梨子「わ、私と曜ちゃんの」曜「短編集だよ!」Vol.8
「気になる人」
ようりこ💕
⚓️💕→🌸 pic.twitter.com/U4jVyTbIPX— ゆち⚠️コラボ期間雑多 (@kireha0731) October 15, 2019
曜「誰も学校いないし、早く帰らないと」
ポロン
曜「……ん?」
曜「今、何か聞こえた?」
ポロン
曜「……ピアノ、かな」
曜「音楽室だよね」
曜「行ってみよう」
曜「やっぱり聞こえる」
曜「誰が弾いてるんだろう」
ガラ……
曜「失礼しまーす」コゴエ
曜「……っ!」
梨子「…………」ポロン
曜(綺麗……)
曜(幻想的、っていうのかな)
曜(月明かりに、ピアノ演奏)
曜(まるでコンクールみたい)
曜「あっ」
曜「いきなりごめんね」
曜「私は渡辺曜、二年生だよ」
曜「ピアノの音に惹かれてやってきたの」
曜「えーと、二年生だよね?」
曜「見たことないけど、なんて名前なの?」
曜「それに、なんでこんな時間にピアノを弾いてるの?」
曜「もうみんな帰ってるはずだし、ピアノを弾ける人なんていなかったはず」
曜「そもそも、生徒だったら私はみんな知ってるはずだし」
曜「……もしかして、幽霊だったりする?」アハハ
梨子「……貴方、私が見えるの?」
梨子「初めて、かな」
梨子「私を見つけてくれた人は」
曜「じゃあ、やっぱり……」
梨子「うん。多分、貴女の認識で合ってると思う」
曜「そっか」
梨子「あんまり驚かないんだね」
曜「いや、これでも結構びっくりしてるよ」
曜「でも、さっきの演奏を見てたら納得しちゃった」
梨子「どうして?」
曜「だって、凄く綺麗で、幻想的だったもん」
梨子「それは、ありがとう、でいいのかな」
曜「うん」
梨子「別にいいけど、多分退屈よ?」
曜「ううん、そんなことない」
曜「だって、さっきの演奏もすっごく引き込まれたもん」
梨子「……そう」
曜「あ、そうだ、名前聞いてなかった」
曜「なんていうの?」
梨子「……りこ」
梨子「桜内梨子よ」
曜「梨子ちゃん……」
曜「よろしくね、梨子ちゃん」
曜「お邪魔しまーす」
梨子「こんばんは、曜ちゃん」
梨子「毎日来て平気なの?」
曜「大丈夫。練習って言えば許してもらえるから」
梨子「そっか」
ポロン
~~~~♪
曜「…………」
梨子「…………」
曜「うんうん、やっぱり凄く上手だよ!」
梨子「ありがとう」
曜「いつからピアノを始めたの?」
梨子「子供の頃からよ」
梨子「弾くのが楽しくて、毎日のように弾いてた」
曜「幽霊になってからは、ずっと一人で?」
梨子「うん。誰も聞いてくれないけどね」
梨子「だから、曜ちゃんが来てくれてちょっと嬉しいかな」
曜「…………」
曜「ねぇ」
曜「なんで、梨子ちゃんは幽霊になったの?」
梨子「気づいたらここにいたの」
梨子「でも、多分、未練があったんだと思う」
曜「未練?何があったの?」
梨子「……ピアノのコンクール、出られなかったの」
梨子「一生懸命練習して、みんなに応援してもらって」
梨子「でも、私はコンクールに出られなかった」
梨子「病気だったの、それで死んじゃうくらい」
曜「っ……!」
梨子「手術の成功率は20%……だったかな」
梨子「私は、20%にはなれなかった」
曜「ううん、話してくれてありがとう」
曜「そっか……そんなことがあったんだね」
梨子「うん。だから、あんまり私に関わらないほうがいいよ」
梨子「もしかすると、悪霊かもしれないから」
曜「そんなことない!梨子ちゃんはこんなにいい子なんだもん!」
梨子「ふふ、ありがとう」
曜「ねぇ」
梨子「なに?」
