【SS】花帆「あたしたち、付き合ってどれくらい経ちましたっけ?」梢「今日で35日目ね」【ラブライブ!蓮ノ空】
花帆「きっちり覚えていてくれたみたいで嬉しいです」
梢「当然でしょう、大切なことだもの」
花帆「ということで、梢センパイとお付き合いしてから35日経ったんですけど」
花帆「……まだキスはしてくれないんですか?」ジッ
花帆「ここは梢センパイのお部屋なので、誰かに見られる心配も無いですよ?」
梢「それは……」
花帆「それは?」
梢「違うのよ……違うの」
花帆「返事の第一声がそれって、なんだか浮気がバレた時の言い訳みたいですね……」
梢「浮気だなんて、断じてしていないわ!」
花帆「それは分かってます、けど……」
梢「けど、何かしら?」
花帆「梢センパイ、モテるからなぁ……」
梢「それを言うなら花帆さんだって――」
梢「いいえ、止めましょう……そもそも悪いのは私なのだから」
花帆「そうですよ、梢センパイがいけないんですからね!」プンスカ
梢「…………」
花帆「告白の時のこと、覚えてますか?」
梢「ええ、勿論」
花帆「“あたしから”勇気を出して告白しましたよね?」
梢「……そうね」
花帆「そうしたら梢センパイは優しく受け入れてくれて……そこまでは良かったんです」
花帆「いい感じの雰囲気だったんで、キスしちゃおうと思って顔を近づけたら」
花帆「……あの時、何て言ってましたっけ?」
梢「…………」
梢「後輩にリードさせてばかりでは立つ瀬がないから、これは私から……と」
花帆「ですよね?そう言ってましたよね?」
花帆「でもまだ心の準備が――みたいなこと言って、日を改めてってことになりましたよね」
梢「……そうね」
花帆「日を改めに改めて35日も経っちゃいましたよ?」ジーッ
花帆「心の準備に一ヶ月以上かけたってことは、もう相当整ってるはずですよね?」
花帆「大掃除の直後くらいには整ってるはずですよね?」
梢「うっ……」
花帆「花帆は思うのです……あたしの運命の人は、もしかして梢センパイじゃなかったんじゃ――」
梢「それは違うわ」
花帆「違うんですか?」
梢「それだけは、断じて、違うわ」
花帆「じゃあキスしてくれますか?」
梢「…………」
花帆「ふーん……ぽちっ」スマホポチッ
梢「花帆さん……?」
FM花帆『はいカットー!』
梢「っ!?」ビクッ
FM花帆『梢センパーイ!運命の人、本当に出会えるんでしょうか?』
梢「花帆さん」
FM梢『どうかしら?実はもう既に出会っているかもしれないわよ?』
梢「止めて」
花帆「…………」
FM花帆『え?どこどこ?』
梢「花帆さん」
FM梢『ほら、目の前に』
FM花帆『梢センパイ……!』
梢「花帆さん、今これは止めて」
花帆「ごめんなさい、ちょっと楽しくなっちゃってました」ポチッ
花帆「それじゃあ一旦、前向きな話をしましょう」
梢「と言うと……?」
花帆「あたし結構スキンシップとか好きじゃないですか?」
梢「そうね」
花帆「梢センパイと付き合ってから、『あっこれ良いな』って思ったスキンシップを挙げていきますね」
梢「そんな事をしていったい何の意味が……?///」
花帆「普段あたしたちが、どれくらいイチャイチャしてるかを振り返ることで」
花帆「ちゅーするのはまだ早いかどうか!ってのを判断してみましょう」
梢「イチャイチャって……///」
花帆「それじゃあ最初は……やっぱり一番多い手繋ぎですかね」
花帆「梢センパイ、今テンション高いんだろうなーってときは恋人繋ぎしてくれるのが、なんだか可愛くて好きですよ」ニコッ
梢「…………///」
花帆「あとはこうしてお部屋で一緒に居るときに、梢センパイのお膝の上に失礼することがあるじゃないですか?」
梢「ええ」
花帆「あのときに後ろからお腹に手を回して、抱っこしてくれるのも結構嬉しいですね」
梢「言われてみればほぼ無意識だったわね、クッションのような感覚というか……」
花帆「むむっ!誰がぷにぷにクッションですか!」
梢「誰もそんなことは――」
花帆「ちゃんと愛情を込めて抱っこしてくれないと怒っちゃうんですからね!」プンスカ
梢「……ごめんなさい」
花帆「わかれば良いのですっ」フンスッ
花帆「あとあたし結構ハグしちゃってると思うんですけど」
花帆「梢センパイっていつ抱きついてもウザがったりしないので、そこはとっても安心できますね」
梢「花帆さんに抱きつかれて、嫌な人類なんて存在するのかしら……?」
花帆「あはは……そう言ってもらえるのは嬉しいんですけどね」
花帆「なんかこう……あるじゃないですか?『今そういう気分じゃない』みたいなタイミング」
花帆「そういうときに甘えに行って冷たくされちゃうと、次から遠慮しちゃいそうなので」
梢「私の場合はむしろ逆ね」
