かのん「マ、マンマルが逃げちゃった…!」【SS】
かのん「え? 見てないけど…店の方にいないの?」
ありあ「うん、朝から一回も見てない。昨日の夜はお姉ちゃんの部屋にいたよね?」
かのん「うーん…いた気もするし、いなかった気も……ホントだ、止まり木にも棚にもいない…」
かのん母「かのん、昨日窓開けて寝てなかった?」
かのん「…………ちょっと開けてたかも」
ありあ「お姉ちゃん!!!!」
かのん「ひぃっ! 探してきますー!」ダッ
ありあ「も~~~!!!」ダッ
かのん母「あっ! 二人とも、GPS着けたのちゃんと覚えてるかしら…」
かのん「うーん…とりあえず友達に聞いて回ってみる!」
~たこ焼きキッチンカー~
千砂都「あ、かのんちゃんとありあちゃん! たこ焼き買いに来てくれたの?」
かのん「いやぁ…ちょっとね…」
ありあ「実は今朝マンマルが逃げちゃったみたいで…何か知りませんか?」
千砂都「思ったより大変な事態だね…あ、だからか!」
かのん「え!? 何かあったの!?」
千砂都「うん! 実はさっきね、マンマルとお散歩したんだ!」
ありあ「お、お散歩…?」
かのん「なんで…」
千砂都「へ?」
かのん「な゙ん゙で捕゙ま゙え゙どい゙でぐれ゙な゙がっ゙だの゙ぢぃ゙ぢゃ゙ん゙~゙!!」
千砂都「あ、あはは…ごめんね、幸せすぎて違和感に気づけなかった…」
ありあ「ダメだこりゃ…」
ありあ「とは言ってたけど、ほとんど手がかりなしだね…」
かのん「いや、30分前ならこの辺りにも見た人はまだいるかも。とりあえず聞き込みしよう!」
ありあ「っと、あの人は…」
かのん「恋ちゃん!」
恋「あら、かのんさんにありあさん、奇遇ですね」
かのん「ねぇ恋ちゃん、今マンマル探してるんだけど、どこかで見なかった?」
恋「マンマルですか? それなら先ほどまで私の腕に止まっていましたよ」
ありあ「え!?」
かのん「なんで捕まえといてくれなかったの恋ちゃん…!」
恋「…はっ! 申し訳ありません…あまりに突然の出来事だったのでご連絡することすら頭から抜け落ちていました…」
ありあ「それより大丈夫でした? 怪我とか服とか…」
恋「はい、とても優しく掴んでいただいたので、問題はありませんでしたよ。チビがいるので犬の可愛さはよく知っていますが、鳥さんもいいものですね」
かのん「それで、マンマルが飛んでいった方向覚えてる?」
恋「それなら向こうの方へ、おそらく可可さんのご自宅の方向かと」
かのん「ありがとう恋ちゃん! それなら可可ちゃんの家に行ってみよう!」
可可「はぁ…サニパ様のパフォーマンス、その輝きは永遠デス…!」
カンカン
可可「…? 窓からノック音が…虫が当たってる音デショウか?」
カンカン
可可「…イヤ、そんな音じゃありまセンね…もしフシンナヒトならこの中国四千年の拳法で…!」
シャッ!
マンマル「ホッホッホー」
可可「…マンマル?」
可可「わぁ! マンマル、ダンスがとってもお上手デス! かのんのダンスを見て覚えたのデスか?」
マンマル「ホッホー」
ありあ「マンマル…? あ、お姉ちゃん上! あの家のベランダ!」
可可「オヨ? かのんに妹サン、こんにちはデス~!」
かのん「可可ちゃん! そのマンマル捕まえて!」
可可「ふぇ? ハッ、もしやマンマル脱走者デスか!? それはいけまセン、大人しくかのんの下に戻るデス!」ダキッ
マンマル「ホッホー!」バサッ
かのん「可可ちゃん!?」
ありあ「危ない!」
可可「お、落ちるデス~! 请帮我~! 上海の家族、Liella!のみなサン、サニパ様、先立つ不幸をお許しクダサ──」
マンマル「ホー!」グイッ
可可「…イ?」ストン
かのん「ナイスマンマル!」
可可「もしやマンマル、助けてくれたデスか? マンマル、いやマンマル様! あなたは命の恩人デス!」
マンマル「ホッホー」
マンマル「キュイッ!?」バサバサッ!
