【SS】かのん「結女のトレンド1位が『禁断のセカイ』になった」【ラブライブ!スーパースター!!】
夏美「王子様、ご機嫌よう。今日もお美しいですの!」
メイ「むっはぁ~! 王子様だぁ~~~…今日もたまんねぇ~!」
かのん「なんか急に結女の雰囲気変わっちゃったね…」
千砂都「お嬢さま学校ってこんな感じなのかな…?」
ヤエ「王子様😄」 四季「王子様😙♪」
ココノ「王子様😉」 理事長「王子様…🥰///」
「王子様~~~~~~~~~~~~~~!!!」キャアアアアアアア!
かのん「うわっ!? みんなこっちに走って来るよ!?」
千砂都「逃げよう!」ギュッ…
――新設の女子高校に『禁断のセカイ』旋風が吹き荒れる
――これは……とあるお姫様が王子様に恋をするお話
かのん「演劇…ですか?」
理事長「ええ、神宮音楽学校時代の風習なんですがね…
神宮音楽学校にあったとある習わし
それは全校生徒の中から選抜された数名で行われる演劇祭
音楽学校ならではの美声や踊り、演出を駆使した物語は地域住民からも注目されていました
特に投票で選ばれる主役の1名は全校生徒から慕われ、憧れの的となっていたのです…
………まぁ昔の音楽学校なんてのはお嬢様校だったわけですし、そういう行事もあったのですよ」
ナナミ「なんで今更そんなイベントをまたやろうって話になったんですか?」
理事長「それは…」
恋「お金の為です…」😭ションボリ
理事長「神宮音楽学校のOGから演劇祭の復活を条件にした寄付金の申し出が来ていまして…」
理事長「母校の伝統がまた見られるなら是非、という声が複数出ているのです」
理事長「お金は本当に大事です。部費も潤沢に出せていないのはみなさん知っていますよね?」
きな子「結構ガチめな理由だったっす…」ズーン
ナナミ「会計として耳が痛いよ…」
恋「世の中お金なのです😩」🍊🥤
かのん「それで母校の伝統の復活、かぁ……」💭
――1年生の時の騒動を思い出す。この学校は恋ちゃんのお母さんが体を壊してまで創設したんだよね
――きっと、なくなった母校や伝統に強い想いがあったからなんだろうなぁ…
恋「お金は大事です。それにこれは結女の良さをOGや地域の方に見せるチャンスでもあります」
恋「是非とも伝統のイベント、演劇祭を復活させようではありませんか!」
恋「やりましょう! おーー!!」✊ピョーン
かのん「?? 恋ちゃんなんかえらいやる気だね…?」
きな子「恋先輩…?」
恋「実は演劇の脚本は私と共通の趣味を持つ友人に既に書いてもらっているんですよね」ワクワク
恋「」💭jΣミイ˶º ᴗº˶リ
恋「王子様とお姫様による感動物語になる予定です!」ニコニコ
きな子「鉄板の内容っすね! 楽しみっす~~~!」
かのん「…なんか嫌な予感がするんだけど…!?」
恋「♪~~~~~♪~~~」フンフフーン
千砂都「うぃっすー! かのんちゃん今日も生徒会あるんでしょ?」✌
かのん「うぃっすー! 演劇祭をすることになったからね」✌
千砂都「部活の方は私に任せといてよ。みんなはビシバシ鍛えておくからさ!」
――四季ちゃんメイちゃん夏美ちゃんの悲鳴が思い浮かぶなぁ…😅
千砂都「演劇祭ね~。よく分かんないけど楽しそうだね!」
かのん「うん。OGの人たちも楽しみにしてるし結構やりがいあるなって思ってるんだよね」
かのん「恋ちゃんかなーり張り切ってるし、私も頑張らないと!」フンス!
千砂都「そっかぁ…。生徒会入って良かったね!」ニコッ
かのん「うん!」
かのん「…ところでさ、ちぃちゃんあんまり演劇に興味ないみたいだけど今の状況分かってる?」
千砂都「へ?」😅
かのん「これ見てよ…」 Ltube⏯ポチッ
📱☆オニナッツ☆チャンネルー☆
今日のテーマはぁ~~、じゃん!《第一回結女演劇祭の主役候補者まとめてみた》でっすの~!
演劇の主役、男装の麗人『王子様』を演じる役が誰になるか、気になりますの~~!?
演劇祭の主役はぁ~全校生徒による選挙によって決められるんですけどぉ~!
夏美の調べで、候補者は大体この5人に絞られていることが判明しました~!
①大本命! 創設者の娘で生徒会長『サファイアブルーの君』こと葉月恋!
②対抗!お馴染Liella!のセンター『マリーゴールドの君』こと澁谷かのん!
③勉強No.1!中国から来た留学生『パステルブルーの君』こと唐可可!
④運動No.1!スクールアイドル部長『ピーチピンクの君』こと嵐千砂都!
⑤そして大穴!? ルックスと度胸は一番の『グソクムシの君』こと平安名すみれ!
すみれ「誰よ私のこと『グソクムシの君』とか呼んでるやつは!?」💢
可可「すみれには丁度いい二つ名デス」ww
千砂都「…私が主役候補? 演劇なんてしたことないよ!?」
かのん「演劇の主役は全校生徒の投票で決まることになってるから演劇の経験は問わないんだよね…」
千砂都「えぇ~~~!? 私、全校生徒の代表なんて無理だよぉ~!」💦
かのん「そうかな? 私はちぃちゃんになって欲しいけど…」
千砂都「えっ!?」ドキリ
かのん「今度の演劇祭の主役は王子様の役をやることになってるんだけど…」
かのん「その…、ちぃちゃんの王子様姿が見たいなって思って」ポッ
千砂都「えぇぇぇ…?」
千砂都「それを言うならかのんちゃんだって候補なんでしょ?かのんちゃんの王子様姿だって……」
千砂都「……」💭ウーン
千砂都「アリだね」✨
かのん「いやいや、私もする気なんてないから…」ドキッ
かのん「………」
――今からずーっと前…私たちが小さい頃、ちぃちゃんは虐めに遭っていた
――その度に私が走って助けに行ってたから…その頃のちぃちゃんは『お姫様』だったと思う
――だけどそれからちぃちゃんは努力し始めた
――ダンスを頑張り大会で優勝するほどになった
――誰にも明るく話しかける友だちの多い子になった
――…対して私は
――小学校時代に舞台で歌えなかったトラウマを引きずって、中学時代はやさぐれまっしぐら
――どんどん成長して立派になっていくちぃちゃんに追いつかれ追い越され…
――いつの間にか私を甘やかしてくれる『王子様』になっていた
――結女に入って歌えるようになって…
――ちぃちゃんと同じ舞台に立てるようになった今、私たちはようやく同じ高さになったと思ってる
――だから今のちぃちゃんは私にとって……
すみれ「かのん、かーのーん!」ズイッ
かのん「へっ!? な、何? すみれちゃん…」ビクゥッ
すみれ「何ぼーっとしてるの?演劇祭選挙の話だけどルールの確認してもいい?」
すみれ「この私が結女初のヒロインになるための大事な話よ!」😉
可可「すみれに票を入れる人なんているわけないデス」フフン
すみれ「可可は黙ってて」💢
すみれ「今度の選挙は単なる人気投票じゃない、票の譲与が出来るのよね?」
――かつての演劇祭主役選挙には票の譲与制度があり、得票者同士で票を譲り合うことが出来たそうだ
――選出の条件は全校生徒の60%以上の票を得ること。これが一発で決まることはまずない
――なので毎年、規定以上の票になるまで得票者同士で票を譲り合うのが慣例になっていた
🚢(40%)<私、演劇の主役やりたいです!
🎹(10%)<私も主役になりたいわ! 壁ドンしたいもの!
🍊(10%)<みんなそんなやる気なの…? じゃあ私もやりたいのだ! ハイ
🚢🎹(⇒0%)<あ、どうぞどうぞ
🍊(10%⇒60%)<え 🎊シュヤクケッテイデース
――理事長先生曰く『絶対やりたい人』も場の空気に飲まれて泣く泣く票を譲ることになるそう
――また、『投票した人が相応しいと思った人』が選出されることが大半になるので文句も出づらい
――だから今回もこの方法で決着をつけるつもりなんだけど…
💗ネタバレ:すみれちゃんは当選しません💗
すみれ「生徒会長も部長もセンターも明け渡したけど今度ばかりは譲れないわ」
すみれ「結女の新しい歴史にこの私の名前を必ず刻むんだから!」
すみれ「貴女の一票と票の譲与、待ってるからね♪」😙
かのん「うん…」😅
可可「すみれなんかが主役になったらOGたちに相応しくないと怒られマス」
すみれ「はぁ? だったらアンタも似たようなもんでしょ」ムッ
可可「すみれよりマシデス」ムッ
可可・すみれ「ぐぬぬぬぬぬぬ!!」バチバチィ
すみれ「…可可と遊んでる場合じゃないわね。早速選挙活動に移るわよ!」ダッ
すみれ「まずはポスター作り! 最近の流行を抑えてっと…」🏃シュタタタタッ…
可可「過度の選挙活動は違反になりマスよー……行ってしまいマシタ」
かのん「…」
――主役選挙、どうするか決めないとなぁ
――私が選ばれるなんてことはないだろうけど、もし票が入っても譲与出来るなら気も楽になる
――やりたいって言ってるし、すみれちゃんに投票したり票を譲与するのもアリだよね
――すみれ王子様……なんか変な感じ🤨
――可可王子様……もあんまりしっくり来ないかも😅
――二人は『ノンフィクション!』の時みたいにお姫様が似合う気がするなぁ
――………
――恋ちゃんはどうするのかな…?
