愛「『攻略してほしい女がいる』……?」璃奈『無理なら絶対に返信しないように』#4 ハルカカナタ編
短いですが、今日の分更新していきます。
愛「色々あったけど、ライブ上手くいって良かったよね!」
璃奈「うん。みんなのおかげ。璃奈ちゃんボード『にっこりん』」
愛「そのボードも大分気に入ってるみたいだねー! ライブ用のって、ゆうゆと作ったんでしょ?」
璃奈「うん。侑さん、すき」
愛「へー。ちょっと妬いちゃうかも」
璃奈「……妬くの?」
愛「まーね。りなりーと最初に仲良くなったのは愛さんなんだし……?」
璃奈「愛さん、こども」
愛「なにそれー!」
璃奈(……嬉しい)
愛「カナちゃんの妹?」
彼方「うん! 遥ちゃんは~、彼方ちゃんの世界一大好きな妹なんだよ~」ダキッ
遥「お、お姉ちゃん! 人前じゃ恥ずかしいよ~!」
侑「ねえ、遥ちゃんって、東雲学院の近江遥ちゃんだよね!?」
遥「は、はい……!」
侑「うわー! すごいすごい!」
歩夢「侑ちゃん、他校のスクールアイドルもチェックしてるんだね」ニコッ
侑「うん! 大好きなんだ!」
歩夢「……そう」
せつ菜「色々調べてくれてて、本当に助かります!」
せつ菜「侑さんが同好会に入ってくれて、本当に良かったですっ!」
愛(ゆうゆは本当に良い子だな~。アタシたちが全力でスクールアイドル活動出来るのも、ゆうゆのおかげだよね!)
愛(同好会の皆のこともよく見てるし、頼りになるな~)
侑「それで、今日はどうして虹ヶ咲に?」
彼方「ふふふ、私たちの活動に興味を持って、見学に来てくれたんだ~」
遥「はい! お姉ちゃんが、いつも楽しそうにお話してくれるので!」
侑「そうなんだ! 是非見ててってよ!」
遥「はい!」
愛「カナちゃんのこと、大好きなんだね~」
遥「えへへ///」
愛(のんびりしてるカナちゃんと、しっかり者の妹ちゃんかー。二人ともお互いに大事に思ってて、素敵だねぇ)シミジミ
※※※
彼方「うおおおおおおお~」
彼方「遥ちゃーん!」
遥「お姉ちゃんが、あんなに速く走るなんて……」
侑「うん! 同好会の活動が再開してから、彼方さんすごく頑張ってるんだよ!」
遥「そうなんですね……」
侑「ん?」
遥「お姉ちゃん……?」
しずく「大丈夫ですよ、枕はちゃんとありますから」
遥「え!?」
エマ「この枕、彼方ちゃんのお気に入りなの。寝心地良いんだって」
遥「あの! お姉ちゃんは、よく寝ちゃうんですか?」
しずく「はい。私が知る限り、彼方さんは寝るのが大好きだと思いますよ?」
エマ「特に膝枕で寝るのが好きだよね」ニコニコ
遥「ひ、膝枕!?」
愛「そうそう! 愛さんもしてあげたよー!」
遥「お姉ちゃん、皆さんに膝枕をしてもらうほど、頻繁に寝ているんですね……」
しずく「そういえば……。最近、いつにも増してよく寝ているような……」
璃奈「確かに……。練習しながら、寝てた」
しずく「この前も、全然起きないくらい熟睡してて……」
彼方「」スヤァ
エマ「彼方ちゃん……?」
最初に※※※入れ忘れましたが、>>152から場転してます
侑「私は、皆の応援団みたいな感じかな?」
遥「へえ! そうなんですね!」
彼方「……あれぇ?」
遥「! 目、覚めた?」
彼方「は! くぅ~! 遥ちゃんにお姉ちゃんの恥ずかしいとこ見られてしまった~!」
遥「恥ずかしくなんかないよお姉ちゃん。疲れて当然だよ、いっぱい無理してるんだから……」
彼方「? 無理してるって何を?」
遥「やっぱり……」
彼方「遥ちゃん?」
遥「お姉ちゃん、同好会が再開してから、あんまり寝てないでしょう?」
彼方「うん、つい楽しくて~」
遥「私、お姉ちゃんが忙しすぎて、倒れちゃうんじゃないかって心配で……」
遥「それで、今日見学に来たんだ」
彼方「そうだったの……?」
愛「……りなりー?」ボソッ
璃奈「うん。今回の攻略対象は、彼方さんの妹さんみたい」ボソボソ
愛「これまた変化球だね……」ボソッ
璃奈「他校の生徒……難しそう?」ボソッ
愛「いや、やってみる!」ボソッ
遥「いつも私を優先してくれたお姉ちゃんが、やっとやりたいことに出会えたんだって」
彼方「遥ちゃん……」
遥「今のお姉ちゃんには、同好会がとても大事な場所だってよくわかったの」
遥「だから私、決めたよ」
彼方「ん? 何を?」
遥「私――」
遥「スクールアイドル、やめる」
彼方「……は?」
侑・彼方「「えええ~!?」」
彼方「わちょ、え、え……?」
侑「どうして!?」
遥「このままじゃ、お姉ちゃんが身体壊しちゃうから……」
彼方「彼方ちゃんが寝ちゃったせいで、遥ちゃんに心配させちゃったの? 大丈夫だよ~!」
遥「全然大丈夫じゃないよ!」ガタッ
彼方「!」
遥「お姉ちゃんはお母さんが忙しいからってお家のこと全部して、家計を助けたいからってアルバイト掛け持ちして!」
遥「奨学金もらってるからって、勉強も頑張って!」
遥「その上スクールアイドルなんて、誰だって倒れちゃうよ!」
遥「……もういいの」
彼方「……?」
遥「私のことより、お姉ちゃんにはやりたいことを全力でやってほしいの」
彼方「……遥ちゃん」
しずく「あの……そのために遥さんは、スクールアイドルを辞めるんですか?」
遥「はい」
彼方「だ、だめ! そんな……遥ちゃんは夢を諦めちゃ駄目!」
璃奈「……!」ポチポチ
愛(……?)
