【SS】花帆「予知夢!?」
さやか『花帆さん、大丈夫ですか? これ、飲みかけですけど、わたしのお水でよければ』
花帆『はぁ、はぁ……あ、ありがとう、さやかちゃん……』
花帆『んくんく……ぷはっ……生き返るー!!』
さやか『水分補給は大切ですから、しっかり飲んで休んでくださいね』
花帆『そうだね、そうする! ……あ、そういえば、あたし気づいちゃったんだけど……』
花帆『……これって、間接キス、だよね、さやかちゃん?///』
花帆「…………んー……」チュンチュン
花帆「朝……ってことは、さっきのは夢……?」
花帆「夢……さやかちゃんがあたしにお水を貸してくれて、それで…………っ!?!?///」
花帆「さ、さやかちゃんと間接キス……な、なんて夢見てるんだろ、あたし……!!///」
花帆「はぁ、はぁ……朝練、つ、疲れたーー!! もう動けない……」
さやか「あの……花帆さん、大丈夫ですか?」
花帆「さ、さやかちゃん……大丈夫だけど大丈夫じゃない……お水飲みたい……」ハァハァ
さやか「お水、わたしのでよければ飲みますか?」
花帆「……えっ!?!?」
花帆「い、いや……ありがとう、さやかちゃん!」
花帆(これってもしかして、今朝の夢って、まさか……)
花帆(予知夢ーー!?)
花帆(そう、偶然……さやかちゃんとの、か、間接キスもきっと偶然だよ……///)
さやか「花帆さん? 顔を真っ赤にして……どうしたんですか? お水、もう少し要りますか?」
花帆「う、ううん、大丈夫! 何でもないよ、何でも……」
花帆(うぅ……さやかちゃんはきっと無意識なのに……あたしが勝手に意識してるだけ……///)
花帆(もうっ、今朝見た夢のせいだよ! まったく……)
花帆(夢……ほんとに予知夢だったら面白いけど)
花帆(今日も何か夢、見ないかなぁ……)
花帆『うわー!! さやかちゃんとお泊まり会なんて、最高だよ!』
さやか『ふふ、わたしも花帆さんと一緒にいられて嬉しいですよ!』
花帆『こちらこそだよ、さやかちゃん! あたし、さやかちゃんのこと大好き!』
花帆「ん……」チュンチュン
花帆「また……さやかちゃんが出てくる夢……」
花帆「お泊まり会……お泊まり会かぁ」
花帆「さやかちゃんと実際、できたら楽しそうだけど……」
花帆「きっと、ただの夢……だよね」
花帆「んー……! 今日も練習頑張った! さすがあたし!」
さやか「花帆さん、少しいいですか?」
花帆「さやかちゃん! どうしたの?」
さやか「その……今日、花帆さんのお部屋にお邪魔してもいいですか?」
花帆「!?」ドキッ
さやか「最近お疲れそうだったので、マッサージをしようかと……花帆さん?」
花帆「あ……えと、ありがとう、さやかちゃん! 鍵開けておくね!」
花帆(それ自体はよくある事のはず……そう、そうなんだよ! でも……)
花帆(最近、さやかちゃんが出てくる夢ばかり見てるから、いつも以上に意識しちゃう……なんてことないはずなのに///)
花帆(……お泊まり会、まさかほんとに予知夢だったり……なんて、まさかね)
さやか「花帆さん、マッサージ気持ちいいですか?」ギュッギュッ
花帆「あぁー、気持ちいい……練習後の疲れた体にしみるよぉ……さすが、さやかちゃん……」
さやか「花帆さんのお役に立てて、何よりです」クスッ
花帆「ありがとう、さやかちゃん……ああ、安らぐ……」ノビー
さやか「あ、ここも結構凝ってますね……せっかくですから、普段のマッサージよりも時間をかけて丁寧にやりましょうか」ギュッギュッ
花帆「え、いいの! ありがとうございます、さやかマッサージ師!」
さやか「はーい……って、誰がマッサージ師ですか、もう」フフッ
花帆「あぁ……完全にほぐれたよ……! うーん、気持ち良かったー!」ノビー
さやか「それは良かったです。……あ、もうこんな時間ですね」
花帆「え、いま何時……って、もう消灯2分前じゃん!?」
さやか「困りましたね……今から帰っても、寮母さんに見つかってしまいそうで」ウーン
花帆(……ん!? これって、もしかして……)
花帆(……って何言ってんだろあたし! 夢の内容に引っ張られすぎだよ……!)
