【SS】すみれ「推し活……ね」璃奈「どきぴぽー」【ラブライブ!スーパースター!!】
すみりなです。
可可「サニパ様! サニパ様!!」
すみれ「あんた、いつもそればっかりね」
可可「むっ」
可可「推し活はスバラシイのデスよ! すみれもやってみたらいいデス!」
すみれ「自分がアイドルなのに、他の子応援してどうすんのよ」
可可「はー……。すみれはわかってないデスね」
可可「ククは、サニパ様に憧れてスクールアイドルを始めマシタ。体力はなかたデスが、サニパ様に少しでも近づきたくて、ここまで踊れるようになたデス」
可可「推し活は、自分をセイチョーさせてくれるのデスよ!」
すみれ「へー」
可可「ちゃんと聞くデス!」
すみれ(それでもライバルを応援するなんて、私にはできないわ)
可可「だいたいすみれは……」
すみれ(ま、可可が楽しそうにしてる分にはいっか)
可可「そこに座るのデス! お説教デスよ!」
可可「ムシすんなデス! すみれ! すみれー!!!」
※※※
メイ「うわぁ~!」キラキラ
すみれ「……」
メイ「うっひょひょぉぉ!」
すみれ「ねえ、メイ」
メイ「うわ?! す、すみれ先輩、いたのかよ!?」
すみれ「また去年の動画見てたの?」
メイ「お、おう」
メイ「やっぱ先輩たちはすげーな」
すみれ「あんたもLiella!でしょ」
メイ「それはそうだけどさ」
すみれ「……」
すみれ「ねえ」
メイ「なんだよ」
すみれ「メイは、私たちの中だと誰推しなの?」
メイ「は?!」
メイ「……だよ」
すみれ「?」
メイ「すみれ先輩だよ!」
すみれ「ふぇ……?」
メイ「感情豊かなとことか、努力家なとことか……」
メイ「すっげぇ”応援したい”って思えるんだよ!」
すみれ「……」ポロポロ
メイ「?!」
メイ「どどど、どうした!?」
すみれ「そんなこと、初めて言われたから、嬉しくって……!」
メイ「そこまで喜ばれると、推し甲斐があるな」
すみれ「ありがと。あんたのために、これからも頑張るわ」
メイ「!」キューン
※※※
すみれ「推されるって、こんな感じなのね」
すみれ「もっと推されたい……。認められるって嬉しい……」
~♪
すみれ「?」
「いーつーか すーがーおーを みせる ひーがきーたらー♪」
すみれ「他校のスクールアイドル?」
「みんな、今日は来てくれてありがとう」
「璃奈ちゃんボード、【にっこりん】」
すみれ「なにあれ」
すみれ「顔を隠してアイドルなんて、変な子」
すみれ「見てる人も少ないみたいだし……」
「次は、この曲」
テレテッテレテッテテー♪
「おもいよとどけ えがおをつないで♪」
すみれ「……ふーん」
すみれ「私たちほどじゃないけど、良い曲じゃない」
すみれ「……」
すみれ「……もう少し聴いていこうかしら」
~
すみれ(気が付いたら、観客の中に混じってしまっていたわ)
すみれ(小さい身体で一生懸命踊って、何だか癖になる声……)
すみれ「この子、どこの学校の」
「虹ヶ咲学園さ」
すみれ「!?」
「彼女の名前は天王寺璃奈。虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会における、最強のアイドルだ」
すみれ「誰よあんた」
ミア「おっとすまない。ボクはミア・テイラー。天王寺璃奈の親友さ」
すみれ「ふーん」
ミア「璃奈はすばらしいよ。歌にダンス、ルックス、キャラクター。全てがトップだ」
すみれ「その割には、観客が少ないみたいだけど?」
すみれ「顔だって隠してるし」
ミア「ふふっ。まだ”気付いていない”だけさ。じきに皆璃奈に夢中になる」
すみれ「すごい自信ね。いや、他信?」
ミア「君だって、璃奈に魅力を感じたからここにいるんだろう?」
すみれ「これはたまたま……。いえ、気になったのは事実だけど……」
ミア「OKOK。この後のイベントにも参加してみるといい。もっと璃奈を好きになるはずだ」
すみれ「イベント?」
ミア「璃奈はライブ後に、来てくれたファンたちとゲームをプレイするんだ」
すみれ「やっぱり変な子じゃない」
ミア「顔も見れるよ」
すみれ「!」
すみれ(正直、気になる……)
すみれ「仕方ないわね。今日はこの後空いてるから……」
ミア「決まりだね」
※※※
璃奈「みんな、ありがとう」
璃奈「今日のゲームはこれ」
ミア「Oh!」
