【SS】果林「平和な朝を取り戻せ!」
代行ありがとうございました!
果林「んん……」
私の一日は、朝エマに起こしてもらうことから始まる。
エマの甘い囁きで目が覚め、そのまま服を着替えさせてもらい、
髪をとかしてもらい、ハンドクリームを塗ってもらう。
そんな優雅な朝を過ごしていた……
ランジュ「おはよう果林!」ガバッ
果林「わぁっ!?……ん!?」」
はずだったんだけど……
ランジュ「今日からお世話になる、ショウ・ランジュよ!」
エマ「ふふっ、ランジュちゃんが寮に来てくれたおかげで、果林ちゃんの朝寝坊が減りそう!ありがとうね!」
ランジュ「これぐらい、朝飯前よ!」
果林「あはは……」
ランジュ「さっ!次はミアね!」
・・・
ミア「まさかランジュまで寮に来るなんて、騒がしくなりそう……」
エマ「私は賑やかになりそうで、嬉しいな!」
果林「そ、そうね……」
ランジュ「それにしても、果林もミアも朝弱いのね!でも無問題ラ!これから毎朝私が起こしに来てあげるわ!」
果林「!?」ガタッ
ミア「ランジュが今日みたいに?……エマは別にいいけど、ランジュは騒がしいからごめんだね」
ランジュ「な、なによう……」
エマ「あ!だったら分担しようよ!これからは私がミアちゃんを起こすから、ランジュちゃんは果林ちゃんをお願いね!」
果林「え」
ランジュ「そうね!ミアもエマの方がいいみたいだしっ!ふんっ!」プイッ
果林「え、え」
ミア「まあ、僕は一人でも起きれるんだけど、エマがどうしてもって言うなら……」
果林「え、え、え」
エマ「ふふっ!私、ミアちゃんのお世話したいな!これからよろしくね!」
果林「……」
こうして私の優雅な朝は終わりを告げた……
果林「はぁ……」
明日からもうエマに起こしてもらえないだなんて……
……って駄目よ朝香果林!いつまでもエマに頼ってばかりじゃだらしないわ!
むしろこれから自立するためには、いい機会なんじゃないかしら?
明日からは早起きして、ランジュが来る頃に起きておけば無問題よね!…なんてね
というわけで、今日は早く寝ましょう……
おやすみなさい……
「ほら!果林!もう起きなさい!」
果林「むにゃ……」
あれ……誰かが私を呼ぶ声がする……
あ……もう、朝なのね
エマが、起こしに来てくれたのかしら……
でも、まだ寝てたいわ……
果林「んん~……あと3分……」
「もぉ~!3分くらい寝てても起きても何も変わらないわよ!えいっ!」
バサッ
果林「きゃぁっ!!寒いからお布団めくらないで~……はにゃぁ~」
「も~!いいからさっさと起きなさい!」
うう~寒い……布団の捲り方がいつもより強引だし、まだ部屋も暖かくしてくれてないじゃない……
なんだか声もいつもより大きいくて……エマじゃないような……
エマじゃない……?
はっ!?
果林「ら、ランジュ!?」ガバッ
ランジュ「おはよう果林!ようやくお目覚めね!今日もランジュが来てあげたわよ!」ニコッ
果林「あ、ランジュ……おはよう……」
昨日のように頭がギンギンするし、最悪の目覚めだわ……
っていうか結局、今日も起きれなかった……
ま、まぁ、初日だし?起きれないのも仕方ないわよね?
ともかく明日はちゃんと起きるようにしないと……
ランジュ「え~っと、確かエマから言われてたのは……そうだわ!まずは服を着替えさせてあげる!」
果林「え゛!?……いや、それくらい一人でできるから……」
ランジュ「嘘よ!エマはいつも果林のことを着替えさせてるって言ってたもの!果林は一人じゃ着替えられないんでしょう?」
果林「ち、違うわよ!?いつもは甘えちゃってるだけで、別に一人で着替えれるから!」
ランジュ「恥ずかしがらなくても無問題ラ!ランジュに任せておきなさい!えっとまずはタイツから履かせるわね!それっ!」グイッグイッビリッ
果林「だっ!だから大丈夫だってば~!」
ランジュ「ほら!ランジュが髪もとかしてあげるわ!」グイッグイッ
果林「いたっ!痛いっ!ちょっと!もうちょっと優しく……」
・・・
ランジュ「さあ!ランジュがハンドクリームも塗ってあげるわ!」グチョ
果林「浸けすぎ!浸けすぎ!」グッチョリ
・・・
果林「おはよ~……」グッタリ
ランジュ「エマ!ミア!おはよう!気持ちのいい朝ね!」
エマ「おはようランジュちゃん!今日も元気だね!」
ミア「good morning!!」
ランジュ「あら?ミア……いつもより顔色が良いわね」
ミア「ああ、エマと過ごす朝は実に優雅だね!今日もいい日になる気がするよ!」パァァ
エマ「ふふっ、私も!」
期待
って、違う違う、私はこれから自立するんだから!!
