【SSコンペ】すみれ「秘密のパステルブルー」
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楽しそうなので書いてみました
アニメに沿ったすみれの独白みたいな感じだと思ってください
相手が考えていることが言葉になって聞こえるなんて大層なものではないのだけれど。
その人の目線、表情、声色といった視覚・聴覚の情報が頭の中で変換されて、その人の胸の前に「色」として現れる。
嬉しいなら赤色、寂しいなら青色、心配事があれば灰色、といった具合だ。
便利なものではあるが、いいことばかりとは限らない。
小さい頃からオーディションでは面接官の感情ばかりに目が行ってしまった。
自分の行動に対して露骨に嫌な色を出されれば、みるみる自信がなくなっていった。
誰にも言えない秘密。
天真爛漫に話し、目を輝かせているあの子。
その胸には嬉しい赤や悲しい紫や興味津々の黃など、色が目まぐるしく変化していた。
なのに……
その奥に常に映っている灰色。いや、もはや濃すぎて鈍色といったほうが正しいか。
その色を、見て見ぬふりはできなかった。
なにか困っていることがあれば手を差し伸べ続けたが、その色は変わるどころかより深まっていった。
1年生の東京大会予選前、私はついに原因を聞いてしまった。
ラブライブで負けたら、帰国しなければならない。
あの子は巨大な不安と戦っていたのだ。
なのにあの子は………
「Liella!のセンターにふさわしいと思ったからデス!」
鈍色の上に灯るのは強い期待の緑色。
お世辞だと疑うこともできない自分の呪いに、すこしだけ感謝をした。
「ありがとう、可可。」
そう言ったときにあの子の胸に灯った赤色を見逃さなかった。
しかしあの子の灰色は少しずつ濃くなっていった。
その色が何を意味するのかわからないが、態度を見れば良い感情ではないのだろう。
でも、私は心配することを止められなかった。
「可可は、みんなと楽しく歌っていたいのデス……」
そう言ったあの子に映る色はもう真っ黒になっていた。
勝つために。あの子のために。
その行動でどんどん暗くなっていくみんなの色にも、私は耐えなければならなかった。
それでも神社に訪ねてきた1年生4人の胸の前の色が緑だったのを見て、こんないい子たちになんてことをしてしまったのだと思った。
結局、部員みんなに迷惑をかけながらぶちまけた思いは、
「大嫌いで、大好きデス。」
あの子の灰色にヒビを入れた。
一緒にご飯を食べているとき。一緒に衣装を考えているとき。
そのことを嬉しく思いながらも、灰色のヒビの間から覗く青っぽい色が気になった。
やはり奥底には寂しさがあるのだろうか。そう思い、できる限り一緒に過ごした。
みんなで作り上げた完璧な舞台。
メンバーの胸の前には不安などなく、幸せな赤色が灯っていた。
観客たちの楽しそうな嬉しそうな色に背中を押され、最高の舞台を作ることができた。
かわりに中心に輝く鮮やかなパステルブルーが灯っていた。
「すみれ、なにジロジロ見てるデスか。」
「み、見てないわよ。」
それからというもの、ついついそのきれいな水色を見てしまうようになった。
その色を見ているだけで、幸せの感情が溢れ出てしまう。
こんな気持ちにさせてくれることを、自分の呪いに感謝した。
せめて顔にだけはでないようにしないとね。
この幸せは、私だけの秘密。
まったくすみれは。
あれだけ可可の問題で心配しないように遠ざけていたのに。
勝手に心配して、どんどん表情も暗くなっていって。
なのに東京大会が終わってからというもの、こんなに浮かれた表情をして。
本当によかったです。だって……
「灰色がすっかり消えて、きれいな赤色が溢れ出てマスよ?」
「…………………え?」
いい読後感
文章だけど読みにくくなかったしよかった
最初はセリフ方式で考えていたのですが、あまりにもすみれ視点すぎてやめました
秘密ってテーマすごく素敵なのでまた何か書きたいです
オチがいいね
オチが素晴らしい
よすぎる
お疲れ様ありがとう
クゥすみありがとう
うまいオチ
運命の赤い色