ちょっと冷えただけデス!でも今は夏!すぐ温かくなりますよ!」
すみれ「ほら、服乾かすわよ」
可可「このまま着てれば乾きますよ!夏ですから!」
すみれ「だーめ」
千砂都「あはは、やっぱりお姉ちゃんだね。すみれちゃんは」
かのん「ちぃちゃん、私もお姉ちゃんだよ!」
かのん「あー、こうやって皆で日向ぼっこするの。幸せすぎる……」
すみれ「なに年寄りみたいなこと言ってんのよ」
恋「自然に囲まれてぼーっとしていると、なにやら都会の喧騒を忘れますね」
かのん「そう、なんか頭の中が癒されてくんだよぉ~」
千砂都「あー、都会にいる人の脳みそは雑音でかなりすり減ってるらしいからね」
かのん「え、なにそれ、こわっ」
すみれ「まぁ、たまにはこういう場所でのんびりするのも悪くないわね」
可可「とはいってもいつまでもこうしてはいられませんよ!!!!!みなさんっ!!!!!」
かのん「びっくりしたぁ、急に大きな声出さないでよ可可ちゃん」
千砂都「元気だねぇー♪可可ちゃんは」
恋「もうよろしいのですか?」
可可「はい!夏のおひさまの下に干してたら服もすぐ乾きました!なのでそろそろ行きましょう!皆さん!」
すみれ「もう落っこちるんじゃないわよ」
可可「わかってマスー!」
恋「あんまり走ると危ないですよ」
千砂都「休んだから更に元気いっぱいだねー♪可可ちゃんは」
すみれ「すぐバテそうだけどね」
かのん「おっ!なんて言ってたらもうすぐ山を抜けられそうじゃない?」
すみれ「え?」
恋「たしかに光が強くなってきましたね」
可可「出口です!!皆さん、はやくはやく!」
すみれ「なによ、そんなに近いならいったん出ればよかったわね」
千砂都「まぁ、よかったじゃん。あんまり山深くには落ちてなかったって事で」
かのん「うんうん、やっぱり日頃のおこないがいいからだろうね」
すみれ「そういえばあの子達は大丈夫かしら」
可可「シキシキ達なら大丈夫ですよ!あの子は天才デスからね」エッヘン
すみれ「なんであなたが自慢げなのよ」
可可「だって自慢の後輩ですから!」
かのん「……よいしょっと」
かのん「ふー!山から抜け出せたー!」
恋「ほっ、解放された気分です」
千砂都「あっ!商店街が見えるよ!かのんちゃん!」
すみれ「めちゃくちゃ人里近かったのね」
かのん「わー!お土産買いにいこう!ちぃちゃんのいってたお餅あるかな?」
千砂都「どうだろう?でもなくてもなにかまるーいがあればそれでいいよぉ!まるいものないかなぁ!」
恋「たしか、山梨にはくろ玉というお菓子があるらしいですよ」
千砂都「くろ玉?それってまぁるいの???」
恋「はい、あんこを丸くしたものに溶かした羊羹をかけて作られたお菓子です」
かのん「うわぁ~めちゃくちゃ甘そう。想像するだけで唾液が出てきちゃう」
恋「熟練の職人さんたちがひとつひとつ丁寧にチェックしてるので完璧な形でないものは弾かれるらしいですよ」
千砂都「うわぁ~!!!じゃあじゃあ全部完璧なまるってこと!なにそれ絶っっっ対見たい!!」
すみれ「そんな場合じゃないと思うんだけどね」
かのん「よーし!じゃあ山梨観光だぁ!」
千砂都「おー!!!」
四季「ととととりあえず、こういう時はコーヒーを飲んで頭を冴えさせよう」ボドボドボド…
夏美「めちゃくちゃ溢してますのもったいない」
四季「とりあえずいったん落ち着こう?」ガタガタガタ
夏美「あなたが一番落ち着きなさい。先輩たちが心配なのはわかりますけど」
四季「うん。そうだね。こういう時こそゆっくりとリラックス出来る環境を整えるべき。よし、そうしよう……」ウロウロ
夏美「せわしなくうろつかないでください。こんな所で慌てふためいてても仕方ありませんの」
四季「と、とりあえず、キャンプでもしようか」
夏美「いや、それは落ち着き過ぎですの」
四季「まずは枯れ木を集めて燃やすの」
夏美「焚き火ってやつですの?」
四季「そう。夏でもこんな谷下の奈落の森じゃ身体が冷える。それに火の揺らめきを見てると心が落ち着く効果もある。リラックス出来ればいい考えが浮かぶかもしれない」
