【SS】綴理「さや処でボクたちは永遠になるんだ」【ラブライブ!蓮ノ空】

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【SS】綴理「さや処でボクたちは永遠になるんだ」【ラブライブ!蓮ノ空】

1: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 01:47:09 ID:rZnLYWO200

綴理「はい、さやに質問があります」

さやか「唐突ですね。はい、なんでしょう?」

綴理「ある二人が、ずっと一緒にいる方法って何があるかな」

さやか「ずっと一緒に……ですか。ただ傍にいられるように心掛けていればいいと思いますが、分かりやすい手段となると」

さやか「結婚、とかでしょうか?」

綴理「おー、なるほど」

さやか「あの……綴理先輩、どうして急に妙な質問を」

綴理「じゃあ結婚しよっか、ボクたち」

さやか「それは構いませんが……」

さやか「……」

さやか「構いませんが!?」

 

2: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 01:47:43 ID:rZnLYWO200

さやか「構いませんがってなんですか!?ちょ、ちょっと待ってください綴理先輩!突然一体何を……」

綴理「さやが賑やかで楽しいね」

さやか「た、楽しまないでください!心臓に悪いです!」

綴理「嫌なの?」

さやか「ええと、ええと! 嫌じゃ、ない、です……けど!もっと準備と言いますか、段階と言いますか」

さやか「もっと、ゆっくりと関係を築き上げてからでないと……あの…!」

綴理「でもボクはさやと仲良しで、信じてて、それからさやのことが大好きだよ」

さやか「わわわ、わたしだって大好きですが! ああもう、綴理先輩……」

綴理「……」

綴理「なるほど、結婚はまだなんだね」

 

3: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 01:48:16 ID:rZnLYWO200

綴理「じゃあ代替案を考えよっか、ボクとさやがずっと一緒にいられる……そんな方法を」

さやか「ええと、わたしはいつだって綴理先輩の隣にいるつもりですよ? わざわざ方法を探さなくたって、心配には及ばないんです」

綴理「うん、ありがとう。さや」

綴理「もちろんボクだって、さやの隣を歩けるように頑張るんだ。でも……」

さやか「でも?」

綴理「ボクが考えていたのは、ボクが蓮ノ空から卒業しちゃった後の話なんだ」

さやか「ぁ……」

さやか(今が楽しくて、今を頑張ることが楽しくて)

さやか(頭で認識をしながらも、実感を伴って考えることがなかった、卒業)

さやか(……あと半年も無いうちに旅立ってしまう、沙知先輩のことを)

さやか(綴理先輩はきっと、実感として輪郭を捉えたのでしょうか)

 

4: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 01:48:56 ID:rZnLYWO200

綴理「さや、そんなに悲しそうな顔をしないでほしい」

さやか「あ……ごめんなさい、顔に出ちゃってましたか」

綴理「安心して、大丈夫だ。だから今の内に一緒になれるようにする、ボクが頑張るから」

さやか「はい、わかりました。未来のことは分かりませんが……」

さやか「その方法を今から手探りするというのも、不思議と悪い気がしませんから」

綴理「うん、さやも同じ気持ちで嬉しいな」

綴理「それじゃあ早速なんだけど……」

綴理「ボクと一緒に”コレ”を着よう」

さやか「……」

さやか「……!?」

 

5: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 01:50:34 ID:rZnLYWO200

……

瑠璃乃「えーそれでは大沢瑠璃乃、僭越ながらモノマネ一丁いかせていただきやす……!」

花帆「よーし、見せてもらうよ!」

瑠璃乃「えーコホン……」

瑠璃乃「ワタクシだって魔法が使えるのだけれど!花帆さんのことを魔法でメロメロにするのだけれど……!」

花帆「……!」

瑠璃乃「ドキドキ……!」

花帆「ス……」

花帆「スッゾコラー!全然梢センパイじゃないッゾコラー!ザッケンナコラー!スッゾコラー!」

瑠璃乃「アイエエエ……!ケジメを、ケジメをしますぅ!」

 