恋「私ですか? 私は基本的に主役志望ではないですね」
恋「だってだって! 憧れの『王子様』なんですよ? 見る側になりたいですっ!」ワクワク
かのん「そっか…」😅
きな子「でもでも、きな子は恋先輩こそ主役に相応しいと思ってるっすよ!」
恋「有難うございます♪『選ばれたら』責務を全うしますよ」
かのん「きな子ちゃんは恋ちゃん推しなんだね」
きな子「えっ///!?」ポッ
きな子「せ、生徒会長が主役になることは多かったそうっすから///」🙄
ナナミ「まぁ生徒会長も主役も選挙で決めるんだもんね。そりゃ一番相応しい人になるよね」
――一番相応しい人、この学校の模範となる生徒は恋ちゃんだと私も思う
――夏美ちゃん調べで大本命って言われるのも分かる。恋王子様……それもいいな
きな子「1年生の方でも結構主役選挙の話題増えてきてるっすよ」
きな子「ナニソレイミワカンナイって子や気にしてないって子も多いんすけど…」
きな子「後輩は憧れの先輩に『王子様』になって欲しい願望があるものなんっすよね…」✨
恋「その気持ち、分かります!」ウンウン
かのん「そういう漫画とか小説読まないから私は分かんないかなぁ」
ナナミ「先輩いないまま3年になったしそういう感覚ないよねぇ」
ナナミ「あ、でもそういう趣味の人たちは今回滅茶苦茶盛り上がってるらしいね」👏ポンッ
ナナミ「『禁断のセカイ』ってサイトの愛好家たちが集まって文化を広めてるらしいよ?」
かのん「『禁断のセカイ』…?」チラッ
恋「な、なぜこっちを見るのですか!?」💦
恋「シリマセン~シリマセンヨ?」ビクゥッ🤥
ナナミ「えっ!? まさか生徒会長なのに…?」
きな子「『禁断のセカイ』の愛好家なんっすか!?」ドキドキ
かのん「っていうか本当は『禁断のセカイ』を広めたくて演劇しようって言い始めたんじゃ…」🤨ジトォ
ナナミ「そういえば禁断のセカイが最初に流行ったの、協力してくれる演劇部だって聞いたなあ…」
かのん「脚本も、まだ見てないけどなーんかそういうケがあるよね?」
恋「ぎくぎくぎくぅっ!?」
恋「え、えーっと…」カアアアアア
かのん「脚本出来てるんでしょ? 見せてもらっていい?」
恋「うぅ…///」😓
かのん・きな子「…」📖ペラリ
きな子「なっ……! なんじゃこりゃあ~~~~///」😳ボウッ
かのん「これはあんまりなんじゃない!?」😠
千砂都「あはははは! 恋ちゃんそんなことしてたんだ~」
かのん「信じられないよもう! みんなの演劇祭なのに脚本あんなやらしいのにしちゃって!」
千砂都「確かに『禁断のセカイ』ベースなら結構過激かもね」🤣
かのん「えっ!? ちぃちゃんも『禁断のセカイ』詳しいの?」
千砂都「恋ちゃんに勧められたからねぇ~。たまに見てるんだYo!」
かのん「へぇ~…。ちぃちゃんと恋ちゃん、仲良いとは思ってたけど…」ズキィ…
――アダノレトなサイトを紹介し合うような仲だったんだ…///!💕ドキリ
――なんかショックな気もするけど…私たちもう高校生だしそんなものだよね?
――………ちょっと気になるなぁ。うん、すごくドキドキしちゃうのはそういうことだよね
かのん「私も興味はあるけど、スマホフィルタリングされてるし見られないんだよね///」ボゥッ
千砂都「…『禁断のセカイ』は一応全年齢対象だよ?」😓
かのん「そうなの!?」ガーン
千砂都「ところで、かのんちゃんは選挙どうするの?」
千砂都「結構支持されてるみたいだし主役目指しちゃう?それなら私応援するYo!」
かのん「えっ!? ないない、私が主役は流石にないよ~」ビクッ
かのん「私なんか全然全っ然」😳ブンブン
千砂都「…」
かのん「ちぃちゃんが主役目指すんなら私の票はちぃちゃんにあげるよ」
かのん「じゃなかったら…恋ちゃんかすみれちゃんにあげるかなぁ?」
千砂都「…」
千砂都「そっか…」
――主役に相応しいと思うのは恋ちゃん
――一番なりたいと思ってるすみれちゃんがなっても良いと思う
――もし、ちぃちゃんがなりたいって言えば全力で票を集めて貢献したい
――……私はどうしたらいいんだろう。どうしたいんだろう
夏美「☆オニナッツ☆チャンネル‐☆今日のテーマは~?」
四季「じゃん。投票日直前・演劇祭主役選挙意識調査の結果発表~」ドンドンパフパフ
夏美「のぉっ!? 私のセリフ!?」ガーン
四季「奪っちゃった♡」ブイブイ
夏美「人の配信に突然割り込まないで!?」ブーブー
四季「現在の予測はこのようになっています」パネルペラー
1位:葉月恋…30%
1位:澁谷かのん…30%
3位:唐可可…10%
3位:嵐千砂都…10%
その他:…20%
参考:平安名すみれ…マイナス10%
夏美「……この形のグラフにマイナス%ってありえるんですの?」
四季「数学の世界は難しい」😎
夏美「すみれ先輩は置いといてぇ」ポイッ🪐
夏美「やはり音楽科の支持が絶大な恋先輩と、Liella!のセンターかのん先輩に票が集まってますの」
四季「票の譲与を公言してる人はいないの?」
夏美「すみれ先輩は当選を目指している為譲与の予定はナシ!」
夏美「恋先輩は当日の結果次第。1位でなければ票を譲るかもと言ってましたの」
夏美「それ以外の先輩はぁ~自分なりに調べてみたけど動向は分かりませんでしたの~!」ニャハッ
四季「それ無能配信者の常套句…」ボソリ
………
可可「すみれは一体何をやっちゃったったらやっちゃったのデスか?😞」ハァー
すみれ「……生徒たちに大人気の『禁断のセカイ』ウエハースにビラつけて配ったの…」
ココノ「演劇の台本が流出してから更に流行ってるもんね、『禁断のセカイ』…」ドキドキ
ヤエ(私も一枚欲しかったなぁ…)ショボン
かのん「私が同率1位!? なんで!?」
すみれ「『なんで!?』じゃないでしょ? 前も言ったけどアンタそういうの嫌われるわよ?」
ヤエ「そうそう! 私たちはかのんちゃんが頑張ってるの見てきてるから!」
ココノ「かのんちゃんは同じ目線で話せるし相談しやすいんだよね」
ナナミ「生徒会も頑張ってるしね!」
すみれ「たまーに出しゃばるのは良くないけどね」フフン
可可「マイナス%は黙っていやがれデス」
すみれ「ぐぅぅ…」ショボン
――期待されてる…!? 歌以外の所でも…!?
――私がみんなの模範…!? みんなの王子様だって言うの…!?
恋「千砂都さんはどう思いますか? 今度の選挙について…」
千砂都「こうなったらいいな、っていう理想はあるよ」
恋「理想、ですか…。それはどういうものなのですか?」
千砂都「秘密。実は色々してることがあるんだけど本人の意思次第なとこもあるから」
千砂都「私は…私に票を入れてくれるって人には悪いけど、票を譲与すると思う」
恋「…??」
恋「千砂都さんは主役になりたいとは思わないのですか?」
千砂都「…」
千砂都「以前主役をしたっていう理事長先生みたいな素敵な人には憧れるよ」
千砂都「けど…私はもっと別の何かになりたいんだと思う」
恋「千砂都さんにそのように想わせる人が羨ましいです…」
恋「本当に…」キュッ
――そうこうモヤモヤしているうち日々は過ぎ…選挙の日を迎えた
すみれ「可可、勝負しない?」
可可「ハァ? 一体なんのデスか?」
すみれ「決まってるじゃない、得票数に決まってんでしょ」
すみれ「ペナルティを食らってからも必死で票を集めたもの…努力は必ず実るハズ!」
すみれ「貴女に勝って、私は主役になるったらなってやるのよ!!」ドーン
可可「一人でやってろデス」
ココノ「まずマイナス票をプラスに出来るかからして怪しいよね…」
ヤエ「選挙活動かぁ…。そういえば―――――」
きな子「投票用紙には主役に相応しいと思う最上級生の名前を一人書いてくださいっすー」
きな子「最上級生の方で、既に票を譲与したい方がいるという方は別途そちらもお書き下さい~」
きな子「一次投票の結果を発表します! 夏美ちゃん、よろしくっす」
夏美🎤「りょーかいですのー」ポチッ
メイ「おおっ!? これは…!」ざわざわざわざわざわざわざわざわ
1位:澁谷かのん…38%
2位:葉月恋…32%
3位:嵐千砂都…28%
その他:平安名すみれ…1票 等
すみれ「」
夏美「えー、とりあえず1票獲得した平安名すみれ先輩にインタビューですの」つ🎤
すみれ🎤「1票…1票って…」カタカタ
夏美「すみれ先輩はマイナスからのスタートでしたの! しょうがないですのぉー!」💦
すみれ🎤「そうよね…。じゃあ私の得票数は丁度借金を帳消しにするくらいの票数だったってことね」
きな子「あー…それがそういうわけでもないっす…」
すみれ🎤「じゃあどういうことなのよー!!」グスン
きな子「すみれ先輩のマイナス分を帳消しにするまで票数を譲与してくれた方がいるんすよね…」
すみれ「えっ…!?」
きな子「言ったほうがいいっすか///?」 < ×デス!ヤメテクダサイ!
夏美「…」💡
夏美🎤「すみれ先輩に自身の得票を譲与し、更に清き1票を投票した唐可可先輩にインタビューですのぉー!」ピョイーン
可可「なああああぁぁぁぁあ!? やめてと言ったではないデスかー!!」ガーン
すみれ「可可、貴女…!」💘ズキューン
可可🎤「す、すみれがいつまでもマイナスのままではLiella!の恥だから仕方なく施しただけデス!」
可可🎤「だから勘違いしないでくだサイ///!」プイッ
すみれ「可可……! 何票入ったかより貴女の票を貰えたことが一番嬉しいっ…///!!」ダキッ
\キャアアアアアアアアアアアアアアア!/
メイ「クゥすみは尊いなぁ…」😭
恋「これぞ禁断のセカイですね!」ハァハァ
かのん「私…単独1位!? しかも前より票が増えてる!?」
かのん「なんで…」フルフル
夏美🎤「それでは得票上位者による票の譲り合い、2次選抜に入りますの~~」
夏美「1位から3位の先輩方は壇上にお願いしますの~!」
――すみれちゃんと可可ちゃんの票は置いておいて… ポイッ🍧💞🪐
――殆どの票が3人に分かれてる?本来なら浮動票がかなり残るものなのに…!
――あと一手誰かが票を譲与すれば終わりになるくらいまで誰かが票を操作したってこと…!?
恋「…やはりそういうことですか。『色々していた』とはこういう…」
千砂都「ゴメンね、恋ちゃん…」
千砂都「恋ちゃんは、主役を希望してるわけじゃないんだもんね?」
恋「…そうですね。私自身、かのんさんは全校生徒の代表に相応しい方だと思っています」
恋「ですが………」
夏美🎤「それでは暫定1位のかのん先輩! 投票してくれたみなさんに一言~!」
――なんで…!? もしかしてみんなで私を主役にしようとしてるの…!?
――おかしいよ…。私は恋ちゃんみたいな相応しい人じゃないのに…
――心臓がバクバクする…初めてステージに立った時より…!
――大好きな歌を歌う前の緊張じゃない…!『何か違う』と思ってるから身体が言うことを聞かない
――向けられたマイクと向き合うのが怖い…
――言わなきゃ! 票を譲与しますって…! こんな私に投票してくれたのにゴメンナサイって…!
――言うんだ、言うんだ、言うんだ…!
――………
――私の票を全部恋ちゃんに譲与すれば…? 恋ちゃんを主役に出来るよね…?
――………
――………
――………
千砂都「かのんちゃん…!?」
――あたまがいたい…ふらふら、ぐらぐら、ゆらゆら、くらくら
――なに、いわないといけないんだっけ…? みんなはなにを…きたいしてるんだっけ…?