花帆(でもさやかちゃん真面目だし、流石に断るかな……)
さやか「そうですね。では、お言葉に甘えさせていただきます……!」
花帆「!?!?」
さやか「よければなんですけど、同じ布団で一緒に寝ませんか?」
花帆「!?!?!?」
さやか「それでは、お布団お邪魔しますね」ソッ
花帆「う、うん……どうぞ、さやかちゃん……///」
花帆(柔らかいシーツ、暖かい布団、そして隣にはさやかちゃん……///)
花帆(もう逆に、これが夢だったりしない!?)
さやか「ふふっ、流石に二人だと少し狭いですね……」
さやか「もっと花帆さんの方へ、寄ってもいいですか?」ササヤキ
花帆「!?!?!?!?」ドキドキドキ
花帆(さ、さやかちゃんがヤバい!! 魔性の女すぎるよ!!///)
花帆「お、おやすみ……」
花帆(ベッドから落ちないようにギュっとしたから、さやかちゃんの爽やかな匂いが伝わってきて……)
花帆(こ、この状況で寝れるわけなくない……??///)ドキドキ
さやか「…………」スヤァ
花帆(うっ、寝顔かわいい!!)ドキドキ
花帆「…………ふあ……?」チュンチュン
花帆(あ、朝……? な、なんとか眠れたんだ……昨日はドキドキしてヤバかったな……)
花帆(さやかちゃんが横で寝てるから、意識しすぎて……思い出すだけで心臓が……///)ドキドキ
花帆(そういえば、さやかちゃんは……って)
花帆「あれ……なんか、美味しそうな匂いが……」スンスン
さやか「あれ、花帆さん、起きましたか?」ヒョコ
花帆「さやかちゃん!」
さやか「ふふ、勝手ながら今、朝ごはんを作っているところですよ。出来るまで少し、待っていてください」ニコッ
花帆「え、わざわざ朝ごはん作ってくれたの!? 至れり尽くせり……ありがとう、さやかちゃん!」
さやか「いえいえ、いつもしていることなので」クスッ
花帆(あたしの部屋に、料理中の小気味いい音が響いていて……)
花帆「なんだか、安心する音……」シミジミ
花帆(さてさて、待ってる間にスマホでも見ておこうかな)
花帆「あ、今日午後から雨降るんだ……今日は練習ないし傘持ってこっと」スイッスイッ
さやか「花帆さーん? 朝ごはん、出来ましたよー!」
花帆「はーい!」トコトコ
花帆「うわぁ……! すっごく美味しそうだよ! さやかちゃん天才!?」
さやか「そんな、言い過ぎですよ」フフッ
さやか「さぁ、温かいうちにぜひ、どうぞ」
花帆「いただきます! ……んー!! 美味しい! 流石さやかちゃん!」
さやか「ふふ、ありがとうございます」ニコッ
さやか「あ、なんでしたら、今日のお昼もどうですか? わたし、花帆さんの分もお弁当作りますよ」
花帆「え、嬉しいけど……流石に大変じゃない?」
さやか「いえいえ、綴理先輩の分も作るので、一つ増えても大した負担にはなりませんよ」
さやか「むしろ、ぜひ」グッ
花帆「……じゃあ、お願いしちゃおっかな! さやかちゃん、ありがとう!」
花帆(……なんか昨日もだけど、さやかちゃんがいつもより積極的なような……? 気のせいかな?)
さやか「それでは、学校に行きましょうか」スタッ
花帆「うん、そうだね……ふわぁ……」
花帆(う……まだ少し眠気が……あんま眠れなかったもんね)
花帆(夢も見てないし…………ってそうだ、夢!)ハッ
さやか「? どうかしましたか、花帆さん?」
花帆「え、いや……何でもないよ!」
花帆(それなら、あたしの見た夢はやっぱり、予知夢なのかも……!)
花帆(もしかしてあたし、予知能力に目覚めちゃった!?)
