【SS】歩夢「だからねしずくちゃん……私たち、別れよっか」【ラブライブ!虹ヶ咲】

ラブライブ

【SS】歩夢「だからねしずくちゃん……私たち、別れよっか」【ラブライブ!虹ヶ咲】

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1: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:21:30.71 ID:GNKGi1Rt
あゆしず
卒業後の話を含みます

2: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:22:27.47 ID:GNKGi1Rt
ピピピ……

ピピピ……

歩夢「…………ん……」スッ

ポチッ

歩夢「んん……はぁ」ググッ

―――何でもない朝

―――スマホのアラームで目を覚ますいつも通りの朝

―――何でもない毎日

―――普通の毎日

歩夢(…………起きないと)



3: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:24:34.41 ID:GNKGi1Rt
『―――』

歩夢(……いただきます)

『―――』

―――適当に朝のニュース番組を流しながら朝食をとる

『―――』

歩夢「……」モグモグ

『―――』

―――どこどこで事件があったとか、事故があったとか

―――政治がどうとか、経済がどうとか、芸能がどうとか

―――なんとなく世の中で何が起きてるのかを寝起きの働いてない頭に入れながら

―――毎日毎日、今日も、とある人の名前を聞けないかなって思いながら見ている

―――それは……

・・・・・・

アナウンサー『―――というわけで本日は今話題の清純派女優、桜坂しずくさんに独占インタビューを―――」

しずく『……』

・・・・・・

歩夢「ぁ―――」

―――その名前を聞くことで私は安心できる

―――私の選択は間違ってなかったって思えるから

――――
―――
――

4: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:25:28.67 ID:GNKGi1Rt
・・・・・・・・・・

―――高校の頃、私の事を特別だって言ってくれた子が居た

―――どこにでもいる普通の私に、女性として尊敬しているとまで言ってくれた子が居た

―――それは幼馴染としてお互いに特別だった侑ちゃんじゃなくて

―――スクールアイドルとしての活動を応援してくれたたくさんのファンの人でもなくて

―――たまたま同じ高校に入って、たまたま同じ同好会で出会ったその子は

―――私なんかよりもずっと魅力的で、女の子らしくて

―――そんな子がどうして私みたいな普通の人間を?って不思議だった

6: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:26:43.61 ID:GNKGi1Rt
数年前・高校時代

しずく「……」ジー

歩夢「……」

しずく「……」ジー

歩夢「ね、ねぇしずくちゃん」

しずく「なんでしょう?」

歩夢「そんなに見られてるとちょっと恥ずかしいかな……///」

しずく「ふむふむ……」

歩夢「聞いてる?」

しずく「やっぱりそうやって照れるんですね!もっと勉強させてくださいっ」グイッ

歩夢「もうやめてぇ///」

―――私の事を物語のヒロインのようだと言うしずくちゃん

―――そんな私のライブや普段の様子を研究したいと言うしずくちゃん

―――真っ直ぐ過ぎる好意に少し照れてしまうけれど

―――尊敬されることそのものも嬉しいけれど

―――女優を目指し、演劇でヒロインを演じるしずくちゃんにそう言わしめるというのが少し誇らしかった

―――そんなしずくちゃんの事を、私も少しずつ意識していって



8: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:28:55.55 ID:GNKGi1Rt
しずく「歩夢さん」

―――始めのうちはとっても可愛い妹ができたような気分だった

歩夢「あ、しずくちゃん」

しずく「昨日インスタに載せてた写真、とっても可愛かったです」

―――でもその気持ちはいつの間にやらどこかへ行ってしまって

歩夢「えっ、あ、ありがとう///」

―――私の事を慕ってくれて、事あるごとに褒めてくるしずくちゃんによく心を撃ち抜かれる

しずく(……かわいい)ジー

歩夢「……?あっ、もう、あんまり見ないで!またそうやって私で遊ぶ!///」

しずく「遊んでるつもりはないんですけど」

歩夢「いつもそう言って、嘘ばっかり///」

―――本当は嘘じゃないって分かってるから、余計に照れちゃったりして

9: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:32:03.66 ID:GNKGi1Rt
しずく「すみません。でも可愛いって思ったのは本当ですよ」

歩夢「……もぉ、口が上手いんだから///」

しずく「でも歩夢さんらしくないというか、あまり見ない恰好でしたね」

歩夢「うーん、やっぱりそうかな」

しずく「あ、悪い意味ではありませんよ?もちろんお似合いではあったんですが」

歩夢「ふふ、ありがとう。あれはね、果林さんにコーディネートしてもらったんだ」

しずく「果林さんが?」

歩夢「うん。この間急に遊びに誘われてね『歩夢に似合いそうな服見つけたから』って」

しずく「なるほど。流石果林さんですね……」

歩夢「たまに同好会の皆とかにしてあげてるみたいだよ?」

しずく「…………」

歩夢「しずくちゃん?」

しずく「……歩夢さん」

歩夢「なぁに?」

しずく「今度私とデートしてください」

歩夢「……へ?」



11: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:32:54.53 ID:FlktmGbl
はかない

13: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:33:19.58 ID:GNKGi1Rt
歩夢「どうかな……?」

しずく「あぁ、最高です……とっても素敵です歩夢さん!」

歩夢「そう?///」

しずく「はいっ」

歩夢(可愛い服……ちょっと可愛すぎて恥ずかしいけど)

―――恥ずかしいけど、実は着てみたいなって思う服

しずく「さぁ歩夢さん、次はこちらを!」

―――急にデートって言うから何かと思ったけど、果林さんに感化されたのかな

しずく「大人っぽい服も素敵ですけど、やっぱり歩夢さんは可愛い系がいいと思います♪」

―――しずくちゃんとはそういう話をしたことも無いのに私の好きな服を選んでくれている気がして

―――本当に私を見てくれているんだって思えて、可愛いって言われる事以上にそっちの方が嬉しかった

―――もっともっとしずくちゃんと仲良くなりたい。お話したい。私の事を見ていて欲しいって思った

歩夢「ありがとう♪」



14: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:34:56.87 ID:GNKGi1Rt
しずく「歩夢さん」

―――そう呼んでくれる声を聞くのが毎日の楽しみだった

しずく「可愛いですっ」

―――そう言ってくれるのを期待して、前以上に身だしなみに気を遣うようになった

しずく「あれ、少し髪切りました?」

―――些細な変化にもちゃんと気付いてくれるのが幸せだった

しずく「歩夢さん…!私を…私を叱ってください!!」

歩夢「!!?」

―――演劇に対していつも真摯で、一生懸命な所が

しずく「歩夢さん!私を悲しませてください!!」

歩夢「え…えぇぇ……」

―――それが時々振り切っておかしな方向に行ってしまう所も

15: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:36:56.13 ID:GNKGi1Rt
しずく「今度のライブなんですけど、一緒に『あなたの理想のヒロイン』歌ってもらえませんか?」

歩夢「へ!?」

しずく「以前のシャッフルフェスティバルでも歌ってくださいましたよね?」

歩夢「あ、うん、そうだけど」

しずく「あの時からずっと、一緒に歌ってみたかったんですっ」ガシッ

歩夢「ひゃ///、う、うん。しずくちゃんがいいなら///」

しずく「本当ですか!?絶対ですよ!」

歩夢(……うれしそう)

―――全員魅力的な同好会のみんなの中で、他の誰でもない私を選んでくれるしずくちゃんが

歩夢(しずくちゃん……私……)

―――好きだったの

16: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:38:19.46 ID:eoZs4SPB
雰囲気良いね

17: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:38:28.84 ID:VS21hpN+
好きだからこそ離れるってせつねぇなぁ

18: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:38:37.92 ID:GNKGi1Rt
歩夢「しずくちゃん。私、しずくちゃんのこと……好きなんだ」

しずく「えっ………」

―――だから告白した。全然緊張することもなく簡単に告白できた。

歩夢「私とお付き合いしてください」

しずく「え、っと……」

―――だってあんまり怖くはなかった

―――普段のしずくちゃんの様子からして、普通に受け入れてもらえると思っていたから

―――なのに

しずく「…………少し、考える時間をいただいてもいいですか?」

歩夢「え……あ…………あっ、そう、だよね」

しずく「あ、あの!お気持ちはとっても嬉しいです!ですがその!」

歩夢「ううん、いいよ。急に言われても困っちゃうよね」

しずく「……歩夢さんからそう言ってもらえるのは本当に嬉しいんです。今とってもドキドキしてます」

しずく「でも、だからこそ。一度冷静になって考えさせてほしいんです」

歩夢「……うん、分かった」

―――そうは言っても保留にされたのはちょっと予想外で

歩夢(断られなかっただけ良かったのかな……でも、そういう目では見られてないってことなのかな……)

―――しずくちゃんの気持ちを簡単に考えていた自分が愚かで浅はかだと思った



19: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:41:09.08 ID:GNKGi1Rt
数日後

侑「歩夢、しずくちゃんと喧嘩でもしたの?」

歩夢「あ……ううん、そういうわけじゃないけど」

―――告白してからというもの、しずくちゃんはあまり私にベタベタしてこなくなった

―――避けているとかではないけれど、私からもしずくちゃんからも特に用がなければ話すことが減った

―――返事をくれるまではそうなるかなって思ってはいたけれど、やっぱり少し寂しい

侑「そう?それならいいんだけど」

歩夢「……うん」

侑「……いや、やっぱり良くない」

歩夢「え」

侑「今日暇?」

歩夢「う、うん、まぁ」

侑「これから少し私に付き合って」

歩夢「っ!」

20: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:42:45.08 ID:GNKGi1Rt
―――『付き合って』という言葉に過敏に反応してしまう

歩夢(はぁ…………)

―――きっと侑ちゃんは様子のおかしい私を気分転換に誘ってくれているんだ

歩夢(良くないよね、いつまでもこんなの……)

歩夢「うん、いいよ」

侑「よし、決まり!」グイッ

歩夢「きゃっ」

侑「ほらいくよ!」ダッ

歩夢「もう、侑ちゃんってば」

アハハ…

しずく「……」



21: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:43:38.92 ID:GNKGi1Rt
せつ菜「今日はどこに寄ります?」

歩夢「うーん……どうしよっか、侑ちゃん」

侑「そうだなぁ。昨日は私の行きたい所に行ったから……次はせつ菜ちゃん決めていいよ」

せつ菜「いいんですか!?」

侑「うん。歩夢もいい?」

歩夢「もちろん」

せつ菜「嬉しいです!では―――」

―――それからしばらく、侑ちゃんに連れられて寄り道するのが当たり前になった

―――しずくちゃんと仲良くなる前みたいに

―――いや、前よりも賑やかになった

愛「えー、みんなでどこか行くの?愛さんも仲間に入れてよー!」

ランジュ「ランジュも一緒に遊びたいわ!」

―――気が付けば2年生皆で遊ぶようになっていた

―――1日、また1日と、しずくちゃんからのアクションがない日々に落ち込む私に気を遣ってくれていたんだと思う

愛「これからみんなでジョイポリいこーよ!」

侑「いいね!」

せつ菜「ランジュさん!私とゲームで勝負しましょう!!」

ランジュ「受けて立つわ!!」

歩夢「……ふふっ」

せつ菜「では行きましょう!!」

愛「そういえばこの間さー、新しいアトラクションが―――」

エー、ホント?

しずく「……」



22: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:45:11.38 ID:GNKGi1Rt
歩夢「じゃあね、侑ちゃん」

侑「うん、また明日!」

ガチャ

バタン

歩夢「……」

―――みんなと別れて、侑ちゃんとも別れて、家に帰ると急に静かになる

歩夢(……しずくちゃん)

―――かれこれ数週間。ずっと生殺し状態のまま、落ち着かない気持ちを誤魔化しながら過ごしている

歩夢(でも、もう……どっちでもいいから、答えを聞かせて欲しい)

歩夢(……)スッ

―――スマホを取り出し、しずくちゃんの連絡先を開く

―――何も言ってくれないならこっちからもう一度、と思ったけど……

23: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:46:32.46 ID:GNKGi1Rt
歩夢(……そんなことできるわけないよね)

―――そうしたところで万が一にも良いほうに傾く気がしない

―――どっちでもいいとは言っても、叶うならいい返事が欲しい

―――今この瞬間も悩んでるかもしれないのに、そんな急かすようなことしたら意味がない

―――やっぱり待つしかない

歩夢(…………それとも)

―――しずくちゃんが言う『考える時間』って本当はどういう意味なのかな

―――私への気持ちを整理してくれてるって、そう言ってたけど

―――でももし、そうじゃないとしたら?

―――もしも、私との関係を壊さないように断り方を考える時間だとしたら?

―――それが数週間も、私への返事を悩む理由だとしたら……

歩夢「…………っ!」ブンブン

歩夢(何考えてるの、私……ばか……)



25: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:47:56.59 ID:GNKGi1Rt
―――それからさらに数日経ったある日のこと

侑「さて、帰ろっかぁ」

ランジュ「今日はどうするの?」

せつ菜「どこか行きたいところあります?」

愛「はいはーい、じゃあさ―――」

歩夢「……」

―――いつものように、侑ちゃんの声掛けで2年生のみんなで寄り道の話し合いをしながら帰ろうとした時

侑「歩夢ー?行くよー?」

歩夢「あ、うん……」

グイッ

歩夢「!?」

―――誰かに服を引っ張られる

歩夢「え……?」クルッ

―――振り向けばそこには

しずく「……」ギュッ

歩夢「しずくちゃん……?」

―――私の袖を掴むしずくちゃん

―――口元をきゅっと結んで

―――目元は髪で隠れてて見えない

26: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:50:10.15 ID:GNKGi1Rt
しずく「……」

歩夢「あの……どうかした?」ドキドキ

―――久々のしずくちゃんからの接触に胸の高鳴りを必死に抑えて対応する

しずく「今日……」

歩夢「うん?」

―――喋りながら少しだけ顔を上げて

しずく「今日……これから少し、私に付き合ってください」

歩夢「―――!」

―――どこかで聞いた言い回し

―――見えるか見えないかのギリギリで私に見せてくれたその顔は、少し目元に涙を浮かべているように見えた

しずく「……」

歩夢「……うん、いいよ」

歩夢「ごめん侑ちゃん、私……」

侑「分かった。がんばって」フリフリ

歩夢「……ありがとう」ニコ

歩夢(ふぅ……はぁ……、よし)

しずく「……」

―――要件は分かってる

―――とりあえずここでは話せないと思うので

歩夢「……外いこっか」

しずく「……」コクン



27: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:51:43.56 ID:GNKGi1Rt
歩夢「……」

しずく「……」

―――部室棟から少し離れたところにあるベンチに二人で腰掛ける

―――部活や同好会の活動を終えて帰宅する生徒がちらほら

―――それをぼーっと眺めながら、しずくちゃんの言葉を待つ

―――嘘。眺めているふりをしてるだけで、本当はしずくちゃんの様子が気になって仕方ない

―――しずくちゃんの事を見るのが怖いから前を向いてるだけ

しずく「……まずは、返事をするのが遅くなってすみません」

歩夢「……ううん、いいよ。それだけ真剣に考えてくれたってことだよね?」

しずく「……それでも、です」

しずく「それと改めて、ありがとうございます。嬉しかったです、告白」

―――ゆっくりと

―――頭の中の言葉を正確に吐き出せているか確認するように、ぽつりぽつりと話し始める

29: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:53:47.17 ID:GNKGi1Rt
歩夢「……」

しずく「……私、今まで恋をしたことがなかったんです」

歩夢「え……そうなんだ……少し意外」

―――そういうお話の本や映画、好きそうだから。

しずく「恋愛自体に興味がなかったわけではありません」

しずく「でも私にとっては……恋愛といえば物語の中の、非日常で運命的なものしか知らなくて……」

歩夢「……」

しずく「ご存じとは思いますが私、歩夢さんのことをとても尊敬していて……本当に大好きなんです」

歩夢「……うん///」

―――そういう意味ではないとしても、しずくちゃんから久々に褒められて少し表情が綻ぶ

―――それと同時に、言いたいことが少しだけ分かってきた

30: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/06(月) 23:56:35.76 ID:GNKGi1Rt
しずく「好きなのですが……恋心かどうかなど考えたこともなくて……」

しずく「そんな時に歩夢さんから告白していただいて……」

歩夢「……」

しずく「そこで初めて考えました。歩夢さんに向けるこの気持ちはどっちの意味なんだろう、って」

歩夢「うん……」

しずく「でも全然わからなくて……初めての経験で、他と比べることも出来なくて……」

しずく「歩夢さんは私にとって、恋をしているかどうか以前に特別なので……」

歩夢「……」

しずく「そうしてグズグズしているうちに時間だけ経ってしまって……本当にごめんなさいっ」ペコッ

歩夢「そ、それはいいよ、大丈夫だから……顔を上げて」

―――本当に、真剣に向き合ってくれているだけで十分嬉しい

――― そして、一瞬でも断る理由探しかもとか考えた自分が恥ずかしい

31: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:03:13.28 ID:/ILu12nO
しずく「……あれからしばらく、私たちあまり話さなくなりましたよね」

歩夢「そうだね」

しずく「…………いくら考えても、分からなかったのに」

歩夢「……?」

しずく「学校で歩夢さんと一緒に居る時間が減って……話さなくなって……すごく寂しいなって思いました」

歩夢「……」

しずく「放課後、侑先輩たちと一緒に帰る歩夢さんを見て……ずるいって……私だって一緒に居たいのにって思いました」

しずく「……皆さんに、嫉妬してました。歩夢さんを取らないでって、思いました」ギュッ

しずく「……この気持ちは友達以上の好きなんだって思いました」

歩夢「え……」

―――頭を下げたままスカートごと拳を握って

しずく「頭で考えたって分かるわけなかったんですね……恋愛は心でするものなんですから……」

しずく「……歩夢さん……私も……私も、あなたの事をお慕いしております」

歩夢「……え」

しずく「まだ私への気持ちがお変わりでないなら…………私と、付き合ってください!」

歩夢「―――っ!!」

―――再び上げた顔は、少し怖がりながらもまっすぐに私の瞳を捉えて

―――もう一度、私の心を撃ち抜いた

歩夢「……はい……よろこんでっ」ウルッ

歩夢「あれ?……あは、あはは……安心したら泣けてきちゃった」ポロッ

しずく「歩夢さん……っ」ダキッ

歩夢「……」ギュッ



32: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:04:26.14 ID:/ILu12nO
歩夢「……ごめんねしずくちゃん」

しずく「……何がですか?」

歩夢「正直断られるのかなって思ってたんだ……あんまりにも返事くれないから……」

しずく「……本当にすみません」

歩夢「あっ、違うの。責めたいわけじゃなくてね……最初からどうやって断ろうか考えてたのかなって、思っちゃったんだ」

しずく「それは……やっぱり私が時間をかけてしまったから……」

歩夢「ううん。そもそも私ね、しずくちゃんも私の事好きだと思ったから告白したんだ」

しずく「……」

歩夢「すごく私の事慕ってくれてたから、全然断られることを考えてなくて……」

歩夢「だから告白する前は怖くなくて。保留にされてから初めて怖くなって……」

歩夢「しずくちゃんはすごく私の事を考えて、私と向き合ってくれてたのに。ごめんね……」

しずく「…………そういうところも素敵です」

歩夢「へ?」

しずく「別に言わなければ分からなかったのに、わざわざそれを伝えて謝ってくれるところです」

歩夢「あー……うーん……それはそうなんだけど……なんだかしずくちゃんには隠したくなくて」

しずく「……!」

歩夢「変だね私……えへへ」

しずく「そんなことありません」ギュッ

歩夢「あっ」

しずく「もうはっきり確信しました。私、歩夢さんが大好きです……」ギュー

歩夢「うん……私も……」

―――こうして私たちは、晴れて恋人同士になった

――――
―――
――

34: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:06:23.35 ID:/ILu12nO
ガチャ

しずく「すみません、遅れてしまって」

歩夢「しずくちゃーん」ダキッ

しずく「きゃっ」

歩夢「えへへ」

しずく「もう、歩夢さんったら」

せつ菜「あの、ミーティング始めるのでイチャついてないで早く座ってください」

歩夢・しずく「「はーい」」

せつ菜(……良かったですね、歩夢さん)

―――お互い一緒に居られなかった反動か、みんなの前でも平気でくっ付く私たち

歩夢(しずくちゃん、かわいいなぁ)ナデナデ

しずく「ん……歩夢さん……くすぐったいです///」

歩夢「……嫌ならやめる?」

しずく「いえ……もっとお願いします///」

せつ菜「座ったらイチャついていいとは言ってません!!」

―――無理だよ。こんなに可愛いんだもん



36: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:09:15.18 ID:/ILu12nO
しずく「侑先輩たちとはいつも何をしてたんですか?」

歩夢「うーん、本当にいろいろかなぁ。どこに行くかは毎日ローテーションで決めてたし」

歩夢「侑ちゃんとはアクセサリーショップとか、せつ菜ちゃんならゲームショップとか本屋に漫画を買いに行ったり」

歩夢「愛ちゃんはゲームセンター好きだったなぁ。あ、ランジュちゃんの家にお呼ばれしたことも……」

しずく「ランジュさんの家行ったんですか?」

歩夢「え、うん」

しずく「……むぅ」

歩夢「しずくちゃん?」

しずく「……今度、また私の家にも来てくださいね」ムスッ

歩夢「…………」

しずく「……なんですか?」

歩夢「……ふふ、妬いちゃったんだ?」ナデナデ

しずく「……べ、別に私はっ///」

歩夢「しずくちゃんさえ良ければいつでも行くし、私の家にも来て良いんだよ?」

しずく「ぁ、はい///」

歩夢「…………それはそれとして、今度デートしよっか♪」

しずく「え……」



37: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:10:43.73 ID:/ILu12nO
アクセサリーショップ

歩夢「あ、これ可愛い♪」

しずく「わぁ、本当ですね!」

―――ショーケースに並ぶ綺麗な指輪を眺める

―――学生の私たちではあまり高価なものは買えないけど

しずく「色も選べるみたいですし、これにします?」

歩夢「そうだね。すみませーん」

店員「はい、如何なされましたか?」

歩夢「この指輪のピンクと水色の、試着させてください」

店員「かしこまりました……はい、どうぞ」ニコ

歩夢「ありがとうございます」

―――それぞれ、右手の薬指に付けてみる

歩夢「うん、私は良さそう」

しずく「私も大丈夫です」

店員「ふふ、もしかしてペアリングですか?」

歩夢「あっ、はい……///」

店員「素敵ですね。よくお似合いですよ」ニコニコ

しずく「……///」

―――ペアリング。私たちだけの恋人同士の証。

―――私は水色の。しずくちゃんはピンクの。

歩夢(えへへ、しずくちゃんとお揃い)

店員「お客様、少しよろしいでしょうか」

歩夢「あっ、はい?」

店員「ペアリングをご購入されるのでしたら、ご一緒にこちらもいかがでしょう」

しずく「チェーン、ですか?」

店員「はい、こちらは―――」



38: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:12:39.48 ID:/ILu12nO
店員「ありがとうございました」ペコ

―――買い物を済ませてお店から出る

歩夢「可愛いのあって良かったね」

しずく「……」ジー

―――隣では、じっと自分の指輪を見つめるしずくちゃん

歩夢「……どうしたの?」

しずく「あ、いえ。歩夢さんとお揃いだと思うと、たった今買ったものなのにとても愛着がわいてしまって」

歩夢「そうだね……うん、私も一緒だよ」ジー

―――私も釣られて自分の指輪を見る

―――お互いのイメージカラーの指輪を付けることで、何とも言えない繋がりを感じる

―――それと

歩夢「チェーンも買ってよかったね」

しずく「そうですね。この方がいつでも身に着けておけますから」

―――店員さんの提案で、今は指輪を指に着けるのではなくチェーンに通して首から下げている

―――これなら今後成長して指が通らなくなってしまっても大丈夫

―――それと、常に指に着けたままだと汚してしまったり傷つけてしまったり、という心配があるから

―――服の中に隠してみんなに内緒でこっそり着けるっていうのも悪くない

―――二人だけの秘密の関係、みたいな感じでドキドキする

歩夢(まぁ……)スッ

ぎゅっ

しずく「あ……手……」

歩夢「いいかな?」

しずく「はい……///」

歩夢(別に隠したいわけじゃないけどね)



