栞子「ランジュ、あなたには適性があります」ランジュ「ラ?」
栞子「ランジュ! 廊下では走らないでください!」
ランジュ「ラッ、ラァッ!」
栞子「次の授業の場所が遠い? まったく…ランジュ、あなたには早歩きの適性があります」
ランジュ「ラァッ!」スタスタスタスタ
侑「ランジュちゃん歩くの速っ!?」
歩夢「早歩きなら良いってわけではないと思うけど…」
ランジュ「ラ…」シュン
栞子「そう落ち込まないでください、ランジュにも可愛いの適性は十分に備わっていますよ」
ランジュ「ラァ♪」キュルーン
かすみ「むぅ、これがランジュ先輩のポテンシャル…意外なライバル出現かも…」
ランジュ「ラァ…」
栞子「ランジュは堂々としていますからね、きっと演劇の適性もあると思いますよ」
ランジュ『ラ! ラァ…! ラァッ!!』
しずく(凄まじい表現力、真に迫る演技力…! このお話をランジュさんに持ちかけてよかった!)
『さんせーいっ!』
写真部の子「ランジュちゃん、今度はこっちに目線お願い!」
ランジュ「……」カシャッ カシャッ
果林「ランジュはスタイルも良いし、モデル映えしそうな娘だとは思っていたけれど…想像以上ね…」
栞子「それに加え、圧倒的な自信と巧みなセルフプロデュースがより撮られる上手さを引き立たせています…やはり彼女には自分を魅せる適性がありますね」
ランジュ「ラ!」
愛(今度はこっちがディフェンス、ランジュは案外読み合うタイプだね…だけど手元もちゃんと警戒してる、簡単には盗めないし…)
ランジュ(ラ…!)
愛(…! 視線と身体が左に動いた、なら行く方向は…!)ダッ
ランジュ「ラァッ!」ダッ
愛(ビンゴ、右! 視線はブラフ、動作はフェイント! 散らして瞬発力で抜き去る戦法かもしれないけど、愛さんには…っ!?)
ギュンッ! ガコン!
ランジュ「ラァ!」グッ
愛「くぅ~っ、読み勝ったのにフィジカルで負けた~! 悔しいー!」
璃奈「異次元の戦い…」
栞子「ランジュは昔からスポーツの適性があるんです、それは今でも健在のようですね」
ランジュ「ラ、ラ!」
彼方「んぅ~…? ランジュちゃんもすやぴする~…?」
ランジュ「ラッ、ラァッ!」ブンブン
彼方「はい、すやぴ~」
ランジュ「ラ…!」スヤァァァァァァ!!
侑「いた、彼方さんとランジュちゃん!」
栞子「彼方さんを探す適性はあったようですが…誘惑に勝つ適性はなかったようですね…」
ランジュ「ラァ!」
栞子「…今日はランジュの行きたいところへ連れて行ってください。あなたには場所選びの適性があります」
ランジュ「…! ラ!」
栞子「っ…! ランジュ、あなたには中国拳法の適性があります!」
ランジュ「ラァァァッ!」ドカッ!
怪しい男「ぐわあああっ!?」
栞子「た、助かりました…! 逃げましょう!」
ランジュ「ラ!」ダッダッダッ
ランジュ「ラ!」
栞子「昔よく遊んでいた公園…懐かしいですね」
ランジュ「ラ、ラ!」
栞子「これは、あの時作ってくれた花冠と同じ花…変わってしまったものもあれば、変わらないものもあるのですね」
ランジュ「ラァ!」
栞子「ふふっ、そうですね。今度は同好会のみなさんも誘って来ましょうか」
ランジュ「ラ…! ……ラ」
栞子「大丈夫ですよランジュ、あなたにも誰かと共に歌う適性はあります。ユニットでの活動も同好会全体での歌唱も、あなたのパフォーマンスは素晴らしいです。いつもの自信を取り戻してください!」
ランジュ「…ラ!」
せつ菜/ランジュ『~♪』
歩夢「すごい、ほとんど即興のデュエットでここまで…!」
かすみ「か、かっこいぃ…!」
せつ菜「~~~っ!! ランジュさん、最っ高のライブでしたね! こんなパフォーマンスを見せて、一回限りのデュエットなんて言わせませんよ!」
ランジュ「ラ!」ブイ
栞子「ランジュ、そんなにがっつくと喉を詰まらせてしまいますよ?」
エマ「ふふっ、ご飯は逃げないよ~♪ ところで、ランジュちゃんは昔からこんなに食べてたの?」
栞子「そうですね、同年代の子供よりは多く食べていたと思いますが…その分動く量も他よりずっと多かったので…」
エマ「そうなんふぁ~、ゴクン。 あ、栞子ちゃんも食べてね?」モッモッ
栞子「あ、ありがとうございます…ランジュは言わずもがなですが、エマさんにも大食の適性が備わっていますね…」
ランジュ「ラ!」
愛「そういうことなら愛さんとランジュにお任せ“あれい”っ! 鉄“アレイ”だけにっ!」
彼方「そのダジャレはちょっとどうなんだい?」
果林「愛、やめなさい! そんなもの持ち上げたら腕が取れちゃうわよ!?」
ランジュ「ラァァッッ……!!!!」ググッ…!