花帆(こんなの……最高すぎるよ!)ウキウキ
さやか「なんだかご機嫌ですね」クスッ
花帆「花帆は今、猛烈に気分が良いのです!」ルンルン
花帆(まるで小説の中のような不思議な出来事に、あたし自身が遭遇してるなんて……興奮しないほうがおかしいもんね!)
花帆(……あれ、でも、何でさやかちゃんとの出来事しか夢にみないんだろう……?)
「── 我妹子に恋ひてすべなみ白袴の……」
花帆(……授業の古文がお経みたいに聞こえてくる)
花帆(う……睡眠不足の反動が……)ウツラウツラ
花帆「…………zzz」スヤァ
ザーザー
花帆『うわー、やっぱり雨が降っちゃってる! 傘持ってきてて良かった……』タッタッ
花帆『……あれ? あれって……』
さやか『…………』ザーザー
花帆『綺麗……』
花帆『……ってそうじゃなくて、さやかちゃんが雨に濡れちゃってる! 急いで──』
「──それじゃ、次の文を……日野下さん、読んでください」
花帆「…………zzz」
「あら、日野下さん?」
さやか「……花帆さん、花帆さん!」チョンチョン
花帆「…………ん……?」パチリ
花帆「……!? え、えーっと……」アセアセ
さやか「……7ページの前から5行目からですよ」コソッ
花帆「あ……えと、我が背子が袖返す夜の夢ならし ──」
花帆「さやかちゃん!! 授業中ありがとー!! ほんと、女神様だよー……!」
さやか「もう、授業はちゃんと聞くものですよ? 今回だけですからね」
花帆「いやー、ごめんね! 次から気をつけるから!」
さやか「分かれば良いんです」フフッ
花帆「瑠璃乃ちゃん! もちろんだよ!」
さやか「あ、花帆さん、これ朝言っていたお弁当です。どうぞ」ササッ
瑠璃乃「あれ? 花帆ちゃん、それは……?」
花帆「へへー、良いでしょ! さやかちゃん手作りのお弁当! 作ってもらったんだ!」
さやか「心を込めて作りました」クスッ
瑠璃乃「おおっ、愛妻弁当じゃん!」
花帆(愛妻……何だかちょっと照れちゃうなぁ……///)
さやか「ええ、今とは真逆の考え方でしたよね」
花帆「う……寝てたから分かんない……面白いなら聞いとけば良かったなぁ……」
瑠璃乃「どんとまいんどだよ、花帆ちゃん! めぐちゃんだって古典の時間は子守唄だって言ってたし!」グッ
さやか「それは……一度梢先輩にご指導いただいた方がいいのでは……?」
さやか「ゲームじゃないんですし、そんなことはあり得ないと思いますが……」
花帆「あたしは慈センパイの言うこと、ちょっと分かるかも! 例えばさ──」
ガラガラガラ
クラスメイト「おーい、瑠璃乃ちゃーん! なんか、藤島先輩が用事あるって来てるよー?」
瑠璃乃「え、めぐちゃんが? おーけー! 今行くー!」
瑠璃乃「ごめんっ二人とも! ルリちょっと、めぐちゃんのとこ行ってくるから席外すね! 二人でお昼ごはん、ごゆっくりしてて!」ダッ
さやか「噂をすれば、というやつですかね?」フフッ
花帆「そうかも! ……あ! この卵焼き美味しい!」パクッ
さやか「よく味わって食べてくださいね」ニコッ
花帆「はーい!」モグモグ
花帆(……あれ? 何か忘れてるような……)ウーン
ザーザー
花帆「わっ、雨! 天気予報どおりだ!」
花帆(雨……ってそういえば!)
花帆(授業中にあたし、夢を見てたじゃん! すっかり忘れてたよ……!)
花帆(今のあたしは予知能力が使えるからね。あたしが、授業中に見た夢も予知夢のはず……)
花帆(……あれ? ということは……さやかちゃんが雨に濡れちゃう!?)ガタッ
瑠璃乃「さやかちゃんなら、先に帰っちゃったけど……どしたの?」ヒョコ
花帆「瑠璃乃ちゃん! 教えてくれてありがとう! あたし、行ってくるね!」ダッ
瑠璃乃「え!? あ、うん、よく分かんないけど、行ってら!」ビシッ
花帆(……今のあたしなら、さやかちゃんを助けられる!)
