きな子「どうもっす!鬼塚商店っす!いつもありがとうっす!」第1話
キイッ
バタンッ
きな子「よっこいしょっ・・・・・・」ズシッ
ガラガラッ・・・
きな子「どうもっす!鬼塚商店っす!!発注頂いた分配達に来たっす」
ドサッ・・・
千砂都「・・・・・・あ!きな子ちゃん!!お疲れ~」クルッ
きな子「千砂都先輩、いつもありがとうございますっす」
千砂都「伝票にサインいるでしょ?ちょっと待ってね、手洗うから」ドタバタ
きな子「すんませんっす!まだトラックから下ろす品あるんでちょっと待って下さいっす」
千砂都「あ、うん!」
千砂都「あ、店主すみません!!」
きな子「あっ!店主!いつもありがとうございますっす」
かすみ「きな子~、伝票どこ?」キョロキョロ
きな子「あ、そこの台の上に置いといたっす」
かすみ「あったあった、ハンコ押しとくね」トンッ
きな子「ありがとうございますっす」
きな子「・・・・・・よっこいしょ!」ドスンッ
きな子「ふうっ、もやし200kgとニンニクと豚バラ・・・・・・納品数間違いないっすよね?」
かすみ「ふひひ・・・間違ってたらお金払いませんよぉ?」グフフ
きな子「ううっ・・・そ、それは勘弁っす・・・・・・」
かすみ「うそですよ~ん!」ニタァ
きな子「店主~、冗談キツいっす~」ハハハ
きな子「お言葉はありがたいっすが、きな子は次の納品先に行かないといけないっす」
千砂都「そっか~、それは残念だなぁ」
きな子「それに先輩のお店、いつも行列できてるじゃないっすか」
千砂都「うん、まぁね」
きな子「食事の所要時間くらいなら確保できるっすけど、さすがに並んで食べてでは時間の余裕ないっす」
かすみ「いつも頑張って配送してくれるきな子の為なら営業時間外に食べさせてあげてもいいんだけどね」
きな子「お言葉だけありがたく頂戴しておくっす」アハハ
かすみ「なぬっ!?かすみんの好意を踏みにじる気ぃ~!?」グヌヌ
きな子「いえいえ!!そういうわけじゃないっす!!かすみさんのとこのラーメンを営業時間外に食べたら、お腹いっぱいになって生活のリズムおかしくなっちゃうっす」
千砂都「まぁね、ウチは量が多いから」アハハ
かすみ「なんかウチの店さ~、勘違いされること多いけど量なら言ったら少なくしても別にいいんだけどねぇ」
千砂都「しょうがないですよ、そういうイメージがついてしまってますからね」アハハ
千砂都「ホントだ!仕込み急がなきゃ!!」ドタバタ
きな子「じゃ、きな子は失礼するっす」
かすみ「きな子~、また明日もよろしくね~・・・・・・って!ちぃ子!!豚の仕込み目処ついたらニンニクも刻んでおいて!!」
千砂都「あっ!はい!!」
きな子「じゃ、どうもっす」
バタンッ
きな子(ふうっ、商売繁盛で羨ましいっす・・・・・・)
キョカカッ
ブルブルブルブル・・・
きな子(さて、次急ぐっす・・・・・・)
ガコッ
ブオオオオオオ・・・・・・
──
ブオオオオオオ・・・
キイッ
バタンッ
きな子(よし、到着っす・・・・・・)
ガチャッ・・・バタンッ
きな子「どうも~!鬼塚商店っす」
──グツグツグツグツ
かのん「・・・・・・あ、きな子ちゃん!!」
きな子「かのん先輩、いつもありがとうございますっす」
かのん「きな子ちゃんごめん!いま仕込みで手が離せないからそこにあるシャチハタ、伝票に押していいから!!」
きな子「はい、わかったっす」
きな子「・・・・・・あ、これっすね。お借りするっす」トンッ
きな子「かのん先輩、今日の納品分はいつものところに置いておいたっす」
かのん「あ、うん!ありがとね」
きな子「どうっすか?かのん先輩のお店、儲かってるっすか?」
かのん「あはは・・・・・・うちはまぁボチボチかなぁ」
きな子「先に千砂都先輩が働いているラーメン店に卸してきたっすけど、相変わらず大繁盛してるみたいっすね」
かのん「そうなんだ・・・・・・まぁウチは喫茶店から鞍替えしたばかりの新参だし、有名な看板掲げてるわけでもないからね」アハハ
きな子「きな子としてはかのん先輩にも頑張ってもらいたいっす」
かのん「うん、ありがとう」