すみれ「スプラトゥーンじゃない。これなら恋の家でやったことあるわ」
ミア「アクションゲームが苦手なやつも楽しめる、最高にクレイジーでエキサイティングなゲームだよ」
すみれ「大人から子どもまで楽しめるのね」
ミア「好評発売中ってやつさ」
すみれ「買いましょうね」
璃奈「あなたは……」
璃奈「今日初めて来てくれた人、だよね?」
すみれ「!」
璃奈「ゲームもしてくれるんだ。嬉しい」
すみれ(……可愛い)
すみれ(なんでこんなに可愛い顔をわざわざ隠してるのよ)
璃奈「ねえ、お名前教えて?」
すみれ「へ、平安名すみれ……」
璃奈「平安名すみれさん。カッコいい名前」
璃奈「それに、綺麗な金髪……」
璃奈「すみれさん、すき」ピトッ
すみれ「!!!」キュウウウウゥゥゥン
ミア「墜ちたね」
※※※
すみれ「ふんっふふんっ♪」
かのん「すみれちゃん、ごきげんだね」
千砂都「最近明るくなったよね」
恋「何か良いことでもあったのでしょうか?」
可可「……」
すみれ(あ~。昨日の配信最高だったわね。まさか画面越しに璃奈と目が合うなんて)
すみれ(あの、あれ。応援してくれるやつよ。いや、あー……スゥー……)
すみれ「……ぐへへ」
四季「すみれ先輩、メイみたい」
メイ「私、あんな感じなのか……?」
きな子「そっくりっす」
可可「気色悪いデス」
夏美「可可先輩もサニーパッションの話をしている時はあんな感じですの」
可可「ぜたい違いマス!」
きな子「そっくりっす」
メイ「ひょっとして、すみれ先輩は……」
千砂都「? どうしたの?」
メイ「出会ったのかもしれない」
恋「出会った……とは?」
メイ「”推し”だよ」
「「「推し!?」」」
可可「すみれは他のアイドルなんかキョーミがないと言っていたはずデスよ?」
千砂都「うんうん。あのすみれちゃんが推しを作るなんて」
かのん「そうかな?」
きな子「かのん先輩?」
かのん「何か、事情があるんじゃないかな?」
恋「事情とは……たとえば?」
かのん「もしかしたら、推し活を始めるくらい精神的に追い詰められていたとか」
夏美「あり得ますの。皆さんすみれ先輩の扱いが酷いので」
メイ「私は! すみれ先輩尊敬してるし!」
メイ「大好き……だぞ」
四季「みーとぅー」
きな子「きな子もっす!」
千砂都「いいね~」
恋「すみれさん、愛されているのですね」
かのん「自分のことのように嬉しいね」
可可「むぅ」
恋「とはいえ、かのんさんの仮説は拭いきれません。すみれさんが何か悩んでいないか、皆で気を配っておきましょう」
恋「私たちは、その……」
恋「友だち……なので」テレテレ
夏美「はー。可愛いですの」
※※※
メイ「あの……すみれ先輩」
すみれ「ん? どうしたの?」
メイ「最近、推し活を始めたんだってな」
すみれ「まあね」
すみれ「この間メイから推してるって言われて、私本当に嬉しかったの」
メイ「あ、ああ……?」
すみれ「推されるって気持ち良いなって。もっと頑張ろうって思ってた時、璃奈に出会えた」
すみれ「初めてライブに行った時、『可愛い』とか『元気が出る曲だな』とは思ったのよ。でも、そんなにハマったわけじゃなかった」
メイ「おう」
すみれ「ライブの後のゲームイベントでね――」
――――
――
璃奈「すみれさん、楽しい?」
すみれ「ええ。私も結構ゲームは好きなのよ」
璃奈「よかった」
璃奈「ねえ、となりに座ってもいい?」
すみれ「いいわよ」
璃奈「やった」チョコン
すみれ「……」キュンッ
すみれ「ねえ、どうして璃奈はライブの時顔を隠しちゃうの?」
すみれ「結構可愛い顔してるし、出したほうが」
璃奈「可愛い?」
すみれ「う、うん?」
璃奈「うれしい。てれてれ」
璃奈「でも、私はこれで良いの。気持ちは上手く顔に出せないけど、みんなと考えて、みんなと作ったボードを着けて、『ありがとう』と『だいすき』を届けたいんだ」
すみれ「そう……」
すみれ「ごめんね? 璃奈のそのスタンス、とっても素敵だと思うわ」
璃奈「えへへ」
璃奈「すみれさんも、スクールアイドルなんだよね?」
すみれ「へ?」
すみれ「知ってるの?」
璃奈「うん」
璃奈「私たちは出ないけど、一応ラブライブの結果はネットで見てる」
すみれ(まあ、流石にラブライブ優勝チームなら、同じスクールアイドルには知られてるか……)
すみれ(……あれ?)
