千砂都「ひょっとして……私って胸も人気も足りてないのかな？」
千砂都「～♪」
千砂都（おっかいもの～、おっかいもの～）ﾙﾝﾙﾝ
通行人A「あ、見て見て！モニターにリエラ流れてる！」
千砂都「！」
千砂都（ほんとだ！おっきな画面で新曲流してくれてる！）
千砂都（むっふーん、なんか有名人になったみたいで気分いいよね～♪なんてったって私、部長だし！）
通行人B「リエラ、知ってるの？」
通行人A「もっちろん！私ちょ～ファンだよ！」
千砂都（おっ！）
通行人A「え～？リーダーのかのんちゃんもいいけど～、可可ちゃんも捨てがたいし～」
千砂都（うんうん！）
通行人A「すみれちゃんも恋ちゃんも……あ、でも私最近あの子も好きかも！」
千砂都（おっ？）
通行人B「あの子？」
通行人A「えっとね、もう一人の二年生の～……」
千砂都（私だよ！それ私！千砂都だよ！ち、さ、と！）
千砂都（いるよ！私！！部長だよ！！？）
通行人A「いるよ～！えっとね～……待って！今思い出すから！」
千砂都（そうそう！頑張って！頑張って！！）
通行人A「ん～っと、髪お団子で～……」
通行人B「お団子……？」
千砂都（いけるよ！あと少しーっ！）
通行人A「あとは……あ、そうだ！グループで一番胸ちっちゃい子！小学生みたいな！」
千砂都（えっ？）
通行人B「あぁ～！あの貧乳の子ね！」
通行人A「そうそう！あの貧乳の子！結構カワイイよね～！」
通行人B「ね～！」
千砂都「……」
千砂都（……がーん！！）
千砂都「な、納得いかない～！！」
可可「いったいどうしたのデス？」
かのん「通行人の人に名前、一人だけ覚えてもらえてなかったんだって」
可可「なるほど……」
千砂都「むーっ……！！かのんちゃんも可可ちゃんもすみれちゃんも恋ちゃんもズルい！！覚えやすい名前しててズルいよ～！！」
恋「そっ、そんなに変わるものなのでしょうか……」
すみれ「私たちだっていたって普通の名前だとは思うけど」
千砂都「変わるもんっ！！最近多いのはSNS！！例えば……」
千砂都「ほら！！他にも『千沙都』とか『千咲都』とか『千佐都』とか『千砂登』とか！！それって全然私じゃないじゃ～ん！！Liella!のファンの人なら漢字も正しく覚えてよ～っ！！」
恋「まあ、確かに『千砂都』という名前は初見の方にとっては少し難しいように感じられてしまうのかもしれませんね」
千砂都「難しくないですっ！！小学校六年生までに習う漢字しか含まれてないですーっ！！」
かのん「ファンのみんなは何年生で習うかなんて気にしてないと思うけど……」
千砂都「むぅぅぅぅ～っ！！」ﾌﾟｸｯ
かのん「例えば？」
千砂都「……とびっきりのダンスの才能とか」
すみれ「胸はないけどね」
千砂都「誰とでもすぐに仲良くなれるコミュニケーション能力とか！」
可可「胸はありマセンが」
千砂都「可愛いまんまるのお団子とか！！」
かのん「私よりも胸はないけど」
千砂都「スクールアイドル部の部長としての威厳とか！！！」
恋「けど、千砂都さんには胸が
千砂都「っていちいち揚げ足とらないでよ～っ！！いいじゃん別に！！胸がなくても～っ！！」
