【SS】きな子「東京を案内するっすよ！」花帆「ホントですか！？」【ラブライブ！】

きな子「大船に乗ったつもりでいるっす！」

きな子「…って――」

きな子「やっちまったっすぅぅぅーーー！！！？」

きな子「ど、どうすれば……！」

ｶﾞﾁｬｯ!

メイ「おい、どーした！？　いきなり大きな声出して！？」

四季「大丈夫？」

夏美「何か事件ですの！？」

きな子「あああっ、みんなぁ……！」

メイ「！？　何があった？　そんな青ざめて……」

きな子「じ、実は……」

きな子『そーなんすよ。渋谷の高校に通うために、北海道の富良野市ってトコから出てきたっす』

花帆『思い切りましたね……』

きな子『そんな花帆ちゃんは……確か金沢に居るんすよね』

花帆『はいっ。とは言っても、市街地からはだいぶ離れてますけどね……』

花帆『憧れの大都会・金沢だぁーっ！　と思って出てきたんですけど……ああ、もちろん！　学校に不満があるわけじゃないですよ！　友達もセンパイ達も優しいですし』

きな子『おお。花帆ちゃんも良い人たちに巡り会えたんすねぇ～』

花帆『はいっ！　いつもお世話になりっぱなしで……』

きな子『分かるっすよ～』

きな子『……あれ？　出てきたってことは、出身は石川県じゃないんすか？』

花帆『そうなんです。実は長野なんです、あたし』

きな子『長野！』

花帆『はい。ま、長野とは言っても田舎の方ではあるんですが……』

きな子『そーだったんすねぇ』

きな子『なんすか～？』

花帆『実はですね、冬休みにみんなと旅行に行けたら良いなぁと考えているんですが……』

花帆『そこで、あたし個人としては真の大都会である東京に行きたいと思ってまして』

花帆『東京のオススメスポットとかがあれば教えていただけませんか！？』

きな子『……オススメスポット……？』

花帆『はい！』

きな子『……具体的には、どういうところが良いっすか？』

花帆『やはり、大都会を感じられる場所です！』

きな子『抽象的っすねぇ……』

花帆『お願いします！　シティガールであるきな子センパイに是非とも御享受賜りたいんです！』

きな子『……シティ、ガール……？』

花帆『はい！　上京されてもう2年ともなれば、レッキとしたシティガールだと思うので！』

きな子『そ、そぉっすかねぇ？』

花帆『はい！』✨

きな子『ふぉぉ……』

きな子『……では、僭越ながら――』

きな子『この桜小路きな子！　花帆ちゃんのために東京を案内するっすよ！』

花帆『ありがとうございまーす！』

◇◆◇

きな子「――ということが……」

メイ「……」

夏美「……」

四季「……なるほど」

きな子「渋谷と原宿なら一応……。去年かのん先輩に連れて行ってもらったのを流用するっす」

メイ「流用て。まぁ、それでも悪くはねぇと思うが……」

四季「案内できる？」

きな子「メジャーどころであれば……多分？」

夏美「多分じゃ沈没しますの」

きな子「むむむ……」

四季「東京には何日くらい居る予定なの？」

きな子「二泊三日らしいっす」

メイ「じゃあ、渋谷・原宿だけってわけにはいかねぇか……」

きな子「そーなんすよぉ……」

きな子「で、調べたら……勿論、色々出てくるんすけど、逆に色々出てきすぎて絞るのがムズいっす」

夏美「それは凄く分かりますの」

きな子「鉄道網が発達してるとはいえ、あんまり遠い所に行かせるのも酷っすよね……。夜遅くになったら大変っすし」

メイ「高校生だけじゃ確実に補導されるな」

きな子「うーん……。どうすれば……」

四季「私も調べてみる……」ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ

きな子「助かるっす」

きな子「……でもやっぱり、無難にディズニーランドとかがいいっすかねぇ？」

四季「えっ……？」

きな子「へ？」

メイ「え？」

きな子「え？」

夏美「え”！？」

きな子「な、なんすか！？」

きな子「え？　本気、っすよ？」

きな子「ああ、まぁ、確かに入場料はバカにならないっすよね！　だったらこれは最終手段に――」

夏美「本気で、ディズニーランドが東京にあると思っていますの？」

きな子「……へ？」

四季「ディズニーランドの所在地は千葉」

きな子「……え？」

四季「千葉県浦安市舞浜」

きな子「……え？　いや、でも、頭に”東京”って」

夏美「世界に分かりやすく名を知らしめるためですの。……勿論、諸説ありですの」

