梨子「わ、私と曜ちゃんの」曜「短編集だよ!」Vol.2
「好きすぎてたまらない」
ようりこ⚓️🌸🥰 pic.twitter.com/RXVBFmDjKn
— ゆち⚠️コラボ期間雑多 (@kireha0731) March 27, 2020
梨子「今日はスクールアイドル同人誌の即売会!いっぱい本を買わなきゃ!」
梨子「しかもようりこオンリーまであるなんて!」
梨子「っと、危ない危ない」
梨子「本人が行ったら騒ぎになるし、ちゃんと変装していかないと」
梨子「サングラスとマスクで……」スッ
梨子「あそこのサークル凄い人気、なんて名前なんだろう」ペラッ
梨子「『堕天使の聖戦』……?」
梨子「ようりこ本……並んでみようかな」
梨子「最後尾代わります」
「お願いしまーす」
梨子「凄いきゃーきゃー聞こえるけどどうしたんだろう」
梨子「そんなにいい本なのかな」ソワソワ
梨子「はーい。新刊を……え?」
曜「ん?あ!梨子ちゃん!」
梨子「よ、曜ちゃん!?」
ザワザワ
梨子「なんでここに!?」
曜「善子ちゃんが売り子手伝ってって」
曜「よくわかんないけど、私がいた方が盛り上がるんだって!」
梨子「ちょっと!善子ちゃん!」
善子「何よリリー?」
梨子「なんで曜ちゃんに売り子させてるの!?」
善子「くっくっくっ……ようりこ本を曜さんが売る」
善子「どれだけ刷っても完売間違いなし!売り上げトップよ!」
善子「後名前も売れるし!」
曜「私と梨子ちゃんの絵が描いてあるけど!」
善子「曜さんはまだ見たら駄目よ。年齢的に」
梨子「18禁じゃない!何描いてるのよ!」
善子「リリー、そこで立たれるとお客様の邪魔よ」
善子「スペースに入ってきて」
梨子「え、でも」
善子「ようりこ本は全部回収してあるから安心して」
梨子「う、うん」
梨子(なんで……?)
梨子「ありがとう」ペラッ
曜『梨子、こうやってされるのが好きなんだろ?』
梨子『そ、そんなことない、♡』
曜『そっか。でも、体は正直だよね』
梨子『やぁ、言わな、でぇ♡』
梨子「…………」
梨子(さ、最高すぎ……!)
梨子(ドSな曜ちゃんがネットリした言葉責めで私を追い詰めて行くの凄いゾクゾクするっ///)
善子「じゃあリリー、少し出るから曜さんと一緒に店番お願いね」
梨子「え?」
カシャ
渡辺曜と桜内梨子が売り子なう!
ようりこ島『堕天使の聖戦』まで遊びに来なさいよ!
♡1万8千 →1万6千
曜「1000円になります!ありがとうございました!」
梨子「す、凄い人……列の終わりが見えない……」
曜「梨子ちゃん大丈夫?」
曜「喉乾いたでしょ?はい、飲んで」スッ
梨子(こ、これ飲みかけ……関節キス……///)ゴクッ
キャー!!!
カンセツキスヨー!!!
イキテテヨカッタナマンイダブナンマイダブ
梨子「え!?い、いいですけど」
「あ、私じゃなくて渡辺さんとです!」
梨子「ふぇっ!?///」
曜「いいよー!ぎゅー!」
梨子「……ぅぅ///」
「ありがとうございます!」
梨子「恥ずかしい……」
曜「ん?なになに?」
曜「ふんふん、いいよ!」
梨子「ありがとうございした」ペコッ
曜「梨子ちゃん」ギュッ
梨子「きゃっ!?」
曜「可愛いよ、梨子。食べちゃいたいくらい」ミミモトボソッ
梨子「~~~~っ///」カァァァァ
「肉食ヨーソロー!!!」
「桜内さん食べられちゃうんですかありがとうございます!」
梨子(ぅぅ、幸せだけど心が持たないよぉ///)
梨子(本を買いに来ただけなのにー///)
梨子(曜ちゃんのばかぁ///)
善子「この売り上げで堕天使グッズ買うわよー!」
善子「二人へのお礼はホテル代でいいわよね」
梨子「渡辺さん。いらっしゃい」
曜「むー……」
梨子「よ、曜ちゃん」
曜「えへへ~また来ちゃいました」
梨子「曜ちゃんよくここに来るけど、お花好きなの?」
曜「うん!いろんな色が見れて綺麗だから!」
曜「それに……」チラッ
梨子「どうしたの?」
曜「っ///なんでもない///」
梨子「うーん、いろいろあるけど、プレゼントとかかな」
梨子「大切な人に思いを伝えたい時とかに、お花を添えて送るの」
曜「そうなんだ」
梨子「曜ちゃん知ってる?」
梨子「お花ってね、花言葉っていうのがあるの」
曜「花言葉?」
梨子「うん。花の種類によってね、意味が変わってくるんだ」
梨子「例えば、向日葵の花言葉なら『憧れ』だったり」
曜「へー……」
梨子「……うん。いるよ」
梨子「でも、言えないんだ」