ミア「ほんと、昨日はランジュのせいで最悪の目覚めだったけど、今日は最高の目覚めだね!」
ランジュ「むぅ……果林だって、ランジュと一緒の朝を過ごせて幸せ者よね!」ニコッ
果林「え?……あ、そ、そうね……」メソラシ
正直、今日みたいな朝は二度とごめんだわ!
明日から絶対、ランジュが来る前に起きないと!
といっても、今日みたいにいきなり自分一人で起きようとしたって、そううまくいかないわよね?
またランジュに起こされるのがオチよね?
こうなったら……
愛「カリンがアタシに相談なんて珍しくない?」
果林「そ、そうかしら?」
愛「いつもアタシが頼っちゃってたから嬉しーけどね!えへへ!で、相談って?ユニットのこと?」
果林「えっと、そうじゃなくてね、前にモーニングコールくれてたことあったじゃない?」
愛「あー!あったあった!」
果林「えっと……またしばらく、お願いできないかしら……?」
愛「え?でも今はエマっちがいるから大丈夫なんじゃ……」
果林「あー……ちょっと諸事情で、今は起こしてもらえなくなっちゃってね……」
愛「……カリン、もしかしてエマっちと喧嘩でもした?」
果林「してないわよ!!」
果林「よし!これで明日は起きれるわね!」
今日と違って明日は愛からモーニングコールがくるから、今日は安心して寝れるわ!
愛に起こされる朝も悪くなかったし、これで優雅な朝が戻ってくるわね!
ランジュも私がちゃんと起きれることがわかれば、もう起こしに来ないんじゃないかしら?
ふぅ~、安心したら眠くなってきたわ……
今日も早く寝ましょう……
おやすみなさい……
ブー ブー ブー
……ん~?何か振動音が聞こえる?
もしかして、携帯が鳴ってる音かしら……?
あ~……愛からのモーニングコール?ってことは、もう朝なのね……
むにゃぁ、でも、まだ眠いわ……
あと5分って返事しましょう……
……あれ?でも何か、振動が身体に伝わってくるような……?
なんだかだんだん顔に近づいて……
ブブブブブブブ
果林「いたたたたたたた!!」
ランジュ「あ!果林!おはよう!起きたわね!」
果林「ら、ランジュ!?それは……」
ランジュ「これはマッサージ機よ!これを使えば、果林が快適に起きれると思って!」
果林「ええ……」
どうしたらそういう発想になるのよ!!
果林「あ……」
ちょうど7時……愛からのモーニングコール……遅かったか……!
ランジュ「あ!電話ね!ランジュに任せなさい!」pi
果林「あ!ちょっと!」
ランジュ「もしもし愛?……そう!果林の携帯よ!……そのことなら無問題ラ!果林ならランジュが起こしたわ!」
果林「あ……あ……」
ランジュ「そう!これからは果林はランジュが起こすから!ええ!じゃあ、また学校でね!拜拜!」pi
果林「あ……」
ランジュ「果林!愛にはランジュが起こすから電話はいらないって言っておいてあげたわ!」
果林「……そ、そう……ありがとう……」
毎朝、ランジュに起こされる日々を過ごすことになった……
【数日後】
果林「……」グッタリ
彼方「果林ちゃんお疲れだね~、モデルのお仕事、忙しいの?」
果林「え、ええ……そんなところよ……」
せつ菜「ええっ!?無理しないで、今日はお休みでも大丈夫ですよ!?」
果林「あ!……し、心配しなくても、大丈夫よ?みんなとの練習は気分転換にもなってるから……」
ランジュ「せつ菜の言う通り、無理は禁物よ!果林!休めるときには休まないと!」
果林「あ、はは……そうね……」
耐えるのよ、朝香果林……
起きれない私が悪いの……ランジュに起こされなくても、大丈夫な私になるのよ……!