すみれ「『私たち』? 『出ない』?」
璃奈「うん。私やミアちゃん、あと、あそこにいる愛さんは同じ同好会のスクールアイドルだよ」
ミア「ボクは 好きです 璃奈天王寺が」
愛「りなりー愛してる」
すみれ「あの変なやつらもスクールアイドルだったの……」
璃奈「でも私たちはそれぞれソロとして活動してて、ラブライブには出てないの」
すみれ「ソロでもラブライブには出られるわよ?」
すみれ「いや……”出ない”って言ったわね」
璃奈「うん」
璃奈「私たちは目的はそれぞれだけど、自分の理想のステージを作りたくて活動してるんだ」
璃奈「ステージでは、本当の自分でいられる気がするの。自分を表現するために、曲を作ってもらって、演出を考えて、場所を選んで……」
すみれ「……ふーん」
すみれ「スクールアイドルって、みんなラブライブが目標なんだと思ってたわ」
璃奈「私は入った時からそんな感じだったから、あんまり違和感ないけど」
すみれ「こっちは入った時からうるさいのがいたからね~。優勝優勝って」
璃奈「うるさいの?」
すみれ「ええ。うるさくって、大切な仲間で……友だちよ」
璃奈「いいな」
璃奈「私も、もっと友だちがほしい。もっともっと、みんなと繋がりたい」
璃奈「ねえ、すみれさんは私と繋がってくれる……?」オテテニギニギ
すみれ「!」
すみれ「何言ってんのよ。もうファンみたいなもんよ」
璃奈「そうなの? じゃあ、また来てくれる?」
すみれ「もちろん」
璃奈「ありがとう」
すみれ(!)
すみれ(あれ……今なんか……)
すみれ「……なによ。ちゃんと笑えるじゃない」
璃奈「え?」
璃奈「笑えてた……かな?」
すみれ「ええ。相変わらず表情は1ミリも動いてないけどね」
すみれ「私にはちゃんとわかったわ」
璃奈「!」
璃奈「……すみれさん、すき」ピトッ
すみれ(あ~これやば~……)
――
――――
すみれ「守りたい……そう思ったわね」
すみれ「なんなんでしょうね。あれ」
すみれ「璃奈って、ステージでは結構明るいのよ。でも、普通に話すとちょっと寂しそうというか……切ない気持ちになるのよね……」
すみれ「私でも、”推す”ことで璃奈の寂しさを少しでも軽減できるかもしれない、あの子を幸せにできるかもしれない。そう思ったの」
メイ「なるほど……」
すみれ「じゃ、今日も璃奈が待ってるから」
すみれ「いいえ。私の魂が、璃奈を待ってるから」
メイ「い、いってらっしゃーい……」
メイ「……」
メイ「……ふぅ」
メイ(私のせいか~😇)
※※※
すみれ(それから、私はみるみる璃奈の沼にハマっていった)
~
すみれ「私、よく『オーラがない』って言われるのよね~」
璃奈「そんなことないよ。すみれさんは、とってもキラキラしてるもん」
~
すみれ「それで、いつも良くて脇役だったってわけ」
璃奈「でも、すみれさんのおかげで作品全体が盛り上がったと思うの」
~
すみれ「あの落選は悔しかったわー」
璃奈「それで今のカッコいいすみれさんがいるんだね。努力家なすみれさん、すき」
~
すみれ「璃奈の新作グッズ!? すぐ買いに」
「お姉ちゃん! それはお賽銭だよ!」
すみれ「だから神様のために使うんでしょ!!!」
※※※
愛「お、スミレじゃん! 今日も最前?」
すみれ「当然よ。そういうあんたも?」
愛「もちろん! 愛さんが1番応援しちゃうからね!」
すみれ「ふふっ。負けないわよ」
ミア「今日は新曲もあるらしい。君たち、defibrillator(AED)の場所は確認したかい?」
すみれ「抜かりなし」マップヒロゲー
愛「この箱何回目だと思ってるの」キリッ
ミア「Nice👍」
璃奈「みんな、今日も来てくれてありがとう。嬉しい」
璃奈「璃奈ちゃんボード、【キラキラ】」
すみれ「はー、まぶし」
すみれ「私実は神社の娘なんだけど、つい最近超常の存在をはっきりと感じられるようになったわ」
愛「おめでとう! ”正解”だね!」
ミア「いつもの、やっとく?」
す・愛・ミ「「「天使! 天才! 天王寺!」」」
愛「うおおおおおおお!!! ぶち上げていくよおおおお!!!」
ミア「ファイヤー! ファイヤー!」
すみれ「璃奈ああああ!!! 私よおおおお!!!」
~♪(First Love Again)
す・愛・ミ「「「……???」」」
ミア「Oh…」
愛「こんな曲調、珍しいね」
すみれ「何が起きるの……?」