曜「そう、なんだ」
梨子「どうかしたの?」
曜「あ、ううん、なんでもない!」
梨子「ふふ、変な曜ちゃん」
曜「あの、また明日来てもいいかな?」
梨子「いいよ。また明日ね、曜ちゃん」
曜「梨子ちゃん!」
梨子「わ……曜ちゃん、いらっしゃい」
梨子「どうしたの、そんなに慌てて」
曜「あ、えっと……」
曜「いつも梨子ちゃんにお世話になってるから、プレゼント渡したいなって!」
梨子「プレゼント?」
曜「うん……こ、これ!」
梨子「……黄色の、キク」
曜「わ、私の気持ち……です」
梨子「……そっか」
梨子「あ、ありがとう……嬉しい、よ」
曜「……っ///」
梨子「あ、そうだ、お礼を渡さないとね」
曜「別にいいですよ!」
梨子「……遠慮しないで」
曜「これは?」
梨子「ミモザアカシア、っていうの」
曜「ミモザアカシア……ありがとうございます!」
梨子「…………」
曜「キクの花言葉……『あなたを愛しています』」
曜「気付いててるよね?梨子ちゃんお花屋さんだもんね?」
曜「ちゃんと告白してないのに……こんなに恥ずかしいなんて///」
曜「あ、そういえば梨子ちゃんからもらったお花」
曜「どんな意味なんだろう、ミモザアカシア、って言ってたよね」
曜「意味は……えーと……」
曜「友、情……」
曜「……そっか」
曜「あはは、そうだよね」
曜「私なんて、まだ、子供……だもんね」
曜「………っ」
梨子「曜ちゃん、誰かに恋して、失敗したのかな?」
梨子「それとも、私とはそういう関係になれないって意味なのかな」
梨子「……赤色だったら、良かったのに」
梨子「塗り潰しても、意味、ないよね」
梨子「……曜ちゃん」
梨子「渡した花が、私の気持ちだよ」
梨子「ミモザアカシアの花言葉は『秘密の愛』」
梨子「気持ちを伝えることができない、臆病な私にはぴったりの花よね」
梨子「こんなに、好きなのに……それなのに……」
梨子「本当に渡したい花は……こっちなんだよ、曜ちゃん」
梨子「赤いバラ……これを、いつか渡せればいいのに」
梨子「例え、上手くいかなかったとしても」
梨子「だから、それまで待っててね、曜ちゃん」
千歌「え、よーちゃん渡す花間違えたの?」
果南「うん、多分ね。今度教えてあげなよ」
この調子で1000まで続けて
梨子「曜ちゃん!」
曜「梨子、ちゃん……?あれ、なんで私眠って……」
曜「……いたっ!」
梨子「動かないで、すぐに先生を呼んでくるから」
曜「先生?」
曜「あれ、ここ、もしかして病院……?」
梨子「……うん」
曜「……はい」
梨子「あの、曜ちゃんの怪我は治るんですか?」
「そうねー、変なふうにしなければ治るわよ」
「ただ、時間はかかるけどね」
梨子「そう……ですか」
曜(梨子ちゃん、心配してくれてるんだ)
曜(早く治さないといけない……よね)
曜「なんで梨子ちゃんが謝るの?」
梨子「私が階段で足を滑らせたせいで、曜ちゃんまで巻き込んだんだもん」
梨子「私のせいで……曜ちゃんが入院しちゃった」グスッ
曜「別にいいよ」
曜「むしろ、梨子ちゃんに怪我が無くて良かったよ」
梨子「曜ちゃん……」
梨子「私、毎日会いにくるからね」
曜「あはは、それなら寂しくなさそうだね」
曜「はーい」
曜「梨子ちゃんごめん、テーブルに置いてくれる?」
曜「片手があれば食べられるから」
梨子「……やだ」
曜「え?」
梨子「私が、曜ちゃんのお世話をします」
曜「いや、でも」
梨子「曜ちゃん、あーん」
曜「あーん」パクッ
梨子「美味しい?」
曜「うん。梨子ちゃんが食べさせてくれたからね」
梨子「えへへ、良かった」
曜「梨子ちゃん、あんまり私に気を使わないでいいんだよ」
梨子「ううん、このくらいさせて欲しいの」
梨子「じゃないと、自分を許せないから」
曜「梨子ちゃん……」
曜(夏休みだからって、朝から夜までずっと)
曜(私に怪我をさせちゃったの、気にしてるんだよね)
梨子「ねえ、曜ちゃん」
曜「ん?どうしたの?」
梨子「えっと、その……あの……」
梨子「聞いていいのか、分かんないんだけど」
曜「いいよ!なんでも聞いて!」
梨子「……発散、できてる?」カァァァ
曜「……ふぇっ!?」
梨子「だって、私のせいで曜ちゃん、体があんまり動かないし///」
梨子「自分で、できないんじゃないかって」
曜「そ、それはそうだけど……でも、できてなかったらどうするの?」
曜「梨子ちゃんが手伝ってくれる?」
曜(って何言ってるの私ぃぃぃぃぃっっっ!?)
