ゆうぽむSS
朝6時。スマホの着信音で私は目が覚める。
こんな時間に誰だろうと思いながら半眠りの状態でスマホの画面を見ると私の幼馴染からだった。その瞬間に目が覚め、通話に出る。
侑「おはよう歩夢!」
歩夢「侑ちゃんおはよう。こんな早くにどうしたの?」
侑「ベランダに出てきてよ」
歩夢「ベランダに?」
侑「いいからさ」
3月と言えども朝晩はまだ冷え込む。
歩夢「さむっ」ブルブル
侑「あゆむっ」
隣の部屋のベランダから幼馴染が顔をのぞかせる。
侑「歩夢、誕生日、おめでとうっ!」
歩夢「侑ちゃんっ」パアッ
歩夢「もしかして、それを言うためにわざわざ早起きして電話してくれたの?」
侑「そうだよっ」ニコッ
侑「私も、いい一日になりそうだよ」
歩夢「ふふっ」
侑「歩夢どうしたの?」
歩夢「いつもは私が時間になったら侑ちゃんにモーニングコールしてあげているのに今日は逆だから。ちょっとおかしくなっちゃって」フフッ
侑「だって誰よりも早く、一番に歩夢におめでとうって言いたかったんだもん!この日のためにここ1週間、いや1カ月は過ごしてきたね」
歩夢「もうっ。侑ちゃんったら//大袈裟だよぉ//」
侑「照れてる歩夢も可愛いYO」
歩夢「もうっ////」
侑ちゃんと何気ない会話が出来ることが嬉しくって、ついつい時間を忘れておしゃべりしてしまう。気が付いたら1時間が経過していた。
歩夢「あ、もうこんな時間だね。そろそろ学校の準備しなくちゃね」
侑「ほんとだっ。じゃあ歩夢、また後で」
歩夢「うん、また後でね」
そう言って私たちはいったんそれぞれの部屋に戻った。
侑「あゆむ~お待たせ~~」
歩夢「もうっ遅いよ侑ちゃん。置いて行っちゃうよ?」
侑「ごめんごめん」アハハ
マンション前ではいつもの私たちの会話が繰り広げられる。
侑「それじゃあ、いこっか」
歩夢「うん。」
私たちは暫く黙って歩く。
毎朝こうして侑ちゃんと一緒に登校することは私のささやかな幸せ。
この時間が永遠に続けばいいのにな。
暫くしたら突然侑ちゃんが口を開く。
歩夢「なあに?」
侑「今日の夜、予定空いてるかな?」
歩夢「空いてるよ」
侑「そしたらさ、ちょっとお出かけしない?」
歩夢「いいよぉ。楽しみだなあ」
侑「私もだよ。最近お互い忙しくて2人で遊べてなかったからね。歩夢と夜の誕生日デートだ」
歩夢「ふふっ。」
歩夢「うん。また後でね。」フリフリ
学校に着き、科が違う私たちは一旦別れた。
―――――――夕方 練習終了後の帰り道―――――――
歩夢「今日はいい一日だったな~。同好会のみんなにもたくさんお祝いして貰っていっぱいプレゼント貰っちゃったし。侑ちゃんも、プレゼントありがとうね」ニコッ
侑「まだまだ本番はこれからだよ。」
歩夢「ふふっ。そうだね」
侑「歩夢とデートなんて久々で今日一日ずっと落ち着かなかったよ」
歩夢「もうっ、侑ちゃんってば」
ゆうぽむ「ふふっ」
おしゃべりしながらまずはダイバーシティに着いた。
侑「ここでご飯でも食べていこうよ」
歩夢「いいね。侑ちゃんは何食べたい?」
侑「え。歩夢の好きなものでいいよ。今日の主役は歩夢なんだし」
歩夢「え~じゃあ私は…」
侑「ふぅ~美味しかったね。ご飯」
歩夢「うん。とっても美味しかったよ。でも、ほんとにいいの?」
侑「何が?」
歩夢「全部払ってもらっちゃって。」
侑「いいっていいって。さっきも言ったでしょ。今日の主役は歩夢なんだから、そのくらいさせてよ」
歩夢「ふふっ。ありがとう」
歩夢「次は、どこ行くの?」
侑「ん~とりあえずついて来てよ」ニコッ
歩夢「え~教えてよ~」
侑「ほら行くよ~」
歩夢「ちょっと待ってぇ~」
次に侑ちゃんに連れられてやってきたのは、お台場海浜公園。
春の夜風というにはまだ少し寒さを感じてしまうこの状況も、侑ちゃんと二人っきりでいれば心温まるというもの。
侑「ほら見てっ。あそこレインボーブリッジだよ」
歩夢「わぁ。綺麗だね~」