夏美「なるほど。たしかに焚き火のリラックス動画は中々再生数稼げますの。キャンプ動画もコアな層から絶大な人気があります」
四季「先輩たちが心配だけど、焦っても良い結果は起きない」
夏美「冷静さが戻ってきましたね。ではここらで動画を一本撮りつつ考えましょうか」
四季「うん」
夏美「きな子も手伝ってください」
きな子「……へ?」
夏美「ぼーっとしてどうしました?きな子」
四季「大丈夫?きな子ちゃん」
きな子「あ……大丈夫っす。うん、やるっすよ!」
きな子「……」
車(あーあ、もう転がり落ちてあっちこっち10円キズだらけよ。せっかく新しいボディだったのになにもかんもやになっちゃう。あーあ、なんで私ばっかこんな目に遭うのかしら、ロボットたちの手によって明日世界でも滅びないかしらねー)
きな子「……」
夏美「にゃっはー!!いろんなものを燃やすの楽しいですの!」
夏美「ねぇ?四季!このまま森ごと燃やしてしまったら、先輩たちが森から飛び出してきて会えるんじゃありませんの?必死に逃げるうさぎみたいな感じでぴょんって出てくるかもですの!にゃははは!!」
四季「それ、いい案かも」
きな子「いい案なわけないと思うっすけど……」
四季「松ぼっくりがあった。いれてみる?」
夏美「それ知ってますの。火に入れると弾けるんでしょう?」
四季「うん、とっても危ないよ」
夏美「当然やってみますの!危険な事はやるためにあるんですの!動画にするために定められてるようなものですの!そーれ!」ポイ
バチッ!……パァン!!
夏美「あっつ!あついですの!」
四季「ははは、熱いね」
夏美「にゃはははー!きな子もやってみるですの!面白いですの!」
きな子「火遊びして、なんかハイになっちゃってるっす……」
夏美「ねぇ四季っ!他にもありません?燃やすと危険なもの!」
四季「毒性のある植物はどれも燃やすと危険」
きな子「ひえっ、めちゃくちゃ危険な事しようとしてるっす……」
夏美「ウルシとかああいう系ですの?」
四季「うん、でもウルシ科の植物は判別が難しい」
夏美「たしかにどれもその辺の雑草と区別つかないですの!」
きな子「だからこそ危険なんすけどね。ウルシは」
夏美「なんですの?」
四季「アジサイ」
夏美「アジサイならちょうどそこに生えてますの!」
四季「燃やす?」
夏美「もちろん!危険な事はやるためにあるんですの!『アジサイ燃やしてみたwww』で一本撮りますのっ!」
きな子「ちょ……やめるっすよふたりとも」
四季「大丈夫、アジサイの毒はアミグダリンといって中毒を起こすものではあるけど、正しくつかえば薬にもなる。まさに毒薬変じて薬となる」
きな子「今まさに正しくない使われ方をしようとしてるんすけど……」
夏美「にゃっは~!こんな所でたくましく生きてたアジサイぶち抜いてきました!これが人間に足を踏み入れられるという事ですの~!では、さっそくやりますの!そーれ」ポイッ
ジュ……チ、チ、バチ…バチ…
夏美「ごほっ!ごほ!……ごほっ!」
四季「こほん」
夏美「あー、なんかぼんやりしてきたですの!頭がくらくらしますの!あと気持ち悪いですのぉ……!」
四季「これが意識混濁状態。おもしろい」フラフラ~
きな子「ほ、ほんとにハイになっちゃってるっす……」
夏美「んん……なんか木々の擦れる音が私の悪口に聞こえてきますの……!……はぁ?誰が金稼ぎしか脳がないですって?」
四季「落ち着いて夏美ちゃん。それは脳のバグ」
夏美「わかってますの!でもむかつくものはむかつくですの!きぃーっ!私の事をバカにするなんて許せない……!!」
四季「たしかに。幻聴とはいえ夏美ちゃんを悪くいうのは許せない……!」
夏美「こんな森やっぱり燃やしてやりますの!!」
四季「賛成」
きな子「ちょ、やめるっす夏美ちゃん、四季ちゃん……」
夏美「人間に楯突いた事を後悔させてやるですの」
四季「私達がこの星の支配者」