曜(バカなの!?アホなの!?)
曜(梨子ちゃん絶対ドン引きだよ!?二度と来なくなるよ!?)
梨子「……うん」シュル
曜「え?」
曜「ちょ、ちょっと梨子ちゃんっ!?///」
曜「っ、本当にだめだって!こんなの!」
曜「もっと自分を大事にしてよ!」
梨子「……ごめん、なさい」
梨子「でも、耐えられないの」
曜「梨子ちゃん?」
梨子「曜ちゃんのために、っ、なにか、しないと、っ、わたし、罪悪感で、おかしく、なりそ、で」
梨子「ごめん、なさい、じぶんのこと、ばかり、わたし、ほんとに、さいて、っ、」
曜「…………」
梨子「……うん」
曜「梨子ちゃんは罰として、怪我が治るまで私の面倒を全部見ること」
梨子「!」
曜「これで、いいかな?」
梨子「……ありがとう、曜ちゃん」
梨子「いっぱい、曜ちゃんが満足できるように頑張るね」チュッ
曜「……///」
千歌「曜ちゃん、学校に来て大丈夫なの?」
曜「うん。松葉杖があればなんとか歩けるようになったし」
曜「それに、梨子ちゃんがいてくれるもんね」
梨子「えへへ///」
曜「授業も始まってるし、いつまでも病院にはいられないよ」
曜「練習には出られないけど、手伝いくらいはできるかな」
梨子「困ったことがあったらなんでも言ってね」ギュッ
曜「うん、ありがとう梨子ちゃん」
曜(本当にありがとう、梨子ちゃん)
曜(梨子ちゃんがいたから、私、ここまで頑張れたんだよ)
曜(学校に行くのが決まったら、家まで迎えに来てくれるんだもん)
曜(梨子ちゃんは、自分の言葉を絶対に曲げない、強い子なんだね)
曜「うん、おはよう梨子ちゃん」
梨子「あれ、松葉杖は?」
曜「もういらないんだ」
梨子「え?」
曜「渡辺曜、完全復活したであります!」ビシッ
梨子「治ったの……?」
曜「うん!全部梨子ちゃんのおかげだよ!」
曜「梨子ちゃんが支えてくれたから、私はここまでリハビリも頑張れたの」
曜「だからありがとう、梨子ちゃん」
梨子「……うん」
梨子「おめでとう、曜ちゃん」
曜「ありがとう!」ニコッ
曜「わわっ!危ないよ千歌ちゃん!」
鞠莉「曜の怪我、治って良かったわね」
梨子「はい」
梨子「最初は治らなかったどうしよう、って思ってたんですけど、本当に良かった」
鞠莉「そう。次からは落ちないように気をつけるのよ」
梨子「そう、ですね」
梨子「あ、忘れ物したから部室に取りに行ってきます」
鞠莉「いってらっしゃい」
梨子「ずっとそのままになるんじゃないかって思ってたけど、違ったんだ」
梨子「曜ちゃん、完治して嬉しそうだった」
梨子「自分の足で歩けて、スキップまでしてたもん」
梨子「良かったね、曜ちゃん」
梨子「本当に、治る怪我で良かったね」
梨子「……あーあ」
梨子「次は、治せないように気をつけないと」
梨子「待っててね、曜ちゃん」
梨子「ずーっと、私が面倒見てあげるから」
曜「っ!」ゾクゾクッ
千歌「どーしたの、よーちゃん?」
曜「いや、なんだか寒気が……気のせいかな」
意表を突かれた
共依存いいよね
これもすき
曜「どうしたの?」
梨子「ちょっと試してみたいことがあって」
曜「なになに?」
梨子「な、内緒」
曜「えー、まあいいけどさ」
曜「何をすればいいの?」
梨子「ありがとう」
梨子「じゃあこの5円玉を見てもらえる?」
曜(糸に5円玉……催眠術じゃん)
梨子「よ、曜ちゃんはだんだん眠くなーる」
曜(どうしようこれ)
曜(全然眠くならない)
梨子「ね、眠くなーる」ウルッ
曜(り、梨子ちゃん泣きそうになってる!)
