【SS】慈「わたしの夏休み最終日」【ラブライブ!蓮ノ空】
この日のわたしはとても忙しい
「よし、これも終わり。」
夏休みの課題に向かっていたペンを置くと、うーんと伸びをした。
それから、あくびをしながら時計を見ると。
「やば、もうこんな時間。」
完徹である。
昨夜から集中していて、ようやく課題をいくつか終えたところ。
とりあえず、机を離れてキッチンへ向かった。
と言っても、朝食を作るわけではなく、ゼリー飲料を取りに行っただけだが。
ゼリー飲料を手に取ったところで、扉がノックされた。
「わっ。」
返事もなくドアが開いたので、るりちゃんはびっくりしたようだ。
ちょっと後ろに下がる。
「ごめんね、こんな朝から呼び出して。」
「あ、おはよー。 朝から急にどうしたの?」
「うん、おはよう。 ちょっとね るりちゃんに渡したいものがあったんだ」」
言いながら、部屋の中に招き入れる。
るりちゃんがドアを大きく開けると、部屋に入ってきた。
部屋にるりちゃんが訪ねてくるのも最近では慣れたもので、ゼリー飲料を飲みつつ椅子に、るりちゃんはその後ろの床に直接座りながら、話しかけてきた。
「お邪魔しといてなんだけど、大丈夫?」
「なにが?」
「すごいあくびしてるから、眠いのかなって。」
もちろん、口に手を当てて小さく。
「うん、徹夜明け。
一日徹夜くらいなら全然平気なんだけど、二日連続なんだよね。」
「ちょっと、大丈夫?」
「とりあえず、大丈夫。
この後、2時間くらい寝るつもりだし。」
「そっかごめんね。 それなら、いったん帰ろうか?」
「いやいや、もう部屋に上がってるし、いいよ。」
あくびを噛み殺しながら言った。
そのまま部屋の隅に置いていた箱を手に取る。
「ん?」
るりちゃんの正面に座る。
「じゃーん!ハッピーバースデー、るりちゃん!」
持ってきた箱を、るりちゃんと自分の間に置いた。
・・・袋に入ったままなので、中身は分からない。
るりちゃんはちょっとびっくりしている、
それから、小さく笑みを浮かべた。
「そうだよー。だから、はい、バースデープレゼント!」
箱を袋から取り出すと、箱を開けた。
箱の中身は一人用サイズのケーキが二つ。
金沢では有名な人気のケーキ屋さんのケーキだ。
一つには、【Happy Birthday るりちゃん】と書かれたチョコレートのプレートが載っている。
「うん。でも、その前に二人でお祝いしたくてさ。」
「そっか、ありがとう、めぐちゃん。」
るりちゃんがお礼を言うと、手を伸ばして頭を撫でた。
「もー。すぐそうやって子供扱いする。」
ちょっと頬っぺたを膨らませて、るりちゃんが抗議する。
じゃあさ。
大人だったら、二人きりで誕生日をお祝いするってことの意味も分かるよね。」
そんなことを言いながら、そっとケーキの入った箱を横に移動させると、膝立ちになった。
それからるりちゃんの両肩に手を置いて、見下ろすようにしながら、じっと目を見つめる。
「・・・え?」
二人の視線が交わる。
そして、目を瞑ると、ゆっくりと顔を降ろしていった。
るりちゃんも、合わせて目を瞑る。
慈は瑠璃乃に覆いかぶさるように寄りかかってきた。
突然だったので瑠璃乃は支えきれず、後ろに倒れる。
おかげで瑠璃乃は後頭部を床にぶつけて、ゴンと大きな音がした。
「もー!なんなの、めぐちゃん!」
慈は瑠璃乃の右肩のあたりに頭を預けたまま動かない。
瑠璃乃が、上に乗っている慈の様子を伺うと。
「・・・徹夜明けだっけ。」
拍子抜けした瑠璃乃が呟く。
瑠璃乃は慈の下からそっと這い出ると、ベッドからタオルケットを持ってきた。
そっと慈を寝かせると、タオルケットを慈にかけた。
両手で頬杖をついて慈の寝顔をじっくり眺めた。
「いつも私のこと、子供扱いしてからかうけど
こうして見るとめぐちゃんの方こそ幼いよね。」
楽しそうに呟く。
「あ、何時に起こせばいいだろう。 ・・・ま、いっか。」
しばらく慈の寝顔を見ていた瑠璃乃だったが、
見ているうちに、いつしか睡魔に誘われていった。
慈はもともと寝るつもりで準備していたので、
スマホのアラームが鳴って予定通りの時間に起きた。
アラームを止めた後、すぐ横で眠っていた瑠璃乃の横にしゃがみこんで、寝顔を眺める。
「まったく、幸せそうに寝ちゃって。」
横に置きっぱなしになっていたケーキの箱を冷蔵庫にしまった。
「今日はもう休みますかね・・・と思ったけど、
スクールアイドルクラブに復帰したし、さすがにサボれないかぁ。」
今夜のるりちゃんのバースデー配信には、
夏休みの課題を終わらせないと出させないって梢が言うからね。
るりちゃんのおかげで元気出てきたしもうひと頑張りしますか。
「るりちゃん起きて」
「ううんなに・・?めぐちゃん?」
「ごめんね寝ちゃって、これからまた、夜まで頑張るからみんなと待ってて」
「わかった!、ルリ信じてるからね!」
う~んおいち、さすが評判の店のケーキだね
「めぐちゃんありがとケーキすっごくおいしいよ」
喜んでもらえてなにより。並んで買ったかいがあったよ。
るりちゃんが部屋を出て行ったあと、再び気合を入れ直す
「よっしゃやるか!」
今夜の配信までに課題を終わらせるため。再び机に向かい課題にとりかかった
「慈、課題はどう終わりそう?」
「やってるけど、このままだと無理かも」
夕食の時間もすぎたころ、
梢が課題はどうなっているかと聞きにきたけど、これはもう無理
さすがに2日や3日で終わる量じゃなかったよ
「もう、瑠璃乃さんの誕生日なのに何をやっているのよ、あなたは」
「そんなこと言ったってさ、
元々スクールアイドルに復帰する予定はなかったんだから、
これまでやらなくても何とかなるかと思って、
ずっとやってなかったんだし、仕方無いじゃん」
花帆さんもだけれど、慈、あなたも課題が終わらないと配信に出させないわよ。」
梢のわからずや!!鬼ぶちょう!
課題が終わっていないなら、
今夜の配信には出さないって、まだ言ってるし
ちょっとくらいいいじゃん
「まったく、準備してまってるけれど、時間になったらあなた抜きでも始めるわよ」
「わかってるよぉ、ぎりぎりまで頑張るから」
そう言って梢は部屋から出て行った。
るりちゃんのバースデー配信に出ないなんて選択肢は無いんだから。
突撃だー!!
「名も無きるりちゃんの誕生日をお祝い侍」として登場したら
梢はあきれてたけど、みんなのとりなしもあって、ちゃんと最後まで終わらせると約束したら
なんとかなったし、結果おーらいだよね。
みんなとお祝いした、るりちゃんの誕生日配信楽しかったな
結局、課題は間に合わなかったけどさ、提出日にはなんとかなりそうだし、
これでも、わたし史上最高に頑張ったんだからね。
おしまい
いいssだった
めぐちゃんは見た目に反して努力の人だから
こういう頑張るめぐちゃんを描いたものはいいね
地の文が主観視点と3人称の状況描写が混ざって読みづらかったのが惜しい
夏休み最後のめぐちゃんはこんなんだったんだろうなと思えた
面白かった