遥「お姉ちゃんが苦労してるのわかってて、夢を追いかけるなんて出来ないよ!」
彼方「そんなの……気にしなくて良いんだよ~!」
彼方「だって、遥ちゃんは大事な妹なんだもん」
遥「どうして……? 妹だったら、気にしちゃいけないの?」
彼方「心配させちゃってごめんね? 彼方ちゃん、もっと頑張るから」
遥「……お姉ちゃんの、わからず屋!」ダッ
侑「遥ちゃん!」
侑「私、見てくる!」
愛「……待って!」
侑「!?」
愛「ここは愛さんが行くよ。ゆうゆはカナちゃんをお願い」
侑「でも!」
愛「すぐ戻るから!」ダッ
~♪📳
愛「もしもし? りなりー?」タッタッタッ
璃奈『大変なことになった』
愛「どしたの?」タッタッタッ
璃奈『……彼方さんも』
愛「……え?」ピタッ
璃奈『彼方さんの心にも隙間が出来た。しかも、遥ちゃんと全く同じ度合い』
愛「そ、そんな!」
璃奈『エマさんの時とは違って、今回は悩みの原因は最初から分かってる……。ただ、今回は――』
璃奈『近江姉妹二人を、同時に攻略する必要がある』
愛「……!?」
章タイトルでお察しの通り、近江姉妹同時攻略編となります。
エマ編の反省を活かして、今回こそはサクッと決めようと思っていた時期が、私にもありました……。
ある程度書けたら、明日も更新するかもしれません。
いつもレスありがとう
確か元ネタのラノベ版に2人同時攻略する話があったな
ノープランで書き始めて、知らないうちに遥ちゃんも攻略することになってました……
魅力的なキャラ故に、勝手に話が進んでくれるのありがたいです。
今気付きました笑
更新中レスもらえるとやる気出るので、大丈夫です👌
愛「おーい! 妹ちゃーん!」
遥「あなたは……。ええっと、確か同好会の」
愛「宮下愛だよ! 妹ちゃんが心配で追ってきたんだ!」
遥「さっきはいきなり飛び出しちゃってごめんなさい……」
愛「大丈夫! カナちゃんのこと大事に思う気持ち、ちゃんと伝わってきたよ!」
遥「……ありがとうございます」
愛「ええっと、妹ちゃんってのも何かおかしいから……ハルちゃんでいいかな?」
遥「え、ええ。それはおまかせします」
愛「おっけー! ハルちゃん、早速だけど、スクールアイドル辞めるの辞めない?」
遥「辞めません。私、もう決めたんです!」
愛「そっかそっか。なら無理には止めないよ」アッサリ
遥「……え?」
遥「……はい。もう少し引き止められるかと……」
愛「まあ、今のはゆうゆやカナちゃんの意思を尊重して、一応言ってみただけ」ニッ
愛「ハルちゃん的には、カナちゃんに負担をかけたくないから、スクールアイドルを辞めるって話だったもんね?」
遥「はい」
遥「私は、お姉ちゃんが頑張りすぎてるから、そんなに頑張らないでって言いたかったんですけど……」
愛「カナちゃんは『お姉ちゃん、もっと頑張るから』だもんね……」
遥「そうなんです。お姉ちゃん、まだ私を子ども扱いしてるみたいで、私にはバイトなんかさせないって」
愛「なるほどねー。そういうことなら丁度良かった!」
愛「愛さんは、別の提案をするために追いかけてきたんだ!」
遥「?」
愛「ハルちゃんさ、愛さんと既成事実を作らない?」
遥「え……? ええー!?///」
宮下家
遥「お姉ちゃんからは聞いてましたけど、愛さんのお家って、本当にもんじゃ屋さんだったんですね……」
愛「うん、ずっと昔からやってるお店なんだ! おばあちゃんに許可ももらえたし、早速色々教えていくね!」
遥「は、はい!」
遥(いきなり家に誘われた時は驚いたけど……)
――――
――
遥「き、既成事実!?」
愛「そう! 初めて見た時から、愛さんハルちゃんのこと、すごく可愛い子だなぁって思ってたんだよね!」
遥「え!? えと、その……あの……!」カアァ
愛「取り敢えず、家に来てもらおっか」ニギッ
遥「だだだ、駄目ですよお! 会ったばかりの人とそんな……!」モジモジ
愛「ん……?」キョトン
遥「へ……?」キョトン
愛「カナちゃんからバイトを禁止されている」
遥「はい……?」
愛「ハルちゃんはもう子どもではない」
遥「……はい……?」
愛「なら、勝手にバイトして、自分も働けると証明したらいーんじゃない?」
遥「……!」
愛「既成事実!」ブイッ
遥「……ああ、なるほど///」
愛「確か、次の日曜日が最後のライブだったよね? 練習の後にちょっとだけで良いから、やってみない?」
遥「えっと、じゃあ……よろしくお願いします!」
――
――――
昨日読みに来てくれてた人かな?今日もありがとう。
遥(……愛さん、ちょっとカッコいいし)チラッ
愛「ん? どした?」ニコッ
遥「……な、何でもありませんっ」プイッ
愛「?」
愛「まあいいや。いきなり厨房は難しいだろうから、ハルちゃんにはホールをやってもらうね!」
遥「はい!」
愛「お客さんが来たら席に案内して、注文を取って料理を運ぶ。最後にお会計をしてテーブルの掃除。取り敢えずこれだけ覚えよう!」
遥「わかりました!」
愛「うんうん、やっぱりハルちゃんは良い子だね~」ナデナデ
遥「あ、ありがとうございます……!」