曜「私、梨子ちゃんが成仏できるように手伝うよ!」
梨子「え?」
曜「だって、梨子ちゃんは悲しいから幽霊になったんでしょ?」
曜「じゃあ、楽しいことをして、それを打ち消せばいいんだよ!」
梨子「……曜ちゃん」
曜「これからよろしくね、梨子ちゃん」ニコッ
曜「うーん、でないなー」
「渡辺、どうかしたのか?」
曜「先生!ちょうどよかった!」
曜「聞きたかったことがあるんです」
「ん?なんだ?」
曜「この学校で、昔ピアノが上手だった生徒っていませんか?」
曜「コンクールには出られなかったらしいんですけど」
「うーん……知らないな。そういう話も聞いたことがないし」
曜「そうですか……」
曜「ありがとうございます」ペコリ
曜「こういう時は検索してみてっと」
曜「うーん、昔の記事が出てこないなー」
曜「少し前の記事はあるのに」
曜「というか、梨子ちゃんって何歳なんだろう」
曜「見た目は私と同じだけど、幽霊だった時間を考えると凄い年齢になるんじゃ……」
曜「聞いたら怒られそうだからやめておこう」
曜「はー、なんの情報も無しかー」
曜「ま、仕方ないよね」
曜「クッキー焼いてみたから、食べてみて」
梨子「……うん、美味しい」
曜「えへへ、良かった」
梨子「曜ちゃんはなんでもできるんだね」
曜「ううん、なんでもはできないよ」
梨子「ふふ、嘘ばっかり」
梨子「曜ちゃんみたいな子がいたら、多分凄い人気が出ると思うよ」
梨子「告白とかされてるの?」
曜「あはは、たまにね」
曜「でも、それを言うなら梨子ちゃんもだよ」
曜「生きてる頃は、凄くモテたんじゃない?」
曜「だってこんなに可愛いんだもん」
梨子「もしかして、口説かれてる?」
曜「あ、いや、そういう意味じゃ……」
梨子「ふふ、冗談よ」
曜「もー、すぐにからかって」
梨子「どうしたの?」
曜「いや、なんで梨子ちゃんはお菓子食べられるのかなって」
曜「ピアノも触れるし」
曜「もしかして、私も梨子ちゃんに触れたりするのかな」スッ
プニッ
曜「……え?」
曜「あれ、触れる……?」サワサワ
梨子「……えっち」
曜「わ、ご、ごごごごめん!」
曜「まさか触れると思ってなくて!」
梨子「だからって、いきなり胸を触ろうとするんだ」
曜「ほんとごめんって!」
梨子「言わなかった私も悪いんだし」
曜「体がある霊もいるんだね」
梨子「うん。まあ、私を触れるのは曜ちゃんだけだと思うけど」
曜「見えてない人には触れないの?」
梨子「そういうこと」
曜「そっか。わたしだけ、なんだ」
曜(それにしても、梨子ちゃんの肌、凄い綺麗)
曜(なんでこんなに真っ白なんだろう……)ギュッ
梨子「曜ちゃん……?」
曜「……すべすべしてて、暖かい」
曜「ねぇ、抱きしめても、いい?」
梨子「……いいよ」
梨子「…………」
曜「なんでだろう、凄く落ち着くんだ」
梨子「そう?」
曜「うん。でも、それとは別に、凄く落ち着かないかも」
梨子「矛盾してるわよ」
曜「ごめんね」
梨子「私もだから、別にいいわ」
曜「……ねぇ」
梨子「なに?」
曜「後、どれくらい一緒にいられるの?」
梨子「……わかんない」
曜「……そっか」
曜「えへへー、特等席ー」
梨子「もう、普通は一人で座るんだからね」
曜「分かってるよー」
曜「でも、ここなら梨子ちゃんの隣にいられるもん」
梨子「……全く」
曜「そうだ、この前千歌ちゃんと一緒に果南ちゃんの家に遊びに行ったの」
曜「たまたまお店が休みだからって、三人でダイビングさせてもらってさ」
梨子「…………」
曜「梨子ちゃん?どうしたの?」
梨子「あ、ううん」
梨子「千歌ちゃんと果南ちゃん……だよね」
梨子「二人とも、曜ちゃんがよく話すなって」