きな子「あ~、CEOなら新しい配信ビジネス始めるって言ってどこか行ったまま帰ってこないっす」ハァッ
かのん「そうなの!?」
きな子「そうっす・・・鬼塚商店の本業は実質きな子1人で回してるようなもんっす」ヤレヤレ
かのん「あはは・・・・・・それは大変だ・・・・・・」
きな子「所詮きな子は雇われの身なんで文句言えないっす」
かのん「切実だねぇ・・・・・・」アハハ
きな子「・・・・・・さて、きな子は次の納品先に行くっす」
かのん「あ、うん!運転気をつけてね!たまには私の店にもラーメン食べに来てよ」
きな子「もし時間の余裕が出来たら食べに来るっす」
かのん「うん!その時はサービスするから!」
きな子「ありがとうございますっす、では!」ペコッ
きな子「えっ?」
かのん「そこの冷蔵庫開けると缶コーヒー入ってるから1本持って行きなよ」
きな子「いいんすか?」
かのん「いいからいいから!」ニコッ
きな子「じゃあお言葉に甘えて頂くっす」ガバッ
きな子「かのん先輩ごちそうさまっす!では!」
かのん「はーい!」
ガチャッ
バタンッ
きな子(かのん先輩も大変っすね・・・・・・きな子もがんばろう・・・・・・)
きな子「・・・・・・」カシュッ
きな子「んぐっんぐっ・・・・・・」グビグビ
きな子「ぷはぁっ!」
きな子(さて、次行くっす・・・・・・)
キョカカッ
ブルブルブルブル・・・
きな子(・・・・・・ん?LINE来てたの気付かなかったっす)
きな子(・・・・・・えっ!?追加注文!?・・・・・・一度会社戻って追加分積んでから行った方良いっすね)
ガコッ
ブオオオオオオ・・・
──
ブオオオオオオ・・・・・・キイッ
ブルブルブルブル・・・プスンッ
きな子(ふうっ、到着っす・・・・・・)
バタンッ
きな子(よっこいしょっ!)ズシッ
きな子「どうも~!鬼塚商店っす!」
ランジュ「あら、早かったわね」
きな子「急いで会社戻って追加分の鶏卵10箱も一緒に持って来たっす・・・・・・ここに置きますね」ドスンッ
ランジュ「さすがきな子だわ。ありがとう」
きな子「LINEで追加注文頂いてたの気付いた時は焦りましたっす」アハハ
ランジュ「ごめんなさいね、急遽とびっきりの限定メニュー思いついちゃったから、居ても立っても居られなくなったの」
きな子「さすがっす」アハハ
ランジュ「わかったわ。・・・ていうか、きな子の会社もいい加減デジタルツール導入しなさいよ」
きな子「あはは・・・きな子は雇われの身なんでそんな決定権無いっす・・・・・・」
ランジュ「まぁ、FAXも古き良きで便利ではあるわね」ハアッ
きな子「すんませんっす・・・・・・」シュン
ランジュ「さて、ランジュは今日も美味しい拉麺をたくさん作るわ。せっかくだからきな子もランジュの拉麺食べて行きなさい?」
きな子「お言葉はありがたいっすが、会社戻って仕入れの発注しないといけないっす」
ランジュ「あらそう、それは残念ね。また今度ゆっくり来なさい?奢るわ」ニコッ
きな子「ありがとうございますっす。その節はお世話になるっす」
きな子「では、失礼するっす」ペコッ
きな子「ん?どうかしたっすか??」
ランジュ「かすみの店は相変わらず繁盛しているのかしら」
きな子「ですね、今日も開店前から行列出来てましたよ」
ランジュ「さすがかすみね・・・・・・ランジュも負けてられないわ」
きな子「頑張ってくださいっす。それでは」
ランジュ「気をつけてね~」
バタンッ
きな子(さて、まずは会社に帰るっす)
キョカカッ
ブルブルブルブル・・・
ガコッ・・・ブオオオオオオ・・・・・・
──
~鬼塚商店~
ブオオオオオオ・・・キイッ
バタンッ
きな子(ふうっ、急いで倉庫の在庫確認して発注しないと・・・・・・)
ガラガラガラッ・・・
ピシャンッ
きな子(えーっと、在庫管理表は・・・・・・)ピラッ
きな子(・・・・・・まずいっすね、かすみさんのお店から来るもやしやニンニクの注文数が多いから足りなくなりそうっす・・・・・・)
きな子(仕入れ、今までの1.5倍は増やさないとまずいかもっす・・・・・・)ウーン
きな子(それと、仕入れの取引先増やさないとお客さんに安定して納品する在庫が確保できなくなるっすね・・・・・・)