梢「虫の居所が悪いような時ほど、花帆さんの笑顔を見ると心穏やかになれるもの」ニコッ
花帆「梢センパイ……///」
花帆「それじゃあ今、ぎゅーってしてもらっても良いですか?///」
梢「ええ、もちろん」ギュッ
花帆「あったかい……」ギュゥッ
梢「花帆さん……///」
花帆「…………んーっ♡」キスガオ
梢「そっ、そろそろお茶にしましょうか」バッ
花帆「むー……逃げた」ムスッ
梢「人聞きの悪いことを言わないの」
梢「ほら、準備するから手伝って頂戴」
花帆「はーい……」ムスッ
花帆「……そういえばこの段ボール、前からここにありますよね」
花帆「梢センパイがこういうの放ったらかしにしてるの珍しいですね?」
梢「それは……ずっと探していたティーセットが、ようやく見つかってね」
梢「何とかして取り寄せたのだけれども……」
花帆「あ、わかった!手に入った時点で満足しちゃったやつですね!」
花帆「あたしも本をいっぺんに買い過ぎちゃったときに、よくあるんですよね」
梢「それとはまた少し違う……かしらね」
花帆「そうなんですか?」
梢「一番の理由は……怖いのかもしれないわ」
花帆「……?」
梢「万が一傷つけてしまったらどうしよう、あまつさえ割ってしまったら」
梢「もちろんそんな乱雑に扱うつもりは、微塵も無いのだけれど」
梢「時間が経てば経つほど、余計なことを考え過ぎて動けなくなってしまって……」
花帆「あー……なるほど」
花帆「うーん……」
花帆「あたしだったら……あたしだったらですよ?」
花帆「いつかは欠けちゃったり、割れちゃったりもするかもですけど」
花帆「それでもやっぱり、使ってもらえた方が嬉しいな……って思っちゃいます」
梢「その言い様だと、まるで花帆さんがティーセットのようね」
花帆「ん……?あれ……?あははっ!ホントですね、変なこと言っちゃいました」
梢「…………」
――――
――
花帆「ふぅ、ごちそうさまでした!」
梢「お粗末様でした」ニコッ
花帆「お片付け手伝いますねっ!」
梢「ああ、良いの、後でやっておくから気にしないで」
花帆「そうですか……?それじゃあお言葉に甘えて」
花帆「…………」
梢「…………」
花帆「それじゃああたし、そろそろ戻りますねっ」
梢「えっ、でも……」
花帆「ああ、キスですか?……今日のところは見逃してあげます!」フンスッ
花帆「おかげさまで待たされるのは慣れっこですからね!大丈夫ですよ」アハハッ
梢「……!」
花帆「それじゃあ梢センパイ……また明日」
梢「…………」
梢「……待って!」ドンッ
花帆「きゃっ!……こ、これが噂の壁ドン///」
花帆「ていうか梢センパイ、いきなりなん――」
梢「…………っ」チュッ
花帆「っ!?///…………ぷはっ///」
花帆「い、いきなりだったから息止めちゃった……///」
花帆「それより何ですか急にっ!?///さっきまで散々渋ってたくせに!///」
梢「……去り際のあなたの顔を見たら、身体が勝手に動いていたの」
梢「まるでかつての自分を見ているようで、居ても立っても居られなかったわ」
花帆「…………」
梢「本当はそんな顔をさせる前に、一歩踏み出すべきだったのに――」
花帆「ストップストーップ!せっかくのファーストキスなんですから!」
花帆「“ごめんなさい”で塗り固めちゃったらもったいないですって!」
梢「それは……」
花帆「ごめんなさいのちゅーはもらいましたから、次はこれからよろしくのちゅーをお願いします♡ねっ?♡」
梢「…………///」チュッ
花帆「……んっ♡///ちゅっ♡///」
花帆「えへへっ♡ごちそうさまでした♡///」
梢「お粗末……様でした///」
花帆「……ホントに、そんなに気にしてもらわなくても良かったんですよ?」
花帆「ただ、最初は恥ずかしくて渋ってるだけなんだろうなー、くらいにしか考えてなかったんです」
梢「…………」
花帆「だからそれっぽい雰囲気作って、もうあたしからキスしちゃおうとか思ってたんですよ?」
花帆「でも話してる内に、そんな簡単な理由だけじゃないのがわかったので」
花帆「これは梢センパイからしてもらわないと、意味がないんじゃないかなって思ったんです」
梢「花帆さん……」
花帆「自分では平気なつもりだったんですけど、あの梢センパイをここまで動かしたってことは」
花帆「きっとあたしの“大丈夫”も大丈夫じゃなかった、ってことなんですかね」アハハ
梢「それなら今はどうかしら?無事にキスもしたことだし、少しは――」
花帆「えっ?全然満足してませんけど……」
梢「えっ……」
花帆「『えっ』じゃないですよー!これだけ待たされたんだから、当たり前じゃないですか!」プンスカ
花帆「これからたーっくさん埋め合わせしてもらうので、覚悟して下さいね?♡」
