【SS】せつ菜「顧問……ですか……?」
随分前に書いたやつですが、これの続き的なやつです。
とはいっても読んでなくても何とかなると思います。OVAは観てたほうがいいかも。
かすみ「うん?禊ですかぁ……?」ニシシ
歩夢『いま私は八丈島へ来ています!先ほどお話を伺った、島へ帰省で訪れていたという女性は、視界が悪くて家へ帰る道が分からなくて困った、とおっしゃっていました。』
かすみ「多分、晴れてても帰れないですよ、その人。」モグモグ
かすみ「……。」コーヒーゴクゴク
かすみ「うん!!今日もかすみんのパンは美味しいですね!!」エッヘン
せつ菜「おはようございます!!かすみさん!!今日はカレーパンとメロンパンと焼きそばパンと……」
かすみ「おはようございます、せつ菜先輩~!って、せつ菜先輩よく食べますねえ!高校のときそんなことなかったですよね?かすみんはありがたいですけど……」
せつ菜「はい!今から食べる朝ごはん用とお昼に食べる用で全部で五つです!!体力勝負の仕事なんで!!」ペカー
かすみ「……それだけ食べてこのプロポーション維持できるから羨ましいですねぇ……」グヌヌ……
せつ菜「ありがとうございます!……あ、そうだ!そういえば、もうすぐ文化祭なんで、よかったらかすみさんも来てください!!私のクラスはたこ焼きの模擬店をやるんですけど、当日は私も焼くので是非……!!」
かすみ「えぇ……それ本当に大丈夫なんですかぁ……?」
せつ菜「……?どういうことですか?おっと、もうこんな時間です!そういえば今日は全校朝礼でした!それではまた!!」ピュ~ン
かすみ「相変わらず台風みたいな人ですねぇ……。」
生徒①「さようなら~」
せつ菜「はい!さようなら!」
生徒②「中川先生、今日の授業でよくわからないところがあったんですけど……」
せつ菜「はい、それでしたら明日授業の前にもう一度説明しますね!」
不良生徒①「じゃあな、菜々ちゃん。」
せつ菜「もうっ!!中川先生、ですよ!!」メッ
不良生徒①「はいはい、あんまり怒ってると彼氏できないぜ、菜々ちゃん。」フリフリ
せつ菜「こらっ!だから中川先生、って……もう、気を付けて帰るんですよー!?……ところで私って舐められてるんですかね……」シュン
せつ菜「おっと、こうしてはいられません!!早く部活へ……」
「そこ、ステップ遅れてるよ!!」
「あっ、ごめん!!」
せつ菜「おや……?」
せつ菜「……。」ジィッ……
せつ菜「あ、いえ!すみません、続けてください!」
「いや、あの……!!」
ピンポンパンポン……
『陸上部顧問のなな……コホン……中川先生!!早く校庭まで来てくださーい!!』キーン
せつ菜「なっ、呼び出し!?我が部員ながら狡猾ですね……では!失礼します!!」
「は、はい……」
せつ菜「すみません!!大会までもう少し、今日も頑張っていきましょう!!って、誰が菜々ちゃんですか!!」プリプリ
陸上部員②「菜々ちゃん、この前破損したハードルの買い替えの件どうなりました?」
せつ菜「ああそれでしたら、買い替え予定だったスタブロがまだ使えそうだったんで、その予算で何とかなると思います!」
せつ菜(新任のころ、未経験の陸上部の顧問を任されたときはどうなるかと思いましたが、皆さんいい子で毎日楽しいです!)ペカー
陸上部員①「菜々ちゃん早く~!!」
せつ菜「す、すみません!!位置について!!……」
せつ菜(なかなか先生とは呼んでくれませんが……)シュン
かすみ「またこの人台風行かされてる……」モグモグ
歩夢「私はいま鎌倉駅前に来ています!昨夜からの雨でJR線では運休が続いています……」
かすみ「鎌倉……しず子の実家大丈夫かな。LINEしとこう。」モグモグ
歩夢『非常に猛烈な台風10号はこの後三浦半島に上陸する見込みで、住人には避難指示が……っ!!キャーー!!侑ちゃーーん!!』ビュウウウウ!!!
