慈「大好きだよ、梢」
みんなが帰った後も部室に一人残り、他校のスクールアイドルたちの動画を見ていた。
今回のラブライブ大会決勝、もう少しのところで敗れてしまった悔しさを次こそ晴らすべく、日々のライバルの動向チェックは欠かせないからね。
ガラガラ
「慈、まだ残っていたの?」
声をかけてきたのは私の戦友であり、親友である乙宗梢。
「うん、ちょっと、ね。梢はどうしたの?」
梢の問いかけにそう答え、逆に質問を返す。
慈「それは分かってるんだけどさあ。やっぱりどうしても悔しいじゃん。まだ夢を見るんだよ。あの時のことを」
梢「それは私もそうね。」
慈「梢も?」
梢「ええ、やっぱり簡単には忘れることが出来ないもの。いえ、忘れてはならないわね、絶対に… 」
梢はそう言うと後ろから私のタブレットの画面を覗き込んでくる。
梢「誰の動画を見ているの?」
慈「これはこの間優勝したスクールアイドルの動画。その前は北陸大会で戦った相手の動画。それから~」
慈「そりゃあ、リベンジを果たすためには色んなグループのことを知らなくちゃいけないからねっ」
そう答える。
梢「ねえ、私も一緒に動画を見てもいいかしら?」
梢がそんなことを言ってきた。
勿論、断る理由はどこにもない。
慈「もちろん、いいよっ。一緒に見よっ☆」
そう答えたものの、
慈「でも梢、さっきはさっさと帰れって言ってたけど、どうしたの?」
一つの疑問を梢にぶつける。
慈「それに??」
梢「いえ、何でもないわ」
慈「何だよ~気になるじゃん」メグメグ
梢の思っていることはだいたい想像つく。
だって、私だって梢とこうして二人きりでおしゃべりする時間は大好きで、すっごく幸せな
んだからねっ。
梢には絶対言わないけどっ。
慈「そんなに急かさなくても分かってるって~。」
それから1時間以上は梢と動画を見ながらあーだこーだおしゃべりしていたと思う。
気が付けば窓の外は真っ暗。
夜になってしまっていた。
梢「もうこんな時間ね」
慈「そうだね~梢とおしゃべりすると時間はあっという間だねっ☆」
少しだけ本音を曝け出してみる。
あらあら。予想に反して梢が照れた。
梢のことだからてっきり変な理屈をつけて否定してくるものだっと思っていたけど。
この様子だとどうやらさっきの私の予想は当たっているみたいだ。
慈「こ~ずえっ」
わざと甘い声を出してみる。
梢「な、何かしら//」
慈「もしかして、照れてる?」
梢「そんなわけないでしょう」プイッ
ありゃりゃ。拗ねてしまった。
梢弄りは楽しすぎるから時々ついつい弄り過ぎてしまう。
梢「何なのよもう」
そう言いつつも顔をこちらに向けてくれる。
うん。
よく観察すると梢って本当に色んな表情をみせてくれる。
私が梢を揶揄う理由の一つにこのコロコロ変わる表情や仕草を見たいからってのがある。
ホンっと梢って可愛いやつだよ。
ただまあ、これ以上揶揄うと構ってくれなくなりそうだからこのくらいにしておくか。
真面目な話題に変えよう。
梢「何?」
慈「ありがとね。」
梢「いきなり何かしら?私は何もしていないのだけれど?」
怪訝な顔でこちらを見つめてくる梢。
自覚なしか。
まあそれも仕方がない。私がちゃんと言葉にして伝えていなかったから。
いい機会だから伝えてしまおうと思う。
慈「私ね、梢に何回も救われているんだよ?」
梢「そうかしら。何かをしたという覚えはないのだけれど」
梢「・・・」
慈「綴理とすれ違いが起きたり、沙知先輩が引退したりと色々ありながらもスクールアイドルクラブを守ってくれてたよね。私、休部期間中もちゃんと見ていたんだよ。あんたと綴理のこと・・・」
続きは個人戦次第ではありますが恐らく明日になります
最近こずめぐが増えてとっても助かるわ
皆さんありがとうございます。
夕方ごろ仕事が落ち着くと思いますのでその時に続きを投稿します。
しばしお待ちくださいませ
慈「休部期間中、何もかもが嫌になっちゃってた時も梢と綴理の姿を見て何とか耐えて来れた。梢がいたから、私は頑張れたんだよ。」
慈「この間だって!ラブライブ決勝で負けて正直何にも考えることが出来なかったんだよ。
るりちゃんのことすらも!梢がるりちゃんと花帆ちゃんを連れて私のところに来てくれていなかったら、今も立ち直れていなかったと思う。だから、ありがとう、梢」
梢「私は部長として部員の心配をしただけよ。あくまで、部長としてね。先日のあなたはあまりにも見るに堪えなかったから」
慈「もう、本当に素直じゃないやつめっ。せっかくこのめぐちゃんが感謝しているんだから素直になれってのっ」