可可「啊! すみまセン、逃してしまいまシタ!」
かのん「いや、可可ちゃんが引き留めてくれたおかげでやっと姿が見えたよ! ありがとう!」
可可「マンマルはすみれの神社の方に向かっていきまシタ! 急ぐデース!!」
ありあ「はぁっ、一体どこまで逃げる気なの!?」
かのん「はぁっ、はぁっ、すみれちゃーん!」ダッダッ
すみれ「アンタねぇ…あんまり境内で走るもんじゃないわよ?」
かのん「ご、ごめん…それよりマンマル見なかった?」
すみれ「はぁ? なんでアンタが知らないのよ…ってまさか!」
ありあ「はい…マンマル逃げちゃったみたいで…」
すみれ「……アンタねぇ!」
かのん「ひっ!」
すみれ「大事な家族って言ってたのはどこの誰よ!? どうせアンタのことだから窓開けたまま寝たりしたんでしょ、少しは命を預かるって意識を──」
かのん「お、お説教はあとでたくさん聞くから、とりあえず今は勘弁して~!」
かのん「うーん、この神社の方に飛んでいったのは見たんだけど…」
すみれ妹「お姉ちゃーん!」
すみれ「なに? 今大事な話を──」
すみれ妹「あっちの木の上に野生のフクロウいた!」
かのん「ええっ!?」
すみれ妹「お姉ちゃん、渋谷にも野生のフクロウっているんだね」
すみれ「いるわけないでしょ…この二人の家で飼ってるペットよ」
かのん「マンマル~、降りてきて~…?」
すみれ「ほらアンタも! マンマルー! 降りてきなさいったら降りてきなさい!」
すみれ妹「ま、マンマルー!」
マンマル「ホッホー」バサッ
すみれ妹「ひゃっ!」
ありあ「い、妹さんの腕にマンマルが!」
すみれ妹「か、可愛い…!」
マンマル「ホッホー!」バサバサッ!
すみれ妹「わぁっ!」
かのん「ああっ、また!」
すみれ「おバカ!」
すみれ妹「だ、だって~!」
ありあ「全部終わったらウチの店に来てよ、いっぱい可愛がらせてあげるから!」
すみれ「あっちは…渋谷の方向ね。死ぬ気で追いかけなさいったら追いかけなさい!」
かのん「し、渋谷…」
きな子「ひぇ~…人が多いっす~…」
夏美「きな子、人混みに弱すぎですの」
きな子「北海道にこんなに人が集まる場所ないっすから…」
夏美「否定も肯定もしづらいこと言うのはやめますの…。というか、冬毬とマルガレーテはどこに行ったんですの~?」
きな子「ああ、猛禽がきな子の上を旋回してるっす…きっと弱ってるきな子を狙ってるんす~…」
夏美「猛禽って…ここは東京のど真ん中ですの、どうせ見間違いに決まって──ほ、ホントに飛んでますの…」
きな子「トビさんっすか、タカさんっすか…食べてもいいっすから痛くしないでくださいっす~…」
夏美「ん~、でもそれにしては丸っこいフォルムですの。そう、まるでかのん先輩ちのマンマルのような…」
ありあ「言ってる場合!? お姉ちゃんのせいなんだからね!」
夏美「噂をすればですの」
きな子「こんにちはっす~…」
ありあ「あっ、ちょうどいいところに! マンマル見ませんでした?」
夏美「…もしかして、きな子の上で飛んでるのってホントにマンマルですの?」
かのん「きな子ちゃんの上? あー!」
マンマル「ホッホッホー」バサッバサッ
きな子「流石、小さくてもフクロウさんっすね…」
夏美「って、きな子の上からどんどん離れていってますの!」
ありあ「あぁもう、次はどこ行くのー!?」
かのん「そうだ、きな子ちゃん! きな子ちゃんの特技でマンマルが逃げてる理由を聞いてもらえないかな?」
きな子「ええっ!? き、きな子なんかがお役に立てるかどうか…」
かのん「ううん、これはきな子ちゃんにしかできないことだよ!」
きな子「…わ、わかったっす! とにかくマンマルを追いかけるっす!」
夏美「ん~、面白そうだからついていきますの♪」
メイ「なぁ四季、亀に散歩って必要なのか?」
四季「した方が良いけど、必須じゃない。亀の散歩自体はメイと会うための口実」
メイ「お前なぁ…」
ヴー ヴー
メイ「ん、グループチャット…きな子と夏美からだ」
きな子『かのん先輩の家のマンマルが逃げちゃったみたいっす! 見つけたらここに報告してほしいっす!』
夏美『捕獲者にはかのん先輩から報奨マニーが…!』
きな子『マニーは出ないっす!』
メイ「これ、結構マズいんじゃないか…?」
四季「コノハズクはフクロウの中でも小型種だから、体力は少ないし天敵にも襲われやすい。早めに保護してあげないと」
メイ「だよな…つっても、マンマルが行きそうな場所なんてわからねぇしって、うおおおッ!?」ビュンッ!