きな子「ううっ、きな子だって今まで聞こえないものが聞こえるようになって動揺してるのに」
きな子「なんで落ち着かせる側に立たないといけないっすかぁー……!」
かのん「これがくろ玉」ジュルリ…
千砂都「うわぁ……!綺麗な真っ黒でヒビ一つない綺麗なまるだぁ♡」
すみれ「よかったわね。ここに売ってて」
かのん「でも水信玄餅はなかったね」
恋「どうやら人気過ぎてすぐ売り切れてしまうらしいです」
可可「でもこれは買えました!さっそく食べるデスよ!」
恋「可可さん、そんな慌てて食べなくても誰も取りませんよ」
可可「待ちきれないデス!!!先に食べちゃいますよっ!!あむっ!!!!!」
可可「!!!!!!!!!」
可可「んん~♡あんこと羊羹のダブルパンチ。甘さの暴力デス!これは!」
恋「口のまわりについちゃってますよ。可可さん」フキフキ
千砂都「はぁ、この光沢のある黒がまるを際立たせてるよぉ……こんな凄いまるが世の中にあったなんて」
かのん「事故ってみるもんだねー」
すみれ「よくそんな感想が出てくるわね」
可可「クク、食欲が止まりません!あむっ!あむ!あむ……むっ!!んー!んんんんんっ!!!」
恋「可可さん!?もう、だから落ち着いて食べましょうって言ったんですよ」
すみれ「ほら、お茶」
恋「ありがとうございます。はい、可可さん。これはゆっくり飲んでくださいね」
可可「ごきゅっ……ごきゅっ……ぷはぁ……かたじけないデス……ふたりとも」ゼェゼェ
すみれ「いいわよ」
恋「大丈夫ですか?」
可可「はいデス!」
恋「次からはゆっくり食べてくださいよ」
可可「えへへ、ククのうちは大家族ですから。癖でついつい早食いになってしまうのデスよね~」
すみれ「そういうもんなのね」
恋「そういえばすみれさんは妹さんがいらっしゃるのですよね」
すみれ「ええ、いるわよ」
恋「だからそんなに落ち着いてらっしゃるんでしょうか?」
すみれ「え?それは関係ないんじゃない。だって、ほら」
かのん「?」
すみれ「姉でも落ち着きのない子はいるし」
かのん「えー?なに?私の話?」
かのん「うん、いるよー。見る?」
恋「はい、ぜひ!」
かのん「はいこれ、ありあっていうの」
恋「ありあさん。素敵なお名前ですね」
可可「めがねっこデス!」
恋「なんだかとってもしっかりしてそうな子です」
かのん「そう、だからたまにうるさいんだよねー」
すみれ「ほら、お姉ちゃんだからってしっかりしてないのもいるでしょ?」
かのん「ちょっとすみれちゃん、それどういう意味?」
恋「ふふっ、そうみたいですね」
かのん「む、なんか私笑われてるんだけど……ちぃちゃーん私笑われてるー!」
千砂都「んんっー♡」(口の中でまるを堪能している)
恋「すみれさんの妹さんも見せてくれませんか?」
すみれ「私の?まぁ、別にいいけど……はい」
恋「まぁ!すみれさんにそっくりですね!」
可可「ククにも見せて!ククにも見せてください!」
すみれ「はいはい、勝手に見ていいわよ」
可可「おー!!あなたをそのまま小さくしたような子が映ってます!おもしろいデス!」
すみれ「そんなに似てるかしら」
恋「お名前はなんておっしゃるんですか?」
すみれ「え?なまえ?」
恋「はい」
すみれ「えぇっとね……」
恋「?」
すみれ「ちょっとまってね……」
可可「?なにうろたえてるデスか?」
すみれ「別にうろたえてないわよ」
恋「すみません……私、なにかまずいこと言ってしまいましたか?」
すみれ「そんなんじゃないわよ。なまえでしょ?うん、普通の質問だわ。ふつうよ。ふつー」
恋「……?」
すみれ「まぁ、なにかしらあるんじゃない?なまえ」
恋「はい?」
可可「なんですかその答えになってない不気味過ぎる返答は」
すみれ「あるったらあるのよ」
恋「……込み入った事を聞いてしまったんでしょうか?」
可可「まぁ、いろいろ複雑な家庭もあるらしいデスからね」
恋「ですよね。うぅ、反省です……」
千砂都「んっーーー♡しあわせー♡」マルゥ!