――きたいにこたえなきゃ………わたしのこえで………
かのん「ごめんなさい、せっかく…とうひょう…してくれたのに…」フラ…
かのん「わたしの、ひょうは…」フラ…
かのん「ちぃちゃんに………」フラリ…
――…………
――小学校の時のコンクールと同じ、目の前が真っ白になり力が抜けていく
――あの時と違うのは…高い天井と眩い照明じゃなく、大好きな顔が目に映ったことだった
――それはまるで、小さい頃に二人で読んだ絵本の王子様
――まるで『禁断のセカイ』のバナー絵に描かれた、お姫様を優しく抱き留めてくれる素敵な人…
「かのんちゃん、大丈夫?」
――もっとこの顔を見ていたいのに…まるで夢を見てるみたいに頭がぼーっとしてる
――ホール全体に鳴り響く黄色い歓声に意識を遮られることなく、私は安心して目を閉じた…
千砂都「落ちないでね! かのんちゃん!」ギュッ…
恋「ちょっ!? まさか保健室まで抱えていくつもりですか!?」
可可「無茶デス! 担架が来るのを…」
千砂都「大丈夫大丈夫!! まぁーーーーるぅっ!!」ダンッ…
すみれ「うっそ…! なんでその細い体で抱えて走れるのよ…」
千砂都「ちょっと揺れるけど我慢してね! かのんちゃん!」ダダッ
きな子「行ってしまったっす…。名前通り嵐のような人…」ドキドキ
四季「…素敵…!」💘キュン
メイ「お姫様抱っこって……こんなの『禁断のセカイ』の王子様じゃねえか…///」💘トクン
夏美「こ、これは…間違いないですの!」💘バクバク
恋「…………」ポーッ…
恋🎤「……皆さんに、私からお伝えしたいことがあります!!」
かのん「ぁ…」🛏
千砂都「かのんちゃん! 良かった…目覚めたんだね」👏ギュゥッ
かのん「ちぃちゃん!? 私…確か選挙の途中で…」
千砂都「うん…。倒れちゃったんだ」
かのん「あぁ…私またこんなことになっちゃったんだね…」
かのん「コンクールや受験の時と一緒じゃん……」
千砂都「落ち込まないで、かのんちゃん。私が悪いんだよ…」
かのん「え…?」
千砂都「私ね、かのんちゃんに主役になって欲しくて色々裏でやってたんだ…」
千砂都「かのんちゃんか私への投票や、票の譲与をお願いして回ってたんだよ…」
千砂都「かのんちゃんが嫌がるかもしれないって分かってたのに…!」
かのん「ちぃちゃん…」
かのん「ちぃちゃんは本当に私が相応しいって思う?」
かのん「理事長先生みたいな立派な人がなるんだよ? 私、そんな風になれないよ…」
千砂都「そんなことないよ! かのんちゃんだって格好いいとこ沢山あるって!」
かのん「…ちぃちゃんの方が格好いいよ…」キュッ…
千砂都「かのんちゃんに相談して良かったって人がいっぱいいるの知ってるよ」
千砂都「何より私がよく知ってる。かのんちゃんの良いところ…」
千砂都「だからこそ、かのんちゃんに主役になって欲しかったんだ…」
かのん「ちぃちゃん……」トクン…
――ちぃちゃんがそこまで想ってくれていたなんて知らなかった
――誰より私のことを考えてくれる。心配してくれる。評価してくれる。信じてくれる
――私、やっぱり…ちぃちゃんのことが…
――好きなんだ…
――こんなチャンスはもう二度と来ない
――主役になって認められればもっとちぃちゃんに相応しい人になれるかもしれない
――私のことをきっと好きでいてくれてるちぃちゃんの期待に応えたい
千砂都「それに…」
かのん「私…!」
🚪ガララッ…
すみれ「かのん! 大丈夫!?」バタバタ
可可「起きたのデスね。良かった…」ホッ
恋「千砂都さんも…ここまで抱えてお疲れ様でした…」
――……………………っ
千砂都「ゴメンね、恋ちゃん。私がいなくなったせいで選挙中断してるでしょ?」
かのん「あ!そっか…もしかして生徒全員体育館に残ってたりする?」
きな子「大丈夫っす! もう教室に戻ってホームルームの時間に入ってるっすよ」
千砂都「そうなの?」
恋「はい。演劇祭の主役は決定しましたので」
千砂都「え…?」
恋「結ヶ丘初の演劇祭の主役は千砂都さん、貴女に決定しました」
恋「なので…よろしくお願いします。…千砂都王子様///」ポッ
かのん「…!!」
千砂都「えええええっ!? なんでなんで!? 王子様って何なの~~!?」
恋「私の票を千砂都王子様に譲与しましたので♪」
可可「あんな格好いい姿を見せられたら納得しちゃいマスよ。千砂都王子サマ♪」
すみれ「本当よ。『禁断のセカイの王子様みたいー』って大騒ぎだったんだから。千砂都王子様♪」
千砂都「えぇ…!? やめて王子様って呼ぶの…! みんなに呼ばれるのむず痒くなる…」💦
可可「慣れていかないとデスね」ニヤニヤ
すみれ「そうそう。この結果はもう変えられないんだから」ニヤニヤ
かのん「…」
千砂都「かのんちゃんも何か言ってよ~」💦
かのん「…」
かのん「私もちぃちゃんが『王子様』になってくれて嬉しいよ!」
千砂都「かのんちゃんまで!?」
かのん「うんうん! すっごくいいね! キュンキュンするね~! トキメいちゃうね~~!」
かのん「実は前から千砂都王子様もアリだと思ってたんだよね✨」
恋「あらあら」クスリ
可可「かのんは千砂都には甘えん坊になっちゃいマスもんね」クスリ
すみれ「仕方ないわよ。今日ではっきり確信した…」
すみれ「こんな献身的な子と一緒にいたらそうもなるわ」
千砂都「かのんちゃん…」
かのん「ずっと一緒にいた幼馴染が一番評価されるなんてすっごく誇らしいよ」
千砂都「…」
千砂都「…」
千砂都「うん…。かのんちゃんが嬉しいなら…私も嬉しいよ」ニコッ…
――これでいい。これこそ私が元々望んでいた通りの結果なんだから
――あの小さな頃の、一人で涙を流していたお姫様はもういない
――今のちぃちゃんは誰より格好いい『王子様』なんだ………
かのん王子じゃなくちぃが王子という立場逆転
マジできゅんきゅんが止まらねぇ
—————————————-♯2———————————————–
きな子「結ヶ丘女子高校初の演劇祭主役、澁谷かのん先輩のご挨拶っす!」
メイ「むっはー! かのん王子様ー!」
夏美「にゃはっほー! 素敵ですのー!」
かのん「みんな! 私に投票してくれて有難う!」キラン
かのん「当選の記念に、みんなの前で一曲歌います!」ワアアアアアアアア
かのん「なんとーわったっしが~演劇の、主役っに~♪」
かのん「みんなのすすめでなっちゃった~♪」Hoo~!
可可「かのん王子サマー! 大好きで大好きデス!」フリフリ
恋「禁断のセカイですぅ~~~!!」ハァハァ
すみれ「奪われちゃった…私の心のセンター💘」ズキューン
千砂都「これでこそかのんちゃんだね。私の一番――――――――――」
AM5:00📱ピピピピピピピピピピ
かのん「……だよね」🛏
――劇的な締めくくりをした選挙から一夜明けた私の一日は情けない夢から始まった
かのん「…夢ですら、ちぃちゃんに続きを言わせられないんだもんなぁ」
かのん「……」
かのん「朝練行こう…」
………
かのん「はぁ、はぁ…」🏃タタタッ
――🎧チャンスはある日突然目の前に舞い降りてきた。思う形と違ってもそっと両手を…
かのん「伸ばせなかったなぁ…」
――ちぃちゃんがくれたチャンスを掴めなかった後悔が胸を打つ。それを遮りたくて走る
――…もうこの感情は必要ないんだ。ちぃちゃんが主役の方がいいに決まってるんだから
千砂都「かのんちゃんうぃっすー! 今日も早いね!」🏃タタタッ
かのん「あ…! ちぃちゃん!」パアアアアアア
かのん「…じゃなかった。千砂都王子様…///」ポッ
千砂都「もー、二人きりの時はやめてよ~。かのんちゃんは『王子様』って呼ぶの禁止!」
千砂都「じゃないと、『ちぃちゃん』って呼んでくれる人がいなくなっちゃうYo!」
かのん「ちぃちゃん…、うん! そうだね」トクン
かのん「行こう! ちぃちゃん!」👏ギュッ…
――『二人きり』それに『ちぃちゃんって呼ぶのは私だけ』…
――そんなことが凄く嬉しく感じる
――ちぃちゃんが私の王子様
――だから…今は私が、お姫様なんだもんね……///
――そう、思っていた
夏美「王子様、ご機嫌よう。今日もお美しいですの!」
メイ「むぅっはぁ~! 王子様…今日もたまんねぇ~!」キラキラキラ
かのん「あはは…。なんか急に結女の雰囲気変わっちゃったね…」
千砂都「お嬢さま学校ってこんな感じなのかな…?」
ヤエ「王子様」 四季「王子様♪」
ココノ「王子様♪」 理事長「王子様…///」
「王子様~~~~~~~~~~~~~~!!!」キャアアアアアアア!