栞子「ランジュ、やめてください! いくらあなたにトレーニングの適性があるといえ、人体には限界があるんです!」
しずく「り、璃奈さん…これが私たちに求められるものなの…?」
璃奈「いや、流石にここまでは…私も何度も止めたけど、二人が行けるところまで行きたいって言うから、その限界を見届けようと思って…」
せつ菜「なんだか狂気じみてきましたね…」
ミア「Crazy…」
しおりこ『わぁ、きれいなはなかんむり…これ、らんじゅちゃんがつくったの?』
らんじゅ『そうよ! しおりこにあげるわね!』
しおりこ『いいの? ありがとう! らんじゅちゃんにははなかんむりをつくるてきせいがあるね!』
らんじゅ『てきせー?』
しおりこ『うーんと…すごくじょうずってこと!』
らんじゅ『きゃあっ、ありがとう! じゃあしおりこのためにもっとつくってあげるわね! 100こくらい!』
しおりこ『そ、そんなにはいらないかな…』
栞子「はっ…昔の、夢……」
栞子(変わってしまったものもあれば、変わらないものもある…私たちは、いえ、私は…きっと変わってしまったものなのでしょう…)
ランジュ「ラ?」
ミア「ん、ボクが飲んでるもの? エナジードリンクの新味さ、ランジュも飲んでみる?」スッ
ランジュ「ラ!」ゴクリ
~夜~
ランジュ「ラ…!」ギンギラギン
prrrr… ピッ
栞子「ランジュ…? こんな時間にどうしたのですか? 昼に飲んだエナジードリンクのせいで眠れない? 仕方がないですね…ランジュ、あなたには睡眠の適性があります」
ランジュ「らぁ…」スヤピ
栞子「ふぅ、まったく…」
栞子『はぁ…』
ランジュ『あ…栞子……?』
栞子『ランジュ、楽しかったことを共有するのは結構ですが…少々お喋りが過ぎます』
ランジュ『あ…ご、ごめんなさい…』
栞子『あなたには…そうですね、寡黙美人の適性があります』
ランジュ『……ラ?』
栞子「……」キリ…
歩夢「ん、いいけど…なにかあった?」
栞子「いえ、内容自体は極めて個人的なもので…本来ならば自分で解決すべき問題なのですが…」
歩夢「ふふっ、そんなに固くならないで? ゆっくりでいいから話してみてよ」
栞子「……大切な人に、取り返しのつかないほど酷い言葉を言ってしまいました。その結果、その人の大切なものも、尊厳すらも傷つけてしまって…私は……」
歩夢「うーん、難しい話だね…」
栞子「すみません…」
栞子「…そうですね、それが私の犯した罪に釣り合うのかはわかりませんが…」
歩夢「…でもね、栞子ちゃんの考える最善が本当の最善とは限らないってことだけは覚えておいて。もしかしたらもっと簡単で、もっといい選択肢があるかもしれない」
歩夢「その選択肢に気づく…ううん、その選択肢を取ってもいいって気づくには、きっと一人じゃ無理だと思う。それはその人と話し合って初めて開ける道だから。だからね、もし機会があったなら、その人の言葉もちゃんと聞いてあげてほしいな」
栞子「言葉…」
歩夢「あ、ごめん! わかったふうなこと言っちゃって…でも私が言えることはこれで全部」
栞子「…ありがとうございます、歩夢さん。決着をつける決心がつきました!」
歩夢「うん、また困ったことがあったらいつでも言ってね!」
ランジュ「ラ!」
栞子「あ、ランジュ…そうですね、一緒に帰りましょうか」
ランジュ「ラ~♪」
栞子「……ランジュ、大事な話をさせてください」
ランジュ「ラ?」
栞子「ようやくこの呪いが上書きできるようになりました…ランジュ、あなたには人の言葉を話す適性があります」