メイ「zzz」
夏美「あ~、意識がはっきりしてきましたの。やはり面白い感覚というのは長続きしないものですね」
四季「そうだね」
きな子「……きな子は全然面白くなかったっすけどね」ゲッソリ…
夏美「それでどうするんですの~?しき~」
四季「ちょっと待って、今考えてるから」
夏美「火を眺めてるのもそろそろ飽きてきましたのー、やはり絵変わりが少ないと飽きもはやいですの」
四季「……うん」(かんがえちゅう)
夏美「ねー、しきー」
四季「待って、その車を使ってなんとか出来ないか考えてるから」
きな子「……」チラッ
車(やっだぁ!もうっ!虫がいるじゃない!だからこんなど田舎はいやなのよ!特に私みたいな最先端ハイテクマシーンにとっては)
夏美「でも、この車単体では自動運転出来ないんでしたよね?」
四季「うん、前に言った通り衛星の情報をもとに計算して動くからそれと通信出来なきゃ動かない」
夏美「じゃあ、どうするんですの」
四季「もうちょっと待って、今、頭の中で設計図を組んでる。最悪その車をばらしてなにかに作り変える」
夏美「じゃあヘリコプターでもつくりますの!」
四季「それいいかも」
きな子「……」
車(あー!!中に虫が!!虫が入り込んでるぅ!!取って取って!誰か取ってよぉ!!きゃあっ!!!!)
きな子「……」シュー
車(あら?)
夏美「?きな子?」
四季「きな子ちゃん。こんな自然で殺虫剤なんかまいちゃダメ」
きな子「虫よけっすよ」
四季「虫よけでもダメ。昆虫さん達かわいそう」
夏美「それに車になんかかけちゃって何やってるんですの?もったいない」
車(え?)
きな子「きな子達いま困ってるっす。谷底に落ちちゃって、ここから上にいかないといけないんすけど、きな子達は運転が出来なくて」
四季「き、きなこちゃん……?」
夏美「あーあ、きな子頭おかしくなっちゃったですの」
きな子「くるまさんには意思があるんすよね?なら自分の意思だけで走る事も出来るんじゃないっすか?」
車(なに?あんた私に話しかけてるの?変な目で見られちゃってるわよあんたw うけるっw )
きな子「このままだとくるまさんバラバラにされちゃうらしいっすよ」
車(ええええええええ!??)
四季「頭を強く打ち付けた?でも衝撃はほとんど吸収されてるはず」
夏美「これもきっと心理的ショックからですの。心的外傷ってやつですの。たまたま私達にはなかっただけで、きな子にはそういうダメージもあったのかもしれないですね」
四季「人の心はいまだ解明されてない事だらけ。難しい……」
きな子「くるまさん、ほんとは真っ青なブルーがよかったんすよね?きな子聞いてたっすよ」
車(え?)
きな子「きな子でよければあとで染めてあげるっす」
車(あんた……私の気持ちがわかるの?)