可可「あっ、千砂都がいじけてしまいマシタ」
千砂都「いじけてないもん。拗ねてるだけだもん」
すみれ「それをいじけてるって言うのよ」
千砂都「むぅ……」
恋「まあまあ。確かに千砂都さんには胸はなくとも、その他の魅力がたくさんありますし」
千砂都「……」ﾌﾟｸｰｯ
恋「ねっ？」
千砂都「……いいもん。私、これからはダンス一本で魅力をアピールしていくもん」
可可「果たしてそれって本当に出来るのデショウか？」
千砂都「えっ？」
すみれ「そうね。現に四季が新しいダンス担当としてファンの間では定着しつつあるみたいだし」
千砂都「うぐっ！」
千砂都（……）
千砂都「……いいもん。だったら運動出来る担当で
すみれ「それだって既にメイがいるわよ」
千砂都「うぐぐっ！！」
かのん「やっぱり……」
かのん「ちぃちゃんって、胸が小さい以外の、これといった特徴がないんじゃ……」
千砂都「……」
千砂都（むぅ……っ！！）
きな子「あ～んっ♡」
メイ「……」
きな子「ん～、東京のお菓子はおいしいっす～！」
メイ「……おい、いくら練習後とはいえそんなに食べたら流石に太るぞ」
きな子「これくらいは大丈夫っす～」
メイ「大丈夫じゃないだろ。体調を管理するのだって立派な練習なんだぞ」
四季「No problem. きな子ちゃんにはメイとは違って栄養を溜める場所がある」
メイ「は？」
四季「ほら」
ﾀﾕﾝ、ﾀﾕﾝ
四季「食べたものは全部、あそこに蓄えられる」
メイ「……」
千砂都「私がどうかしたの？」
メイ「ひぃっ！！？」
千砂都「……」
メイ「あっ、えっと……」
千砂都「うん」
メイ「っ……」
ﾁﾗﾁﾗ
きな子「きな子は別に何も言ってないっす～」
四季「私も。メイが勝手に言いだした」
メイ「っておい！！？あ、いや、ちがっ！！べ、別に千砂都先輩をバカにしてたわけでは！！」
千砂都「そう？ま、いいや。それよりメイちゃん、私と勝負だよっ！」
メイ「しょ、勝負ぅぅ！！？」
千砂都「勝ったら運動得意なキャラは私のものだからね！一年生には負けないよ！」
メイ「は、はぁ……」
夏美「でも、勝負って具体的に何をするんですの？」
四季「勝負事は、客観的な基準がないと決められない」
千砂都「ん～、そうだねぇ……あ！徒競走とかはどう？」
メイ「徒競走？」ﾋﾟｸﾘ
千砂都「うん。単純で勝ち負け決めやすいと思うし！」
メイ「ん～……」
千砂都「あっ、でもメイちゃんが苦手なんだったら別の競技でもいいよ」
メイ「いえ。私は別にいいですけど………むしろかけっこなら、私、絶対負けませんよ」
千砂都「私だって走るのには自信、すっごくあるよ！」
メイ「へぇ……」
メイ（……）ﾒﾗﾒﾗ
四季（あ、メイがすっごくやる気になってる）
きな子（メイちゃんって意外と安い挑発に乗せられちゃうんすよねー）
千砂都（よし！ここで私も部長としての威厳、下級生たちに見せちゃうよ！）ｴｯﾍﾝ!
かのん「じゃあ勝負はここからあそこまでの100m！でいい？」
千砂都「うん！」
メイ「オッケー」
かのん「それじゃあよ～い……どん！」
ﾀﾞｯ!
