歩夢「太陽に代わるもの」【SS】
目覚ましが鳴る前に起きちゃった
今、何時だろう
歩夢「んん~…」スッ
3月1日 AM 05:27
スマホのロック画面の時刻にはそう出ていた
今日は私の誕生日…日付が変わってから、侑ちゃんからのお祝いの電話が貰って小一時間話していたんだけど…
私にしては深い時間まで起きていたはずなのに、起きた今は意外と眠くはなかった
寝ようと思えば寝れるくらいかな
侑ちゃんとの電話の最中に届いた、同好会のみんなからのメッセージを読み返す
誰よりも早くおめでとうのメッセージを送ってくれたのはランジュちゃんだった
多分、日付が変わったその瞬間に送ってくれたんだと思う
ランジュちゃんが日付が変わるまでスマホとにらめっこしてたのかと思うとちょっと微笑ましくなる…というか純粋に可愛い
…それから璃奈ちゃんやせつ菜ちゃん、エマさん…他のみんなからのメッセージも読み返す
ただ、まだ一人からのメッセージは来てなかった
気にするほどでも無いんだけど
こういうのはランジュちゃんに匹敵するほどの速さで送ってくれそうな印象だったからちょっと意外に感じた
…まぁ、まぁまぁ…それはさておき、もうそろそろ起きよう
ふと窓の外を見ると、相変わらず空は曇っていた
ここの所ずっと曇りだったから、こうも曇りが続くと少しだけ気分までもが曇りそうになる
…忘れてないよね?私の誕生日…
いや、そうじゃなくて…
とりあえず…とりあえず顔を洗って、髪も整えて…時間もあるし果林さんに教えて貰ったストレッチでもゆっくりしよう
ピロンッ♪
ピロンッ♪
歩夢「へ…」
え、メッセージ…こんな朝早くに…?
愛:歩夢おはよー!それこらお誕生日おめでとう!
愛:一番乗り狙いたかったのに日付変わる前に寝ちゃったよ~…
愛:起こしちゃったらごめんねっ!!また後でっ
もう文字からパワフルさが伝わってくる
とりあえず忘れられてなくて良かった……いや、そうじゃなくて
…とりあえずお返事しよう
歩夢:おはよう愛ちゃん
歩夢:お祝いしてくれて嬉しいな。ありがとう。
歩夢:ていうか愛ちゃん早寝早起きだね
歩夢「……」
…思わず話題提供しちゃった
後で学校でねで終われば良かったのに
歩夢「!!?」
えええっ!?電話!?誰?!
─宮下愛─
愛ちゃん!?
歩夢「え、え…どうしようなんで急に…」
~♪
歩夢「うぅ…もう…」ポチ
歩夢「も、もしもし?愛ちゃん?」
愛「おおっ、出た出た!おはよー歩夢っ」
歩夢「お、おはよう…びっくりしたよ、急に電話してきて…」
愛「あははっ、いやーだって歩夢起きてたみたいだったからさ。歩夢こそ早起きじゃん」
愛「んー?大丈夫じゃん、かわいーよ」
歩夢「そうもいかないよ…ちょっとだけ待っててくれる?」
愛「うんっ、いいよー」
─
歩夢「お待たせ」
愛「おかえりー」
歩夢「うん、ていうか愛ちゃん…どうしたの?急に電話なんて、しかもビデオ通話…」
愛「えっへへ、それはもうねぇ?出来たら顔見てお祝いしたかったし」
歩夢「…そっか、ありがとう」
愛「いえいえー」
愛「さて!じゃあお話しよっか!」
歩夢「え、お話?こんな朝から?」
歩夢「そんなアメトーークみたいな感じで言わなくても…」
愛「5時間スペシャルでお送りします!」
歩夢「長丁場だね!?普通に遅刻するよ?!」
愛「あっはは!うそうそ~♪ウソトーーク!」
歩夢「うぅわ…」
愛「ああ、ちょっとちょっと…あからさまに引かないでよ歩夢 」
歩夢「引いてないけど愛ちゃんのテンションに引いてるよ」
愛「ああ、なるほどね!引いてるじゃん」
愛「あっ、うんっ!そうそう!日課みたいなとこあるし」
愛「今から1回家に帰るとこだよー」
歩夢「そっか、お疲れ様、愛ちゃん」
愛「うんっ、ありがと!」
歩夢「でもすごいね、こんな時間から…」
愛「今度歩夢も一緒に走ろーよ!」
歩夢「うん、たまにはいいかも」
歩夢「ふふ、うん」
歩夢「愛ちゃん、もう朝ごはん食べたの?」