遥(愛さんの手、おっきい……)
遥(頭を撫でられると……やっぱりお姉ちゃんの顔が浮かぶな……)
今日もありがとう
>>174
心の隙間が云々以外は全く元ネタに沿ってないから、アニガサキ別ルートくらいの感覚で読んでもらえれば
遥「いらっしゃいませー!」
モブ子「あらまあ新しい店員さん? 可愛いわねぇ」
遥「えっと……」
愛「えへへ、アタシの可愛い妹分なんですよ! 何と、お客さんがこの子にとって初めてのお客さん!」
モブ子「あらそうなの? じゃあ今日は奮発して……」
愛「毎度ありー!」
遥「あ、ありがとうございます!」
~
モブ子「ごちそうさま」
遥「ありがとうございます、お会計はこちらです!」
モブ子「おいくらかしら?」
遥「3050円です!」
モブ子「ええっと……。はい、丁度3050円!」
遥「ありがとうございます!」
遥「……!」
遥「はい! お待ちしてます!」
愛「おばちゃんいつもありがとー!」
モブ子「愛ちゃん、遥ちゃんのこと、大切に育ててあげなさいよ?」
愛「うん! 任せて!」
モブ子「またね」ガラガラ
愛「……どう?」
遥「最初は緊張しましたけど、何だか心が暖かくなって、優しい気持ちです」
愛「いいねいいね! ハルちゃんには接客業の才能があるよ!」
遥「えへへ」
愛「……そうだ! ハルちゃん、手出してみ?」
遥「?」スッ
愛「はいこれ」トン
遥「これは……。さっきの50円玉?」
愛「うん! レジには代わりに愛さんの50円玉入れといたから、それは記念に持っとくといいよ!」
遥「……わぁ」パァ
愛「よーし、この調子でワクワクしながら働こう! ワークだけに!」
遥「はい!」
近江家
彼方「えっと、遥ちゃん」
遥「何? お姉ちゃん」
彼方「あの……スクールアイド」
遥「その話題は、もうおしまいにしよ?」
遥「お姉ちゃんと喧嘩したくて、辞めるわけじゃないから……」
彼方「……」
遥「今度のライブ、絶対見に来てね!」
彼方「う、うん……」
遥(ごめんねお姉ちゃん……。でも、こうでもしないと、お姉ちゃんは無理しちゃうから……)
彼方(私の頑張りが足りてなかったから、遥ちゃんが無理しようとしてる……)
彼方「……そう言われたら、何も言えなくなっちゃって……」
彼方「遥ちゃん、折角スクールアイドルになったのに……心配かけちゃって……」
彼方「遥ちゃんが辞めるくらいなら、いっそ、彼方ちゃんが……」
侑「それは駄目!」
彼方「うぅっ」
エマ「彼方ちゃん」
エマ「それは本当に、彼方ちゃんが望んでいることなの?」
彼方「……違う、彼方ちゃんの望みは……ずっと探してた夢は……ここにある」
愛(カナちゃん……)
彼方「同好会が再開してから、ずっと楽しかったんだ」
彼方「やりたいことが、どんどん増えていって……それを一緒に目指す仲間がいて……すごく幸せで……」
彼方「皆との同好会は、彼方ちゃんにとってもう、大事な、失いたくない場所なんだよ」
彼方「……でも」
彼方「遥ちゃんの幸せも、守りたいの」
彼方「そんなの、ワガママだよね……」
果林「そうかしら?」
エマ「うん! 自分に嘘ついてるより、ずっといいと思うよ!」
歩夢「きっと遥ちゃんも、彼方さんの幸せを守りたいんだと思います!」
愛(うんうん、昨日ハルちゃんと話した感じ、きっと二人は……)
璃奈「似た者姉妹だと思う」
愛(……! 言われた!)
彼方「似た者姉妹?」
璃奈「……」アイコンタクトチラー
愛(!)
愛「だって、二人とも言ってること一緒だよ?」
せつ菜「そうですね、お二人とも、自分一人で解決しようとしています」
アニメだとあの人出てこなかったけど
今日もありがとう。遥ちゃんもえっちなこと考えてたのでセーフ
>>182
基本的にはアニメに出てきたキャラ以外は出ないですね……
……!」
侑「彼方さん、遥ちゃんはもう、守ってもらうだけの人じゃないと思う」
彼方「え?」
侑「だってそうじゃなきゃ、お姉さんのことを助けたいって、あんなに真剣にならないよ!」
彼方「……!」
彼方「何となく、わかったような気がする……」
彼方「……っ」スクッ
彼方「遥ちゃんに、ちゃんと伝えなきゃ!」
愛「ねえりなりー、これってもうカナちゃんは大丈夫そうじゃ……」ボソボソッ
璃奈「確かに多少は落ち着いたみたいだけど……」ボソッ
愛「?」
璃奈「こんな簡単に、彼方さんの頑固が治るとは思えない……」ボソボソッ
愛「んー……」ボソッ
侑「ね、ねえ! こういうのはどうかな?」
せつ菜「考えましたね侑さん! まさか東雲学院のライブにお邪魔して、彼方さんのサプライズライブをしようだなんてっ!」
侑「うん、ダメ元だったけど、東雲学院の子たちも快く乗ってくれたよ! こちらも遥を失うのは痛いって」
エマ「ばっちりライブが出来たら、遥ちゃんも考え直してくれるかも! 凄いライブには、それだけの力があるよ~!」
果林「ええ、そうね」
侑「よーし、それじゃあ皆で、彼方さんのライブ成功を全力でサポートしよう!」
「「「おー!」」」
愛(本当に……それで解決するのかな?)