39: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:13:57.58 ID:/ILu12nO
本屋

しずく「……」ペラ…

歩夢「……」

しずく「……」ペラ…

歩夢(しずくちゃんって本を読む姿がとっても様になる)

―――品のある佇まいで本の世界に没頭するしずくちゃんを見つめることに没頭する私

しずく「……?、何ですか?」

歩夢「……しずくちゃん綺麗だなって」

しずく「っ、急に何言ってるんですか、本を読んでるだけですよ///」

歩夢「うん。それだけなのに。」

しずく「もう、嘘ばっかり///」

歩夢「……今度はかわいい」

―――嘘じゃないって分かってるから照れちゃうんだよね?分かるよ

しずく「……っ///」クルッ

スタスタ

歩夢「あ、どこ行くの?」

しずく「本買ってきますっ///」

しずく「もう、歩夢さんのそういうところ良くないです……///」ブツブツ

歩夢「……本当にかわいい♪」



41: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:16:22.21 ID:/ILu12nO
歩夢「……」モグモグ

しずく「……♪」パクッ

歩夢「ここの厚焼き玉子サンドおいしいね」

しずく「はい!とっても!」

―――近くにあった喫茶店でランチタイム

歩夢「でも私と一緒のでよかったの?」

しずく「今日は歩夢さんと一緒がいいんです。どんなことでも」

歩夢「……そっか///」

―――しずくちゃんこそ急に私をドキっとさせるから良くないと思う

―――それこそ付き合う前から。だからしずくちゃんにもこの気持ちを分かってもらわないとね

歩夢「しずくちゃん、じっとして」

しずく「……?」

スッ……

歩夢「ん、付いてたよ」ペロッ

しずく「ぁ……ありがとうございます///」

42: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:17:38.07 ID:/ILu12nO
―――口元に付いた赤いケチャップを指で掬い取り、見せつけるように咥える

―――すると代わりに顔を真っ赤にさせるしずくちゃん

―――だめだよ。そんな顔見せられたらいじめたくなっちゃう

歩夢「私が食べさせてあげよっか?」

しずく「はい?」

歩夢「そうしないとしずくちゃんまたお口にお弁当付けちゃうかもしれないもん」

しずく「な……結構です!子ども扱いしないでくださいっ!///」パクッ

歩夢「……」ジー

しずく「もぐ……はむっ///」

歩夢「……」ニコニコ

しずく「んく、…………今度は何ですか?」

歩夢「お口に付けないように一生懸命頬張るしずくちゃんが可愛いなぁって」

しずく「~~~!///」

歩夢「あはは」



43: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:19:08.38 ID:/ILu12nO
歩夢「うーん、次はどうする?」

しずく「……」

歩夢「……?」

―――なんとなく今まで2年のみんなと遊んでたところを巡るデートになってるけど別にそう決めてるわけではない

―――どこか行きたいところあるかもと、一応しずくちゃんにも聞いてみるも反応がない

歩夢「しずくちゃん?」

しずく「……」

―――何かをじっと見ている様子

―――その視線を追ってみると

歩夢「……観たいの?」

しずく「あっ……」

―――映画のポスターだった。宣伝でも見たことない、私の知らない作品

しずく「いえ、大丈夫です」

歩夢「いいの?」

しずく「…………はい」

―――明らかに私に遠慮して後ろ髪を引かれているご様子

歩夢「しずくちゃんのそういうところ良くないよ」

しずく「えっ」

歩夢「気になるなら観よう?」

しずく「でも……面白いか分かりませんし。映画なら1人のときでも、いつでも観れますから……」

歩夢「そうかもしれないけど、映画館で一緒に映画を観るのはいつでもじゃ無理だよ」

しずく「あ…………」

歩夢「いこ?」

しずく「……はい。ありがとうございます」

歩夢「私もしずくちゃんと一緒に映画観たいだけだよ」クスッ



44: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:20:49.38 ID:/ILu12nO
しずく「すみません、少しだけ待ってもらえますか?」スッ、スッ

―――上映室の前まで来て立ち止まり、スマホを弄るしずくちゃん

歩夢「何見てるの?」

しずく「この映画のあらすじです。パンフレットが無かったので」スッスッ

歩夢「あ、私も読んでおこうかな」

―――いつもは映画のあらすじってほとんど読んだりしない

―――でもよく考えたら、事前にどんなお話か知って興味があるからわざわざ映画館に足を運ぶわけで

―――こうして突発的に事前情報無しで観にくるのは初めてかも

歩夢(……)ス、ス

歩夢(………………ふーん……)

―――ポスターの時点で分かってたけど、内容は恋愛もの。どこかのお嬢様と普通の家の子の高校生同士の恋物語。

―――本人たちは好き合ってるけど、家柄の問題で周りには言えなくて……

歩夢(…………なんだか少しだけ私たちみたい)

歩夢(高校生ってところと、しずくちゃんが良いところの家の子って部分だけだけど……)

しずく「お待たせしました。行きましょう」

歩夢「うん」



45: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:22:21.79 ID:/ILu12nO
しずく「うぅ……ぐすっ……」ポロポロ

歩夢「……大丈夫?」

しずく「ん……はい……」フキフキ

―――終わってからずっと、映画館を出た後も涙が止まらないしずくちゃんをベンチに座らせて慰撫する

しずく「すみません……」グスッ

歩夢「……」ナデナデ

―――映画の中で恋仲だった二人は周りにバレないようにこっそり付き合っていたけれど

―――ずっとずっと、誰にも見つからないようにと過度に触れ合わないように我慢していた気持ちが抑えられなくなってしまって

―――たった一度の過ち。外で抱き合ってキスをしてしまう。

―――それがたまたま誰かに見られていて噂が広まってしまい、別れることになってしまう。

―――『あなたのためだから。あなたの幸せのために、私たちがあなたに相応しい人を選んであげるから』

―――お嬢様の方の子はそうやって、親の敷いたレールを歩く人生を半ば強制されて、本当に好きな人とは二度と会えない人生を送り……

―――確かに裕福な生活をしていたけれどその子は本当に幸せだったのかな?と。そんな内容だった

46: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:23:39.37 ID:/ILu12nO
しずく「でも、あんなの可哀想です……二人は愛し合っていたのに、それを無視して……っ」ウルッ

歩夢「……」ナデナデ

しずく「相手の子もあんなにすぐに身を引かないで、もっと必死になって足掻いて欲しかったです……」クスン

歩夢「……そうだね」

歩夢(そういう話だからと言ってしまえばそれまでだけど、高校生にできることなんて本当に少ししかなくて)

歩夢(もちろん私だって別れてほしくなかった。でも、実際どうしたらいいか分からないと思う……)

しずく「こういうお話、別に初めてっていうわけではありませんし、悲恋も好きな方です」

しずく「でもこうして歩夢さんとお付き合いを始めてから、恋愛ものは妙に自分と重ねてしまって……」

歩夢「……うん、分かるよ」

しずく「歩夢さん…………歩夢さんは……」ギュ…

歩夢「……でもね、しずくちゃんにはあんまりこういう言い方はしたくないけど、あれはフィクションだよ?」ナデ…

―――言わんとしてる事を察し、しがみ付いてくるしずくちゃんの髪を優しく撫でてあげる

しずく「……そう、ですよね……分かってはいるんですけど。ごめんなさい……」

―――しずくちゃんの優しくて感受性の高い繊細な心が私は好き

―――その分ケアが必要だというなら喜んでしてあげる

歩夢「ううん……大丈夫。私たちは誰かに別れさせられるなんてことないよ」ナデ…

しずく「はい……」



47: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:24:28.32 ID:2fh6pUZ7
フラグが…

48: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:25:44.20 ID:/ILu12nO
しずく「……」

歩夢「……」ナデ、ナデ

しずく「……」ギュ…

―――それっきり会話は途切れ、ベンチに座ったまま時間が過ぎていく

―――しずくちゃんもとっくに泣き止んでるけど、どこかに行こうって雰囲気でもなく

―――頭を撫でてあげるたびに、応えてくれるように手を握ってくる

歩夢(あ、もうこんな時間……)

―――別にずっとこうしていても私はいいんだけど、少し日も落ちてきた

歩夢「しずくちゃん、そろそろ帰ろっか」

しずく「え……」

歩夢「ほら、もう時間が……」

しずく「ぁ……」

―――そう言ってスマホの画面を見せるとしずくちゃんの表情が曇る

しずく「……」

歩夢「……デートできるのは今日だけじゃないよ?だから、ね?」

しずく「……」



49: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:27:50.09 ID:/ILu12nO
―――結局帰り道も一言も喋らず無言のまま、しずくちゃんを駅まで送る

歩夢「大丈夫?帰れる?」

しずく「…………はい」

歩夢「それじゃあまたね」フリフリ

しずく「…………」

―――少し心配だけど私も帰らないと。そう思って去ろうとした瞬間

クイッ

しずく「……」

歩夢「しずくちゃん……?」

―――告白の返事を貰う時みたいに服の袖をちょこんと掴んで、全然大丈夫そうじゃない顔を向けられる

しずく「やっぱり嫌です……まだ帰りたくないです……」

歩夢「……っ///」ドキッ

―――しずくちゃんは意識してないかもしれないけどそれ、ずるい

しずく「お願いします……」

歩夢「え、と……///」

しずく「歩夢さん、いつでもいいって……」

歩夢(もう……そんな顔されたら私……)

歩夢「……いいよ、おいで」ニコッ



50: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:30:07.59 ID:LwpfzdIw
描写が丁寧で甘酸っぱくて、いい雰囲気なんだぜ

51: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:30:34.98 ID:/ILu12nO
ガチャ

歩夢「どうぞ」

しずく「……っ」ガバッ

歩夢「!?」

―――しずくちゃんを私の家に連れてきて、部屋に入るなり

しずく「……」ギュッ

歩夢「しずく、ちゃん?」

―――無言で思い切り抱きしめられる

―――しずくちゃん、やっぱりまだ引きずってるのかな

しずく「……」ギュー

歩夢「……」ポンポン

―――まぁ、しずくちゃんがこうしていたいなら別に……

しずく「……歩夢さん、お願いがあります」

歩夢「なぁに?」

―――そう簡単に考えていたら

しずく「…………私の事、抱いてください」

歩夢「?…………ふえ!?!?///」

―――唐突過ぎて一瞬理解ができなかった

52: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:31:37.10 ID:55VAbvuz
jΣミイ˶^ ᴗ^˶リエッ

53: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:31:57.85 ID:/ILu12nO
歩夢「あの、それって……そういうこと?///」

しずく「……」コクン

歩夢(あ……)

―――そうして気付く。しずくちゃんがわずかに震えていることに。

―――しずくちゃんの手が、まるで存在を確かめるように私の背中を小さく撫でていることに。

歩夢「……そうしないと安心できないの?」

しずく「……繋がりが欲しいんです。歩夢さんと強く繋がっているという実感が……欲しいんです」

歩夢「…………でも、本当にいいの?」

しずく「……歩夢さんにしてほしいんです」

歩夢「…………そっか」

―――いつもは恥ずかしくて言えないような大胆なことを言ってくれるけど、その顔に照れは一切ない

―――本当に怖くて不安で、どうしようもなくて私にこんなお願いをしてしまうくらいに

歩夢「分かった……じゃあベッド行こ?」クイッ

しずく「ぁ……」

―――好きな子にここまで言わせて断るなんてできっこない

54: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:34:15.97 ID:/ILu12nO
ぽふっ

歩夢「隣、座って」

しずく「……」チョコン

―――先にベッドに腰掛け、隣にしずくちゃんを誘う

歩夢(……正直緊張する)チラッ

しずく「……」ジー

―――しずくちゃんはどうなんだろうと隣を見ると、期待と不安が入り交じった熱い視線を私に向けてくる

歩夢(うぅ……私、しずくちゃんのこの目に弱い……)

歩夢「えっとね……私も、こういうことは初めてだから……その……」

しずく「……私もです」

歩夢「あ、そうなんだ……」

しずく「はい……」

―――内心どうしたらいいか分からない

―――分からないけど、私なりにしずくちゃんを愛してあげないと

歩夢「……まずはキス、してみよっか」

しずく「……」コクッ

歩夢「目瞑って……」

しずく「……」スッ

―――目を閉じたしずくちゃんの顔。とっても綺麗で可愛い。

歩夢(……はぁ……ドキドキする……)

―――ゆっくりとしずくちゃんの肩に手を置いて

―――そのまま、桜色の艶のある柔らかそうな唇に吸い込まれるように顔を近づけていき

歩夢「……ん」チュッ

しずく「……っ」ピクッ

―――触れた瞬間、しずくちゃんの身体が小さく跳ねる

55: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:35:54.17 ID:/ILu12nO
歩夢「……大丈夫?」

―――念のためすぐに唇を離すと

しずく「ぁ……」シュン

―――少しだけ顔を赤らめて名残惜しそうな顔をしたしずくちゃんが居て

―――聞かなくても分かるその表情に、たまらず再び口付けをする

歩夢「んっ」

しずく「ん、む……っ」

―――しずくちゃんの柔らかい唇を優しく啄ばむ。何度も、何度でも。

―――しずくちゃんもそれに応えるようにぎゅっと抱き着いて、より深く繋がろうとする。

歩夢「ん、ちゅ……はぁ……ん……」

しずく「ちゅっ……ぁ、ゆむ……さん……」

歩夢(しずくちゃん……)

―――最初はこんな、流されるみたいにしちゃっていいのかなって思ったけど

―――キスをした瞬間にそんな考えはどこかに飛んでしまった

―――しずくちゃんが愛おしい。しずくちゃんの事が欲しい。

―――もっともっと私も繋がりたい。しずくちゃんの想いに応えたい。

―――しずくちゃんへの想いが内から溢れて止まらない。

歩夢「しずくちゃん……もっと……」

しずく「ぁ……ちゅ、んむ」

―――お互いの舌を絡め合う深いキスをしながら背中を撫でると、私の服をギュッと掴んでくるしずくちゃん

歩夢「はぁ……しずく、ちゃん……」

しずく「ん、ぷは……んっ……はぁ……」トロン

歩夢「……っ!」

―――やりすぎかも、と感じて口を離すたび、しずくちゃんは熱に浮かされたような瞳で見つめてくるから

―――その姿に私の中の庇護欲が膨れ上がってまたキスをする

―――お互い口から漏れ出る吐息も甘く蕩けるようなものへと変わっていく

56: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:37:08.19 ID:/ILu12nO
歩夢(しずくちゃん、可愛い……)スリ…

しずく「ぁ……そこ、は……」

―――服の中に手を入れて軽く素肌に触れてみると、少し不安そうな顔をするので

歩夢「私もよく分からないから……嫌なことはちゃんと嫌って言ってね」

しずく「ん……大丈夫です」ギュ…

―――優しく耳元で囁いて安心させてあげると、私の背中に手を回して控えめに抱きしめ返してくる

歩夢「胸、触るね」スル…

しずく「はい」

―――宣言をしておいて、でもいきなりは触らずに、お腹のあたりから滑らせるように

―――しずくちゃんの身体にもこれから触るねって教えるように、心の準備が整うように

しずく「ふぁ……ぁ……歩夢さん……っ」

歩夢「……」フニ…

―――ブラ越しだけど初めて触れる他人の、しずくちゃんの胸

―――自分についてるものと同じなのに、ほとんど手を添えてるだけなのに心地が良くて

歩夢「……」スリ、スリ

しずく「ん……ふ……」

―――言葉を発することも忘れて、手のひらの感触に神経を集中させて胸を撫でる。

―――抑えきれずに僅かに漏れてしまう声も可愛い

しずく「んっ……はぁ……はぁ……」

歩夢(本当に私、しずくちゃんにえ●ちなことしてるんだ……)ドキドキ

―――どこか実感のなかった現実を、しずくちゃんの反応で自覚する

―――しずくちゃんの胸に添えていた手が熱くなって、緊張と興奮で少しだけ汗ばむ

―――これでまだ直接触れてはいないという事実

57: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:38:35.71 ID:/ILu12nO
しずく「ん……ぅ……」

歩夢「しずくちゃん……可愛いよ……」

しずく「あゆむさ……んぁ……」

歩夢「直接、いいかな……?」スルッ

しずく「んっ!……ぁ、だめ……ぇ……」ピクッ

歩夢「だめ、なの?」ピタッ

しずく「ぁ……ぅ……」

歩夢「本当にダメならやめるけど……いや?」サワサワ

しずく「……ゃ……じゃ、ないです……」モジ…

歩夢「……」ナデナデ

しずく「ん、ん……」

―――つい少しだけ意地悪してしまったので、お詫びに頭を撫でる

―――気持ち良さそうに目を細めてすり寄ってくる姿はとても愛くるしい

歩夢「ごめんね。あんまり可愛かったから」

しずく「ぁ……もう、ひどいです……」ギュッ

―――謝られてからようやく意地悪をされたと気付き、私を非難しながらもより強く抱き着いて

―――ふわりと漂うしずくちゃんの髪の香りに鼻先をくすぐられて

歩夢「んっ……む」チュッ

ちゅうぅ…

―――ふと思いつき、目の前の首筋に顔を埋めて謝罪の意味を込めてそこに吸い付く

58: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:41:51.85 ID:/ILu12nO
しずく「ん……歩夢、さん……っ」ピクッ

歩夢「……んちゅ」

しずく「ぁ、ふ……」

歩夢「しずくちゃん見て」スッ

しずく「?」

歩夢「これで許してくれる?」チョンチョン

しずく「……あっ」

―――ベッドの脇に置いてあった手鏡でしずくちゃんの首元を見せてあげる

歩夢「そのうち消えちゃうけど、これも繋がりの一つにならないかな?」

しずく「これって私、もう歩夢さんのものってことですか?」

歩夢「ふふ……そうだね。私のものになってくれる?」

しずく「はい、もちろん……いえ、とっくになってるつもりです」

歩夢「嬉しい」

―――そう言って今度は頬に口付け。くすぐったそうにはにかむしずくちゃん。

歩夢「……」スッ

しずく「……」

―――その笑顔にまた胸が高鳴って

歩夢「しずくちゃん……」

しずく「ん……」

プチ、プチ…

―――再び唇を重ねながら服のボタンを一つ一つ外していく

――― 一瞬だけ身体が強張ったけれど今度は何も言わずに受け入れてくれる

―――服を脱がせていくにつれて露わになるしずくちゃんの透き通るような白い素肌

59: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:43:26.99 ID:/ILu12nO
歩夢「しずくちゃん、好きだよ」

しずく「私も……好き、です」

―――この気持ちを伝えようにも、私は気の利いた言い回しができないから

―――だからありのまま、思いついたままの言葉を伝えるしかない

歩夢「ありがとう……全部脱がすね」

プチ…

―――服も脱がせて、ブラのホックを外して

しずく「ぁ……ゃ……」

スルッ…

―――少し肩紐を横にずらせば、支えを失って簡単に滑り落ちて

しずく「……っ」

歩夢「―――」

―――ぷるんとして形の整った胸が露わになる

―――同じ女の子なのに、見惚れてしまって動けない。何も言えない。

しずく「ぁ……あんまり、見ないでください……」

歩夢「―――綺麗。」

―――想像していたよりもずっと

しずく「っ……恥ずかしい、です」

歩夢「……」ピトッ

しずく「ぁ、ぁ……」

―――両手で包み込むようにしてそっと胸に手を当てると、トクントクンという鼓動が伝わってくる

―――心音の大きさと早さでしずくちゃんの心境が伝わってくる

60: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:44:23.35 ID:/ILu12nO
歩夢「……」サワ、サワ…

しずく「ん……んっ……!」

歩夢(柔らかい……)フニ、フニ

しずく「あゆむ……さ……んっ」

―――女の子の胸を触るのってこんなにドキドキするんだ

―――それともしずくちゃんのだから特別にそう感じるのかな

しずく「あ……ぁ、ん……」

歩夢「……」スリスリ

しずく「ぁ……はぁ……」

―――指で優しく撫でたり、手のひらで包んでみたり、軽く押してみたり

―――どうしてあげるのが一番いいのか探る様に色々と触り方を変えて

―――その度にピクンと反応して可愛い声を漏らして

歩夢「しずくちゃん、すごく可愛い……」ナデナデ

しずく「ん……歩夢さん……っ」

歩夢(あとは、ここ……)

―――遠慮して避けている、でもピンと主張して一番触ってほしそうなそこ

61: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:45:27.16 ID:/ILu12nO
歩夢「……」コリ…

しずく「あぅ―――っ!」

歩夢「……」

しずく「はぁ……は……んぅ……!」

歩夢「……」クリ、クリ

しずく「あっ!ゃ……!だめ……そこ……っ」ビクッ

歩夢「……可愛いよ。大丈夫」

しずく「んっ、ぁ……は、い……っ!」

―――何が大丈夫なのか自分でもよく分からない

―――返事をしたしずくちゃんもよく分かってないと思う

―――お互い会話に意識を向ける余裕が無い

歩夢「……」キュッ

しずく「ん……ふ……ぅ……!」ピクッ

―――指先で乳首に触れれば身体を震わせ、摘まめば腰が跳ねる

―――手のひらで撫でると安心したような、物足りないような吐息が漏れる

―――そのどれもが私の興奮を高めていき、もう一度強くしずくちゃんを感じたくて

歩夢「ちゅ……」

しずく「ぁ……ん、む」

―――しずくちゃんの唇を奪って舌を入れる

―――ついさっきキスをした時よりも熱く濡れていて柔らかくて甘く感じる

62: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:47:16.07 ID:/ILu12nO
歩夢「ん、しずくちゃ……」

しずく「はっ……ん、あゆ……んっ」

ちゅる……ちゅぷ……

歩夢「んふ、ふ……しずくちゃ……しずくちゃんっ……」

しずく「はっ、んむ……ぁ……あふ……っ」

ちゅる、ぴちゃ……れろ……

歩夢「ん……んっ……」

しずく「んむ、む……ん……っ」

―――唾液を交換しながら舌を絡ませ合い、欲望のままに貪るように唇を重ねる

―――舌を動かす合間合間に鼻にかかった甘い声が聞こえてくる

歩夢「ん……はっ」チュパッ

しずく「はぁー……は……ん……」

―――夢中になり過ぎて呼吸が苦しくなって一度口を離すと、つぅーっと透明な糸が引く

歩夢「はぁ……はぁ……」

しずく「はぁ、ん……はぁ……」

―――肩で大きく息をしながらお互いに見つめ合う

―――すっかり出来上がって瞳の奥が潤んでいるしずくちゃん

―――多分、私も。

63: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:48:55.58 ID:/ILu12nO
歩夢「しずくちゃん……」

しずく「あ―――っ!!」ギュッ

―――しずくちゃんのスカートの中、ショーツに手をかけると流石に手を握られて阻まれる

しずく「あの……その……っ」

歩夢「……」ナデ…

―――掴まれていないほうの手でもう一度髪を撫でる

―――するとまた力が抜けていくから、そのままゆっくり脱がせていく

しずく「あ、歩夢さん……」

歩夢「……」スルスル…

しずく「ゃ……」

―――スカートの中から可愛らしくも少し濡れた下着が腿を伝って露わになっていく

―――恥ずかしそうにもじもじしているのが可愛くて、思わず見入ってしまう

しずく「そんなに、じっと見ないでください……っ」

歩夢「だって……可愛くて綺麗で……」

しずく「ぁ……うぅ……」

歩夢「だから……」

しずく「あっ……や……っ!」

―――守るものを失ったスカートの中に再度手を入れる

―――すべすべでぴっちりと閉じられた足の隙間に。付け根に。

―――力が入って強張るしずくちゃん

歩夢「ごめんね、もう我慢できないの……お願い」

しずく「―――っ」

―――それくらいしずくちゃんに、興奮してるんだよって伝えると

―――両手で覆うように顔を隠される。だけど隙間からはちゃんとこっちを見ていて

―――触ってほしいけど恥ずかしい。素直には言いたくない。

―――そんな感情が見え隠れする仕草に胸がきゅんとする。

―――だから私は優しく問いかけてあげる

歩夢「しずくちゃん……いいよね?」

しずく「…………はぃ」

64: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:50:36.19 ID:/ILu12nO
―――こくりと小さく頷くのを確認して、足の力が抜けるのを確認して