きな子「え、じゃ、じゃあ、東京ドイツ村は……？」

四季「千葉県袖ケ浦市永吉」

きな子「えええぇぇぇーーーっ！？」

夏美「現実は非情ですの」

メイ「だな」

メイ「……つーか、四季はよく町域まで知ってんな」

四季「メイとのデートスポット予定地は全て把握している」

メイ「……そうかよ……」

夏美「逆に町域という単語の存在を知っていたことが驚きですの……」

メイ「いや、そんな悲しむことでもねぇだろ」

夏美「気を取り直して、スポット探ししますの」

きな子「……そーっすね……」

四季「……既に調べてるかもしれないけど、有名な東京の観光地といえば、浅草とか上野、御徒町がある」

メイ「あと新宿？　スクールアイドル好きなら秋葉原とかお台場？」

夏美「都会を味わいたいということなら、丸の内、有楽町、銀座もオススメですの」

きな子「……うーん、やっぱその辺りが丸いっすよねぇ」

メイ「問題は、その中からどこにするかだな」

きな子「いっそのこと全部で良い気もしてきたっす」

四季「まぁ、不可能ではない」

夏美「でも、かなり歩きそうですの」

きな子「っすよねぇ～」

きな子「……まぁ、ちょっと一晩考えてくるっす！」

メイ「そっか、頑張れよ」

きな子「みんな、有難うっす！」

四季「ファイトー」

夏美「良い案が思い浮かぶことを祈ってますの」

花帆「ふんふんふん～♪」

梢「楽しそうね、花帆さん」

花帆「！　梢センパイ！」

花帆「だって東京ですよ！　全女子の憧れ！　日本の頂点に立つ都会オブ都会！」

花帆「ついに！　行けるんですよ！」

梢「……顔が近いわ」

花帆「はっ！？」

花帆「ごっ、ごめんなさい！///」

梢「いえ、良いのよ。楽しみなのは私も同じよ」

花帆「あっ、あはは～……///」

きな子「……最強のプランを考えてきたっす！」

きな子「これっす！」

☆1日目

金沢から新幹線で東京
↓
東京駅駅舎で記念撮影
↓
山手線で東京→御徒町
↓
アメ横を上野まで歩く（ブランチ買い食い等）
↓
銀座線で上野→浅草
↓
雷門、仲見世通り、浅草寺を散策
↓
隅田川を越えスカイツリーまで歩く
↓
東京を見下ろす
↓
ソラマチで昼食
↓
半蔵門線で押上→表参道
↓
徒歩で表参道→原宿（ヒルズを横目に）
↓
原宿、竹下通りでおやつ（遅いかな？）
↓
山手線で原宿→渋谷
↓
一泊！

きな子「どっすか！？」

メイ「きつそう」

きな子「えぇっ！？」

夏美「1個1個の滞在時間がとてつもなく短くなりそうですの」

メイ「慣れてる奴ならまだしも、初めての東京だろ？　イレギュラーがあるかもしんねぇし」

夏美「おまけにスーツケースなどの大きな荷物もありますの」

四季「人も多い場所が殆どだから、地図アプリの予測時間通りに歩ききれるとも限らない」

夏美「目移りして街中ウィンドゥショッピングが開催される予想が容易に立ちますの」

メイ「そもそも電車遅延したら終わりだしな」

きな子「ううっ、精一杯絞ったのに……」

四季「……そもそも、新幹線は始発でも、東京につく頃には9時を過ぎてる」

メイ「んじゃ、アメ横ブラブラしてる間にはもう10時とか11時とか平気で回ってそうだな」

夏美「1日目は……もう後半をバッサリ切って、アメ横、浅草、隅田川沿い散策、スカイツリーだけで良いと思いますの」

きな子「そうっすか……」

メイ「まぁ、沢山詰めてぇ気持ちは分かるよ。紹介するからには色々見てほしいよな」

メイ「ただ、純粋に二泊三日もあるから沢山回れるって考えちゃダメだ。二泊三日”も”あるんだ。1日1日を濃密にしすぎると次の日に響く」

メイ「疲れが残ってる状態で回るのも、回させるのも嫌だろう？」

きな子「そうっ、すね。メイちゃんの言う通りっす」

きな子「で、夏美ちゃんの言う通り、初日はスカイツリーで終わりにするっす！　ホテルは渋谷なので、最後の半蔵門線の移動後、余力があったら夜のお散歩をする程度に留めるっす」

四季「うん。それが良いと思う」

メイ「決まりだな」

夏美「完璧ですの」

きな子「えへへっ。みんな、ありがとうっす！」

きな子「最初の案では――」

☆2日目

山手線で渋谷→新宿
↓
新宿副都心を散策
↓
りんかい線で新宿→東京テレポート？
↓
お台場を散策（お昼ご飯）
↓
ゆりかもめで海浜公園→豊洲
↓
豊洲を散策
↓
有楽町線で豊洲→月島
↓
月島を散策（早めの夕食）
↓
大江戸線で月島→新宿
↓
可能ならば夜の新宿散歩
↓
山手線で新宿→渋谷
↓
1泊