それと心の隙間を埋めることとは別問題なんだろうけど
乙です
そうなんだよね。これ書くにあたってアニガサキ各話何回も見てるけど、尺の問題とはいえ8話は無理に畳んでて、ハッピーエンドとは言い切れない。
>>188
愛さん勝手に動いてイケメンムーブかましてくれるから、過去作であんまり出番用意しなかったの後悔し始めてる。
どちらかと言うと愛トモや美里さん絡みの話のが多いけど、ボランティア集めの時とか愛トモ機能してなかったですし…
あなたポジで愛さんのスペックなら最強なんですけどね。高スペック故に主役を食ってしまうので、サブキャラだと動かしづらいと思います。
今日の分投下していきます。
遥「すみません……。はい……すみません……」
モブ美「もういい、あんたじゃ話にならないわ! 分かる人を呼んで!」
遥「は、はい……」
愛「? どうしたんですか、お客様?」ダッ
モブ美「は? またガキが出てきたじゃない。どうなってんのよこの店は!」
愛「……」
愛「申し訳ありません、あいにく店主は買い出し中でして。娘のアタシが代わりに対応させていただきますので、お話を伺ってもよろしいですか?」
モブ美「……何よ、派手な見た目の割には、物分りの良さそうな子じゃない」
モブ美「これ、注文したのと違うのよ。私は海鮮もんじゃを頼んだのに!」
遥「でも、さっきはチーズもんじゃって……」
愛「ほんと?」
遥「は、はい……」
モブ美「はぁ!? あんたが聞き間違えたんでしょ? 私が言い間違えたっていうの?」
愛(いやいや、いくら人生初バイトのハルちゃんだからって、チーズもんじゃと海鮮もんじゃを聞き間違えるわけ無いでしょ……)
遥「ごめんなさい……ごめんなさい……」フルフル
愛「……」
愛(ハルちゃん、こんなに震えて……)
遥「……違」
愛「はい。全ての責任はアタシにあります。ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした」ペコリ
遥「……」アイサンズソデギュッ
愛「すぐに海鮮もんじゃを用意いたしますので。今回お代は結構です」
モブ美「ふんっ、当たり前よ」
遥「あの、愛さん……」
愛「大丈夫だから。気にしなくていいよ」ボソッ
モブ美「全く。今回はその金髪の子に免じて許してあげるけど、あんたもお遊び気分でバイトなんかするんじゃないわよ?」
遥「……すみませ」
愛「お客様」サッ
遥「!?」
愛「この子は……ハルちゃんは、お遊び気分なんかで働いてません」
モブ美「……はぁ?」
遥「愛さん!?」
愛「ハルちゃんは、家族のために、大切なお姉さんのために一生懸命働いてくれてます。まだ高校生なのに」
モブ美「そんなの、私には関係ないでしょ!」
愛「注文は聞き間違えたかもしれません。絶対にお客様が言い間違えと確信が無い以上、アタシは責任をもって対応させていただきます。でも――」
愛「当店の大切なスタッフを傷つけるのは、絶対に許しません」
遥「愛さん……」
モブ美「何言ってんのあんた! 私は客よ!?」テーブルダンッ
愛「お客様だからどうしたんですか? ……いや。そんな態度の人を、もんじゃ宮下ではお客様としては扱えません」
愛「――お帰りください」
モブ美「……! どうなっても知らないわよ!」ダッ
愛「……ふぃー、やれやれ」
愛「ハルちゃん大丈夫?」
遥「あの、えっと……ありがとうございました」
愛「良いんだよ。愛さんは愛さんの仕事をしただけだし」
愛「時々いるんだよねー、お客様は神様だ! って客の立場で言ってくる人」
愛「あれは店員側の理論なのにね? あはは!」
遥「う、ううっ……愛さん!」ダキッ
愛「よしよし、怖かったね~」ナデナデ
遥「愛さん、愛さぁん……!」
愛「大丈夫、大丈夫だから」ポンポン
モブ美「何なのよあの店は!? 店内にはクソガキしかいないし、接客態度も悪い! 私は客なのよ!?」ガシガシッ
モブ美「……そうだわ。最近は、悪を成敗するのに便利なツールがあるじゃない……!」
モブ美「このことをSNSや口コミサイトで……」
モブ美「あの金髪が悪いのよ! お客様に逆らうから! あっはっ」
「それは違うと思う」
モブ美「!?」クルッ
モブ美「……またガキじゃない。何よ? 文句ある?」
モブ美「……というか、何よその画用紙? 馬鹿にしてんの?」
ピロンッ♪
璃奈「私が怒ってるって、上手く伝えられるか心配だった」
モブ美「はぁ?」
璃奈「悪を成敗するツール……。本当にあなたに使いこなせる?」
ピロンッ♪
モブ美「で、出来るわよ! 何なら今からでも……」
ピロンッ♪ピロンッ♪
モブ美「……! なに、これ……」
ピロンッ♪ピロンッ♪ピロンッ♪ピロンッ♪ピロンッ♪ピロンッ♪ピロンッ♪
璃奈「さっきあなたが店内で暴れた様子を、編集してSNSに投稿させてもらった。もちろんあなたのアカウントを特定して、リンクも貼った。名前や住所も、そのうち流れるかもね」
璃奈「世間が見た時、正しいのはあなたなのかどうか」
璃奈「その答えは、その通知を開けばわかる」
モブ美「い、いやああああ!!!」
璃奈「火消し、頑張って」クルッスタスタ
璃奈(もんじゃ宮下盗撮は正義……のはず)
学生時代飲食店でアルバイトしてた人なら、一度は経験あるでしょうね
遥「え!? 私が焼くんですか!?」
愛「まあ、今後も続けてくれるなら、そのうちやる事になるし! 今日はお客さん少ないから、今のうちに教えてあげるよ!」
愛「それとも、もう辞めたくなっちゃった?」
遥「……いいえ! まだ頑張れます! きっとお姉ちゃんも同じような経験をしながら、私のためにバイトしてくれてたと思うので!」
愛「うんうん。愛さん嬉しいよ」
愛「それじゃあ早速、鉄板の前に立ってみて?」
遥「はい!」
愛「まずはここをこうしてこうやって……」ハイゴカラダキー
遥「あ、あの、愛さん!?」
愛「? どしたん?」
遥「ええっと……いや、何でもないです……」