かのん「うわっ!? みんなこっちに走って来るよ!?」
千砂都「逃げよう!」ギュッ…
\きゃー!/\千砂都お姉さまよ!/\素敵…!/\クジラックスしたい…!/
\禁断のセカイの王子様みたい…!/\私もお姫様抱っこしてぇ~~~ん!/
\っぱ『膨らみかけ』こそ最高だよな!/\メイ、私に喧嘩売ってる?/
千砂都「ええっ!? 何これ…!?」ムギュムギュ
可可「千砂都ぉぉぉーーーー! 生徒の雪崩に巻き込まれてしまいマシタ」
すみれ「昨日のアレがよっぽどみんなの心に響いたのね」😱
すみれ「『禁断のセカイ』がトレンドになってたところにあのお姫様抱っこだもんね…」
可可「夢女?というのにみーんななってしまってマス…」
かのん「ちぃちゃん…」
千砂都「ゴメンみんな先に行っててー! 私も後で行くからー!」
千砂都「誰!? 今お尻触ったの!?」
――生徒会室
恋「ええっ!?千砂都さんがお尻を触られた…!?」
恋「さらに足場にUOを投げ込まれたり🏠🐯叫んでる人もいた…!?」
恋「そのような蛮行は慈悲と寛容を旨とするこの学校に相応しくありません!」バンッ
かのん「えっ」ビクッ
きな子「恋先輩? 多分ここまでの反応は今日だけっすから心配しなくても…」💦
恋「いいえ! 今すぐにでも対処するべきです!」バンッ
恋「そうです! 私自ら千砂都さんを守れば…チビを番犬にするのもアリですね」ブツブツ
かのん「恋ちゃん? …なんかキャラ変わってない?」
恋「……………そんなにおかしいでしょうか?」
きな子「はい…」キョトン
恋「………」
恋「……少し頭が冷えました。お騒がせして申し訳ありません」ハァ…
きな子「急にどうしたんすか?」
恋「お恥ずかしい話…私も昨日の千砂都さんにあてられたのだと思います」💘ズキューン
かのん「えっ…」
恋「内緒の話なのですが…実は私も『禁断のセカイ』のファンなのです」キリッ
ナナミ「それはもうみんな知ってる…」
恋「なので、あの王子様のような振る舞いには憧れてしまいます…」トクン
恋「千砂都さんに何かしようという人がいると知ったらいてもたってもいられず…」
恋「……昨日まではここまで思うことはなかったのに…………」ドキドキ
かのん「恋ちゃん…!? それって………!?」
きな子「っ…!」ズキィッ…
夏美「千砂都王子さまぁ…王子様の為にたくさんマニーを稼ぎますのぉ💞」
夏美「王子様の服にこっそり札束を入れればもう断れないはずですのぉ…!」グフフ
四季「出来た。『161cmで6月17日が誕生日の青い髪の女の子にゾッコンになる薬』💞」
四季「千砂都王子様の好物は知ってる。これを混入したコーラをプレゼントすれば…」グフフ
メイ「あぁ~~~!!!王子様は今日も素敵だぁ…!💞」キラキラキラ
メイ「先輩のロッカーは知ってるんだよなぁ。コーラを拝借して関節キスしちゃおうかな」グフフ
ウィーン「嵐千砂都お姉さま……丸が好きだったのよね💞」シュバババッ
ウィーン「丸選手のサインボールを差し入れたら喜んでくれるかしら…」グフフ
理事長「嵐さん………………………千砂都王子様💞」ボソッ
理事長「恋愛に年は関係ないわよね…?」
かのん「うわっ…」
きな子「恋先輩だけじゃなくてみんなこんな様子っす…」
――もう少し頭を冷やしたいと言う恋ちゃんを置いて見回りに出た校内はちぃちゃんの話ばかり
――『禁断のセカイ』が校内のトレンドになるくらいだ。あのシチュが皆の憧れなのは分かるけど…
きな子「凄いっすよね…」
かのん「うん…」
きな子「恋先輩…や、かのん先輩が選ばれててもこうなってたっすかね?」
かのん「えっ!?」ビクッ
かのん「あ、うん…私じゃこんな風にはならなかったろうね!」
――私がなったってこうはならないよ。ちぃちゃんが格好良すぎるんだよ…
――生徒会の見回りを終えて教室に戻ったら私の席は見えなくなっていた
かのん「何これ…?」
すみれ「お帰り、かのん…。アンタの席ならあの中よ」
可可「あの人だかりの中に千砂都もいます…」
かのん「…」
――もう授業が始まる時間なのに10人以上の生徒がちぃちゃんの席の周りを囲んでいる
――隙間からうっすらと見えるちぃちゃんは…笑っていた。少し疲れた様子にも見える
すみれ「アレを見たら自分がならなくて良かったって思えるわね」ブルッ
可可「すみれデハあんな風にはなりまセン」
すみれ「…アンタだけだもんね。私の席に来てくれるの」ポッ
可可「…///」
\わいわいわい わいわいわい わーいわいわいわい わいわいわい/ザワザワ
すみれ「中休み・昼休みも大概だったけど部活中もこうなるのね…」
可可「これでは集中出来まセン…」
恋「っ…これではいけませんね。見学に来てる生徒たちは帰しましょう」サッ
千砂都「ゴメンね、恋ちゃん…。こういうの部長の私が声掛けするべきなのに」
恋「今日のところは仕方ありませんよ、千砂都さん」💘ドキリ
きな子「集中出来てないのは私たち自身の問題もあるっすけど…」チラッ
四季・メイ・夏美「千砂都王子様…」ポーッ…
千砂都「せめてこっちは私がどうにかしないとね! みんなー! 集中できないなら外周にするよー?」
四季・メイ・夏美「えぇっ!?」ガーン
かのん「…」
かのん「ちぃちゃん大丈夫? 今日は相当疲れたでしょ?」
千砂都「そうだねぇ…。大丈夫!って言いたいとこだけどこんなの始めてだからビックリしてる」
千砂都「でも明日からは頑張るよ! 全校生徒の代表だもんね!」
千砂都「かのんちゃんも応援してくれてるんだもんね…」
かのん「ちぃちゃん…」
千砂都「それにね、こうしてかのんちゃんと二人で家に帰る時間は変わらないから!」
千砂都「とーーっても癒されてるよ♪」ニコッ
かのん「本当!?」パアアアアアア
――私…ちぃちゃんの癒しになってる!? だったら嬉しいな
――これからもずっと…私たちは………
ココノ「あ…! 千砂都ちゃん!」タタタッ
ココノ「……と、かのんちゃん。いいなぁかのんちゃん、学園の王子様と二人きりだったんだ」ツンツン
かのん「……何か用?」
ココノ「ええっとね、その…私の後輩がどうしても言いたいことがあるって言うから」スッ👧
「あ、あああああの! 千砂都お姉さま……」カアアアア
かのん「あ…」
千砂都「どうしても言いたいこと?」
「そ、そそそそその…恥ずかしいので…」チラッ
ココノ「はいはい。分かってる分かってる。ほらかのんちゃん、行くよー」ズイズイッ
かのん「え………!? ちょっ、押さないでよ…!」
――頬を赤らめる1年生の子とちぃちゃんを残してその場を去る
――あんなの絶対告白じゃん…!!!
恋ちゃんが正しい
――次の日
千砂都「え? 昨日の?………秘密だよ」
かのん「…っ!! もしかしてちぃちゃんあの子と…」
――付き合うことになったの…!?
千砂都「…」
千砂都「付き合ったりはしないよ」
かのん「!!」
千砂都「…本当は秘密の話だったんだけど…(特にかのんちゃんにバラすとすぐ広まるし)」
千砂都「多分かのんちゃんが予想してる通りの話。だけど断っちゃった」
かのん「っ……!!」
かのん「そうなんだ…」ホッ
――ちぃちゃん、やっぱり告白されてたんだ…。でも断ったんだね!
――すごくすっごーくホッとしたよ…!
――なんて安心はすぐさま消し飛んでいく
\きゃー!!/\千砂都お姉さま~!/\おぱんちゅ見せて下さい!/
\にゃっふ~、お金を受け取ったからにはホテルに行きますの~/💵
\今のうちにコーラに薬を混入……ちょっ、メイ!?/\おほ~/ペロペロゴクゴク
恋「行きなさいチビ! 厄介には容赦なくかみつく攻撃ですっ!」🐶ワフッ==💨
ウィーン「なんなのこの犬!? 私は厄介でも犯罪者でもないわ!?」
ウィーン「私はこの学校と無関係のただの通りすがりよ!」🚔ストーカーノヨウギデタイホシマース
すみれ「なんか昨日より酷くなってない?」🚔ウィーーーーーン…ウィーーーーーン
可可「更に人が増えましたね…。ストーキングしてた人が逮捕されたとも聞きマシタ」
きな子「恋先輩とチビが必死で食い止めてるっすけどね…」
かのん「ちぃちゃん…」
――それから数日経ってもブームは冷めないまま…
――ちぃちゃんの周りにはいつも人がいて…
かのん「もう、私だけのちぃちゃんじゃないんだ…」
千砂都「ありがとう恋ちゃん、それにチビも。助かったよ」
恋「いえいえ、千砂都さんの安全を守るのも私の使命です!」🐶ワフッ
千砂都「使命って…そこまで重く考えなくていいんだけど」
恋「大事なことです。私は生徒会長なのですから!」
きな子「生徒会長の仕事って一体…」😷
恋「神宮音楽学校は伝統的に演劇祭の主役と生徒会長が手を取り合い盛り上げて来たと聞いています」
恋「千砂都さんのことはこれからも私が守りますからね!」👏ギュッ
千砂都「恋ちゃん!? そんなに顔近付けられたら恥ずかしいよ…」ドキッ
かのん「あ…」
恋「…………!!」ドキドキドキドキ
恋「~~~~~~~~~~っ///!!!」😳🌋ボゥッ
恋「はぅふしゅふゅぅ~~………//////」ヘタリ
きな子「恋先輩!?」
千砂都「ちょっと恋ちゃん!? 急にへたりこんじゃった…」
恋「千砂都さん…千砂都王子様…禁断のセカイの王子様……」🥵プシュー…
千砂都「よく分かんないけど頑張りすぎて疲れちゃったのかな?」ダキッ
恋「へ…?」ポーッ……
きな子「うそ…!? 恋先輩も軽々お姫様抱っこしてる!? 🦍っすか!?」
千砂都「とりあえず椅子にっと…」ヒョイッ☕⇒💺
千砂都「これでOKだね! 恋ちゃん、ちょっと座ってゆっくり休みなよ」ニコッ
恋「は…はいぃぃ…///💘」トロン
かのん「っ………」
千砂都「じゃあ私、先に教室に行ってるね! 無理しちゃダメだよ恋ちゃん!」
………
きな子「前も思ったっすけど本当に嵐のような人っす…」
きな子「恋先輩がこうなっちゃうのも当然っすよね…」
きな子「きな子じゃ、こんなことは出来ないっす…」ポツリ
かのん「………」
――ずっと秘めていた想いに気付き胸が熱くなる
――小さな頃から好きだった。これからも一緒だと思ってた
――選挙の日に私を抱っこしてくれたちぃちゃんは私の王子様なんだと思ってた
――…だけど違ったんだ
――ちぃちゃんはみんなの王子様
――お姫様は私だけじゃないんだ…
—————————-#3————————————
きな子「えー、続いては澁谷かのんさんのスピーチっすー」
かのん「は、はい!」
かのん「えー、私とちぃちゃんが出会ったのは…その…」ドキドキ
\引っ込めー/\いつまで幼馴染面してるずらー!/\しゅごい~!幼馴染NTRだぁ~!/
\早く誓いのキスに移って欲しいですのぉー!/\me too./\帰れウィン/ポイッ
かのん「あ…。すみません…」💥🥫ペコン
きな子「それでは皆さんお待ちかね! 新郎新婦の入場です!」
🔔チャーンチャーンチャチャンチャンチャンチャンチャーンチャラララララン🔔リンゴーン
恋「千砂都さん…」
千砂都「恋ちゃん…」
かのん「え、嘘…やめてよ」ブルッ
☕💋………💋🍑
☕💋……💋🍑
☕💋…💋🍑
かのん「やめて…やめてよ…! こんなの見せないで…!」
かのん「やめてっ…!!」🛏ガバッ
かのん「………」📱ppppppppppppppppp
かのん「…」
かのん「はぁ…朝練行かなきゃ…」モゾモゾッ…
…
かのん「はぁ、はぁ…」🏃タタタッ…
🎧ぐずぐずしてた過去にメッセージを送れるのなら今は楽しいよって……
かのん「言えないよ…!」
――スクールアイドルを始めて歌えるようになって、とても楽しい充実した毎日を送れていると思う
――生徒会だってやりがいを感じてるし、仲良しの友だちや後輩だっていっぱい出来た
――なのに…!