~
かのん「ここにすみれちゃんが?」
きな子「はいっす! スキップしながら入っていったっす!」
四季「天王寺璃奈、ソロライブ……?」
メイ「私もすみれ先輩に聞くまで、知らなかったんだ」
恋「メイさんでも知らないとは……新人さんですかね?」
メイ「いや、どうも予選の段階からラブライブに出てないらしい」
千砂都「え?」
可可「そんなことがありえるのデスか!?」
可可「……まあ、まだすみれがこの子のライブに来たとは限りマセン! ゲームセンターですよ? きっと遊びに来ただけデス!」
メイ「いやだから」
四季「シューティングゲームやりたい」
夏美「【Liella!メンバーがゲームセンターで遊んでみた】! 撮れ高がありそうですの!」
千砂都「とりあえず入ってみよーよ!」
かのん「そうだね!」
メイ「あー……」
~
すみれ「りいいいいいいいなあああああああ😭😭😭😭😭😭」
Liella!「「「……」」」
璃奈「みんな、ありがとう。いつもと違う私、どうだったかな?」
璃奈「いつもは、『がんばれー!』って気持ちを歌ってるんだけど、今日はみんなに……あなたに向けた歌……かも?」
すみれ「いけない!(危機察知)」
璃奈「えへへ。だいすき」
すみれ「ああっ!(絶命)」
愛「ミアち!」
ミア「OK!」
愛・ミア「「うお~~~」」👐👐ユンユンユンユン
すみれ「……は?!」バッ
愛「やった!」
ミア「良かった……!」
すみれ「ありがとう、ありがとう🥹」
すみれ「あーもういつも『駄目かもしれない』とは思ってるんだけどね? 今日は駄目。うん、駄目。イントロでもう目眩がしてたもの。視界が”揺らぐわ”って感じ。嘘だと思うじゃない? いやもう嘘だと思いたいわよ。でもね? 実在してるのよ。しちゃってるったらしちゃってるのよ。はー……。いや、もう、ね? ここが私の、”ノンフィクション”」
愛「出た出た! スミレの得意なやつ!」
ミア「調子出てきたじゃん」
すみれ「あれ? そういえば……」
すみれ「2人はどうして無事だったの?」
ミア「ああ……」
愛「私たちは、”先生”に助けてもらったから」
すみれ「先生?」
「はじめまして、かな? 平安名すみれさん」
すみれ「!」
すみれ「顔が認識できない程の限界力……! あんた一体!」
ミア「先生は【はじまり】にして、【おしまい】の璃奈オタク」
愛「限界力が高すぎて、自らのフルネームすら霞ませたオタク」
「――浅希ちゃん。璃奈からはそう呼ばれてる」
すみれ「ぐっ……!」
ミア「無理はしない方がいい」
愛「まだ全快とまではいかないか……」
浅希「初心者には刺激が強すぎたみたいだね。璃奈のMC中は、適度に目を閉じて命を守るべき」
すみれ「でも!」
すみれ「それじゃあ、璃奈の魅力を全部観測することができないじゃない!」
ミア「すみれ……」
愛「スミレ……」
浅希「面白い。あなた、見込みがあるわ」
浅希「ライブ後のゲームイベントも終わったら、『もんじゃ宮下』に集合ね」
ミア「先生、久しぶりに”授業”を……!?」
愛「おめでとうスミレ! やっと行けるね!」
すみれ「行ける? どこに?」
浅希「”おしまい”だよ」
すみれ「おし、まい……?」
恋「……」
四季「……」
メイ「わかる……」
夏美「……」📹ジーッ
千砂都「うわ」
かのん「……帰ろっか」
きな子「はいっす」
可可「しゅみれ……?」
※※※
すみれ「いーつーかっ♪ いーつーかっ♪ い、いいいいいいいぃぃぃぃん♪」
可可「すみれ!」
すみれ「……なによ」
可可「最近、随分とゴシューシンのようデスね?」
すみれ「そうね。ありがとう可可。私に推し活を勧めてくれて」
可可「!」
すみれ「推し活って、いいわね!」サワヤカー
可可「うっ……」
可可「💡」ピコーン
可可「すみれは、ククがオススメしたから推し活をはじめたのデスか?」
すみれ「まあ、そうなるわね?」
可可「じゃあ! 推し活はやはりよくないデス!」
可可「ククがやめろと言うので、やめるデス」
すみれ「へ?」
可可「第一、ライバルである他校のスクールアイドルを推すなど」
すみれ「璃奈はラブライブ出ないらしいわよ?」
可可「そデシタ……」
可可「でもでも! 推しに時間を使って練習がおろそかに」
すみれ「最近とっても身体が軽くて、ダンスのキレも増したわ」
可可「ぐぬぬ……」