かすみ「いや、普通にこれ放送事故ですよねぇ……」モグモグ
かすみ「……。」牛乳ゴクゴク
かすみ「うん!!今日もかすみんのパンは美味しいですね!!」エッヘン
せつ菜「おはようございます!!かすみさん!!今日はクロワッサンとあんパンとクリームパンと……」
かすみ「おはようございます、せつ菜先輩。あれ、ジャージ……?せつ菜先輩体育でしたっけ……?」
せつ菜「いえ!数学です!……おっともうこんな時間です!!陸上部の朝練の時間です!!」モグモグ
かすみ「ああ、そういう……ってもう食べてるし!!」
せつ菜「行ってきまーっす!!」ピューン
かすみ「行ってらっしゃーい……。せつ菜先輩、てっきりスクールアイドル部かと思ったんですけど……高校卒業できっぱり引退したあたり、せつ菜先輩らしいですねぇ。」
せつ菜「えぇっ!?顧問……ですか……?」
「はい……その……顧問がいないと部として活動出来なくて……」
せつ菜(そう、部活動の設立に関してのこの高校の校則に定められた条件、顧問。母校である虹学の校則との違いとも言えるかもしれません。)
「中川先生にスクールアイドル部の顧問になって欲しいんです!!」
スクドル部員「時間は取らせません!練習も私たちだけでやりますし……」
せつ菜「……活動中の安全のためにも、そういうわけにはいかないんです……。本当にすみません……」
スクドル部員「そう……ですか……」シュン…
せつ菜(分かってます……そんなのは言い訳……。スクールアイドル・優木せつ菜は虹学卒業と同時に封印。一つも悔いを残さずにステージを去る、それが私の拘りであり誇りでした。)
せつ菜「あの……!!顧問はお引き受けできませんが、他に引き受けられる先生がいないか探してみますね!!」
同僚教師「中川先生、これ、どうぞ。」
せつ菜「ありがとうございます。これは?すっごく美味しそうですね!」ペカー
同僚教師「この前のバレー部の遠征のお土産ですよ。」
せつ菜(皆さん、もう既に部活を持っていらっしゃいます……)ションボリ
同僚教師(笑ったり落ち込んだり忙しい人だな)
教頭「みなさん、おはようございます。こちら、今日からうちに赴任される、ALT※の先生です。」(※Assistant Language Teacherの略。要は英語の先生の手伝いをしてる外国人の先生。)
「はい、みなさん。はじめまして!ロンドンから来ました!アイラと呼んでください!」
せつ菜「あ、いましたね。」
アイラ「よろしくお願いします!!」ペコリ
せつ菜「こ、こっちへ来てください!!」グイッ
アイラ「せつ菜さん!!お久しぶりです!!」
せつ菜「お……お久しぶりですね。しかし、ここでは中川先生と呼んでいただけるとありがたいのですが……」
アイラ「ご、ごめんなさい……!」シュン…
せつ菜「あぁっ!こちらこそ、ごめんなさい!そうだ!!今日仕事終わったら飲みに行きましょう、私がご馳走しちゃいますよ!!」ペカー
アイラ「Wow!!Fantastic!!楽しみにしてますね、せつ……中川先生!!」キラキラ
愛「いらっしゃいませ~、お、せっつー久しぶり、さっきまでりなりー居たんだけどな……えぇっ!?アイラっち!?」
アイラ「はい!お久しぶりです、愛さん!」
せつ菜「たまたま私の学校で新しく働くことになったんです!あ、とりあえずレモンサワーと……アイラさん?」
アイラ「あ、わたしもそれで、お願いします!せつ……中川先生と会えてとても嬉しかったです!」
愛「はーい、ちょっと待っててね!っていうか中川先生wwww」
せつ菜「なっ、何が可笑しいんですか!?アイラさんも、学校の外ではせつ菜でいいですよ。すみません、ややこしいことを言ってしまって。」
アイラ「せつ菜……さん!!」パアァ
せつ菜「アイラさんが留学にいらしてたときにはお話しませんでしたね、実はかくかくしかじかでして……」
せつ菜「はい!スクールアイドル優木せつ菜は虹学卒業とともに封印しました!」
アイラ「そうだったんですね。」
せつ菜「ですが、最近少し悩んでることがありまして……」
愛「えぇ~、やってあげればいいじゃん。」
せつ菜「はい、もちろん中川菜々として、スクールアイドル部の顧問をすることは可能だと思いますが……その……中途半端にやりたくないんです。スクールアイドルに対して。」
アイラ「中途半端……?」
せつ菜「もちろん、教師でいる間は中川菜々でいることが適切だと思っています。ただ、中川菜々としてスクールアイドルに全力でぶつかっていけるのか、ステージに立つアイドルでなくても、大好きなスクールアイドルに関わるからには全力であるべきだと思っているんです……」
せつ菜「ただ、彼女たちがやりたいと言っているのに何も力になれないというのも……それで、あの、アイラさん……!!」
