花帆「……」ｶｷｶｷ さやか「……」ｶｷｶｷ【短編SS】

さやか「無理に決まってるじゃないですか」

花帆「いつもはだらけてるのに、いざという時はすごい力を発揮してキャーキャー言われたいよ～」

さやか「妄想も大概にしてください」

花帆「うぅ。切れ味が鋭い……。さやかちゃんは考えたことないの？　そういう妄想」

さやか「そういうって、だらけているのにいざという時は、って奴ですか？」

花帆「うん」ｺｸﾘ

さやか「わたしは……普段から努力している人が、いざという時きちんと評価された方が健全だと思います」

花帆「正論は聞きたくないよ～」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

さやか「それに……」

花帆「……それに？」ﾁﾗｯ

花帆「……」

さやか「わたしは、そういう人が好きなので」

花帆「……」

花帆「……」ﾑｸｯ

花帆「……」ｶｷｶｷ

さやか「……ふふっ」

花帆「……なに笑ってるの？」

さやか「いえ、なんでもありません」

花帆「そっか……」

さやか「はい」

さやか「花帆さん」

花帆「ん。なになに？」

さやか「わたし、乗せられやすい人も好きですよ」ﾆｺｯ

花帆「……っ！」

花帆「しゅ、宿題！！！」ﾊﾞｯ

さやか「ふふっ。はい。ぱっぱと終わらせましょうね」

花帆「うぅ～……」ｶｷｶｷ

さやか「可愛いですよ、花帆さん」

花帆「き、聞こえない！　宿題に集中！！！」

さやか「あはは。ごめんなさい」

花帆「もう、さやかちゃんってば……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

花帆「え、本当！？　やったやった！　頑張るぞー！！！」ｶｷｶｷ

さやか「ふふ。欲望に正直な人も好きですよ」

花帆「むっ」ﾋﾟﾀｯ

花帆「むむ……」ｶｷｶｷ

さやか「おぉ。揺るがない」

花帆「……」ｶｷｶｷ

さやか「……」ｼﾞｯ…

さやか「……そんなあなたが、一番好きですよ」ﾎﾞｿｯ

花帆「ん。何か言った？」

さやか「いえ。なんでも」

花帆「そっか」

さやか「はい」

花帆「……ふんふ～ん♪お菓子、お菓子～♪」ｶｷｶｷ

さやか「ふふっ」

花帆「あれ。さやかちゃんが好きな人って、梢センパイ？」

さやか「え。どうしてですか？」

花帆「ほら。梢センパイって、苦手なことは得意になる途中だって努力する人でしょ？」

さやか「なるほど。わたしの好きな人は、梢先輩だったんですね」

花帆「え、ええーっ！？　認めるの！？　そんな軽く認めちゃうのー！？」

さやか「さぁ、どうでしょうか」ﾆｺﾆｺ

花帆「う、うわぁ。駆け引きだ。駆け引きだよこれ……。あたし、腹の探り合いとか苦手かも……はっ！」ﾋﾟｷｰﾝ

さやか「ふふ。ではわたしと、得意になっていきましょうか」

花帆「よ、よーし！　行くよさやかちゃん！」ﾓｿﾞｯ

さやか「きゃあっ！？　本当にお腹を探らないでください！！！」

花帆「スベスベだ……」

さやか「そういうあなたはスケベですね！　あー、もう！　変なこと言わせないでください！」

花帆「さやかちゃんはツッコミが得意だよね」

さやか「あなた方のせいですけどね！」

おしまい