きな子(とりあえず、今必要な分だけ発注しとくっす・・・・・・)カキカキ
きな子(よしっ・・・)
ポチッ・・・ブインッ
ザーーーーー ピポパポペポ・・・
きな子(いまだにFAXで注文してるのウチだけなんすかね・・・・・・こんな古いパソコンじゃなくて、最新のツールがあれば管理も発注ももう少し楽になるんすけど・・・・・・)ハァッ
きな子(ぼやいてもしょうがないっす、伝票整理してから倉庫の掃除っす・・・・・・)
──
ゴシゴシ・・・
ザッ ザッ・・・
きな子(ふうっ・・・今日の掃除終わりっす・・・・・・)
きな子(ん?定時過ぎてるっすね、鍵かけて退勤するっす・・・・・・)
ガラガラガラッ・・・ピシャンッ
カチャッ
きな子「お疲れ様でしたっす・・・・・・」
きな子(・・・・・・って、きな子1人しかいないんすけどね)アハハ
きな子(今日の夜ごはんは何がいいっすかね~・・・・・・)
──
~帰宅途中~
テク テク テク・・・
きな子「・・・・・・・・・・・・」
きな子(今日も弁当屋で弁当買って行くっす・・・帰ってからご飯作るの面倒っす・・・・・・)
きな子(この行きつけの弁当屋にも常々お世話になってるっす・・・・・・)
ガラガラッ
侑「いらっしゃいませー」ニコニコ
きな子「こんばんわっす」
侑「あっ!きな子ちゃんいらっしゃい!!仕事帰りかな?」
きな子「はいっす。帰宅途中っす」
侑「お疲れさま!今日は何にする??」ニコッ
きな子「えーっと・・・・・・い、いつものでいいっすかね・・・・・・」
侑「日替わり弁当だね」ニコッ
きな子「はいっす」
彼方「────はーい、少々おまち~」
侑「きな子ちゃん、今度でいいからこの限定メニューも食べてみてよ」ピラッ
きな子「ん??限定メニュー増えたんすか?」
侑「うん!近江弁当店・店主、彼方さんの自信作だよ~」ニコニコ
きな子「そうなんすか!へぇ~、手ごねハンバーグ弁当っすか。うまそうっす!」
侑「日替わり弁当に比べるとちょっと高い金額設定なんだけどね」アハハ
きな子「でも、手の込んだ料理なら仕方ないっすよ」
侑「挽肉はレギュラーメニューのハンバーグと違うものを取り寄せて使ってるんだよね。北海道直送で質はいいんだけど少し値段が高くてさ」
きな子「・・・・・・そうなんすか、ウチの会社でも同じような挽肉扱ってるっすけど・・・」
きな子「はい、そうっす!近江弁当店さんからも発注貰えたら最高っす!」ニコッ
侑「私としてもいつも買いに来てくれるきな子ちゃんの会社から仕入れられるといいんだけどね~・・・・・・」
彼方「へいお待ち~!日替わり弁当一丁ぉ!」ドサッ
侑「あ、出来たみたいだね!お会計、380円です!」
きな子「ちょうどあるっす」ジャラッ
侑「まいどあり~!」ニコッ
きな子「では、また来るっす」
彼方「いつもどうもねぇ~」
バタンッ
侑「彼方さん、きな子ちゃんが勤めてる会社で彼方さんの限定ハンバーグと同じような挽肉扱ってるって言ってましたよ」
彼方「そおなの~??あれは遥ちゃんが勤めてる会社から仕入れてるんだけど、北海道直送の良い肉使った挽肉なんだよねぇ」
侑「ですね、こないだ遥ちゃんに聞きましたから」
彼方「まぁ、きな子ちゃんはウチの常連さんだし、なにかお仕事の取引が出来るといいよねぇ」
侑「でも、勝手に取引先増やしたら遥ちゃんに怒られません??」
彼方「うーん、それもそうだねぇ・・・・・・」ハハハ
──
~きな子の部屋~
ガチャッ・・・
バタンッ
きな子(ふう~、ただいまっす・・・・・・)
きな子(まずは弁当冷めないうちに食べた方いいっすね・・・・・・)
キュッ
コポコポコポコポ・・・
きな子(まずはやかんでお湯沸かして、インスタントみそ汁の用意するっす・・・・・・)
カタンッ
カチッ・・・ シュボッ・・・
きな子(ふうっ・・・・・・)
ガサガサッ・・・
きな子(今日の日替わり弁当のおかずは何っすかね~♪)
ガサッ
きな子(・・・・・・お、豚の生姜焼きっすか。うまそうっす)
きな子「いただきますっす」パキッ
きな子「はむっ・・・・・・むぐむぐ・・・・・・」モグモグ
きな子(うんっ!近江弁当店はやっぱうまいっすね~)モグモグ