さやか「……」ボー
花帆「見つけた! さやかちゃんっ!!」ダッ
さやか「花帆さん!?」
花帆「ま、間に合って良かったー……さやかちゃん、傘ないのにそのまま帰る気だったでしょ!」ハァハァ
さやか「えっ……?」
花帆「あたし、さやかちゃんが濡れちゃうのは嫌だったから……ほら、あたしの傘入って! 一緒に帰ろ!」
花帆「いいのいいの! あたし、さやかちゃんの為に何かしたかったし、最近色々してもらった分のお返し!」
花帆「さやかちゃんも、言いたいことがあったら遠慮しないで言ってね! あたし、力になる準備バッチリだから!」
さやか「花帆さん……そうですね、ちゃんとそのときは言葉にして伝えたいと思います」ニコッ
花帆「えへへ、それじゃ帰ろっか!」
花帆(さやかちゃんと二人、相合傘……改めて意識すると少し、恥ずかしいかも……///)
さやか「花帆さん、もっと近くに寄ってもいいですか?」
花帆「も、もちろんだよ! ほら!」ギュー
さやか「温かい……ありがとうございます」フフッ
花帆(さやかちゃんかわいいなぁ……やっぱり予知夢が見れて良かった)
花帆(ふふん♪ あたしの予知夢で、さやかちゃんの未来が見えて行動できたんだもんね、お手柄だよ!)フフン
さやか「花帆さん?」
花帆(……あたしはさやかちゃんが雨に濡れてしまう予知夢を見たから、今、傘を持って行ってさやかちゃんを濡らさないようにした)
花帆(でも、その場合だと、“さやかちゃんが雨に濡れる”という出来事は起こらなかったことになるわけで……)
花帆(未来予知は、成立しなくなる……!? つまり、あたしが見ていたのは未来じゃない……!?)
花帆(じゃあ、あたしが今まで、予知夢だと思っていたのは一体……?)
更新待ってるやで
慈「あれ、食堂に花帆ちゃん? こんな遅い時間にどしたの?」
花帆「……慈センパイこそ、どうしているんですか」
花帆(何となく一人で考えたくて、夜食でも食べながらと思って食堂に来たけど……もうすでに、先客がいるなんて)
慈「お夜食食べるなら、一緒に食べない? 今なら、めぐちゃん特製TKGを作ってしんぜよう」フフン
花帆「それネギトロ丼のやつじゃ……いや、まあ食べますけど!」
花帆「いただきます……ん、美味しい!」
慈「でしょー! なんかお腹すいちゃって、お夜食食べよーって思って来たけど、花帆ちゃんと一緒に食べれるなんてラッキー!」
慈「もぐもぐ……んー、おいち♡」
花帆「はぁ……」カニョーン
慈「ねぇねぇ、花帆ちゃん!」チョンチョン
花帆「花帆は今、とっーーっても複雑なことで悩んでるんです……慈センパイ、お話ならまた今度にしてください」
慈「まぁまぁ、そんなこと言わずに! 聞いてよー!」
慈「めぐちゃんさぁ、実は、正夢を見ちゃったの!」
花帆「正夢、ですか……!?!?」ガバッ
花帆(正夢……未来の出来事を夢に見ること……今のあたしと同じ……!)
花帆「き、気になります!!!」ガタッ
慈「うおっ、ぐいぐいくるね」
花帆(もし、本当なら……今の状況のヒントになるかも……!)