きな子「……って、考えてたっす」

夏美「なんか増えてますの」

メイ「マジで添削しに来てくれて良かったわ」

きな子「花帆ちゃんとしては、恐らく一番新宿に興味があると思ってこうしたんすが……」

きな子「今思うとハードですよね」

夏美「新宿を重めに捉えるとすると、お台場まで行くのは大変な気がしますの」

四季「お台場は少し遠い」

きな子「そうなんすか！？　侑先輩が言うには『渋谷から東京テレポートまで直通18分！』とのことだったんすけど！？」

四季「それは最速の場合。途中の駅で待つ可能性もある」

メイ「つーか、お台場はアレだな。『今日はここにしか行かない』って決め打ちするレベルの場所だよな」

四季「そう。渋谷や原宿や表参道、浅草とスカイツリーは近場にあるから一緒に回るのが主流になったりするけど、お台場はお台場で独立している」

夏美「同じような臨海副都心でも豊洲とお台場は距離がありますの」

メイ「そこから更に新宿から遠くの月島にも行くとなるとなぁ……」

きな子「新宿かお台場か、どっちかに絞る必要があるってことすね」

四季「新宿な新宿で、逆に高校生が1日中居られるのかと問われれば難しいかもしれない」

きな子「えぇ……」

きな子「じゃあ、2日目は渋谷、原宿、表参道、新宿で決まりっすかね？」

四季「うん。花帆ちゃんもそれが一番楽しめるかも」

夏美「各自自由行動の時間を作ってみるのも面白そうですの」

きな子「おお！　良いっすね！」

メイ「スムーズに決まったな」

四季「この調子でラストいこう」

きな子「あまり夜遅く帰すわけにはいかないことや蓮ノ空女学院が郊外にあることを考えて、あまり予定は入れてないっす」

夏美「ちゃんと考えてましたのね」

☆3日目

銀座線で渋谷→外苑前
（半蔵門線で渋谷→青山一丁目）
↓
明治神宮外苑散策
↓
半蔵門線で青山一丁目駅→大手町
↓
皇居を徒歩で一周（日本武道館や靖国神社を経由）
↓
桜田門、日比谷を越え銀座へ
↓
銀座散策
↓
丸の内線または徒歩で銀座→東京
↓
北陸新幹線で東京→金沢

きな子「って感じっす」

メイ「まてまてまてまて」

夏美「ぇ……」

四季「wow」

メイ「酷いなんてもんじゃねぇよ」

夏美「頭を使いすぎて疲れていた……。そう思いますの」

四季「皇居は一周5キロある。練習で走るならまだしも、旅行ならやめておいたほうがいい」

きな子「これはきな子もそう思うっす……」

メイ「チェックアウト後で荷物も全部持たなきゃなんねぇしな」

夏美「後半はバッサリカットですの」

夏美「でも、外苑は良いと思いますの」

メイ「イチョウは枯れてるけどな」

四季「……私達――Liella!の思い出の場所……」

きな子「っす！」

きな子「……じゃあ、最終日は外苑散策と……あともう一箇所くらい近場にないっすかね？」

夏美「う～ん？」

四季「若干距離は離れるけど、すみれ先輩の神社とか？」

メイ「おお！」

きな子「それっす！」

きな子「……わぁ、できたっす！　みんなのお陰っす！」

四季「Your welcome.」

メイ「やったぜ」

夏美「じゃ、あとで思考手数料を頂戴しますの」

きな子「はにゃ！？　そりゃないっすよCEOー！」

夏美「にゃはっ。嘘ですの」

きな子「えぇーっ！？」

メイ「確か今日だったよな、蓮ノ空御一行が来んの」

夏美「そうですの」

四季「楽しんでくれると嬉しい」

メイ「最初はアメ横だっけか？　ケバブとか食ってんのかな？」

四季「板チョコの掴み取りやってそう」

夏美「はしゃいでる想像がつきますの♪」

四季「……きな子ちゃん、上手く案内できてるといいけど」

メイ「そーだな。でもまぁ、ぶっちゃけ楽しめてりゃ多少ガバッてもいーだろ」

四季「確かに」

夏美「それが一番ですの――おっ」

メイ「んあ？」

夏美「噂をすればなんとやらですの」ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ

四季「メッセージ」

夏美「ですの……っと、へ……？」

メイ「え？」

四季「どうしたの？」

夏美「ふ、ふたりとも、これ……」

メイ「あーん？　……あ」

四季「oh…」

きな子『東京駅で迷って花帆ちゃん達と会えないっす！』

きな子『助けてほしいっす！』

――――――――――――――

花帆『夏美センパイ！　きな子センパイが何処にいらっしゃるか聞いてないですか！？』

花帆『人が多すぎて見当たらなくて😭』

――――――――――――――

メイ「……」

四季「……」

夏美「……」

メイ「……行くか」

四季「……うん」

夏美「……やっぱりこうなりますのね」

プロ東京都民3人が駆けつけたことにより、蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブの面々と桜小路きな子は無事に東京観光を始めることができた。

ちなみに、東京都～石川県金沢市を新幹線で移動する場合は東京駅よりも上野駅で降りるほうが210円だけ安いぞ！　その上野～東京はたった6分だ！

完