──ピィィィィィィィ
きな子(おっ!お湯沸いたっすね・・・・・・)
ガタッ・・・
コポポポ・・・
きな子(汁椀に入れたインスタント味噌汁をお湯で溶かしてっと・・・・・・)
きな子(これにあおさをひとつまみ入れると味気ないインスタントの風味が少しは良くなるんすよね・・・・・・)ガサッ
きな子(どれどれ・・・・・・)ズズッ
きな子「あつっ・・・」ビクッ
きな子(沸騰直後だから熱くて当然っすね・・・・・・)
きな子(どれ、テレビでも見ながら食べるっす・・・・・・)ポチッ
きな子「・・・・・・」ジーッ
きな子(この女優さん、最近よくテレビで見かけるっすね・・・・・・)
きな子「・・・あむっ・・・んむっ・・・・・・」モグモグ
きな子(確か、きな子と同じで高校時代にスクールアイドルしてたとか・・・・・・)
きな子(きな子もLiellaのみんなといい成績残しましたけど、あくまでもグループとしての評価であって、きな子個人ではただのメンバーでしかないっすし・・・・・・)
きな子(この女優さんは、才能あったからこうして登り詰められたんすかね~・・・・・・)モグモグ
きな子「・・・・・・・・・・・・」
きな子(今更こんなこと思っても何も変わらないっす・・・・・・)
きな子(きな子は今の仕事をがんばろう・・・・・・)
ガタッ
きな子(あ、そういえば冷蔵庫に・・・・・・)ガバッ
きな子(・・・・・・あったあった)
カシュッ
きな子「んぐっ・・・んぐっ・・・んぐっ・・・・・・」グビグビ
きな子「ぷはぁっ!!」
きな子(やっぱ、仕事のあとの麦とホップは格別っす・・・・・・)ゲフゥッ
──
~翌日~
ブオオオオオオ・・・
キイッ・・・ バタンッ
きな子「どうもっす!鬼塚商店っす」
かのん「────あっ!きな子ちゃんお疲れ様~」
きな子「今から品物運び入れるっす」
かのん「────うん、よろしくね」
きな子「よっこいしょっ・・・・・・」ズシッ
ドサッ
きな子「ふうっ・・・」
きな子「かのん先輩、鶏ガラと豚骨いつもの場所に積んで置いたっす」
かのん「あ、うん!ありがとね」
きな子「かのん先輩、ウチだと下処理済みの鶏ガラや豚骨も卸せるっすけど、いつものでいいんすか?」
かのん「うん。それはこだわってやってることだからいいんだ」
きな子「そうなんすね。いつも1人で仕込みに時間掛けてるみたいで大変そうっす」
かのん「あはは、ありがとう」ニコッ
かのん「でも、それも楽しんでやってるから大丈夫!」
きな子「それならいいっすが・・・・・・」
麺屋【凛】を皮切りにスクールアイドルラーメン戦国時代になったからね
ランダムでシールくれそう
時間絡むからストレスヤバそうだし
かのん「あーこれ?メニューとして出すわけじゃないけど、ちょっとした試作をしようと思ってるんだ」
きな子「へぇ~、凄いっす」
かのん「上手くいけば限定メニューで出してみて、お客さんの反応良いようならいずれはレギュラー化するのもアリかもね」
きな子「かのん先輩ならきっと上手く行くっす!」
かのん「ありがとう、きな子ちゃん」ニコッ
きな子「では、きな子は次の取引先に行くっす」
かのん「うん、気をつけてね。ちぃちゃんのところかな??」
きな子「いえ、千砂都先輩のところにはいつもかのん先輩のお店の前に回って来るんで」
かのん「あー、そういえばそうだったね」
きな子「では、ありがとうございましたっす」ペコッ
かのん「・・・・・・あっ!度々引き止めてごめん!!」
きな子「ん?何すか??」
きな子「まぁ、仕事上がったら家で大人しくしてるっす」
かのん「私のお店の閉店後に来てくれない??試作ラーメン食べて貰いたいんだ」
きな子「いいんすか??」
かのん「もちろんっ!!是非感想聞かせて欲しくて」
きな子「ありがとうございますっす!喜んで頂きに来るっす!」
かのん「美味しいかどうかはまだわからないけどね」アハハ
きな子「きっと美味しいっす!!」
きな子「では、また夜に来ますっす!!」
かのん「うん!またね~!!」
バタンッ
きな子(かのん先輩のラーメンの試作品の試食させて貰えるなんて光栄っす!!)
