花帆「さやかちゃんって月みたいだよね」
花帆「あんなふうに輝けるさやかちゃんが羨ましいな」
さやか「…それを言うなら花帆さんは太陽ですね」
さやか「月は太陽に照らされて、初めて輝くんです」
さやか「私は、花帆さんがいることで輝けるんですよ」
花帆「さ、さやかちゃん…!」
さやか「これからも隣にいてくれますか?」
花帆「もちろんだよ!」
みたいなさやかほが見たいのだけれど
続けてちょうだい。
人から見たらどちらも同じく強大なのよ
我々矮小な存在が絶対を例えるには程よい距離感なの
大きな石っころがどんな貴金属や宝石よりも夜闇を照らすほど輝いてんだぜ?
エモいだろ
いつまでも待つわ
唐突に花帆さんが呟く。部室には2人、私と花帆さんしかいない。
さやか「藪から棒になんですか。宿題なら見せませんよ」
花帆「宿題ならもう終わったもーん!そうじゃなくて、先週のスケートの地区大会、また優勝したでしょ?」
花帆「スクールアイドルとスケートの二足のわらじ!両方こなして結果も残すなんてすごいよ!」
さやか「ありがとうございます。皆さんの応援もあって成し遂げられたことですから。これからも期待に応えて頑張りたいです」
固いよさやかちゃ~ん、なんて言いながら眩しい笑顔でこちらを褒めてくれる。
さやか「頭じゃなくて鼻ですよ…」
さやか「本当に宿題やったんですか?」ジトー
花帆「まぁまぁ」
なんて言って、調子のいい花帆さんだ。
花帆「…でも最近思うんだー。アタシの友達はすごいのに、アタシはなーんも持ってない」カニョーン
急にしおらしくなる。高かった鼻が低くなってしまった。
さやか「そんなことないですよ。花帆さんにだってたくさんすごいところ、あるじゃないですか」
さやか「…花の見分けがつく…とか?」
花帆「そんなの全然すごくなーい!!」ウワーン
さやか「そ、それだけじゃないですよ!努力家で一生懸命なところや、友達思いなところとか!」
花帆「……」
咄嗟に出てきた褒め言葉を並べる。もっと言おうとしたが花帆さんが黙ってしまった。
花帆「うーん、なんと言うか私にしかないすごいこと、が欲しいんだよね」
さやか「というと?」
花帆「周りの人がすごいからさ、アタシには何もないって思っちゃうんだよね」
花帆さんもうまくまとまってなさそうだったが、要はそんな個性のようなすごいものが欲しいらしい。
そんなもの、もうとっくにあるのに。
花帆「氷上を舞う姿がまるで月みたいに美しかった」
花帆「アタシもあんなふうにすごいことがしたいって思っちゃった」
私を褒めたのはこれが理由だったんですね。そんなこと、気にしなくてもいいのに。私はあなたが思っている以上に花帆さんのすごいところを知っている。
だから、口から勝手に言葉が溢れた。
花帆「太陽?」
さやか「はい。みんなに笑顔を振り撒く太陽。みんなに希望を届ける太陽。花帆さんのおかげで元気になった方達がたくさんいるんです。」
花帆「そうかな…」
さやか「そうです。私も、スクールアイドルクラブのみなさんも、花帆さんの笑顔に救われてますから」
さやか「それに知ってますか?月は太陽に照らされて初めて輝けるんですよ」
さやか「私は、花帆さんが隣にいることで輝けるんです」
さやか「これってすごいことじゃないですか?」
さやか「だから、これからもずっと私のそばにいてくれますか?」
あれ?もしかして私すごく恥ずかしいことを言ってません?
花帆「それって、もしかしてプロポーズ?//私たちにはまだ早いよ~//」
さやか「ち、違いますよ!!ちょっと励まそうとしただけです!!あーもう恥ずかしい//」
花帆「でも、ありがとね、さやかちゃん」
戯けたふりをしながらも、飄々とした様子で私に感謝を伝える花帆さん。一方で私は全く余裕がない。その対比がたまらなく恥ずかしかった。
さやか「あーもう」
花帆「どこ行くのさやかちゃん?」
さやか「トイレです!少し顔洗ってきます!//」ガチャ
花帆「あはは、いってらっしゃーい!」
さやかちゃんが出ていった。
一瞬でどっと疲れがきた。
スマホのカメラで自分の顔を見る。
まるで太陽の様に真っ赤っかだ…
さやかちゃんがあんなふうに思ってくれてたなんて嬉しいな。
戻ってくる前に顔色戻しとかなきゃ。
あれ?
っていうか、
月ってあんなに綺麗だったっけ?
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