6: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 01:51:59 ID:rZnLYWO200

綴理「じんぐるべーるじんぐるべーる」

部室の扉「ガチャ」

瑠璃乃「アイエエエ…アイエエエ…」

花帆「スッゾコラー……あれ?サンタさん!?」

瑠璃乃「ええホントだ!?……1か月早くね?」
 
綴理「やあやあ、メリークリスマス。夕霧サンタ綴理だよ~」

花帆「綴理センパイだ! どうしたんですかその仮装と……変な仮面?」

綴理「クリスマスを先取りしに来たんだ。ね、さや」

瑠璃乃「さやかちゃん?どこどこ?」

綴理「あれ、ほんとだ。さやがいない。どこだろ……」

 

7: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 01:52:39 ID:rZnLYWO200

綴理「さや……さや……あ」

綴理「さや見つけた」ガバッ

さやか「あの、あの、綴理先輩……これは一体……なんなんですか……」

花帆「さやかちゃんが綴理センパイの服の中に入ってる!何この状況!?」

綴理「愛し合う二人はいつも一緒、それが何よりだ。そうだよね?さや」

さやか「ごめんなさい!わかりません!」

瑠璃乃「古くね!?今を生きるジェーケーがやるネタじゃないっつか~……」

綴理「そっか、失敗だ。撤収~」

さやか「っ!?綴理先輩待ってくださいこのまま帰るんですか!?」

さやか「せ、せめて前は閉めてください~!!」

花帆「な……何を見せられたのー!?」

瑠璃乃「今後花帆ちゃんにも貸してあげるよ~」

 

8: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 01:53:25 ID:rZnLYWO200

……

綴理「もっと強固に繋がらないとダメみたいだ、だから今度はこれを用意したよ」

さやか「つ、綴理先輩、一体何を……」

綴理「大丈夫、ちょっとお出かけするだけだよ。名古屋まで遊びに行こう」

さやか「今から名古屋ですか!? 無理ですよ、新幹線でも3時間はかかります……」

綴理「そこでこれを使うんだ、新幹線よりも早いのに乗れる」

さやか「ええと、乗車チケットですか……?」

さやか「こんなの初めて見ました、ワープ列車……?」

 

9: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 01:54:01 ID:rZnLYWO200

綴理「ワープ列車なら10秒で着くんだ」

さやか「10秒!? 綴理先輩それは絶対に騙されています! そんな乗り物はありませんよ……!」

綴理「ううん、大丈夫だよ。とりあえず行こっか」

さやか「綴理先輩~!」

……

さやか「10秒で着く筈が1051200000分もお喋りに花を咲かせてしまいました……!」

綴理「おー、さや正確」

さやか「綴理先輩とお弁当のこととか新曲のこととか次のライブのこととか将来の新居の話をしている内に着いたとは言え、10秒どころの騒ぎじゃないじゃないですか!」

綴理「きっと列車も不調だったんだよ。それよりさや、名古屋めし何食べよっか」

さやか「そうですね、味噌おでんが気になりますが……」

さやか「……」

さやか「二人で一緒になる計画って何だったんですか!?」

 

10: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 01:55:15 ID:rZnLYWO200

……

綴理「どうやら、物理的に一緒になる方法は難しいみたいだ」

さやか「そ、それは実行の前に気付いてもらえると助かります……」

綴理「味噌おでん美味しかったね、さや」

さやか「はい! とっても美味しくて……もっと甘めの味付けにして、綴理先輩好みのお味で作ってみましょうか」

綴理「わー、やったー。楽しみにしてるね」

さやか「ふふっ、はい。ぜひ待っててください」

さやか「……」

さやか「これ、完全にペースを呑まれてませんか……!?」

さやか「ううぅぅぅ~!」

 

11: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 01:56:21 ID:rZnLYWO200

綴理「今度は精神的に一つになってみようか」

さやか「もうツッコミません……それでそれはどうやってやるんですか?」

綴理「ボクたちに入っているメディモルを使うんだ」

さやか「そんなもの入っていませんが!?」

綴理「どうどう、さやがツッコミを頑張るのもこれが最後だ」

綴理「行こう、ハーモニーの世界へ……」

……

梢「それで二人は、どうしたのかしら……」

ドルケストラ「ドルケストラです」

 