きな子(夜が楽しみっすね~・・・・・・)
バタンッ
キョカカッ・・・ ブルブルブルブル
ガコッ
きな子(さて、出発っす・・・・・・)
ブオオオオオオ・・・・・・
懐かしいなぁ
──
~かすみの店・営業中~
千砂都「はい、小の方~・・・・・・どうぞ~」ドンッ
千砂都「隣の方~・・・ アブラカラメね・・・・・・どうぞ」ドンッ
かすみ「ちぃ子、次の麺茹でるよ」
千砂都「あ、はい!」
千砂都「後ろでお待ちのお客さ~ん!食券見せて~??」
千砂都「・・・・・・・・・・・・えーっと、はいありがとうございま~す」
千砂都「・・・・・・!?」ビクッ
千砂都(あれっ!?あの人・・・・・・)チラッ
千砂都「(て、店主・・・・・・席待ちのお客さんの中にいるあの人・・・・・・)」ヒソヒソ
かすみ「・・・・・・んん~?」チラッ
かすみ「うげっっ!?」ビクッ
かすみ「(ま、またランジュせんぱい来てるよっ!!)」ヒソヒソ
千砂都「(ど、どうします??)」ヒソヒソ
かすみ「(う・・・うまいことあしらっておいてよ、ちぃ子・・・・・・)」ヒソヒソ
千砂都「(りょ、了解っす・・・・・・)」ヒソヒソ
ランジュ「・・・・・・」ニヤッ
卸売の描写がリアルでいい
──
千砂都「先頭から3名さんまで順番に奥から詰めて座ってくださいね~」
ゾロゾロ・・・
ガタッ・・・
かすみ「・・・・・・・・・・・・」
千砂都「・・・・・・」
千砂都(あっ・・・・・・)
ランジュ「今日はかすみが調理してる目の前の席に座れたわ」ニヤッ
かすみ「ラ、ランジュせんぱい・・・・・・ら、らっしゃーせー・・・・・・」ソワソワ
千砂都「お、お客さん・・・私語は勘弁してください・・・・・・他のお客さんに迷惑なんで」
ランジュ「千砂都、悪かったわね。ちょっとうれしかったからはしゃいじゃったのよ」ニコッ
かすみ「ちぃ子、麺上げるよ」
千砂都「あ、はい」
かすみ「・・・・・・・・・・・・」ザッ・・・ザッ・・・
ランジュ「・・・・・・」ジーッ
客「ニンニクで」
千砂都「はーい」ザッ・・・ モサッ
千砂都「どうぞ~」ドンッ
千砂都「と、隣の方~・・・・・・」
ランジュ「そうね、今日はニンニクアブラで頼むわ」
千砂都「ニンニクアブラ~・・・・・・」ザッ・・・ドロッ
千砂都「はい、おまち」ドンッ
ランジュ「ありがとう」ニコッ
千砂都「隣の方~・・・・・・」
客「ヤサイマシニンニク・・・・・・」
かすみ「!?」ビクッ
かすみ「そ、それは・・・ありがとうございますです・・・・・・」ビクビク
ランジュ「はむっ・・・・・・」モグモグ
ランジュ「うんっ!野菜はクタクタに煮た方が美味しいわね。さすがかすみだわ」
かすみ「・・・・・・いえいえ」
ランジュ「このバラ豚のロール・・・・・・相変わらず完璧な丸型ね」
かすみ「ぶ、豚はちぃ子にやらせてるんで・・・・・・」
ランジュ「知ってるわ。さすが千砂都ね」モグモグ
ランジュ「はむっ・・・・・・ズゾゾゾゾッ」ズルズル
ランジュ「んむんむ・・・・・・」モグモグ
ランジュ「この極太麺の茹で加減も固すぎず柔すぎず完璧よ」
かすみ「あ、ありがとうございます・・・・・・」
ランジュ「やっぱりかすみのラーメンは美味しいわ」ニコッ
ランジュ「なんでこんなに美味しいのか秘密を知りたいのよ、ランジュは」
かすみ「秘密も何も・・・・・・総帥の元で修行して暖簾分けの許可貰ったから開業しただけですし・・・・・・」
ランジュ「謙虚ね」ニコッ
かすみ「ま、まぁ!かすみんの場合はセンスがいいってのもありますけどぉ・・・・・・」ハハハ
かすみ「そ、それはどうもです・・・・・・」
ランジュ「また今度、閉店後に私の店に来なさい?拉麺勝負するわよ!?」キリッ
かすみ「ひいっ!?」ビクッ
ランジュ「あら?嬉しいのかしら?」ニコッ
かすみ「い、いえ・・・・・・翌日の仕込みもあるんで遠慮しときます・・・・・・」
ランジュ「あら、残念ね」
ランジュ「ごちそうさま」ドンッ
ランジュ「・・・・・・」フキフキ
ランジュ「また来るわね」ガタッ
千砂都「あ、ありがとうございまーす・・・・・・」
かすみ「・・・・・・・・・はあっ」ヤレヤレ