曜(うーん、仕方ないから掛かったふりしよう)
曜(梨子ちゃんが何を言うのかも気になるし)コテン
梨子「!」
梨子「曜ちゃん、寝ちゃった?」
曜(寝てますよー)
曜(梨子ちゃん、一体何をするんだろう)
曜(催眠の定番と言えば、手をあげてくださいとか?)
梨子「よ、よーし、そ、それじゃあ……」ドキドキ
梨子「曜ちゃん、手を出して」
曜「…………」スッ
曜(手を出して……?)
梨子「……えへへ」ギュッ
曜(???)
曜(え?)
梨子「も、もっと大胆なことをしてもいいのかな?」
曜(梨子ちゃん……?)
梨子「う、腕を組んじゃったり///」ギュッ
曜(り、梨子ちゃんの胸が///)
梨子「ぅぅ///幸せすぎて死んじゃいそう///」
梨子「曜ちゃん……///」ギュー
曜「…………」
曜(ど、どうしよう……)
梨子「えっと……曜ちゃんは私が手を叩いたら目を覚ますの」
梨子「催眠中のことも全部忘れてね」
パチン
曜「ん……?あれ?」
梨子「大丈夫、曜ちゃん?」
曜「うん。私、寝ちゃってたの?」
梨子「疲れてたんだよ」
曜(いや、催眠掛けてたんでしょ)
梨子「…………」ゴクッ
曜(またやる気、なのかな?)
曜「…………」ギュッ
梨子「っ///」
梨子「曜ちゃん、柔らかい///」
曜(梨子ちゃんの方が柔らかいよ///いい匂いするし、恥ずかしい///)
梨子「えへへ、曜ちゃん、大好き」
曜(っ///)
梨子「曜ちゃんは、いつもみんなの人気者」
梨子「だけど、今だけは、私だけの曜ちゃんだもん」ギュー
曜(梨子ちゃんってこんなに甘えん坊みたいになるんだ///)
曜(いちいち許可を求めるところも可愛い)
梨子「……///」
梨子「こんなに幸せで、いいのかな///」
曜(あーもー///そうやってすぐ恥ずかしいこと言うー///)
曜(最近ずっと梨子ちゃんに愛を囁かれてる気がするしこっちの方が幸せだよ///)
梨子「……ね、ねえ、曜ちゃん」
梨子「わ、私と、き、き……!」
曜(っ///)
梨子「こんなの、卑怯だよね」
梨子「曜ちゃんの気持ちも無視して……そんな……」
曜(梨子ちゃん……)
梨子「……曜ちゃん」
梨子「もしも、もしも、だよ?」
梨子「私のことを好きになってくれたら」
梨子「……その時に、キス、してほしいな」
チュッ
曜「……これで、いいかな?」
梨子「よ、曜ちゃん!?な、なんで!?///」
梨子「も、もしかして催眠掛かってなかったの!?」
曜「うん。最初からね」
梨子「ふぇっ!?///」
曜「毎日梨子ちゃんから告白されて、凄く恥ずかしかったんだからね」
梨子「そ、そんな……ぜ、全部……///」
曜「もー、本当に催眠にかかっちゃったみたいだよ」
曜「こんなにも梨子ちゃんのことが好きになるなんてさ」ギュッ
梨子「ぁっ///」
曜「催眠が解けるまで、ちゃんと責任とってよね」
梨子「……はい」
千歌「あなたはー、だんだーん、ねむくなーる!」
善子「いや、ならないけど」
梨子「お疲れ様、曜ちゃん」
曜「梨子ちゃんも作曲お疲れ様!」
曜「今回の曲も凄くいい感じにできてると思うよ!」
曜「毎回ありがとうね、梨子ちゃん!」
梨子「曜ちゃん、今は私と二人だけなんだよ」
梨子「そういうのはいいから、おいで?」ポンポン
曜「……」ギュッ
曜「衣装作るの、楽しいけど、本当に大変なの」
梨子「うんうん、分かってるよ」
梨子「いつも睡眠時間を削って頑張ってくれてたもんね」ナデナデ
曜「んっ……」
梨子「スクールアイドルだけじゃなくて、飛び込みの練習も大変だよね?」
梨子「大丈夫、ちゃんと分かってるから」
曜「……ありがとう」
曜「ちゃんと練習頑張ってるの」
曜「お裁縫とか、料理も小さい頃にやってたからできるの」
曜「それなのに……なんで天才って言われるんだろう」
曜「私、そんなんじゃないのに……」グスッ
梨子「努力を分かってもらえないのは辛いよね」ナデナデ
梨子「でも、みんなそれだけ曜ちゃんを凄いって思ってるってことなんだよ」
曜「凄く、ないもん」
梨子「いつも笑顔で、みんなに気を配って」
梨子「辛いところを、他の人には見せないようにしてるでしょ?」
梨子「普通の人には、できないことなんだよ」
曜「……でも、梨子ちゃんにこうやって」
梨子「私はいいの」
梨子「こうやって曜ちゃんが甘えてくれるっていうことは」
梨子「曜ちゃんの特別ってことでしょ?」