私たちの視線の先には何色にもライトアップされたレインボーブリッジ。そして大都会東京の夜景。そしてそれを映し出す東京湾がとても神秘的に見える。
侑「だよねえ…」
近くにあるベンチに腰掛け、暫く私たちは黙って夜のお台場、いや東京の風景を眺める。
歩夢「侑ちゃん、今日はありがとうね。」
侑「歩夢に喜んでもらえてよかったよ」
歩夢「ねえ、この夜景、まるで今の私たちみたいだね」
歩夢「私ね。2年生になる前にはこのまま普通の高校生活を過ごすものだと思っていたんだ」
歩夢「でもね、今はこんなにキラキラした日々が送れている。この夜景みたいに輝けていると思うの」
侑「そうだね。歩夢は輝いているよ」
歩夢「侑ちゃんだって輝いているよ」
侑「いや~私はただみんなのことを応援しているだけだし」
歩夢「それは違うよ侑ちゃん。侑ちゃんだってちゃんとやりたいことが見つかってそれに向けて頑張っている。私もそうだよ。」
侑「歩夢…」
歩夢「そのきっかけをくれた侑ちゃんには感謝しているよ。でも…」
侑「…」
歩夢「でもね侑ちゃん。やっぱりまだ私怖いの。私たちもう1カ月もすれば3年生でしょ。そして1年後には卒業…」
侑「私はどこにも行かないよ」
そう言うと私の幼馴染はすっと体を寄せてきた。
侑「何年先も、何十年先もずっと歩夢と一緒にいたい。歩夢の一番であり続けたい。何回でもこうして歩夢の誕生日をお祝いしたいと私は思っているよ」
歩夢「侑ちゃん」ウルウル
侑「もう、泣かないの」ウルウル
歩夢「侑ちゃんだって、泣いているじゃん」ウルウル
暫く私たちはその場で体を寄せ合っていた。
歩夢「そろそろ帰ろう?侑ちゃん」
もうだいぶ遅くなってきているし、もう帰らないと。
とっても名残惜しいけれども。
侑「待って。歩夢」
侑ちゃんが言う。
侑「歩夢に渡したいものがあるんだ」
歩夢「え、プレゼントならさっきもらったよ?」
侑「それとは別に。はい、これ」
そう言って侑ちゃんは自分の鞄から小箱を取り出して渡してきた。
侑「もちろん!そのためにここで渡したんだし」
小箱を開ける。
中身はライトピンクの腕時計だった。
歩夢「可愛い!ありがとう侑ちゃん。一生大切にするね」ニコッ
侑「えへへ。実は私もそれと同じものをつけているんだよ」
侑ちゃんの左手首を見ると黒色の腕時計をつけていた。
侑「お揃い、だね」テヘッ
侑「誕生日おめでとう、歩夢」
歩夢「うんっ。最高の誕生日だよっ」
侑「歩夢の笑顔が見れて私も最高だよ。さあ帰ろうか」
そう言って私の手を握ってきた。
私も握り返す。
幼馴染の温もりを感じながら帰路に就く。
一度はすれ違いかけた幼馴染、だけれどももう今度こそすれ違わないようにその手を固く握りながら。
おしまい
過去作です
慈「梢を照れさせたい」
慈「コホッコホッ」 梢「慈?」
慈「梢にかまわれたい」
梢「可愛くありたい」
SS 慈「梢の素顔が知りたい!」
SS さやかほの日常の一コマ
SS 慈「花帆ちゃんさやかちゃんと仲良くなりたい」
SS こずめぐがいちゃいちゃする話
SS 花帆「梢センパイの一番になりたい」
SS 梢「花帆さんと相合傘がしたいのだけれど…」
SS 蓮ノ大三角のとある休日の話
SS 蓮ノ大三角の誕生日会
SS ゆうぽむ、めぐるりの短編2本立て
SS こずめぐの新年会
SS 慈 「大好きだよ、梢」
SS 花帆「さやかちゃんの何ですかって定期的に聞きたくなるよね」
SS こずさや~~!!!
SS 慈「愛してる」 梢「!?!?///」
SS ゆうぽむ短編
SS 瑠璃乃「マイシスター梢!」 梢「瑠璃乃、お姉ちゃん??」
SS 蓮ノ空1年’sのお話
かほさちSS
SS 大三角から沙知先輩へのプレゼント
SS 梢「花帆に鬼と呼ばれたいのだけれど…」
ゆうぽむありがとう
良き良き
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