遥(わー///さっきのこともあって、愛さんのことすごく意識しちゃってるよ……)カァ
愛「そっか。それじゃあ次は、それをこうやって」グイグイ
遥「は、はい!」
遥(でも、愛さんは私なんて眼中にないよね……)
彼方「ライブやるだけじゃ駄目?」
愛「うん、愛さんはそう思ってる」
彼方「どういうこと?」
愛「この前アタシが言ったように、二人は同じことを考えて、同じことを言ってるんだよね」
愛「相手に無理させたくないって」
彼方「……うん」
愛「ゆうゆのサプライズライブ作戦は、カナちゃんがスクールアイドルも両立できてる姿を見せて、ハルちゃんを安心させようってスタンスじゃない?」
彼方「……そうだね」
愛「結局、カナちゃん無理してるじゃん」
愛「それじゃ、ハルちゃんの『お姉ちゃんに無理してほしくない』って思いは解決しないよ?」
彼方「む、無理なんか……してない、よ?」
愛「いいや、ハルちゃんの言ってた通りの状況なら、カナちゃんはどう見ても無理してるよ。本当に、いつ倒れたっておかしくない」
愛「それに、そこを解決しないままハルちゃんにスクールアイドルを続けさせたって、ハルちゃんはずっとカナちゃんに負い目を感じたまま、『無理して』スクールアイドルをやっていくことになる」
彼方「……!」
愛「それでいいの?」
彼方「それは、駄目。スクールアイドルとして、大切な仲間と夢を一緒に追う……。その楽しさだけは、絶対に忘れてほしくない」
愛「でしょでしょ? だからさ、家事やバイトを分担して、二人で支え合うとかどうかな?」
彼方「でも……遥ちゃんにアルバイトなんてやらせたくないよ……」
愛「う~ん、じゃあ取り敢えず家事だけでも!」
彼方「……考えてみる」
愛「おっすーりなりー!」
璃奈「愛さん」カミノケピョコピョコ
愛「……!」
愛「何その髪型!? どうしたの!?」
璃奈「気分転換。遥さんの真似をしたわけじゃない」
愛(ハルちゃんの真似したんだ……)
愛「そっかそっか! とっても可愛いよ!」
璃奈「……ありがとう」
璃奈「そういえば、彼方さんはどうだった?」
愛「うーん、やっぱり頑固だねー……」
愛「家事は妥協しても、バイトだけはさせたくないみたい」
璃奈「週5日のアルバイト……。仮に家事を分担したとしても、勉強や同好会を考えると、彼方さんの負担は大きい」
愛「そうなんだよねー。かと言って本当に根本から解決するのは難しいだろうし」
璃奈「家計状況だけは、私達じゃどうしようもない」
愛「そうだよね」
璃奈「どういうこと?」
愛「カナちゃんは、スクールアイドルという遥ちゃん優位な土俵で、きちんとやれるのを見せて納得させようとしてる」
璃奈「うん、そうだね」
愛「逆に、ハルちゃんは普段カナちゃんが担当してる、バイトがきちんと出来てるのを見せる」
璃奈「……なるほど」
愛「カナちゃんはバイト、ハルちゃんはスクールアイドルの大変さを知ってるから、相手を心配してるんだろーから」
璃奈「そうだね。……だから遥さんをバイトに誘ったの?」
愛「うん、まあ最初は接点を作りたかっただけなんだけどねー。ハルちゃんは他校の子だし」
璃奈「流石愛さん。それで、彼方さんへのサプライズはいつやるの?」
愛「今日金曜日だよね? ライブは日曜日、土曜日は前日練習で忙しいと考えると……」
璃奈「……今日?」
愛「……そうなる」
レスありがとう
彼方ちゃん頑固すぎて頭悩ませてる
最近短くてすまんな
短くても更新してくれるだけでありがたい
励みになる。ありがとう。
>>211
そう言ってくれると助かるわ。
本日分更新していきます。
かすみ「……それで、かすみんたちに協力してほしいと」
せつ菜「確かに、ライブをするだけでは解決しないような気がしてきました……」
エマ「そうだよね。遥ちゃんを納得させることばかり考えてたけど、彼方ちゃんも変わらないといけないんだよね」
璃奈「うん。これまでは、他人の事情に踏み込みすぎるのはよくないと考えてたけど、3人ならわかると思う」
「「「???」」」
璃奈「本当に困ってる時、伸ばされた手は、とても輝いて見える」
かすみ「確かに……」
せつ菜「ガンガン踏み込みましょう!!」
エマ「私も、もう頼られるのは待たないよ!」
璃奈(……愛さん)
璃奈(やっぱり愛さんは、すごいよ)
遥「よいしょ、よいしょ……どう、ですか?」
愛「……すごいよハルちゃん! これならお客さんにも出せるかも!」
遥「本当ですか!? ありがとうございます!」
愛「うんうん、ハルちゃんはセンスがあるねー!」
遥「えへへ~」
愛「よし、準備も整ったし、今日は一旦お店閉めるね!」
遥「え?」
愛「実は、この後貸し切りの予約が入ってるんだ!」
遥「ええ!?」
彼方「お疲れ様で~す」
モブ代「近江さん今日もありがとうね~」
彼方「はい~」
~
彼方(ふぅ~、今日もバイト疲れたな~。買い物は済んだし、お家に帰ったらご飯作って洗濯してそれから……)
せつ菜「彼方さんっ!」
かすみ「お疲れ様ですぅ」
彼方「お~、せつ菜ちゃんにかすみちゃん。こんな所で会うなんて奇遇だね~」
せつ菜「偶然じゃありませんよ! 私たち、彼方さんを迎えに来たんですから!」
彼方「あれ、そうなの? どうしたんだい?」
せつ菜「今日は急遽、彼方さんのエスコートを依頼されまして!」
かすみ「わざわざアルバイト先まで来たんですよぉ~」
彼方「? えすこーと?」
彼方「ちょっと待って! これから家に帰って、色々やらなきゃいけないんだけど……。買い物も済んじゃったし」ガサッ
せつ菜「かすみさん!」
かすみ「了解です!」ガサッ
彼方「あっ」
かすみ「これはかすみんがしっかりと彼方先輩のお家に運びます! 洗濯や明日の朝食の用意もエマ先輩としっかりやっておくので、安心してください!」
彼方「でも、遥ちゃんが……」
かすみ「大丈夫です。かすみんたちにお任せください!」ドンッ
彼方「えっと……」
かすみ「ではっ!」ピュー
彼方「……うぅっ」
彼方(そんな……勝手すぎるよ~……)
