【SS】慈「私の言葉で世界がヤバい」
慈(──めぐちゃんは今、人生最大の危機に直面してます)
ドンドンドン‼︎!
「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」
慈「!!! ヤバイ、あとちょっとでここは……」
慈「……このっ! 何か、何か思いつけ、私……!」
慈(大きな船の個室に立てこもり、もう後がない絶望的状況)
慈(どうして、こうなったのかというと……)
ガチャ
瑠璃乃「いやー、めぐちゃん、今日の練習いつも以上に気合い入ってたね!」
慈「もっちろん! めぐちゃんも晴れて三年生になったことだし、新しく入ってくるであろう新入生ちゃんに、遅れをとるわけにはいかないもん!」
瑠璃乃「おおっ、その意気だよ、めぐちゃん!」
慈「ふぅー……とはいえ、クタクタだー……お水お水……」サッ
瑠璃乃「あ、めぐちゃんの飲み物そっちじゃ……」
慈「んくんく…………っ!? ごほっ、ごほ……」
慈「うわ、苦! ホントだ、間違って飲んじゃった……」
慈「う、うん、苦かっただけで別にめぐちゃんは大丈夫!」
瑠璃乃「喉とか痛めてない? めぐちゃんはすぐ自分のこと隠そうとするから、ルリ心配だよー……」
慈「るりちゃん……ありがと、心配してくれるなんて、るりちゃんは本当に優しくて可愛くて、さいきょーだー!」ナデナデ
瑠璃乃「えへへ…………えっと、それ誰のドリンクだろ?」
慈「うーん、めぐちゃんは見たことない種類かも」ジー
瑠璃乃「しかも苦いんでしょ? 誰だろ……」ウーン
慈「まぁ、みんなが部室に帰ってきたら聞けばいいかな? とりあえずめぐちゃんは、一息ついたらお部屋に……」
瑠璃乃「あ、めぐちゃん、ストップ!」バッ
慈「うん? どうしたの、るりちゃん?」
慈「!? な、なぜそれを……」
瑠璃乃「こずこず先輩が教えてくれた! めぐちゃんは課題が残ってるから帰しちゃダメ、って」ビシッ
瑠璃乃「だからルリは、めぐちゃんが課題終わるまで監視の任務を任されたのであーる!」
慈「えー!? そんな、るりちゃん……課題なんて別に後でだって……」
瑠璃乃「とにかく! ルリも見てあげるから、課題出して、めぐちゃん」
慈「うぅ……はーい」
慈「でしょ!? だからさ、課題は明日にしても……」
瑠璃乃「それはダメ」ビシッ
慈「うぅ、しょうがないなぁ……分かったよ……」
慈「あー、これこそまさに『猫の手も借りたい』ってやつだよね……なるべくいっぱい、猫の手が必要だよ……」
瑠璃乃「そうだね……って、よくそのことわざ知ってるね、めぐちゃん」
慈「あー、るりちゃんバカにしてるなー! もー!」
瑠璃乃「あはは…………ん? なんか、外から物音が……?」
ドタドタドタ
ニャーニャーニャー‼︎! ドタドタドタ‼︎!
瑠璃乃「!?!?!? なんかねこちゃん、たくさん入ってきた!?」
慈「何言って……わ、マジじゃん!?」
瑠璃乃「ど、どーしよ、めぐちゃん! 部室がねこちゃんだらけになっちゃう!」
ニャーニャーニャー
慈「……え? なんかこの子達、私にやたらお手手を見せてくるんだけど……」
瑠璃乃「え? それって……って、ちょ、タンマ! ねこちゃん、多すぎ!」ギューギュー
瑠璃乃「……わ、わー!? ねこちゃんに溺れるー!?」
────
──
さやか「瑠璃乃さんから、助けて、とメッセージを受け取り慌てて来ましたが、これは……?」
ニャーニャーニャー
瑠璃乃「あ……花帆ちゃん、さやかちゃん……ルリはもう……」
花帆「瑠璃乃ちゃん!? 何で、猫の中に埋もれてるの!?」
さやか「というか、何故部室に猫がこんなにいるんですか!?」
瑠璃乃「分かんない……なんか、めぐちゃんが『猫の手も借りたい』って言ったら、いきなり……」
さやか「そんな奇想天外な話、あるわけないじゃないですか」
瑠璃乃「でも実際起きてるからなぁ……なんか変わったことでもしたかな?」
慈「! もしかして、あのドリンクのせいじゃ……って、わわっ、ねこちゃんが……」ガタッ
瑠璃乃「めぐちゃん!?」
ニャーニャーニャー
慈「あー、もう、しっちゃかめっちゃかだ! 梢と綴理も呼んで、緊急会議するよ!」
綴理「おー、猫がいっぱいだー」ナデナデ
梢「この状況は一体なんなのかしら……?」