明日こそは起きる。
そう何度自分に言い聞かせただろうか。
しかし、毎度、ランジュが来るまで起きれない自分がいる。
今までの生活で、いかにエマに支えられていたかを、思い知ったわ、
一度、染みついた生活習慣からは、簡単に変えることができないのね。
そんな情けない自分に自己嫌悪しながら、今日も深い眠りにつくのであった……
エマ『果林ちゃん!』
え?エマ?エマが、起こしに来てくれたの?
エマ『うん!果林ちゃん、最近疲れてそうだったから心配で、私が癒してあげたくて……』
あ、ありがとうエマ!私、ずっと待ってた!エマに起こしてもらえるのを!
エマ『えへへ、私も果林ちゃんを起こすのが好きだよ!スイスの子供たちを思い出して!』
やっぱり、エマに起こしてもらえる朝が、癒されるわ……
エマ『え~!果林ちゃん、褒めすぎだよ~!』
果林「だって、ランジュに起こされる朝は最悪よ!この世の地獄だわ!」
「……え?」
果林「やっぱり、エマに起こしてもらえる朝が、一番だわ」
え……エマ……?どうしたの……?
「っ……!!」ダッ
タッタッタッタ
え、エマ……どこへ行くの……
待ってよ!エマ!
ガチャ バタン!
果林「エマッ!!」ガバッ
果林「あ…あれ…?」
もしかして、今までのは夢……?
な、なんだ……びっくりした……
……えっと、今の時刻は……7時!?
あれ?嘘?もしかして、私、やっと自分の力で起きれた!?
なんだか目覚めも良いし、ランジュが来る前に身支度をさっさと済ませちゃいましょう!
……もしかしてランジュが毎朝、刺激的に起こしてくれたおかげで、起きる習慣がついたのかしら?
……だとしたら、なんだかんだ、ランジュには感謝しなきゃいけないわね、ふふっ
・・・
身支度を終えても、結局ランジュは来なかったわね……もしかして、珍しくランジュが寝坊?
果林「あら……?」
玄関に生徒手帳が落ちてる……
でも、自分のは、さっき持ってることを確認したし……誰かの忘れ物かしら?
……ランジュの生徒手帳ね
昨日、落としていったのかしら?届けてあげましょう
果林「ん?」
エマ「あれ?果林ちゃんが起きてる!?」
果林「エマ!おはよう!」
エマ「果林ちゃん、今日は一人で起きれたんだね~!偉い偉い!」ナデナデ
果林「ふふっ……ってエマ!!ナデナデはやめて!も~、私はかすみちゃんじゃないんだから!」
エマ「うふふ、ごめんごめん」
果林「そうだ、今日はランジュがまだ起きてないみたいなのよ、あとで一緒にランジュの部屋に行きましょ?」
エマ「え?ランジュちゃんなら、もう起きてるよ?」
果林「え?」
エマ「今日は早朝に学校に用事があって果林ちゃんのこと起こしに行けないからって、ランジュちゃんに頼まれたんだよ!だからミアちゃんを起こした後に私が来たの!」
果林「あ、そうだったのね」
さすがに、あのランジュが寝坊するなんて、考えすぎだったわね。
生徒手帳は同好会の時に届けてあげましょう。
せつ菜「さて!今日も練習を頑張りましょう!」
果林「……あら?」キョロキョロ
栞子「果林さん、どうかしたんですか?」
果林「ランジュがまだ来てないなと思って」
栞子「ああ、ランジュなら、今日は少し体調を崩したみたいで、お休みですよ」
果林「えっ!?」
エマ「それは心配だね……あとでお見舞いに行ってあげないと」
果林「え、ええ」
ミア「……あのランジュが珍しいこともあるんだね」
かすみ「とか言いながら、ミア子、ランジュ先輩のことが心配なんでしょ~」
ミア「ぼ、僕は別に……!」
エマ「ミアちゃんも後で一緒にお見舞いに行こう?」
ミア「しょ、しょうがないな……全く……」
ピンポーン
・・・
ランジュ『はい……』
エマ「あ、ランジュちゃん!お見舞いに来たよ~」
ランジュ『エマ!ありがとう!ちょっと待ってね!』
ガチャ
ランジュ「来てくれて嬉しいわ!エマ!」
ミア「なんだ、元気そうじゃないか、心配して損した」
ランジュ「あ!ミアも来てくれたのね!」
果林「ふふ、でも、元気そうでよかったじゃない」
ランジュ「あっ……」
果林「え?」
笑顔だったランジュの顔が、私を見ると、一気に気まずそうな顔に変わった気がした。
エマ「やっぱり、まだ、調子悪いの?」
ランジュ「え、ううん、問題ないわ……」
ミア「そこは無問題ラ、だろ?」
ランジュ「あ、あはは……」
やっぱり、まだ体調が悪いのかしらね?