彼方(……! 知らないうちに、家の鍵とられてる……)
せつ菜「さ、行きましょうか」ニコッ
彼方「……参りました」
遥「いきなり貸し切りだなんて……。私ちゃんと出来るかな……?」
愛「心配ないって! 貸し切りって言っても、来るのは2、3人だから!」
遥「え? そうなんですか?」
愛「うん!」
遥「貸し切りって言うから、てっきり沢山来るのかと……」
愛「あはは。まあ、ある意味常連さんみたいなもんだから、気負いせず頑張ってみて!」
遥「……はい!」
ガラガラッ
せつ菜「お待たせしました!」
遥「せつ菜さんと……」
遥「お姉ちゃん!?」
彼方「遥……ちゃん?」
彼方「愛ちゃん、どうして……」
愛「ごめんねカナちゃん。でも、カナちゃんの認識を変えるには、愛さんこれくらいしか思いつかなかったんだ」
彼方「飲食店のアルバイトなんて、一番大変じゃない? 遥ちゃんが傷ついちゃう」
遥「……確かに、怖いお客さんが来た時もあったよ。でも、愛さんが助けてくれたし、仕事はとっても楽しいんだ」
遥「それに、私が笑顔で接客したら、お客さんも笑顔になってくれる。そしたらね、スクールアイドルをやっている時と同じように、心が暖かくなっていくんだ」
彼方「遥ちゃん……」
愛「まあ、まずは遥ちゃんの成長を見てあげなよ、お姉ちゃん」
愛「さ、ハルちゃん! 今日のカナちゃんとせっつーはお客様だよ!」
彼方「え、あ……はい!」
彼方「いらっしゃいませ! ご注文がお決まりになりましたらお声がけください!」
せつ菜「どれも美味しそうですね! 私はこのチーズもんじゃでお願いします!」
彼方「……海鮮もんじゃ」
彼方「チーズもんじゃと海鮮もんじゃですね! こちらで焼いてからお出しいたしましょうか?」
せつ菜「はい、お願いします!」
彼方「かしこまりました! 失礼いたしますっ」ペコリ
タッタッタッ
分かるけど彼方ちゃんが分身してる
本当だ
遥ちゃんのセリフですね
彼方「う、うん……」
せつ菜「まだ、心配ですか?」
彼方「うん。でも、私の中の遥ちゃんは、まだまだ子どもだったから……戸惑いの方が今は大きいかも」
せつ菜「ふふふ。何となくわかります、その気持ち」
彼方「?」
せつ菜「私も、同好会の活動休止前まで、正直かすみさんを侮っていたんです」
せつ菜「この間まで中学生だった女の子、まだまだダンスも歌も沢山教えてあげなきゃって」
せつ菜「……でも、公園で彼女のライブを見て、衝撃を受けました」
彼方「確かに。休止期間の間に、かすみちゃんすっごくレベルアップしてた……」
せつ菜「はい。ああ、この子はもうただの後輩じゃ無いんだなって」
愛「うんうん、愛さんもそう思うよ」ニュッ
せつ菜「わ!? 愛さん!?」
彼方「あれ? 愛ちゃんがもんじゃ焼いてくれるんじゃ……」
愛「いいや? 今日は全部ハルちゃんにお任せしてるから! 楽しみにしててね!」
彼方「……遥ちゃんが!?」
愛「うん! あの子はセンスあるよー!」
せつ菜「え、ええ。あの子はもう私の後ろをついてくるようなレベルじゃない。肩を並べて競い合う、ライバルだと認識しています」
愛「カッコいいねせっつー! 愛さんもそういうの憧れちゃうなー!」
愛「ねね、カナちゃん。気付いてないかもしれないけどさ」
彼方「ん~?」
愛「遥ちゃんにスクールアイドルを続けさせて、カナちゃんも明後日いよいよステージに立つわけじゃない?」
彼方「そ、そうだね……」
愛「じゃあもう、ハルちゃんはただの妹じゃなくなるよ?」
彼方「……!」
愛「相手は今や全国的に注目されてる東雲学院のセンター、近江遥。カナちゃんはこの子とどうなりたいの?」
彼方「彼方ちゃんは……」
彼方「遥ちゃんのライバルになりたい!」
せつ菜「彼方さん……!」
愛「よく言った! それじゃ、より一層練習に力を入れなくちゃね!」
彼方「うん! 彼方ちゃん、もっともっと頑張って……」
愛「そうそう、だから練習に集中できるよう」
遥「お待たせいたしました!」
愛(タイミングぅ……)
せつ菜「美味しそうです!!!」
遥「ごゆっくりどうぞ!」
「「いただきます……!」」
~
せつ菜「美味しい! とっても美味しいですよ! 遥さん!」
遥「ありがとうございます!」
愛「どう? カナちゃん」
彼方「……美味しい」
遥「……!」パァ
彼方「……ねえ遥ちゃん、本当にバイトは楽しい?」
遥「うん!」
彼方「そっか……」
彼方「じゃあ、愛ちゃんの所でなら……バイトしても、いいよ?」
遥「!」
せつ菜「彼方さん……!」
愛(あ……)
愛(せっつーの笑顔、やっぱり良いな)
遥「はい!」
彼方「ごめんね遥ちゃん。もう遥ちゃんは、彼方ちゃんが守ってあげないといけないほど、子どもじゃなかったんだね……」ウルウル
遥「お姉ちゃん……」
彼方「だから、スクールアイドルは」
遥「あはは、お姉ちゃんってば」
遥「その話は、もう良いって言ったでしょ?」
彼方「!」
せつ菜「ですが、遥さん!」ガタッ
遥「もう決めてあるんです。東雲学院の皆も、了解してくれてます」
せつ菜「……」
愛(うーん、彼方ちゃんは折れてくれたけど、やっぱり頑固姉妹だねえ……)
ライブ当日
侑「そっか……」
せつ菜「二人の雰囲気はかなり柔らかくなったんですが、やはり遥さんの意志は固いようです。それに……」
侑「?」
せつ菜「彼方さんの方も、自分のバイトを減らすつもりは無いようですし」
侑「ええ……」
せつ菜「とにかく、私達は私達ができる範囲でサポートしていくしか……」
侑「そうだね」
せつ菜「……行きましょうか」
侑「うん」
愛「……」
遥「……」キョロキョロ
クリスティーナ「遥さーん、お客様ですよ」
遥「わ~! 来てくださってありがとうございます!」タタタッ
遥「あの……、お姉ちゃんは一緒じゃないんですか? 今日はどうしても見て欲しいんです。だって……」
侑「遥ちゃん、彼方さんが待ってるよ! 来て!」ギュッ
遥「へ?」
せつ菜・クリスティーナ「「ふふっ」」