曜「だから一緒に遊ぶことが多いんだよ」
梨子「そうなんだ」
梨子「好きなんだね、二人のこと」
曜「うん」
梨子「私と、どっちが好き?」
曜「え?」
曜「いや、それは……なんというか」
梨子「……くすっ」
梨子「本気にしなくてもいいよ、ちょっとからかっただけだから」
曜「もー、梨子ちゃんの意地悪」
梨子「ふふ、ごめんって」
梨子「ううん、いなかったよ」
曜「そうなんだ」
曜「じゃあ、恋もしたことないんだ」
梨子「そうね、無かったわ」
梨子「毎日練習だったし、恋してる時間なんてなかったもの」
曜「梨子ちゃん……」
梨子「あの時は、ちょっと辛かったかな」
梨子「でも、今は気にしてないから大丈夫よ」
曜「どうして?」
梨子「だって、曜ちゃんが教えてくれるんでしょ?」
梨子「悲しい思い出を楽しい思い出に変えてくれるんだから」クスッ
曜「…………」
梨子「……曜ちゃん?」
ギュッ
梨子「どうしたの、いきなーー」
曜「……好きだよ、梨子ちゃん」
チュ……
梨子「え……んっ、っ、」
曜「っ!?」ドサッ
梨子「……っ、はぁ、ぁ」
梨子「自分が、何したか、分かってるの?」
曜「ごめん……突然、無理やり」
曜「梨子ちゃんの気持ちも考えずに……」
梨子「そういうことを言ってるんじゃない!」
梨子「私なんかに、恋をしないで!」
曜「なんでダメなの?」
梨子「私が幽霊だって知ってるでしょ」
梨子「私はいつか消える」
梨子「ずっと曜ちゃんの側にいられないの」
曜「それがなんなの?」
梨子「え?」
曜「でも、そんなの関係ない」
曜「私は梨子ちゃんが好き」
曜「梨子ちゃんとこうして話せるだけで嬉しい」
曜「梨子ちゃんの側にいるだけで楽しい」
曜「梨子ちゃんと、恋人になりたい」
曜「それが、今の私の気持ち」
梨子「っ……」
曜「梨子ちゃんは、私のことが嫌い?」
梨子「私は……!」
曜「私は、本気だよ」
曜「だから、梨子ちゃんにも本気で答えてほしい」
梨子「……あーあ」
梨子「なんで、会っちゃったんだろうな、曜ちゃんに」
梨子「こんなの……辛くなるだけ……なのに」
ギュッ
曜「大丈夫。それも全部、楽しくしよう」
梨子「……ばか」
梨子「少しの間だけど、大切に、してよ」
曜「……うん」
曜「ピアノってやっぱり難しいねー」ポロン
梨子「そう言ってちゃんと弾けてるじゃない」
梨子「ところどころミスはあるけどね」
曜「よーし、これはもう少し練習が必要かな」
梨子「だめ。曜ちゃんはこっち」ギュッ
曜「わっ!」
梨子「ピアノよりも私を触ってよ」
曜「ピアノにヤキモチ妬いてるの?」
梨子「妬いてない」
梨子「ふん」
曜「……好き」
梨子「そんなこと言っても許さないから」
曜「じゃあどうしたら許してくれる?」
梨子「……キス、して」
曜「……しないとダメかな?」
梨子「いやなの?」
曜「いやじゃないんだけど、その」
曜「梨子ちゃんへの愛しさが大変なことになっててさ」
曜「今キスしたら、何するかわかんないかも」
梨子「ふふ、奇遇ね」
梨子「私も、止まれそうにないかも」
曜「……好き」
梨子「……いいよ。来て」
ーーー
ーー
ー
梨子「そうね……」
曜「背中痛くない?」
梨子「大丈夫よ。曜ちゃんが優しくしてくれたから」
梨子「それにしても、用意がいいわね」
梨子「タオルや下着も持って来てるなんて」
曜「え、ま、まあね」
梨子「……もしかして、しようと思ってたの?」
曜「そ、そんなことないよ!」
曜「た、ただその、えっと、何が起こるかわからないし……」
梨子「……変態」
曜「うっ……」
梨子「全く、どうしようもないんだから、曜ちゃんは」ギュッ