12: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 01:57:21 ID:rZnLYWO200

慈「ばっかも~ん☆ 正反対な二人が並んでパフォーマンスするから美しいんでしょうが!」

ドルケストラ「言われてみれば」

綴理「その通りだ」

さやか「もう何が何だか……」

慈「わかればヨシ!」

梢「さやかさん、安心して私はあなたの仲間よ。全く付いていけてないもの」

さやか「あ、ありがとうございます梢先輩……」

梢「それで綴理は、さやかさんをマイナー気味に振り回して何が目的なのかしら」

綴理「……ボクは、さやとの将来が不安だったんだ」

 

13: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 01:58:16 ID:rZnLYWO200

慈「将来って……そんなに話進んでたの!?」

綴理「うん、ボクがさやの隣を歩けていても……1年早く、ボクはいなくなってしまう」

綴理「ごめんね、さや。ボクはそれが怖くなったんだ……」

さやか「綴理先輩……」

梢「ああ、そういうことだったのね」

慈「ふふ、綴理ってば、そっかそっか。やっとまた向き合えたばっかりだもんね」

慈「……沙知先輩と、さ」

さやか「……」

さやか(ああ、やっぱりそうなんだ。綴理先輩はそれで急に)

さやか(『卒業』という先に待つイベントを……)

 

14: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 01:58:55 ID:rZnLYWO200

梢「寂しいのはわかるわ、もう半年も無いんだもの。時間の流れはこんなにも早くて……毎日に夢中な私達は、置いて行かれてしまいそうになるわね」

慈「私だって、夏に復帰したーって思ってたら?もう冬になっちゃっててビックリしたんだから」

綴理「……こず、めぐ。2人は怖くない?」

梢「……そうね。正直に言えば、ずっとこの日々が続いて欲しいと思ってしまう」

慈「でもそれはスクールアイドルじゃない、だよね?」

梢「わ、私のセリフを奪わないでくれるかしら」

慈「普段から梢はスクールアイドル論語り過ぎだし~?」

梢「慈……こほん。でも、それと一緒なのは本当。今目の前にあるものを、追いかけるだけ。私達にはそれしかできない」

慈「だからさ、日々の練習頑張って、次のライブも頑張って……3月には、全力で沙知先輩のこと送り出す!1年経ったら、泣きながら全力で送り出される!それでいいんだよ」

綴理「……そっか」

 

15: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 01:59:40 ID:rZnLYWO200

慈「なんてかっこいいこと言いながら、たぶん私も卒業したくないなーって思ってるんだけどね」

梢「ふふっ、大事なことを忘れてるわ。慈はちゃんと卒業できる成績を取れるように、ね?」

慈「あっ、言いやがったな~!」

綴理「ふふ、ふふっ。こず、めぐ、ありがとう」

さやか「……あの、わたしからも。ありがとうございます」

梢「いいえ、感謝されるようなことは何も。あなた達2人きりで……沢山向き合って、それで今の答えを見つけて欲しいと思うわ」

慈「今の2人なら、そういうの得意でしょ?」

綴理「うん。できる。ね、さや」

さやか「……はい。いくらでもお付き合いします」

………

 

16: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 02:14:51 ID:rZnLYWO200

綴理「さや、さや~」

さやか「あっ、はい!すぐ開けます!」

綴理「なんか新鮮だ、ボクがさやの部屋に入るの」

さやか「この時間帯はいつも逆ですもんね」

綴理「さやのふわふわした匂いでいっぱいだ、すごく安心して……眠く……」

さやか「わ、わ、嗅がないでください、あともう少し起きていてください~……!」

綴理「は、そうだ。ちゃんとお話をしよう」

さやか「……はい」

 