~
遥「あの、何なんですか?」
ガシャッ(暗転)
遥「?」
コツ……コツ……コツ……コツ……
彼方「……」ニコッ
遥「え……?」
~♪(Butterfly)
遥「お姉ちゃん……!」
そもそも二人とも頑固な性格で、そこにお互いを思う気持ちが乗っかってしまってるイメージですね。母親がどんなキャラなのか気になります……
愛「どうだった? カナちゃんのライブ」
遥「素敵でした! とってもカッコよくて、輝いていて……」
遥「――これで心置きなく、私もスクールアイドルを辞められます!」
愛「……そっか」
遥「……愛さん」
愛「ん? どしたん?」
遥「ありがとうございました」ペコリ
愛「?」
遥「愛さんは無理に私を引き止めず、私が自分で決めたことを尊重して、応援してくれましたよね……」
愛「……まーね」
遥「初バイトが何とかやっていけてるのも、愛さんのお陰です」
愛「ハルちゃんの筋が良いからだよ」
遥「私なんて、家事も、勉強も、何にも出来ないのに……」
遥「こんな私に優しくしてくれて、ありがとうございました」ウルウル
愛「……ハルちゃんは、そんな子じゃないよ」
愛「料理したことないって言ってたのに、教えたらすぐもんじゃ焼けるようになった。最初はぎこちなかったオーダー取りや会計も、今はすごく自然に出来てる」
愛「何事も一生懸命頑張れるハルちゃんなら、勉強だって絶対得意になる」
遥「……」
愛「前に言ったよね? 愛さんは、大切なスタッフを傷つけるのは許さないって」
遥「……はい」
愛「それは、自分自身の場合でもだよ。二度とそんな風に、自分を悪く言わないで」
遥「愛さん……」
愛「返事は?」
遥「は……はい!」
遥「あの、愛さん……」
遥「私、愛さんのことが好きです」ギュッ
愛「……うん」
遥「はじめはお姉ちゃんみたいだなって思ってたんです」
遥「でも、一緒に過ごす時間が増えていく中で、今まで感じたことがないほど、ドキドキするようになりました」
愛「……」
遥「でも、愛さんはそうじゃなくって……私一人だけ盛り上がってて馬鹿みたいで……!」
愛「違うよ」
遥「……え?」
愛「アタシだって、ハルちゃんにドキドキしてた」
遥「ほ、本当ですか?」
愛「うん。愛さんもね、最初はハルちゃんは妹みたいだなって思ってたよ」
愛「でもね、ある場所でハルちゃんを見て、すごくときめいたんだ」
愛(……って、『ときめいた』はゆうゆの口癖だったか。あはは)
遥「ある場所……?」
愛「うん。それはね」
愛「ステージの上だよ」
遥「……!」
愛「スクールアイドルって枠組みで、こんなにも輝ける子がいるんだなって、感動した」
遥「……見てくれてたんですね。気が付きませんでした」
愛「うん。当然、今日の本番はもっとすごいんだよね?」
遥「も、もちろんです!」
愛「良かった」ニコッ
愛「でも残念だなー。今日でもうハルちゃんのステージも見納めかー」
愛「やっとハマってきたのに」
遥「……」
愛「ねえ、ハルちゃん?」
遥「……はい」
愛「愛さん実はまだ、ハルちゃんに聞いてない大事なことがあったんだ」
遥「……なんでしょうか」
愛「『スクールアイドルを辞める』とは聞いたけど、ハルちゃんの口からはまだ、『スクールアイドルを辞めたい』って言葉は出てないよね?」
遥「……はい」
愛「辞めたいの?」
遥「そんなの! ……辞めたく、ないに……決まってるじゃない、ですかぁ」グスッ
愛「そっか。良かった」ポンポン
愛「続けたら良いんだよ。大好きなんでしょ?」
遥「で、でも……」
愛(こういう時は、言い訳を用意してあげれば……)
愛「続けないとバイトクビにするよ?」
遥「ええ!?」
愛「冗談冗談!」
遥「……もうっ!」プクゥ
愛「笑顔が一番可愛いけど、そういう顔も素敵だね」
遥「! か、からかわないでくださいよ///」
愛「そういえば。サラッと流しちゃってたけど、ハルちゃんは愛さんのことが好きなんだよね?」
遥「へ!? そそそ、そうですけど! どうして今更!?」
愛「スクールアイドル続けるなら、今ここでちゅーしてあげるよ?」
遥「ええ!?」
愛「さあどうするー? 5! 4! 3! 2!」
遥「ちょ、ちょっと待ってくださ」アタフタ
チュッ
愛「……ごめんごめん。ハルちゃんが可愛すぎて、愛さん待てなかったよー」
愛「既成事実、作っちゃったね?」
遥「……なにを///」
愛「先にキスしちゃったから、これはもう続けるしかないんじゃない?」
遥「……した」
愛「ん?」
遥「わかりましたよっ!!」
愛「……やったー!」
遥「愛さんは……ずるいです」
愛「あはは、よく言われるよ」
愛「でもね、そんなずるい愛さんでも、流石に今日の主役をこれ以上独占してたら申し訳ないかなーって」
遥「? ……!」
愛「そろそろカナちゃんのセットの片付け、終わった頃じゃない?」
愛「行ってきなよ」
遥「……はい!」
遥「お姉ちゃーん!」タッタッタッ
ダキッ
遥「素敵なライブだったー!」グルグル
彼方「遥ちゃん……!」
彼方「ごめんね、ずっと心配かけてたよね」
遥「ううん、大丈夫! これからは私も頑張るから、二人でスクールアイドルやろう!」
彼方「……! それじゃあ!」
遥「私、スクールアイドル続けることにしたよ!」
彼方「遥ちゃん! 良かった……良かったよぉ」グスッ
遥「もう、お姉ちゃん? 泣くのはまだ早いよ?」
彼方「えへへ……、そうだよね」フキフキ
彼方「これから、大好きな遥ちゃんのライブが見れるんだもんっ」
遥「うん! 一番前で見ててね!」
彼方「もちろん!」
彼方「……ねえ遥ちゃん。これからは、スクールアイドルでは私たちはライバルだね。お互い頑張ろ?」オテテスッ
遥「……うん!」ギュッ
せつ菜・侑「ふふっ」ミツメアッテニッコリ
~♪(東雲ライブ)
愛(……すごい)
愛(グループだからか、やっぱり迫力が違う……。しかも、一人ひとりのレベルがかなり高い……)
愛(これが、全国レベルのスクールアイドル……!)