慈「これで全員集まったね……るりちゃん!」
瑠璃乃「おうっ! 今までの経緯をルリが説明するね!」
カクカクシカジカ
瑠璃乃「──というわけでごぜーます」
綴理「おー、めぐすごい。猫が出せるなんて」
梢「…………」
さやか「改めて聞いても、本当に信じられないようなお話ですが……」
花帆「それにしても、何でいきなり慈センパイがそんな力を手に入れたのかな?」
慈「それは多分だけど……これ、のせいだと思うんだよね」コトッ
梢「! そのドリンクは……」
梢「ごめんなさい、慈……それを買ったのは私だわ」ショボン
花帆「え!? 梢センパイが!?」
梢「機械さんがおすすめしてくれて……そのまま買ってしまったのだけれど」
梢「……私もこんなに大変な代物だとは思わなかったわ。まさか慈が飲んでしまうとは……」
慈「勝手に飲んじゃったのはごめん! でも、大変な代物って……これって実際、何なのさ?」
梢「そうね、一言で言うならば……」
梢「“口にした言葉が全て現実になるドリンク”かしら」
瑠璃乃「そんなもの売ってるサイトってヤバくね? 普通たどり着けないと、ルリ思うのだが……!?」
綴理「こずは機械の操作が苦手だから、一周まわっていろんなサイトにアクセスできるんだー」
さやか「そういうものでしょうか……?」
梢「……ラブライブ優勝のために、使えるかと思ったのだけれど」
梢「注文してからハッとしたわ。これでは、たとえ願いが叶っても意味がないもの」
花帆「そうですよ! ものに頼らなくたって、梢センパイはあたしと一緒に、絶対ラブライブ優勝するんですから!」
梢「! ええそうね、頑張りましょう、花帆」ナデナデ
花帆「はい、梢センパイ!」
さやか「梢先輩が買ったものを、慈先輩が誤って口にしてしまった、となれば……今現在、慈先輩の言葉で効果が発揮されますね」
綴理「めぐが何か言ったら、それが現実になるんだー」
慈「へぇー……なんか面白そうだし、色々試してみよっかな!」
瑠璃乃「めぐちゃん?」
慈「そうだなぁ……そこで梢とイチャイチャしてる花帆ちゃん!」ビシッ
花帆「は、はい! 何でしょうか、慈センパイ?」
慈「めぐちゃんのこと、ギューって抱きしめて♡」
梢「!?」
慈「えー? 梢ってば嫉妬しちゃってさー?」
瑠璃乃「おおう、めぐちゃん、こずこず先輩に挑発なんてチャレンジャーだ」
梢「……ええ、そうね。嫉妬、しているわね」ジェラ
慈「……え、え!?」
梢「花帆、慈の元には行かないでちょうだい……私から離れないで」
花帆「は、はーい……って、わ、わ、体が勝手に……!?」
花帆「……慈センパイ!」ギュー
慈「わわ、花帆ちゃん……」ギュー
梢「慈」ジー
慈「なんか、梢が私に向ける視線が怖いんだけど!?」
さやか「……おそらくですが、“梢先輩が嫉妬している”と口にしてしまったため、そうなってしまったかと」
花帆「梢センパイがあたしのために、嫉妬を……!」
慈「そ、そっかぁ……まぁ、いつものことだしいっか!」
梢「慈?」
慈「え、なんてなんて?」グイッ
梢「慈、花帆に近づきすぎよ」ジェラ
花帆「えっと……“効果は六時間”、“一度口にした言葉を取り消すことはできない”、あとは……」
花帆「“『ことわざ』や『四字熟語』に限り正確なイメージで具現化される”……? どういう意味だろう?」
瑠璃乃「あ、ルリ、あれだと思う! ことわざとかは、その状況が、まんま再現される感じ!」
瑠璃乃「実際、めぐちゃんが『猫の手も借りたい』って言ったとき、ねこちゃんがめぐちゃんに手を差し出してたし!」
さやか「なるほど、細かい情報を口にしなくてもそのとおりに現実になる……」
花帆「あれかな! ハリーポッターでいう魔法の呪文みたいな! それがトリガーになって、バーっと現れる、みたいな!」
綴理「おー、めぐ、魔法使いだ」
慈「え、凄く面白いじゃん! 今実際に何か、ことわざ言ってみよっかな……」
慈「ことわざ…………ことわざ……?」ウーン
梢「……思いつかないのね、慈」ハァ
綴理「めぐ、何か出すなら食べ物がいいな。ボク少しお腹すいたかも」クゥ
さやか「もう、綴理先輩ってば……後でお夜食でもお作りしますよ」クスッ
瑠璃乃「うーん、それなら……? めぐちゃん、『棚からぼたもち』って言ってみて?」
慈「えっ、えっと……『棚からぼたもち』!」
