【SS】慈「うちのクラブは天然ばかり」【ラブライブ!蓮ノ空】
花帆「はむっ……んー! クレープ美味しい」
さやか「……ほら、ほっぺにクリームが付いてますよ」
花帆「え? あ、ホントだ。えへへ」
慈「……」
瑠璃乃「くしゃん! うぅ……何か最近急に寒くなってきたね」
さやか「もう、鼻水出てるますよ瑠璃乃さん」
瑠璃乃「み、見ないでよぉ!」
さやか「見せられてるんですけど!」
綴理「もはよう、みんふぁ」
慈「……何でパンを咥えながら登校してんの?」
綴理「むぐ……昨日遅くまで新曲作ってた」
慈「髪の毛はねてるよ。ほら、直してあげる」
綴理「ん。ありがとうめぐ」
放課後スクールアイドルクラブ部室
慈「皆はわざとやってるの?」
花帆「へ?」
部室で練習前に雑談に興じていたとき、花帆達の前に突然むすっとした顔をしてそんなことを言い出した慈が立ち塞がった。
さやか「なんですかいきなり」
慈は眉間に小さく皴を寄せて難しい顔をしていたが
そんな顔をされる謂れはないと
花帆とさやかも同じような顔で見つめ返す。
しかしその視線にも臆することなく
慈は腹に据えかねるといった表情でわなわなと震えていた。
慈「ほっぺにクリーム、くしゃみしたら鼻水、寝ぐせつけたまま……わざとなの?わざとやってるの?」
瑠璃乃「めぐちゃんどうかしたの?」
慈「こんなあざとさの高い行動を無意識でやっているの? いや、でもこんなことを計算できるわけ……」
ぶつぶつと呟く慈は完全に自分の世界に入っていて訝しげな眼をする花帆達の視線にも気が付いている様子はなかった。
瑠璃乃「ど、どうしちゃったのめぐちゃん」
花帆「あざとさ? どういうことなんですか?」
さやか「別にいつものことでは?ほら、早く準備しましょう」
花帆「あ、う、うん……あれ?」
しかし慈はいつまでもそうしていそうな気がするし
深く触れても面倒そうだったのでさやかは立ち上がって練習へ行くことを促した。
それにつられるようにして腰を浮かしかけたところで花帆の目がさやかのカバンに留まる。
花帆「さやかちゃん。そのペンギンちゃんのキーホルダー可愛いね。あ、それこの前ずっと見てたやつだよね」
さやか「なっ! し、しまった外すの忘れて……っていうか何で見てたの知ってるんです!」
花帆「さやかちゃんは、かわいいものを見つけても恥ずかしくて買えないのにずっと見てるからわかりやすいよ」
慈「あー! またそんなあざといことを自然にしてるし!」
きゃっきゃっ、と楽しそうに会話を弾ませる花帆達にたまらず慈は声を上げて割り込んだ。
慈「もう! 皆迂闊すぎ! そんな安っぽいあざとさは今どき流行らないよ。いや、それよりもあざといと思われて評価が下がってしまう恐れが……」
慈「めぐちゃんの言う、そのあざといというのがよくわかんないんだけど……あ」
何かに焦るように慈は複雑な表情をしているが
やはり言わんとしていることの意味がよくわからずに尋ねようとしたその時、
ぐぅぅ、という何とも気の抜けた音が辺りに響いた。
綴理「ん……恥ずかしい」
それは空腹によってお腹の虫が鳴る音であり、
その音の発生源であった綴理は少し頬を赤くしながら
恥ずかしそうにお腹を押さえていた。
いつも涼し気な表情をしている綴理がそんな風に照れている姿はとても可愛らしく
慈「あー! またそんなことを! わざとなの!? もうわざとだよね!」
そんなギャップまみれの油断した姿を見せられ
いよいよ慈は我慢の限界とばかりに絶叫した。
別の話題に移り、おしゃべりに興じていた
花帆たち1年生がその声に驚いて振り向いたが
もうそんなことはどうでもいいとばかりに慈の目は4人に向いていた。
慈「ダメダメ。こんなことじゃ、
どうせビニール袋を猫と間違えて追いかけたとか、
皆の前で先生のことをお母さんと呼んでしまっただとか、
トイレの便座にはまってしまっただとか、
そんなエピソードが出てくるに決まってるよ!」
さやか「最後のは可愛いんですか?」
さやかにはどうにも毛色が違う話が
混じっていたような気がしてならないが
慈にとっては同じことなのか
先ほどにも増して眉間の皴が深くなっているような気がした。
慈「とにかく皆は軽率なあざとい行動は控えてほしいの。
私たちは今やそれなりに名の知れたスクールアイドル。
それがそんな安っぽいことばかりしてたらファンに軽く見られてしまうからね」
さやか「だからどういうことにゃんです……あっ」
花帆「ふふっ、噛むさやかちゃんも可愛いよね」
瑠璃乃「ううん。ルリもよくわかんないけど、めぐちゃんきっと疲れてるんだよ。
ルリがたっぷり充電させてあげる、はいギュー」
慈「だからそういうとこなの!」
照れるさやか、それをからかう花帆、冗談ぽく恥ずかしいことをしてくる瑠璃乃。
そのどれもが可愛らしく、
見ていて楽しいものだったがギャップや可愛さというのは見せればいいというものではない。
それが慈のスクールアイドルとしての活動戦略であったがどうにも皆はその辺りの意識が薄いらしい。
慈「むむむ……天然というものは恐ろしい」
改めてそう感じながら慈は胸に湧き上がるその何とも言えない感情にしばらくの間悶えていた。
おしまいです
ちなみに梢先輩は部長会で不在なので登場しませんでした
おつ
蓮は全員天然要素あるのが面白いね
慈ちゃんも天然っていう
乙
蓮1年のわちゃわちゃしてるかわいさよ
めぐちゃん入って蓮ノ空の雰囲気変わったよね
乙
このクラブ可愛いやつしかいないのかよ
引用元: undefined