かのん「なんで…なんでこんなに胸が痛いの…!?」
『かのんちゃん』『かのんちゃん!』『かのんちゃん…』『かのんちゃん?』
――幼い頃に手を引いて一緒に遊んだちぃちゃん…
――私がダメダメな時に信じて見守っていてくれたちぃちゃん…
――私の隣で、私の歌に合わせて踊るちぃちゃん…
――ずっとずっと一緒だったちぃちゃん
――少し距離が離れても、留学しても心は一つだと思っていたちぃちゃん
――ちぃちゃん、ちぃちゃん、ちぃちゃん……
かのん「私…!」
かのん「こんなにちぃちゃんのことが好きなんだ…!」
――この僅か数日で私のちぃちゃんへの思いは変わっていた
――友情から恋に。親友から想い人に
――いつもの世界から『禁断のセカイ』に
かのん「大好きだよ…!」
かのん「ちぃちゃん…!」
――今までこんなこと思わなかった。ちぃちゃんが沢山友だちを作るのは嬉しいことだった
――だけどこの想いに気付いちゃったらもうちぃちゃんの周りに人がいっぱいいるのは耐えられないよ…
――私の…私だけの………
かのん「私だけのちぃちゃんでいてよ…!」
かのん「千砂都…王子様ぁ……!」
すみれ「―――こんなとこで何してんのよ、かのん…」
かのん「ぁ…」
――屋外なのに膝をつき、泣いてしまっていたことに気が付きふっと顔を上げる
――幸い、早朝だからか私の姿を見ていた人はただ一人だけ
すみれ「…とりあえずそこのベンチに座りなさいよ。飲み物くらい奢ってあげるから」
かのん「………」
かのん「うん……」
すみれ「……ゴメン、ちょっとだけ聞いちゃった。貴女の独り言」
かのん「うっ…///」
かのん「こっちこそゴメン…聞いてて恥ずかしくならなかった?」カアアアアアア
すみれ「そうね。滅茶苦茶恥ずかしかったわ」😓
すみれ「けど…分かるわ。貴女の気持ち…」
かのん「……うん。私…ちぃちゃんのこと好きなんだ…」
すみれ「そうよね…。今までは『友情』だったんだろうけど…『恋愛』に変わっちゃうわよね」
すみれ「『禁断のセカイ』ブームに私たちみーんなあてられてるのかしらね?」
すみれ「私も…今までと違う目で可可のこと見てる。あの選挙の日からずっと胸が痛いのよ…」
すみれ「女の子同士…禁断の恋だってのにね」
かのん「すみれちゃん…」
かのん「すみれちゃんも同じだったんだ…ちょっとだけ安心した」
かのん「恋をするってこんなに胸が痛いものなんだね…」
すみれ「そうね…」
すみれ「少し前までは可可に恋をするなんて思ってなかった…友だちだと思ってたのにね」
すみれ「恋なんだって意識したらもうダメ…」
すみれ「キスしたいし抱きしめたいし……その…先のことだってしたいったらしたいわよ」ポッ
かのん「えぇっ!? 私は流石にそこまでは…///」
すみれ「アンタも『禁断のセカイ』を見たらそう思うようになるわよ」
すみれ「全年齢対象だけど結構過激なんだから」
かのん「そう、なんだ…///」
――ちぃちゃんとキス………その先………!?
――うわわわわっ~~~~~~!! 今までそんなこと考えたことないから意識しちゃうともう…!
―――してみたいかも…😊ニヘラー
すみれ「こんな想いしながらあの子と顔を合わせ続けるのは正直辛いわ…」
すみれ「それに可可だって票を集めてたんだもの。あの子のことが好きなファンもいる」
すみれ「だから…あの子のこと取られないように、告白しようと思ってるの」
かのん「!!」
すみれ「本当はスクールアイドルは恋愛禁止なんだけどね。ま、なんとか隠せるでしょ」
かのん「すみれちゃん…」
すみれ「かのんはどうするの?」
かのん「っ…!」
すみれ「かのんとも千砂都とももう2年の付き合いになるから言うけど…」
すみれ「千砂都は絶っっっっ対、かのんのこと好きよ。自信持ちなさい」😉
かのん「すみれちゃん……うん!」
かのん「私も、ちぃちゃんに告白するよ…!」
すみれ「……そうこないとね」😉
かのん「このままじゃ本当に誰かにちぃちゃんのこと取られちゃう…」💭☕
かのん「そうなる前に私の想いをちゃんと伝える。大好きだって…」
すみれ「かのん」✊グッ
かのん「すみれちゃん…うん」✊グッ
すみれ「今日、アンタのこと見つけられて…相談出来て良かったわ」
かのん「私もだよ。すみれちゃんも同じ想いをしてるんだって分かって勇気が出た」
すみれ「やっぱアンタとは気が合うわね。私たち、付き合ったら相性良いんじゃない?」😏
かのん「思ってもないくせに」😏ニヤッ
すみれ「私と貴女は恋愛同盟よ。お互い、恋を成就させましょ」
かのん「うん!」
――ベンチから立ち上がる頃には朝日が高く上り、私たちを眩しく照らす
――ちぃちゃん………貴女にこの想い、伝えるよ…
――結ヶ丘女子高校・中庭
\貴女千砂都お姉さまに告白したんだってね?/\出しゃばんじゃないわよ/
\調子に乗りすぎー/\私たちだって我慢してるのに!/\ころしゅぞ!/
「あ…あぁ……ごめんなさい…」ブルブル
ココノ「やめてよ! この子は確かに告白したけど断られたんだよ!? だから…」
\良くないわよ!/\私たちみんなの王子様なのよ!/\ブッブーですわ!/
恋「これは一体なんの騒ぎですか!!」🐶ワフッ
「あ……生徒会長…!!」ブルブル
ココノ「葉月さん…!」
恋「普通科の1年生ですね? よってたかって一人の生徒ににじり寄って……そんなこ」
\うっさいわよヘッポコ生徒会長!/\この子はそれだけのギルティをしたの!/
恋「ヘッポコ!?」😱ガーン
恋「私はヘッポコ生徒会長ではありません! そのような侮蔑は……」💦
千砂都「――何の騒ぎ?」
\あ…!/\千砂都、お姉さま…/\こ、こりぇはね…!/ブルッ
「千砂都お姉さま…!」
千砂都「ココノちゃんの後輩の子だよね? この前はゴメン」😔
千砂都「…で、この状況はなんなのかな?」😠クルッ
ココノ「…!!」
千砂都「複数人で囲んで一人の女の子にそんな圧力かけて…」
千砂都「挙句、生徒会長が止めてるのにそれも無視するなんて…」
\違うのです! この子が…/\推しに告るのはギルティだってルールをちゃんと…/
千砂都「そういうの、マルじゃないと思うよ」
千砂都「私たちは新設校の最初の生徒。この学校のこれからは私たちの評判にかかってるんだよ?」
千砂都「それなのにこんなことして…結ヶ丘女子高校の一員だって自覚はあるの?」
千砂都「私の前に胸を張って立てるの?」
恋「っ…!!!」
\え…!?/\そ、それは…/\お、お姉さま……////ハァハァ
「お姉さま…///」ポーーーーーッ
恋「………千砂都さん…」
千砂都「私のこと応援してくれて嬉しいよ。だけど喧嘩は嫌だからね?」
千砂都「世の中はマル! みんなまーるく平和に行こう?」
\\\\\は、ハイ!!!! すみませんでした~~~!/////ダダダッ
「王子様ぁ~…!!」💘キュンキュンキュンキュン
千砂都「…ふう。私のせいでこんなことになってゴメンね?」😷
千砂都「恋ちゃんもゴメン。恋ちゃんが解決すればいいのに私が出張っちゃった」
恋「い、いえ…」💘ポーーーッ
千砂都「じゃあ私教室に戻るから……」クルッ
千砂都「っ………」ツカツカ
恋「待って下さい! 千砂都さん!」
千砂都「…恋ちゃん? どうしたの?」
恋「あ、その…まずは有難うございました! 彼女のことを助けて頂き…」
千砂都「ううん、当然のことをしたまでだよ」ニコッ
千砂都「私もさ、昔虐められてたから…虐められる怖さは分かるし…何より許せない」
千砂都「ちょっと出しゃばって解決させて貰っちゃった! 褒められるようなことじゃないよ!」
恋「虐め…、そういえばかのんさんからそんなお話を聞いたことがありますね」🤔
恋「…虐められる怖さを知っていて、さっきみたいに助けに行けるのは凄いと思います」
恋「今日の千砂都さんは、まさしくこの学校の代表として相応しい姿でした」
千砂都「…」
恋「くぅ~! 演劇祭で王子様を演じてもらうのがすごく楽しみですっ!」
恋「千砂都さんが私とjΣミイ˶º ᴗº˶リさんの書く脚本の王子様に…!」ドキドキドキ
恋「堪りません~~!」キュンキュン
千砂都「私がこの学校の代表…」
千砂都「…演劇の主役の…王子様」
千砂都「…うん。頑張るね♪」
恋「はい! もうすぐ練習を開始する予定なので一緒に頑張りましょう!」
恋(千砂都さんの王子様姿を想像したらまた顔が…胸が熱くなってしまいます)ポッ///
恋(それに今日の姿も……)ドキドキドキドキ
恋(お母さま、この感情はもしかして私の名前と同じ――)
――生徒会室
かのん「えぇっ!? 朝そんなことがあったの!?」
恋「はい…。私自身は格好良い千砂都さんを見られて眼福だったのですが…///」ドキドキ
きな子「っ…」
恋「禁断のセカイの流行に合わせて『王子様』が生まれたことで多くの問題が起きてしまっています」
恋「今後も憧れの王子様をめぐって争いが起きないとも限りません。警戒を続けましょう」
ナナミ「まぁ、ブームが沈静化するまではねぇ…」
ナナミ「にしても流石、格好いい解決劇だなぁ///」ポッ
――ちぃちゃん、虐めの現場に走って行って解決したんだね
――やっぱり…ちぃちゃんはもう昔のちぃちゃんじゃないんだなぁ……
きな子「問題はそれだけじゃないっす…」ドンヨリ
きな子「禁断のセカイが流行しすぎて、みんな同性での恋愛に拒否感なくなっちゃってるんすよ…」
きな子「あんな風に…」☛
メイ「四季~~~~! お前のことが好きだ~~~!」💕チュッチュッ💕
四季「私にゾッコンになる薬を飲んでからずっとこう…」💋ブチュゥー
四季「でも、幸せ…/// 千砂都先輩の件で見失ってたけど、私はメイのことが好きなんだ…」💕チュッ
恋「」
かのん「」
ナナミ「」
きな子「あの二人はあくまで一番酷い例っす…。他にも幾つか百合ップルが出来てるっすよ」
きな子「このままじゃ学校の風紀が滅茶苦茶になっちゃう…」
恋「理事長から早急に対処するようにとお小言を頂きました」
ナナミ「こっちも一過性のブームだとは思うんだけどね…」
きな子「落ち着くまで放っといたらあの二人いつか……その…しちゃうと思うっす///」
恋「校則で恋愛を禁止する条項はないので、恋愛自体は禁止出来ません」
恋「なので、公序良俗に反しないような恋愛をするよう声掛けを行っていきましょう」
かのん「…具体的には?」
恋「……………手を繋ぐくらいならOKということで」ポッ 💋NG
かのん「………だよね」ポッ 👙NG
ナナミ「二人とも誰を相手に手を繋ぐの想像してるんだろうね~」ニヤニヤ
きな子「……」
――部活が終わったら…ちぃちゃんは今日はバイトないはずだし一緒に帰れる
――すみれちゃんは可可ちゃんを連れて帰るはずだし、あの分じゃ四季ちゃんメイちゃんも一緒かな
――きな子ちゃん、夏美ちゃん、恋ちゃんは今度の件に注意喚起する放送を企画する為に集まるらしい
――二人きりになれる貴重なチャンス…!
――ここで告白しよう…!
かのん「…」ドキドキドキドキ
――初めての告白
――すっごく緊張するけど、目の前が真っ白になるような感じじゃない。きっとちゃんと言える…!
――虐めがどうとかそんなのどうとでも出来るし、私とちぃちゃんなら恥ずかしくない恋愛になるはず!