エマ「とりあえず3人でお菓子とか買ってきたから、良かったら食べて?」
ランジュ「あ、ありがとう」
ミア「……ランジュもまだ本調子じゃなさそうだし、今日は帰ろうか」
ランジュ「ごめんね、ミアも心配してくれたのね」
ミア「……当然だろ、僕らはライバルなんだから」
そこは、友達って言わないのね……
全くこの子も素直じゃないわね。
果林「これ、私の部屋に落としてたわよ」
ランジュ「え?……あ……!」
果林「ランジュ?」
ランジュ「あ……ご、ごめんなさい……」
果林「?……これくらい全然……」
エマ「そうだランジュちゃん!果林ちゃん、今日は朝、自分で起きれたんだよ!」
ランジュ「え?」
エマ「そうだよね、果林ちゃん!」
果林「え、ええ……」
ランジュ「……だったらランジュはもう、いらないわよね」
果林「安心して!明日からは来なくていいわよ!」
ランジュ「…………そう」
ふぅ……これで、ランジュにも余計な気を遣わせずに済むわね!
おやすみなさい。
あら?ここは……空港?
ランジュ『……』
ランジュ?どうしたの?まだ調子が戻らないの?
ランジュ『私、もう帰国するから』
えっ……!?帰国……!?
ランジュ『私は、やっぱり同好会とは一緒にいられない、だから帰国するの』
そんな!私たちは同じ同好会のライバルになったはずじゃない!どうして……
ランジュ『同好会に馴染めないって言ってるのよ、特に果林……あなたとはね』
えっ……
なっ……!!
ランジュ『good bye』
ちょ、ちょっと待ちなさい!ランジュ!
「果林ちゃん!果林ちゃん!」
ちょ、ちょっと!誰よこんな時に!
エマ「果林ちゃん!起きて!果林ちゃん!」
え?……エマの声……?
果林「!!……」ガバッ
エマ「果林ちゃん!」
……エマ……!?って、さっきのは……夢?
エマ「良かった、起きた!……急がないと遅刻しちゃうよ!」
果林「え……?」
果林「ありがとうエマ、おかげで遅刻せずに済んだわ」
エマ「なかなか食堂に来ないから、心配して見に行って正解だったよ~」
果林「ごめんなさい、結局また、起きれなくって……」
エマ「大丈夫だよ~!……でも、やっぱり心配だし、明日からは起こしに行ってあげるべきだよね」
果林「そ、それじゃあ!」パァァ
やったわ!またエマに起こしてもらえるように……!
エマ「またランジュちゃんに頼もうか!」ニコッ
果林「え……」
エマ「そういうわけだから、また果林ちゃんのこと、起こしに行ってあげてくれないかな?」
果林「……」
ランジュ「……」
うう……また、ハチャメチャな朝に逆戻りになるのね……
ランジュ「……お断りするわ」
果林「え?」
エマ「ど、どうして?」
ランジュ「それは……」
そういえば、今日の夢で……
ランジュ『朝一人で起きれない人と一緒に活動なんて、恥ずかしいわ』
もしかして正夢!?