愛「んーん、これからだよー。歩夢もこれからでしょ?」
歩夢「うん、それからお弁当も作らなきゃ」
愛「おーいいなぁ歩夢の手作り弁当」
歩夢「一品だけ何か作ろっか?」
歩夢「うん、リクエストがあれば」
愛「じゃあ、たまごやき!」
歩夢「うん、分かった。たまごやきだね」
歩夢「味付けは何がいい?」
愛「逆に歩夢はなんの味付けがいいの?」
歩夢「え?どうして?」
愛「歩夢の好きな味付けがいいなーって思って」
歩夢「いいの?愛ちゃんの好きな味付けじゃなくて」
愛「うん、やっぱり好きな子の好きなものは食べたいって思うじゃん」
歩夢「ぇ…は…?」
愛「ん?」
歩夢「え?」
愛「え?」
歩夢「え?」
愛「え?」
歩夢「…いや、こっちだよ愛ちゃん。え?はこっちのセリフだよ」
愛「……したけどさ、まぁそれは置いといてはぐらかさないで歩夢の好きなたまごやきの味付け教えてよ~っ」
歩夢「はぐらかしてるのそっちだよ?!もうたまごやきの話入ってこないもんっ」
愛「…歩夢のたまごやき…」
歩夢「…さっきの返事とたまごやきとどっちの方が欲しいの愛ちゃん」
愛「たまごやき」
歩夢「おかしい!おかしいよ愛ちゃん!」
愛「ただでさえ恥ずかしいのに口滑らしちゃったとかそれを言うのも恥ずかしいし」
愛「ちゃんとした時に言いたかったし」
歩夢「………愛ちゃんでもやらかしちゃう時ってあるんだね」
愛「いやこれはほんとにヘコむやらかし…」
歩夢「…ふふっ…ドンマイだね」
愛「えっ!もうそんな時間!?」
歩夢「うん、だから…また学校でね」
歩夢「それと、たまごやきとさっきの返事を持っていくから、お昼休みに部室で待っててね」
歩夢「…やり直しするならそこでね…?愛ちゃん」
愛「ぅ、うぅん……うん!おっけ!分かった!部室で待ってるね!」
愛「あ、ねぇ歩夢!」
歩夢「?」
愛「切る前に改めて言わせて!」
愛「お誕生日おめでとうっ!歩夢!」ニコ
歩夢「…ふふ…うんっ、ありがとう」ニコ
─
歩夢「…ふぅ」
…素直に嬉しかった
メッセージをくれたことも
電話をかけてくれた事も
元気な声を聞けたことも 屈託の無い笑顔を見られたことも
シチュエーションは残念だったけれど、好意を示してくれたことも
でも、シチュエーションなんてそんなものが気にならないくらいに、私の心は高揚していた
罪深いなぁ、愛ちゃん…
─
侑「おはよー歩夢!それから誕生日おめでとう!」
歩夢「うんっ、おはよう。ありがとう侑ちゃん」
侑「いやー、歩夢との電話で夜更かししちゃったからどうなるかと思ったけど…なんとか起きれたね」
歩夢「そうだね、私が起こさなかったら終わってたね」
侑「あははっ」
歩夢「もお、あははじゃないよ侑ちゃん」
侑「それよりさ、放課後お誕生日パーティやるから、準備が出来るまで部室に入らないようにね?歩夢」
歩夢「そんな大袈裟にやらなくてもいいのに」
侑「でもみんな張り切ってるし」
歩夢「なんだか私より楽しみにしてるね、みんな」
侑「歩夢だって楽しみでしょ?」
歩夢「それはもちろん、楽しみだよ」
侑「でも、今日くらいは晴れてて欲しかったなぁ…折角の歩夢の誕生日なのに」
歩夢「……」
歩夢「さっきまで晴れてたんだけどね」
侑「えっ、うそ?太陽出てた?」
歩夢「うん」
私にとっては、紛れもなく太陽に代わるものだった
その太陽のおかげで、この空色で曇りかけていた心が一気に晴れやかになれたし
その太陽はこんな天気でも…最高の日になりそうだって思わせてくれたから
会いたいな、早く
愛だけに なんてね
歩夢「…ふふっ」
侑「?」
歩夢「すごくいい天気だったよ」
おつでした
良いあいぽむだった
会話のテンポ良いしこういうの好き
引用元:https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1677682022/
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