亜里沙「ねぇ、お姉ちゃん、優しさって何なのかな」
代行ありがとうございます。
亜里沙 「うん……あのね? テレビ見てたの」
絵里 「うん」
亜里沙 「でも暗いニュースばかりで……気持ちまで暗くなっちゃって……」
絵里 「……」
絵里 「そっか、おいで亜里沙」
亜里沙 「……うん」 タタタ
亜里沙 「……」
絵里 「亜里沙は、本当に良い子だわ。私の自慢の妹よ」
亜里沙 「……」
絵里 「でも良い子すぎて、悲しいニュースをスルーできないのね……」
亜里沙 「……ダメなのかな」
絵里 「! そんなことないわ! たしかに、世の中をうまく生きていくために、他人事として目を伏せることも大事なのかもしれない。いちいち悲しいニュースに心痛めてたらキリがないもの」
亜里沙 「……」
亜里沙 「……でも、亜里沙はきっと弱いんだよお姉ちゃん。だって、周りに優しい人はたくさんいる。お姉ちゃんもすごく優しいもん。でも、お姉ちゃんは私に弱いところをあまり見せなかったから。それこそμ’sに入るときくらいだもん。だからきっと亜里沙が」
絵里 「ううん、亜里沙、違うの。人のために涙を流せるのは強さなのよ、強いからできることなの。たしかに優しくてもニュースで涙を流さない人はいる、でもそれは悪いことじゃない。辛いことがたくさんあると、きっと、自然にそうなっていくんだと思う。自分の心を壊さないためにも」
亜里沙 「……」
亜里沙 「……そう、なのかな」
絵里 「うん、きっと……そうなのよ」
亜里沙 「……」
絵里 「……」
亜里沙 「……昨日、クラスメイトのね、人がね、別のクラスメイトの人の悪口を言ってたんだ」
絵里 「!」
絵里 「……」
亜里沙 「雪穂も一緒に怒ってくれた。でも、雪穂は相手にも気を使ってるみたいだった。悪口を言った相手に気を使うなんて、って後で雪穂に問い詰めたの。そしたら」
雪穂 『でも亜里沙。言い過ぎちゃったら、今度は私たちが、相手を傷つけちゃうよ』
亜里沙 「……そう言われたとき」
絵里 「……」
亜里沙 「分かんなくなっちゃった。優しさって何なのかな、って」 ポロポロ
絵里 (亜里沙……)
絵里 「……でも亜里沙は間違ってないわ。もちろん、雪穂ちゃんも間違ってない」
亜里沙 「だ、だけど」
絵里 「寛容は不寛容に勝てない、そういう言葉があるわ。そして、この世界では正義としての刀が何より恐ろしいとも言われてる。結局、優しさっていうのは大人になっても分からないことだらけなのよ」
亜里沙 「……」
亜里沙 「お姉ちゃん……」
絵里 「結局、今言えることはそれだけ、それ以上は、大人になっても分からないことだから、そう曖昧になってしまうけど。でもひとつだけ言わせて? 亜里沙」
亜里沙 「……うん」
絵里 「何もかもすべて気にしてたら生きていけない。でも、他人事でスルーして生きるのもまた違うの。亜里沙、優しさはね、何よりも大事なことなの。だから大切にして。亜里沙の笑顔も、亜里沙の大切な人の笑顔も、守るためにね」
亜里沙 「……」
亜里沙 「……」
絵里 「ね?」
亜里沙 「……うん。ありがとう、お姉ちゃん」
絵里 「……ふふ、どういたしまして」
絵里 「……」
亜里沙 「ごめんお姉ちゃん。なんか温っぽくなっちゃったね」
絵里 「亜里沙、多分、それは湿っぽくなっちゃったが正解よ。お湯が冷めちゃうから」
亜里沙 「……今日は久しぶりに一緒に寝ても良いかな」
絵里 「もちろん! せっかくだから昔みたいに私が絵本読んであげよっか?」
絵里 「もちろん。かしこいかわいいエリーチカに任せなさい!」
亜里沙 「やったーーー!!」
絵里 「じゃあこの本にしようかしら。むかしむかし……」
…
…
…
亜里沙 「……」 ウトウト
絵里 「ふぅ、久しぶりに読んだら思ったよりも疲れたわね、って亜里沙?」
亜里沙 「うぅ……おねえちゃ……zzz」 スピースピー
亜里沙 「ありがとぉ……おねえちゃん……zzz」 スピースピー
絵里 「ふふ、こちらこそ……。いつもありがとね、おやすみ亜里沙」 ニコッ
おわり
亜里沙が感受性強そうなのわかりすぎる
今なにもかもが暗い世の中、明るい気持ち・優しい気持ちの大切さが改めて身に染みます。ということでそれをテーマにssを書いてみました。
亜里沙ちゃんの優しさ、絵里ちゃんの優しさ、やはり姉妹の絆は素敵です。
前作
希 「真姫ちゃんにちょっかいをかけるの巻」
前々作
海未 「山に行きますよーー!」 穂乃果・ことり 「「いえーーーい!!」」
貴重な絢瀬姉妹SS、最高でした!ありがとうございます!kawaii!