愛(カナちゃんは……)チラッ
彼方「……」ポカーン
愛(すごい見入ってる……)
~
遥「ありがとうございましたー!」
パチパチパチパチ
彼方「……」スタスタ
遥(……お姉、ちゃん?)
愛「カナちゃん!」タッタッタッ
彼方「……愛ちゃん」
愛「どうしたの?」
彼方「えっと……その……遥ちゃんたちのライブを見てたら、急に恥ずかしくなってきちゃって……」
愛「?」
彼方「彼方ちゃんは、あんなにレベルの高いライブが出来る子に、ライバル宣言しちゃったんだよ」
彼方「私なんか、遥ちゃんの足元にも及ばないのに……」
愛「……そうだね」
彼方「……」
愛「カナちゃんも、愛さんも……かすかすやせっつーさえ、東雲学院には敵わないと思う」
愛「……今は」
彼方「!」
愛「私たちはソロだし、まだライブ経験も少ない……」
愛「何より、練習量が圧倒的に足りてない」
彼方「……うん」
愛「ねえ、カナちゃん」
彼方「?」
愛「今、恥ずかしいだけ?」
彼方「いや……」
彼方「とても……とっても、悔しい」
愛「うん、愛さんも一緒!」
愛「悔しいと思うなら、カナちゃんはまだまだ上手くなれる! 愛さんだって、このままで良いとは思ってないよ!」
愛「まずは、練習量の確保が大事だと思うんだけど……」
彼方「うん。一昨日と今日、私も知らない遥ちゃんを見てね」
彼方「……彼方ちゃんも、本気でスクールアイドルやってみたいって、ようやく思えたよ」
愛「……!」
彼方「今までは、全部頑張らなきゃって思ってたんだ。だけどね、何かに集中するためには、どこかで時間を作らないといけない」
愛「じゃあ……」
彼方「家事もバイトも、遥ちゃんと分担して、二人で支え合って生きていこうって決めたよ」
愛「そっか……!」
彼方「ずっと私と遥ちゃんのために動いてくれてたんだね」
愛「あはは、二人とも頑固だから苦労したよ」
彼方「それは……めんぼくない」ショボン
愛「良いって良いって! 愛さんが好きでやったんだし!」
彼方「……」ニコッ
愛「……」
愛「……?」
愛「カナ、ちゃん……?」
彼方「すやぴ……」パタン
愛「……」
愛「……ええ!?」
愛「普通ここで寝る!?」
愛「……しょーがないか。ここ数日ずっとライブの練習頑張ってたもんね」
愛「それに、やっと遥ちゃんの件も解決して、安心したのかな?」
愛「取り敢えずあそこのベンチまで運んで……」ヨイショ
愛「本当によく寝てるな……」
愛「卑怯だとは思うし、寝てる時にして効果があるのかは分からないけど……」
チュッ
愛「お疲れ様……お姉ちゃん」
彼方「……」スヤスヤ
せつ菜「愛さーん! 彼方さーん!」ウデブンブンダッシュ
愛「せっつー? ……!」
愛「しーっ!」カナタユビサシ
せつ菜「……は!」
せつ菜「す、すみません……」ボソッ
愛「おっけーおっけー。私ちょっとお手洗い行ってくるから、カナちゃん見ててもらえる?」ボソボソッ
せつ菜「はい!」ボソッ
愛「ありがと!」ボソッ
タッタッタッ
愛(……ああ、ドキドキした)
愛(……?)
彼方「……」スヤスヤ
彼方(ふふっ。愛ちゃんは知らないのかな?)
彼方(眠り姫はね。王子様にキスされると、目が覚めるように出来てるんだよ~?)
近江家
彼方「遥ちゃん、卵焼き上手だね~!」
遥「愛さんに教えてもらったおかげだよ!」
彼方「流石愛ちゃんだね~。でも、遥ちゃんがバイト始めたって知った時はどうしようかと思ったし、今も心配なんだよ~?」
遥「もう、過保護」プクゥ
遥「お姉ちゃんは、もっとスクールアイドルの練習時間を作って、早く私に追いつくって約束でしょ?」
彼方「うん! 彼方ちゃん、張り切っちゃうよ~」
遥「楽しみにしてるよ!」
遥(お姉ちゃんの同好会も素敵だけど……やっぱり東雲学院のスクールアイドル部に入って良かった!)
遥(あの子が止めてくれなかったら、私は本当に辞めてたかもしれなかったから……)
遥(……ちょっと、強引だったけどね)クスッ
彼方(遥ちゃん、高校生にもなって寝ている彼方ちゃんの唇を奪うとは……)
彼方(……やっぱり、まだまだ子どもなんだね~)ニコニコ
遥「ねえ、お姉ちゃん!」
彼方「ん~?」
遥「……また、同じステージに立とうね!」
彼方「――もちろん!」
ハルカカナタ編 完
まさかの約16500字、せつ菜編とエマ編足したくらいです。
アニガサキ準拠なのでお気づきの方も多いかと思いますが、次はしずく編となっております。
今後ともよろしくお願いいたします。
アニガサキ見てる感じだと、親子仲は良さそうですけどね。多分片親世帯なのかなあ……
しずく編も楽しみです
ありがとうございます。
アニメが尺の都合上結構駆け足だったので、隙間を考えるの楽しかったです。
ありがとう
ハルカカナタ編乙乙
今日レス来ないなと若干不安になってました笑
書き溜め全部放出したので、今からまた頑張って書きます……。
今日というか昨日は12時過ぎまで出歩いていたので書き込めなくてごめんね
帰ったらすぐ読んだよ🤗
毎回レスもらえて嬉しい。
最近色んなSSが荒らされてるみたいだね。ここはこのまま平和に完結まで持っていきたいところ。
一応そこは意識して書きました。最後に愛さんが彼方を「お姉ちゃん」と呼んだのもそうですね。
遥ちゃんメインになってしまったのは、彼方ちゃんが侑によって精神的には早い段階でそれなりに立ち直っていたことも大きいです。
一応最終章までプロット作ってますが、そんなに闇深いことにはならないです。
出てきた例が、時間がかかったり、強引な手段だからかなりリスキーだったり、なんだよな
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