―――指の先端をしずくちゃんの大事な所に当てる

くちゅ……

しずく「ふぁ――っ!」ピクン

歩夢「……っ」ビクッ

―――予想以上の過敏な反応に驚く

歩夢「だ、大丈夫……?」

しずく「……っ」コク、コク

―――顔を覆っていた手で口元を強く抑えて頷く

―――少し湿っていてヒクついているのを指先で感じる

―――スカートに隠れて見えてはいないけれど、そこから伝わって頭に浮かぶその光景。期待しているしずくちゃんの心情。

歩夢「……続けるね」

つー……

―――割れ目をなぞってみると、ぬるりとした感触と共に指先が少し埋まる

しずく「ぁ……っ、く……ん」

つぷ……

―――吸い込まれるように指を沈める。熱くて、きゅぅっと、きつく締め付けてくるしずくちゃんの中

歩夢「しずくちゃん、もう少し力抜ける?」

しずく「は、はぁ……ん、すみません……」

歩夢(……他人の指なんて、入れられるの怖いよね)

しずく「ぁ、ぅ……ん……」

歩夢「ゆっくりでいいからね」

しずく「はぁ……ん、んっ……」

65: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:53:08.33 ID:/ILu12nO
ズブ……ズプ……

―――時間をかけて少しずつ人差し指を入れていく

―――痛くないように慎重に。でも止めずに奥へ進めていって

ちゅぷん

しずく「あっ―――ぁ、くっ、はぁ……はぁ……」

歩夢「……大丈夫?」

しずく「はぁ……ん、ふ……はい……」

―――全て収まった所で一旦動きを止める。異物を押し出そうとする内壁の動きを感じる

歩夢「ん……」クチュ…

しずく「んっ!あ、やっ……!」

歩夢「……」クチ、クチ

しずく「んぁ、っ……はぁ……んぅ……!」

歩夢「ここ、好き?」

しずく「っ、ぁ……そこ……だめです……っ」

歩夢「そっか」クイ…

しずく「ひゃ、んっ!!」ビクッ

歩夢「ふふっ。可愛いね、しずくちゃん……」チュプ、チュプ…

しずく「ぁ……っ、ぅ……そんなことないです……」

―――指の腹で丁寧に感触を確かめつつ出し入れする

―――次第に愛液が指に絡みついてきて滑りも良くなり、指を差し込む手の動きが早くなってくる

歩夢「とろとろになってきたね」クチュ、クチュ

しずく「やっ……言わないでください……恥ずかしい、ですっ」ピクン

歩夢「そんなことないよ……とっても可愛いよ」ツプン

しずく「……んっ」フルフル

―――可愛いって言ってあげると膣内の収縮が強くなる

―――否定してても本当は嬉しいんだ

66: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:54:14.59 ID:/ILu12nO
歩夢「ん……」チュ…レロ…

しずく「んむ……んっ……はぁ……」

歩夢「ちゅ……」ヌプ…クチ…

しずく「んぁ……はぁ……はぁ……」

歩夢「ぷは……ね、気持ちいい?」

しずく「……っ」フイッ

―――言葉と指とキスで、しずくちゃんを外からも中からも刺激してあげて

―――質問には答えてくれないけど、いつの間にか抵抗感は無くなってすっかり私の指を受け入れてくれている

――それどころかきゅう、きゅう、と指に吸い付かれて、逆に中に飲み込まれていくように感じる

歩夢「……ふふっ」ツプ、ツプ、ツプ

しずく「ぁ、あ、あゆ……っ、ふぁ……っ」

―――抜き差しを繰り返す度に漏れる甘い声、秘所から溢れる愛液の水音

―――言葉にしてくれなくてもしずくちゃんが感じて、気持ちよくなってくれているって分かる

歩夢「ん……いっぱい濡れてるね」

しずく「ぅ……いや……いやっ」

歩夢「嬉しい……こんなに気持ちよくなってくれて……」

しずく「ちが……違うんです……っ」

歩夢「違わないよ。ほら、聞こえるよね?」

ぐちゅ、ぐちゅっ

しずく「んっ、んぁ……いやぁ……いじわる、ですっ」

歩夢「ごめんね……しずくちゃん、可愛いから……ん……」

ちゅ、ちゅる……れろ……

しずく「や、んっ、んぅ……っ」

67: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:55:33.64 ID:/ILu12nO
―――さっきも思ったけど、しずくちゃんを辱めるとゾクゾクする。ドキドキする。

―――私にそんな趣味はないはずなのに、顔を赤らめて涙目のしずくちゃんを前にするといじめたくなってしまう

歩夢(……あ)

ぬぽっ……

歩夢「……」

しずく「はぁっ……ぁ……え……?」

―――ふと思いついて指を抜くと、切なそうな声を漏らすしずくちゃん

―――もっとして欲しかった、みたいな。

しずく「あっ……」フイッ

歩夢(あぁ……可愛いよ……しずくちゃん)キュン

―――それに気付いて、私に気付かれて、気まずそうに顔を背ける

―――でもまだだよ。もっと可愛いところ見せてね

歩夢「気付かなくてごめんね、ここも触ってほしかったよね」サワ…

しずく「え……」

クリ…

しずく「ぁ―――っ!?」ビクン

―――無意識にお預けしてしまった陰核への、突然の刺激にしずくちゃんの身体が大きく跳ねる

―――しずくちゃんがもっともっと可愛くなる場所。しずくちゃんがより乱れてくれる場所

68: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:56:30.62 ID:/ILu12nO
歩夢「……」ツン、ツン

しずく「あっ!ぁ、ぅ……んっ!」

―――優しく指先で突いてあげるとしずくちゃんの声が大きくなる

―――快感を我慢しようとして、でも耐えられなくて口から漏れ出てしまう

しずく「んぁ……ぁ、く……んっ!や、ぁ……あぁっ!」

歩夢「……」キュッ

しずく「ふぁ―――っ!」

歩夢「……」クニ、クニ

しずく「歩夢、さん……っ、ぁ……」

くり……くり……

しずく「んぁ、やぁ!だ、めぇ……あぁっ、はぁ……っ!」

歩夢「……」カリ、カリ

―――胸や膣内への愛撫でとっくに敏感になったそれを、摘まんで捻るようにクリクリと

―――爪で優しくひっかくようにカリカリと

しずく「ぁ、んっ!ぅ、くぅ……んっ、んぅ……っ!!」

歩夢「腰浮いちゃってるよ。ここ弄られるの、気持ちいいね?」キュッ

しずく「んぁっ……いゃ……だから、そういうの、言っちゃだめ……ですっ」

歩夢「……」カリッ

しずく「ん――っ!!っ……~っ」ビクン

歩夢「……」スッ

しずく「はぁ……はぁ……歩夢、さん?」

――― 一通り可愛がってあげた後、また指を離す

―――ごめんね。本当にごめん。でもしずくちゃんが可愛いからいけないの

69: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:57:26.03 ID:/ILu12nO
歩夢「しずくちゃんはこのお豆さんと中、どっちが好き?」

しずく「え…………?」

歩夢「しずくちゃんの好きな方……気持ちいい方を弄ってあげる」ニコ

しずく「なっ……!」

―――何を言ってるんですか、という抗議の眼差し

歩夢「……」ニコニコ

―――それに知らんぷりをして満面の笑みを返す

しずく「っ……信じられません……いじわるが過ぎますっ」プイッ

―――流石に膨れてしまい、そっぽを向かれる

歩夢「しずくちゃんの口から聞きたいなぁ」ナデ、ナデ

しずく「……そんなことしたって誤魔化されません」ギュッ

歩夢「誤魔化すとかよく分からないなぁ。しずくちゃんが可愛いから撫でたくなっただけだよ」

しずく「……もう……歩夢さんのばか」

歩夢(かわいい。かわいすぎる……)

―――とはいえ意地悪し過ぎなのも事実だし、そろそろ

しずく「…………う、です」ボソッ

歩夢「え?」

70: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:58:31.30 ID:/ILu12nO
―――再びしずくちゃんを愛してあげようとしたら、小声で何かを漏らす

しずく「だから…………両方、です」

―――顔を真っ赤に染めて。少し俯いて。

歩夢「両方……?」

しずく「あ、歩夢さんが言えって言うから……っ!」プクッ

歩夢(あぁ、さっきの質問……りょう、ほう?)

―――それはつまり、膣内とクリ●リスを、両方?

歩夢(…………そういうこと言っちゃうなんて、もうっ)キュンキュン

歩夢「ふふっ…………しずくちゃん」ナデナデ

しずく「…………なんですか」

歩夢「欲しがりさんなんだから♪」

しずく「~~~っ!、もう、歩夢さんなんて大嫌いですっ!///」カァァ

歩夢「えへへ……私は大好きだよ」

しずく「知りませんっ!///」

71: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 00:59:43.41 ID:/ILu12nO
―――この子は私が何を言っても許してくれるのかな、とか思いつつ

―――ここまでしてくれる健気なしずくちゃんに、これ以上は可哀想なので

歩夢「ごめんね、しずくちゃんの可愛いところたくさん見たくて……」サワッ

しずく「ぁ……んっ」

歩夢「今日はもうしないから」

しずく「今日はって……また、するつもりじゃないですか……」

歩夢「ごめんね。許してね」クチ…

しずく「あっ、またそうやって、んっ……もう……っ」

―――恨めしく文句を言うしずくちゃんの中に指を入れていく

―――熱く、トロけそうなほど柔らかく、ついさっきぶりの私の指を待ち望んでいたみたいに捕まえてくる

歩夢「ん……」クリ…

しずく「あんっ……んぅ……ふっ」

―――要望通りにクリ●リスも一緒に触ってあげると、途端に甘い声が大きくなる

歩夢「気持ちいい?」ヌプ、ヌプッ

しずく「んっ……きもち、いぃ……ですっ」

歩夢「うん、知ってる。ここ好きだもんね」クリクリ

しずく「ぁ……んぅ、すき……っ、そこ、好き……っ」

歩夢「かわいいよ、しずくちゃん」

しずく「ぁん……歩夢さん……っ」フルッ

―――意地悪ばかりされて余裕が無いのか、正直に気持ちを伝えてくれるようになって

歩夢(可愛い、可愛いっ)

72: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:00:16.43 ID:/ILu12nO
歩夢「もっと気持ち良くなっていいんだよ?」キュッ

しずく「んぁぁっ!」ビクンッ

―――お返しに指の動きを激しくする

―――ピンピンになった突起を摘まんで、トロトロになった蜜壺を擦って、しずくちゃんが感じてくれる場所を責め立てる

しずく「やっ、はげしっ、だめぇ、あゆむ、さんっ」

歩夢「やっぱりだめなの?」ツプ

しずく「あぁっ!だ、だめじゃな……だめっ、だめですっ」

歩夢「どっちなの?」

しずく「~~~っ!もぅ、今日はいじわるしないってっ」

歩夢「ごめんね。しずくちゃんが可愛いから、いじめたくなっちゃったの」

しずく「あっ、ん……、もう、嘘つき、やっぱり嫌いです……ふぁっ」

―――ちょっと呆れたような視線を向けられるけど、怒っている様子はない

しずく「んっ……あっ、歩夢さん」

歩夢「なぁに?」

しずく「キス、しながら……」

歩夢「……うん」チュッ

しずく「んっ……ちゅ……れろっ」

歩夢「……ん」

73: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:01:44.81 ID:/ILu12nO
―――しずくちゃんが舌を伸ばしてきたので、私もそれに応えるように絡め合う

―――唾液が混ざり合い、お互いの味を確かめあう

―――無理と分かっていても、叶うならずっとこのまましずくちゃんを愛していたい

―――甘くて、優しくて、どこか切ない、刹那の甘美な時間

しずく「ぷぁっ、ん……はぁ……っ」

歩夢「ん……しずくちゃん……」

しずく「はぁ……はぁ……歩夢さん、わたし、もう……」

歩夢「……うん。分かった」クチュッ

―――もちろんそんなわけにはいかず、そろそろ限界を迎えそうなしずくちゃん

―――たくさん意地悪したお詫びと、淫靡に乱れる姿を見せてもらったお礼と

――― 今でさえ可愛すぎるのに絶頂したらどうなってしまうのかを見たくて指の動きを一層激しくする

しずく「あっ、あっ、もう、だめ、ですっ」

歩夢「いいよ、いつでも」ニュップ、ニュップ

しずく「あぁっ!んっ!歩夢さん、あゆむさんっ!」ギュッ

―――絶頂の直前、私に思い切りしがみ付いて、目を瞑って

歩夢「うん、ここにいるよ」ギュッ

つぷんっ

くりっ

しずく「ふぁ―――っ!!!」ビクンッ

びくん、びくんっ

歩夢(イってる……私にイかされて……)ドキドキ

しずく「あ、っ……!」ビク、ビク

74: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:03:09.27 ID:/ILu12nO
―――しずくちゃんが果てた瞬間、身体が跳ねて膣内がきゅっと締まって

―――しずくちゃんの匂いに包まれながら、しずくちゃんを全身で感じる

しずく「はぁ……はぁ……っ」

歩夢「…………」ナデ、ナデ

しずく「ん……ぁ……」ピク…

―――余韻に浸るしずくちゃんの震える背中をさする

―――小さく肩で息をして、快楽によって少し涙を浮かべる瞳

歩夢(え●ちなことをしてても可愛くて……イっちゃう姿すら綺麗で……)ナデ…

しずく「……ん……はぁ……」

歩夢「……とっても可愛かったよ」

しずく「……ぁ……ありがとうございます」スリ…

75: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:03:47.09 ID:/ILu12nO
―――恍惚とした様子で力の抜けた身体を摺り寄せてくる

―――満足してくれたと思っていいのかな

歩夢「私、ちゃんとできてた?」

しずく「はい……とっても良かったです……///」

歩夢「そっか。安心はしてくれた?」

しずく「へ……?」

歩夢「さっきの映画の……。もう大丈夫?」

しずく「あー……まぁ、はい」

歩夢「……何その反応」

しずく「あ……え、っと……」

歩夢「もしかして、忘れてた……?」

しずく「ち、違いますよ?歩夢さんとのえ●ちが凄くて、つい!」

歩夢「……本当かなぁ。もしかして、え●ちしたくてああいう事言っただけだったり」

しずく「違います!私、本当に……!///」

76: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:04:49.61 ID:/ILu12nO
歩夢「ふふ、分かってるよ……しずくちゃんが元気になってくれて良かった」ナデナデ

しずく「……私、今日で歩夢さんの印象変わっちゃいました」

歩夢「え、そうなの?」

しずく「イジワルばっかり言うし、揶揄うし……」

歩夢「嫌いになっちゃった?」

しずく「……でもちょっとドキドキして、たくさん可愛がってくれて」

しずく「結局最後はいつも通り優しくて、もっと好きになりました……///」

そっ……

ぎゅっ

―――頬を染めて、まだ力の入りきっていない腕で抱きしめられる

歩夢「しずくちゃん……!」

しずく「あ……んぅっ……んっ」

―――私も嬉しくなって、目の前の女の子が愛おし過ぎて

―――強く抱き締めて、もう一度キスをする

歩夢「んっ……しずくちゃん好き……大好き。ずっと一緒に居て」

しずく「歩夢さんこそ離れちゃ嫌ですよ?」

歩夢「うん……絶対に離さないから……」チュ…

しずく「あむ……ちゅ……んっ」

歩夢「はぁ……んっ……しずくちゃん……」

77: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:06:19.42 ID:/ILu12nO
―――先ほどの胸が高鳴りっぱなしの刺激のある触れ合いも好きだけど

―――気持ちを伝えあいながら軽く触れ合うゆったりとした時間も好き

しずく「今日はごめんなさい。私ばっかりしていただいて……」

歩夢「ううん。しずくちゃんに触らせてもらえただけで、こうしてるだけで私は幸せだもん」

歩夢「でも……次は私の事も愛してくれたら嬉しいな」

しずく「……次、ですか///」

歩夢「……もう、え●ち///」

しずく「だって……///」

歩夢「……楽しみにしてるね」ナデナデ

しずく「ん、はい」

歩夢(しずくちゃんがいつも通りになってくれて本当に良かった)ナデ、ナデ

―――しずくちゃんって結構心配性なんだってどこか他人事のように思ってて

―――私はまだ、この先の事を何も知らないから

―――何も心配することなんてなかったの

――――
―――
――

78: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:07:19.53 ID:/ILu12nO
――― 一度身体を重ねてから、はっきりとしずくちゃんの恋人になったという実感を持つようになって

―――しずくちゃんの言う通り、見えないけれど強い繋がりを感じるようになって

―――私は毎日しずくちゃんの事で頭がいっぱいだった

―――暇さえあれば会いたくて。話をしたくて。

―――朝、少しだけ早く起きて始業前に会ったり

―――昼、一緒にお昼を食べたり

―――夕、同好会の活動終わりに少しだけ寄り道したり

―――夜、毎晩電話で他愛のない話をしたり

―――休日にはよく一日中一緒に居て

―――毎日が満たされ過ぎて私はずっと幸せだった

―――幸せ過ぎて、自分の事しか見えてなかった

79: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:09:09.51 ID:/ILu12nO
歩夢「次のお休みもどこか行きたいね」

しずく『……ん』

歩夢「んー、この間は水族館行ったし……」

しずく『……』

歩夢「あ、二人きりで遊園地ってそういえばまだ行ったことないね」

しずく『……』

歩夢「しずくちゃん?」

―――思えば多分、違和感はいくらでも転がっていたかもしれない

歩夢「しずくちゃーん?もしもし?」

しずく『…………あっ!?』

歩夢「!?」ビクッ

しずく『……あれ……あ、私……』

歩夢「ふふ、寝ちゃってた?」

しずく『はい、すみません……えっと、何の話でしたっけ』

歩夢「次のお休みもデートしたいなぁって」

しずく『あ…………そう、ですね……』

歩夢「あ、ごめんね。何か用事あるなら全然……」

しずく『いえ全然!少しぼーっとしてただけです』

歩夢「そう?無理しないでね?」

しずく『大丈夫です。是非デートしましょう』

歩夢「うんっ」

―――例えば寝る前の通話中、寝落ちすることが多くなったとか

80: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:09:56.09 ID:/ILu12nO
部室

ガチャ

歩夢「こんにちは…………あっ」

しずく「……」コクリ、コクリ

歩夢(……っと、あぶない)

歩夢(もうすぐ演劇部の公演があるって言ってたっけ)

歩夢(確か毛布が……あった)

ふぁさっ

しずく「……ん……すぅ……」

歩夢「ふぅ……」

歩夢(……頑張り屋さんもいいけどほどほどにね)

しずく「……あゆむ、さん……」

歩夢「あ、ごめん。起こしちゃった?」

しずく「えへ……すー……すー……」

歩夢(……寝言かな)クスッ

―――例えば部室で台本を読みながら舟を漕ぐしずくちゃんを見つけた時とか

81: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:15:27.68 ID:/ILu12nO
歩夢「……」

しずく「……むぅ」カリカリ

かすみ「……」ニヤニヤ

しずく「かすみさんあっち行って」

かすみ「嫌だよーだ。にゃんにゃんわんわんの恨みは恐ろしいんだから!」

しずく「……むー」プクッ

歩夢「……何してるの?」

かすみ「聞いてください、しず子ってば今日宿題をやってこなくて怒られたんですよ!」ニシシ

しずく「違うよ!やってきたけど家に忘れたの!」

歩夢「そういえばこの前も忘れてたような……」

かすみ「そうなんです!本当はやってなかったんじゃないの~?」

しずく「本当にやったの!忘れただけ!」

かすみ「先生からしたら同じだけどね。で、2回目ということで追加の課題を出されて唸ってるところです!」

しずく「唸ってるのはかすみさんが馬鹿にしてくるからだよ!」

かすみ「ふふん!最初に仕掛けたのはしず子だもんね!」

しずく「むぅぅ……!」

歩夢「あはは……大変だね」

かすみ「どうせ歩夢先輩とイチャイチゃばっかりしてて忘れたんでしょ?」

歩夢「え……///」

しずく「ちっ、違……!///」

歩夢「ご、ごめんね、私のせいで……///」

しずく「違いますって!もう、かすみさん!!///」

かすみ「あはははっ」

―――いつもはしないような忘れ物をしてくることが増えたとか

82: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:17:16.81 ID:/ILu12nO
しずく「はぁ……はぁ……」

歩夢「しずくちゃん大丈夫?水飲む?」

しずく「はぁ……はい、ありがとう……ございます……」

ごくっ

しずく「んく……、んく……、、んっ、げほっ!」

歩夢「!?、お、落ち着いて飲んで!」ポンポン

しずく「げほ、んくっ……はぁ……ふぅ……すみません……」

しずく「ん……ん……」

歩夢「あの、本当に大丈夫?」

しずく「ふぅ……はい、大丈夫ですよ」

歩夢「……なんだか無理してない?いつもより疲れてるように見えるよ」

しずく「そうですね。ライブも演劇も公演が近いので……今は少し頑張らないと」

歩夢「それも大事だけど身体も大事にしないと。少し休もう?」

しずく「いえ、大丈夫ですから」

歩夢「うーん……本当に辛かったら言わないとだめだよ?」

しずく「はい」ニコッ

歩夢(……大丈夫、なのかな)