すみれ「ねえ可可。私ね、毎日が楽しくてたまらないの! 生きてるって感じ! ええ、私は璃奈に生かされているんだわ!」
可可「」
すみれ「ああ! 次のライブが待ちきれない!」
可可「……そんなに天王寺璃奈が良いのデスか」
すみれ「え?! 可可も璃奈に興味があるの!?」
可可「あ、ぇ……」
🤝ガシッ
可可「ひょえ!?」
すみれ「”気付いた”のね!」
可可「???」
すみれ「私も昔から、『なんか違うな』って気はしてたのよ! 璃奈と出会うまでは!」
可可「しゅみれ……?」
すみれ「さあ! 一緒に正しい世界を観測しましょう!」
すみれ「こうしちゃいられないわ! 早速次のライブはあんたも……あ!」
可可「?!」ビクッ
すみれ「いけない私ったら。せっかく可可が”気付いた”んだから、まずはお祝いよね!」
可可「う、うぅ……」
すみれ「【おめでとう】! そして、《おかえりなさい》!」
可可「……ゃ」
すみれ「ん?」ニコニコ
可可「いやあああああああぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!」
🍨💨
すみれ「ちょっと! 可可!?」
※※※
可可「レンレーン!!!」ギュウッ
恋「きゃ?!」
恋「可可さん? どうしたのですか?」
可可「すみれが! しゅみれが~!」
恋「うふふ。また喧嘩でもしたのですか?」ナデナデ
可可「おしまいになったデス!」
恋「おしまい……?」
可可「すみれはもう、おしまいデス!」
恋「えっとぉ……」
~
恋「……なるほど」
恋「すみれさんが、その……。『限界オタク』と呼ばれる存在になってしまったのですね?」
可可「そデス」
恋「何かに一生懸命になるのはとても良いことですが……」
恋「ハマりすぎるのも考えものですよね(自戒)」
恋「……仕方ありません。私が少しお話してみましょう。自分の経験を基に、何か出来るかもしれません」
可可「お願いしマス! お気をつけて!」
恋「気をつける……?」
~
すみれ「璃奈について聞きたい?」
恋「はい。すみれさんが好きなものについて、私も知りたいのです」
すみれ「なにそれ」フフッ
恋「良いではないですか。私とすみれさんはお友だちでしょう?」
すみれ「……なんか、照れるわね」
恋「うふふ」
すみれ「璃奈について語ることは星の数ほどあるけれど」
すみれ「やっぱり実際に見るのが一番よ。明日ライブがあるから、一緒に行きましょ?」
恋(やはり、そう来ますよね)
恋(先日の異様な空間……)
恋(近づき難いものを感じましたが。飛び込んでみなくては、すみれさんの見ている世界は理解できないのでしょう……)
恋「は、はい……!」
※※※
「……というわけですn」
「……です」
璃奈「そっか、ありがと」
「そ、それで今日のご褒美は……?」
璃奈「ご褒美なんて」
璃奈「私と–ちゃんは友だちだよね?」
璃奈「だから、そんな言い方してほしくない」
「も、申し訳ありませんで……です!」
璃奈「いいよ」
※※※
恋「葉月恋と申します。すみれさんとは同じLiella!として活動している仲間です」ペコリ
愛「レンレンね! よろしく!」
恋「うふふっ。そのニックネームで呼んでくださるのは二人目です」
ミア「友人に”追憶”のチャンスを与えるなんて……。すみれ、やるじゃないか」
すみれ「恋は自分から璃奈について知りたいって言ってきたのよ」
恋「はい。すみれさんが最近楽しそうにお話ししてくださるので」
ミア「ふーん……」
愛「あ! ライブ始まるよ!」
QU4RTZ「「「「私たちは、QU4RTZです!」」」」
すみれ「……?」
すみれ「え?」
愛「そっか、スミレはまだ知らないんだっけ」
ミア「璃奈は、ユニットでも活動しているんだ」
すみれ「ふーん……。良いわね」
恋「すみれさんは璃奈さんだけに夢中なのかと思っていましたが」
すみれ「まあそうなんだけど」
すみれ「あの、1番背が高い子いるじゃない」
愛「エマっちだね」
すみれ「体格差で璃奈の愛おしさが強調されているわ」
すみれ「ふわふわの人も枕なんか持ってステージに立っているし、個性的な璃奈とマッチしてる」
すみれ「もう一人の元気な子も良いわね。さっきから璃奈とのMCでの絡みがお互いを理解し合っている感じがして好きよ」
恋(すみれさん……いつにも増して饒舌ですね……)
~♪(Sing & Smile!!)