曜「……うん」
梨子「それなら、嬉しいからいいの」
曜「梨子ちゃんにだけは、こんな姿見せたくないもん」
梨子「そうなの?でも、私はみたいな」
梨子「曜ちゃんが甘えて羽を伸ばしてる姿を見るとね、安心するの」
曜「なんで?」
梨子「……知りたい?」
曜「うん」
梨子「ふふ、秘密」
梨子「曜ちゃんには教えてあげない」
曜「……梨子ちゃん、意地悪」
梨子「はいはい、拗ねないで」ナデナデ
梨子「まだだめ」ギュッ
曜「わっ、」
梨子「もう少しだけ、私が曜ちゃんを一人占めしたいから」
梨子「ほら、もっと甘えていいよ、曜ちゃん」
曜「……梨子ちゃん、私のこと、好き?」
梨子「うん。好きだよ」
曜「こんなに情けないのに?」
梨子「うん。曜ちゃんの全部が好きだから」
曜「……私も、好き」プイッ
梨子「ふふ、曜ちゃん、真っ赤っかだね」
曜「……梨子ちゃんのせいだもん」
梨子「あっ」
曜「ふー!スッキリした!」
曜「梨子ちゃん、いつもありがとね」
梨子「ううん、いいんだよ」
梨子「また辛くなったら、いつでも言ってね」
曜「うん!」
梨子「どうしよう、もう寝ちゃう?」
曜「うーん、まだちょっと早いから少しだけお話ししたいかな!」
梨子「お喋りしすぎて寝坊しないように気をつけないとね」クスッ
ルビィ「お姉ちゃん……ルビィ、人生相談があるんだけど」
ダイヤ「プリンはあげませんわよ」
ルビィ「ぁぅ……」
曜「あれ、ここどこ?」
梨子「曜ちゃん、気がついた?」
曜「梨子ちゃん?ここはどこなの?」ジャラ
曜「え、手錠!?」
曜「……どゆこと?」
梨子「曜ちゃんが悪いんだよ」
曜「え?」
梨子「いっぱいラブレターもらって」
梨子「私がどんな気持ちだったかわかる?」
曜(わかんない)
梨子「曜ちゃんのせいで、心がすっごく苦しかったの」
梨子「だから、曜ちゃんを監禁することにしたんだ」
曜(なんでそうなっちゃったの)
曜(ていうかこれ玩具の手錠じゃん)
曜(引っ張れば取れるやつでしょ)グググ
梨子「ふふ、絶対に逃げられないからね」
梨子「ずっと一緒だからね、曜ちゃーー」
曜「とれたー!」プラーン
曜「いやー、まだまだ甘いね、梨子ちゃん」
梨子「ふぇ……」ウルッ
曜「うぇっ!?」
曜「いや、ちょっと、り、梨子ちゃん!?」
曜「泣かないで!」
梨子「やだ、やだよぉ、曜ちゃんが、いなく、なっちゃう、」グスグス
曜「いなくならないから!ちゃんといるから!」
梨子「うっ、うぇぇぇんっ、」グスグス
曜「え、えーと……あ!」
曜「ほら!梨子ちゃん!ちゃんと捕まってるよ!」ガチャ
梨子「!」パァァァ
梨子「えへへ」ニコニコ
曜(逃げられないやつだよこれ……)
梨子「もちろん、学校にもいけないからね」
曜「そんなことしたら警察沙汰になっちゃうよ?」
梨子「え?」
曜「多分警察が調べたらすぐにバレちゃって、梨子ちゃん捕まっちゃうでしょ?」
曜「それだとずっと一緒にいられないけどどうするの?」
梨子「……そんなことしたら、曜ちゃんが逃げちゃう」
梨子「でも、警察が……ぅぅ……」
曜「それならいい方法があるよ」
梨子「え?」
梨子「よ、曜ちゃん、本当にやるの?」
曜「梨子ちゃんが嫌なら別にいいよ」
曜「でも梨子ちゃんは私を捕まえておきたいんでしょ?」
梨子「そ、そうだけど」
曜「行ってきまーす」
梨子「あ、待って!」ギュッ
曜「ほら、もっと腕を絡めないと外れちゃうよ」
梨子「ぅぅぅ///」カァァァァ
千歌「分かんない。朝からこんな調子だったけど」
曜「あ!果南ちゃんだ!」
果南「梨子ちゃんはなんで曜に抱きついてるの?」
梨子「こ、これは、その、ぁぅ///」
梨子「も、もう無理……恥ずかしぃ……///」
曜「離しちゃってもいいの?」
梨子「う~///」ギュゥゥゥ
曜「はいはい、曜ちゃんの胸に飛び込んでれば恥ずかしくないよー」ナデナデ
梨子「すっごい恥ずかしかったんだから!」
曜「あはは、梨子ちゃんずっと抱きついてたからね」
曜「みんなが付き合ってるんだって誤解してたよ」
梨子「ふぇっ!?///つ、付き合ってる!?///」
梨子「わ、私と曜ちゃんが……?///」
曜「うん」
梨子「そ、そんな……わ、私みたいな地味な子が曜ちゃんとなんて……///」
曜「そう?梨子ちゃん可愛いし全然地味じゃないと思うよ?」
梨子「ぅぅぅ///」
ガチャン!