千砂都「店主、そのラーメン勝負とやら受けてあげたらいいんじゃないですか?」
かすみ「ううっ・・・・・・ぜ、絶対にイヤです・・・・・・」ゲッソリ
千砂都「一度負かしてやれば付き纏われることもなくりそうな気もしますけどね」
かすみ「前にランジュせんぱいに言われて一度だけ勝負してるんだよ、ちぃ子・・・・・・」
千砂都「そうなんですか」
かすみ「・・・・・・次のロット行くよ」
千砂都「は、はい!」
FAXで発注書送っといてくださいとか中小企業っぽさがリアル
1000袋分ぐらいある
──
~近江弁当店・午後~
侑「ふうっ、ごちそうさまでした!!」
彼方「お粗末さまでしたぁ」ニコッ
侑「今日も美味しかったですっ!・・・・・・って、毎日のように言ってますけどね」アハハ
彼方「それでも~、そう言って貰えると嬉しいもんなんだよぉ~」ニコニコ
侑「それにしても、今日の午前から昼にかけては戦争のように忙しかったね~」ハハハ
彼方「だねぇ、何だか会社関係のまとまった大口注文がたくさんあったね」
侑「固定客になってくれたら儲けも増えるし良いばっかりなんだけど・・・・・・」
彼方「でも、今のままだと人手が足りないねぇ・・・・・・」
侑「求人の貼り紙でも入り口にしときます??」
彼方「そうだねぇ」
侑「・・・・・・さて、そろそろ夕方に向けての準備しておかないとね」ガタッ
彼方「よし・・・彼方ちゃんも唐揚げの仕込みしておくか~・・・今日の夜の部はどれくらい売れるかなぁ・・・・・・」
侑「あっ!しまった!!」
彼方「ん~?侑ちゃんどうかしたぁ??」
侑「漬け物の在庫が切れそうなの昨日の時点で気付いていたんだけど、忙しさにかまけて注文するの忘れちゃったよ」シュン
彼方「もう丸っきり残ってないの?」
侑「う~ん・・・今日の夜の部の分くらいは持つかなぁ・・・・・・」
彼方「どうしよう・・・・・・遥ちゃんのところでこれから配達してくれないかなぁ」ウーン
侑「・・・・・・・・・・・・」Prrrr
侑「・・・・・・あっ、いつもお世話になってます!近江弁当店です~!!」
侑「ちょっと急なんですが、業務用の漬け物のいつものやつ、2箱配達お願いできませんかね・・・・・・」
侑「あ、はいっ!恐れ入ります・・・・・・」
侑「・・・・・・・・・・・・」
彼方「どう?配達してもらえそうかな??」
侑「事務の方が今確認してくれてるみたいです・・・・・・」
侑「あ、はい!いえいえ!・・・・・・・・・そ、そうですよね」
侑「あー、そうですか・・・・・・明日だと大丈夫なんですね」
彼方「侑ちゃん、明日でもいいから頼んじゃって~」
侑「はいっ!はい!・・・・・・明日で結構です。宜しくお願いします」
侑「すみませ~ん!はーい、ありがとうございまーす」ガチャッ
彼方「そっかぁ、遥ちゃんにも無理させられないしなぁ」
彼方「やっぱ、仕入れの取引先増やそうかなぁ」ウーン
侑「それが現実的に良いかもしれませんね~。今度常連のきな子ちゃんがお弁当買いに来てくれたら聞いてみますよ」
彼方「うん、侑ちゃんお願いね~」
侑「漬け物の残りが心もとないからスーパーからしのげる程度の漬け物買って来た方いいですかね?」
彼方「うん、侑ちゃんに任せる」
侑「じゃあ、急いでスーパー行って来ますね」
彼方「行ってらっしゃーい」
──
~かのんの店・閉店後~
かのん(ふうっ、フロアの掃除も終わった・・・・・・)ガタッ
かのん(そうだ、きな子ちゃんが来るから準備しておかないと・・・・・・)
ガチャッ
かのん「ん?」クルッ
かのん「いらっしゃ~い!きな・・・・・・
千砂都「かのんちゃん久しぶり!」ニコッ
かのん「あ、ああ!ち、ちぃちゃんか~!!ひ、久しぶりだねぇ~」アハハ
千砂都「丁度仕事終わったところなんじゃないかなって思ってね。たまにかのんちゃんの様子見てみようかな~って」
かのん「そ、そうなんだ。ちぃちゃんも仕事帰り?」
千砂都「うん、そうだよ」
かのん「ちぃちゃんが働いてるお店、かなり繁盛してるみたいだね」
千砂都「うん、まぁね。忙しさにはもう慣れたけどね」アハハ
かのん「私の店もそこまで混雑するお店とまでは行かなくても、そこそこ繁盛する店になれたらいいな」