ガタッ
花帆「うわぁ!? 棚からいきなり何か落ちて来た!?」
綴理「ぼたもちだ。美味しい」モグモグ
さやか「綴理先輩、もう食べちゃってるんですか!?」
花帆「あ、でも本当に美味しい!」モグモグ
瑠璃乃「美味しい食べ物も出せちゃうなんてすげーや……」モグモグ
瑠璃乃「うんうん! ルリ、四字熟語も見てみたい!」
綴理「めぐー、何か思いつく四字熟語、言ってみてー」
慈「えぇ、四字熟語ー!? 四字熟語かぁ……」ウーン
慈「……焼肉定食とかじゃダメだよね?」
花帆「あるあるですけど、焼肉定食は四字熟語じゃありません!」ビシッ
慈「お、なんか聞いたことある! じゃあそれで!」
慈「…………『花鳥風月』!」
ポンッポンッ
瑠璃乃「わっ、なんか情景が目の前に!?」
花帆「これは……桜ですね! きれい……」
綴理「こっちには、鳥もいるよ。やっほー、鳥さん」
さやか「風が吹いて、月も……四字熟語も、本当に現実に現れるとは……」
瑠璃乃「すげー……なんか、この力あったら何でもできそうな気がする! めぐちゃん、次は……」
慈「──って、あー!! わ、忘れてたー!!」ガタッ
瑠璃乃「!? め、めぐちゃん、どうしたの」ビクッ
綴理「今から配信、するの?」
慈「もっちろん! めぐ党さんがみんな待ってるはずだからねー!」ニコッ
さやか「……え、こ、この状況で配信をするんですか!? 気をつけないと大変なことになりますよ!?」
瑠璃乃「配信だけは、絶対やめたほうがいいよ、めぐちゃん! 何言い出すか分かんないって!」
慈「大丈夫、大丈夫! めぐちゃんに任せんしゃい!」バンッ
花帆「…………大丈夫かなぁ?」
慈「それじゃみんな、バイめぐー!」ポチッ
慈「ふぅー……今日も配信楽しかったぁ……」
ドンドンドン‼︎!
慈「!? な、なに!?」
「めぐ、めぐ、めぐ……ボクだよ」ドンドン
慈「その声は……綴理?」
慈「扉を? 別にいいけど……何かあった?」ガチャ
綴理「めぐ!」ダキッ
慈「わ、わ、綴理!?」
綴理「めぐ、めぐ」ギュー
慈「つ、綴理、いきなりどうしたのさ……ちょ、綴理ー!」ジタバタ
綴理「めぐ。ボクはめぐのこと、離したくないんだ。ずっとボクのところにいて。いなくならないでよ、めぐ」ギュー
綴理「めぐが言ったんだよ、素直になって、って」
綴理「ボクは……前みたいに、めぐが、ボクの前からいなくなっちゃうのだけは、絶対嫌なんだ」ギュー
慈「綴理……」
慈(この反応って……もしかしたら、さっきの配信で確かに、なんか色々口走っちゃってたかも……)
慈(もー、めぐちゃんってば、ドジっ子⭐︎ 配信になるとテンション上がっちゃって、どんどん言葉が出てきちゃうんだよねー……)
慈(……って、もしそうならヤバくない?)
綴理「めぐ、めぐー……」ギュー
慈「えっと……綴理、手を離してもらえたりは……」
綴理「ダメ、めぐが先に言ったんだもん」ギュー
綴理「めぐ、めぐ」ギュー
慈「つ、綴理……」
慈(何か打開策は……あっ!)
慈(そうだ! 確か、四字熟語かことわざ? が実際のイメージになるとかなんとか言ってた気がする!)
慈(私が知ってる四字熟語かことわざ…………あるのか?)ウーン
慈「あっ……! あれがあるじゃん!」
綴理「めぐ、めぐ……ボクから離れないで……」ギュー
慈「綴理! ……『愛及屋烏』!」
慈「! カラスの鳴き声……!」
綴理「……あっ」
綴理「ボクはめぐが大好き。だから、めぐの住む寮に止まった烏も愛さなくちゃいけない、いや、むしろ愛したい」
慈「そっかそっか……えーっと、じゃあ私のために、その鳥捕まえてきてくれる?」
綴理「もちろんだ。めぐ……大好きだよ。今、烏を連れてくるから、待っててね」タッタッ
慈「…………ふぅ、やれやれ……綴理があんなこと考えてたなんて」
慈「……薄々感じてたけど、めぐちゃんの配信での発言って、綴理以外にもめぐ党さんの人がたくさん聞いてるよね……」
慈「もしかして……今、この世界は……」
「めぐちゃん」
慈「…………?」チラッ
慈「!?!?」
慈(廊下に大量の人が!? しかもみんな、めぐちゃんの方を見てて……)
「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」
ドタドタドタ‼︎!