花帆「…………♡」チュッ
梢「んっ……///」
梢「これは、一朝一夕にはいかないみたいね……///」
――――
――
花帆「梢センパイ、こんにちはっ!」ガチャッ
梢「いらっしゃい、花帆さん」
花帆「…………」ジーッ
梢「そんなところで立ち尽くして、どうしたのかしら?」キョトン
花帆「こんにちはのキスは無いんですかっ?♡」
梢「あら、それならお邪魔しますのキスが先でしょう?」クスッ
花帆「むーっ……梢センパイ、なにかとあたしからキスするように誘導してきますよね」プクーッ
花帆「まぁ良いんですけど……」
花帆「…………んちゅっ♡」
梢「…………んっ♡」
花帆「最初の頃はキスするときに少し屈んでくれたのに……いつの間にか、してくれなくなりましたよね?」
梢「それは……花帆さんからキスをするときに、少し背伸びをするでしょう?」
梢「その様子がどうにも可愛らしくて、つい……///」
花帆「…………」
花帆「梢センパイの着眼点って……なんか工 ですよね」ジーッ
梢「なっ……///」
梢「……思い返してみれば、付き合いだしてからの花帆さんは」
梢「私への当たりが徐々に、強くなってきている気がするのだけれど……」
花帆「えーっ?そんなこと無いですよ?♡」ニコッ
梢「出会った頃の花帆さんなんて、まるで雛鳥のように後を付いてきて」
梢「私の一挙手一投足に目を輝かせてくれて、可愛らしかったのに……」グスン
花帆「ぴよぴよ、今の花帆は可愛くないですぴよ?♡」
梢「……花丸よ///」
花帆「梢センパイ、だーい好きっ♡」ギュッ
梢「こほん///……立ち話もなんだし、お茶にしましょう」
花帆「はーいっ!……あ、このティーセットって――」
梢「ええ、この前花帆さんと話をしたときのものよ」
梢「……今日の為に下ろしてみたの」
花帆「えーっ!カワイイしオシャレだし、流石は梢センパイが選んだだけはありますねっ!」
花帆「やっぱりこんな良いものを、しまったままにしておくなんて勿体ないですよ!」
花帆「……って、あたしは思うんですけど、梢センパイは?」
梢「えっ?」キョトン
花帆「その……後悔してたりしないかなって、思いまして」モジモジ
梢「ふふっ、そんなことないわ」
梢「……本当に、良かった」ニコッ
おわり
10スレ目記念に過去のやつかき集めて来ました
粗製濫造ではありますがこの機に見てもらえたら嬉しいです
梢「花帆さんっ、来て来て!こっちこっち!」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1690713013/
花帆「7月度Fes×LIVEお疲れ様でした!」梢「ええ、お疲れ様」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1690977512/
花帆「今夜、梢センパイのお部屋にお泊りしに行っても良いですか……?」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1691406680/
花帆「じゃじゃーん!梢センパイに選んでもらった水着!どうですかっ?」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1691754730/
花帆「梢センパイ、星が綺麗ですね」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1691932645/
梢「花帆さんのいない日」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1692278659/
梢「にゃにゃにゃにゃにゃ」花帆「うーん……?」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1692511172/
梢「花火をしましょうか」花帆「え?花火?」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1693134487/
梢「えーえすえむあーる……?」花帆「やってみませんか?」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1693738417/
かほこずたすかる
素晴らしいわ
あなただったのね
素晴らしいわ、はなまるよ
乙
終始ニヤニヤする
ちょっぴり小悪魔な花帆さんが可愛いわね
なるほど神じゃねーの乙
とても素晴らしかったのだけれど!
引用元: https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1694344416/