かのん「頑張れー！ちぃちゃーん！」
四季「メイも。頑張って」
可可「どっちも頑張るデスー！」
千砂都「ふぬぬぬぬぬ……！！」
メイ「むぎぎぎぎぎぎ……！！」
すみれ「フィニッシュ！」
千砂都「はぁっ、はぁっ……私！！私だよね！！？」
かのん「え、えっと……」
可可「ここは公平にビデオ判定すべきデス」
四季「わかった。任せて」
ｽﾁｬｯ
９人「じーっ……」
きな子「どっち！？どっちが勝ってるんすか！！？」
千砂都「はいはいはいはい！私！私だよっ！！」
メイ「！？」
すみれ「そうね。言われてみれば、千砂都の方が微妙に先にゴールしている気が
四季「待って。徒競走のゴールは、トルソーで決める」
恋「そうですね。陸上のトラック競技では、頭・首・腕・脚・手・足を除いたトルソーの部分がフィニッシュラインを越えたかどうかで、ゴールを判定するのがルールですし」
すみれ「じゃあ……」
９人「……」
恋「……メイさんの胸が先にゴールをしているように見えますね」
可可「はいデス。千砂都の胸はぜんぜんゴールに届いていマセン」
すみれ「胸の差で、千砂都の負けってことね」
かのん「ちぃちゃんお胸ちっちゃいもんね～」
千砂都「うわ～ん！！みんな酷いよ～っ！！」
夏美「納得いかなくってもルールはルールですの」
すみれ「だってさ、千砂都」
千砂都「うぇぇぇ～ん！！一年生にも言われちゃったらおしまいだよ～っ！！」
かのん「あはははは……」
千砂都「むぅぅぅ～！！」
かのん「じゃあ……今度は四季ちゃんともダンス対決とか！やってみる？」
千砂都「いい。どーせまた胸が小さいとか言ってバカにされちゃうだけだもん」
可可「あっ、千砂都がまたまた拗ねてしまいマシタ」
千砂都「拗ねてないし。ちょこっといじけちゃってるだけだし」
千砂都（むぅ……ちょこっとお胸がないだけでこんなに色々不利になるなんて。正直言って不公平だよ。この世の中）
千砂都「良くないっ！！」
恋「へっ！？」
千砂都「だって恋ちゃんいっつもお胸アピールしながらご満悦レズスマイル振りまいてばっかだし！！」
恋（ふぇぇぇ！！？////）
千砂都「すみれちゃんだってお胸で人気を奪おうとしてるし！！」
すみれ「まあね。それも含めてのショービジネスでの私の魅力だもの」
千砂都「可可ちゃんだっていっつも可愛いブラつけてるし！！」
可可「でも可可は千砂都みたいな貧乳の幼女も好きデスよ！」
千砂都「かのんちゃんだって、かのんちゃんだって……！！自分も小さいくせにいっつも私と比べて安心してる～っ！！みんなみんなズルいよ～っ！！」
かのん「うぐっ！？」
千砂都「むぅぅぅーっ！！」
千砂都（こうなったらっ！こうなったら～っ！！）
千砂都「……」
ｷｮﾛｷｮﾛ
千砂都「じーっ……」
店員「なにかお探しですか？」
千砂都「あ、えっと！ちょっとお聞きしたいことが！」
店員「はい。何でも構いませんよ」
千砂都「じゃあおっきなおっぱい下さい！」
店員「えっ？」
千砂都「着脱式のおっきなおっぱい私に下さいっ！」
店員「すみません。当店はあくまで衣類を扱っておりますので、そのようなものは販売しておりません」
千砂都「がーん！！」
ﾌﾟｸｯ
千砂都「……」
千砂都（……）
千砂都「ふぇっ……」
千砂都（やっぱり………私って、女の子としての魅力、ないのかなぁ………？）
千砂都（胸もないし、人気も無いし、運動もダンスも可愛さだって中途半端だし……）
千砂都（私って、やっぱり………）
千砂都「ふぇっ……」
千砂都（ぐすっ……）
ｳﾙｳﾙ
千砂都（う、うぅぅ……）
ありあ「あれ、ひょっとして千砂都さん？」
千砂都「ってありあちゃん！！？」
千砂都「あ、うん。えっと……ありあちゃんも？」
ありあ「はい」
千砂都「そっか。偉いね、中学生なのに？」
ありあ「そうですか？まあ、私も最近成長が著しいんで……特にこの辺りとか！」
千砂都（……）
千砂都「ありあちゃんは……いくつなんだっけ？」
ありあ「お姉ちゃんの二つ下なので、14歳です」
千砂都「そうじゃなくって、お胸の……」
ありあ「胸？」
千砂都「カップ数……」