慈「ひぇ!? こっち来てる、ど、どうすれば──」
慈「花帆ちゃん!?」
花帆「こっちです! 部室に避難しましょう!」グイッ
慈「わ、分かった……けど」チラッ
「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」
慈「……何がどうしたら、ああなるのさ!?」
花帆「詳しい話は後です! とりあえず部室に!」タッタッタッ
ガチャ バタン
慈「ふぅー……つ、疲れたー……」
花帆「なんとか来れましたけど……もう結構、外が大変なことになってますね……」ハァハァ
梢「花帆! 今戻ったのね!」タッタッ
花帆「あ、梢センパイ! はい! 慈センパイを救出してきました!」グッ
梢「そうね、偉いわ、花帆」ナデナデ
花帆「えへへ……」
梢「慈……花帆を独り占めするなんて……」ジェラ
慈「まだ、梢の嫉妬状態続いてるのかい…………いや、効果は六時間だから、そりゃそうか」
慈「さやかちゃん! ……あれ、るりちゃんはいないの?」キョロキョロ
さやか「! ……瑠璃乃さんは…………いえ、まず初めに、戻られて早々申し訳ないんですが、状況をお伝えしますね」
慈「てかそう! あれ何!? みんな、めぐちゃんのこと追いかけてきてたけど……」
梢「それは、私から話すわ」コホン
梢「……慈、配信で失言をしたでしょう?」
花帆「配信、やっぱり大丈夫じゃなかった……!」
さやか「えっと……配信自体を見ると“ああいう風”になってしまうので、文字起こしからですが」サッ
慈「えーっと……なになに……」チラッ
──配信にて……
慈「めぐ党さん達、ハロめぐー! 藤島慈だよ!」
慈「配信に来てくれたみーんな♡ 自分の気持ちに素直になって、これからも私のことだけを考えてよね♡」
慈「めぐちゃんは、みんなを夢中にするためにこれからも頑張るから、今日配信に来てくれたみんなも、めぐちゃんを『無我夢中』で追いかけて♡ 」
──
慈「え、私、こんなに色々言ってたんだ……」
梢「完全にフルハウスね」
さやか「だから気をつけるように言ったんですが……」
花帆「綴理センパイはさっき見たけど……瑠璃乃ちゃんは、一体どこに行っちゃったんだろう?」
慈「えっと……これって私、効果が切れるまで逃げなきゃいけない、ってこと?」
さやか「そう、ですね……ドリンクを飲んでしまった時間とか、分かりますか?」
慈「んーとね、練習終わってすぐだから……ちょうど午後六時!」
花帆「それじゃあ、日付が変わるまでずっとですね……」
慈「えぇ、長!? めぐちゃん、それまでひたすら逃げ続けなきゃいけないのか……」
梢「……いえ、一つ良い案があるわ」
梢「──勉強をするのよ、慈」
梢「慈が飲んだドリンクは、“四字熟語”、“ことわざ”に限り正確なイメージで現実になる代物」
梢「多くのことわざ、四字熟語を知れば、その力で時間まで対処できるかもしれないわ」
花帆「そっか、さっきみたいに追われてピンチ! みたいなときも、咄嗟に何かを形にできれば……!」
さやか「ふむ……そのためには、まず慈先輩自身が、広くそういった言葉の知識を持つ必要がありますね」
慈「……え、ってことは……」
梢「ええ、今からみっちり勉強しましょうか、慈?」ニコッ
慈「あぁ、疲れたー! もうこれで勉強、おしまいでいい!? 結構めぐちゃん頑張ったと思うんだよね!」
梢「……いえ、まだよ。普段していない分、慈にはもう少し頑張ってもらわなくちゃ」
慈「えー!? 梢ってば、本当に鬼なんだから……」
さやか「あっ、今それを言葉にしては……」
梢「……あら? 何かしら、これは?」
花帆「梢センパイの頭に、鬼のツノが生えてます!?」
慈「いや、これは事故でしょ! めぐちゃん悪くないって!」
梢「……はぁ、仕方がないわね……慈、次はこの本を──」
ドンドンドン!!!