曜「はーい」
曜「あ、お風呂はどうするの?」
梨子「お風呂は……入ってもいいよ」
曜「梨子ちゃんは?」
梨子「べ、別々に決まってるでしょ!」
曜「その間に逃げちゃうかもしれないよ?いいの?」
梨子「え?」
曜「一緒に入るしかないねー」
曜「お風呂気持ちよかった!」
曜「あれ、どうしたの梨子ちゃん?」
梨子「いっぱい触られた……全部見られちゃった……」
梨子「もうお嫁にいけない……」グスン
曜「大丈夫大丈夫、私がもらってあげるから」
梨子「本当?」
曜「うん」
梨子「……じゃあ、許してあげる///」
曜「えへへー」
曜「いやいや、寝てる間に逃げちゃうって」
曜「だから一緒のお布団で寝るしかないよね?」
梨子「い、一緒のお布団って、そんな恥ずかしいこと///」
曜「逃げてもいいの?」
梨子「ぅ、ぅぅぅぅぅ///」
曜「ベッド行くね」
曜「ほら、もっとぎゅっとして」
梨子「ぅ~~~~///」ギュッ
曜「ふふふ、ちゃーんと捕まえててよ」
曜「私も離さないから……ね」ボソッ
果南「で、これはなに?」ガチャン
千歌「えっへん!千歌も監禁してみたのだ!」ゴマンエツ
「そうなの?きれいなところだね」
「うん!ほかのひとはだれもしらないんだよ!」
「そんなところにつれてきてくれていいの?」
「いいよ。だって、わたし、◯◯ちゃんのことだいすきだもん!」
「……わたしも、ようちゃんのことがだいすき」
「じゃあ、わたしのおよめさんになってね!」
「うん。じゃあ、やくそくだよ」
「うん。やくそく!」
梨子「とりあえず誰かに話しかけた方が……」
梨子「でも、話しかけて困らせちゃったらどうしよう」
梨子「静かにしてた方がいいのかな……」
曜「こんにちは、梨子ちゃん」
梨子「あ、えっと、こんにちは」
曜「私は渡辺曜。曜ちゃんって呼んでね」
梨子「曜ちゃん……」
曜「うん!学校を案内するから、一緒に行こう!」ギュッ
梨子「っ///」
曜「一口ちょーだい!」パクッ
梨子「わっ///」
曜「美味しいー!」
曜「梨子ちゃん、自分でお弁当作ってるの?」
梨子「う、うん///」
曜「そうなんだ、料理すっごい上手だね!」
曜「また食べさせてね」
梨子「……うん」
千歌「むー!よーちゃんばっかりずるい!」
曜「はいはい、千歌ちゃんにもあーん」ヒョイ
千歌「ん~」モグモグ
千歌「ってこれ曜ちゃんが持ってきたみかんじゃん!」
千歌「おー!いいねいいねー!」
曜「千歌ちゃんのおススメはー?」
千歌「うーん、全部!」
梨子「このお店……」
曜「どうしたの?」
梨子「昔、来たことがあるかなって」
千歌「え?梨子ちゃん昔内浦に来てたの!?」
梨子「うん。といっても、凄く前のことだけどね」
千歌「ほえー、そうなんだ」
千歌「じゃあ今日はみかんでお祝いしないとね!」
曜「千歌ちゃんが食べたいだけでしょ!」
ダイヤ「今日の練習は休みのはずですが」
梨子「えっと……」
果南「プールだよ」
梨子「え?」
果南「曜を探してるんでしょ?」
果南「飛び込みの大会も近いし、練習してるはずだよ」
梨子「ありがとうございます」ペコリ
ダイヤ「よくわかりましたわね」
果南「なんとなく、ね」
梨子「どうしよう……」
梨子(あれ、なんで私、曜ちゃんに会いに来てるんだろう)
梨子(今日は練習もないのに)
「あれ、見学の人ですか?」
梨子「え?」
「入ってください!さ、こっちこっち!」
梨子「あ、ま、待ってくださ……」
梨子「曜ちゃんは……あ、いた」
曜「…………」
梨子「……っ///」カァァァ
梨子(曜ちゃん、いつも笑顔でいるけど、あんな真剣な表情もできるんだ)
ドボンッ!