―――練習中、調子が悪そうだったり、それを隠そうとしているように見えたりとか

83: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:18:26.62 ID:/ILu12nO
~~~♪

せつ菜「―――!」

歩夢「―――!」

しずく「―――……っ」フラッ

せつ菜「!?」

歩夢「危ないっ」ダッ

ぎゅっ

しずく「ぇ―――あ……」

せつ菜「しずくさん!!」

歩夢「大丈夫!?」

しずく「……あ、はい。少し足を引っかけてしまって。ありがとうございます」

せつ菜「……いや、今のは……」

歩夢「立てる?足痛めてない?」

しずく「はい。中断させてしまってすみません……もう一度最初からお願いします」

せつ菜「……いえ、一旦休憩しましょう。少し疲れているんですよ。わずかにですがしずくさんだけ振りが遅くなってきてます」

しずく「え、いや、私は……!」

歩夢「……ううん、せつ菜ちゃんの言う通り。私もそう思ってた。無理してやっても危ないだけだよ」

しずく「…………分かりました。すみません」

―――妙にダンスの息が合わなかったり、キレがなかったりだとか

84: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:19:11.82 ID:/ILu12nO
―――今は少し忙しいから疲れているだけ

―――それだけだとしか思わなかった

―――ううん、それが分かっていながら私はしずくちゃんの事を分かってなかった

―――しずくちゃんの事をただ見ているだけで、考えてあげられなかった

―――だから気付けなかった

―――しずくちゃんを追い詰めていたことに。不調の原因は私だってことに。

85: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:21:49.16 ID:/ILu12nO
数日後の昼休み

「―――はい、今日はここまで」

ザワザワ

―――午前最後の授業が終わり、雑談をしたり席を移動したりして昼食の準備をするクラスのみんな

歩夢(……さて、私も)

―――しずくちゃんと落ち合うためにスマホを手に取り、ロックを解除しようとして

歩夢(……え、何……?)

―――目に入ったのは通知。同好会のみんなの、グループトークへの大量のメッセージ。

―――今度のライブの話で盛り上がったのかな、なんて少し流し見てみたらどうやら様子がおかしい

―――なんだか切羽詰まって落ち着きのない感じがする

―――口々に話す皆の会話には、パッと見てとある共通の文字が入っている

歩夢(え……なに、これ……)ドク、ドク

―――「歩夢」「早く」「しずく」「大丈夫」

―――この4つ。

歩夢(一体……何が……)スッ、スッ

―――逸る気持ちを押さえてトークの画面を開くと

歩夢「―――っ!!!」ガタッ

―――未読の一番最初のメッセージを見た瞬間、私は身体が動いていた

「え?」

「上原さんどうかしたの?」

歩夢(しずくちゃんっ!!!)ダッ

「え、ちょっと」

「……どうしたんだろう、血相変えて」

「珍しいね」

―――それは私の冷静さを奪うのには十分すぎた一言

86: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:22:29.93 ID:/ILu12nO
『しずくちゃんが倒れて救急車で運ばれた』

87: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:23:37.92 ID:/ILu12nO
―――視界に入る全て、耳に入る全てを無視して教室を飛び出す

―――相手をしている余裕なんてない、聞こえてくるのは全て雑音、それくらい余裕なんてなかった

「あっ、あなたどこに行くの!?ちょっと待ちなさい!」

―――先生の呼び掛けすらもよく聞き取れず、無視して校舎を飛び出す

―――まだ昼休みだとか午後からの授業だとか、そんなものはどうでもいい

―――ただ、一刻も早くしずくちゃんの顔が見たい

歩夢「はぁ……はぁ……っ!」タッタッタ…

―――制服姿のまま真昼間に街中を駆け抜ける

―――すれ違う人達が何事かという視線を送ってくるけどどうでもいい

―――唯一頭に残った、みんなのメッセージの中に書いてあった病院を目指して走る

歩夢(しずくちゃんお願い、無事でいて……!!)ハァ、ハァ



88: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:24:57.50 ID:/ILu12nO
病院

歩夢(はぁ、はぁ、着いた……!)ダッ

ウィーン…

歩夢(早く、早くっ!!)

―――自動ドアが開くまでの僅かな時間すら惜しい

―――病院について早々、受付のお姉さんの所に一目散に向かう

歩夢「っ、はぁ!はぁ!ごほっ、す、すみませんっ!」

お姉さん「!?」

歩夢「はぁ、あの、こ、ここにっ、桜坂しずくという女の子が、げほっ」

お姉さん「落ち着いてください!どうなされたんですか!?」

歩夢「くっ、はぁ、しずくちゃんは……!しずくちゃんは無事なんですか!?」

お姉さん「ちょっと、落ち着いて!!」ガシッ

歩夢「―――っ!」ビクッ

―――両肩を勢いよく掴まれて反射的に身体が硬直する

お姉さん「何があったかは存じませんが、まずはあなたが落ち着かないとこちらも何もできません」

お姉さん「それとここは病院なので、ね」

89: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:27:02.03 ID:/ILu12nO
―――おかげで少しだけ冷静さを取り戻し、周りを気にする余裕が生まれる

ザワザワ…

歩夢「……すみません」

お姉さん「いいですか?まずは深呼吸してください。はい」

歩夢「は、はい……すー……はぁ……すぅ……はぁ……」

―――何度も繰り返すうちに少しずつ頭がクリアになっていく

―――倒れたのはもちろん、救急車で運ばれたという字面が衝撃的過ぎてつい頭に血が上ってしまっていた

―――興奮すると周りが見えなくなる、私の悪い癖

歩夢「…………すみません。ありがとうございます、もう大丈夫です」

お姉さん「いえ。では改めてお伺いします。本日はどうされたんですか?」

歩夢「……私のこい……じゃなくて、友達が。桜坂しずくという女の子が倒れてこちらに運ばれてきたと聞いて」

歩夢「それで……それで……っ」ウルッ

―――とはいえそう冷静でもいられない。それが感情ってもの。

―――それを口に出して、返事を聞くのが怖くて、恐怖心が増幅して涙になって溢れてくる

お姉さん「……なるほど」

歩夢「あの……、しずくちゃんは……今、どこに……」

―――だからとにかく会いたい。一目見たい。

90: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:27:55.46 ID:/ILu12nO
お姉さん「えっと、桜坂さんでしたら………あ。ほら、あちらに」

歩夢「へ?」クルッ

―――そんな私に対してさらっと、事も無げに答えるお姉さんの、その手が示す方向を振り向く

しずく「?…………え……歩夢さん!?」

歩夢「あ―――」

―――居た。しずくちゃんが。普通に立って歩いているしずくちゃんが。

―――あっさり過ぎる再会に少しだけ拍子抜けするも

しずく「どうしてここに……」

歩夢「し……しずくちゃん!!」ダッ

―――無事で居てくれた喜びが大きく勝る

しずく「!?、なっ」

お姉さん「こら、病院内では走ってはいけませんよ」クスッ

―――そうだった

―――でもごめんなさい、今だけは許してください

91: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:28:33.07 ID:/ILu12nO
歩夢「……っ!」ダキッ

しずく「ちょ、ちょっと歩夢さん、何してるんですかっ///」カァァ

歩夢「だって、だって、しずくちゃんが倒れたって……っ」ウルウル

しずく「あ……えぇ……まぁ、その……」

歩夢「大丈夫なの……?何ともないの……!?」

しずく「はい、一応」

歩夢「そっか……、良かった……良かったよぉ……!」グスッ

ザワザワ…

しずく「……とりあえず外に出ましょう、ね?///」



92: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:30:19.37 ID:/ILu12nO
しずく「落ち着きました?」

歩夢「…………ぅん///」

―――しずくちゃんが無事だと安心したら、途端にさっきまでの自分がしていた行動の大胆さを理解する

―――でもこんなの私でなくても取り乱すと思う、普通

歩夢「それより本当に大丈夫なの?」

しずく「はい、少し眠ったらこの通りです。んー、はぁ」ググッ

―――気持ちよさそうに伸びをするしずくちゃん

―――顔色も特に問題なさそうに見える

しずく「念のためもう一度問題ないか見てもらってから帰る予定です」

歩夢「そっか…………」

しずく「ご心配をおかけしてすみません」

歩夢「…………ちなみに倒れた原因、聞いてもいい?」

しずく「…………」

歩夢「……しずくちゃん?」

―――でもそれを聞いた瞬間、少し気まずそうな顔をする

―――まさか、何か病気とか……

しずく「……睡眠不足です」

歩夢「え……寝不足ってこと?」

しずく「そうです。寝不足が祟って意識を失っただけです」

歩夢「……だけ……って……」

93: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:31:48.69 ID:/ILu12nO
―――それだけ?って一瞬は思ったけど、よく考えたら寝不足で倒れるなんてあまり普通ではない

歩夢「……もしかして、やっぱり無理してたの?」

しずく「……」

―――黙り込んでしまう。やっぱりそうだったんだ。

歩夢「もー、辛かったら言わないとだめだよって、私言ったのに……」

しずく「……そうですが」

歩夢「あのね……私はしずくちゃんのそういうところ、素敵だけど良くもないと思う」

しずく「……すみません。本当に、ご心配をおかけしました」

歩夢「あ……ううん、私もごめん、説教みたいになっちゃって」

歩夢「はぁ……でも、無事で本当に良かった」

―――心底ほっとして、深いため息と共に胸を撫で下ろす。

しずく「……くす、歩夢さんにこんなに心配してもらえるなら倒れてみるものですね」

歩夢「もう、しずくちゃん!私すっごくすっごく心配したんだからね!!」

しずく「ふふ、すみません」

歩夢「だから、私は真剣に……」

しずく「ごめんなさい♪」ギュッ

歩夢「あっ…………もう心配させないでね……///」

しずく「……はい♪」



95: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:32:59.47 ID:/ILu12nO
―――しずくちゃんが無事と分かり、来る時とは打って変わって落ち着いて学校へ帰る道すがら

歩夢「……」ポチ

歩夢「……」ス、ス

―――同好会のみんなにも事情を説明

・・・・・・

『寝不足?それだけで?』

『いえ、意外と馬鹿にできませんよ。とはいえ倒れるほどとは』

『すやぴは大事だよ~?』

『でも元気そうなら良かったわ』

『歩夢さん、本当に学校飛び出していったんだ』

『そりゃそうでしょ』

・・・・・・

歩夢(そういえば、帰ったら先生にも説明しないと……怒られちゃうだろうけど)

・・・・・・

『でもどうして急に?』

『確かに最近のしずくちゃんは調子が悪そうだなって思ってたけど』

『もう、察しなよ』

『何を?』

『最近しずくちゃんに起きた変化といえば?』

『……恋人ができた?』

『で、寝不足。わかるでしょ?』

『あー、そういう』

『如何わしい話はやめてください!!』

・・・・・・・

歩夢(って、皆何言ってるの!?///)ス、ス

歩夢(も―……『馬鹿な事言わないで!』……っと……)

歩夢(……あ、れ……?)

96: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:36:25.14 ID:/ILu12nO
―――そこまで打ち込んでまさに送信ボタンを押そうとした瞬間、既視感を覚える

―――なんだか最近こういうやり取りをしたことがあるような

歩夢(…………思い出した。かすみちゃんも似たようなこと言って……た……っけ……)

・・・・・・

かすみ「どうせ歩夢先輩とイチャイチゃばっかりしてて忘れたんでしょ?」

歩夢「え……///」

しずく「ちっ、違……!///」

・・・・・・

歩夢(え……あ……)

―――脳裏に浮かぶ数日前の会話と、たった今見た皆の会話を重ねて考える

―――そういえば最近やたらと居眠りや忘れ物が増えた気はしていた

―――いや、増えたというか今まではそんな姿を見たことがなかったのに

―――しずくちゃんがスクールアイドルと演劇の掛け持ちで忙しいなんて、今に始まったことではない

―――その二つのどちらも大好きで、諦めたくないから頑張って両立させているのを知っている

―――だというのに最近になってから急に、寝る間も惜しむほどに時間が足りなくなったらしい

―――どうしてだろうね

―――何がそんなにしずくちゃんの時間を奪っているんだろうね

―――何か他に、諦めたくない程大好きなものが増えちゃったのかもね

―――朝も昼も夕も夜も、休日にすら時間を割きたいほどに

歩夢(嘘……だよ……だって……だってそれじゃあ……)

歩夢(……………私が……しずくちゃんを、倒れるまで無理させていたの……?)ドクン、ドクン

97: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:38:14.38 ID:/ILu12nO
歩夢(…………っ)バク、バク

―――嫌だ、嫌だ、嫌だ。

―――認めたくない。

―――でも無理。もう頭で結びつけてしまったから。

―――私と付き合いだしてから明らかに様子が変わったしずくちゃん。

―――この状況が証拠となって私に訴えかけてくるから。

―――あぁでも逆に今、早期に気付くことができて良かったんじゃないかな。

―――うん、きっとそう。起きてしまったことは仕方がない。

―――だからこれから気を付けよう。

―――今後、可能な限りしずくちゃんの邪魔はしないようにしよう。

―――それでいいの。まずは明日、学校に会ったらしずくちゃんに謝ろう。

―――それで、しずくちゃんが本当に暇な時だけ構ってもらうことにして。

歩夢(……それで元通り、大丈夫。まだ、大丈夫)ドク、ドク

―――無事なしずくちゃんを確認出来てほっとしたのも束の間

―――私は再び、来た時とは別方向の大きな闇を心に抱えた

―――それは翌日、更に大きな塊になって私に襲い掛かることになる



98: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:39:20.33 ID:/ILu12nO
歩夢「―――、え?」

菜々「だから……しずくさん、次のライブは出られないそうですね」

歩夢「……?」

菜々「まぁ少しタイミングが悪かったですね」

歩夢「……」

菜々「こればかりは仕方ありません。今からセトリ考えなおさないと」

―――学校に来て早々、私を捕まえて意味の分からないことを言うせつ菜ちゃん

歩夢「……なんで出られないの?」

菜々「何故って、昨日の事忘れてしまったんですか?」

歩夢「覚えてるよ?だから、なんで?しずくちゃん全然元気だったよ?」

菜々「……そもそも、しずくさんから直接聞いてないんですか?」

歩夢「何を?」

菜々「……歩夢さん、大丈夫ですか?」

歩夢「何が?」

菜々「……、ふざけているんですか?」

歩夢「だってせつ菜ちゃんがおかしなこと言うんだもん」

菜々「歩夢さん、本当に大丈夫ですか……?」

歩夢「もう、何言ってるの?せつ菜ちゃんこそ大丈夫?」

菜々「今朝はしずくさんには会えました?」

歩夢「ううん。しずくちゃんは今ライブと演劇の練習で忙しいと思うから邪魔したくないもん」

菜々「……一度しずくさんに電話でもしてみてください。その方が理解できると思います」

歩夢「?……うん、そうしてみるね」

―――変なせつ菜ちゃん

99: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:40:16.71 ID:/ILu12nO
~~~♪

歩夢「……」

―――しずくちゃんへ電話を掛ける。発信音を無心で聞き流す。

―――ごめんね、大した用事もないのに掛けちゃって。

―――邪魔にならないように、用が済んだらすぐ切るからね。

ガサガサ

しずく『もしもし、歩夢さん?』

歩夢「あ、しずくちゃん。おはよう」

しずく『おはようございます』

歩夢「ごめんね急に」

しずく『いえ。……もしかして聞きました?』

歩夢「あ、そうそう、それなんだけどね。せつ菜ちゃんったらおかしなこと言うんだ」

歩夢「しずくちゃんが今度のライブに出られないだなんて」

しずく『……』

歩夢「そんなはずないよね?だってしずくちゃんあんなに頑張ってたのに」

しずく『…………』

歩夢「それに、昨日の事ももう平気だって言ってたし。元気そうだったし」

しずく『……すみません歩夢さん、聞いてください』

歩夢「あっ、分かった!二人して私にドッキリを……」

しずく『歩夢さん』

歩夢「……なぁに?」

しずく『……本当なんです。私、次のライブはお休みさせていただきます』

歩夢「…………」

―――嫌だな。無理矢理聞かなかったことにしようとしてるのに、しずくちゃんの声はどうしても届いちゃう。

100: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:41:30.32 ID:/ILu12nO
歩夢「…………どうして?まだ調子悪いの?」

しずく『一度しっかり眠ったので体調は問題ありません。ですが、大事を取って少しの間安静にとお医者様から言われてしまったので』

歩夢「……どれくらい?」

しずく『二週間くらいですね』

歩夢「…………嘘だよね?」

しずく『本当です』

―――だってそれだと次のライブだけじゃなくて

歩夢「…………演劇のほうは?」

しずく『……残念ながらそちらも無理ですね。役を降ろしてもらいました』

―――自嘲気味に笑っているであろうしずくちゃんを声色で察する

歩夢「そんな……そんなの……」

歩夢(全然、大丈夫じゃなかった……)

―――多分私に教えてくれなかった理由は気を遣ってくれたから。私に気を遣わせたくなかったから。

―――どうせすぐにバレるとしても、それが私の知ってるしずくちゃんだから

―――病院で私が説教まがいの事をした時、どんな気持ちで聞いてたんだろう

―――さぞ滑稽だったろうね

歩夢「……しずくちゃん……もしかして、私―――」

しずく『あ!……あの、大丈夫ですよ?今回は私、少し体調管理を怠ってしまっただけで』

―――ほら、遮られる。しずくちゃんはそう言うと思った。

101: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:42:24.41 ID:/ILu12nO
しずく『次からはしっかり―――』

―――悪いのは私なのに。原因そのものである私に、時間がなくて辛いなんて言える子じゃないって分かってるのに。

歩夢(完全に私のせいだ)

しずく『―――、―――』

―――しずくちゃんが何か言ってる

―――私はまだ謝る事すらできていないのに、掛けられるのはとても優しい言葉

―――聞きたくない

―――これ以上しずくちゃんを縛りたくない。だからしずくちゃんを解放してあげないと。

―――少しでも早く

歩夢「じゃあ学校にも来られないの?」

しずく『あ、いえ。今日は休んでますが明日からは行きますよ』

しずく『そういえばすみません、それもお伝えしてませんでしたね』

歩夢「ううん、良かった。なら1つだけお願い聞いてもらえる?」

しずく『なんでしょう?』

歩夢「明日の朝、少し早く学校に来て欲しいの。ほんの少しでいいから」

しずく『?、構いませんが』

―――要件は済んだ。切らないと。

歩夢「ごめん、お願い。じゃあね、ゆっくり休んでね」

しずく『……?、はい、ありがとうございます。ではまた明日』

プツッ

歩夢(また、明日…………会うには会うけど)

―――私から「また明日」とは言えなかった



102: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:43:17.69 ID:/ILu12nO
翌朝

歩夢「―――」

しずく「…………え…?」

―――しずくちゃんを校舎裏に呼び出して単刀直入に伝える

歩夢「……」

しずく「……………すみません、もう一度言ってください」

歩夢「だからねしずくちゃん……」

―――ごめんね、仕方ないけれどこれが一番確実なの

―――二度としずくちゃんをこんな目に合わせないようにするには……

歩夢「―――私たち、別れよっか」

―――私たちは一緒に居ちゃいけないの

105: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:45:19.67 ID:/ILu12nO
しずく「……………何を……言ってるんですか?」

歩夢「……」

しずく「どういうことですか?」

歩夢「……言葉通りの意味だよ」

しずく「……そんなことは聞いてません。理由のほうを聞いているんです」

歩夢「しずくちゃんのためだよ」

しずく「……ふざけてるんですか?」

歩夢「せつ菜ちゃんにも言われたなぁ。私は真剣に話してるのに」

しずく「…………全然意味が分かりません」

歩夢「しずくちゃんのために私たちは別れないといけないの」

しずく「……だから!理由を話してくださいって言ってるんです!!」

歩夢「さっきから言ってるよ?しずくちゃんのためだって。それだけだよ」

しずく「そんなもので納得しろと!?」

歩夢「お願い。別れて」

しずく「嫌です!!私の事が嫌いになったならそう言ってください!理由があるならはっきり言ってください!!」

歩夢「……お願い」

しずく「……っ、どうして……どうしてしまったんですか、歩夢さん」

しずく「お願いします、正直におっしゃってください。私の事嫌いになってしまったんですか……?」

歩夢「……違うよ。好きだよ。大好きだよ……」

しずく「…………、……こんな時にまでいじわるですか?」

歩夢「……ふふっ、あはは。……それも違うよ」

しずく「っ!!、何がおかしいんですか!?いい加減に―――」

106: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:47:24.81 ID:/ILu12nO
歩夢「―――ごめんなさい!!」

しずく「な………え……?」

歩夢「……しずくちゃん、ごめんね……私のせいで……っ!」

―――無感情に、事務的に伝えようと思ったのに

―――取り乱すしずくちゃんを目の前にしてつい感情的になってしまう

歩夢「私がわがままばかり言ったから!」

しずく「ちょ、ちょっと……」

歩夢「私がしずくちゃんに告白したから!」

しずく「歩夢さん、何を……」

歩夢「私がしずくちゃんを好きになっちゃったから……!!」

しずく「…………何、……言って……」

歩夢「しずくちゃんの時間を奪っちゃった、から……」ウルッ

しずく「―――!!」

歩夢「ぁ……」フイッ

―――きっとこうなるって分かっていたから嫌だったのに。

―――涙は見せられない。私に泣く権利はない。被害者はしずくちゃんなんだから。

107: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:48:59.50 ID:/ILu12nO
しずく「あ……もしかして一昨日の事を気にしているんですか?」

歩夢「…………」

しずく「そんなことですか……それなら―――」

歩夢「そんなこと!?しずくちゃん、少しの間とはいえ意識を失ったんだよ!?」

歩夢「万が一にも何か後遺症が残ってたらどうするの!?倒れた時にどこかに頭をぶつけていたら!?」

しずく「それは……」

歩夢「…………ごめん。私が言うのは違うよね」

歩夢「でも私は怖いの……それが私のせいだなんて、どうしたらいいのか分からないの……」

しずく「そこは違います!睡眠をとらなかったのは私のせいです!」

歩夢「ううん、私がそうさせちゃってたの……」

歩夢「しずくちゃんが私との時間を大事にしてくれるって、頭では分かってたのに」

歩夢「もちろんスクールアイドルも演劇も。一所懸命なの、知ってたのに」

歩夢「その上で私の事を優先したら、しずくちゃんが削るとしたら……自分の身しかないって、考えたら分かるのに」

しずく「それなら…………すべてを拾えないのなら、私は歩夢さんだけを」

歩夢「言わないで!!!」

しずく「!?」ビクッ

―――予想していたことを口走ろうとするしずくちゃんを大声で止める

歩夢「……それだけはダメ。しずくちゃん、嘘は良くないよ」

しずく「な、う、嘘じゃありません!!」

歩夢「ううん、嘘だよ。もしもそれを口にしたら、私しずくちゃんの事嫌いになるよ」

しずく「なっ、……あなたって人は……!!」

108: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:50:54.15 ID:/ILu12nO
―――私が知ってる、しずくちゃんを従わせるたった一つだけの魔法の言葉

―――おそらく本心であろうしずくちゃんに対し、もちろん私の方が嘘

―――たったそれだけで嫌いになんてなるわけがない

―――むしろ本当は嬉しい。しずくちゃんが私を一番に選んでくれるなんてこと、あっていいのかなって。

―――ううん。あってはいけないことだから私はこうしてるの。

―――分かっていても、口に出されたら決心が揺らいでしまうから

歩夢「ねぇしずくちゃん……あなたはね、本当に凄いの」

しずく「……?」

歩夢「私みたいな普通の子と違って、きっと大女優になって、たくさんの人を魅了する素敵な女性になるの」

しずく「……」

歩夢「……勿体ないよ。そんな子が私なんかに構って夢を疎かにするなんて」

しずく「そんなことありません!私は歩夢さんを普通だって思ったことは一度もありません!」

歩夢「それでも、しずくちゃんの夢への一歩を台無しにするかもしれない子だよ」

歩夢「身を削ってまで頑張って練習したのに、私が邪魔をし続けたせいで結果ライブも演劇も出られなくなって……」

しずく「邪魔だなんて言わないでください!私は歩夢さんの事、本気で愛してるんですっ!」

しずく「歩夢さんと過ごした時間が幸せだったから、少しでも一緒に居たくて、つい無理をしてしまったんです!」

歩夢「……だったら、私の事を想ってくれるならお願い。やっぱりさっきのは嘘。これは恋人としての私の最後の意地悪」

歩夢「今度こそ、これ以上意地悪はしないから」

しずく「な…………なんですか、それ……私、もう歩夢さんが分かりません……」

ガク……

ぺたん……

―――私の決意が揺らがないことが伝わって、しずくちゃんが徐々に膝から崩れ落ちる

―――しずくちゃんの切羽詰まった訴えに感情を揺さぶられながらもなんとかそれを押し殺してして受け流す

―――本当は抱きしめてあげたいけど、もうそれも私にはできないから

109: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:52:17.57 ID:/ILu12nO
歩夢「分かってもらえるとは思ってないかな」

歩夢(だってしずくちゃんは確か、足掻いて欲しい派だったよね)

しずく「嫌です……どうしてそんな寂しいこというんですか……?」

しずく「分かるまで教えて欲しいです……私にこの恋を気付かせてくれたみたいに。私に告白してくれたみたいに、歩夢さんの事、もっと教えて欲しいんです!」

歩夢「…………ごめん、諦めて」

しずく「っ、謝るくらいなら……、なんで、こんなこと……っ」ウルッ

歩夢「ごめんね……」

しずく「こんなに、好きにさせておいて……!」ツー

歩夢「……っ」

しずく「歩夢さんの、嘘つき……っ、ずっと一緒だって言ったのにっ!!」グスッ

しずく「誰かに別れさせられることはないって、ひっく、言ったのに……っ!!」

歩夢「誰か、じゃないよ……」

しずく「そんな屁理屈を、最後の最後まで……ぅ、ぁ……歩夢さんの、バカ!!」

―――結局いつもしずくちゃんが折れてくれる。私のすることを許してくれる。

歩夢「えへ……ぐす、これでもう、私の事嫌いになってくれた、かなぁ?」

しずく「きっ……嫌いですよ!もう、大嫌いです!!」ポタ、ポタ

歩夢「うん……そっか……。よかった……あり、がとう……」ツー

しずく「―――っ!!ぁ……あ、あぁ……もう……そう、いうっ」ゴシゴシ

しずく「ぐすっ……歩夢さんの、そういうところ、本当に良くないです……直した方が、ん、いいですよ?」

しずく「恋人としての……最後の、文句です」ニコ

歩夢「―――!!!、ぁ……!」

―――ぼろぼろと涙を流し、ぐちゃぐちゃで全然上手に笑えてない笑顔を見たところで私も限界が来てしまい

歩夢「ごめ……っ、さようならっ」ダッ

―――言葉には詰まるし、結局涙は見せてしまって情けないけれど

―――これ以上しずくちゃんの前に居たら我慢できないのを直感し、逃げるように振り向いて走り出す

歩夢(ごめん、本当に……ごめ……っ)グッ

―――泣き声を漏らしてしまいそうな口を必死に塞ぎながら。

110: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:54:27.49 ID:/ILu12nO
歩夢「はぁ……はぁ……!」フラッ

―――そのままなんとか校舎の角を曲がったところで

ずる……ずる……

ぺたん……

―――壁にもたれ掛かり、力が抜けてへたり込む

歩夢(はぁ…………っ、えへ……あはっ)ポロ、ポロ

歩夢(……さようなら、しずくちゃん……ごめんね、ありがとう……本当に、ごめん)

歩夢(だってね、私も思っちゃったの、あの映画の子と同じで)

歩夢(大切な人の人生を壊したくないって、例え1%でも邪魔をしたくないって、そう思っちゃったの……)グスッ

歩夢(分かってる……ここまでしなくてもって頭では分かってるの。でもこうしないと自分を許せないの)

歩夢(理屈じゃないの……恋愛は心でするもの、だもんね……)

歩夢(高校生の私にできることなんて、ほとんどないの……)

歩夢(だからごめんね……本当に大好き、だよ……う、ぁっ)ブワッ

ぎゅっ

―――最後になるであろうしずくちゃんへの想い。涙腺が崩壊してとめどなく溢れる涙。

―――口に当てた手に再度力を込めて、声だけでも全力で押さえ込む

「うっ、うぁ……っ、あぁ、うわあぁぁぁぁん!」

―――代わりに少し遅れて、すぐ傍からのしずくちゃんのものとは思えないような大泣きを聞きながら

―――私たちの青春は終わった

・・・・・・・・・・
――――
―――
――

111: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:55:55.55 ID:/ILu12nO
歩夢「……」コク、コク

『―――』

歩夢「……」クラッ

歩夢「……っ」ガッ

―――微睡んで頭をフラフラさせて、机に突っ伏しかけて、覚醒する

『―――』

歩夢(…………ふぁ……ん、と)

『―――』

歩夢(……寝ちゃってた?)