花帆「!? ドアが勢いよく叩かれてますけど、もしかして……」
「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」
さやか「!? とうとう、ここが見つかってしまいましたか……」
慈「え、ど、どうするの!? もう逃げ場なんか……」
梢「……いえ、窓からなら、まだ逃げれるわ」
花帆「でも梢センパイ! 窓の周りにもどんどん人が集まってきてますけど……」
梢「ええ、でも逃げる方向が違うのよ」
慈「方向?」
梢「慈、空に逃げなさい」
花帆「梢センパイ、それって一体どういうことですか……!?」
梢「空に逃げれば、誰も追いかけては来れないでしょう? 一ついいアイディアがあるのよ」
さやか「いいアイディア……ですか」
梢「ええ。私がホワイトボードに、目の無い竜を描いておいたわ」
花帆「えっと、ホワイトボード……あ! 本当だ!」
さやか「竜……大晦日の配信で描いていたのとほぼ同じですね」チラッ
慈「あれかぁ……で、めぐちゃんはどうすればいいわけ?」
梢「この竜に命を吹き込むのよ」
慈「…………は?」
慈「よし……じゃあ、いくよ!」
慈「──『画竜点睛』!」
梢「慈、今よ!」
慈「えーっと……これで!」キュッキュッ
さやか「竜の絵に目が描き込まれて……!」
バァーーン‼︎!
花帆「うわぁ!? 梢センパイの描いた竜が実体化したぁ!?」
花帆「えっと、それじゃあ、この竜に乗って行きましょう!」
慈「そっか、これに乗るのか……シュールすぎる……」
さやか「そうも言っていられない状況ですから……」
梢「そうね……私はここに残るわ。どうやら、時間稼ぎをする役が必要みたいだもの」チラッ
ドンドンドン!!! バァーン‼︎
「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」
さやか「! 部室の中に……!」
花帆「い、いくら梢センパイでも、この数は危険なんじゃ……」
梢「いえ、元はと言えば私の買ったドリンクが原因なのだから……心配しないで、大丈夫よ」ニコッ
さやか「梢先輩のその“大丈夫”は信用できないですよ!?」
慈(……まずい、このままだと梢がピンチだ……! なにかいい方法は……)
慈「……!!! いいこと思いついた! ここ、さっき勉強したところだ!」
慈「──梢! ……『鬼に金棒』!」
梢「なるほど、今、私は“鬼”であるから、というわけね。やるじゃない、慈!」
慈「へへーん! どんなもんよ!」
梢「私がこの力で時間を稼ぐわ! だから、遠くまで逃げなさい、慈!」
梢「花帆と一緒に行けないのは心苦しいし、慈に対する名状し難い感情が溢れてしまいそうなのだけれど……」ジェラ
花帆「梢センパイが嫉妬モードだ……!」ワァァ
梢「──でも、慈なら大丈夫。ここは私に任せなさい!」バッ
慈「梢……よし、分かった! 行くよ、二人とも!」
さやか「は、はい!」
花帆「よぉし、竜に乗って、出発だー!」
ビューン
慈「あー、快適快適♪ これ、ずっと飛んでたら時間になったりするんじゃない?」
さやか「確かにそうですね……下を見ると、人の数が凄いですが」
「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」
花帆「でも上にまでは絶対届かないもん! これなら、なんとかなりそう!」
バンバンバン!!!
さやか「!? 何かが当たって……わたし達の乗る竜が、攻撃されています!」
慈「攻撃!? 一体なんなの!?」
「にへへ~、めぐちゃんを手に入れるためなら、鍛えたエイム力も存分に活かし甲斐があるってもんだよ~」スチャッ
バンバンバン!!!
花帆「じ、銃!? 正確に撃ってきてますよ!?」
慈「なんか、すごいことに長けためぐ党さんもいるもんだね……」
さやか「そんなこと言ってる場合じゃないですよ!? このままじゃ……」
キュゥ…
花帆「あ、竜が……! お、落ちるー!?」
慈「──い、いてて……ここは……?」
さやか「どうやら……金沢市街のようですね……」キョロキョロ
花帆「バスで来る距離にまで、竜に乗って来てたんだ……って、そうだ! 竜の様子は……?」
キュゥゥ……
さやか「もう動けなそうですね……乗って行くことは不可能でしょう」
ガサガサ
「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」
花帆「!?!? し、市街にもこんなに人が!?」
慈「そりゃめぐ党さんは蓮ノ空だけじゃなくて、世界中にいるもん!」ドヤッ
さやか「言ってる場合ですか! 逃げますよ!」
ダッダッダッダッ
慈「あー、もう人多すぎ!? どっちに逃げればいいのか……」
さやか「逃げる道によっては、一気に袋小路になる可能性もありますし……」