慈「私が、るりちゃんのことを吸う夢」
花帆「……」
花帆「…………」
花帆「???」
花帆「……どういう意味ですか??」
花帆「それが分からないから、聞いてるんですよ!」
慈「伝わらない? えっとね」
慈「るりちゃんを後ろからギューっとして、そのまま息を深く吸うの」
花帆「……?」
花帆「いや、言ってる意味があんまり分かんなくて……楽しいんですか、それ?」
慈「超楽しいし、花帆ちゃんも絶対、良さが分かるって!」
慈「一回でもやってみなよ! マジで人生変わる、幸せになれるから!」
花帆「怪しい宗教勧誘みたいになってますよ……」
慈「そりゃもちろん! るりちゃんって、何かこう、ふわふわの綿菓子みたいな、甘い匂いがして」
慈「それを肺いっぱいに吸い込むと、脳が溶けて、もの凄い幸福感に包まれるんだよ……」ウットリ
花帆「へぇ……?」
慈「あ、信じてないなー、この良さを!」
慈「猫吸いってあるじゃん! あれと同じだよ!」
慈「大好きな子にはしたくなっちゃう、というか絶対するものなの!」
花帆「そう……なんですか?」
慈「目覚めたらお昼休みでさ、こうしちゃいけない! って思って」
花帆「目が覚めてお昼休みって……授業中に寝てるじゃないですか」
花帆(まあ、あたしも寝ちゃったし、人のこと言えないけど)
慈「そのまま、るりちゃんを借りて、吸わせてもらったってわけよ!」フフン
花帆「ああ、昼休みに教室来たのってそういう……」
花帆(じゃあ瑠璃乃ちゃん、昼休みに慈センパイに吸われてたんだ……)
花帆「……なるほど、そうやって正夢を……」
花帆「……って、それって慈センパイが自分から、夢の出来事に合わせただけじゃないですかー! ……正夢としてはズルですよー」
花帆(自分でその通りに動いて、夢の内容を本当にしちゃうだなんて、そんな……)
花帆(………………あれ?)
花帆「そ……それだぁ!!!」ガタッ
慈「!? ど、どしたの花帆ちゃん?」
花帆(ということはもしかして、あれは予知夢なんかじゃなくて……)
花帆(“こうなってほしい”っていう願望、だった……?)
慈「……おーい、花帆ちゃん? 突然固まってどうしたの?」
花帆「──すみません、慈センパイ! あたし、帰りますね! 色々教えてくれて、ありがとうございました!!」ダッ
慈「え? あ、うん、バイバーイ……?」
慈「…………何だったんだろ?」
花帆「やっと……やっと分かった!」
花帆(いままで、夢に見てきたことは……)
花帆(あたしがずっと、さやかちゃんと一緒にやりたいって思ってたこと……!)
花帆(間接キスも…………正直、ちょっと憧れてた節がある)
花帆(全部、あたしがさやかちゃんに対して抱いていた願望……!)
花帆(……あれ、ってことは……?)
──
さやか『…………』ザーザー
花帆『綺麗……』
──
花帆「あたし、雨に濡れたさやかちゃんを見てみたいと思ってたってことじゃん!?」
花帆「確かに妖艶さがあって綺麗だったけど……うぅ、なんて破廉恥な……///」
花帆(ええい、それはともかく!)
花帆(あたし、さやかちゃんのこと……)
花帆(好き、だったんだ)
花帆(その日の夜、夢を見た)
花帆『さやかちゃん、大好きです! あたしと……』
花帆『付き合ってください!』
花帆「…………」ガバッ
花帆(これが……あたしの、気持ち)
花帆「──よし」
花帆(さやかちゃんに、伝えよう……!)
さやか「……ふぅ」
花帆「あ、いた! さやかちゃん!」ダッ
さやか「花帆さん! 丁度良かったです!」
さやか「二人きりで、伝えたいことがあるんですが……お時間よろしいですか?」
花帆「え? ……ああ、もちろん! 全然いいよ!」
花帆(……告白するのは、さやかちゃんのお話を聞いてからでも遅くないもんね!)
花帆(うぅ、緊張してきた……!)ドキドキ
さやか「……実を言うと、今からわたしが話すことは花帆さんに伝えるべきなのか、少し迷っていたんです」
花帆「え、そんな! 何でも言ってくれていいのに!」
さやか「ええ。伝えたいことがあったら遠慮しなくて良いと、花帆さんは言ってくれましたから」クスッ
さやか「だから……伝える勇気が持てました」
さやか「聞いて、くれますか?」
花帆(これを聞いた後、あたしもさやかちゃんに一世一代の告白を……!)
