【SS】侑「歩夢がバレンタインチョコに血を混ぜすぎて〇んだ」【ラブライブ!虹ヶ咲】
斎場
ナーマンダー…ナーマンダー…
歩夢「」
かすみ「ぐすっ…あゆむしぇんぱぃ……」ボロボロ
愛「歩夢…まるで寝てるみたい……グスッ」
せつ菜「こんな、こんな別れなんてあんまりです……」
栞子「…っ…ひぐっ、……う”ぅ”ぅ”……」
ランジュ「……ぐす…栞子……悲しいわ…悲しいわね……」ギュッ
侑「…………」
しずく「あの、侑先輩」
侑「……ん、なに?」
しずく「その……大丈夫…ですか?」
侑「……んー……大丈夫、だと思う」
しずく「で、でも!……あの…侑先輩が…最初に」
侑「いい、いいよその話は」
しずく「……ごめんなさい」
私は歩夢の第一発見者だった。
バレンタインの朝はいつものように歩夢が挨拶に来るのを待っていた。しかし予定の時刻を過ぎてもチャイムが鳴らなかった。
あの歩夢がバレンタインに寝坊するなんて有り得ない。私はすぐに歩夢の部屋に向かいチャイムを鳴らした。
返事は来なかった。
私は焦っていたのかもしれない。スマホの存在はとうに忘れ、そのまま扉を開けた。鍵はいつもの場所にちゃんとあった。
薄暗い部屋の中、歩夢はそこにいた。
半開きのカーテンから差し込む光が逆光となり、歩夢の頭上から降り注いでいた。
声を掛け、歩み寄る私に まるで気付かないかのようにただ座して俯くその姿に、私は鋭く走るような寒さを感じた。
射す光と影に少しづつ目が慣れ、歩夢の顔がはっきりとわかる距離まで近づいて、そして全てが見えた時、私は声なき声を震わせた。
その肌は夜の雪のように白く青く滲み、その手は枯れ枝のように痩せ細り、だが綺麗に揃えられたその指が、その場にまるで不釣り合いな愛らしいハートの小箱を慈しむように抱えていた。
光無き眼はどこでもないなにかをただ見つめ、しかしその唇はどこか慈愛に似た表情をごく僅かに遺して
床一面に錆のように広がる 赤 に浮かぶように
歩夢はそこにいた
細く、萎縮したように硬直した肩を揺すり、頬に手を添え名を叫んだ。
肌は氷のように冷たく、無機質と思わせる程に固く、そのまま私の熱で融けて無くなってしまいそうに思えた。
それでも、頬をさすり、手を解きほぐし、体を抱き寄せて、叫んで、泣いて、叫んでも
歩夢から返事が来ることは無かった
歩夢がバレンタインチョコに血を混ぜているのは知っていた
ほんの小さい頃、本か何かに影響された歩夢は、チョコに色々なものを混ぜるようになった。
ある年は髪の毛、ある年は爪、涙、唾液、乳歯
中学に上がる頃、経血を入れられた。さすがに怒った私に「次はちゃんとしたのを作るから」と泣いて謝ってきた
その時から、私へのバレンタインチョコは血が入るようになった
1度私が否定したのが余程ショックだったのだろう、歩夢はその時の詫びとでも言うように血を流した。
私もまた経血に戻されては堪らないので、血で妥協することにした。
感想が聞きたいからと、歩夢は必ず見ている前で食べさせてきた。
包みを開き、眺め、手に取り、口に運ぶ。
その一挙手一投足で、歩夢はうっとりと恍惚な表情を浮かべていた
歩夢にそうさせてきたのは私なので、他の人に影響しないようにという懸念から、強く言えなくなった
歩夢が死んだ
血を流し、床に赤が塗れ、ただ静かに一人
その手に握りしめられた小箱を手に取る。いつものハートの箱。
深い緋色に淡いピンクのリボンが巻かれ、手紙が添えられている。
「」
白紙の手紙。
それに感想を書いてホワイトデーに渡す。それが歩夢との決まりだった。
「───侑先輩!」
侑「っ!」ビクッ
しずく「……侑先輩、お通夜になります。場所移動しますよ?」
侑「…う、うん」
侑「……」
小箱から取り出したチョコを1つ、私はその場で口にした
歩夢の目の前で食べる。それが決まりだったから
噛み砕いて違和感を覚える。そのチョコはいつも通りの血の味だった。
いつも通りだった。
では
この血は一体
歩夢は自らの血を抜くことに躊躇いがない。このチョコの血は間違いなく歩夢本人のものだ。
であるならば、死ぬまで血を抜いた歩夢が、チョコを完成させるに至ることが出来るだろうか
そもそも毎年のことなので、歩夢が血を抜く量を間違えるはずがなく、止血に関してもお手の物である
歩夢は
血のチョコ作りの時に何かあったのではないか
或いは
歩夢はバレンタインチョコに血を混ぜすぎて死んだ、と
見せかけるためだとしたら
エマ「侑ちゃん、お茶とジュースあるけど、どっちがいい?」
侑「ん、んーと…お茶で。ありがとうエマさん」
エマ「ううん気にしないで。あ、お菓子とかも置いてあるけど、何か取ってこようか?」
侑「お菓子……」