「きゃー!きゃー!」
「渡辺先輩カッコいい!」
梨子(曜ちゃん、凄い人気)
梨子(やっぱり、私とは住む世界が違う人、なんだ)
梨子(……ここにいても迷惑だよね。帰ろう)
曜「あ!梨子ちゃーん!」
梨子「う、うん」
曜「そうなんだ、嬉しいなぁ!」
曜「ねぇねぇ、どうだった?」
梨子「えっと、凄く、カッコよかった///」
曜「えへへ、ありがとう」
曜「梨子ちゃんにそう言ってもらえると嬉しいよ!」
曜「よーし、もうひと頑張りしちゃうぞー!」
梨子「///」
梨子「…………」
曜「綺麗な音、だね」
梨子「よ、曜ちゃん!?」
梨子「練習は終わったの?」
曜「うん。梨子ちゃんがまだ残ってるかなと思って探しに来たの」
梨子「そう、なんだ///」
曜「私さ、梨子ちゃんのピアノ大好きなんだ」
曜「良かったら弾いてもらえないかな?」
梨子「……うん」ポロン
~~~~♪
曜「……綺麗」ボソッ
梨子「え?」
曜「あ、ごめんね。なんでもないよ」
梨子「今日もいっぱいお喋りしちゃった」
梨子「それに、音楽室で二人きりに……///」
梨子「なんで、こんなにドキドキするんだろう」
梨子「ピアノを弾いてる時も、曜ちゃんがいるだけで耳まで熱くなっちゃう」
梨子「赤くなってたの、バレてないよね?」
梨子「……やっぱり、好き、なのかな」
梨子「……曜ちゃん///」
梨子「ねぇ、千歌ちゃん」
千歌「どうしたの?」
梨子「えっと、その……曜ちゃんのことなんだけど」
千歌「ほぇ?曜ちゃんがどうかしたの?」
梨子「曜ちゃんって、恋人、いるのかな?」
千歌「…………」
梨子「千歌、ちゃん?」
千歌「あ、ごめんね」
千歌「……いない、と思うよ」
梨子「そうなの?あんなにモテるのに?」
千歌「うん。まあ、ね」
千歌「だから、梨子ちゃんにも全然チャンスがあるよ!」
梨子「えっ!?そ、そんな……私なんて、地味なだけだよ……///」
千歌「そんなことないって!曜ちゃん、なんだか梨子ちゃんのことを特別に思ってるように見えるし」
梨子「そうなの……?」
千歌「うん。なんとなく、だけどね」
梨子「……そう、なんだ///」
千歌「聞いてたんだ」
果南「梨子ちゃん、絶対フラれるよ」
果南「それは分かってるでしょ?」
千歌「……うん」
千歌「でも、予感がしたの」
千歌「梨子ちゃんなら、なんとかしてくれるんじゃないかって」
果南「そっか」
果南「それなら、上手く行くように祈ろう」
千歌「……頑張ってね、梨子ちゃん」
曜「遅くなってごめんね、梨子ちゃん!」
梨子「ううん、練習お疲れ様、曜ちゃん」
梨子「今日もいっぱい頑張ったんだよね」
曜「うん。大会も近いからね」
曜「それじゃあ、帰ろっか」
梨子「……待って、曜ちゃん」
曜「どうしたの?」
梨子「曜ちゃんに、大切なお話があるの」
曜「大切な、話?」
梨子「…………っ」
梨子「私、曜ちゃんのことが好き!」
梨子「だから、私と、付き合って、ください」
曜「…………っ」
曜「……ごめん、梨子ちゃんとは付き合えない」
梨子「そう、だよね。私なんかが、曜ちゃんと釣り合うわけ……」
曜「違う!」
曜「梨子ちゃんは、凄く素敵だよ」
曜「梨子ちゃんと一緒にいるだけで、なんでか心が落ち着くの」
曜「私とは全然違う、綺麗で、清楚で……」
曜「一緒にいるだけで、どんどん、惹かれちゃう……!」
梨子「曜、ちゃん?」
曜「お願いだから、私のなかに、入ってこないで」
曜「私の約束を汚さないで!」
曜「これ以上、好きになりたくない……!」
梨子「……まっ、」
曜「もう、私に近付かないで」
千歌「駄目、だったんだね」
梨子「千歌ちゃん……」
梨子「曜ちゃん、どうしたの?」
千歌「曜ちゃんね、子供の頃、恋人がいたの」
