善子「ルビィ!原付免許取ったからドライブ行くわよ!」ルビィ「ルビィ持ってないけど……」第2章【長編SS】
ルビィ(お母さんがルビィの存在を見失って以来、Aqoursのメンバーも徐々にルビィを認識できなくなっていった)
ルビィ(花丸ちゃんが言うには、日本には言霊という概念があるらしい)
ルビィ(ルビィがどこにもいないとお母さんが声に出したときから、ルビィという人間はどこにもいないものとなったようだ)
ルビィ(不用意な発言は身を滅ぼす、今回はそんなルビィたちのお話)
果南「ほんと、ルビィちゃんどこ行っちゃったんだろうね」
梨子「私がルビィちゃんを……私が消してしまったようなものじゃない……!あの日、どうして、あの日……!」
ダイヤ「梨子さん!それは違いますわ!」
梨子「ダイヤさん……」
曜「そうだよ、梨子ちゃん」
梨子「曜ちゃん……」
曜「ちょっといいかしら?間に合ってます、で消えるルビィちゃんがおかしいよ」
花丸「それはそうズラ、言霊とかいう話以前の問題ズラ」
梨子「今ではもうルビィちゃんの顔も名前も思い出せなくなってしまったものね」
鞠莉「あのキュートな笑顔ともう会えないのかと思うと……ルビィ、もう一度だけでも良いから姿を見せてちょうだい……」
ダイヤ「鞠莉さん、もう一度だけなんて言わないでくださいまし……」
千歌「ダイヤさん…」
ダイヤ「……うぅ、すみません…涙が止まらず……」
千歌「……私、買い出ししてくる」
梨子「あっ、私も行くよ!」
千歌「ずっと話してたし、みんなも喉乾いてるでしょ?」
善子「そうね……私はマウンテンデューをよろしく」
曜「じゃあ私はライフガード頼んじゃおっかな!」
千歌「ルビィちゃんは何が良い?」
ルビィ「紙コップの自販機のやつでしょ?ルビィ、メッツのグレープフルーツのやつがいい!あっ、でも人工甘味料入ってたらやめといてね!」
ルビィ「何か後味おかしくない?全部ダルい甘みでさあ」
鞠莉「分かる!特にガムなんて噛んでも噛んでも人工甘味料の味よね!?」
善子「それよく聞くけどプラシーボじゃないの?私、コーラとゼロコーラで特に違い分からないんだけど……」
花丸「みんな、スーパーテイスターって聞いたこと無い?」
善子「スーパーテイスター?」
曜「え~、聞いたことないなあ」
ダイヤ「直訳すると超味の分かる人、ですか?」
花丸「その通りでね、日本人だと4人に1人くらいがそうなんだって!」
果南「味覚が鋭いんだ?」
花丸「味蕾っていう味を区別する細胞?が人より多いみたいズラ」
善子「ネットで調べてすぐ出てきたわ…青色の食用色素を舌に塗ると、味蕾がある茸状乳頭が染まる……ふむふむ」
鞠莉「自宅で簡単に調べられるのね!舌にある茸状乳頭って突起部分を青く染めて数えやすくして、その数によって味覚の鋭さが分かるみたいよ!」
果南「おもしろそうじゃん!ちょっとみんなでやってみようよ!」
ダイヤ「ですが、食用色素なんてどこにあるのです?」
ルビィ「墨汁で良いんじゃない?青いやつあるでしょ、お姉ちゃんがルビィのお習字の添削するときに使うやつ!」
ダイヤ「ああ!机の引き出しに入っていますわ!少しお待ちいただけますか」
曜「舌が染まれば良いんだもんね、楽しみだなあ」
ルビィ「うぇえ……墨汁舐めるのなんて初めてだよ…!苦いねえ」
善子「食品じゃないだけあって、食品では味わえない妙な味わいね……」
果南「でもみんなこんな苦痛に耐えて調べてるんだもんね」
鞠莉「わがままなんて言ってられないわよ!」
ダイヤ「さあ、みなさん、舌に塗り終えましたか?」
曜「…よしっ、塗り終わった!ねえダイヤさん、エーッてしてみて!」
ダイヤ「エーッ、どうですか?わたくしはスーパーテイスターでしょうか……?ドキドキしますわ……」
ルビィ「これは……」
善子「うーん……」
果南「口のなか真っ青で全然分かんないね!」
ルビィ「これじゃあスーパーテイスターかどうか分からないよ!」
花丸「……あっ」