マンマル「ホー」バサッバサッ スタッ
四季「捕獲対象発見。メイ、大丈夫?」
メイ「私のことはいいから、早くチャットに場所送れ! あれ多分休憩モードだろ、このチャンス逃したら…!」
四季「わかってる。きな子ちゃんたち、すぐ来るって」
かのん「四季ちゃんメイちゃん、本当にありがとう!」
四季「まだ捕まえたわけじゃない、油断しちゃダメ」
ありあ「はぁっ…はぁっ…みんな速すぎ…」
メイ「でも、こっからどうすりゃいいんだ? 下手に刺激したら逃げちまいそうだし…」
夏美「こういうときは餌で釣るんですの! 誰かそれっぽいもの持ってませんの?」
四季「亀用の顆粒餌ならある」
ありあ「多分それじゃ釣れないと思います…マンマルの主食ネズミとかなんで…」
メイ「ね、ネズミ食べるのか!? ちょっと見る目変わるな…」
夏美「…よく見たら、四季の亀のことめちゃくちゃ見てますの」
四季「っ! ダメ、この子は…!」
メイ「四季、私の後ろに下がってろ。見えなきゃ少しはマシだろ」
きな子「こうなったらきな子の出番っす! マンマル、どうしてかのん先輩から逃げるっすか!」
かのん「きな子ちゃん、頑張って…!」
マンマル「……」
きな子「お、教えてくれたら嬉しいっす!」
マンマル「……」
きな子「……っす~…」
マンマル「……」
きな子「ひ、一言も喋ってくれねぇっす~…」
夏美「コミュニケーション拒否られてますの…」
マンマル「キュイ…」シュッ
かのん「あ…!」スッ
きな子「かのん先輩…?」
かのん「ごめんねマンマル、私のせいで怖い思いさせちゃったよね。もう大丈夫だから、一緒に帰ろう?」
マンマル「…ホー」バサッバサッ ギュッ
「おおっ…!」
夏美「マンマルが帰ってきましたの!」
四季「流石かのん先輩」
メイ「かのん先輩の愛を感じる優しい言い方と、それにちゃんと応えるマンマル…! なんて美しい関係…!」
きな子「ふんふん…マンマルもすごく反省してるみたいっす!」
ありあ「もう…お姉ちゃん、今度は絶対離しちゃダメだよ?」
かのん「わかってるって! さ、みんなで帰ろ!」
千砂都「うぃっすー! マンマル見つかったんだって!?」
恋「気になってみんなで様子を見に来てしまいました」
可可「ククもいマス!」
かのん「ちぃちゃん、みんな! いらっしゃい!」
すみれ「二期生のみんなまで巻き込んで…ホントに人騒がせなんだから」
千砂都「お、妹ちゃん見る目あるね~!」
恋「実は私も…先ほどからマンマルのあの温もりと重さが忘れられず…!」
可可「マンマル様はククの命の恩人デス! 今度の新曲はマンマル様を称える歌とステージを…!」
すみれ「アンタはなにがあったのよ…」
マンマル「キュイ…」
四季「マンマル、モテモテ」
きな子「はいっす! かのん先輩はすっげー怒られちゃってたっすけど…」
かのん「うぅ…」
ありあ「当然です! まぁ、私もGPSのこと忘れてたから、あんまりお姉ちゃんのこと言えないけど…」
夏美「でもそのおかげで四季の超激レア反応が見れましたの!」
メイ「そうだな、あんなに焦ってた四季は初めて見た」
四季「あれは……忘れて」
夏美「そんなこと言われても、このスマホのカメラロールにはバッチリ残ってますの~♪」
きな子「と、盗撮はダメっすよ!?」
かのん「え、私?」
すみれ「そうよ…アンタさっき『お説教はあとでたくさん聞く』って言ったわよねぇ?」
かのん「ええっ!? い、いやでも、この件に関してはすでにすみれちゃんの分まで叱られたというか~…」
すみれ「じゃあ別件よ別件! これに限らずアンタには言いたいことが山ほどあるんだから!」
かのん「り、理不尽だよぉ~!」
千砂都「うーん…実は私もかのんちゃんには言いたいことが…」
かのん「ちぃちゃん!?」
かのん「私なんかしたっけ!?」
きな子「実はきな子も…」
メイ「というか、メンバー全員かのん先輩に言いたいことはあるだろ」
四季「同意」
夏美「これは貴重映像! 人たらしが裁かれる瞬間、鬼バズ間違いなしですの!」
かのん「ひ、人たらし!? ありあも見てないで助けてよ~!」
ありあ「たまにはいいんじゃない? いい薬になるよ」
可可「お説教される人は正座するものと聞きマシた! さぁかのん、そこに直るデス!」
かのん「ひぃぃっ!? もう、お説教は勘弁して~!!」
「あはははははっ!」
これを書くためにフクロウの脱走(ロスト)について調べてたら思ってたよりずっとシャレにならない事態すぎて一瞬書くの躊躇いました
ペットの脱走対策は万全に
ちなみにマンマルが脱走したのはなにゆえ?
日常感あってよかったわ
引用元:https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1694269968/
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