ランジュ「栞子、どうしたの急に──あっ!」
ランジュ「し、栞子…」
栞子「私はあなたを、大切な友人であるランジュを傷つけてしまいました。こんな私に、友人を名乗る資格などあるのでしょうか…」
ランジュ「待って、栞子…!」
栞子「私に、あなたの隣にいる適性は──」
ランジュ「──嫌よ!」
栞子「っ…!」
栞子「しかしランジュ、私があなたにしたことはっ…! 人として大切な、尊厳すらも傷つけて…!」
ランジュ「でも栞子はランジュのことをわかってくれたし、欲しい言葉だってくれた、ずっと一緒にいてくれたじゃない!」
栞子「それは…すべてランジュへの贖罪のためです…! 言わば私の浅ましい自己保身…あなたが思ってくれているほど美しいものでは…!」
ランジュ「それでもよかったのよ! ランジュは、それでもすっごく嬉しかった!」
栞子「でもっ、私はっ…! 自分を赦すことができませんっ…! 例えランジュが赦してくれたとしても、私は私自身を赦すことができない…ランジュの友達だなんて、そんな資格っ…!」
ランジュ「……なら栞子、どうしてもあなたがそう言うなら、私が罰をあげる。もう二度とこんなことが起こらないように、そして栞子が自分を赦せるように」
栞子「え…?」
ランジュ「ね、これならいいでしょう?」
栞子「…! ええ…そうですね。私が受ける罰にふさわしい、そしてきっと…これが本当の最善なのでしょう」グスッ
栞子「私に適性を見抜く適性など…最初からなかったのです!」
歩夢「ここが二人の思い出の場所かぁ…でもいいの? 私たちも来ちゃって…」
栞子「はい、前からみんなで来たいとランジュとも話していたんです。それに…みなさんにもご迷惑をおかけしましたから」
侑「ん~っ! 過ごしやすくて気持ち~!」
彼方「お昼寝日和だねぇ~」
せつ菜「彼方さん、レジャーシートを敷く前に寝転んじゃダメですからね?」
彼方「わかってるよ~」
璃奈「かすみちゃん、ブランコ似合ってる。かわいい」
しずく「本当! かわいいよかすみさん!」
かすみ「なんか褒められてる気がしないんだけど…!」
愛「かすかす~、ブランコ押してあげよっか~?」
果林「ダメよ愛、あなたが押したらかすみちゃんが怖がっちゃうでしょ?」
かすみ「むきーっ! かすみん子供じゃないですぅ~!」
ランジュ「エマ、何してるの?」
エマ「んー? 野花がいっぱい咲いてるからね、花冠を作ろうと思って!」
ランジュ「きゃあっ、懐かしいわ! ランジュも久しぶりに作ろうかしら!」
ミア「へぇ、意外だね。ランジュはそういうの苦手そうなのに」
ランジュ「まぁ見てなさい! 結構上手いのよ?」
栞子「ランジュ、大丈夫なのですか? 私の力はもう…」
ランジュ「無問題ラ! ……ほら、出来たわよ!」
栞子「……!」
ミア「Great! 見直したよランジュ!」
ランジュ「ふふっ、もっと褒めなさい!」
かすみ「ランジュ先輩、なんですかそのかわいいの! かすみんにもください!」
ランジュ「順番よ、あとでちゃんと作ってあげるから! はい、最初一つは栞子のよ!」スッ
栞子「あ、ありがとう、ございます…!」
栞子(…そうでした。私が適性を見出さなくとも…ランジュはこんなにもきれいな花冠を作れるのでしたね)
おわり。
ランジュちゃんかわいい
まさかの展開に驚き
栞子がなんかとんでもない呪言使いになってたのにはビックリだけど
シンプルにエモいランしおだった
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