梨子「怒ってないよ」
梨子「だって、今、物凄く幸せなんだから」
梨子「こんなに楽しいの、初めてかもしれない」
曜「本当?」
梨子「うん」
梨子「生きてる時は、ずっと練習だったから」
梨子「恋って、本当に素敵なものなんだね」
梨子「私、曜ちゃんに会えて本当にーーッ」ビクッ
曜「梨子ちゃん?どうかしたの?」
曜「え?」
梨子「ごめん、曜ちゃん」
梨子「多分、私に残された時間は、もう少ししかないみたい」
曜「そんな!?」
梨子「……一つだけ、わがまま言ってもいいかな?」
曜「なに?」
梨子「明日、夜に会いに来てくれない?」
梨子「学校はお休みだけど、最後に演奏会がしたいの」
梨子「私が弾けなかった曲を、曜ちゃんに聞いてほしい」
曜「……っ!」
梨子「いい、かな?」
曜「……うん」
梨子「……ありがとう、曜ちゃん」
梨子「最初から分かってたことでしょう?」
梨子「曜ちゃんには、笑顔が似合うよ」
曜「それは、梨子ちゃんもでしょ」
梨子「……そう、かな」
曜「……ねぇ」
梨子「ん?」
曜「左手、触ってもいい?」
梨子「別にいいけど、どうして?」
曜「……触りたいの」
梨子「……そっか」
曜「はぁっ、はぁっ、」
曜「良かった、間に合った」
梨子「汗びっしょりじゃない、大丈夫?」
曜「うん。ごめんね」
梨子「別にいいよ」
梨子「はい、飲み物」スッ
曜「え、これペットボトル……何処から持って来たの?」
梨子「自販機があるでしょ?」
曜「いや、あるけど……まあいいか。ありがとう」ゴクッ
曜「…………」
梨子「…………」ペコリ
ポロン
~~~~♪
曜(綺麗な音……)
曜(聞いてるだけで、心に楽しさが伝わってくる)
曜(まるで、梨子ちゃんの気持ちがそのまま伝わってくるみたいに)
~~~~♪
曜(真剣だけど、楽しそう)
曜(梨子ちゃん、あんな風に演奏するんだ)
曜(……綺麗)
~~~~♪
……ポロン
パチパチパチパチ!!!
曜「凄いよ梨子ちゃん!」
曜「これなら、コンクールも優勝間違いなしだよ!」
梨子「ふふ、ありがとう」
梨子「最後に、曜ちゃんに聞いてもらえて良かった」
梨子「これで、心置きなくーー」
曜「待って」
曜「優勝した梨子ちゃんに、私からお祝いがあるの」
梨子「お祝い?」
曜「うん。これを、受け取って欲しいな」スッ
パカッ
梨子「……っ!?こ、これ!」
曜「婚約指輪、だよ」
曜「梨子ちゃんの指にちょうどハマるのを探してたら、結構時間かかっちゃってさ」
梨子「……っ、ばか」
梨子「ばか、ばかっ……ばかばかばかっ!」
梨子「なんで、なんでこんなもの!」
梨子「曜ちゃんのばかっ!」
梨子「私、消えるって、言ったよね」
梨子「こんなの、無駄じゃない」
曜「無駄なんかじゃない」
曜「これは、私の気持ちだよ」
曜「付けさせてもらうね」スッ
梨子「……っ」
キュッ
梨子「泣かないって、決めてたのに」
梨子「笑顔で、お別れだって、思って、たのに、」
梨子「っ、こんな、こと、ぐすっ、されたら、未練が、できちゃう、じゃない、」
梨子「きらい……曜ちゃんなんて、だいきらいっ、」
曜「ごめんね」ギュッ
梨子「うっ、っ、意地悪、」
梨子「恋人を泣かせて、何が、楽しいのよ、」
曜「……ごめん」
梨子「許さない、絶対、ぐすっ、許さない、から、」
梨子「絶対、また会って、文句、言うん、だから、」
曜「…………」
梨子「浮気、したらだめだよ」
曜「うん」
梨子「他の子を好きになったらだめだよ」
曜「うん」
梨子「私のこと、忘れたら、だめだよ」
曜「約束するよ」
曜「私はずっと梨子ちゃんのことが好き」
梨子「……ばか」