せつ菜「お引き受け、いただけませんか……?その……アイラさんなら適任かと思ったのですが……」
アイラ「school idolの……顧問!!やります!!やりたいです!!」
せつ菜「……!!よかったです、あの子たちも喜びます!!」パアァ
愛「アイラっちのスクールアイドル部か~、なんだか楽しみだね!!二人とも、もう一杯飲む?愛さんがサービスするよ~」
璃奈「え?愛さんがサービスしてくれるの?」ヒョコッ
愛「おぉ?戻ってきたな、アル中りなりー」
璃奈「アル中じゃないもん、嗜むだけ。せつ菜さんとアイラちゃんも久しぶり。愛さん、私は……」
愛「はいはい、お湯割りね。」アハハ
璃奈「アイラちゃんも飲む?ジャパニーズ焼酎、美味しいし温まる。」クピクピ
せつ菜「璃奈さん、アイラさん明日も朝から仕事なんですからほどほどにしてあげてくださいね?」
璃奈「うん、じゃあせつ菜さんも飲もう?」
せつ菜「璃奈さん、私の話聞いてましたかね……?」
生徒①「さようなら~」
せつ菜「はい!さようなら!」
生徒②「先生、この前教えてくれたお陰で小テスト満点でした!!」
せつ菜「お役に立ててよかったです!!また分からないことがあれば聞いてくださいね!!」
不良生徒②「今日どうする~?カラオケでも行かない?」
不良生徒③「いいね~、それじゃ駅前に~、あ、菜々ちゃんじゃん、いっしょに行く?カラオケ。」
せつ菜「行きません!!って中川先生!!」メッ
不良生徒②「あはは、マジウケる」ケラケラ
せつ菜「ウケません!!もう、あんまり寄り道しちゃダメですよー!?」プリプリ
スクドル部員①「ワンツースリーフォー、ワンツースリーフォー……」ギスギス
スクドル部員②「もう!また遅れてる!これで何回目!?」ギスギス
アイラ「あの……みなさん……」
せつ菜「おや……?」
ピンポンパンポン……
陸上部員『なな……中川先生、至急校庭までお越しくださーい』
せつ菜「なっ、あの子たちまた……!!校庭へ急ぎましょう。」ピューン
せつ菜「ふぅ~、今日も一日頑張りました!!そういえば今日はコンプティークの発売日でしたね、帰りに書店に……」
アイラ「……。」ズーン
せつ菜「と、思いましたが、そういえばAmazonで頼んでた気もしますね~。」チラッチラッ
アイラ「……。」ズーン
せつ菜「あの……愛さんのところ、寄って行きませんか?アイラさん。」
アイラ「せつ菜さ……中川先生……」ジワッ…
せつ菜「……もうみんな帰ったし、大丈夫ですよ?」アハハ
愛「お、せっつーにアイラっち、いらっしゃーい。」
せつ菜「こんばんは、愛さん!レモンサワーを二つお願いします。」
アイラ「よろしくお願いします……」
愛「了解~!あれ、アイラっちお悩みかい?」
アイラ「はい、それが……」
アイラ「私、もっとみんなには楽しくスクールアイドルやって欲しいです……」
せつ菜「……。」
アイラ「頑張って、上手くなって、大会で上を目指すことも大事だと思います……。でも……!!」
アイラ「全員の好き、やりたいって気持ちを大事にしないと意味ないと思うんです!!」
せつ菜「……。」
アイラ「じゃないと、みんな……嫌いになってしまいます。スクールアイドル。私が大好きだったスクールアイドル。」
せつ菜「……。」
せつ菜「なっ……!!からかわないでください!!」ガオー
アイラ「せつ菜さんは、どう思いますか……?」
せつ菜「アイラさんの言うこと、分かりますよ。そして……」
愛「そして……?」
せつ菜「あの頃の……愛さんたちが同好会に来られる前の私では分からなかったと思います……」
アイラ「私、どうすれば……」
愛「難しいよね~。みんなが自分の考えを正しいって思ってて、それを改めるのって。高校生だとなおさらね。」
アイラ「うーん、難しいです……」
愛「悩んでるねえ、二人とも。はいこれ。」
アイラ「これは?」
せつ菜「お湯割り……?頼んでないですよ、愛さん?」
愛「いや、あちらのお客様からです、なんつって~」アハハ
あちらのお客様「璃奈ちゃんボード『ファイト』」
せつ菜「り、璃奈さん!?ずっと聞いていたのですか!?」
アイラ「みなさん!!あの……少し私の話を聞いてください……!!」
スクドル部員①「……はい……。」
アイラ「みなさんは、スクールアイドル、好きですか?」
スクドル部員②「そんなの……当たり前です……。」
アイラ「スクールアイドル、楽しんでますか……?」
アイラ「それは……違います!!自分たちが心から楽しんでないのに、見ている人を楽しませることは……」
スクドル部員④「そんなこと……!!そんなの関係ありません!!」
アイラ「関係……あります……」
せつ菜(せつ菜モード)「私の歌を聞けーーーーーっ!!!」
アイラ(ええっ!?せ、せつ菜さん!?)