――だから……………
かのん「………」ドキドキドキドキ
千砂都「はぁ~~…最近勉強も難しくなって毎日大変だね」
千砂都「そうだ!今日久しぶりにかのんちゃんの家行ってもいい? 一緒に宿題しようYo!」
かのん「えぇっ!? 私の家!?」ドッキドキィ
――何するの!? まさかもう…A💋B✋C🍌!?
――って違う違う! 宿題でしょ澁谷かのん! ブンブン
千砂都「ダメ? 生徒会も忙しいみたいだしゆっくり休みたかったりする?」
かのん「ううん! 是非来てください!!」ズイッ
千砂都「よしっ! そうと決まったら早速行こう!」👏ギュッ…
かのん「えっ…!?」ドキッ
千砂都「ほら! 練習ついでに走っていけばすぐ着くでしょ! さっさと宿題済ませてゆっくりしようよ!」
かのん「ちぃ、ちゃん…」ドキドキドキドキドキ
でも読み進めるの怖い
――ちぃちゃんの手はあの日と変わらず、私と比べて少し小さくて…
――だけどあの日とは違って、その小さな手で私を力強く引っ張っている
――ちぃちゃんの顔はあの日と変わらず、マンマルな笑顔で…
――だけどあの日とは違って、少し大人びた女の子の顔をしている
――あの日々と何も変わらない、私はずっとずっとちぃちゃんのことが大好きで
――だけどあの日々とは違う大好きをちぃちゃんに抱いてる
――これからもずっとずっと一緒で居て欲しい
――それだけはこれまでも、今も、きっとこれからもずっと思い続けると思う
――ちぃちゃん…私は…
千砂都「どうしたの? 早く――――」
かのん「ちぃちゃんのことが好きです!」
千砂都「…え……?」
千砂都「かのん、ちゃん…?」
かのん「私は!」
かのん「ちぃちゃんのことが好き!」
千砂都「!!」
かのん「お友だちとしてじゃないよ? 私…ちぃちゃんに…」
かのん「恋、してるんだ…」
かのん「ずっとずっと、幼馴染だと…親友だと思ってた。それでいいって思ってた」
かのん「恋人になって欲しいなんて思わなかった。きっと将来も、心は繋がってると思ってたから…」
かのん「けど…それじゃもうダメだよ…。我慢できない…」
千砂都「!!」
かのん「選挙の日に抱っこしてくれたあの日…ちぃちゃんに恋してるんだって気付いた」
かのん「それに気が付いてからはもう…他の子にちぃちゃんを取られるなんて思うと眠れない」
かのん「…私の恋人になって欲しいんだ」
千砂都「かのん、ちゃん…!」
かのん「ちぃちゃんは私の王子様だよ…! 私の…」
かのん「私だけの…千砂都王子様になって欲しい…!」
――言えた!
――言えた! 私ちぃちゃんに告白出来たんだ…!
――頭もしっかり回ってるし目の前の景色がクリアに見える!
――クリアだから…私の告白にちぃちゃんがどう反応したかはハッキリ見えていて…
――驚き
――うぬぼれじゃなければ喜び
――そして泣きそうな顔を見せて……
「ゴメンね。それは出来ないよ」
「かのんちゃんの気持ちはすっごく嬉しいよ。でも…今まで通りのお友だちでいよう?」
――最後に、少しだけ悲しそうな顔をしていた……
つれぇのだ
—————————-#4————————————
………
………
………
………
…ちぃちゃん…
………
…ちぃちゃん…
…ちぃちゃん…
…ちぃちゃん…
………
…ちぃちゃん……
AM5:00📱pppppppppppppppppppppppppp
かのん「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」🏃タタタッ…
🎧
――何も聞こえない、頭痛くてフラフラする…だって寝てないんだもんね
――こうして走ってないとフラッシュバックしちゃう…
――ああ、でも…
――ちぃちゃんとは別のコースで走らないとかち合っちゃうかも…
――………
――ベンチ…
――すみれちゃんと可可ちゃん、どうなったのかな…? フラフラ…
すみれ「ちょっとかのん!? かのんーーーー!?」
――気が付いたとき、私はどこかで見た場所で何かに挟まれていた
かのん「この弾力…すみれちゃんのおっπだね?」キラン
すみれ「ビーズクッションよ」😔
かのん「…だよねー」
かのん「…」🛏ムクッ
すみれ「もう少し眠りたいなら寝てていいわよ。一応言っとくけどここ私の家ね」
かのん「知ってる…。私を拉致監禁した家だもんね。あれは頭から離れないよ」
すみれ「そんな昔のこと忘れなさいったら忘れなさい! ったく…」💦
かのん「あはは…」
すみれ「起きるのね? ならお茶入れてあげるから飲みなさい」
かのん「うん…有難う…」🍵
すみれ「それで? どうしたのよ………っていう前に、私のこと言ってもいい?」
かのん「え? うん…」
すみれ「アンタの顔見たら検討つくしね。かのんの話聞いてからこっちの話するの気が引けるもの」
すみれ「私ね、可可と付き合うことになったわ」
かのん「……そうなんだ。おめでとう」
かのん「どんな感じ? 告白はすみれちゃんからだよね? 何て言ったの?」
すみれ「………普通に、ストレートに告白してやったわよ」
すみれ「アイツにはそれが一番だって思ったから…///」
すみれ「かのんに相談して勇気を貰ったお陰よ。有難う」
かのん「私は何もしてないよ…。おめでとう」
すみれ「それで――――」
………
すみれ「はああああああああっ!? 告白して断られた!?」
かのん「なんで驚いてるの!? 検討ついてたんじゃなかったの!?」ガーン
すみれ「え、いや……かのんのことだから告白できずにヘタレてるだけとかかと」
かのん「幼馴染に17年告白出来ないヘタレで悪かったね!?」
すみれ「そうは言ってないけど!?」
すみれ「………いやいやいや、告白したのは偉いと思うわよ」
すみれ「けど、断られるのは理解できないわ…。千砂都は絶対かのんのこと好きよ? かのキチよ?」
かのん「そうかな?」ズーン
かのん「私みたいなグソクムシ未満のヘタレじゃなく丸佳浩とかが好きだと思うんだよね…」😩イジイジ
すみれ「やさぐれてるわね…」
すみれ「何? アンタなっさけない告白でもしたの?」
すみれ「泣きながら『僕は死にましぇーん』とか言ったの?」
すみれ「それとも『永遠にともに』でも歌いながら告白したの?」
かのん「私も普通に告白したつもりだよ…」
かのん「大好きだって…ずっと幼馴染だったけど恋に変わったんだって…」
かのん「他の誰かといるのは嫌だって…私だけの千砂都王子様で居て欲しいんだって…」
すみれ「そう…」
すみれ「普通っちゃ普通だけどちょっと恥ずかしいわね///」プッ
かのん「笑うのはないでしょ!? 自分はOK貰ったからって~~~!」ガーン
かのん「あーー! どうじようずみれぢゃん~~! これからどんな顔して学校行げばいいの~~」ユサユサ
すみれ「面倒くさい絡みやめなさーい! っていうか本当寄りすぎっ…!///」グイイイイイ
可可「…………………何、してるデスか?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
かのん・すみれ「え?」
可可「付き合って初めての朝…一緒に登校しようと思って恋人の家に来たのに…!」
可可「別の女を連れ込み体を密着させ顔を赤らめてるナンテ…!!」👹
すみれ「え」
かのん「あっ…」スス…
可可「貴女は最低デスっ!」✋バッチィィィン
すみれ「ギャラクシィィィーーーー!」
…………
可可「すみません、誤解デシタか…」ホッ
すみれ「こっちもインターホン気が付かなかったのは悪かったわよ…」ヒリヒリ
かのん「私もゴメン…。それと可可ちゃん、おめでとう…」
可可「かのん…」
可可「ふむ…かくかくしかじかで千砂都にフラれたと…」
かのん「…」
すみれ「どう思う? 可可」
可可「………」
可可「…かのんはともかく、すみれはフラれた理由分かりませんか?」
かのん「私はともかく!?」ガーン
すみれ「分かんないから聞いてんでしょ」
可可「ハァ…。なーんで可可はこんなグソクムシと付き合うことにしたんデショウ」
可可「昨日の告白やっぱりなかったことにしてもらっていーデスか?」😞
すみれ「なんで!?」ガーン
可可「すみれもかのんも、千砂都のことを何だと思ってるのデスか…!?」
可可「千砂都も恋に憧れる普通の女の子なのデスよ…?」
かのん・すみれ「…っ!」ビクッ
可可「可可は答えが分かりました。でもそれをかのんに言うのは千砂都に悪いので言いまセン」
可可「答えはかのん自身が見つけるべきデス」
かのん「う…」
可可「かのんのことは親友デス。スクールアイドルに一緒になった恩人デスし幸せになって欲しい」
可可「けど…千砂都だって親友。だからここだけは譲れマセン」
すみれ「可可…」
可可「なので一つだけアドバイス、というかダメ出しデス」
かのん「え、うん………」ゴクリ
可可「一世一代の告白だと言うのにシチュエーションが雑すぎマス!」
可可「なんデスか何もない帰り道って! 夜景の見えるレストランとか用意するデス!」
かのん「なるほど!?」⚡ドガピッシャーン
かのん「シチュエーション…シチュエーション…」ブツブツ
すみれ「私、普通に家でアンタに告白したわよね?」
可可「すみれにはそこまで期待してマセン」プイッ
すみれ「悪かったわよ…」
可可「………………すみれと可可の関係ならそれでも良かったんデス」
可可「というか、シチュ自体は帰り道の流れでの告白でもダメなんてことありまセン」
すみれ「はぁ?」
可可「千砂都が大好きなかのんからの告白を嫌がるワケないじゃないデスか」
すみれ「いやいやいや、何言って…」
可可「だから…シチュエーションを必死で考えるくらいには」
可可「千砂都がどうしたら喜んでくれるか考えてればきっと分かってたはずデス…」
――その日は結局学校を休み、すみれちゃんの家で恋愛雑誌を読み漁った
――まだ、ちぃちゃんと顔を合わせられるほどの心の余裕はないから…
かのん「………」📕ペラリ
かのん「……?」ヒュポッ 🪐💭千砂都、学校来てるけど明らかにいつもと違う様子よ
かのん「…ちぃちゃんは学校行ったんだね」
――私はこんなに動揺してるのに学校行けるなんて…ちぃちゃんあんまり気にしてないのかな?