梨子「ありがとう……嬉しかった」
梨子「曜ちゃんとの思い出、絶対に忘れないから」
曜「うん」
梨子「私も、ずっと大好きだよ、曜ちゃん」
グニャッ
曜「っ……!?」
曜(意識が、なんで、いきなり……)
曜(だめ……まだ、梨子ちゃんが、前に、)
グラッ
梨子「……さようなら、曜ちゃん」
千歌「よーちゃん、最近元気が出てきたね」
曜「え?どうしたの突然?」
千歌「いや、二ヶ月くらい前ってずっと落ち込んでたじゃん」
千歌「毎日目を真っ赤にして学校に来るし」
曜「あれ、そうだった?」
曜「いやー、寝不足だったのかなー」
千歌「ふーん、あの時は映画見て感動したとか言ってたけどね」
曜「そ、そう?あはは、忘れちゃったなー」
曜(ピアノの音も、もう聞こえてこない)
曜(多分、もうこの世界にいないんだと思う)
曜(最初の内は未練たらしく、通っては毎日泣いていた)
曜(もう会えないんだって思うと、涙が出てくるの)
曜(でも、いつまでも泣いてなんかいられない)
曜(多分、今の私を梨子ちゃんに見られたら、怒られちゃうもん)
曜(だから、私も前を向いて歩こう)
曜(いっぱい頑張って、凄い人間になって)
曜(あの世で言ってやるんだ)
曜(梨子ちゃんの恋人は、こんなにも凄いんだって)
千歌「転校生だって、珍しいね」
曜「うん、そうだね」
「よし、入ってきてくれ」
「はい」
ガラッ
千歌「おお、美少女だ!」
曜「え、本当?どれどれ……」
「じゃあ自己紹介を頼む」
梨子「桜内梨子って言います。皆さん、よろしくお願いします」
曜「ええっ!?」ガタッ
「なんだ渡辺、知り合いが?」
「彼女は本当はもっと前に転校するはずだったんだが、引っ越してきた時に病気が酷くなったみたいでな」
「一時休学にして、入院していたんだよ」
「二ヶ月程前に手術をして、ようやく学校に来れるようになったんだ」
曜「……本当なの?」
梨子「うん」
曜「でも、幽霊なんじゃ」
梨子「幽霊なんているわけないでしょ」クスッ
梨子「病院、抜け出して来てたの」
梨子「毎日不安で眠れなかったから」
曜「……そう、だったんだ」
梨子「んー、将来を誓い合った仲……です」
「え?」
梨子「えへへ、この指輪を見てください」
梨子「曜ちゃんがくれたんですよ」
曜「っ///」カァァァ
梨子「それに、曜ちゃんは私の命を救ってくれたんです」
梨子「怖くて手術が受けられなかった私に、生きる勇気をくれた」
梨子「そのおかげで、私は今、ここにこうしていられるんです」
曜「責任?」
梨子「うん。私の一生、貰ってもらうから」
梨子「もう取り消し出来ないわよ」
曜「……うん///」
梨子「指輪、本当に嬉しかった」
梨子「いっぱい、曜ちゃんに貰っちゃった」
梨子「だから、今度は私がたくさん、いろんなものを曜ちゃんにあげるね」
梨子「曜ちゃん、大好きだよ」
梨子「一生大切にしてくれないと、許さないんだからね」チュッ
千歌「曜ちゃんの好きな人幽霊なんだってさー」
果南「え……?」ブルッ
ありがとうありがとう
ありがとう
良かったね梨子ちゃん…
えっちって言う梨子ちゃんめっちゃえっち
引き出し多すぎ最高ですわ~
梨子「ここ何処だろう?さっきまで自分の部屋にいたはずなのに」
梨子「って梨子ちゃんの部屋じゃんここ!」
梨子「いつの間に来ちゃったんだろう」チラッ
梨子「ん?」
梨子「あれ?」
梨子「梨子ちゃん?」
梨子「私、梨子ちゃんになってる!?」
梨子「柔らかい……」フニフニ
梨子「なるほど、これは夢だね。ということは何してもいいんだよね」
梨子「ん……こほん」
梨子「曜ちゃん、私ね、曜ちゃんのことが大好きなの」