エマ「ええっ!?確かに、私も情けないとは思ってるけど……」
少しも否定してくれないのね……
ランジュ「別に、そんな風に思ってないわよ……できることなら、果林の事はランジュが起こしてあげたかったけど……」
エマ「だったら、どうして……」
ランジュ「それは……果林が、ランジュに起こされる朝は地獄だって言うから……」チラッ
果林「え!?」ギクッ
エマ「か、果林ちゃんがそんなことを!?」
果林「え?私、ランジュに直接そんなこと言った覚えないわよ!?」アタフタ
心の中では、思ってたかもしれないけど……
ランジュ「!!……だって昨日、ランジュにそう言ったじゃないのよ!!ランジュに起こされるのは最悪で、エマが一番だって!!」ジワァ
果林「き、昨日!?昨日は用事があるからって来なかったじゃないのよ!」
ランジュ「昨日、本当は朝起こしに行ったのよ!でも、寝言ではっきりとそう言ってたのを、聞いちゃって……」
果林「ね、寝言!?」サーッ
昨日どんな夢を見ていたんだっけ……お、思い出せない……
果林「え、えーっと、それは聞き間違いなんじゃ……」
ランジュ「はっきりとそう言ってたもん!!」ウルウル
エマ「……ランジュちゃん、それは本当なんだね?」
ランジュ「本当よ!!」
エマ「……果林ちゃんは、ランジュちゃんに対して、そう思ってたってこと?」
果林「そ、それは……」
エマ、怖いわ。
エマ「…………こういう時は、二人きりでちゃんと話して、仲直りしないとダメ」
果林「はい……」
エマ「いい?仲直りするまで、部室に来ちゃだめだからね?」
果林「わかりました……」
ランジュ「……」
果林「……」
き、気まずいわ……
いったい、なんて声をかければ……
とりあえず、謝りましょう。
果林「その、ごめんなさい、ランジュ……酷いこと言って」
ランジュ「……ううん、ランジュこそ、果林のことをうまく起こしてあげられなくて、ごめんなさい」
果林「それは……しっかりしてない私が悪いんだし……」
ランジュ「でも……アタシ、果林の役に立てるって思って、つい舞い上がっちゃって……嫌がられてるなんて、思ってなくて」
果林「……!」
ランジュ「やっぱり、私って駄目ね……誰と仲良くなろうとしても、いつもこうなのよね……」シュン
ランジュは、確かにやり方は不器用だったかもしれない。
でも、私と仲良くなりたくて、私のためを思って、起こしに来てくれていたのに。
それなのに私は、そんなランジュの事を突き放そうとしてしまった。
先輩なのに、後輩の好意も受け止められないなんて、
そっちの方が、情けなかったわね。
ランジュ「え?」
果林「エマと過ごす朝は、ついエマに甘えちゃって、正直、堕落しちゃってたわ」
ランジュ「……」
果林「でも、ランジュが起こしにくるようになってからの朝は、とっても刺激的だったおかげでね、
朝からランジュに負けないように、自分で起きてやる!って気になれたのよ?」
ランジュ「アタシの、おかげで?」
果林「ええ!だから、明日からも、お願いできるかしら?」
ランジュ「で、でも……アタシが来る朝は地獄だって」
果林「ふふっ、心配いらないわ!」
ランジュ「え?」
果林「明日からランジュが起こしに来る頃には、私はもう起きてるんだから!むしろ、私がランジュを起こしに行ってあげるわよ?」フフッ
ランジュ「……なるほど、勝負ってわけね……それだったら、受けて立とうじゃないの!」
果林「だから、これからもよろしくね、ランジュ!」
ランジュ「!!……うん、果林!!」
ランジュ「ええ!明日からも果林の事はランジュに任せなさい!」
果林「あら、ランジュのことは私が起こしに行ってあげるわよ?」
ランジュ「望むところよ!」
栞子「ランジュ、元気になったみたいですね」
愛「果林もやっと自分で起きる気になったみたいで、愛さん一安心だよ~」
【数日後/朝】
ランジュ「おっはよー!果林!!」ガバッ
果林「きゃぁぁぁっ!」ズテーン
ランジュ「さ!これでランジュの10連勝ね!」
果林「むにゃ……」
ランジュ「あら?まだ寝ぼけてるの?じゃあまずはランジュがマッサージをしてあげるわ!」ブーブーブー
果林「ちょ!だから顔に当てるのはやめてぇ~」
ランジュ「まだ起きないの?だったら今度はこの電気ショックで……」
果林「ひぃぃぃ!やっぱり戻ってきて~!エマぁ~!」
おしまい
こういうので良いんだよ🤗
それはそれとして面白かった乙。
太陽は定期的に曇らせることでその輝きに気づくことができるのだという結論に至った
ランジュの空回りと、こういうところでも勝負に持っていく果林さん好き
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