さやか「花帆さん……」
さやか「──大好きです、よければ付き合ってください!」
花帆「……え」
花帆「え、えーーー!?!?!?」
花帆「さやかちゃん、それって……?」
さやか「えと、その、つまり……」
さやか「わ、わたしは! 花帆さんのことが、初めて見たときから、ずっと大好きなんです!!」
花帆「そ、そうだったの!?」
さやか「ちょっと前、花帆さんが息を切らしていたときも、それに乗じて自分から、か、間接キスを仕掛けてしまいましたし……///」
さやか「花帆さんの部屋で、わざと時間をかけてマッサージをしたのも」
さやか「花帆さんと、二人きりで一緒に過ごしたかったからで……全部、花帆さんが大好きだからなんです」
花帆「……あれ、じゃあ、傘を持ってなかったときも……?」
さやか「“弁当忘れても傘忘れるな”ですよ? あのとき、本当はカバンの中に折り畳み傘が入ってたんです」
さやか「でも……その、花帆さんと相合傘が出来そうだったので、つい嘘を……///」
花帆(あたし自身の知らず知らずの欲望による行動と)
花帆(さやかちゃんの猛烈なアピールが組み合わさった結果だったわけで……)
花帆「あたしも、さやかちゃんも、考えてることは同じだったってことかぁ……」
さやか「花帆さん……?」
花帆「えへへ……両思いだね、あたしたち!」ニコッ
さやか「え……そ、それって」
花帆「──さやかちゃん、大好きです! あたしと……」
花帆「付き合ってください!」
さやか「…………うぅ、はい……」ポロポロ
花帆「さやかちゃん!? 泣いてるの!?」
さやか「だって……花帆さんと両思いだなんて、信じられなくて……嬉しいです……」ポロポロ
花帆「さやかちゃん……うん、あたしも……」ギュー
花帆「……落ち着いた?」
さやか「はい……すみません、お見苦しい姿を……」
花帆「ううん。むしろ、さやかちゃんがそこまで、あたしのことを思ってくれてたのが凄く嬉しいの!」ギュー
さやか「いえ、こちらこそですよ。……その、花帆さんは本当にわたしを……? 一体どうして……?」
花帆「あたしが、さやかちゃんのことを好きな気持ちは本当だよ! ……この気持ちは、きっと最初からあったんだけどね」
花帆「自覚したのは、つい最近なの」
花帆「それであたし、さやかちゃんに対する気持ちに気づけたんだ。あたし、さやかちゃんのことが好きなんだ、って!」
さやか「夢に、わたしが……」
さやか「ふふ、それなら、古文の授業で言っていたお話みたいになりましたね」クスクス
花帆「……え、あたし、その授業寝てたから知らない……! 何それ!?」
さやか「いえ、何でもないです。後で調べてみたら、分かりますよ」フフッ
花帆「えー?」
さやか「不束者ですが、これから……その、恋人として、よろしくお願いします」ペコリ
花帆「さやかちゃん……! あたしも、これからもよろしくね! あたし、一生さやかちゃんと一緒にいるから!」ドンッ
さやか「ふふっ、末永くお付き合い、よろしくお願いします」クスッ
花帆「さーやかちゃん!」ギュッ
さやか「わわっ……何ですか花帆さん?」
花帆「えへへ……さやかちゃんの姿を見たら、何だか抱きつきたくなっちゃって……」
花帆「せっかく恋人になれたんだし、色々やってみたいなーって!」
さやか「恋人……改めて実感すると、照れちゃいますね……///」
花帆「さやかちゃんさやかちゃん」チョンチョン
さやか「なんですかなんですか?」
花帆「ちょっと、さやかちゃんのこと……吸わせて!」ギュー
さやか「……え?」
さやか「え、え? 何してるんですか、花帆さんは!?」
花帆「…………なるほど!」
さやか「何がですか!?」
さやか「吸うってなんですか!?」
花帆「えっとね……」
花帆「大好きな人には、絶対するもの、なんだって!」ニコッ
花帆(──結局、あの一連の夢は予知夢じゃなかった……けど)
花帆(その夢を見たのがきっかけで、さやかちゃんの恋人になる夢が叶った……なんて素敵なんだろう!)
花帆(あの夢は、未来は自分で掴み取れるっていうメッセージ……なんてね)フフッ
花帆「さやかちゃん、大好き! ずっと一緒にいようね!」ギュー
さやか「ええ。もちろんですよ、花帆さん」クスッ
花帆(これからも、さやかちゃんと一緒に素敵な未来を歩めますよーに!)
おしまい
最高でした
とても良かった
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/11177/1709380802/
コメント