―――懐かしい夢を見た気がする

―――内容は既に思い出せないけれど、とても懐かしくて

歩夢(あれ、涙が……)フキフキ

―――ちょっぴり切ない夢だったのかな

―――十中八九、今のあくびのせいだけど

112: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:58:16.06 ID:/ILu12nO
歩夢(あ、しずくちゃんは……)

―――意識が飛ぶ直前の記憶を掘り起こしてテレビを見ると

『―――、というところが素敵だなって思います』

『なるほど。ちなみに―――』

―――まだインタビューの最中らしかった

歩夢(良かった。今は何の話をして―――)

『―――桜坂さん自身はご結婚とか興味あるんですか?』

『へ?』

歩夢「―――」

―――……なんでそんな話してるの?

『私まだ22なので、そういうのは早いかなと……』

『では気になっている人の有無とか、こういう人が良いとかは?』

『えぇっと、少し恥ずかしいです……』

『お願いします!テレビの前の皆さんも絶対気になってると思うので、是非!』

『そ、そんなことないと思いますけど……そうですね……私は―――』

プツン

歩夢(……仕事の準備しなきゃ)

―――残念だけどそろそろ仕事の時間だから。

―――別に聞かなくても私には関係ないし。

―――しずくちゃんの首にはもうあの指輪で作ったネックレスが着いてないけど。

―――別に。



113: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 01:59:15.01 ID:/ILu12nO
―――しずくちゃんと別れてからどうなったかというと。

―――予定していたライブをやりきり、留学先でスクールアイドルの素晴らしさを私なりに伝えて

―――その活動を最後に私は同好会を退会した

―――しずくちゃんと別れてどんな顔をして居座って良いのかも分からないし

―――しずくちゃんも私が退会するまでは気を遣ってか、ずっと演劇部に行っていて顔を合わせることもなくて

―――同好会のみんなにはとにかく謝った

―――私の勝手で本当に迷惑かけてしまったと思う

―――それでもみんなは私の気持ちを察してくれて

―――優しい言葉をかけてくれて

―――そんな優しい人たちならきっと聞いてくれると思って

―――不躾に1つだけお願いをしてから去った

―――どうか、しずくちゃんの事をよろしくお願いしますと。

―――そうして虹ヶ咲学園を卒業して、大学を卒業して、私は今。

114: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:00:13.22 ID:/ILu12nO
カランカラン

歩夢「いらっしゃいませ」

―――小さな小さな、本当に小さなカフェを個人で立ち上げて一人でやりくりしている

―――本当は普通に卒業して、普通に会社に就職して、普通に働いていくんだろうなって考えていたのに

―――どうしてこうなったのかと言うと

侑「やっほ、歩夢!」

かすみ「……どうも」

ミア「Hello、歩夢。元気そうだね」

歩夢「侑ちゃん、かすみちゃん、ミアちゃん。いらっしゃい♪」

―――この人たち。元凶である元同好会のメンバーの内の三人、丁度ご来店

115: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:00:56.15 ID:/ILu12nO
・・・・・・・・・・

―――当時、私が同好会をやめると伝えた時に一番反対したのが侑ちゃんだった

侑「いや、分かるけど!気持ちは分かるけど!いや私は恋をしてないから分からないけど!」

侑「でもせっかく見つけたトキメキだよ!?歩夢、こんなに可愛いのにもったいないよ!!」

―――とかなんとか粘られて。

歩夢「そんなことないよ?どのみち私はもう同好会には居られないよ」

歩夢「元の普通の女の子に戻るだけ」

侑「ん~~~……う~~~ん……でもなぁ、もったいないなぁ」

歩夢「嬉しいけど、そんなことないってば」クスッ

侑「………………あっ、そうだ!歩夢、料理作るの得意だよね?」

歩夢「え、うん。自信があるのは玉子焼きくらいだけど……」

侑「この歩夢の可愛さを活かして、料理スキルも活かして……となるとメイド喫茶だ。これしかない!」

歩夢「……」

侑「歩夢、将来メイド喫茶開いて!私もサポートはするから!」

歩夢「はぁ……………侑ちゃん、頭大丈夫?」

侑「ひどっ!?」

―――久々に素っ頓狂な声が出たのを覚えている

歩夢「というか侑ちゃんは一緒に働いてくれないの?」

侑「私は音楽で食べていくから!」キリッ

歩夢「……ふふっ、もう、侑ちゃんってばおかしい」

116: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:02:00.02 ID:/ILu12nO
―――なんて冗談で私を元気づけてくれているのかなと思ったら

璃奈「歩夢さん、カフェ開くの?」

愛「経営とか資金関係とか、困ったら相談に乗るよ!」

栞子「私も微力ながらお手伝いさせてください」

―――何故か勝手に話が広まって

エマ「食材選びも大事だよ?安くておいしいのが一番!」

彼方「歩夢ちゃんは料理上手だから必要ないかもしれないけど、そっちの分野なら彼方ちゃんなんでも教えちゃうよ~?」

かすみ「……かすみん特製コッペパンのレシピ、少しくらいなら教えてあげてもいいですよ」

―――私は何もしていないのに

果林「内装、外装には多少無理してでもこだわるべきね。カフェといえばオシャレでなくちゃ、今どきの若い子は釣れないわ」

果林「というか、本当にメイド喫茶にするの?」

せつ菜「スクールアイドルとメイド喫茶の組み合わせは前例があります!悪くないかと!」

ランジュ「いいじゃない!面白そうだわ!」

ミア「いや、既にスクールアイドルやめてるし個人経営だろ……無茶言ってやるなよ」

―――もちろんメイド服なんて恥ずかしいし、そもそも一人では無理なのでそこだけは断ったけど

『歩夢さん、大きな目標ができたんですね。頑張ってください、応援しています。』

―――別に私が決めた目標ではないけれど、私が応援している人から応援し返されてしまったので頑張るしかなくなった

・・・・・・・・・・

117: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:02:42.49 ID:/ILu12nO
―――そんなこんなで皆に助けられながら、時々遊びに来てもらったりしてなんとかやっている

―――果林さんの狙い通り、高校生から大学生くらいの若い子を中心に

―――どこから聞きつけたのか、私の元ファンでしたって方が時々来てくれたり

―――今日子ちゃんが泣きながら飛び込んできたときは流石にびっくりした

ジュー

カチャカチャ

歩夢(それにしても、みんな凄すぎるよ……まさか本当にカフェを開くことになるなんて)クスッ

サッ、サッ

サクッ…サクッ…

歩夢(んー……)パクッ

歩夢(……うん、ばっちり♪)

118: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:03:57.54 ID:/ILu12nO
歩夢「お待たせしました。厚焼き玉子サンド3つです」

コトッ

侑「ありがとう!やっぱこれだよねぇ」

侑「ではさっそく、いただきまーす」ハムッ

ミア「僕も」パクッ

歩夢「どうかな?」

侑「ん~~~おいしい!トキメく~~~!」キラキラ

ミア「ん。本当はHamburgerのほうが好きだけど、まぁ歩夢のsandwichは別だね」モグモグ

歩夢「ふふ、ありがとう」

かすみ「……」パクパク

歩夢「かすみちゃんはどうかな?」

かすみ「むぐ……ん、まぁ、いつも通り美味しいんじゃないですか」プイッ

歩夢「良かった。ありがとう」ニコッ

かすみ「……サンドイッチの味は認めてますけど!かすみんはまだ歩夢先輩の事を許してないんですからね!」

歩夢「そっか……うん、ありがとう。かすみちゃんは優しいね」ナデナデ

かすみ「ちょっ///、何でお礼を言うんですか!やめてください~~~!///」

侑「あはははっ」

歩夢(かすみちゃんが一番私に優しいかも……)

119: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:04:41.30 ID:/ILu12nO
・・・・・・・・・・

―――同好会をやめる時……正確にはしずくちゃんと別れた時、唯一私を叱ってくれたのはかすみちゃんだった

パシンッ!

歩夢「……いっ!」サスサス

かすみ「ふー……!ふー……!」

歩夢「……かすみ、ちゃん」

―――普段の可愛いキャラの面影はなくて、見たことのないような形相で、本気で叩いてくれた

かすみ「かすみんは……かすみんは幻滅しました!歩夢先輩がそんな人だとは思いませんでした!」

かすみ「一体しず子の何を見ていたんですか!?」

かすみ「大事な人を自分のエゴで泣かせて、それでいいんですか!?」

かすみ「みんなの前では無理して普段通りにしてますけど、一人で部室に居ると未だに泣くんですよあの子は!!」

かすみ「私は……中須かすみは!しず子を傷つけた上原歩夢を一生許しませんから!!」

かすみ「同好会をやめるというならかすみんは止めませんよ!むしろお願いしたいくらいですからね!」

歩夢「…………ありがとう。かすみちゃんは優しいね」

120: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:05:26.61 ID:/ILu12nO
かすみ「なっ、何をお礼なんか……!」

歩夢「……」ナデナデ

かすみ「……そういうのを!やる相手が違うって言ってるんですよ!!」パシッ

歩夢「……そう、だね……うん……ごめんね」

かすみ「……だから、それを言うのも!!!」

歩夢「……」

かすみ「……っ……二度と、そんな顔してしず子に近づかないでくださいね」

かすみ「大好きな先輩に、こんなこと言わせないでください……っ」クルッ

歩夢(……ごめんね)

―――親友のために、最低な私のために、一人でとても嫌な役回りをしてくれたから……

・・・・・・・・・・

121: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:06:17.44 ID:/ILu12nO
侑「じゃあね、歩夢」

ミア「good‐bye、美味しかったよ」

かすみ「……」

侑「ほら、かすみちゃん」

かすみ「…………ごちそうさまでした。また来ます」ボソッ

歩夢「うん。またね」フリフリ

カランカラン

「なんだかんだ子犬ちゃんは優しいよな」

「だよねぇ。許さないって言いながらもう何回来たっけ」

「はぁ!?勘違いしないでください!!先輩たちがいつも行こうって言うからですよ!!」

「嫌なら断れば?別に強制してるつもりはないさ」

「ぅ……それは……その……」

「ミアちゃん、可哀想だからあんまり虐めちゃだめだよ」

「ははっ。Sorry」

「うがぁ~~~!」

歩夢(……くすっ)

122: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:07:15.85 ID:/ILu12nO
―――しずくちゃんとはあれ以来未だに会えていないけれど

―――私が同好会を抜けてからというもの、演劇もスクールアイドルの実力もぐんぐん伸びていって

―――卒業とほぼ同時に有名な劇団にスカウトされて

―――今となっては知らない人なんていないくらいの、たくさんの人を魅了する有名な女優さんになっていて

―――定期的にみんなが遊びに来てくれた時に色々お話を聞かせてくれる

―――もちろん今でもしずくちゃんとの思い出が蘇って寂しくなったりはする

―――でも正直これはこれで幸せだった

―――しずくちゃんの人生を狂わせずに済んで、みんなともそれなりに付き合いがあって

―――そんなしずくちゃんをテレビで見かけて

―――私はそれでいいの

―――それで、よかったはずなのに

123: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:08:13.55 ID:/ILu12nO
数日後・朝

歩夢「……」モグモグ

『―――』

―――今日は定休日

―――とはいえ朝のルーティンが変わることはない

―――朝食をとりつつ寝起きの頭でぼーっとニュースを眺める

―――でも、そう毎日しずくちゃん関連のニュースがあるわけでもない

―――まぁ既に売れているのは分かってるし、何事もなく平和ってことで別に。

歩夢(…………別に、いいけど)

『数年ぶりの続編ということで、前作と共に話題に―――』

歩夢(……え?)

―――不意に。

―――しずくちゃんのことしか興味がないはずの耳に何故か入り込んでくる情報が1つ

歩夢(……あ……この映画……)

125: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:09:00.52 ID:/ILu12nO
―――流れていたのは上映中の映画ランキング

―――その中に、聞き覚えがあるタイトル

―――映画なんてもう何年も見てないけれど

―――その、何年かぶりに聞いたタイトル

歩夢(続編なんてやってたんだ……)

―――私としずくちゃんが恋人になってからの初デートで見た、思い出の映画

歩夢(結構上位だ……人気なんだ……)

歩夢(……もしかしたら、前作も私が知らないだけで人気の映画だったのかなぁ)

『―――』

歩夢(……うん)

歩夢(今日は休みだし、暇だし……せっかくだから観に行ってみようかな)



126: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:10:19.10 ID:/ILu12nO
上映終了後

歩夢「んーっ!」ググッ

―――気持ち的にもすっきりして、思い切り伸びをする

―――映画の内容は言ってしまえば単純で、王道と言えば王道だった

―――前作で別れた普通の方の女の子が必死に努力して成り上がって

―――周りに文句ひとつ言わせない程出世して、好きな子を取り戻す

―――それだけだった

歩夢(……でも、それでいいんだよね。少なくとも私はハッピーエンドが好き)

歩夢(悲しいお話の後は、みんなもそういう分かりやすく幸せなお話が見たいんじゃないかなって思う)

歩夢(泣けるお話も好きだけど、やっぱり終わった後に寂しさが残るし……それが好きって人の気持ちも分かるけど)

歩夢(心がポカポカして、みんなが幸せになって……そんなお話のほうがいいな……)

歩夢(…………もちろん個人的な意見だけど)

―――ただ一つ、思うところがあるとすれば

歩夢(でもいいなぁ、この二人は問題が明確で。簡単ではないけれど分かりやすくて……)

―――私としずくちゃんの問題はお金とかそういうのじゃなかったから……

歩夢(…………なんて、ね)

「あの……」

歩夢「えっ?」クル

―――未練がましいことを考えていたら、急に背後から聞き覚えのある声

127: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:10:56.35 ID:/ILu12nO
「こんにちは」

歩夢「あなたは……」

「お久しぶりですね」ニコ

歩夢(……この人……昔、どこかで……)

歩夢「………………あっ……病院の、受付の……?」

お姉さん「ふふ、どうも♪」

歩夢「ど、どうも」

お姉さん「突然すみません。あの時のお嬢さんだ!って思ったらつい話しかけたくなってしまって」

歩夢「あっ……その節はどうも、ご迷惑を///」

お姉さん「あ、私ったらごめんなさい、思い出させてしまって」クスッ

歩夢「いえ……///」

128: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:11:45.06 ID:/ILu12nO
お姉さん「今日はお友達……いえ、彼女さんとはご一緒ではないのですか?」

歩夢「……え!?な、なんで……」

お姉さん「あら、てっきりそういう仲かと。違いました?」

歩夢「…………あの子とは、そういう関係ではありませんよ」

歩夢(今はもう、ね……)

お姉さん「そうでしたか。それは失礼しました」

歩夢「いえ……」

お姉さん「それで、あなたもこの映画見たんですか?」

歩夢「あ、はい」

お姉さん「ということは前作も?」

歩夢「見ましたよ」

お姉さん「どう思いました?今作」

歩夢「私は好きですよ?やっぱりハッピーエンドのほうがいいです。お姉さんは?」

お姉さん「そうですね……お話としては私もそう思います。ただ、面白みにも欠けたかなという気持ちもありますね」

歩夢「……それは分かるかもしれません」

お姉さん「でもやっぱり……結局のところみんな幸せが一番すっきりしますね」ニコ

歩夢「そう、ですね……私もそう思います」クス

129: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:12:32.77 ID:/ILu12nO
お姉さん「……ところでお嬢さん。これからご予定は?」

歩夢「特にありませんけど……どうしてですか?」

お姉さん「私も今日は一日暇なので、一緒にお茶でもと思いまして」

歩夢(ん……?)

お姉さん「もちろん無理にとは言いませんが。いかがでしょうか?」

歩夢(これって私、ナンパされてる……?)

―――いや、このお姉さんはそんな人には見えないけれど

―――そんな気はなくて、本当に暇なだけだと思うけど

―――ていうかよく見たら結婚指輪してるし

歩夢(でも傍から見たらそういう……あ、そもそも他人からしたら私たちの関係すら知らないから……)

歩夢(……って、何考えてるんだろう……まあどうせ今日は私も暇だし―――)

―――特に深く考えずについて行っちゃおうかな、なんて思った瞬間

―――お姉さんの後ろの少し離れた所にいる女性に気を取られる

歩夢(………?)

お姉さん「……どうかされました?」

歩夢(なんだろう、あの人……こっちを見てるような……)

「…………」

130: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:13:39.34 ID:/ILu12nO
―――不審に思い、こちらからも見つめ返すと

くるっ……

―――慌てて身体を翻して去っていく

歩夢(うーん……なんだったんだろう………)

歩夢(あ、まさか!このお姉さんの結婚相手とか……?)

お姉さん「?」

―――見る人が見れば逢瀬の現場だし

歩夢(なんて、さすがにドラマの見過ぎ………………あれ……?)

―――と、くだらないことに頭を使っていた刹那

―――視界の端にとあるものが見えたような

歩夢(……今あの人、確かに……)

―――見落とすところだったけれど、私と同じネックレスをしていた、ような……?

歩夢「…………、あ―――!!」ダッ

―――その可能性に気が付いた瞬間、駆け出さずにはいられなかった

お姉さん「!?」

歩夢「ごめんなさいお姉さん!私急用が!」タッタッタ…

お姉さん「へ?ちょっと!?」

歩夢「すみません、さようなら!!」

お姉さん「え、えぇ…………ふふ。大人になって落ち着いたと思ったら、相変わらず忙しない子」クスッ



131: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:15:07.22 ID:/ILu12nO
歩夢「はぁ……はぁ……!」

―――遠目で見ただけだから見間違いかもしれない

―――帽子を深く被ってマスクをした上で、見たことないメガネ姿だったから顔では判断できなかったし

歩夢「ごほっ!……、はぁ……!」

―――大体追ってどうするの?

―――どの面下げて追いかけてるの?

歩夢(あはは……はぁ、私、なにしてるんだろ……、ふ……!)

―――私たちはもう、終わってるのに

―――私が終わらせたのに

歩夢(今更会って、何かできるわけでもないけど……)

歩夢(私は大人になってもみんなに助けてもらってるだけで、高校生の頃から何も変わってないけど……!)

―――否定的な思考とは裏腹に足は迷いなく身体を前へ進ませる

歩夢(……ふぅ……はぁ……少し走っただけなのに、足、重い、なぁ……)ハァ、ハァ

132: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:16:09.88 ID:/ILu12nO
―――スクールアイドルをやめて、大した運動をしなくなって何年だっけ、とか

―――少しは運動したほうがいいかも、とか

―――人を追い求めてこうして走るの、懐かしいなぁとか

―――こんなこと知られたらかすみちゃんにまた怒られちゃうなぁ、とか

―――自分勝手で正当化できないこの行動を、どうでもいい思考で誤魔化しながら

―――夢中で追いかけているうちに街はずれの、人通りの少ない道の奥まで来て

歩夢(居た……!)

歩夢「しず―――」

歩夢(あ、だめ。大声で名前は呼べない)

歩夢「はぁ、はぁ、待って!!」ダキッ

「…………っ」

―――目標の人物に確認もせずに背中から抱き着く

―――人違いだったらどうするとか考えもしない

―――その時はその時でいい、ごめんなさいで済む

133: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:17:25.43 ID:/ILu12nO
「あの……急に、なんですか?」

歩夢「ふぅ……はぁ……」ギュッ

―――ほら、やっぱり間違ってなかった

―――私の良く知ってる声

歩夢「はぁ……はぁ……、久しぶり、だね」

「…………顔も見ないで何を。人違いですよ」

歩夢「……顔も見ないで人違いだって分かるの?」

「…………私、あなたの声に聞き覚えがないので」

歩夢「私は良く知ってる声だったから」

「声を聞いたのは抱き着いてからじゃないですか」

歩夢「じゃあお顔を見せて。人違いなら納得するから」

「…………はぁ」

―――参りましたといった感じで、これ見よがしにため息を吐きながら振り向く

歩夢「やっぱり、しずくちゃんだ……」

しずく「……」

134: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:18:15.51 ID:/ILu12nO
しずく「……どうして私だって分かったんですか?」

歩夢「……これだよ」

―――自分の首から下げたネックレスを取り出して見せる

―――正確には、チェーンに通した水色の指輪

しずく「あぁ……」チラッ

―――しずくちゃんも自分の胸元にぶら下がるそれを見る

歩夢「まだ持っててくれたんだね」

しずく「……」

歩夢「テレビで見る時は着けてくれてないから……私、てっきり」

しずく「……馬鹿なことを言わないでください」

歩夢「……ごめんね」

―――ほとんど目線を合わせず必要最低限の言葉しか話さないしずくちゃん

―――表情からは何を考えているのか全然分からない。無表情。

135: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:19:13.59 ID:/ILu12nO
しずく「それで、何か御用ですか?」

歩夢「……あ、えっと……」

しずく「変装はしてますが、私これでも一応有名人ですので。あまり目立つことをされると困るのですが」

―――どこか言葉には棘がある

―――やっぱり怒ってるのかな

歩夢(うぅ……私のせいだから仕方ないけど……)

しずく「歩夢さん?」

歩夢(それよりどうしよう)

―――身体が勝手に動いて追いかけてしまっただけで、本当に何も考えてない

―――時間。とにかく、少しだけでも落ち着いて話をする時間が欲しい。

歩夢(あ……そうだ……)

―――だから思い切って

歩夢「わ……私……」

しずく「?」

歩夢「よろしければ私と、お茶、してください……」

しずく「―――」

―――恐れ多くも女優であるしずくちゃんをナンパした

136: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:20:04.47 ID:/ILu12nO


しずく「はぁ……」

歩夢「……うぅ」

―――高校時代、しずくちゃんとのデートで来た懐かしの喫茶店

―――しずくちゃんの正体がなるべくバレないように隅っこの席に座る

しずく「歩夢さん、変わってしまいましたね」ニッコリ

歩夢「違うもん……」

―――再会してから初めての見たしずくちゃんの笑顔は、とっても嫌味が含まれていた

しずく「何が違うんですか?女の子を手あたり次第ナンパして、飽きたらポイする歩夢さん」ニコニコ

歩夢「だからあの人はそういうのじゃなくて!……そもそも向こうからだし……っていうか言い方……」

しずく「私、女優としてデビューしてから初めてナンパされました。度胸ありますね」

歩夢「あぅ……」

しずく「それにしてもショックです。あの歩夢さんが、しばらく会わない間にこんなに女性にだらしない方に……」

―――まるで今までの仕返しとばかりに意地悪される

歩夢「もう勘弁してください……」

しずく「ふふっ」

137: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:21:02.01 ID:/ILu12nO
しずく「あ、む……ん、やっぱりここのサンドイッチ美味しいですね」

歩夢「そうだね」

―――怒ってるかと思ったけれど、案外しずくちゃんは普通に喋ってくれる

―――なんだかこの数年の空白が嘘か幻みたいに錯覚する

しずく「お店の方は順調なんですか?」

歩夢「あ、うん……おかげさまで。みんなが私を助けてくれるから」

しずく「そうですか。……皆さん、優しいですよね」

歩夢「……うん、本当に」

―――きっと私にいろいろしてくれたみたいに、しずくちゃんにも親身になってフォローをしてくれたんだろうな

しずく「はむ……ん。はぁ、おいしい」

―――そうしてすっかり昔みたいな、幸せそうにサンドイッチを食べるしずくちゃんを見て気が緩んでつい

歩夢「ね、ねぇしずくちゃん……あのね、今度……」

しずく「なんですか?」

歩夢「…………ううん、なんでもない」

しずく「……そうですか」

―――余計なことを口走りそうになるけれど

―――既の所、話しかけてしずくちゃんと目が合った瞬間、臆病風に吹かれる

―――その美しい瞳に真っ直ぐ見つめられて

―――負い目を感じている私は怯んでしまって、喉まで出かかった言葉をギリギリ飲み込む

―――私のお店に来て欲しい、私のサンドイッチも食べて欲しい、なんてどの口が言えるんだろう

―――もう、いつでも来て良いよだなんて言えないの

―――勘違いしないで



138: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:22:25.90 ID:/ILu12nO
しずく「……」モグモグ

歩夢「……」

―――なんとなくお互い口数が減り、話をするような雰囲気ではなくなって

―――先に食べ終わってしまった私は、黙々と食べるしずくちゃんを眺める

―――なんでもない仕草もどこか品があって、油断をするとすぐに見惚れてしまう

―――そういうところは高校の時からちっとも変わらない。ううん、むしろ

歩夢(本当に、綺麗になったね……)

―――高校生の頃も可愛くて美人だったけど、今はそこに少し大人の魅力も加わって

歩夢(やっぱりモテるのかな……そりゃあこんなに美人さんなんだもん、きっと一度くらい誰かと……)

歩夢(……いい加減にして。振ったのは私なんだよ?)