慈「あと、るりちゃんのこともありがとね。本当なら私がるりちゃんのフォローをしなければいけないのに」
梢「随分弱気ね、慈。全部自分だけで背負おうとする必要ないのよ?瑠璃乃さんのこともそうだし、決勝で負けた時だって悔しい気持ちはみんな同じなの。だから、一人で引きこもってたりしないでちゃんとみんなと悔しさを分かち合うことだって、必要なのじゃないかしら」
梢こそ、それこそ何もかも全部一人で背負うところがある癖に。
でも、こんな気遣いが出来るところも、梢の良さであり好きなんだけどね。
梢「ふふっ。ありがとう。なんだか照れるわね。」
慈「やっと素直になったか」
梢「そうね。慈のおかげかもしれないわね」
こずめぐ「ふふっ」
2人で笑いあう。
この時間がもっと続けばいいのにと思うけど、無情にも時間は淡々と経過していく。
しばらくしたら梢の方から声をかけてきた。
名残惜しいけど、この幸せな時間はおしまいに近づいてきているらしい。
慈「そうだね。さすがにちょっとしゃべり過ぎちゃったかな」
梢「まあ、たまにはこういうのも悪くないわね」
慈「じゃあさ、またやろうよ。動画試聴会っ」
梢「スクールアイドルの研究でしょう?」
慈「そうだけどさ。まあどっちでもいいじゃん。」
梢「そういうものなのかしら」
慈「そういうものなの!」
ワイワイ
何気ないこの日常の会話もあと1年でもしかしたら出来なくなってしまうかもしれない。
そう、私たちは今年の春から3年生になる。
つまり1年ちょっと後には卒業を迎えることになる。その後は、バラバラになってしまうかもしれない。
そう思うと、今このひと時ひと時がとても愛おしくなる。
同時に寂しさもこみ上げてきて・・・
あれ、知らない間に目から・・・
私の異変に気が付いた梢が声をかけてくる。
慈「ん。何でもない。」
慌てて平常を装うも流石に隠し切れないか。
梢「何でもなくないわよ。急に何があったのか言ってみなさいな」
慈「梢とこうしておしゃべりできるのも、あと1年か~と思うとね。寂しくなっちゃって」
梢「まだ1年もあるじゃないの」
慈「もう1年しかないんだよ…」
慈「何?」
梢「いずれ必ずやってくる未来のことを考えて寂しくなってしまうのも、気持ちは分かるのだけれど。でもね、そのことばかり考えて今、この瞬間を楽しめなくなるのは勿体ないわ。あなたには私がいる。スクールアイドルクラブのみんながいるわ。先日せっかくみんなで気持ちを新たにラブライブ優勝を目指そうという決意表明をしたのだから、ね?そう思わない?」
くそぅ。梢のやつに正論を言われてしまった。
ぐうの音も出ない・・・
慈「そうだね・・・」
梢「とにかく今は精一杯この恵まれた環境を楽しめばいいのよ。もし来年その時がやってきて寂しくなってしまったらその時は私も一緒に泣いてあげるわ。だから、ね」
また梢に救われてしまった。
うだうだクヨクヨするのなんて、めぐちゃんらしくないからねっ☆
慈「ありがとっ、梢っ」ダキッ
梢「わっ。ちょっと慈、危ないわよ」
慈「いいじゃんいいじゃん~」
梢「慈、重いからそろそろ離れてちょうだい」
慈「なんだと~。絶対に離れてやらないぞ」
梢「何なのよもうっ」
ワイワイキャッキャッ
ぱい頑張って蓮ノ空が最強だってこと、世間に見せつけてあげるんだから。
勿論、蓮ノ空の中でもみらくらぱーくが最強だけどね。
梢、負けるつもりはないから覚悟しててよね。
1年後、一緒に笑っていようね。
大好きだよ、梢。
おしまい
過去作です
慈「梢を照れさせたい」
慈「コホッコホッ」 梢「慈?」
慈「梢にかまわれたい」
梢「可愛くありたい」
SS 慈「梢の素顔が知りたい!」
SS さやかほの日常の一コマ
SS 慈「花帆ちゃんさやかちゃんと仲良くなりたい」
SS こずめぐがいちゃいちゃする話
SS 花帆「梢センパイの一番になりたい」
SS 梢「花帆さんと相合傘がしたいのだけれど…」
SS 蓮ノ大三角のとある休日の話
SS 蓮ノ大三角の誕生日会
SS ゆうぽむ、めぐるりの短編2本立て
SS こずめぐの新年会
素晴らしいこずめぐ
皆様ありがとうございました
最高でした
素晴らしい
こちらこそいつも励みになっており、感謝いたします。
冷静に考えてこずめぐが強すぎる
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/11177/1704874701/
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