梨子「だからね、えへへ、曜ちゃんがしたいこと……なんでもしてあげる」
梨子「っ~~~~なーんて言っちゃったりっっっ!!」
梨子「せっかくだから録音しておこっと」
梨子「あ、スマホロックされてる」
梨子「0419……と」ポチポチ
梨子「おおー、開いた」
梨子「やっぱり夢の中だねー」
梨子「ん?電話?」
梨子「曜ちゃんから……って私?」
梨子「もしもしー?」
曜(梨子)『もしもし、曜ちゃん!?』
梨子「そうだけど、もしかして梨子ちゃん?」
曜『うん!なんでか分かんないけど、私たち入れ替わっちゃったみたいなの!』
梨子「なるほどねー」
曜『とりあえずお互いにバレないように振る舞おう』
曜『怪しまれないように、私は今日はすぐ寝ちゃうから!』
梨子「うん、分かった」
曜『それと、机の上の日記帳は絶対見ないでね!絶対だよ!』
梨子「了解ー、日記帳ってこの水色のやつだよね?」
曜『うん、それだよ』
梨子「◯月×日、今日は曜ちゃんと手を繋いだ。胸の音が凄くうるさかった。顔が赤いのバレてなかったよね?」
曜『読まないで!曜ちゃん、分かった!?』
梨子「はいはーい」
◯月△日
飛び込みで疲れてた曜ちゃんに膝枕しちゃった。
みんなのヒーローの曜ちゃんも、その時だけは私だけの曜ちゃんだった。
えへへ、曜ちゃんの寝顔たくさん堪能しちゃった。
曜ちゃん、大好き。ちゅっ♡。
梨子「おおー、流石私の夢」
梨子「梨子ちゃんメロメロじゃないですか」
梨子「よーし、お返事書いておこうっと」
梨子「『私も好きだよ。ちゅっ♡』と」カキカキ
梨子「他のページも全部私のことだしなー」
梨子「全部お返事書こうかな」カキカキ
梨子「『堕ちていく天才ピアニスト~逃げ場のない船上~』……どんな内容なんだろう」
梨子「ふむふむ……おおー」
梨子「梨子ちゃんが私に無理やり襲われてる」
梨子「夢の中の梨子ちゃんはマゾなんだねー」
梨子「いやー、本物の梨子ちゃんがこれ書いてたら興奮しちゃうなー」
梨子「あー、せっかくだし夢の中でしかできない何かをしたい」
梨子「そうだ、梨子ちゃんの姿でしよっと」
梨子「何か道具も……お!押入れの中に発見!」
梨子「後はスマホで動画とりながらっと」
梨子「ん……こほん」
ポチッ
梨子「はじめまして、曜ちゃんのことが大好きな桜内梨子です」
梨子「今日は、曜ちゃんのことを想いながらしちゃいたいと思います」
ーーー
ーー
ー
曜「もう朝?」
曜「あ、元に戻ってる!」
曜「当たり前か。夢だし」
曜「はー、楽しかったなーまた見たいなー」
「曜ー!起きなさいー!朝ごはんできてるわよー!」
曜「はーい!」
曜「よーし、今日も一日頑張りますか!」
曜「お、梨子ちゃん発見!」
曜「梨子ちゃん、おはヨーソロー!」
梨子「おはヨーソロー、じゃないわよ!」
曜「え?」
梨子「曜ちゃんのばかっ!あほっ!変態!すけべ!すけこましっ!」
梨子「私のスマホで何撮ってるのよ!」
曜「え……?」
梨子「あ、あんな……あんな、へ、変態な動画!」
梨子「し、しかも曜ちゃんのこと好きっていいながらっ!」
梨子「信じられない!この変態!」パシーン
梨子「夢じゃないわよ!昨日電話したでしょ!」
曜「う、嘘……」サァァァァ
曜「で、でも、おかしいよ!だって梨子ちゃんのスマホの暗証番号、私の誕生日だったよ!?」
梨子「っ///」
曜「日記も全部私のことばっかりだったし!」
曜「しかも私と梨子ちゃんを題材にしたえっちなしょうせーー」
梨子「ば、ばかー!」パシーン
梨子「もー!曜ちゃんのばかばかばかー!」
梨子「こんなのもうお嫁にいけないじゃないー!」