―――私にはもうしずくちゃんに干渉する権利は無いのに。関わらないことを選んだのは私なのに。

―――しずくちゃんを前にして、忘れていた……忘れたフリをし続けてきた想いが……

しずく「さて、と」ガタッ

―――そんな未練がましいことを考えていると、しずくちゃんは不意に立ち上がって

しずく「そろそろ出ましょうか」

―――いつの間にか食べ終わっていたみたい

―――私とは対照的に、あっさりした態度で伝票を持ってレジに向かう

歩夢(…………しずく、ちゃん)



139: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:23:19.87 ID:/ILu12nO
しずく「……」

歩夢「……」

―――喫茶店を出てから一言も話さずに歩く

―――しずくちゃんの後ろをついて行く

―――どこに行くのかは知らない

―――聞けない

―――多分、どこにも行かないから

―――私たちはデートしてるわけじゃないから

―――だから何も言わなければもう少しこのまま……なんて

しずく「あの、そろそろ」

―――ことはなく

しずく「私はもう帰りますから」

歩夢「……」

―――歩夢さんも帰ってください、と。皆まで言わずにそう告げる

140: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:24:46.89 ID:/ILu12nO
しずく「歩夢さん?」

歩夢(……あぁ……そっか……ごめんねしずくちゃん)

―――私、しずくちゃんにした仕打ちの大きさを理解してなかったみたい

――― 一方的にさようならを言われるのって、こんなに辛いんだね

―――ううん、私は別に大して酷いことを言われていないのに

―――それでも、一緒に居たいって思っているのは自分だけで相手はそうではない

―――たったそれだけでこんなに寂しいんだもん

―――あの時のしずくちゃんは、一体どれだけ傷付いたんだろう

―――想像しただけでも心が痛い

歩夢「……うん」

―――しずくちゃんの有無を言わせない様子に、私は頷くしかない

しずく「では、私はこれで」クルッ

歩夢「……しずく、ちゃん」

―――そうして背を向けるしずくちゃんを立ち尽くしながら見送る

141: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:25:55.19 ID:/ILu12nO
歩夢「―――待って」ダキッ

しずく「…………っ!!」

―――ことはできなくて再び背中に抱き着く

―――去っていく後ろ姿を見たら、寂しさが溢れてしまっていよいよ自分自身を抑制できなくなってしまった

―――自分が止まれないのなら、相手を引き留めるしかない

しずく「歩夢さん……何をしているんですか?離してください」

歩夢「嫌……」

しずく「……どういうつもりですか?」

歩夢「まだ、帰りたくないの……」

しずく「っ、…………冗談はやめてください。怒りますよ」

―――まだ、もう少しだけ一緒に居たいの。この寂しさを埋めて欲しいの。せめて一度でいいから……

歩夢「私の事…………抱いて、欲しいの……」ジワッ

―――堪え切れない想いを絞り出すと共に、目に涙がにじみ出して。

しずく「―――!?」

歩夢「お願い、しずくちゃん……」

しずく「抱くって……まさか……」

歩夢「次は私って……約束だったでしょ?」

しずく「あっ……あなたは……!!」

―――声を荒げて、ずっと冷静だったしずくちゃんが激情に駆られる

しずく「自分で何を言ってるか分かってます!?」

歩夢「……お願い」

しずく「ふざけないでください!できません!!」

歩夢「お願い。最後に1回だけでいいの……」ギュッ

―――聞いてくれるまで繰り返す。腕に力を入れて、身体を押し付けて、全身で訴える。

しずく「いっ……今の私の立場を考えて発言してください!!」

歩夢「しずくちゃん……」

142: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:27:14.71 ID:/ILu12nO
しずく「だいたい、私がどんな思いで今まで過ごしてきたのか分かりますか!?」

しずく「歩夢さんが別れろって言うから必死に気持ちを押し殺して諦めて!」

しずく「私だって歩夢さんに会いたかったのに、ずっと我慢してたのに……!!」

しずく「今日だってあの映画館に来ているなんて知りませんでした!知ってたら私は来てませんでした!!」

しずく「会ったら絶対我慢できないって、そう思ったから!!なのに、歩夢さんは私の事を追いかけてきて……!」ウルッ

歩夢「……うん」

しずく「今更なんなんですか!?……もう、本当に……ふざけないでください!」ポタ、ポタ

しずく「前言撤回します!歩夢さんはやっぱり何も変わってません……嘘つきで、意地悪で……っ」

しずく「これ以上、私をいじめないでください……っ!!」グスッ

―――また私、しずくちゃんを泣かせちゃった

―――おっしゃる通り。私は何も変わってない。成長してない。

143: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:28:25.69 ID:/ILu12nO
歩夢「ごめんね……」ナデナデ

しずく「バカっ……歩夢さんの、バカ……ズルすぎます……」

しずく「私が断れないって知っててそういうことを……」

しずく「そういうところ直した方がいいって、ぐす、私言いましたよね?」

歩夢「……そうだったね」

しずく「私は確かに女優にはなれましたけど……それが私の夢ではあったんですけど……」

しずく「本当はあの時の歩夢さんに……一言、私を選んでって。そう言って欲しかっただけなのに……」

歩夢「……」

しずく「いえ、これを言うと歩夢さんに嫌われてしまうんでしたね……」

歩夢「あ……あ、あのね―――」

ぎゅっ。

―――今なら言えそうな、言いかけた言葉は、しずくちゃんを捕まえる腕に手を重ねられて遮られる

しずく「そういえばこれも約束でしたよね」

歩夢「……何が?」

しずく「私の家、来てくれます?」

歩夢「ぁ…………うん」ギュッ

―――私からも抱き着く力をもう一度込めて返事をする



144: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:29:20.22 ID:/ILu12nO
しずく「どうぞ」

歩夢「……お邪魔します」

―――連れてこられたのは私も良く知っている高級マンション

―――もちろん有名だから知ってるだけで、入ったのは初めて

―――しずくちゃんの今のお家

―――そのベッドルーム

歩夢「……」

しずく「そんなところで立っていないでこちらへ来てください」

歩夢「う、うん……」

―――固まってしまって動けない私を、ベッドへ腰かけながら誘うしずくちゃん

ぽふっ

しずく「……」ナデリ

歩夢「……っ」

―――隣にちょこんと座ると、妖艶な微笑みを向けられながら頭を撫でられる

―――大人っぽいしずくちゃんの、私の知らない表情にゾクリとする

歩夢「や……しずくちゃん……」

しずく「借りてきた猫みたいですね。かわいいですよ、歩夢さん……」チュッ

歩夢「ぁ、……」ピクン

―――あいさつ代わりに首筋への軽いキス

145: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:30:16.62 ID:/ILu12nO
しずく「らしくない反応ですね」チュッ

歩夢「ゃ……っ」

―――のはずなのに身体がびっくりして跳ねてしまった

―――付き合ってから一度もしずくちゃんから触れられたことのなかったこの身体は

―――約5年間もの間、知らず知らずのうちにしずくちゃんへの想いを溜めに溜め込んで

―――少し触られるだけで私の意志とは無関係に反応してしまうほどに重症化していた

―――嘘ばっかりつく私の口と心とは違って、身体はとても正直

しずく「歩夢さん……」

ちゅっ……ちゅっ……

歩夢「んっ……だめ……しずくちゃ……」

―――私があの時首に付けた、しずくちゃんへのマーキング行為ををそのまま返される

―――消えてしまうけれど、心にはいつまでも残ってくれる気がする

しずく「……歩夢さん、こんなに綺麗になって」ナデリ

―――髪を触るその一撫で一撫でに、慈しみが存分に込められている

しずく「なのに、可愛らしさはあの頃のまま……いえ、それ以上に……」

歩夢「……そんなことないよ」

しずく「随分大人しくなってしまって……可愛いです……」

歩夢「しずくちゃん……」

しずく「なんですか?」

歩夢「……優しく、してね……?」

しずく「……もう、いちいちズルいです。その台詞は反則ですよ」グッ

ギシ……

―――要求通りに優しく、ベッドに仰向けに押し倒される

146: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:30:52.98 ID:/ILu12nO
しずく「では……」

歩夢「ぁ……しずくちゃ―――んむ」

しずく「ん……ちゅ……」

歩夢「ふぁ……んんっ……」

しずく「ちゅる……んっ……」

歩夢「ん、……む……んっ……ちゅ……」

しずく「ん、はぁ……ちゅむ……はむ……」

歩夢(や……しずくちゃん、キス……上手……)

―――半ば強引に口を塞がれ、舌が私の口内を犯し

―――脳がゆっくりゆっくり溶かされて、しずくちゃんへの想いに支配されていく

しずく「ん……」

歩夢「はぁ……ふ、ちゅ……んっ」

しずく「んむ、ぷは……れろ……ちゅぷ……」

歩夢「あ……っ、んぅ……しずくひゃん……」

しずく「歩夢さ……んっ……」

歩夢「ふぁ、しずくちゃん……好き……大好きなの……」

しずく「私も……ぁ、む……」

歩夢「ん、ちゅ……もっと、しずくちゃんを感じたいの……」

ちゅっ

147: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:31:19.29 ID:/ILu12nO
―――また唇を重ね、お互いを求め合う

―――何回キスしても足らない

―――唇を合わせるたびに胸がじんわりと温かくなるけれど

―――離れた瞬間、急激に寂しさで冷めていく

歩夢「ぷは……はぁ……はぁ……はぁ……」

しずく「……、……っ」

―――時々息を整えるため一度離れるも、すぐにどちらからともなく求めてしまう

歩夢「ちゅ、はむ……しずくちゃ、んっ」

しずく「ちゅっ……はぁ……ん、んっ……

歩夢「あ、はっ……ん、ちゅ……」

―――会えなかった分の触れ合いを取り返すように何度でも、飽きることなく唇を重ねる

歩夢「んっ、ん……しずくちゃ……ふぁ」

しずく「ちゅっ……んっ」

歩夢「ふ、ふっ……んくっ……ぁ」

しずく「……っ、……はぁ」

歩夢(……はぁ……はぁ……しずくちゃん……しずくちゃん)チュゥ

148: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:32:03.11 ID:/ILu12nO
―――ずっとこうして居たい。こうしているだけで幸せ

―――そう思ってたけど、私の理性はこの幸せに耐え切れず

歩夢(…………しずく、ちゃん)スッ

―――身体が疼く

―――待ちわびたしずくちゃんの身体の温もりが私を狂わせる

歩夢(ぁ、……やだ……こんなの……だめ……っ)サス、サス

歩夢「んっ……ぁ、はっ……ぁんっ」

歩夢(でも、キスされながら……触るの、気持ちいい……っ)クチ…

―――しずくちゃんに覆いかぶさられてキスをされて

―――絡めた舌と、至近距離からのしずくちゃんの香りに発情してしまい

―――腕を動かさないように、指だけなら……

―――キスのおかげで漏れる声も誤魔化せるから……

歩夢(しずくちゃん、しずくちゃんっ)クチ、クチ

―――スカートの上から恥部を小さく摩る

―――頭の中でしずくちゃんの名前を何度も呼びながら自慰に耽ってしまう

歩夢(あ、あっ……しずくちゃん、そこ、だめ……っ)グニグニ

―――目の前に居る相手に触ってもらう想像をしながら

149: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:32:41.20 ID:/ILu12nO
しずく「んっ、ちゅ……はぁ……歩夢さん……大丈夫ですか?」

歩夢「ぇ……?」

しずく「少し苦しそうなので……一度休憩しますか」ナデ…

歩夢(あ、やっ……だめ、キスしてくれないと、私……声がっ)クチュッ

―――絶対にバレるって分かってるのに、一度暴走した劣情はもう手を止めるなんて命令を聞いてくれない

歩夢「あっ、あっ、しずくちゃん……、あんっ」

しずく「え、どうしたんですか……?」

歩夢(あぁ、だめっ、バレちゃう、バレちゃう……!)クチュクチュ

しずく「なに、を…………えっ」

歩夢「んっ、ふぁ……ごめ、んなさっ、私っ」

しずく「あ……歩夢さん……」ゴクリ

歩夢(ぁ、やだ、見てる……しずくちゃんが見てるのに……止まらないよぉ……っ)スリスリ

―――しずくちゃんの視線が恥ずかしくて目をつむりながら、それでも止める気はなく弄繰り回す

―――目をつむっていても感じる、しずくちゃんからの熱のこもった眼差し

―――見られてると思うとより一層動きが激しくなる

歩夢「やっ、んぅ……はぁっ」

しずく「……」ジー

―――快楽に溺れる私を見るしずくちゃんの目が、はしたない私を更に興奮させる

150: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:33:37.38 ID:/ILu12nO
歩夢「んぅ、しず、くちゃ……んっ」

―――恥ずかしさに耐えきれず、身を捩って顔を逸らすも

しずく「歩夢さん……」ピトッ

歩夢「ひゃっ、あ、……な、何……?」ドキッ

―――頬に手を当てられ、顔を固定され、強制的に目を合わせられる

しずく「このまま、シてください」ニコッ

歩夢「えっ……」

しずく「私を見ながら、私に見られながら、してください」

歩夢「ぇ、あ、あっ、や……んんっ!」ビクッ

歩夢(な、なんで……私……っ)スリスリ

しずく「可愛いですよ、歩夢さん……」サス、サス

―――しずくちゃんの熱を帯びた手に頬を摩られる

―――そこにやらしさはまるでないのに、私の方はしずくちゃんに触れられているだけでいやらしく発情してしまう

歩夢「ぁ……っぁ、ぁ……んっ」

しずく「すみません、そんなに我慢させていたなんて知りませんでした」サスサス

歩夢「そ、それは……ぁ、んっ」

しずく「ふふっ。私とのキス、そんなに気に入ってくれたんですか?」

歩夢「~~~っ///」カァァ

151: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:34:27.67 ID:/ILu12nO
しずく「もっと気持ちよくなれるように、してあげますね……ん、ちゅっ……」

歩夢「んっ、ひゃ、らめ……んちゅ……」クニクニ

しずく「ちゅぷ……ん、ふふっ」

歩夢「ぁ、んっ……ぁ、はぁ……んっ」シュ、シュ

しずく「ん……んんっ」

歩夢「ぁん、しずく、ちゃん……だめ、んっ、んっ」クチュ、クチュ

しずく「んっ、はぁ……歩夢さん……いいんですよ、我慢しないで」ナデ…

歩夢「ぁ、はぁ……!はぁ……!あ、あっ!だめ、だめぇっ」グニグニッ

ぐりっ!

―――口から出る言葉と違って、言うことの利かない指は執拗に私の秘所を擦り続けて

歩夢「ひあぁ―――っ!!」ビク、ビクッ

しずく「……」ギュッ

―――絶頂を迎えたと同時に、しずくちゃんに強く抱きしめられる

歩夢「あ……ぁ、ぁ……」ピク、ピク

しずく「……」ナデナデ

歩夢(っ、……まだ、身体が震えて……)

しずく「歩夢さん、とっても可愛いです……」

歩夢「うぅ……恥ずかしいよぉ……」

しずく「ふふっ」ポンポン

歩夢「……」ギュッ

152: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:35:18.88 ID:/ILu12nO
―――私の横に寝転んで、頭をぽんぽんと叩きつつ撫でてくれる

―――そんなしずくちゃんに、恥ずかしさを隠すように胸元に顔をうずめる

―――考えなしのその行動に、私は後悔することになる

歩夢(あ……)スン、スン

―――鼻腔に直接しずくちゃんの匂いが広がる

歩夢(しずくちゃんの匂い……さっきよりも、強くて……)

じわり…

歩夢(っ!、わ、私……嘘、でしょ……)

―――再び、触れてもいないのに股の間が少し湿っていくのを感じる

歩夢(すぅ……んぅ……しずくちゃ、んっ)サス…

しずく「歩夢さん……?」

歩夢(これ……私まだ、し足りないの……?、く、ぅ)

――― 一度付いた火はそう簡単に消えることはなく

―――絶頂を経た私のそこは、下着はもちろんのこと、スカートにも愛液が染み出している

しずく「あ……ふふっ」

―――しずくちゃんもすぐに私の痴態に気が付いて意地悪そうな顔で笑う

153: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:35:53.60 ID:/ILu12nO
しずく「……歩夢さんって、こんなにエ●チだったんですね」クスッ

歩夢「やだ……、そんなこと言わないで……っ」

しずく「そう言いながらも指は動いてますよ」

歩夢「だって……だって……、んっ」

しずく「仕方ありませんね」

―――そう言うと、しずくちゃんは私の胸に手を伸ばす

しずく「私も手伝ってあげますね」

歩夢「あっ、待って、今は……!」

ふにっ

歩夢「ひぁっ――!!」ビクン

しずく「わ……」

むにゅっ

歩夢「あっ、やっ、んんっ!」

しずく「歩夢さんの胸……柔らかくてふかふかですね」

歩夢「しずく、ちゃ……んっ」

しずく「それに、あの頃より大きい気がします」フニフニ

歩夢「やっ、変な事、あっ、言わないでぇ……」クチュクチュ!

歩夢(んぅ、しずくちゃんの手つき……優しいのに、なんとなくえ●ちで……、っ)クニュクニュ

歩夢「やっ、あぁっ、だめっ、そこ……!」ビクビク

しずく「歩夢さん、乱れる姿も素敵ですよ」

歩夢「あぁぁっ!、やっ、んぁ……っ」

154: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:36:22.41 ID:/ILu12nO
―――ゆっくりマッサージをされるように、指先から手のひらまで全部を使って

―――外側から内側へ胸を揉まれながら、激しく指を動かして秘部を慰め続ける

歩夢「んっ、んんっ!はぁ、んぅっ!」

しずく「歩夢さん……」

歩夢「ひゃっ、ぁ、しずくちゃ……んっ!?」

しずく「ちゅ……」

歩夢(ま、またキス……っ)

しずく「ん……ちゅっ」

歩夢(ぁ、だめ、舌が入って……っ)

歩夢(こんなの……、こんなの、気持ち良すぎて、私っ)

しずく「……ん、ふっ」ムニュン

歩夢「~~~~っ!!!」ビクンッ

―――口を塞がれながら声にならない悲鳴を上げてしまう

―――身体中を駆け巡る、留まることを知らない快感

歩夢(あぁぁっ!だめっ!イっちゃうっ!また、またイッちゃうっ!!)

歩夢「ひあぁっ、ん、ぁ、んんっ!!」

―――激しい快楽の波に襲われて、再び頭が真っ白になる

―――ビクッビクッと身体が痙攣して下半身からじゅわっと熱いものが溢れ出す

155: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:37:41.06 ID:/ILu12nO
歩夢「はぁ……っ、はぁ……っ」

しずく「イけました?」

歩夢「はぁ、……んん……ぅん……」

―――短時間で2回もイってしまい、脳内麻薬が大量に分泌されて

―――幸福感を得ると同時に、少しの脱力感

―――感覚がマヒして頭がぼーっとする

しずく「ふふっ……」スル、スル

歩夢「……?」

するり

―――しずくちゃんが何かをしているけれど、よく分からない

―――何か、されてるのは分かるんだけど……

はらり

しずく「まぁ……可愛い下着ですね。脱がせるのが勿体ないくらいです」

歩夢「ん……え?」

歩夢(あ……私の服……脱がせ……―――!?)