千砂都「大丈夫だよ!かのんちゃんのお店なんだから!!」ニコッ
かのん「うん、ありがとね。ちぃちゃん」
かのん「あ、これはね、新メニュー・・・・・・
ガチャッ
きな子「こんばんわっす!!かのん先輩、きな子来ましたっす!!」ニコッ
かのん「あ、きな子ちゃんいらっしゃい!!」ニコッ
きな子「あれ?千砂都先輩も来てたんすね」
千砂都「・・・・・・あ、うん」
きな子「午前に配達で千砂都先輩のお店でお会いしたばかりなのに、今度はかのん先輩のお店でもお会いするなんて奇遇っす!」
千砂都「あはは・・・そ、そうだね」
きな子「千砂都先輩もかのん先輩の試作ラーメンの試食っすか?」
千砂都「えっ!?・・・・・・い、いや・・・私は仕事帰りにたまたま寄ってみただけなんだ」アハハ
きな子「そうなんすか~」
千砂都「・・・・・・あ・・・わ、私は・・・・・・店でまかない食べて来たからいいよ」
かのん「そっかぁ、感想聞きたかったんだけどそれなら仕方ないね」
きな子「スープの味見くらいならできるんじゃないっすか?」
かのん「それだ!!スープの味見なら出来るよ!!」
千砂都「・・・・・・・・・・・・」
千砂都「ご、ごめん・・・・・・また今度食べさせてよ・・・・・・」
かのん「えっ?」
千砂都「あ~・・・今日も仕事で疲れたから早く寝ないと!!」
千砂都「じゃ、またね!!」
バタンッ
きな子「千砂都先輩、かすみさんのお店の助手でかなり働いてるっすから、かなりお疲れなんすね」
かのん「ちぃちゃんもちゃんと誘っておけばよかったかな・・・・・・」
きな子「ん?」
かのん「・・・・・・それより、お腹空いたでしょ??」
きな子「はいっす!!かのん先輩の試作ラーメンを味わう為にバッチリ腹空かせて来たっす!!」
かのん「あはは!期待され過ぎるとつらいかも・・・・・・」
かのん「まぁ、麺茹でればすぐ出来上がるから座って待っててよ」ニコッ
きな子「きな子も何か手伝うっすか?」
かのん「大丈夫大丈夫!すぐ出来るから」
──
──グツグツグツグツ
かのん「・・・・・・・・・・・・」
かのん「よし、麺上げそろそろかな・・・・・・」
バシャッ
ザッ・・・ ザッ・・・
かのん「よっ・・・・・・」バッ
かのん「はい、おまちどおさま!!試作の塩ラーメン!!」ドンッ
きな子「うわぁ!!ありがとうございますっす!!」
かのん「純粋にスープの味の感想が貰いたいからトッピングは無しなんだ。ごめんね」
きな子「いえいえ!かのん先輩に協力出来るなんて光栄っす!!」
きな子「では、いただくっす!!」パキッ
かのん「率直な感想お願いします!!」
きな子「・・・・・・うん」
かのん「ど、どうかなぁ・・・・・・」ドキドキ
きな子「少し薄味に仕上げてあるんすね・・・・・・ずずっ」
かのん「うん。ウチ、今のところ醤油味のみでやってるでしょ?だからそれと差別化できないかと思ってね」
きな子「これはもう好みの問題かもしれないっすが、少し物足りない気もするっす・・・・・・」
かのん「なるほど、やはりそう来たか~」フムフム
きな子「では、麺の方は・・・・・・」
きな子「はむっ・・・・・・ズルッ・・・ズゾゾゾゾ・・・」
きな子「んむんむ・・・・・・」モグモグ
きな子「麺は醤油ラーメンと同じものっすね」
かのん「これはこだわってる麺で勝負したかったからね」
きな子「これは塩ラーメンとも相性良いと思うっす」
かのん「そっか、それなら良かった!」
きな子「そうっすね。その方がきな子としては良いような気がするっす」
かのん「う~ん・・・・・・かえしの作り方、一から見直すか・・・・・・」
きな子「ウチで扱ってるモノで塩スープに使えそうなもの、今度ご紹介するっす」
かのん「うんっ!そうして貰えるとありがたいよ」
きな子「塩ラーメンのコクを出すのに白醤油なんかを使うのも良いって他に取引があるお店で聞いたことあるっす」
かのん「みたいだね」
きな子「明日、食材の配達の時に何種類か持って来てみるっす」
かのん「ありがとう!よろしくお願いするよ」ニコッ
きな子「はいっす!」ニコッ
──
きな子「ふぅ~、ごちそうさまでしたっす!」
