梢「花帆さんのいない日」
さやか「お帰りなさい!花帆さん!」
綴理「あ、かほだ、おかえりー」
瑠璃乃「花帆ちゃん!うぇるかむばーっく!」
花帆「いやー久しぶりのお家も良かったけど、蓮ノ空のみんなにお帰りって言ってもらえるのも良いなぁ……」シミジミ
花帆「あれ?そういえば梢センパイは?」
さやか「はっ!そうでした!お疲れのところ申し訳ないんですが、梢先輩のところへ急いで行ってあげて下さい!!」
瑠璃乃「あれはヤバイよ……あと一日遅かったら間に合わなかったかも知れない……」ガクガク
綴理「本当に光合成が必要なのは、こずだったんだ……」
花帆「……んん?」
さやか「とにかく!部室です!梢先輩はこの時間部室にいらっしゃると思うので!」グイグイ
花帆「わわっ!行く!行きます!行くから押さないで~!」ドタドタ
――
花帆「梢センパーイ!帰ってきましたよー!」ガラッ
梢「あら、今日の花帆さんは随分ハッキリ見えるのね……」ボケーッ
花帆「梢センパイ……?夏バテですか?」
梢「それに声も鮮明に聞こえるような……」
花帆「梢センパーイ?」
梢「花帆さん……」
花帆「はい?」キョトン
梢「もっと近くで……顔を見せて……」テマネキ
梢「ふふっ……花帆さんは可愛いわね……」ナデナデ
花帆「そう言ってもらえるのは嬉しいんですけど……やっぱり梢センパイ調子悪い感じですか?」オデコピタッ
梢「っ!?///」ドキッ
花帆「うーん……熱とかは無さそうですかね」ペタペタ
梢「あら、この香り……」クンクン
花帆「あっ!わかります!?」
梢「私と同じ香りなのだから間違える筈がないわ」ニコッ
梢「そう、花帆さんが……帰ってきたのね」キリッ
花帆「えっ、だから最初に帰りましたよーって言ったじゃないですか?」
梢「そう、そうだったわね」フフッ
花帆「わーい!梢センパイの淹れた紅茶久しぶり!!」
梢「少し待っていて頂戴」ガサゴソ
花帆「はーい!」ワクワク
梢「……あら、私としたことが切らしていたみたい、部屋まで取りに行ってくるわね」
花帆「あっ!そんなわざわざ大丈夫ですよ?」アセアセ
梢「私があなたとお茶をしたいのよ」ニコッ
梢「長野でのお話を聞かせて欲しいの、すぐ戻るわね」スタスタ
花帆「あ、行っちゃった……」
瑠璃乃「梢先輩は?……居ないかぁ」キョロキョロ
花帆「梢センパイならさっき部屋に戻ったよ、すぐ帰ってくるって」
瑠璃乃「そっかぁ……そんでさ、先輩はどう?治った?」
花帆「治ったって?やっぱり風邪か何か引いてたの?」キョトン
瑠璃乃「いやぁ、風邪ってわけじゃないんだけどさぁ……」
梢「それでは今日の練習を始めましょうか、花帆さん」
瑠璃乃「あの、ルリはルリです……ルリでごめんなさい……」
梢「ちっ、違うのよ!ごめんなさい!いつもの癖で……!」
瑠璃乃「こんなミジンコでも……ご指導していただけるでしょうか?」
梢「私が悪いのだから、そんな風に謙る必要は無いのよ」
瑠璃乃「梢先輩……」
梢「さぁ、気を取り直して練習を始めましょうか、花帆さん」
瑠璃乃「」
梢「あら?廊下の方で花帆さんの声がしたような……」
綴理「え?かほは今長野でしょ?」
梢「それは分かっているわ、でも……」
梢「ほら、今も聞こえるでしょう?」
瑠璃乃「え?何?じゃぱにーずホラー始まるヤツ?」
さやか「そんな筈はありません、私が見てきますね」
瑠璃乃「駄目だよさやかちゃん!それ最初に死んじゃう人のセリフだよ!」
さやか「だからホラーじゃありませんってば!」ガラガラッ
さやか「あの……梢先輩?」
梢「そうなのね……ええ、ふふふっ」
綴理「こずはロッカーの中でかほを見つけたらしい」
瑠璃乃(この人もしかしてクラブの中で一番ヤバい?)
梢「花帆さん、今日は練習配信をしましょうか」
梢「ええ、それで良いと思うわ」
瑠璃乃「すげー……めっちゃスムーズにイマジナリー花帆ちゃんと会話してる」
瑠璃乃「ぼっち極めたルリでさえ、この域には辿り着けなかったのに……」
綴理「こずはひまわりだったんだね」
さやか「向日葵……向日葵……!分かりました!」
さやか「芽が出て蕾ができるまでの間、太陽の方を向く性質のことを言っているんですね!」
さやか「梢先輩の身体の向きを見て下さい、花帆さんが帰省してから基本的に一方向のみを向いている事に気づきませんでしたか?」
瑠璃乃「ふつーに気づかなかったけど、そうなんだ……」
さやか「梢先輩が身体を向けている方角には、長野があるんです」ドヤッ
瑠璃乃「え!うっそ!!ヤバ!!!じゃあじゃあ!綴理先輩はそれ分かってて言ったんだ!!」キラキラ
綴理「うん、まぁそんな感じ」ピース
――
瑠璃乃「と、まぁこんな感じで大変だったんだよ……」
花帆「なんか最後のだけ違くない?」
梢「随分楽しそうなお話ね、私も混ぜてもらえるかしら?」ニコニコ
花帆「あっ、梢センパイ!」
瑠璃乃「げっ゙!!」
瑠璃乃「じゃあルリ、そろそろニジイロクワガタ捕まえに行かなきゃだから……それじゃっ!」ドドド
梢「はぁ……国内には生息していないでしょうに」
花帆「あはは……」
花帆「つまり梢センパイも寂しかった!ってことですよねっ!」
梢「ち、違っ……!そういうことではなくてね?」アセアセ
花帆「……違うんですか?」ウルウル
梢「…………」
梢「……厳密には違わないわね」
梢「寂寥感に苛まれた瞬間も、度々あったわ」
花帆「瑠璃乃ちゃんの話だと、それどころじゃなさそうでしたけど?」ニヤニヤ
梢「……だって、後輩が数日留守にしていただけで、ここまで狼狽えるだなんて恥ずかしいじゃない……///」
花帆「あたしは寂しいって言ってもらえて、嬉しかったですっ!」
梢「花帆さん……///」
花帆「その……ぎゅーってしてもらっても良いですか?♡」
梢「ええ、いらっしゃい♡」ニコッ
花帆「えへへっ、ぎゅーっ!♡」ギュッ
花帆「頭も撫でてくださいっ♡」グリグリ
梢「ふふっ♡はいはい」ナデナデ
梢「はぁ……こんなにもたくさんの花帆さんに囲まれて私は幸せ者ね」ウットリ
花帆「えへへっ♡…………はい?」
梢「ほら、この部屋一面に花帆さんが……」
花帆「嘘っ!?まだイマジナリー花帆が見えてるんですか!?」
花帆「それ消してくださいっ!もう必要無いですよね!?」ギュゥゥゥ
梢「あっ……///花帆さんっ♡そんなに強く抱きしめたらっ……///」
花帆「例えあたしが相手でも、梢センパイは渡さないんだからっ!」ギュギュギューッ
梢「花帆さんっ……///これ以上は……!///」
おわり
ぶっちゃけこんな可愛い後輩がいたら堪らないのだけれど…
そんな日常を大切にしていきたいわね
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