歩夢「やぁ、だめぇっ!」バッ

―――言葉にされて、なんとか回らない頭で状況を把握し、身体を守る様に捻る

―――知らないうちに既に上着は捲られ、スカートは脱がされ、まさに下着を脱がされる直前だった

157: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:38:04.25 ID:/ILu12nO
しずく「歩夢さん、隠さないでもっと見せて下さい」

歩夢「や……恥ずかしい……」

しずく「そんなことありませんよ。とても綺麗で、柔らかくて、魅力的ですよ」

しずく「だから私も、ほら……」ムニュ

歩夢「あっ……///」

ドク、ドク

―――私の手を取って自分の胸に押し当てるしずくちゃん

―――余裕たっぷりにリードしているように見えて、心臓の鼓動はうるさいくらいに落ち着きがない

―――その言葉の通り、優しい眼差しの中に確かに感じる私への情欲

―――しずくちゃんにエ●チな目で見られている

―――その熱視線が私の身体を内側から溶かすよう

しずく「ですから……ね?」サスリ…

歩夢「ぁ、ん……」

―――抱くように腕で胸元を隠し、膝を曲げて股間を隠す

―――その上から私の身体を這うように、手のひらを肩から腕へ、腕から胴へ、胴から腿へ滑らせて

―――今度は明確にいやらしい触り方で

―――でも私がいいって言わない限りは肝心な所には触れないように

158: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:38:58.69 ID:/ILu12nO
歩夢「でも……うぅ……」

しずく「私たち別に初めてってわけじゃないんですから」

歩夢「だ、だって……私、される方は初めてだもん……」

しずく「……そういうところも可愛いですよ」チュッ

歩夢「ん……もう……」

―――優しく頬にキスをしながら私を説得する

―――顔でも胸でも手でも、どこだっていい

―――しずくちゃんに触ってもらうためなら許しちゃっても……

―――少しずつそう思わされていく

しずく「歩夢さん……」スリ、スリ

歩夢「…………ぅん」

―――消え入りそうな声で返事して、全身の力を抜いてしずくちゃんの方を向くと

しずく「……ん、む」

歩夢「……っ、ちゅ」

するっ……ぷち、する、する……

歩夢「ん、ふ……ぁっ」

しゅるっ

159: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:40:01.02 ID:/ILu12nO
―――キスをされながら器用にホックを外し、ブラをずり下ろされて

ぷるんっ

歩夢「ん……ゃ、ぁ///」

ピンピン

しずく「……くすっ」

―――弾力のある胸がはずみで揺れながら露わになる

―――しずくちゃんに触られることを期待してしまっているピンク色の蕾と共に

―――それをしずくちゃんが見逃すはずもなく

しずく「歩夢さん……これは何でしょうね」ツンッ

歩夢「ぁんっ……っ、知らない、知らないっ」

しずく「こんなに触ってほしそうなのに、隠してたら身体が可哀想ですよ」ナデリ

歩夢「んっ、何、言ってるの……っ」

しずく「歩夢さん自身のほうが分かってると思いますけど」フニ、フニ

歩夢「ふ、ぁ、ぁ、し、知らないもん……」

しずく「もう、素直じゃないんですから」キュッ

歩夢「あんっ!、……っ!///」

―――しずくちゃんの細い指先が、私の乳首を軽く摘まみ上げる

―――突然の刺激に耐え切れず大きな声が出てしまう

歩夢「あぁっ、だめぇっ……んんっ」

しずく「気持ち良いですか?」コリッコリッ

歩夢「ぁっ、あぁっ!」

160: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:40:45.85 ID:/ILu12nO
―――今度は人差し指でクリクリと転がしたり、親指と中指で挟んで擦り合わせたりする

―――その度に甘く切なく、刺激的な電流が身体中を流れて、思考回路が蕩けていく

歩夢「ひぅ、んっ、ぁ、やぁ……っ、ぁぁ……っ」

しずく「ふふ……可愛い……」ツゥ…

歩夢「あっ……やっ、待って……!」

―――快楽に悶える私を見て満足げにしずくちゃんは微笑んだ後、私の首筋から鎖骨へと舌を這わせていき

―――やがて胸元まで辿り着くとしずくちゃんはそこに強く吸い付いた。

―――そして、そのまま口の中で私の胸の先端をコロコロと弄び始める

歩夢「ああぁっ、そ、それダメッ……や、やだぁ……っ」

しずく「嫌なんですか?こんなに固くなってますよ」ピンッ

歩夢「んぁっ!!」ピクンッ

―――指で弾かれ、反射的に甘美な喘ぎ声が口から勝手に出る

しずく「可愛い声出ちゃってますよ」ツンッ

歩夢「あんっ……、やっ、やだ、言っちゃ嫌ぁ……」

しずく「歩夢さんのお●ぱい、美味しいです……」チュパ

歩夢「あっ、あぁっ、んんっ、~~~っ!!」

161: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:41:50.70 ID:/ILu12nO
―――ぬるりとした舌の感触とくすぐったい吐息を肌に感じて、背筋がぞくりと震え、強い快感が襲ってくる

歩夢(しずくちゃんが……私の胸を吸って……ん、ぁ)

―――その光景がさらに興奮を高めていく

歩夢「ん、んんっ、はぁ……っ、んぅ……」

しずく「ちゅ、れろ……はむ……ん……」

―――私の反応を楽しむように緩急をつけながら先端を舐めまわす

―――時々歯を立てて甘噛みをして、時には優しく唇で包み込むように食まれる

―――それだけでも十分すぎるほどの刺激なのに

歩夢「はぁ……んん、くぅ……ぅ、んんん……」

―――しずくちゃんの左手が、もう片方の胸に添えられて揉みほぐされる

―――しずくちゃんに触られていると思うだけで、自分でするよりもずっと敏感に反応してしまう

―――それに気をよくしたのか、しずくちゃんはさらに激しく攻め立ててくる

162: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:42:26.62 ID:/ILu12nO
しずく「ちゅぷ……」レロ、チュパ

歩夢「んっ、ふぅ、ん……んんっ!」ピク、ピクン

しずく「んむ……ん……」チュ、チュパ

歩夢「んんっ、くぅ、ふぅっ……ん!!」

しずく「ふむ……ちゅぱ、んむ」

歩夢「んっ、はぁ……んっ、んぁ……あぁ……っ!」

―――既に身体は言うことを聞かなくて、ひたすら胸を愛撫されては跳ねるだけ

しずく「はむ……ん……ん……はぁ」

歩夢「んっ、はぁ、はぁ……んんっ、あ、うっ」

しずく「……ぷはぁ」

歩夢「…………ぁ」

―――しずくちゃんが口を離すと、ピンっと勃ち上がり唾液で濡れた、私のえ●ちな乳首が目に入る

歩夢「ぁ、ぁぁ……っ///」

しずく「こんなに張らせて……歩夢さんってば本当にえ●ちですね」

歩夢「ち、違うもんっ、これはしずくちゃんが……!」

しずく「ふふ、良いじゃないですか。私も好きですよ?歩夢さんとこうしているの」クリクリ

歩夢「はぅ、あっ、やぁ……!」ビクン

―――乳首の先端を指の先端でつつき、指でくるくると回すようにしながら軽く押し込まれる

163: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:43:18.96 ID:/ILu12nO
しずく「ほら、歩夢さんの身体も悦んでくれています」

歩夢「うぅ……」

―――恥ずかしさから顔が熱くなる。

―――乳首だけじゃない

―――しずくちゃんの指先が私の胸を滑る度にそこに神経が集中してビクビクと震える

―――そんな風に胸への愛撫を続けられているうちに、次第に下半身の方にもどかしさを感じ始めて

歩夢「ん……んぅ、ん……んん……」スリ、スリ

―――無意識のうちに膝をすり合わせて太もも同士をこすり合わせる

―――それでもまだ足りない、もっと直接的な刺激が欲しい、そう思った直後

しずく「……ねぇ、歩夢さん」

さわっ

歩夢「あっ!、そ、そこはっ……!」

―――私の耳元で囁きながら、しずくちゃんの手が私の股の間に伸びていく

しずく「少し見ないうちにここ、凄いことになってますよ?」ツンツン

歩夢「ひゃぅ!?」

―――ショーツ越しに、透けてしまっているくらいに濡れている私の女の子の部分に触れられる

歩夢「あっ、やぁっ……やめてぇ……」フルフル

しずく「可愛すぎますよ、歩夢さん……」ナデ、ナデ

歩夢「あっ……ぁぁ……」

164: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:44:11.75 ID:/ILu12nO
―――もはや頭を撫でられただけで、身体から力が抜けて抵抗できなくなってしまう

―――そんな私を見て満足そうに微笑んだ後、手は頭を離れ、胸を触っている手も離れ

―――そのまま私の太腿に手を置いてゆっくりと開かせる

―――そうして晒される、とろとろに解された……いや、半分は自分で解してしまって

―――しずくちゃんに愛してもらうために蜜を垂れ流していやらしく誘う、私の陰部

――― 一応まだ一枚の心もとない布で隠れているけれど、意味を成しているとは思えない

歩夢「やぁ……ぁ、あんまり、見ないでぇ……」

しずく「こんなにもいやらしいのに、見るなというのは無理です」サワ…

歩夢「あっ……ああっ、だめ……っ」

すり、すり

―――しずくちゃんが私の秘部を擦る

―――割れ目をなぞり上げるように往復する

―――愛液を吸い過ぎてぐしょぐしょに濡れた下着も合わさり、くちゃくちゃという卑猥な水音がはっきり聞こえる

165: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:45:50.06 ID:/ILu12nO
しずく「すごい音……おもらししちゃったみたいですね」クチクチ

歩夢「~~~~っ!、そんな、んっ、言わ、ないで……っ!」

しずく「歩夢さんって昔は私にとってお姉さんみたいな感じでしたけど、今はどちらかと言うと大きな子供かもしれませんね」

歩夢「はぁ、はぁ……な、何言ってるの……!?」

しずく「嘘つきで、わがままで、自分の決めたことを守れなくて……粗相をしてしまいますし」

歩夢「っ、私そんなのじゃないもん!///」

しずく「事実ですよ」

歩夢「おもらしはしてないもんっ!」プクッ

しずく「まぁまぁ、そんなに怒らないでください。いい子いい子……」ナデナデ

歩夢「その感じやめてっ!///」

しずく「えー……可愛いのに……」

歩夢「えー、じゃないよぉ!」

しずく「いいからいいから。さ、歩夢ちゃん。汚しちゃったこれ、脱ぎ脱ぎしましょうね」グッ

歩夢「あ、歩夢ちゃんって言わないで!って、あ、やっ、ちょっと待って、まだ……っ」

するっ

―――ショーツを脱がされ、外気に晒された私のそこは

―――ヒクついていてしずくちゃんを受け入れたくて疼いている

―――はしたなくいやらしくしずくちゃんにアピールしているのがバレてしまう

―――恥ずかしくて足を閉じようとするけれど、しずくちゃんが足の間にいるせいでそれもできず

しずく「…………」

―――さっきまでの私をあやすような言動はどこへやら、脱がせたっきり固まってしまったしずくちゃん

166: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:46:45.13 ID:/ILu12nO
歩夢「あの……せめて何か言って……」モジモジ

しずく「……歩夢さん、とてもエ●チなのに……その上可愛くて綺麗で、やっぱりズルいです」

歩夢「―――っ!///、もう何言ってるの、本当に……///」

しずく「言えって言ったのは歩夢さんなのに……」

歩夢「真顔で言うことじゃないもんっ」

しずく「ふふ、ごめんなさい。でも本当に綺麗ですよ」

歩夢「もぉ……」

―――冗談や揶揄いといった雰囲気はなく、真面目なトーンで褒めてくるしずくちゃん

―――この状況で、一番恥ずかしい所を見られているというのに

―――そんな顔をされては、そんなことを言われては、私は何も言えなくなってしまう

しずく「奥まで指を入れたことはありますか?」

歩夢「え?……ううん……だって」

―――予想外の事を聞かれる。あるわけない。だって

歩夢「最初はしずくちゃんに……して欲しかったから……」ギュッ

しずく「―――」

―――真っ赤になるであろう顔を見られたくないから、抱き着きながら白状する

167: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:47:38.17 ID:/ILu12nO
しずく「……嬉しいです」スッ

―――そう一言耳元で囁いた後、抱き着く私を一旦押し退けて

―――私の背後に回ったかと思うと

ぎしっ

しずく「優しく、でしたよね」ギュッ

歩夢「…………うん」

―――両足を開いて背中から密着し、後ろから抱きしめるように包み込まれる

―――背後に感じる温もりと柔らかさに安心しつつ、余裕があるように見えて未だその激しい心臓の鼓動に

―――抱いて欲しいという私のお願いを、リードすることで役割を演じてくれているのかなと感じる

―――しずくちゃんはいつも私のお願いを聞いてくれる

―――頑張り屋さんで優しくて、私に振り回されてるのに真剣に向き合ってくれるしずくちゃん

―――今も昔もずっと変わらない、私の知っているしずくちゃん

しずく「いいんですよね?私で」

歩夢「うん。しずくちゃんがいいの。しずくちゃんじゃないと嫌だよ……」

―――そう思うと、しずくちゃんの声にもちゃんと緊張が混じっているのにも気が付く

―――結局、私もしずくちゃんも、根っこの部分は変わっていないんだ

しずく「力、抜いてくださいね」

くち、くち

歩夢「う、ん……んっ」

168: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:49:00.10 ID:/ILu12nO
―――変わらないといけないものもある。でも、変わらなくていいものだってある。

つぷっ…

―――お互いを想うこの気持ちは、ずっとあの頃のまま。

―――ただ一つだけ、その強さだけは大きく変わったかもしれないけれど

しずく「……好きです、大好きです……可愛い可愛い歩夢さん」

ちゅぷ…

歩夢「ん、く……ぅ!」ビクッ

―――初めての感覚、初めて味わう圧迫感、異物が入り込んで来る違和感

―――今まで経験したことのないそれは、とても

歩夢「あ、ぁ……ん、……ぐすっ」

しずく「歩夢さん!?大丈夫ですか?痛いんですか?」ヌポ…

歩夢「や、待って……っ」ギュッ

―――私の異変にすぐさま気が付いて指を抜こうとするしずくちゃんの手を摑まえる

しずく「無理しないでください、辛いなら一度やめて……」

歩夢「ちが……ひっく、違うの……私、すごく……嬉しいの……」ポタ、ポタ

―――しずくちゃんが未だに私を好きでいてくれて、こうして愛してくれて、とても幸せなの

しずく「歩夢さん……」

169: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:51:12.84 ID:/ILu12nO
歩夢「ごめんなさい、しずくちゃん……ごめ、んね……」グスッ

しずく「……泣かないでください」

歩夢「ごめんね……っ」ポロポロ

しずく「……可愛い顔が台無しですから」

歩夢「ごめんね、ずっと、ごめんね……、ありがとう……」

しずく「今更何を言ってるんですか。そういうところも含めて、私は歩夢さんを愛しているんです」

歩夢「ふぇ、ひ、っく……」

しずく「だから謝らないでください」

歩夢「うぁ、あぁ……っ!!」

―――膨れ上がって止められない想いが涙となって溢れ出し、しずくちゃんの腕の中で泣きじゃくる

歩夢「しずくちゃん……っ、しずくちゃん……!好き、好きだよぉ……っ!ごめんねぇ、こんな私でごめんなさいっ」

しずく「泣かないで、くださいって……私まで泣けちゃうじゃないですか」

170: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:51:56.46 ID:/ILu12nO
歩夢「ごめんなさい、ごめんなさい……っ」

しずく「もう、ほら……」スッ

歩夢「んむぅ……ちゅ……はぁ」

しずく「ん……よしよし……」

―――軽く癇癪を起しかける私にキスをして

歩夢「はぁ……はぁ……」

しずく「落ち着きました?」

歩夢「………………うん」

―――頭を撫でられて落ち着きを取り戻す

―――私を子供みたいだっていうしずくちゃんの言葉を否定できないかもしれない

―――もうそれでもいいけれど

―――それでもしずくちゃんは私を愛してくれるから

歩夢「……ありがとう。もう、大丈夫だから……」

しずく「……分かりました」

171: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:52:35.56 ID:/ILu12nO
つぷぷ…

歩夢「あ、ん……」

―――しずくちゃんの指が再び動き出し、中を確かめるように探られ

―――私の身体を傷つけないように少しずつ動かしてくれている

歩夢「ん、んぅ……っ」

ちゅぷ、ちゅぷ……

歩夢「はぁ、はぁ……っ、ん、んっ」

―――初体験の不安を余所に、私の膣内は抵抗なくしずくちゃんの指を飲み込んでいく

―――背中越しに感じる体温と首筋にかかる熱い吐息に、しずくちゃんも興奮しているんだと知る

ちゅぷんっ

しずく「……大丈夫そうですか?」

歩夢「んっ、ぁ、はぁ…………うん、平気」

―――しずくちゃんの指が私の中に根元まで入り込んでいる。痛みはない

―――圧迫感はまだ少しだけあるけど我慢できる。それよりも今はもっとしてほしい。

―――お腹の奥がきゅっと切なくなって、膣内がきゅうきゅうと収縮を繰り返す。

ぬぷ、ぬぷ……

歩夢「う、ん……っ、あ、ん……」

―――しずくちゃんの細く綺麗な指が膣内を出入りし

くいっ

歩夢「あっ、そこ……っ」

―――時折中で折り曲げられ、擦られる度にびくんと腰が跳ねてしまう

172: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:53:19.75 ID:/ILu12nO
くちゅ、くちゅっ

ちゅぷ、ちゅぷっ

歩夢「あ、んっ、んぅ……!」

―――徐々に激しくなる動きに合わせるように私の声も高くなっていく

―――さっきまでの圧迫感とは違う、何かこみ上げてくるような感覚

歩夢「ん、あぁ……っ、だめ、そんなにしたら……っ」

しずく「歩夢さんが気持ちよさそうにしてくれて、私も嬉しいです」ツプン

歩夢「やぁ……っ、ん、んぅ……あ、あぁっ」

―――しずくちゃんの言葉に反応できない。口を開けば喘ぎ声しか出てこない。

くちゅ、くちゅ、くちゅ、くちゅっ

―――下からはぐちゅぐちゅになった私の陰部が絶えず卑猥な音を鳴らし続ける

歩夢「や、激し……ぃ、んぁっ!そ、こ……っ、だめぇ……」ビク、ビクッ

――― 一定のリズムで私の中の弱い部分を的確に刺激される

―――しずくちゃんに与えられる快楽に身を委ねるしかなくて

―――今だけ私は、甘い声といやらしい音を発するだけの、しずくちゃんに可愛がられるだけの存在

しずく「可愛いです……歩夢さん、大好きですよ」

―――ただしずくちゃんにそう言ってもらいたいだけの存在

173: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:54:54.28 ID:/ILu12nO
歩夢「はぁ……ん、しずくちゃん……っ、しずくちゃ……んぅっ!」

しずく「イっちゃいそうですか?」

歩夢「……っ!」コク、コク

しずく「でしたら……」ピタッ

ぬぽ…

歩夢「んん……っ、ぁ……え……」

―――それを確認すると、何故か指を止めて引き抜いてしまうしずくちゃん

歩夢「しずくちゃ……はぁ、……はぁ……、どう、して……」

しずく「……」スッ

―――そのまま無言で立ち上がり、ベッドから降りようとする

しずく「……」

歩夢「え……どこ行くの……?、ねぇ……いじわる、しないで……」

しずく「んー……どうしましょう。私は散々いじわるされましたけど」

歩夢「やだ、そんなこと言わないで……お願い……」

しずく「なんて。違いますよ、私も……」

174: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:55:36.95 ID:/ILu12nO
するっ

シュルシュル…

パサッ

歩夢「あ……」ドキッ

しずく「私も、歩夢さんと一緒になりたいんです」

―――しずくちゃんも衣服を脱ぎ棄て、私と同じように裸になる

―――スタイルも良くて女性らしさが増した、昔よりも遥かに魅力的な姿に目を奪われる

―――白く透き通るような肌。私にたくさん触れて、興奮してくれて、顔は赤く火照っており。

―――その腿に伝う、透明な体液までもが美しい

歩夢「しずく、ちゃん……」ドキ、ドキ

しずく「もう……歩夢さんのえ●ち。じっと見過ぎですよ……?」

歩夢「だ、だって……しずくちゃんならこの気持ち、わかるでしょ?」

しずく「まぁ……分かりますけど……」

175: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:57:00.74 ID:/ILu12nO
―――そうして再び私の正面まで来て

しずく「歩夢さん……」

―――足を開かされ、そこにしずくちゃんが入り込んでくる

ぎゅっ

―――両手を取られ、握って、離れないようにしっかりと指を絡める

歩夢「うん…………来て」

―――身体を捻りながら足を開いて、私と交わる様にしながら詰めてくる

―――少しでも密着できるように私からも足を開いて……

ぴとっ

しずく「…ぁ、……っ」

歩夢「っ、ん……」

―――女の子の部分が重なり合った瞬間、同時に吐息交じりの声が漏れる

―――お互いの熱が伝わり合う。ぴったりとくっ付いてしまったそこは、自分の熱か相手の熱か、もう分からない

しずく「……ちょっと……いえ、かなり……エ●チ、ですね」

歩夢「そ……そうだね……」

―――視覚的な衝撃が強く、二人して顔を合わせた後、少しの間その光景を眺めてしまう

176: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:57:41.89 ID:/ILu12nO
しずく「動いて、みます?」ドキドキ

―――そろそろ慣れてきたかも、という頃合いでそう切り出すしずくちゃんに

歩夢「うん……」バクバク

―――私も頷いて、どちらともなく腰を動かす

すり……ぷちゅ……

しずく「ぁ……ぁん……、歩夢、さん……」

歩夢「しずくちゃ……っ、これ……っ」

ぴちゃ、ぴちゃ、ぬちっ

―――少し擦り合わせただけでも水音が鳴り響く

―――先ほどとは違って今度はそこにしずくちゃんの声と直の温もりが交じり

―――押し付けながら横にずらして回して、感覚を確かめながらゆっくりと、私としずくちゃんの愛液を混ぜる

ぬちゃ、ぬちゃっ

しずく「はぁ……んっ、……んっ」グ、グッ

歩夢(しずくちゃんも、こんなに……、興奮、してくれて……っ)ピクン

しずく「あっ、ぁん、あんっ!」

にちゅっ、にちゅっ

歩夢「や、しずくちゃんっ、んんっ!」

177: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:58:23.51 ID:/ILu12nO
―――慎重になっていたのは最初の十数秒だけで、そこから先は私もしずくちゃんも遠慮なしに腰を動かしていた

―――初めてする行為なのに、こうすることが当たり前かのように激しく本能が求める

歩夢「ぅ、んあ……っ!……んっ!」

ぬちゅ、ぬちゅっ

しずく「あゆむさ、ぁ……あっ!んぅ!」

ぎしっ、ぎしっ

歩夢「んぁ……!しずくちゃ……んっ!」

―――しずくちゃんの動きに合わせたり、あえて少しずらしたり

歩夢「はぁ、はぁ……んっ、ぁあっ!」ニュルッ

―――頭の中は少しでも気持ちよくなるようにしずくちゃんのおまたに自分のそれを擦りつける事しかなく

しずく「ふ、ぁ!、んっ、んっ……!」ギュッ

―――しずくちゃんも私の手をしっかり握って、一瞬たりとも密着した陰部が離れないように強く引っ張ってくる

178: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 02:59:29.62 ID:/ILu12nO
歩夢「ひぁっ!、あっ!!」ピクン

しずく「んっ!、あっ、ここ、ですか……っ?」グッ

にゅる、にゅるん

歩夢「やっ、あっ!そ……そこっ!だめぇ!」

―――快楽に貪欲になった私としずくちゃんは、ただ腰を動かすだけでなく

しずく「ぁんっ!!」ビクッ

歩夢(っ!!、ここが……、いいんだね……っ)クチュ

―――なんとなくだけれど的確に陰核同士が擦れるように、目を見て、反応を見て

―――相手が気持ちよくなるタイミングで自分も気持ちよくなりたい

―――そんな想いで身体を重ね続ける

―――お互いの性器が溶けてしまいそうなくらい、熱く、熱く、何度も。執拗に。

歩夢「ぁ!んぁ……、はぁ……はぁ……!」ズリ、ズリ

しずく「ん……はぁ……、ん……はぁ……!」ギシ、ギシ

歩夢「しずくちゃ……んっ!」

しずく「ぁ、んっ、歩夢さんっ!」

歩夢「もっと、もっとっ!」ニュッチ、ニュッチ

しずく「は、いっ、ふぁ、あっ!んんっ!」ニュルン、ニュルン!

歩夢「んっ、しずくちゃん!、っ、すきっ、あ、ぁんっ!」

しずく「っ、わたしもっ、んっ、ぁ、あいし、てますっ!」プチュ、プチュ!

歩夢「うんっ、あぁ!、だい、すき……っ!!」ズリュ、ズリュッ!

179: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:00:30.42 ID:/ILu12nO
ずりゅんっ!

―――ひと際大きく互いのクリ●リスを弾いて、弾かれた瞬間

歩夢「ふぁ―――っ!!!」ビクンッ

しずく「んぅ―――っ!!!」ビクビクッ!

―――同時に、身体を大きく仰け反らせながら震える

歩夢「はぁ……はぁ……はぁ……っ!」ビクン、ビクン!

しずく「はー……はー……はー……」ピク、ピク!