かのん「お粗末さまでした!」
きな子「・・・・・・さて、きな子も明日早いんで帰って休むっす」
かのん「きな子ちゃん、今日はありがとね」
きな子「いえいえ!きな子で良ければかのん先輩への協力は惜しまないっす!!」
かのん「また良い試作出来たら招待してもいい?」
きな子「もちろんっす!!」
かのん「じゃあお願いね」
きな子「はいっす!!」
きな子「では、ラーメンありがとうございましたっす」ペコッ
かのん「またね~」ニコッ
バタンッ
きな子(今日はかのん先輩のお手伝いが出来てよかったっす・・・・・・)
きな子(さて、帰ってお風呂入ったら眠るっす・・・・・・)
テク テク テク・・・
──
~ランジュの店・開店前~
ガラガラッ
きな子「おはようございますっす!!鬼塚商店っす!!」
ランジュ「────へぇ~、面白いわね。これはランジュの拉麺にも使えるかもしれないわ」
きな子「??」
「そう言って貰えると嬉しいです!!今のところ、ウチの東雲物産でしか取り扱いしてない商品でして・・・・・・」
ランジュ「もしコレを使うとなると、鬼塚商店から仕入れているのいくつかが必要なくなるかもしれないわ」ウーン
きな子「どうかしたっすか?」
ランジュ「ああ、きな子。来てたのね」
「ウチが専売契約して仕入れている調味料ですよ」
きな子「へぇ~、凄いっす」
ランジュ「きな子、この子はきな子の会社とは別にランジュが取引のある東雲物産の遥よ」
きな子「し、東雲物産!?鬼塚商店とは比べものにならない大手の会社っす!!」
遥「東雲物産の近江遥です」ニコッ
きな子「ご挨拶痛み入るっす、鬼塚商店の桜小路きな子っす」ペコッ
遥「では、コチラの件は是非ご検討ください!!」
ランジュ「そうね、考えてみるわ」
遥「では、失礼します」ペコッ
ランジュ「そうそう、遥。お姉さんは元気??」
遥「・・・・・・あ、はい!」
ランジュ「そのうち、お弁当買いに行くからって伝えておいてくれる?」
遥「分かりました!ありがとうございます!!」
バタンッ
ランジュ「ありがとう。きな子」ニコッ
きな子「東雲物産さんの商品、仕入れるんすか?」
ランジュ「うーん、まだ決めたわけじゃないけれど、アレを使うと色々と便利かもしれないわね」
きな子「ウチの商品も何とか使い続けて欲しいっす。きな子が厳選して仕入れてる物ばかりなんっす」
ランジュ「それはもちろん分かってるわ。でも、フロアスタッフは雇っていても、厨房はランジュ1人で回しているから手間が省けて色々なメニューに応用が効く調味料は魅力的ではあるのよ」ウーン
きな子「一品一品のラーメンにこだわっているのがランジュさんのラーメンだと思うっす」
ランジュ「そうね、ランジュは自分の味に妥協したくないわ」
きな子「生意気言ってすんませんっす」ペコッ
ランジュ「いいのよ、ちょっと見失うところだったわ」
ランジュ「最近忙しくて、疲れが溜まっているのかもしれないわね」
きな子「無理はしないでくださいっす」
ランジュ「気遣いありがとう」ニコッ
きな子「では、失礼するっす」ペコッ
きな子「へ??」クルッ
ランジュ「これ、持っていきなさい?」スッ
きな子「えっ?コレ何っすか?」
ランジュ「ほら、先日限定メニュー思い付いて卵を追加で注文したでしょ?」
きな子「は、はいっす」
ランジュ「読み違えて余らせちゃったのよ、だから空き時間にマーラーカオ作ってみたの」
きな子「へぇ~!美味しそうっす!!しかもこんなにたくさん!!」
ランジュ「配達の休憩時間にでも食べるといいわ」
きな子「ありがとうございますっす!!」ペコッ
ランジュ「じゃ、気をつけて運転しなさいね」
きな子「はいっす!!」
バタンッ
きな子(うわぁ~!マーラーカオって中華蒸しパンっすよね。後で美味しくいただくっす!!)
バタンッ
キョカカッ
ブルブルブルブルブル・・・
きな子(さて、次急ぐっす・・・・・・)
ガゴッ
ブオオオオオオオ・・・・・・
冷蔵車でないと
申し訳ない
…地下5mか?
すごい名前
今は売ってるかしらんけど
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