――でも、いつもと違うってのはきっと………
かのん「………」📕ペラリ
かのん「『禁断のセカイ』特集ページ…!? 本当に全年齢対象だったんだ、これ…」ペラリ
かのん「…禁断のセカイ…」ドキドキ
かのん「アダノレトなサイトじゃないから! 変な広告に飛ばされるとかじゃないから!」📱スマスマ
かのん「………~~~~」😤
かのん「~~~~~~~」😤😤
かのん「うわわわっ…/// これはあんまりなんじゃない!? こんなのみんな見てるの!?」😳ボウッ
かのん「…………」
かのん「…………王子様、かぁ」
かのん「ちぃちゃんも恋ちゃんに勧められて禁断のセカイ見てたんだよね…」
――見目麗しい男装の『王子様』がお姫様を抱き留め優しく語りかける絵は私だって憧れてしまう
――こんなシチュエーションでちぃちゃんに迫られたら私…私…! ドキドキ
――って違う違う! 今はちぃちゃんがどうしたら喜ぶかでしょ! ブンブン
かのん「………ちぃちゃんも、もしかして…………………………?」
千砂都「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ………」キュッ…キュッ
🎧右手の小指と左手の小指を結んで自分に約束しよう今日の気持ちずっと忘れないよ
千砂都「………」クルクルッ…
恋「千砂都さん? お昼休みにまで屋上で自主練とは熱心ですね」
千砂都「恋ちゃん…」
千砂都「ここくらいしか一人になれるとこが見つからなかったから…」
恋「…そうですよね。どこに行っても千砂都さんを慕う人でいっぱいになってしまいますもんね」
恋「主役の責務は重いですか?」
千砂都「重い…かな。みんなが日常生活まで私に注目してるんだって思うと滅入っちゃう」
千砂都「でも、有難い機会だなっても思ってるよ♪」
千砂都「バイト、ダンス大会、スクールアイドル、部長、ラブライブ」
千砂都「次は演劇祭の主役、丁度いいチャレンジだよ」
恋「チャレンジ、ですか…。千砂都さんはストイックですね」💦
千砂都「今思えばこんなことまでかのんちゃんに押し付けようとしてたんだなぁ、私…」
千砂都「そんなことになってたら………」
恋「かのんさん…。そういえば今日、かのんさんはお休みしているみたいですね」
千砂都「!!」ビクゥッ
恋「??…かのんさんと何かあったのですか?」
千砂都「え、っと…」
千砂都「なんにも、ないよ…」
恋「っ………」
千砂都「………」
恋(なんて顔をしているのですか、千砂都さん…)
恋(王子様が物憂げに景色を見つめ溜息をつく…なんと絵になるのでしょう)
恋(早く私の脚本で演じて欲しいです…! 貴女の王子様姿が見たい…!)
恋(だって『禁断のセカイ』の王子様は私の憧れ。……もう、私……!)ギュッ…
恋「…………」
恋「~~~~っ!」
恋「………千砂都王子さ………いえ、千砂都さん!」
千砂都「恋ちゃん? ちょっ…!?」グイッ
恋「私は—————」
📖これは……とあるお姫様が王子様に恋をするお話
母親を亡くし、父親からも見放されたお姫様はある日…
常夏の太陽のようにマンマルな笑顔で輝く、小柄な王子様に出会いました
少しずつ仲良くなり、距離を縮めて親友になった二人……ですが
王子様には他に想い人が居て、いつもその人のことを想っているのです
「貴女のことを尊敬しています」お姫様は精一杯想いを伝えようとします
「有難う!私も貴女を親友だと思ってるよ!」ですが王子様にとってのお姫様は『親友』のまま
渦巻く想いは溢れて…初めての親友に更なる期待を持ってしまうお姫様
「王子様…!」お姫様は自分より一回り小さい王子様を押し倒し…
王子様に乗りかかっているその体勢のまま――――――――――――
jΣミイ˶º ᴗº˶リ座長のコメント:
お友だちから親友へ、親友から恋へ。嫉妬から気が付く恋もありますよね。
自分より小さな王子様に憧れを感じるお姫様…体形でのアドバンテージを生かしそのまま攻める様…
とっても素敵だと思いますねっ♪
恋「―――私は貴女の親友です! ですから……」
恋「悩みがあればいつでも相談して下さいね!」
千砂都「えっ!? う、うん……」ドキドキ
恋「スクールアイドルとしても部長としても優秀で、全校生徒の憧れの的となる千砂都さん…」
恋「明るくてお友だちが多く、一途に上を目指して頑張る貴女のことを尊敬しています」
恋「でも、頑張りすぎてパンクする前に私に相談して下さいね♪」
恋「千砂都さんっ!」😊ニコッ
千砂都「恋ちゃん…! うん!」
千砂都「恋ちゃんのおかげで少し気が楽になったよ! 恋ちゃんは最高の親友だね!」ニコッ
きな子「………」
―――生徒会室
恋「これで良かったのです…。これで…!」📖ビリッ…ビリリッ…
恋「貴女は私の…ずっと欲しかった初めての『親友』で…!!」
恋「Liella!の仲間で………少しだけ憧れていたりして……」
恋「それだけの関係で…!」
恋「…」
恋「っ…!」
恋「だって、分からないですよ…!」
恋「あんな顔をした貴女に、私が何を伝えれば貴女は笑ってくれるのですか…!?」
恋「私は…………! 私では………!!!」
恋「貴女のことを…この関係でしか笑顔にすることが出来ません…!」
恋「分かりますよ…!」
恋「貴女が待ち望む人が私ではなく―――――だということくらい…」
恋「っく…ぁぁ……ぁぁぅ…ぁぁ…」
きな子「きな子だって分からないっすよ…」
きな子「憧れの人が泣いてるのに、気の利いた言葉が思いつかないっす…」
きな子「だから…寄り添うだけしか出来ないけど、いいっすか…?」キュッ…
恋「はい…! はい………!」
きな子「……恋先輩は、千砂都先輩が今一番言って欲しい言葉を言ったと思うっす」
きな子「恋先輩は、私の憧れの優しい先輩っす……!」
恋「きな子さんっ…!! っぁぁ…ぁぁぁぁぁぁ……ぅぅぅ……!」
恋(これまで私は親友もおらず…『恋(こい)』も知らずに生きてきました)
恋(大人になる前にこの学校で知れて良かった…。お母さま、『恋(レン)』愛とは…)
恋(こんなにも辛く、切なく………どうしようもなく愛しいものなのですね……)
これは切ない
座長は帰って…😨
すみれ「ただいまー」🚪ガチャッ
可可「…何してるデスか?」
かのん「………」📖✍カリカリ
すみれ妹「かのんちゃんならお勉強中だよー」
すみれ「ほーう? 今日学校サボった分の勉強してるのね? 偉いじゃない」チラッ
すみれ「………かのんが真面目に勉強してるわけなかったわ」😅
可可「ほっほーう。かのん、これ本当にやるなら結構大変デスよ?」
かのん「学校で一番人気の子に告白するんだもん。そのくらいはしないとダメだと思う」
かのん「あ、それと…可可ちゃんって演劇祭の衣装担当になったんだよね?」
かのん「お願いがあるんだけど――――」
夏美「にゃふ? 急に呼び出して何の用なんですの?」
すみれ「今に驚くからまぁ見てなさいよ…」😓
可可「ナッツなら…多分ナッツなら大丈夫デス…」😓
夏美「なんかいい理由で呼ばれた気がしないんですの…」
かのん「まぁまぁそれはいいから」
かのん「さ、とりあえず横になろっか(イケボ)」✨
夏美「なんで!?」ガーン
ジリジリジリジリ
夏美「えっ…!? 私一体何されるんですの?」
夏美「まさか…最近流行りの禁断のセカイみたいなことを!?///」
かのん「夏美ちゃん…」
夏美「えっ!? なんなんですの!? なんなんですのこれ!? 顔、近い…///」
かのん「体固くなってるよ? ほら、力抜いて…?」
かのん「これじゃ入らないでしょ…?」
夏美「どこにナニを入れるつもりなんですの!?」
かのん「ほら、あんまり緊張してると痛い思いするかもしれないから…私に全部委ねて?」
夏美「かのん、先輩…///」ポッ
………
夏美「禁断の世界だった…ですのぉ…///」トロン
かのん「うん、夏美ちゃんならいける…! これなら…!!」
――次の日
かのん「あ…」
千砂都「かのんちゃん、おはよう! …昨日はゆっくり休めた?」
かのん「…うん。今日はもう平気」
千砂都「そっか…なら良かった!」😄ニコッ
かのん「っ…!!」
千砂都「早く学校行こうよ! 昨日の授業のノート写させてあげるからさ!」
――一昨日ならきっと繋いでくれた手を差し出さず、少し離れて歩くちぃちゃん
――うろたえちゃダメだ、澁谷かのん…!
――ちぃちゃんだってきっと凄く気を遣って笑顔を見せてくれてる
――いつも通り、これまで通りのお友だち…!
――ちぃちゃんにもう一度告白するまでは…!
—————————-#5————————————
📖これは……とあるお姫様が王子様に恋をするお話
千砂都「かのんちゃんどうしたんだろ…。急にこんなとこに呼び出して」
千砂都「夜景、綺麗だなぁ……」
王子様とお姫様は幼馴染。小さな頃から2人はずーっと仲良しでした
ずーっと仲良しの親友でしたが、ある日お姫様は王子様に恋をしてしまいます
このままじゃずっと関係は変わらない。そう思いお姫様は考えます
千砂都「まさかこの前の告白からまだ諦めてないんじゃ………」
千砂都「っ………私、どうしたらいいんだろう…?」
千砂都「諦めてもらうしかないよね…。このままじゃかのんちゃんの―――」
かのん「——そうかな?」
📖だって無力な自分じゃ王子様に相応しくない。恋人になんてなってくれない
王子様がビックリするくらいの方法じゃないと胸に響かせられない
だから………
かのん「私は絶対ちぃちゃんのこと諦めない!」
かのん「私は――ちぃちゃんのことが好きだ!!」
千砂都「えっ…!?」
千砂都「えぇぇ……? また告白してきたのもビックリだけど…」
千砂都「なんでそんな格好してるの? 禁断のセカイの王子様みたいだね?」
かのん「似合ってるかな?」ジャーン
📖お姫様はお姫様をやめ、王子様になることにしました
かのん「ほら、ちぃちゃん力抜いて?」
千砂都「え」グイッ
かのん「諦めないキモチ…諦めないキモチ…! うおおおおおお!」グイイッ
千砂都「……」
千砂都「何してるの?」キョトン
かのん「お姫様抱っこだよ✨」プルプル
かのん「夏美ちゃんで練習したから大丈夫! 絶対落とさないから!」プルプル
千砂都「………」
千砂都「…じゃあそのまま走れる?」
かのん「それは無理…」😱
千砂都「よく分かんないけど、かのんちゃんの中の王子様といえばお姫様抱っこなんだね?」
かのん「まぁ、ね…。私もこれが一番キュンときたし」ゼェハァ
かのん「……ときめいてくれた?」
かのん「私、王子様っぽかった?」
千砂都「………」ウーン
千砂都「…ちょっとは?」
千砂都「お姫様抱っこ自体はともかく、私の為に頑張ってくれたんだなってのはキュンと来たよ」
千砂都「有難う、かのん王子様」😊ニコッ
かのん「やった! 王子様作戦成功だ!」🙋♀WIN!