花帆「そっか、逃げる方向が分かれば……? それなら……!」
慈「花帆ちゃん?」
花帆「慈センパイ! あたしに、『鳶目兎耳』だね、って言ってください!」
さやか「さすが花帆さんは読書家ですね……知識の量が段違いです」
花帆「とにかく、慈センパイ! 言ってください、『鳶目兎耳」って!」
慈「……ええい! 『鳶目兎耳』!」
モフッモフッ
花帆「……来た! これが、うさぎの耳……!」
慈「か、花帆ちゃんの耳がもふもふに!?」
さやか「それに、花帆さんの瞳の色が赤茶色になって……!」
花帆「おぉ……そしてこれが、鳶の目! すごい! 本当によく見えるんだ!」ピョンピョン
花帆「『鳶目兎耳』って、遠くまで見える鳶の目と、どんな小さな音でも聞こえるうさぎの耳を持ったような鋭い人のことを言うんです!」
さやか「なるほど、言葉が現実になる今、だから花帆さんにうさぎの耳と鳶の目が……」
慈「いや正直、めっちゃかわいい……花帆ちゃんにうさ耳は最強でしょ!」
花帆「えへへ……ぴょんぴょん♪ なんて……」
花帆「って、そうじゃなくて……この力で、逃げる道を探しちゃいます!」
花帆「…………」シン…
花帆「……! こっちです! 人通りが少ない道に行きましょう!」ダッ
慈「え、すご……音が分かるとこういうのもできるんだ」
さやか「ありがたい力ですね……行きましょうか」
花帆「うん、この通りなら、数キロ先まで人がいないみたい!」
さやか「花帆さん、そんなに遠くまで見えているんですか?」
花帆「ふふん、鳶の目は獲物を捉えるために高度に発達してるからね!」
慈「いやぁ……本当すごいね、このドリンクの効果」
さやか「言葉で身体を変化させる……考えれば、色々活用方法がありそうですね」
花帆「そうだね! 実際今、あたしの視力と聴力がいつもと全然違うもん! 他にもなにか……って」
花帆「──! 何か、来る……! 上から……!?」
バサバサバサ
さやか「しかし、こんなに大きな音、いったい何の鳥が……」キョロキョロ
綴理「めぐー」バサバサバサ
さやか「!? つ、綴理先輩!?」
花帆「烏が、一羽、二羽……いやもう、それどころじゃないほど、たくさんいる!?」
慈「なんで、綴理がここに……烏を取ってきて、って言ったはず…………あ」
綴理「めぐ、烏、捕まえてきたよ」
さやか「捕まえるどころか、それで移動してますが!?」
慈「いや、多すぎでしょ……そっか、捕まえてきてって言ったから、来ちゃったわけか……」
綴理「──だから、めぐ……今度こそ、ボクから離れないで、ずっと一緒にいよ」スタスタ…
さやか「! 慈先輩、今の綴理先輩は危険です!」
綴理「ボクはめぐを離さない、絶対に……そのためなら」
綴理「ボクは、『無我夢中』で困難を振り払う」バッ
花帆「綴理センパイの雰囲気が……!? もうこうなったら、戦ってでも止めなきゃ……」
慈「つ、綴理とやり合うの!?」
慈「さやかちゃん……?」
さやか「……花帆さん!」
さやか「慈先輩を連れて海に向かってください! 海に着けばことわざで“あの乗り物”が使えます!」
花帆「! ……でも、さやかちゃんは……どうするの?」
さやか「わたしは、先ほどの花帆さんのように……言葉で身体を変化させて、ここで、食い止めます!」
花帆「さやかちゃん、それって……」
さやか「はい、わたしはもうついていくことが出来なくなるので……花帆さん! 後は……お願いします!」
綴理「? さや、何かしてくれるの?」
さやか「綴理先輩……ええ、もちろん」
さやか「──わたしと、ここで、サーカスショーです」
さやか「慈先輩、『虎になる』とわたしに仰ってください!」
慈「え、もう、何が何だか……!? えっと、さやかちゃんが『虎になる』!」
ピカッ
綴理「! まぶしい……」
花帆「さやかちゃんの身体が……」
「グォォォォ、ガルルルルル……!」
綴理「? さや……?」
慈「!?!? 本物の虎じゃん!?」
綴理「さや、虎になったんだね……でも、ボクの邪魔はしちゃダメだよ」
虎「ガォォ、グルルゥゥ……!」ダッ
綴理「そっか、どうしても邪魔するなら……さや、ボクと、遊ぼうか」バッ
虎「グォォ、ガルゥ!!」バッ
花帆「『虎になる』は、ひどく酔って暴れる、という意味のことわざなんです!」
慈「えっ! そ、そうなんだ……!」
慈(せっかくお勉強したのに、全然活かせない……)シュン
慈「え、でも……虎……いや、さやかちゃんが……」
花帆「そうです、さやかちゃんが託してくれたんです! ……その思いを無駄にするわけにはいきません!」
慈「! そっか、さやかちゃんが私に……」
花帆「はい! さやかちゃんも言っていたように、海を目指しましょう! そこに行けば、“あれ”に乗れます!」
慈「わ、分かった……行こう、花帆ちゃん!」
タッタッタッ