善子「何か他に見抜く方法があるの?」
花丸「スーパーテイスターの特徴って、苦味を強く感じるところにあるズラ」
果南「だから人工甘味料の特殊な味わいにも敏感、って話だったよね?」
花丸「墨汁を舌に塗ったとき、みんな苦いって思ってたでしょ?」
ルビィ「あっ、そっか!」
ダイヤ「なるほど、そうでしたか……!」
曜「つまり、みんなスーパーテイスターだったんだ!」
7人「あははははは!」
梨子「もー、気になるなあ」
曜「千歌ちゃん、梨子ちゃん!」
千歌「どうしたの、曜ちゃん?」
曜「この墨汁舌に塗ってみてよ!」
梨子「何で!?」
ダイヤ「みんな、スーパーテイスターだったからですわ」
善子「ラブライブ!スーパーテイスター!ってこと」
千歌「どういうこと!?」
鞠莉「千歌っちが集めた9人は、たまたま集まった9人じゃなくて、特別な才能を持った9人だったのかもしれないんだから!」
千歌「まって!?全然意味分かんないんだけど!?そうだ、ルビィちゃん!自販機だと原材料載ってなくてさ、一口で良いから飲んでみてよ、もし甘味料の味がしたらお金返すよ」
ルビィ「うん、自販機ならたぶん入ってないはずだけど…」ゴクゴク
千歌「どう?」
ルビィ「うん……墨汁の味しかしない!」
7人「あはははははは!」
千歌「……」
梨子「……」
曜「とりあえず警察には連絡したけど、あとは何をしたらいいのかな?」
ルビィ「警察に連絡したの!?」
曜「まずかった?」
ルビィ「結構な大事になっちゃわない!?」
善子「そうは言っても仕方ないじゃない、行方不明になったんだから」
ルビィ「だって帰ってくるときパトカー乗せられたりするよね!?」
千歌「カッコいいじゃん!」
鞠莉「犯罪者としてはノーセンキューだけど、一躍時の人みたいな!」
千歌「前向きな意味でって言ったらおかしいけど、行方不明になってるのにさ!でも警察に取り巻かれてパトカーから降りてくるって憧れるよ!」
ルビィ「いやだよ!恥ずかしいよ!」
ルビィ「ピギッ!?」
花丸「ダイヤさん、落ち着いて……!」
ダイヤ「パトカーに乗せられて、警察に囲まれて恥ずかしい……?あなた、自分の身に危険が迫っていることを理解できているのですか!?」
ルビィ「お姉ちゃん……」
ダイヤ「こんなにもAqoursのみなさんが心配してくださっているのに…!ルビィのことが大切だから、事件に巻き込まれてはいないか、事故に遭ったのではないか……」
梨子「ダイヤさん…」
ダイヤ「あなたの身に何か起きたらどうしようかと、わたくし、気が気ではありませんわ……!」
ルビィ「……うぅ」
花丸「……そうずら、ルビィちゃん」
ルビィ「花丸ちゃん…?」
花丸「ダイヤさんの言う通りずら!」
ルビィ「うぅ、でも……」
花丸「ルビィちゃんが悪いわけじゃない、自信を持って」
ルビィ「でも…」
花丸「そりゃあ、家出した、とかなら別だけど……ルビィちゃん、そうじゃないよね……?」
ルビィ「うん……うん……っ」
花丸「みんな、ルビィちゃんの帰りを待ってるズラ……安心して、Aqoursの元に帰ってきて良いんだよ……」
ルビィ「……うん、花丸ちゃん……うん、ルビィ、きっと、みんなへの感謝の気持ちを忘れてたんだ……!」
梨子「え…うそ……」
千歌「ルビィちゃん……?」
善子「ルビィが……ルビィがいる……!」
ルビィ「お姉ちゃん……!」
鞠莉「姉妹愛か、はたまた花丸ちゃんの友愛か」
ピーポーピーポーピーポーピーポー
警察「警察です、さきほど渡辺さんから通報があり、ご友人の行方が分からなくなったと!」
曜「……」フルフル(首を横に振る擬音)
警察「……ッ」
ルビィ「そうです、ルビィです、心配掛けてすみませんでした」
警察「いえ、無事だったのならなによりです」
ダイヤ「ルビィ…?」
ルビィ「うん、お姉ちゃん、行ってくる……」
警察「さあ、こちらへ、パトカーの中へ……」
ルビィ「……パトカー、クラウン、シートがふかふか」