ぎゅっ

―――しずくちゃんも私もぐったりと倒れ込むようにして重なり合って、荒くなった息遣いを抱きしめ合って落ち着かせる

―――しずくちゃんと一緒にイけた。私と一緒にイってくれた。

―――今日は、しずくちゃんと一緒ならなんだっていい

―――違う、どんなことでもしずくちゃんと一緒がいい

歩夢「はぁ……はぁ……しずくちゃん……」ポー

しずく「……歩夢さん、……んっ」

―――惚けてしずくちゃんを見つめていたらキスをされる

歩夢「ん、ぁむ………ちゅ……」

―――息も絶え絶えなのに、整うのも待たずに

しずく「んっ……ん、ちぅ……」

―――でも、その息苦しさが気にならないくらいの幸福感が勝る

180: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:01:12.58 ID:/ILu12nO
歩夢「ん……、ちゅる……ん……」

しずく「……ん……ぷは……」

歩夢「……ぁ……」

しずく「はぁ…………ふふ……」ニコ

―――唇を離すと、穏やかな笑顔を向けられて

歩夢「…………ん」

しずく「……ぁ、んむ……」

―――今度は私からキスをする

歩夢「……ん……ちゅ、ちゅ……れろっ」

しずく「……ん……、ぁむ……ちゅぅっ……」

―――舌を差し入れると、すぐに絡めてきて

歩夢「ちゅ……ん、ぷはっ……しずくちゃん……」

しずく「……ん、なんですか?」

歩夢「……ううん、名前呼びたくなっただけ」

しずく「……そうですか」

歩夢「うん……」

しずく「……」

歩夢「……」

すっ……

ちゅっ

―――そうして数秒見つめた後、どちらかが短いキスをして

―――また離れては数秒見つめて、を繰り返し

―――身体を重ね愛し合った後の、この心地よい余韻をしばらくの間楽しんだ

――――
―――
――

181: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:03:04.17 ID:/ILu12nO
―――事が終わって少し落ち着いたあたりで

歩夢「ねぇしずくちゃん。1つ聞いてもいいかな……?」

しずく「なんですか?」

―――今なら、今しか聞けなさそうな、ずっと気になっていたこと

歩夢「このお揃いの指輪、どうしてテレビに出る時は外してるのかな、って……」

しずく「あ……」

―――もしかしたら他に好きな人が……とか、もう私の事を……とか

―――私の自業自得だから、それなら仕方ないって思った

―――思うしかなかったけれど、今日の様子からして違う気がしたので勇気を出して聞いてみる

しずく「…………自分で言うのも何ですか私、一応それなりにファンがいるんですけど」

歩夢「うん」

しずく「その……たまに見かけるんです。私が身に着けていたから同じアクセを買いましたっていうの」

しずく「ですから万が一、これもどこかの誰かの目に留まって真似されてしまうと……嫌だな、と」

歩夢「あ……そういう……」

しずく「これは私と歩夢さんとだけのお揃いの……大事な指輪ですからね」

―――ぎゅっと指輪を握り込んで、それを胸の前に。

歩夢「そっか……えへ、えへへ……そっかぁ……」

しずく「……もしかして私、疑われてたんですか?」

歩夢「うっ……だ、だってそんなのわかんないもん……」

しずく「……」ジトー

歩夢「ご、ごめんね……」

しずく「……ふふ、歩夢さん今日は謝ってばかりですね」

歩夢「もう、本当に……頭が上がりません……」



182: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:04:14.57 ID:/ILu12nO
歩夢「あ……もうこんな時間……」

―――夢中で愛し合って、その余韻にしばらく浸りながら言葉を交わし、気が付けばもう夜更け前

しずく「……よろしければ泊まっていかれますか?」

―――とっても魅力的な提案だけど

歩夢「……ううん。明日は休みじゃないから」

しずく「……そうですか」

歩夢「……うん。そろそろ帰るね」

しずく「……途中まで送っていきますよ」

歩夢「い、いいよ、大丈夫」

しずく「私がしたいんです、送らせてください」

歩夢「……じゃあ、お願い」

しずく「はい」



183: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:05:51.06 ID:/ILu12nO
―――夜道。都会と言えどさすがに平日のこの時間、街はずれの道、人の姿は疎ら

歩夢「……」

しずく「……」

―――気持ちも言葉も身体も、もう繋ぐものは全部繋いでしまって

―――特に話すこともなく歩き続ける

―――名残惜しい気持ちはあるものの、不安な気持ちは無い

―――ただ一つだけ、はっきりさせていいものかどうか分からないものはある

―――今後、私たちはどういう関係になるのか……聞いてもいいのかな……

歩夢「あ……」

しずく「?」

―――それに関連して、もう一つ引っ掛かることを思い出した

歩夢「そういえばしずくちゃん、私に会いたくなかったって言ってたけど」

しずく「言いましたね」

歩夢「それなら私を見つけた時、どうして走って逃げなかったの?」

しずく「…………」

歩夢「……も、もしかしてだけど……本当は追ってきて欲しかった……とか……?」

しずく「…………っ!!///」

―――あ、これ聞いちゃいけなかったやつかも

184: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:07:54.55 ID:/ILu12nO
しずく「いや私、言いましたよね?目立ちたくないって。あんな人通りの多い中急に走ったら目立つじゃないですか」

歩夢「うん、うん」

しずく「なんですかその顔。勘違いしてませんか?違いますからね?歩夢さん、分かってます?」

歩夢「うん、分かってるよ?」ニコニコ

しずく「っ、だから!」

―――明らかに動揺して捲し立てるしずくちゃんを見て

―――なんだかはっきりさせなくてもいいような。時間が解決してくれるような。

―――そんな気さえした、その瞬間

「あの、すみません」

歩夢「えっ?」クルッ

―――急に話しかけられ、その声に反応して振り向こうとしたら

しずく「―――!!」グイッ

歩夢「きゃっ」

ぽふん

しずく「……」ギュッ

歩夢「え、し、しずくちゃ―――」

しずく(しっ。少し黙ってください)ボソッ

185: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:08:46.53 ID:/ILu12nO
―――急に腕を引っ張られて、しずくちゃんの胸元に顔を埋めさせられる

―――両腕で抱きしめられてしまって、かろうじて見えるのはしずくちゃんの顔くらい

「えっと、大丈夫ですか?」

しずく「はい、お気になさらず」

歩夢(え?え?)

―――いい匂いだとか柔らかいだとか、意識する余裕もないくらいのしずくちゃんの張りつめた顔

歩夢(何?一体何が……)

―――この理解できない状況とその疑問はすぐに解決することになる

しずく「それよりどちら様ですか?」

「……これは失礼いたしました。女優の桜坂しずくさんですよね?私、こういうもので」

しずく「……週刊誌の方が何の御用でしょう」

歩夢(―――!?)

186: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:10:30.52 ID:/ILu12nO
―――恐らく名刺を渡されたであろうしずくちゃん

―――私にも状況が分かるように口に出してくれて

歩夢(なんで……しずくちゃんだってバレて……って、それって、もしかして……!)バク、バク

―――これってよくニュースとかで見る、熱愛現場を押さえられたというやつでは……?

歩夢(あ……え、……どうして……どうしよう、どうしたら……)ドキ、ドキ

歩夢(いや、別にキスを見られたわけでも、エ●チを見られたわけでも……ただ一緒に歩いていただけで)

歩夢(私と……プライベートで友達と一緒に歩いてた体で……)

「いえ、お二方、今日は一日中一緒におられたみたいで……仲、よろしいんですね」

しずく「……随分お詳しいようで。いつから見てたんですか?」

「そちらの方が、桜坂さんを追って捕まえたところを偶然見かけまして」

しずく「……凄い偶然ですね」

「えぇ、実はタイミングは良い方なので」

歩夢(!?……しずくちゃん、張られてたってこと……?)

―――じゃあその後も見られていた……?

――― 私から誘って一緒に喫茶店に行ったのも

―――泣きながらしずくちゃんに縋りついたところも

―――しずくちゃんがそれで泣いてしまったところも

―――そのまましずくちゃんの家に連れていかれたところも

―――そして抱きしめられている今この瞬間も。そんなの、明らかに

187: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:12:17.01 ID:/ILu12nO
「ご友人、というには随分と……アレかなと思いまして、気になってしまったもので」

歩夢(……っ)

―――いくらはっきりとした現場を見られていないとはいえ、状況的に誤魔化しがきかない

―――この場で否定したら記者も引き下がるかもしれない

―――でもこの様子だとある事ない事書かれて、スキャンダルにはならないにしても絶対に噂にはなる

しずく「……もう夜も遅いんです。ご用件があるのならはっきり仰ってください」

「……では単刀直入に。お二人はお付き合いをされているんですか?」

しずく「…………」

「……沈黙は肯定、と受け取ってよろしいですか?」

歩夢(……わ……私が、否定しないと……!)

歩夢(私たちはなんでもないです、って。知り合いではあるけれど、無理言って付き合ってもらったって……)

歩夢(しずくちゃんから何か言わせるより、せめて私が勝手に迷惑かけたって感じにしたら……)

歩夢「わ、わた―――」

ぎゅっ

歩夢「んむっ」

―――意図したのかどうかは分からないけれど、しずくちゃんにより強く抱きしめられて口が塞がる

―――お願い離して、早く言わないと

歩夢(し、しずくちゃ―――)

188: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:13:41.13 ID:/ILu12nO
しずく「はい、付き合ってますよ。こちらの女性は私の恋人です」

「……!」

歩夢「―――!?」

「……え、あ、……そうなんですね……?」

―――記者の人も、あまりにあっさり認めるから面食らってしまっているかのよう

「あっ、是非お話を詳しく―――」

しずく「とりあえずその後ろの方、カメラを仕舞って下さい。この人は一般人なんですよ」

「―――、そうですね。これは失礼しました。ほら、仕舞って……こほん。録音はしても?」

しずく「……時間も時間なので、すぐ終わるという条件でなら」

歩夢「な、なんで……しずくちゃん、そんなことしたら……!」

しずく「いいから、ここは私に任せてください」

歩夢「でも、でも……!」

しずく「……大丈夫ですから」

「……録音準備が整いました。では、少しだけお付き合いください」

しずく「はい。なんなりと」



189: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:15:44.51 ID:/ILu12nO
――― 一通りインタビューが済んで、週刊誌の人は去っていって

―――私は気持ちの整理がつかず、さっきまでの幸せな気持ちはどこにもなくて

しずく「はぁ……見つかっちゃいましたね」

歩夢「なんで……しずくちゃん……」

―――しずくちゃんは、何故かすっきりした様子で

歩夢「どうしてあんなこと言っちゃったの!?明らかに怪しまれるけど、こういうのは否定はしないと!!」

しずく「うーん、まぁそうですね。普通は」

歩夢「なんでそんなに落ち着いてるの!?」

しずく「別に不倫しているわけでもありませんし。アイドルでもないのでやましいことはありませんから」

歩夢「で、でもしずくちゃんは一応清純派として売ってて!ファン層的にもほとんどアイドルみたいなものじゃないの!?」

しずく「んー、事務所の方には怒られちゃうかもしれませんね」

しずく「それに私はまだまだ若いので、こんな勝手なことをしたらもしかしたら干されちゃうかも」

歩夢「―――っ!……しずくちゃんっ、こんな時に、何考えて……ふざけ……ないで……」

―――なんで、私がしずくちゃんに怒ってるの?

―――言うべき言葉が違うでしょ

190: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:16:37.82 ID:/ILu12nO
歩夢「……しずくちゃ……ご、ごめ……っ、私……私が、今日……しずくちゃんを追わなければ……」ウルッ

しずく「……」

歩夢「あれだけ……しずくちゃんの邪魔はしないって、言ったのに……ひっ、く、結局……!」

しずく「……」

歩夢「ごめん……なさい、しずくちゃん……ごめんね、ごめんね……!」グスッ

―――何のためにあの時、しずくちゃんを振ったの?

―――私は何をしているの?できないことを無理してやって、全部台無しにして……

歩夢「もう、私―――っ」

むにっ

―――後悔と罪悪感に押しつぶされそうになった私は何故か、両頬を引っ張られる

歩夢「……ふへ?」

しずく「またそんなことを言うんですか、この口は」ムニムニ

歩夢「い、いひゃぃ……ひゃめてぇ……」

しずく「次歩夢さんがご自分の事を邪魔だなんて言ったら私、本気で怒りますからね」ムニィ

歩夢「ひゃ、あ、ごめんな、ひゃい……」

しずく「よろしい」ニコ

ぱっ

191: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:18:06.36 ID:/ILu12nO
歩夢「しずくちゃん………さっきの事、怒って……ないの?」

しずく「……まぁ、怒ってはいますよ」

歩夢「…………ならどうして、そんなに落ち着いてるの?」

しずく「……でも私が怒ってるのは今の事とは関係ありませんし。もっと昔からですから」

歩夢「え……?」

しずく「いいですか?一度だけ言いますから、よーく聞いてくださいね」

歩夢「う、うん」

しずく「すぅ……」

―――そういうとしずくちゃんは、大きく息を吸い込んで

しずく「―――歩夢さんの大馬鹿!!私の幸せを勝手に決めないでください!!!」

歩夢「っ!!?」

―――恐らく5年間溜め込んだ、渾身の文句を叫んだ

192: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:19:29.01 ID:/ILu12nO
しずく「あぁー、すっっっきりしましたっ!!」

歩夢「え…………っと…………」

―――私の方はどうしたらいいのか分からなくて固まる

しずく「まぁ、それだけです。これで許してあげます」

しずく「今日はたくさん歩夢さんに謝っていただきましたし、可愛い姿も見せていただいたので」

歩夢「へ……あ……ありが、とう?」

しずく「どういたしまして」

―――???

―――ともかく許されたので、もうこれで

歩夢「……って、違うよ!何も解決してないよ!?」

しずく「あ、そうでしたね。どうしましょう、私」

歩夢「だからどうしてそんなに軽いの!?しずくちゃん、今後女優としてどうするの!?」

しずく「それでしたら、仕方ないので女優やめようかなって思ってます」

歩夢「ふぇ!?」

しずく「後ろめたくはないと言ってもさすがにイメージダウンするでしょうし」

歩夢「だ、だからってそんな、極端すぎるよ!だめだよ!」

しずく「……歩夢さんが言うんですか?」

歩夢「……あ、ぅ……」

―――確かに。

193: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:21:23.40 ID:/ILu12nO
歩夢「でも……まだどうなるか分からないのに、別に自分から辞めなくても……」

しずく「この仕事、イメージが大事なんですよね……人前に出なければいけないので」

しずく「これまで清純キャラとして事務所に売り出されてきて」

しずく「恋人なんていなかったし、そういうの知らない~みたいな事たくさん言ってきたので」

しずく「きっとたくさんネットで叩かれて、私みたいな新人女優は参ってしまいますね……」

しずく「きっとやめた後も、目撃されてはSNSなんかに書き込まれて、ゆっくり生きていけないかも」

歩夢「うぅ……」

しずく「というわけで、私は晴れて職を失うわけですけど」

しずく「どこかで働くにしても顔がバレているのでいろいろと不便そうですね……困りました」

歩夢「……ご、ごめ―――」

しずく「はぁ……どこか静かに働けるところで雇ってもらえないかなぁ……例えば小さなカフェとか」チラッ

歩夢「えっ」

しずく「路頭に迷う私を貰ってくれる、素敵な人がいたらいいのになぁ」チラチラ

歩夢「しずく、ちゃん?」

しずく「今いるマンションも高すぎてさすがに住めないので、どこかに引っ越さないといけませんね」

しずく「あ!でもそういえば昔、いつでも来て良いよって言ってくれた方が居たような」チラッ

歩夢「…………」

―――唐突に芝居がかったような言動。ひょっとして。まさかとは思うけど。

歩夢「……ねぇしずくちゃん」

しずく「あら歩夢さん、居たんですか。どうかしました?」

歩夢「―――!、やっぱりっ!!」

194: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:24:16.12 ID:/ILu12nO
歩夢「しずくちゃん、わざとなの!?そうなんだね!?」

しずく「さぁ、なんのことですか?」

―――つまりは、ここまでしずくちゃんの織り込み済み

―――見つかって、スクープを取られて、私の存在を言い訳に女優引退

―――原因が私なので、その私がとやかく言える権利を失うこの状況こそが。

―――もしかしたら、私から走って逃げなかったのも最初からこっちが目的で……?

歩夢「……っ!しんっじられない……!嘘でしょ!?……どこから!?どこまで!?」

しずく「……ふふ、私にはさっぱり」ニコッ

歩夢「あぁ……もう……」

しずく「一つだけ言わせてもらえるなら。私は好きな人と添い遂げるためならなんでもしますよ」

しずく「簡単には引き下がれませんね」

歩夢「―――、…………そう、だったね……しずくちゃんは、そっち派だったね」

歩夢「……幸せを勝手に決めないで、かぁ…………うん、そうだね……私、何様だったんだろうね……」

―――はぁ。しずくちゃんには敵わないかも。

しずく「……で、歩夢さん。私の事、貰ってくれますか?」

歩夢「そんなの……もちろん。むしろ、お願い」

ぎゅっ

―――しずくちゃんの目を見て、手を取って

歩夢「もう信じてもらえないかもしれないけど……私はもう、絶対にしずくちゃんを一人にしないから」

歩夢「ずっと一緒にいるって、今度こそ約束するから……私と一緒に、生きてください」

しずく「っ、……あは、もう、ズルい人です。私が歩夢さんのお願いを断れないの、知ってるくせに」ジワッ

歩夢「じゃあ……」

しずく「……ぐすっ……はい、よろしくお願いします」ニコ

歩夢「―――っ」ガバッ

ぎゅっ……

――――
―――
――

195: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:25:51.48 ID:/ILu12nO
―――それから数か月

―――しずくちゃんは週刊誌の情報が出るとほぼ同時に本当に女優を引退してしまって

―――文面での引退発表が報道された後、唐突過ぎて、衝撃的過ぎて

―――ファンの方々の悲しみの声の方が大きく、変な荒れ方をすることもなかった

――― 一般人として静かに暮らしたいので、という一言のおかげか

―――やめた後にしずくちゃんの周りに付きまとうような人も現れず

―――私が危惧していたよりずっと、しずくちゃんの選択は正しかったかもしれない

―――女優を続けようとしなければ、という条件付きで。

―――そして、今

―――しずくちゃんは私と一緒に暮らしていて……

196: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:26:44.78 ID:/ILu12nO
カランカラン

しずく「いらっしゃいませ♪」

侑「しずくちゃん、久しぶり!」

ミア「や、しずく」

かすみ「やっほ、久しぶりしず子」

しずく「みなさん、お久しぶりです」ペコッ

侑「……あれ?」キョロキョロ

ミア「歩夢は?いないのか?」

しずく「……あー……一応、奥にいるんですけど」チラッ

「……っ!」サッ

かすみ「……なにしてんの?あれ」

しずく「……かすみさんが来るって聞いてからずっとあんな感じ」

かすみ「……あ、そ…………。ここに連れてきて」

しずく「了解♪」

197: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:28:36.76 ID:/ILu12nO
ズルズル

歩夢「いやぁぁ!やだぁぁ!!かすみちゃん許してぇ!!」

しずく「完全に駄々っ子じゃないですか……ほら、大丈夫ですから」

歩夢「やだぁ!かすみちゃんに絞められる!助けてしずくちゃん!お願い!」

しずく「絞められるだなんて口が悪いですよ。今回ばかりは聞けません」

歩夢「そんな!話が違うよ!うそつき!」

しずく「私たち似たもの同士ですね、嬉しいです」グググッ

歩夢「いやぁぁぁ!」

侑「なにあれ、あんな歩夢初めて見た」

ミア「What a surprise……かすみ、歩夢に何したのさ」

かすみ「いや何もしてないけど……」

しずく「ほーら、覚悟決めてください」グイッ

歩夢「ひっ!」ビクッ

かすみ「……」

歩夢「……あ、あはは……こ、こんにちはかすみちゃん……」

かすみ「……こんにちは」

198: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:31:32.74 ID:/ILu12nO
歩夢「……あ、あの……その……ご、ごめんね、私、やっぱりしずくちゃんが……」

かすみ「…………しず子が女優やめる時、どんな様子でした?」

歩夢「……え?……え……っと?」

かすみ「泣いていたか、笑っていたか、です」

歩夢「…………」

―――今でも鮮明に記憶に残る、数か月前のやりとり

―――確かに、最後の最後、泣いてはいたけれどあれは別に悲しみの涙じゃなかったから

歩夢「わ……笑ってた、かな」

かすみ「……そうですか」ジー

歩夢「……う、うそじゃないよ?」

かすみ「そんなの見ればわかりますよ。…………うん、合格っ」

かすみ「だから……かすみんも歩夢先輩を許します」

歩夢「え……」

侑「今更過ぎる」

ミア「やれやれ」

かすみ「そこ、うるさい!」

歩夢「……怒ってないの?かすみちゃん、しずくちゃんに近づくなって……」

かすみ「……『そんな顔して近づくな』ですよ。今の歩夢先輩の顔なら、合格です」

歩夢「あっ……うぅ…………かすみちゃん……ふぇ……ありが、とう……」ウルッ

かすみ「ちょ!?」

199: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:32:55.40 ID:/ILu12nO
しずく「あー!もう、かすみさん!歩夢さん泣かせないで!最近すぐ泣くんだから!」

かすみ「えぇ!?しらないよっ」

歩夢「ふえぇ……しずくちゃ……、私……、良かったよぉ……っ」

しずく「だから言ったじゃないですか、大丈夫って」ナデナデ

歩夢「うん、うんっ……やっぱり私、しずくちゃんの言う通りにするぅ……」ギュッ

しずく「よしよし、いい子いい子」ナデナデ

侑「……私の知らない歩夢としずくちゃんが居る」

ミア「……これがバカップルってやつか」

かすみ「ミア子、正解」



200: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:35:32.25 ID:/ILu12nO
―――しばらく談笑して3人が帰った後

―――他のお客さんも居なくなり、店内に二人だけ

しずく「良かったですね、かすみさんに許してもらえて」

歩夢「……うん」

しずく「……元気ありませんね。もしかして、また気になっちゃいましたか?」

歩夢「だって……本当にもう許してくれたの?5年もしずくちゃんを突き放した私を」

しずく「……何度も言いましたが、たった5年じゃないですか。この先何十年あると思ってるんですか?」

歩夢「でも……」

しずく「歩夢さんとお付き合いして、スクールアイドルを全うして、演劇を続けて……」

しずく「夢だった女優にもなれて、若いうちにたくさんの役をやらせていただいて」

しずく「これからは歩夢さんと一緒に生きていける……これだけ自分の好きな事をやらせていただいてるんです」

しずく「5年の間、本当にやりたいことができなかったのは歩夢さんの方ではありませんか?」

歩夢「……そんなの、私は……それが私の罰みたいなもの、だから……」

しずく「だとしても……一つくらい、自分のわがままを貫き通しても許されると思います」

しずく「私はとっくに許しました。かすみさんも許してくれました。なので……」

ぎゅっ

しずく「―――歩夢さんも、いい加減自分を許してあげてください」

歩夢「ぁ―――」

―――そっか……私、ずっとそう言われたかったのかな……

―――時々こうやって感傷に浸っては確認して、しずくちゃんに慰められていて

―――でも今日は、更にもう一言付け加えてくれた

―――しずくちゃんに許されるだけじゃどこか晴れなかったこの気持ちは

―――かすみちゃんに許してもらっても、まだ足りなくて

―――多分、自分自身を許す許可を貰えることを待っていたんだ

201: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:36:48.93 ID:/ILu12nO
歩夢「うん…………ありがとう……」

しずく「…………もう、大丈夫そうですね」

歩夢「……しずくちゃんは、私の事なんでも分かってくれるんだね」

しずく「……私の憧れの女性ですから。ずっと見てますからね、今も昔も」

歩夢「……ふふ、そうだったね」

―――私はもう、しずくちゃんが居てくれたら間違えない

―――私の幸せがしずくちゃんの幸せで

―――しずくちゃんの幸せが私の幸せ

―――それさえ分かっていれば、きっと。

カランカラン

歩夢「あ、お客さん」

しずく「もう一仕事、しましょうか」

歩夢「うんっ」

「「いらっしゃいませ♪」」

おわり

202: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:38:42.12 ID:/ILu12nO
お読みいただいた皆様ありがとうございました。

203: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:43:32.91 ID:8NxUIHNU
おつ
あゆしずは珍しいから良かった

204: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:44:12.06 ID:Dbmf1GkU
読み応えのある素晴らしい作品でした。
本当に最高でした。
夜遅くまでありがとうございました。

205: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 03:44:44.37 ID:C7ChDmL9
本当に良かった
個人的には年末になっても今年良かったSSベスト3には確実に残ると思う

206: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 04:08:34.35 ID:0OUIjNgl
大人虹ヶ咲ガチで好きなのでめちゃくちゃ良かったぜ!!!

207: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 07:01:44.08 ID:inBeK8LA
歩夢の別れた癖にアクセつけてないの?とか言い出す図々しさが凄く好き

208: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 07:30:41.76 ID:/SvbbH9H
いい意味で歩夢としずくのダメなところ出まくってて好き

209: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 08:31:24.79 ID:UWWZ9gux
ぽむしず尊い…😇
最高のSSありがとうございました😊

210: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 08:35:14.01 ID:QYc3q3mL
一気に読んじゃったわ
おっさんだけどキュンキュンした

211: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 09:08:41.24 ID:vBlHPMWO

滅茶苦茶良かった

212: 名無しさん@トレンドロケット 2023/02/07(火) 10:03:57.71 ID:TDGXFE5+
jΣミイ˶^ ᴗ^˶リ👍素晴らしいですね

引用元:https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1675693290/



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