花帆「──なんとか、着きましたね、海……」ハァハァ
慈「か、花帆ちゃんがいてくれて助かったー……その目と耳があって、本当良かったね……」
花帆「ですね、無事着いて良かったです! ……今、午後十一時くらいなので、効果が切れるまであと一時間ですね」
慈「一時間……このままここで時間をつぶしててもいいんだけど……」
花帆「いえ、ここにいても追っ手がどんどん増えていくだけなので……さやかちゃんも言っていたとおり、海の上に逃げましょう!」
慈「海の上……あっ、乗り物ってそういうこと!? 船か!」
花帆「そうです! ……気づいてなかったんですね……」
慈「っていうか、このことわざを言って……花帆ちゃんは、どうするの?」
花帆「……この聴力で、船の駆動音を聞くのは流石に限界で……あたしは、ここまでです」
慈「そっか……ここからは、めぐちゃん一人か……」
慈(さっきからずっと、みんなに助けてもらって……一人で、大丈夫なのかな……)
花帆「……慈センパイ!」
花帆「だから……慈センパイなら絶対最後まで逃げ切れます! お勉強の成果、見せちゃってください!」
慈「! 花帆ちゃん……」
ガサガサガサ
「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」
慈「!? やば、もうそこまで、めぐ党さんが……」
花帆「……慈センパイ! ここはあたしに任せて先に行け! ってやつです! どーんと任せちゃってください!」
慈「花帆ちゃん……! うん、任せたぞ、後輩!」
慈「…………『乗りかかった船』!」
ザババァァァ
慈「──っと、なんとか乗れたかな……えっと……」
慈「うわっ、なんかすごい豪華客席! って感じの船だ! 見た感じ乗客も大人の人ばっかだし、ここならゆっくりできそ……」
「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」
慈「……っ!? ……ダメか!? いやー、さすが私、子供から大人まで大人気だ! ……逃げろー!!!」ダッ
ダッダッダッダッ
「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」
慈「……船の上だから、今追いかけてくる人からこれ以上数が増えはしないけど……」
ドンドンドン‼︎!
「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」
慈「!!! ヤバイ、あとちょっとでここは……」
慈「……このっ! 何か、何か思いつけ、私……!」
慈(人生最大のピンチ……これこそ、『絶体絶命』、ってやつだよね……なんて)
慈「いい言葉も思いつかないし……ど、どうすれば……」
「──そこまでだよ、めぐちゃん」
「あーあ、まためぐちゃんがいろんな人を誘惑しちゃってる」
ドンドンドン‼︎!
「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」「めぐちゃん」
「めぐちゃんには……めぐちゃんには……!」
瑠璃乃「ルリだけが、いれば、いいのに──!」サッ
慈「!? ば、爆発音!?」
瑠璃乃「あはは! やっぱルリは、誰にも負けない。めぐちゃんの言った通りだ」
瑠璃乃「あ、ごめんね、めぐちゃん。ドアの向こうじゃ、ルリのこと見えないよね……今、見せてあげる」
慈「見せる、って……どういう」
瑠璃乃「よっ、と」バキバキバキ‼︎!
慈「!?!? ドアを壊した!? なんでルリちゃんがそんな力……」
瑠璃乃「あれ、めぐちゃん覚えてないの? ルリ、悲しいなぁ」
瑠璃乃「──めぐちゃんが言ったんだよ、ルリはさいきょーだって」
慈「……え、てかなんで船の上にいるの!?」
瑠璃乃「え、そんなの簡単だよ。ルリ、めぐちゃんに会いたかったからさー」
瑠璃乃「この力で海の上、飛んできた!」ニコッ
慈「飛んで、って……」
慈(何から何まで規格外すぎる……)
瑠璃乃「もう、逃がさないよ」ユラ…
慈「! るりちゃん……!?」
慈(そっか、今のるりちゃんは綴理と同じ……私を狙って……!?)
慈「ま、待って、るりちゃん……平和的! 平和的に解決しよ! るりちゃんのためなら、私、何だってするし……」
瑠璃乃「……何でも、かぁ」
瑠璃乃「──でも、めぐちゃんはルリのこと、置いていっちゃうじゃん」
瑠璃乃「……ルリだって分かってるよ、めぐちゃんは一つ上の学年で」
瑠璃乃「……みらくらぱーく!を一緒にできるのもあと一年、だって」
慈「それは……」
瑠璃乃「めぐちゃんは優しいから、いつだって、ルリのこと見てくれてるよね」ハハッ
瑠璃乃「……ルリが寂しくならないように、新入生勧誘に積極的なんだってことも知ってる」
慈「るりちゃん……」
慈(これがるりちゃんの……素直な気持ち……?)