千歌「県外から来た子でね、毎日二人で仲よさそうにしてたんだ」
千歌「その子は一ヶ月くらいしかいなかったんだけど、その時に約束したんだって」
梨子「なんて?」
千歌「……結婚しようって」
梨子「っ!」
千歌「曜ちゃんね、それをずっと覚えてるの」
千歌「だから恋人も作らないし、誰かを好きになることもない」
千歌「いつも、一歩引いたところからみんなを見てるだけ」
千歌「びっくりしたよ、放課後に『梨子ちゃんが何処にいるか知ってる?』って聞かれた時はさ」
梨子「私を……?」
千歌「うん。だから、梨子ちゃんは特別なんだって思った」
千歌「もしかしたら、とも思ったの」
千歌「……でも、結果は違った」
千歌「ごめんね、梨子ちゃん」
梨子「……ううん、いいの」
梨子「分かってたけど、やっぱり辛いな」
梨子「約束を汚さないで、か」
梨子「やっぱり、転校生の私なんかじゃ、曜ちゃんに近づく資格は無かったんだ」
梨子「あは……は……なんで、だろ」
梨子「なんで、なみだ、が、」
梨子「……っ、」
梨子「曜、ちゃん」
梨子「ぼーっとしてたら、変な道に来ちゃった……」
梨子(でも、なんでだろ、見たことある気がする)
梨子(こっちの方、だよね)
ガサガサ
梨子「……わぁ」
梨子「綺麗……こんな景色……初めて……」
梨子「……初めて?」
梨子「違う……見たことある」
梨子「だって、ここ……」
曜「……誰?」
梨子「曜ちゃん……」
曜「梨子、ちゃん?」
曜「私しか、知らないはずなのに」
梨子「曜ちゃ、」
曜「出てってよ」
曜「早く出てってよ!」
曜「ここは、私とあの子だけの場所なの!」
曜「他の誰も、入って来ちゃだめなの!」
曜「知られちゃ、いけないの!」
梨子「……なんで?」
梨子「だって、この場所を教えてくれたの、曜ちゃんでしょ?」
曜「え?」
梨子「私ね、内浦に来た時に、仲良くなった子がいたの」
梨子「臆病で引っ込み思案な私の手を引いて、よくお外に連れ出してくれた」
曜「……うそ」
梨子「私がピアノの練習してる時も、隣に座りながら歌ってくれてたよね」
曜「……ぁ」
梨子「お母さんたちの指輪を勝手に使って、新婚さんごっこして怒られたっけ」
曜「…………」
梨子「ごめんね、忘れてて」
曜「ごめん、ごめんね、梨子ちゃん」ギュゥゥ
梨子「なんで謝るの?約束を忘れてたのは私なんだよ?」
曜「私、気付かなかった」
曜「約束は覚えてたのに、梨子ちゃんのこと忘れてた」
梨子「仕方ないよ、子供の頃のことだもん」
曜「私、本当に梨子ちゃんのことが好きだったの」
曜「子供の約束だってことは知ってる。でも、それでも、忘れられなかった」
曜「だから、梨子ちゃんのことを好きになっていく自分が信じられなかったんだ」
梨子「どうしたの?」
曜「もし、許してくれるなら」
梨子「待って」
梨子「今度は、わたしから言わせて」
梨子「……結婚を前提に、私とお付き合いしてください」
曜「……はい、喜んで」ニコッ
曜「え?」
梨子「だって昔好きになってもらえて、覚えてないのにまた好きになってくれたんだもん」
曜「……それは梨子ちゃんも同じでしょ」
梨子「ふふ、そうだね」
曜「約束思い出してくれたのなら、ちゃんと守ってよね」
梨子「……うん。曜ちゃんの重い愛、ちゃんと受け止めてあげるから」
曜「そうだよ。私の愛は重いんだからね」
梨子「……楽しみにしてるね」
梨子「ただいま、曜ちゃん」
曜「おかえりなさい、梨子ちゃん」
千歌「ほえー、あれ梨子ちゃんだったんだ」
果南「こういうの、なんだか運命感じちゃうよね」
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