梨子「責任取って貰いなさいよ!ばかー!」パシーン
曜「え、つまり、梨子ちゃんって私のこと好きなの?」ヒリヒリ
梨子「っ~~~///」
梨子「曜ちゃんのばかーーーー!」パシーン
ルビィ(善子)「ルビィの部屋……私の写真ばっかりじゃない……」ガタガタ
善子(ルビィ)「……この姿なら、ルビィの方が力が強いよね?」
ルビィ(善子)「ひっ!?」
自分が誕生日同じだから覚えてるんだけども
曜「ありがとう、嬉しいよ」
曜「でもごめんね、私は君のこと、友達としか思えないの」
「っ……そんな」
曜「これからも、友達でいようね」
「……はい」
曜(やっぱり楽しいな、人を好きにさせるのは)
曜(次はどの子にしようかなー)
「転校生を紹介するぞー」
梨子「東京から転校してきた、桜内梨子です。よろしくお願いします」ペコリ
曜「……へぇ」
曜(東京の子かぁ、結構可愛いね)
曜(大人しそうで全然恋愛も知らなさそう)
曜(よし決めた、次はあの子に決定)
梨子「は、初めまして」
曜「私は渡辺曜。曜ちゃんって呼んでね」
梨子「え、えっと……曜、ちゃん」
曜「うん!」
曜「まだ来たばっかりで慣れてないよね」
曜「私が学校を案内するよ」ギュッ
梨子「あ……っ///」
曜(手を繋いだくらいで赤くなるんだ)
曜(これは簡単に堕とせそうだなー)
梨子「ピアノ、かな」
曜「弾けるんだ?」
梨子「ちょっとだけだよ」
曜「そうなの?聞いてみたいな」ギュッ
梨子「きゃっ!?」
曜「ねえ、梨子ちゃん」
梨子「か、かお、ちかっ……///」
曜「ん?」
梨子「わ、分かった!分かったから///」
曜「ありがとう、梨子ちゃん」
曜「じゃあ音楽室に行こうか」ギュッ
梨子「っ///」
曜(やっぱり近い距離間に慣れてないんだね)
曜(顔真っ赤にしちゃって、可愛いなぁ)
梨子「どう、だった?」
曜「上手だったよ」
曜「感動しちゃった」
曜「梨子ちゃんは凄いんだね」
梨子「そんなことないよ」
曜「ううん、そんなことあるよ」
曜「私、梨子ちゃんのこともっと知りたくなっちゃった」
梨子「え?」
曜「今週デートしよっか」
曜「土曜日と日曜日どっちがいい?」
梨子「いや、えっと……」
曜「私は土曜日がいいんだけどいいよね?」
梨子「あ、うん……」
曜「よし、決まり」
曜「じゃあ、駅に10時に集合ね」
曜「あーん」
梨子「あ、あーん///」パクッ
曜「ここのケーキ美味しいでしょ?」
梨子「うん……///」
~
曜「この服似合うんじゃない?」
曜「着てみてよ」
梨子「え、でも」
曜「大丈夫、梨子ちゃんなら何着ても絶対可愛いから!」
曜「ほらほら、早く」
梨子「///」
~
曜「梨子ちゃんは恋愛映画好き?」
梨子「好き……だよ」
曜「私も好きだよ」
曜「それに、参考にもなるしね」
曜「これから梨子ちゃんと一緒にいる時のさ」
梨子「え、えっと……っ///」
曜「ふふ、半分くらい冗談だよ」
曜「でも、もう半分は……分かんないよ?」ギュッ
梨子「///」
曜「梨子ちゃんといると時間があっという間だよ」
曜「梨子ちゃんはどうだった?」
梨子「楽しかった……です」
曜「そっか、良かった」
曜「それじゃあさ、最後にもっと楽しいところいく?」
梨子「え、それって……」
曜「ホテルだよ。沼津だと仲のいい子がホテルに行くのは普通なんだ」
曜「来てくれるよね、梨子ちゃん?」ギュッ
曜(はい、堕ちた)
曜(簡単すぎるなー、やっぱり)
梨子「ごめんなさい……!今日は、もう帰らないと」
曜「え?」
梨子「じゃ、じゃあまた明日ね、曜ちゃん!」ダッ
曜「……嘘」
曜「タイミングが早すぎた?いや、そんなわけ……」