瑠璃乃「めぐちゃんはさ、いつもルリに、かっこいいとこ見せようとして、ルリに楽しいだけを味わせようとして」
慈「そ、そうだよ! だって私は、るりちゃんのこと大好きだから……」
瑠璃乃「……そんな言葉だけじゃ、意味ないよ」
瑠璃乃「ルリは……めぐちゃんと、ずっと二人だけでいたい」
瑠璃乃「本当にルリが好きなら、ルリだけを見ててよ、めぐちゃん」グイッ
慈(るりちゃんに、伝えなきゃ……絶対、るりちゃんを寂しくなんかさせない、私がるりちゃんを好きな気持ちはそんなものじゃないって)
慈(でも……今のるりちゃんには、言葉じゃ私の大好きが完全には伝わらない。一体、どうやって伝えれば……)
慈(……ん、言葉?)
瑠璃乃「さぁ、めぐちゃん。ルリと二人だけで、ずっと一緒にいよっ?」サッ
慈(そっか……! 今、一番るりちゃんに気持ちを伝えられる“ことわざ”が、ある……!)
慈「…………『論より証拠』っ!」
慈(実際の行動なら、言葉よりも証拠として強く伝わるはず、だから……)
瑠璃乃「ふぇ……? それってどういう……」
慈「すぅ…………るりちゃん……!!」ギュッ
瑠璃乃「め、めぐちゃん!? いきなり抱きついて……」
慈「るりちゃん! ぎゅー♡」ギュー
慈「るりちゃん……ごめんね。確かにるりちゃんと一緒のみらぱは……あと一年」
慈「私はるりちゃんより先に、蓮ノ空を卒業しちゃう」
瑠璃乃「っ……ルリは、それが嫌で……二人だけでいたくて……」
慈「うん……でもね、そうじゃないんだよ!」バッ
慈「──私だって、るりちゃんのこと一生離さないもん」
慈「だって、こんなに可愛い幼馴染なんだよ!? 私が、卒業したって何したって、絶対一緒にいるし、めぐるりは永久に続くんだから!」
慈「だから……ぎゅー♡ これが証拠!」
瑠璃乃「! めぐちゃん……そっか、卒業しても終わりじゃない……?」
瑠璃乃「……いや、で、でも! それだけじゃ、そんな言葉だけじゃ、ルリはまだ……」グヌヌ
慈(目に見えて、るりちゃんに効いてる、あと一押し……! 言葉じゃなくて、実際の行動で、何かもっと愛を伝える手段……)ウーン
慈(……愛を伝える行動、か…………それならベタだけど……)
慈「……るりちゃん!」
慈「…………」チュッ
瑠璃乃「!?!?!?」
カチッ【0:00】
慈「あっ……日付が変わった……」
瑠璃乃「…………はっ」
瑠璃乃「……あれ? ルリ何してたんだっけ……」キョロキョロ
慈「る、るりちゃん………………///」テレテレ
瑠璃乃「……って、めぐちゃん!? 何でそんな顔真っ赤なの!? え、え!?」
慈「い、いーの!! るりちゃんには関係ないんだから!」プイッ
慈(るりちゃんにキス……改めて意識したら、恥ずかしすぎる……////)カァァ
瑠璃乃「??? な、何があったんだー!?」
慈(──ドリンクの効果が切れた瞬間、何事もなかったように世界は元の様子に戻った)
慈(世界もスクールアイドルクラブも元通り! ……私はちょっと、るりちゃんに対してしばらく変に意識しすぎちゃってたけど……)
慈(まぁそれはともかく! 今日もいつものように、めぐちゃんは、ラブライブ!のために練習を頑張っちゃうのです♡)
慈「さーてと、次はダンス練習を……」
梢「──慈、そういえば課題は終わらせたのかしら?」
慈「……え? あ……」
慈「いや、だ、だって色々あったんだし、しょうがなくない!?」
さやか「確かに大騒動がありましたけど……」
梢「それは課題をやらなくていい理由には、ならないわね」
慈「え、えーと…………に、逃げろー!!」ダッ
梢「こら慈、待ちなさい!」ガタッ
綴理「追いかけっこ? ボクも混ぜてー」タタッ
さやか「綴理先輩!? これから練習なのに、どこに行くんですかー!?」
瑠璃乃「ま、待ってよ、めぐちゃん!」
慈「…………ふふっ」
慈(……なんか変な騒動だったけど、結局丸く収まったし……綴理やるりちゃん、それに部員のみんなのこともよく知れた!)
慈(『終わりよければすべてよし』ってね!)
おしまい
5000万人のめぐ党さん…
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