すみれ「はー」
すみれ「無理」ガクンッ
恋「だ、大丈夫ですか!?」
愛「レンレン、すごいね」ガクガク
ミア「ボクらなんて、立ってるのがやっとだってのにさ……」プルプル
恋「???」
すみれ「単体だと、みんな可愛い系の声してるのよね」
すみれ「それが調和した結果、そこにこう、この世全てを包括するような”癒やし”が生じている……」
恋「すみれさん?」
愛「QU4RTZの癒やしはあまりにも攻撃的で――」
ミア「強制的な【魂の平穏】を、休みなく与えてくる――」
恋「皆さんどうしてしまったのですか」アワアワ
浅希「今、”追憶”の時――!」
🤏パチンッ
恋「……あ」
~
璃奈「葉月恋さん」
恋「あ、う……?」
璃奈「いつもスクールアイドルと生徒会を両立して、頑張ってるんだね」
恋「ぁ」
璃奈「いいこ。いいこ」ギュウ
恋「……ぅ」
恋(お母……様?)
璃奈「ねえ。一緒にあそぼ」
璃奈「恋さんも、私と繋がってくれる……?」
恋「……はい」
※※※
可可「レンレン、それは……?」
恋「ああ、これですか?」
📶
可可「可愛いキーホルダー、デスね?」
恋「はい! ”お祝い”にいただいたのです!」
可可「お祝い、デスか?」
恋「私もついに【思い出す】ことに成功したのです!」
可可「あぇ?」
恋「我々人類は璃奈さんから生まれました。しかし、ヒトは幼き頃の記憶は忘れ去ってしまうもの……」
恋「母の歌声を聴き、【はじまり】を探る魂の冒険……それこそが、”追憶”なのです」
可可「おしまいデス」
恋「ええ! そして、はじまりです!」
可可「あああああああああああああああああ」
※※※
可可「ひっく……ううっ……」
千砂都「可可ちゃん? どうしたの?」
可可「みんなおかしくなっていくデス」
千砂都「んー?」
千砂都(可可ちゃんが落ち込んでるなんて珍しいな……)
千砂都「そんな時は、この動画を見ると元気になれるよ!」
可可「なんデスか、それ」
千砂都「ビー玉がレースする動画だよ!」
可可「こっちはこっちでおしまいデスね……」
千砂都「まあまあ見てごらんよ」スッ
可可「これは……」
千砂都「意外と面白いでしょ?」
可可「はい。ずっと見ていられるかもデス」
千砂都「うちの高校、Wi-Fi使えるから良いよね。動画いつでも見れるもん」
可可「そデスね。電波もリョーコーで……」チラッ
📶
可可「あ……ぁ……」フルフル
千砂都「可可ちゃん?」
可可「こんなところにも」ガタガタ
千砂都「ちょっと? 大丈夫?!」
~
可可「結局、早退してしまいマシタ」
可可「きっとククは疲れているのデス。今日は美味しいものを食べて帰るデス」
「お会計1,200円でございます」
可可「カードで」
「あ、これタッチ決済できるカードですね」
可可「あれ? そうなのデスか?」
「はい。このマークが付いているカードはタッチ決済に対応してて……」
📶
可可「?!」
可可(スマホにも、カードにも天王寺璃奈のマークが……?)
可可(ククは……ククは……)
「お客様ー?」
※※※
璃奈「あ、あっちの席にジュース忘れてきちゃった」
すみれ「私が取ってくるわよ」
璃奈「いいよ。自分で」
すみれ「璃奈は座ってていいわよ」
璃奈「……ありがとう」
~
璃奈「あの、すみれさん」
すみれ「ん?」
璃奈「今度、私の家で遊ばない?」
すみれ「え」
すみれ「……ダメよ。璃奈はアイドルで、私はファンでしょ?」
璃奈「そっか……そうだよね」
すみれ「……」
すみれ(璃奈、何だか元気がないわね……どうしたのかしら?)