警察「さあ、みなさん、待っていますよ」
バタン
鞠莉「えっ、ルビィが……」
果南「警察に…保護されてたんだ……!」
花丸「無事で良かった……無事で良かったずらぁ!」
ワーッ!パチパチパチパチ
善子「…鞠莉、さっき何て言ってたっけ?」
鞠莉「ワッツ?」
善子「姉妹愛?友愛?……ふふっ、これはね、Aqoursの、Aqoursに対する愛なのよ」
鞠莉「……そうね、Aqoursが
お互いを思い合う、Aqoursの深い心の結び付きが、ルビィをこの場所へと還したのね」
善子「曜、千歌……」
曜「うん」
千歌「わかってる…!」
鞠莉「Aqoursの持つエネルギーをまだ知らない人たちに、Aqoursの持つ絆の力を、まずはCYaRon!のライブで見せ付けてあげなきゃね♪」
曜「おかしいって何が?」
善子「新型コロナの蔓延でCYaRon!のライブって中止になってたじゃない!」
果南「コロナってトヨタの?新型どころか廃盤でしょ」
善子「よく見たら誰もマスクしてないし!」
鞠莉「ノンノン、アイドルがマスクで顔を隠すなんてナンセンスでーす!」
善子「そう言う私もマスクしてない!」
善子「……はっ!?」
善子「夢か……」
善子「だからヨハネよ」
花丸「元気無いね、体調悪い?」
善子「変な夢見て疲れただけ……」
ルビィ「そういえば善子ちゃん、原付の免許取ったんでしょ!?」
善子「あ、そうなのよ!ルビィ、バイク乗りたいって言ってたじゃない!?」
ルビィ「いや、バイクと原付は違うよ」
善子「でも2ケツ用のパーツがあって付けてみたのよ!」
ルビィ「原付二種免許取らないとダメなんじゃないの?」
花丸「善子ちゃん、ほんとに試験受けたずら?」
ルビィ「犯罪じゃん……」
花丸「大体、2人乗りしたとしてどこ行く気ずら?」
善子「そりゃ当然山頂よ、ツーリングの醍醐味じゃない」
ルビィ「伊豆スカイラインってこと?あそこ原付自体通っちゃダメだよ」
善子「でも2ケツすればバイクっぽく見えるし」
ルビィ「原付に二人も乗せてあそこ登る力無いんじゃないの」
善子「え、でも30万も出して買ったのよ…?」
ルビィ「30万!?原付なんて5万もあれば買えるよねえ!無駄遣いにもほどがあるよ!」
善子「そうそう、フリマアプリで売ったお金で買ったってわけ」
花丸「え……善子ちゃんが盆栽に興味持ってくれたと思って、秘密の採取場所教えてあげたのに……」
善子「あ、そうだったの…?」
ルビィ「善子ちゃん、謝ったほうがいいよ…」
善子「う、うん…ごめん、花丸……」
花丸「……まあ今回は許してあげるずら」
善子(悲しげに去る私を憐れんだルビィは、次の休日、原付の免許試験を受けて無事合格した)
善子(今日はルビィの原付を購入するために沼津で二人でデートをしている)
善子(ルビィの予算は45万円)
善子(5万で買えると言っていたのにいざ自分が乗るとなると何て額を用意してくるのだろう)
~Part3:沼津でお買い物編~あ
ルビィ「グイーンってやつが良いよね」
善子「なによそれ」
ルビィ「ハンドルがグイーンってやつだよ」
善子「言ってる意味が分かんないんだけど」
善子「ローマの休日でオードリーヘプバーンが乗ってたやつよ!?」
ルビィ「大女優大丈夫のやつじゃん、嫌だよそんなの」
善子「なにそれ?」
ルビィ「……あっ、いや、ありかも!」
善子「えっ!?ね!でしょー!これにしなさいよ!」
善子「40万円ね」
ルビィ「40万!?」
善子「予算45万なんだから買えるでしょ」
ルビィ「ハンドルグイーンってやつにしてシートも変えて塗装もし直すんだよ!?」
善子「じゃあ無理ね」
ルビィ「そうだよ、ベースはもっと安くていいんだよ」
引用元:https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1633871002/
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