夏美「きな子~しばらく休んでなさい。貴方疲れてるんですの」
四季「……」
きな子『四季ちゃん、ロボットに感情って芽生えるっすか?』
四季「……まさか」
きな子「くるまさん、きな子達を助けて欲しいっす」
可可「しかし、風情のある商店街デスね」
恋「モダンな雰囲気というのでしょうか?」
千砂都「うんうん、なんか雰囲気いいよね!」
かのん「次はなに食べよっか?」
すみれ「呑気過ぎじゃない。あんた達」
恋「山梨といえばやはりほうとうではありませんか?」
千砂都「ほうとうか~」
かのん「えー?こんな真夏に鍋?」
可可「いいじゃないデスか!暑い日のお鍋もイキなものデス!」
千砂都「たしかに、暑い日に熱いもの食べて汗いっぱいかくと気持ちいいよね!」
可可「それにさっきとても甘いものを食べましたから体がしょっぱいものを欲しています!」
かのん「うーん、そんな事言われるとちょっと食べたくなってきちゃうなぁ」
恋「ちょうどあそこにほうとうのお店がありますよ」
可可「行きましょう!皆で一つの鍋をつつく事してみたいデス!!」
千砂都「ふふ!じゃあ、行ってみようか?」
すみれ「はぁ、ほんとに観光にきたみたいね。私達」
かのん「古民家って感じのお店だね」
恋「ふぅ、こういうこじんまりとしたお家はとても落ち着きますね。古い木造作りで非常に和を感じます」
可可「えー?あんなだだっ広い洋館に住んでるのにですか?」
恋「むっ、私だって、和を感じたっていいじゃないですか」
かのん「恋ちゃん洋館に住んでるんだ。すごっ」
千砂都「やっぱりお嬢様なんだね恋ちゃんって」
可可「そうだ!今度皆さんと遊びに行きましょう!レンレンの家に!」
恋「え?皆さんと?私の家に?」
可可「とっても楽しいデスよ!」
千砂都「うん、恋ちゃんのおうち見てみたいなー!」
かのん「え、私もいっていいの?」
恋「み、みなさんが、よよよろしいのであればいつでもっ……」
可可「あー!レンレン楽しみ過ぎてそわそわしてます!」
恋「サヤさんに言ってごちそうを振る舞ってもらいましょう……!」
千砂都「そんなはりきらなくていいよー、だって友達なんだから!ね?かのんちゃん」
かのん「え?あっ、うん!」
恋「お、お友達っ」ポワポワ…
可可「ふふっ、レンレン嬉しそうです♪」
すみれ「ねぇ。盛り上がってるところ悪いんだけど、来たみたいよ料理」
可可「おー!お味噌のいい匂いがします!」
かのん「湯気すごっ、見てるだけであっついよぉ」
千砂都「わー、おいしそー!」
恋「これはみみが入ってますね」
可可「えー!!耳!?耳食べちゃうデスか!!?」バッ!