曜「……ふふ、ちょっと面白くなってきたね」
曜「絶対私に惚れさせてあげるよ、梨子ちゃん」
曜「……なんで?」
曜「なんで梨子ちゃんは私に靡かないの?」
曜「あんなに顔真っ赤にしてるのに」
曜「しかも、最近はなんだか私といると辛そうにしてる」
曜「直接聞いてみようかな」
曜「うん、そうしよう」
梨子「なに?」
曜「なんで最近、そんなに辛そうな表情してるの?」
梨子「っ……別に、そんな表情……」
曜「元気出してよ」ギュッ
梨子「…………」
曜「ほら、やっぱり」
曜「辛いことがあるなら教えてよ」
曜「力になるからさ」
梨子「……ない、よ」
曜「ふーん、そっか」
曜「それとね、もう一つ聞きたいことがあるんだ」
曜「梨子ちゃん、どうして私のことを好きになってくれないの?」
曜「私は、こんなに梨子ちゃんのこと好きなのに」ギュッ
曜「え?」
梨子「やめてよ」
曜「……?」
梨子「心にも思ってないこと、簡単に、言わないでよ」
曜「梨子、ちゃん?」
梨子「好きにならない理由なんて、なんで聞くの?」
梨子「そんなの、簡単じゃない」
梨子「だって、曜ちゃん、私が、ぐすっ、好きに、なったら、離れ、ちゃうんでしょ?」
曜「!」
梨子「酷いよ、こんなの、酷い、よ」
梨子「好きなのに、言えないなんて、こんな、の、」
梨子「っ!」ダッ
曜「まっーー」
タタタタタ
曜「私のせい、だよね」
曜「そっか、バレてたんだ」
曜「それじゃあ仕方ないよね、堕とせなくても」
曜「……あれ、なんでだろう、心が、痛い」
曜「なんで、涙が、出て、」
曜「……ばか」
曜「私は、本当、ばかだ」
曜「梨子ちゃんを傷付けて、やっと分かった」
曜「私のしてきたことが、最低だったことに」
曜「梨子ちゃんのことが、好きだってことに」
曜「……謝らないと」
曜「それで、許してもらえるなら、私から……」
梨子「……さっきはごめんね」
梨子「いきなり泣いちゃって」
曜「ううん、むしろ、私の方が謝らないと」
曜「ごめん、梨子ちゃん」
曜「私、最初は梨子ちゃんを惚れさせて遊ぼうとしてた」
曜「最低だった。梨子ちゃんを傷付けて、初めてそれに気付いたんだ」
曜「本当に、ごめん」
梨子「曜ちゃん……」
曜「虫のいい話かもしれないけど、聞いてほしい」
曜「私、梨子ちゃんのことがーー」
曜(あれ、言えない?)
曜(なんで?)
曜(好きっていうだけなんだよ?いつも言ってたでしょ?)
曜(ほら、早く言わないと)
曜(でも、断られたらどうしよう)
曜(今までの関係が壊れたら)
曜(……怖い)
曜(告白するのが、怖い)
曜(みんな、こんなことしてたんだ)
曜(っ、言わないと)
曜(言え、言えっ!言えっ!!)
曜「っ、す、好き、です」
曜「だ、だから、わ、わたし、と、その、つ、付き合って、く、くだ、」
梨子「……っ、ふふっ」クスッ
曜「え?」
曜「新鮮?」
梨子「うん。曜ちゃんっていつも余裕の表情だったけど、今は恋する普通の女の子なんだもん」
曜「い、言わないで///」
梨子「……私と、同じだね」
曜「え?」
梨子「私も、曜ちゃんのことが好き」
曜「!」
梨子「えへへ、やっと言えた」
梨子「ずっと、言いたかったんだもん」
曜「……ごめんね、待たせちゃって」
梨子「いいよ、その分、これからたくさん言うんだから」
梨子「大好きだよ、曜ちゃん」
曜「えへへ、私も梨子ちゃんのこと、だーいすき」
鞠莉「後輩は素直になったけど、果南はいつ素直になるんでしょうねー?」
果南「……うっさい」
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