千砂都「いやいやいや…成功じゃないよ、かのんちゃん」
千砂都「っ………」
千砂都「ふーん、なるほどね…。夜景の見えるスポットに呼び出して来た時から勘付いてはいたけど」
千砂都「私も『禁断のセカイ』にハマってお姫様願望があると思ったのかな?」
千砂都「残念だけどそういうのはないよ。私は…」
かのん「もちろん、そういうわけじゃないよ」
かのん「だって、ちぃちゃんは格好いい王子様だもん…///」ポッ
千砂都「…」
かのん「だからね、ちぃちゃん。私……」
かのん「ちぃちゃんに負けたくないから、こうして王子様になったんだよ」
千砂都「え…?」
かのん「ちぃちゃんと私は幼馴染」
かのん「小さい頃は私の方が手を引いてたのにさ…いつの間にか立場が逆になったよね」
かのん「小学校で失敗して、中学時代はやさぐれて…」
かのん「ちぃちゃんはそんな私のことを優しく見守ってくれる王子様になってくれたんだ」
千砂都「っ…! それは違うよ! 私は…!」
千砂都「私の方が…!」
かのん「…少なくとも私はそう思ってるよ」
かのん「高校に入ってまた歌えるようになって、二人で同じステージで歌って踊れるようになって…」
かのん「私たちはようやく同じ高さになったと思ってる」
かのん「今度の選挙で、ちぃちゃんが王子様になって私が追いかける立場に戻ったけど…」
かのん「でも、今また追いついたよ」
かのん「私は今、ちゃんとちぃちゃんの隣にいるよ……!」
千砂都「ぁ…」
かのん「この前は情けない告白をしてゴメン」
かのん「千砂都王子様のお姫様になりたいなんて…そんなのちぃちゃん絶対嫌だよね」
………
すみれ「確かにそこは引っかかったわね。千砂都ってかのんを『下』には見てないもの」
すみれ「千砂都がかのんにかける期待を考えればねぇ…。ぶっちゃけ地雷を踏みぬいてるわよね」
すみれ「今になって思うとあんなナヨナヨかのんの告白じゃ私でも断るわ…」
すみれ「それでシチュってワケね。綺麗な夜景をバックにしたら情けないことなんて言えなくなるもの」
可可「きっと夢が醒めるような一言だったと思いマス」
可可「その場の勢い、自分の想いを伝えるだけの告白では千砂都はオトせないデスよ」
可可「どうしたら千砂都が喜ぶのか、千砂都がかのんに何を求めているのか」
可可「よく考えて告白してくだサイね、かのん…」
可可・すみれ(……きっと、二人で幸せになって帰ってくるって信じてるから……)
かのん「小さい頃のような、私がちぃちゃんを守ってあげる関係じゃない」
かのん「中学の時のような、私がちぃちゃんに守ってもらう関係じゃない」
かのん「どちらが王子様でどちらがお姫様とかじゃない」
かのん「これからの私たちは…ずっと対等だよ…!」
かのん「もしちぃちゃんがもっともっと成長するなら私も頑張って絶対追いつく!」
かのん「ちぃちゃんが私に追いつくのは…きっと、絶対するって信じてる!」
千砂都「かのんちゃん…………!」
かのん「ちぃちゃん…!」
かのん「貴女のことが好きです…」
かのん「私の恋人に……パートナーになってください!!」
千砂都「かのん、ちゃん……!」ギュッ…
かのん「もし良ければ、返事を聞かせてくれる…?」
千砂都「私…私っ…!」
千砂都「ずっと…ずぅっとね……かのんちゃんに憧れてたんだ…!」
千砂都「多分、かのんちゃんよりずーっと前からかのんちゃんに恋してる」
千砂都「かのんちゃんは、それこそずっと私の王子様だったんだよ…!?」
千砂都「今だってこうして、憧れの王子様になって来てくれてる…」
千砂都「だから…私は……それに追いつきたくて頑張ってきたんだ…!」
📖お姫様はお姫様をやめ、王子様になることにしました
📖王子様になりたいお姫様はたくさん頑張りました
苦手だったことを克服したり、得意なことを増やしたり…
中でもダンスは国一番になるまで頑張りました。王子様の得意な歌に合わせるために
王子様にできないことを出来るようになって、王子様と対等の立場で支え合えるように
だけど…
千砂都「だけど中学の時、かのんちゃんが挫折してたときは辛かったよ…!」
千砂都「私、自分が頑張るのは嫌じゃないんだ。かのんちゃんに追いつくために頑張るのは苦しくない」
千砂都「けど、かのんちゃんが成長してくるのを信じて待つのはあんまり得意じゃないから…」
千砂都「だから今度の選挙ではかのんちゃんにまた『上』になって欲しかった!」
千砂都「だから…大好きなかのんちゃんからの告白なのに…断っちゃったんだよ……!」
かのちぃあんまりだったけどこれは好き
📖頑張りすぎて、いつの間にかお姫様は王子様を追い抜いてしまっていたのです
今度はお姫様の方が、時間をかけてずっと、ずーっと王子様が成長するのを待ちました
かのん「たくさん待たせてゴメン。辛い思いばかりさせてゴメン…」
かのん「これからはずっと、一緒だよ…」ギュッ…
千砂都「うん…!」
かのん「これから先も二人で支え合って、二人で競い合って生きていこう」
かのん「私たちはそういう関係でしょ?」
かのん「もう一度言うね。…私の、パートナーになって下さい!」
王子様も負けたくない一心で頑張ります。失敗を克服し、再び立ち上がります
長い時間をかけ、お姫様が望んだ通りの『王子様』と呼ばれるようになった頃…王子様も追いつきました
二人はようやく同じ場所に立ち、二人の王子様になったのです
かのん「………」ドキドキ
千砂都「………お返事の前に、もう一回お姫様抱っこしてもらっていい?」
かのん「えっ!? う、うん…」
………
千砂都「……重くない?」キュッ…
かのん「お、重くなんてないよ! ちぃちゃん痩せてるもん」プルプル
千砂都「…そうじゃなくて。私自身がだよ」
かのん「え…」
千砂都「大好きな人からの告白を、理想じゃないからって断るような女だよ?」
千砂都「これからもきっと沢山かのんちゃんに押し付けちゃうよ? 」
千砂都「夢を叶える為に海外に留学してとか言うよ? …それでもいいの?」
かのん「もちろんだよ!」
千砂都「!!!」
かのん「こっちこそ、ちぃちゃんにはずーっと付いて来てもらうからね! 覚悟してよね!」
かのん「私は世界に歌を響かせるのが夢だもん!」
かのん「来年こそ留学するかもしれない…いや、絶対するんだ!」
かのん「…私は世界一の歌姫になるよ。だから…」
かのん「ちぃちゃんも世界一の踊り子になってもらうんだからね!…私の隣で」
千砂都「……!!」
千砂都「…………」
千砂都「…うん!」
かのん「…夜景、綺麗だね…」プルプルドキドキ
千砂都「うん…。見慣れた景色だと思ったのに…今は違って見えるよ」
かのん「え、えーっと…そろそろ、限界なんですけどぉ……」プルプル
千砂都「あ、ゴメン…。下ろしていいよ」
かのん「………今度こそときめいてくれた? 私、王子様合格かな?」
千砂都「合格♪ だから…お礼に…!」
――お姫様抱っこからちぃちゃんを下ろそうとするその直前…
――間近にあった大好きな人の顔が更に接近して……
千砂都「あげたよ! 私のファーストキス!」シュタッ
千砂都「こちらこそ私の恋人に、パートナーになって下さい!」😊
千砂都「かのんちゃん♪」
epilogue
恋「……皆様大変お待たせしました。いよいよ演劇祭に向けた練習を行っていきます」
恋「私の不手際で脚本を失くしてしまい、長らくお待たせて申し訳ありません」
きな子「………」💭🗑
恋「代わりの脚本として澁谷かのんさんが書いてくれたものを使用します」つ📖
恋「……とてもとてもいいお話なので、みなさん楽しみに読んで下さいね」ニコッ
………
メイ「熱いな! どこかの誰かのお話なのか? これ…」📖ペラペラ
四季「うん、とってもいいと思う。王子様に守られるお姫様、なんて概念は古いもの」
夏美「これからの時代、LGBTも活躍する社会に相応しい素晴らしい脚本だと思いますの!」
すみれ「劇の脚本が変わったお陰で『禁断のセカイ』ブームも落ち着いたわね」
可可「ハイ。もうみんな夢女ではなくなりマシタ」
可可(腐女子の方はやや増えてしまいましたが…)💦
すみれ「これからのヒロインは守られるだけじゃないものね! まさに私の理想そのものだわ!」
可可「本当デスか~~? すみれはお姫様願望あるんじゃないデスか?」
すみれ「あるけどそれは別の話! 夢と理想の生き様は違うのよ!」
すみれ「……可可!」
可可「??」
すみれ「私たちも理想のカップルになるわよ! 私たちに相応しい姿で!」👏ギュッ
可可「~~~~~~っ///!?」ドキッ
すみれ「まずはこの学校のベストカップルになるったらなるわ! あの2人には負けないんだから!」
恋「はぁ…」
理事長「なんだかアンニュイな表情することが多くなりましたね。葉月さん…」
ナナミ「かのちぃ・クゥすみカップルが模範的なカップル像を演出する動画が効果を発揮して…」
ナナミ「禁セカブームで出来たインモラルな風紀が解消されてホッとしてるんじゃないでしょうか」
きな子「それだけじゃないっす」
きな子「……きっと、人には言えない切ない想いをしたんじゃないっすかね」😥
恋「禁断のセカイのブームが去ってしまいました…。もっと流行らせたかったのに」ションボリ
理事長「…」😅
きな子「……心配して損したっす…」💢
恋「冗談です! 冗談ですよ~~!」💦
きな子「ふーんだ! 恋先輩はまだずーっと失恋の余韻に浸ってればいいっすよ!」
ナナミ「あはは…。まだまだ吹き荒れてるなぁ、『禁断のセカイ』♪」
📖これは……とあるお姫様が王子様に恋をするお話
王子様とお姫様は幼馴染。小さな頃から2人はずーっと仲良しでした
ずーっと仲良しの親友でしたが、ある日お姫様は王子様に恋をしてしまいます
このままじゃずっと関係は変わらない。そう思いお姫様は考えます
だって無力な自分じゃ王子様に相応しくない。恋人になんてなってくれない
王子様がビックリするくらいの方法じゃないと胸に響かせられない
だから…お姫様はお姫様をやめ、王子様になることにしました
王子様になりたいお姫様はたくさん頑張りました
苦手だったことを克服したり、得意なことを増やしたり…
中でもダンスは国一番になるまで頑張りました。王子様の得意な歌に合わせるために
王子様にできないことを出来るようになって、王子様と対等の立場で支え合えるように
だけど…今度は頑張りすぎて、いつの間にかお姫様は王子様を追い抜いてしまっていたのです
今度はお姫様の方が時間をかけてずっと、ずーっと王子様が成長するのを待ちました
王子様も負けたくない一心で頑張ります。失敗を克服し、再び立ち上がります
長い時間をかけ、お姫様が望んだ通りの『王子様』と呼ばれるようになった頃…王子様も追いつきました
二人はようやく同じ場所に立ち、二人の王子様になったのです
二人の王子様はそれからもお互い負けたくないと努力を積み重ねていきます
王子様が外国へ遠征することになった時には、お姫様もお偉いサマに実力を見せつけついていきました
お姫様が挫けそうになった時には、王子様が手を取り二人で立ち上がりました
世界一の歌姫、世界一の踊り子を目指して頑張る日々は二人の仲を更に深めていき…
いつしか、世界で一番のパートナー同士になったのでした
jΣミイ˶º ᴗº˶リ座長のコメント:
まず二人の王子様が向き合っているというシチュエーションが最高ですよね
可愛いお姫様が努力して王子様に認められ…王子様もまた負けたくない一心で頑張る
そうして芽生えた最強の絆。こういう恋もありなんじゃないでしょうか?
くぅ~~~! 熱いです!
完
このSSを書いてくれて有難う
良かったです
かのちぃには幸せになって欲しいね
面白かった
ラ板で良いかのちぃが見られるなんてね
lgbtにも配慮した脚本とか言われてるのすき