※※※
すみれ「あれ? 夏美ひとりだけ?」
夏美「はい」
すみれ「ふーん」
すみれ「あ、そういえば」
夏美「?」
すみれ「きな子から聞いたんだけど、あんた名刺持ってるらしいわね」
夏美「うっ」
夏美「最近は積極的に使っていませんが、持ってはいますの」
すみれ「ねね、名刺交換しましょうよ」
夏美「はぁ?」
夏美「すみれ先輩も名刺を?」
すみれ「ええ!」
スッ
┏━璃奈ちゃんファンクラブ━━━━━━━┓
会員 1265
平安名 すみれ / HEANNA SUMIRE
Address:虹ヶ咲学園焼き菓子同好会内
TEL: 070-xxxx-xxxx
Email: heanna.genkai☆rinafc.jp
HP:
https://lovelive-as.bushimo.jp/member/rina/
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
夏美「これはこれは……」
すみれ「かのんから前もらった名刺のお返しに渡そうとしたんだけど、断られちゃった」
すみれ「私の初名刺交換はかのんにしようって決めてたのに」ションボリ
夏美「あはは……」
夏美「かのん先輩の名刺はどんなデザインですの?」
すみれ「あー。基本家に置いてるから、今は見せられないわ」
夏美「持ち歩かないんですの?」
すみれ「宝物……だからね。失くしたらやだし」
夏美「へぇ……」
夏美「では私も」
スッ
┏━璃奈
会員 02
鬼塚 夏
Address
TEL: 080
Email: on
HP:https:
┗━━━
夏美「あ!」
夏美「今のは違くて……」
すみれ「天使天才」
夏美「天王寺!」
夏美「……は!?」
すみれ「夏美も【正解者(リナリスト)】だったのね。しかも私より会員番号が早い」
夏美「うっ……」
夏美「バレてしまってはしょうがないですの」
夏美「私鬼塚夏美は、天王寺璃奈様の忠実なる下僕……。正しき世界の姿を知る者の1人ですの」
――――
――
恋「とはいえ、かのんさんの仮説は拭いきれません。すみれさんが何か悩んでいないか、皆で気を配っておきましょう」
恋「私たちは、その……」
恋「友だち……なので」テレテレ
夏美「はー。(璃奈様が)可愛いですの」スマホポチポチ
~
恋「……」
四季「……」
メイ「わかる……」
夏美「……(今日のステージも完璧ですの。撮影OKだなんて、璃奈様は寛容にして慈悲深いお方……)」📹ジーッ
――
――――
すみれ「だったら早く言ってくれても」
夏美「はじめは、可可先輩やメイとキャラが被るから……くらいにしか考えていませんでした」
夏美「でも、Liella!がラブライブで日本一になって、そのメンバーである私が璃奈様のファンであるとアピールすれば、世界の【正常化】を加速できると思いましたの」
夏美「しかし……。新メンバーの私ではまだ弱い。先輩方にも璃奈様を”思い出して”いただく必要があった」
すみれ「……え?」
夏美「おかしいと思わなかったですの?」
夏美「璃奈様はすみれ先輩のプロフィールを知っていた。なのにどうして初めて会った時、名前を尋ねたんでしょうね?」
すみれ「!」
――――
――
璃奈「ねえ、お名前教えて?」
すみれ「へ、平安名すみれ……」
璃奈「平安名すみれさん。カッコいい名前」
――
――――
すみれ「……あ」
夏美「璃奈様はあの時点では、本当にすみれ先輩のことを知らなかったですの」
すみれ「じゃあ、名前を聞いた後ネットで調べたってこと?」
夏美「それだと、すみれ先輩の個人的な情報までは分からないですの。ネットの記事なんて、せいぜいメンバーの名前と千砂都先輩のインタビュー程度……」
夏美「すみれ先輩の身の上話までは分からないでしょう?」
すみれ「……まるで、聞いてたような言い方ね」
夏美「聞いていましたとも。【正解者】が璃奈様のライブにいないわけがない」
夏美「……すみれ先輩が最初にライブへやってきたのは偶然でしたけどね」
夏美「【総ては廻る忘却の福音(ファーストラブアゲイン)】の際は、かのん先輩たちと向かうことになっていたので遅れてしまいましたが」
夏美「ゲームイベントの途中、璃奈様にすみれ先輩の情報を教えたのは、私ですの」
すみれ「それを今私に話した理由は?」
夏美「……ただ口が滑っただけですの」
すみれ「……」ギリッ
🪐💨
