千砂都「あっ、マルちゃん!」ウィーン「……その呼び方やめて」【短編SS】
ウィーン「あなたが丸が好きなだけでしょ?」
千砂都「えへへ、バレた?」
ウィーン「……はあ」
千砂都「マルガレーテちゃんは丸は嫌い?」
ウィーン「……別に。嫌いではない。好きでもないけど」
千砂都「そっかー」
ウィーン「……」
千砂都「あ、待ってマルちゃん」
ウィーン「だからその呼び方で呼ばないでって──」
千砂都「あーん」
ウィーン「っ! あふっ!」ホフホフ
千砂都「ちぃちゃん特製のたこ焼きのお味はどう?」ニコニコ
ウィーン「……。おいしいけど」モグモグ
千砂都「今ちょうどバイトあがりで焼きたてだからね」
千砂都「それにまんまるだし。丸さにはこだわってるんだ」ドヤッ
ウィーン「それ関係あるの?」
千砂都「んー、どうだろうねー」
千砂都「うーん、そんなつもりはないんだけど──」
ウィーン「要領を得ない話ばっかり」
千砂都「たまにはいいでしょ、こういうのも」
ウィーン「……時間の無駄」
千砂都「マルガレーテちゃんはさ、難しく考えすぎなんだと思うよ」
ウィーン「……急に何?」
千砂都「そうやって肩肘張って過ごしてたら疲れちゃうでしょ?」
千砂都「まぁるく行こうよ、まぁるく」マル
ウィーン「……」
ウィーン「だから何?」
千砂都「私の好きと同じようにマルガレーテちゃんは音楽、好きなんでしょ?」
ウィーン「……好きとか、そういうのじゃない。音楽は私の夢だった。生きる道っていうだけ」
千砂都「そうかなあ」
千砂都「家族のこととか、お姉さんのこととか、色々あってわからなくなってるだけだと思うなー」
千砂都「好きじゃなかったらそんなに必死になれないよ」
ウィーン「知ったようなこと言わないで!」
ウィーン「あなたはダンスの才能がある! 夢に破れた人の気持ちなんてわからないのよ!」
千砂都「……うーん、確かにそれはわからないかもね」
ウィーン「ほら見なさい!」
千砂都「だって、マルガレーテちゃんの夢は、まだ破れてないもん」
ウィーン「……はあ?」
千砂都「ずーっと昔から一緒にいたのに、あんなに苦しそうで悲しそうなかのんちゃん初めて見たんだ」
ウィーン「……」
千砂都「でも、かのんちゃんは、やっぱり歌が好きで、だから一度は離れたけど今も歌を歌ってる」
千砂都「世界に歌を届けるんだ、って。夢を叶えようとしてる」
ウィーン「……それは、認めたくないけど、澁谷かのんには才能があるから」
ウィーン「才能があるから、歌が好きで、一度離れても戻ってこれるのよ」
千砂都「知ったようなこと言わないで!」
ウィーン「っ!」ビクッ
ウィーン「……やっぱりおちょくってるのね」
千砂都「おっちょくってないってばー」
千砂都「……。マルガレーテちゃん、さっき私にダンスの才能があるって言ったよね?」
ウィーン「だって、そうでしょ? 大会で優勝できるくらいなんだから」
千砂都「私は自分に才能があるなんて思ったことないよ」
ウィーン「自覚していないだけよ」
ウィーン「澁谷かのんもそう」
千砂都「……才能があるとか、ないとか、そういうのじゃないんだよ」
ウィーン「だから、それがなに?」
千砂都「好きなことを追い求めてたら、自然と今の私があったんだ」
千砂都「だから、マルガレーテちゃんも、難しいこと考えないで、音楽が好きって気持ちがそれでいいんだよ」
千砂都「好きだから日本に来てまで続けてるんでしょ? 好きだから、壁にぶつかって悔しかったんでしょ?」
ウィーン「……」
千砂都「マルガレーテちゃんが悩んで、必死に頑張ってるのは知ってるよ」
千砂都「でも、だからこそもっと肩の力抜いて。好きなことは楽しまなきゃ損だよ」
ウィーン「……そんなの、私には無理」
千砂都「私は、ううん、Liella!のみんなはマルガレーテちゃんの味方だから」
千砂都「いつでも頼っていいんだよ、なんたって先輩だから!」
ウィーン「……全然先輩には見えないけど」
千砂都「今見た目で判断したでしょ!?」
千砂都「マルガレーテちゃんが少し見た目大人っぽいからってバカにして!」
ウィーン「……ふふ」
千砂都「あ、やっと笑ってくれた」
ウィーン「わ、笑ってない!」
ウィーン「月関係ある?」
千砂都「あるよ、まん丸だもん」
ウィーン「理由になってない」
千砂都「まんまるだからいいの!」
千砂都「あっ、たこ焼きちょっと冷めちゃったかもだけど全部あげる! ちぃちゃん特製たこ焼きは少しくらい冷めてもおいしいから!」
千砂都「それじゃあ、また明日ね、マルちゃん!」
ウィーン「だからそれやめて!」
ウィーン「はあ、なんか疲れた……」
ウィーン「……」
ウィーン「本当に、まん丸な月」
ウィーン「ふふっ」
おわり
確かに可能性感じちゃった
引用元:https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1673608898/
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