17: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 02:15:23 ID:rZnLYWO200

さやか「わたしも色々考えたんです、最初に言ってくれた結婚のことだって、真剣に」

綴理「うん……考えてくれてありがとう」

さやか「いえ。それで、わたしの正直な気持ちというのは」

さやか「大好きな綴理先輩と、大好きな綴理先輩だからこそ、繋ぎ止めるための方法にしたくない、って」

綴理「……」

綴理「そっか、仕組みや決まりが無くたって」

さやか「はい。一緒にいたいから、いられるんです」

 

18: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 02:16:18 ID:rZnLYWO200

綴理「ボクは、保証が欲しかったんだ」

綴理「ボクが蓮ノ空を卒業して、スクールアイドルクラブじゃなくなって、ドルケストラじゃなくなっても」

綴理「さやと一緒にいられるって保証」

さやか「……はい」

綴理「ボクはさちの気持ちを、やっと聴けたんだ。でもさちはもうすぐ卒業して、ボクは3年生になる」

綴理「それがすごく寂しくて……怖かった」

さやか「はい」

綴理「離れたくない……ねえさや、大好きだよ」

 

19: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 02:16:55 ID:rZnLYWO200

さやか「わたしも、大好きですよ。綴理先輩」

さやか「ふふ、分かっていても、どうしても照れてしまいますね」

綴理「紅くなってるさやも好きだ」

さやか「お、追い打ちをかけないでください!」

さやか「……ええと、それでですね。そんなわたしは綴理先輩と離れ離れになるつもりは全くありません」

さやか「卒業後、綴理先輩がどちらへ行かれるのか分かりませんが……絶対に行きます」

綴理「やった、待ってる」

さやか「はい、待っててください。作り置きもたくさんしておかないといけませんからね」

 

20: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 02:18:50 ID:rZnLYWO200

綴理「……さや、ボクたちはドルケストラで、先輩と後輩で」

さやか「それから憧れで、お世話をしてされる仲で、大切な人で……そこに付ける名前なんて、どんな言葉でも覆いきれませんよね」

綴理「うん、その通りだ」

さやか「1年と半年経っても、10年経っても、その後も。どうかわたしと……一緒にいてくれますか?」

綴理「うん、さやのことはずっとボクが守る。約束だ」

さやか「ふふ、ふふふっ。嬉しいです、頼もしいです」

さやか「それでは、もう夜も遅いですし。明日も朝練ありますから、そろそろ寝ましょうか」

綴理「一緒に寝てもいい?」

さやか「そっ、それは寝坊しても良い日にしていただければ……!」

綴理「わかった。そうしよう」

 

21: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 02:19:57 ID:rZnLYWO200

さやか「では、また明日。おやすみなさい」

綴理「うん、おやすみ」

……

さやか「……ふぅ」

さやか「……」

さやか「ゆ、夕霧さやか……」

さやか「……村野、綴理……」

さやか「……ぁぁぁいったい何を言っているんでしょうわたしは!」

さやか「早く寝ましょうそうしましょう……」

さやか「うぅ……さや処、かぁ」

 

22: (ワッチョイ aaca-b93f) 2023/12/01(金) 02:20:41 ID:rZnLYWO200

~数年後~

井之頭五郎「じゃあこの、唐揚げ定食をお願いします」

井之頭五郎(金沢らしい古き良き食堂と思って入ってみれば、こりゃ予想と違ったな)

井之頭五郎(フィギュアと…アイドルみたいな写真やトロフィーまで飾ってあるぞ。ここはそこらへんの人らが引退なりして、第二の人生に開いた店なわけだ。)

井之頭五郎(そう考えると、妙に若々しい女将と店員にも納得がいくぞ。活力が全身から溢れてるっていうのかな……)

「おまちどうさまです。さやの特製唐揚げ定食です」

井之頭五郎「ああ……」

井之頭五郎(おお、こういうのでいいんだよ。衣がザクザクにひっついてる唐揚げ!白米も気持ち大盛りで嬉しいね)

井之頭五郎(うん、うん。美味い、美味いぞ。しっかりと醤油が効いてるが、鼻を抜けていくのは生姜の後味だ。こりゃ、帰りに弁当も買っちゃうかもな……)

終わり

 

引用元: https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/11177/1701362829/

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