スクドル部員たち「えぇ……誰……??」
せつ菜(良かった、誰も気付いていないようですね……)
アイラ(さすがです!これが私の知ってる、スクールアイドルです……!)
せつ菜「♪~夢はいつか ほら輝き出すんだ~」
せつ菜(ふっ、キマりましたね!!)キリッ
スクドル部員たち「……。」パチパチパチパチ……
アイラ(せつ菜さん……!!)
せつ菜「おっと!!少し目立ちすぎてしまいました!!では失礼します、通りすがりのスクールアイドルでした……!!」ピューン
せつ菜(アイラさん……あとは任せましたよ!!)
ピンポンパンポン~
『中川先生、至急(以下略)』
せつ菜「はいはい!今行きますよ~」
せつ菜「っと、その前に……」ソローリ
スクドル部員②「めっちゃいいじゃん!」
スクドル部員③「でも、この衣装は無いわ~、フリフリ過ぎ~」
スクドル部員①「えぇ~、なんで~!?」ガーン
スクドル部員④「ありがとうございます、先生!」
スクドル部員①「私たちの初めてのライブだもんね。」
スクドル部員②「最高に楽しいライブにしよ!!先生も楽しみにしといてよ!」
アイラ「はい!楽しみです!」キラキラ
せつ菜(ふぅ~、また世界を救ってしまいましたね!)ペカー
せつ菜(というか、アイラさんは先生と呼ばれてるんですね……)
愛「スクールアイドル部何時からだっけ?」
かすみ「11時からなんで、そろそろ体育館へ行きましょう!」
璃奈「文化祭、なんだか懐かしくて楽しい。璃奈ちゃんボード『わくわく』」
せつ菜「おや……!?三人とも来てくれたんですね!!」フリフリ
かすみ「げっ!?本当に調理やってる……」
せつ菜「何ですかその反応は……!?」ガーン
クラスの子②「ごめ~ん!!暑かったからジュース買いに行ってた!!」
せつ菜「おーい、聞こえてますよー?」
クラスの子①「もう、ちゃんと見ててって言ったじゃん!!……なな……じゃなくて、中川先生、天かす無くなりそうなんで買ってきて下さい!!」
せつ菜「天かすですね!!今すぐ買ってきます!!」ピューン
かすみ「これじゃ、どっちが先生か分かりませんねぇ」ニシシ
璃奈「でも、仲良しで楽しそう。」
アイラ「……!!みなさーん!!席を取っておきました!!」フリフリ
愛「ありがとう、アイラっち!」
かすみ「アイラ先生、ですよ~!!」
アイラ「先生だなんてそんな……!!愛さん、その……ご心配おかけしました……それから璃奈さんも、お酒、ご馳走様でした。」ペコリ
愛「いいっていいって!上手くいってるようで安心したよ!」
璃奈「気にしないで、また一緒に飲もう。璃奈ちゃんボード『ぐびぐび』」
『続いては、今学期新たにスタートした、スクールアイドル部のパフォーマンスです!では、お願いします!』
かすみ「ほら、静かにして下さい、始まりますよ……!!」
おしまい
生徒③「ねえねえ、聞いた?謎のスクールアイドル!」
生徒④「スクドル部の子から聞いた~!あれ誰なんだろ。」
せつ菜「ヒュ~ヒュ~」←鳴らない口笛
生徒③「それがオカルト同好会の子が言ってたんだけど、昔スクドル部を設立しようとして志半ばに卒業していった生徒の怨念がなんとかって……!!」
生徒④「えぇ~、怖すぎでしょ!体育館塩撒いたほうがいいんじゃない?」
せつ菜(なんか、えらい話になってしまいました……!!ていうか卒業しただけで死んだわけじゃないのに怨念!?)
本当におしまい
アイラちゃんもせつ菜も可愛かった!
歩夢の台風リポートも最高
素晴らしい👍
面白かった!!せつ菜はなかなか楽しい教師生活を過ごしてそうでよかった
あとゆうぽむはそろそろバレそう…
常時ハイテンションのせつ菜、顧問として頑張るアイラが可愛いです。
あと、璃奈がイイ性格してますねw
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