エマ「っあ!えと、も、もちろんあれはないからね!えと…あの……ごめんね…ごめん…」
侑「あ、違う違う!…大丈夫 です、ごめんなさい……ちょっと、考え事してて…」
エマ「そうなんだ……そうだよね、いろいろ、考えちゃうよね……」
侑「……うん」
かすみ「侑先輩」
侑「うん?何?かすみちゃん」
かすみ「ちょっと…聞きたいことが……」
侑「……さて、なんの用かな」
かすみ「…先輩、第一発見者ですよね」
侑「…………うん、そうだよ」
かすみ「……なん……ぁゅ……すか……」ボソボソ
侑「ん?」
かすみ「歩夢先輩はなんで死んだんですか」
かすみ「一体何が原因で」
かすみ「あの歩夢先輩が死ななくちゃいけないんですか」
侑「………」
かすみ「強盗ですか、事故ですか、そもそも他〇ですか……それとも」
かすみ「………なんで私たちには…教えてくれないんですか……」
侑「それ…は…」
かすみ「……歩夢先輩のご両親、それから侑先輩の方にも、なにか聞いてる人いましたよね」
かすみ「あれもしかして警察なんじゃないですか?」
かすみ「……教えてください。何があったんですか」
侑「……歩夢は……」
侑「……」
侑「……今は……言えない」
かすみ「…なん、で」
侑「………私にも………わからない、から………」
かすみ「………せめて、せめて教えてください」
かすみ「………自〇ですか」
侑「………………………わから、ない」
かすみ「…………………はぁ……………あぁ……」
彼方「かすみちゃん」
かすみ「………先輩」
彼方「………今は…やめよ」
かすみ「…………………でも……………はい………」
侑「…………」
侑「……………ごめんね」
彼方「みんな、君に同じこと聞きたいと思ってるだろうけど…」
侑「…そうですよね、わかってます」
彼方「……時間が解決してくれること?」
侑「……いいえ」スッ…
彼方「…それは?」
侑「……チョコです。歩夢からの」
彼方「え」
侑「歩夢の血が入った 」
彼方「…は?」
侑「毎年作ってくれるんです。バレンタインに」
侑「毎年くれて、目の前で食べて、感想をホワイトデーに渡す。それが決まりなんです」
彼方「…は…え?」
侑「で、今年のも作ってくれてて、せっかくなんで食べたんですけど、別にいつもと血の量変わってな
彼方「何言ってるの?!」
侑「え」
彼方「……っ………こんなとき、に……なんでそんなふざけたこと…」
侑「……えっと」
彼方「……ひどいよ…」
侑「…そう、言われても……」
侑「あーじゃあ、食べてみます?」
彼方「え」
侑「食べれば分かるんで。ほら」
彼方「や、やめてよ…ねぇ……ちょ、っ……やっ!ぁ…んぐ」
彼方「……っ?!がっ……う”ぇ”っ!!……げえ”っ……!」
侑「あーもったいない…」
彼方「げっ……べっ……ぺっ……はぁ……お”ぇ”……」
彼方「…こ、れ……ちがう……」
侑「え?」
彼方「チョコ、じゃ…ない………」
彼方「ただの……血の塊……」
侑「………」
侑「なんてこと言うんですか!」
彼方「ひっ」
侑「歩夢がせっかく私のために作ってくれたものを!」
彼方「…ゃ…めて……」
侑「彼方さんが食べちゃったから足りないじゃないですか!」
侑「っ……はぁじゃあ来年から彼方さん作ってくださいよ」
彼方「…ぇ…」
侑「チョコですよチョコ。歩夢死んじゃったし彼方さんなら作れるでしょ」
彼方「…で、できないよぉ……」
侑「それじゃ困るんですよ」
彼方「な、に……やめて……ゆるして……ごめんなさい……やだぁ」
彼方「やめ
『歩夢へ
いつもチョコありがとう。毎年この時期に近づくと歩夢のチョコが楽しみで楽しみで待ちきれなくなっちゃった
もういっそ毎日でも食べたいって でもそれはダメなんだよね
バレンタインだからこそ、って歩夢いつも言ってたもんね
今年のチョコもとっても美味しくできてるよ
でもなんだか物足りなくなっちゃった もっともっと欲しくなっちゃう
床に落ちてたのもぜんぶぜんぶなめちゃった
ちょっとなめるだけのつもりだったのに止まらなくなっちゃって
歩夢に行儀悪いって怒られちゃうかな
また眠くなってきた 歩夢のチョコはおいしいけどたべたらすぐねむくなっちゃってあたまがぼーっとしちゃうんだよねまためがさめたらこのこともわすれちゃうけどこうしてちゃんとてがみにしてあゆむにつたえら』
侑「彼方さんチョコの味するね」
おわり
普通にこわい
怖すぎるのは抜けない
純愛だね👍
引用元: https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/11177/1707893407/
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