かのん「あはははは!可可ちゃん自分の耳に手をやってる!」
すみれ「あんたってそういうステレオタイプな反応好きよね」
恋「みみといっても耳ではありません。この小麦粉で練ったものの事です」
千砂都「あー耳っぽい形してるね。だからみみなの?」
恋「いえ、その説もあるのですが農具の箕(み)に似てるからという説が有力なようです」
かのん「箕ってなに」
可可「あれデス!ドジョウすくいするやつデスよ!」
かのん「あー、あれか」
すみれ「それがぱっとでてくる留学生と、それですぐ通じる都会の女子高生ってどうなの」
千砂都「うーん、私的には耳の方がしっくりくるけどねー」
恋「おそらく近年はそちらに寄せて作ってるのではないかなと思います」
千砂都「移り変わりってやつかぁ」
恋「慌てちゃダメですよ可可さん」
すみれ「まったく、見ててあぶなっかしい。よそってあげるわ」
可可「おー♪優しいデスね♪貴方」
すみれ「あんたがそそっかしいからよ。ほら」
恋「火傷に気をつけてくださいね」
可可「うぅ、はやく食べたいデス!」
恋「では、ふーふーしてあげますよ」
可可「わーいデス!!」
かのん「なんか子供の面倒みてるみたいになってない?」
千砂都「微笑ましいねー」
かのん「まぁ、そうだけどさ」
千砂都「ほら、そんな事より私達も食べちゃおっ?」
かのん「うん、そうだね」
可可「んんんん~~!!おいしいです!!」
可可「濃厚な味噌のだしが染み込んでて、体にシミワタリマス…」
かのん「はぁ、こういうお味噌の味ってなんでほっとするのかな」
千砂都「ふしぎだね~」
恋「すみれさんの分、よそいましょうか?」
すみれ「え?別に自分でするけど」
恋「そうですか」シュン…
すみれ「なんで落ち込むのよ……はぁ、じゃあそうね。お願いするわ」
恋「はい!」
すみれ「まったく気を使わせる子ばっかりね」
かのん「でもまんざらでもない顔してる~ツンデレだぁ~」
すみれ「ふん、あんたが一番私の手を煩わせてくれてたんだけどね」
かのん「ええ?そんなわけないでしょ~」
かのん「また、そんなずいぶん昔の話しちゃって」
すみれ「ちょっと前よ」
千砂都「そういえば、かのんちゃんのお母さんもかのんちゃんが一番手のかかる子供だったって言ってたなぁ」
すみれ「ほらね」
かのん「もう、余計な事言わなくていいよ!ちぃちゃん」
千砂都「あははははっ」
おばあちゃん「う~ん、こまったのぅ」
かのん「?」
可可「なんでしょう?困り事でしょうか?」モグモグ
すみれ「食べながら喋らないの」
可可「はいデス」…ゴクン
千砂都「なにかトラブルかな?」
恋「もしお困りなら助けてあげたいですね」
かのん「えー、めんどくさいよー」
千砂都「そうだね。かのんちゃんのいう通りお年寄りは助けてあげないと」
かのん「ううん、めんどくさいって言った」
可可「お年寄りには優しくデス!それにここで会ったのも何かの縁!」
可可「クク達がお助けしましょう!」
夏美「ロボットの気持ちがわかるようになった?」
きな子「はいっす。それでくるまさんとお話して協力してもらうことになったすよ」
夏美「……」
四季「たしかにAI運転なら衛星の情報がなくても自分の考えで走行してくれるかもしれない」
夏美「ふーん、まぁここから抜け出せるならどうでもいいですの」
きな子「めんどくさくて考えるのをやめたっすね夏美ちゃん」
四季「でも、どこにいけばいいのかわからない以上、下手に動くのは危険」
きな子「大丈夫っす。きな子は動物とお話が出来るから、そこらじゅうにいる小鳥さん達から先輩たちの居場所を聞いて、くるまさんにそこへ向かってもらえばいいっすよ」
夏美「あーそんな設定ありましたね」
四季「なるほど。これはデジタル技術とアナログ技術が手を組んで、ピンチを切り抜ける熱い展開」
夏美「アナログっていうんですの?これ」
きな子「森の小鳥さん達!きな子達の先輩の場所を教えてもらいたいっす!!」
夏美「どっちかというとオカルトですの」
メイ「ううん、うるさいなぁ……」
夏美「あら、やっと起きましたの?メイ」
四季「ねぼすけさん」
メイ「んっ、……ん?な、なんだここ!!さっきまで学校にいたのに森の中じゃないか!しかもこんなに薄暗い……なんなんだよ!!ここはっ!!」
夏美「まぁ、いろいろあったんですの」
メイ「真夏だったよな?なのに寒いぞここ……」
四季「森の奥深く谷底にいるから、私達」
メイ「なんだってそんなとこに!!」
きな子「ちゅんちゅんちゅん!!ちゅちゅん?ちゅんちゅんちゅん!!!!」
メイ「うわぁぁぁっ!!きな子おかしくなっちゃってるじゃないか!どうしたんだよ!きな子!!」
夏美「あーもうめんどくさいですの。これならもうちょっと寝てもらった方がよかったですの」