ありあ「え゛！？///あ、いや、私も別に自信あるわけじゃないですけど……で、でも！！お姉ちゃんよりは大きいですよ！！お姉ちゃんよりは！！」
千砂都「ええっ！？」
千砂都「……」
千砂都（じゃあやっぱり、私って……）
ありあ「千砂都さん？」
千砂都「私って…………魅力、ないのかなぁ？」ﾎﾞｿｯ
ありあ「えっ？千砂都さんが、魅力ない？？」
千砂都「ふぇぇぇ！！？」
千砂都（も、もしかして聞かれちゃってた！！？）
ありあ「はい」
千砂都「んっ！！？」
ありあ「けど……私は千砂都さん、可愛いと思いますけど」
千砂都「え！？ほ、ほんとに！！？」
ありあ「はい。少なくとも、お姉ちゃんよりは」
ありあ「だってお姉ちゃんってば昨日もまた机にヨダレ垂らしながら爆睡してたんですよ。おかげで机べったべたで大変だったし」
千砂都「う、うん。でも……」
ありあ「きっと、誰しも似たような悩みを抱えているんです。自分は本当は魅力が無いんじゃないかって」
ありあ「けど、実はそれはみんな同じで。女の子って、みんな本当の自分を上手く隠しながら、可愛い自分を見せようとするんです。そういうところをみんな応援したくなるんですよ。きっと」
ありあ「だから……頑張っている千砂都さんこそが、きっと何よりの魅力なんです。私や、ファンの人にとっては」
千砂都（私の頑張りが、私の魅力……）
千砂都「そ、そうかなぁ……？」
ありあ「絶対そうです！例えば～……」ﾋｮｲｯ
ありあ「はい、チーズ！」
千砂都「わっ！？」
ﾊﾟｼｬｯ!
千砂都「だ、ダメだよありあちゃん！そんな写真絶対需要ないよ～……」
ありあ「そうですか？でもほら！」
ありあ「いいね、もう既に30件も来てますよ！」
千砂都「えっ……？」
千砂都「えぇ～……？」
ありあ「だって可愛くなるにはどうしたらいいんだろうって悩む千砂都さん、すっごく女の子っぽいって思いますもん」
千砂都（ん～……）
千砂都「つまり、悩んでる私の方が、魅力的……ってこと？」
ありあ「はい！」
千砂都「そっか……そっか、うん。なんとなくだけどわかった気がする。私、やっぱり頑張んなくっちゃダメなんだ……」
ありあ「ふふふっ、なんかそっちの方が千砂都さんっぽい気がします！」
千砂都「えへへ、わかった。じゃあ私、もっともーっと頑張るね！」
ありあ「はいっ！」
かのん（～♪）
かのん「私、いっちば～ん！」
ﾊﾞﾀﾝ!
千砂都「うぃっすー！」
かのん「ちぃちゃん！？」
千砂都「うん！」
かのん「そっか、一番乗りだと思ったんだけど……ちぃちゃん早いね～」
千砂都「えへへ。私ね、もっともーっと頑張るって決めたの！昨日！」
かのん「昨日？」
千砂都「だから魅力が無いのが私の魅力……かな？いつかちゃーんとした魅力を見つけられるように、今日からもーっと頑張るの！そう決めたんだ！」
かのん「そっか。ふふっ、なんだかすっごくちぃちゃんっぽい」
千砂都「あ、それ全くおんなじこと昨日ありあちゃんにも言われた！」
かのん「え゛！？ありあ！！？な、なんで！！？」
ﾊﾞﾀﾝ!
きな子「おはようございますっす～！今日こそ私がいっちばー……ってお二人とも早いっすね～」
千砂都「あっ、きな子ちゃん」
かのん「ううん。私はいま来たとこ。早く来てたのはちぃちゃんだよ」
千砂都「うぃっすー！」
ｸﾙｸﾙ♪
千砂都（春になって、ついにLiella!にも後輩ちゃんが増えました。そして私はなんと部長に！）
千砂都（後輩に抜かれそうになっちゃうときもよくあるし、人気とか、女の子らしさとか、まだまだ足りない部分も多いけど）
千砂都（でも！私、頑張るから！だって足りてない私にとっては、頑張ることしか出来ないんだもん！これがなによりの、一番の私の魅力！）
千砂都（だから……これからも頑張る私を、ずーっと応援してください！）
まあ歴代部長も大きい方が少ないしね…？
少し前に男子みたいだよね～って言われるSSあったけど同じ方かな?
偉い人にはわからんとです
悩める乙女なちぃちゃん可愛かったです
澁谷ありあとかいう出来すぎた妹も良い
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