夏美「ふぅ。怖かったですの」
夏美「……これで上手くいくと良いのですが」
※※※
すみれ「メイ」
メイ「どうしたんだよすみれ先輩。そんな怖い顔してさ」
すみれ「なんでもないわよ」
すみれ「それより、あんたこそどうしたのよ。そんなとこに座り込んで」
メイ「ああ、ちょっとランニング中に足をくじいて」
すみれ「は!? ちょっと、大丈夫なの?」
メイ「全然へーき……いたた……」
すみれ「はぁ」
すみれ「……ほら。おぶってあげるから乗りなさい」
メイ「ひょ?!」
メイ「だだだ、だめだろそんなの!」
すみれ「なんでよ」
メイ「私はすみれ先輩のファンだから……」
すみれ「は?」
すみれ「何言ってんのよ。私たちは先輩後輩でしょ」
メイ「その前にアイドルとファ」
すみれ「うるさい」デコピン
メイ「いたっ?!」
すみれ「あんたは私の大事な後輩なの。推してくれるのは嬉しいけど、その特別扱いは全く嬉しくないわ」
すみれ「抵抗しても無理矢理連れてくから。さあ、早く」
メイ「……っ」キュンッ
メイ「……一生、ついていきましゅ」
すみれ「はいはい」
※※※
璃奈「今日も来てくれたんだ。うれしい」
すみれ「……璃奈」
すみれ「今日のライブも、とっても良かったわ」
璃奈「ありがとう」
すみれ「ねえ」
璃奈「?」
すみれ「どうして夏美はあんなことしたの?」
璃奈「……」
璃奈「私が悪いの」
璃奈「私がスクールアイドルをやってる目的――『たくさんの人と繋がりたい』。それを果たすために、夏美ちゃんは頑張ってくれてた」
璃奈「でも、だんだんファンのみんなが過激になって……。初めはゲームイベントも私のおうちでやってたんだけど、たくさんの人と繋がるほど、みんなは私から離れていった」
璃奈「……ファンは友だちと同じ意味だと思ってたんだ」
璃奈「私、最近まであんまり友だちが多くなかったから分からなかった」
璃奈「だけど、それを指摘したらせっかく繋がれたみんながいなくなっちゃんじゃないかって。怖かったの」
すみれ「……あぁ」
――――
――
すみれ「あんたは私の大事な後輩なの。推してくれるのは嬉しいけど、その特別扱いは全く嬉しくないわ」
――
――――
すみれ「そっか」
すみれ「ごめんね璃奈」ギュウッ
璃奈「すみれさん?」
すみれ「私、その気持ち分かってたはずなのに……」
すみれ「寂しい思いをさせてたのは、私たちだったんだ」
すみれ「ねえ、璃奈」
璃奈「うん」
すみれ「今更かもしれないんだけど」
すみれ「……お友だちになりましょ?」
璃奈「!」
璃奈「うん……!」
※※※
すみれ「ふぅ。何かすっきりしたわ」
すみれ「応援する側と応援される側。両方幸せになれるのが推し活……なのよね」
すみれ「それに、私たちはスクールアイドル。ショウビジネスよりもファンが友だちや仲間に近い存在で。だからこそ出来ることもある……」
すみれ「勉強になったわ」
恋「すみれさん! 聞いてください! ”新解釈”です!」
すみれ「え?」
恋「これまで人類は璃奈さんから生まれたのが通説でしたが、実は宇宙の誕生にも璃奈さんが関わっているという」
すみれ「」
可可「ぐへっ、ぐへへ……」
すみれ「ど、どうしたのよ?」
可可「ククも”気付いてしまった”デス」
可可「初めは怯えていマシタ。しかし! いつの間にか、璃奈様の痕跡を探している自分がいたのデス」
可可「ククたちの日常は、璃奈様の愛で溢れているのデス! ほら! ここにも! そっちにも!」
すみれ「……おしまいだわ」
おしまい
ありがとうございました。
昔書いたの↓
愛「『攻略してほしい女がいる』……?」璃奈『無理なら絶対に返信しないように』
https://itest.5ch.net/fate/test/read.cgi/lovelive/1610789572/
通りすがりのスピードワゴン↓
小沢「しずくちゃんはさ。恋愛シミュレーション、やってる?」しずく「いえ……」
https://itest.5ch.net/fate/test/read.cgi/lovelive/1646834416/
始まったな
始まったな
ようやく入り口に至ったな
面白かった
乙
乙
良い話だった気がしなくもない
乙!面白かった
引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1672912955/
コメント