【SS】ルビィ「影追い」【ラブライブ!サンシャイン!!】
善子「貴女も私のリトルデーモンに─」
ルビィ「……」
最初は多分、無いものねだりなだけだったと思う
善子「堕天使ヨハネがリトルデーモンの皆に愛を─」
自分を、好きなものを、堂々と曝け出せるその姿
とても羨ましくて、眩しかった
でも
善子「…………はぁ」
ルビィ「善子ちゃん? どうかしたの?」
その裏で、自身の在りかたについて彼女はどこか迷いを感じていて
善子「…ううん」
そして、それを知ってからルビィは─私は
あの人の光じゃなくて、あの人の下に落ちた影を目で追うようになっていたの
善子「なんでもないわよ」
─
ルビィ「本当に?」ジッ
善子「なんで嘘つかなくちゃいけないのよ」
ルビィ「でもまた何か考え込んでるみたいだったから」
善子「…別にそんなことないけど」
ルビィ「ふーん…」
善子「それより今日私暇なのよ、ちょっと付き合ってくれない?」
ルビィ「いいけど」
善子「じゃあ決まりね、一緒に帰りましょう」
ルビィ「うん」
スタスタ
ルビィ「ねえ、今日の授業難しかったね」
善子「そうね」
ルビィ「善子ちゃん、ちょっと不安でしょ」
善子「なんでよ」
ルビィ「そんな感じがするから」
善子「こんなの特に問題じゃないわよ」
ルビィ「そうかなぁ」
ルビィ「ルビィには焦ってるように見えるけど」
善子「…あんた最近そういうの多いわよね」
ルビィ「どういうの?」
善子「人の後ろめたいところばかり見てる」
ルビィ「そんなことないよ」
善子「いいえ、少なくとも私に対しては前よりも確実に多くなってるわね」
善子「自惚れかもしれないけど、出会った頃はリスペクトのようなものを感じたのに」
善子「今はなにか、違う気がする」
ルビィ「……よく見てるんだね」
善子「それはこっちの台詞だから」
ルビィ「……」
善子「…どうしてそうなったのかは知らないけど、あまり気分のいいものじゃないわよ、それ」
ルビィ「…ごめん」
善子「……まあ、いいんだけど」
善子(それだけで嫌いになるわけじゃないし)
ルビィ「…ありがと」ニコッ
善子「だからいいってば」
善子(……あと)
善子「そうだ、ルビィはこの後なにか用事ある? 都合がいいなら泊まっていかない?」
ルビィ「いいの?」
善子「私は構わないけど」
ルビィ「じゃあそうする」
善子「ん、了解」
善子(そのおかげで距離が近くなったっていうのも、あると思うから)
善子(物理的なものじゃない、心の隙間というか)チラ
ルビィ「なに?」
善子「べつに」
ルビィ「ふーん…」
善子「そっちこそ何よその返事」
ルビィ「えー、べつに普通だったと思うけどなぁ」ニコニコ
善子「普通…ね」
ルビィ「うん、普通」
善子(どうだか)
ルビィ「それで? 今日はどこに寄っていくの?」
善子「ごめん、特に決めてない」
ルビィ「わぁノープランヨハネちゃんだ」
善子「うっさいわね、変な名前付けないでよ」
ルビィ「可愛いと思うけどなあ、あとルビィ買い物行きたい」
善子「へえ、なにか欲しいものでもあるの?」
ルビィ「買ってもらいたいものならあるよ?」
善子「自分のお金で支払いなさい」
ルビィ「えー」
善子「当たり前でしょ、まったく」
ルビィ「じゃあいいよ、自分で買うから」
善子「だからそれ常識なんだってば」
ルビィ「そうだ、言っておくけどお金出さないなら何買うか見ちゃダメだからね」
善子「どんなルールよそれ……」
ルビィ「わかった? 善子ちゃん」
善子「はいはい分かったわよ、ルビィお嬢様」
ルビィ「えへへっ、分かればよろしいのです」
ルビィ「それじゃあ買いに行ってくるからちょっとだけ待っててね、すぐ戻ってくるから」
善子「なによ、私が一人だと寂しいだろうからーとか言うつもり?」
ルビィ「ううん、ルビィが寂しくなるから」
善子「……」
ルビィ「いってきまーす」タタッ
善子「…………はあ」
善子「やっぱりよく分からないわ、あの子」
ルビィ「ただいまー」ガサガサ
善子「すぐ戻ってくるって言った割にはガサゴソしてるわね」
ルビィ「……」
善子「何をそんなに使うんだか」
ルビィ「……」
善子「……おかえり」
ルビィ「うん、ただいまー」
善子(めんどくさ)
善子「っていうか、これから家帰るのにこのやり取りいる?」
ルビィ「え、でもルビィはお客様だし、善子ちゃんの家でただいまなんて言わないけど」
善子「…ごめん、今になってルビィを誘ったこと後悔してるわ、私」
ルビィ「大丈夫だよ、次から気を付ければいいんだから」
善子「もう帰りなさいよあんた」
─
善子「ただいまー」ガチャッ
ルビィ「お邪魔しまーす、あれ? お部屋ちょっと綺麗になった?」
善子「最近掃除したからね」
ルビィ「もしかしてルビィのために…?」
善子「いや、たまたま」
ルビィ「む…ちょっとくらい勘違いさせてくれてもいいじゃん」
善子「嫌よ、あんたすぐ調子に乗るんだもの」
ルビィ「善子ちゃんは意地悪だね」
善子「ところでお菓子あるけど食べる?」スッ
ルビィ「……」
善子「なによ、いらないの?」
ルビィ「いるいる、いります! ただ……」
善子「ただ?」
ルビィ「善子ちゃん、ずいぶん用意がいいなあーと思って」ニコニコ
善子「あんたはあんたで本当に調子がいいわよね」
ルビィ「─そういえば善子ちゃんさ」パリポリ
善子「んー?」パリポリ
ルビィ「配信あまりやらなくなったよね」
善子「……」パキッ
ルビィ「パソコンはあるけど」
善子「アレがないと私生きていけないし」
ルビィ「まあ、そうかも」
善子「配信は……そうね、そのうちやるわ」
ルビィ「でも魔法道具見当たらないよ?」
善子「儀式用って言いなさいよ」
ルビィ「そこは拘りあるんだ」
善子「あるわよ。控えにいるのが長いだけで、ね」
ルビィ「大丈夫? 埃かぶってないよね?」
善子「掃除したって言ったじゃない、緊急でも余裕でいけるわよ」
ルビィ「そっか、よかった」
善子「なんでそこだけ無駄に心配性なのよ」
ルビィ「だって、大事なものでしょ?」
善子「はあ?」
ルビィ「善子ちゃんの」
善子「……まあ、多分」
ルビィ「多分かあ、あの中にはルビィと一緒に買ったものもあるのに多分かあ」
善子「それピンポイントで多分だからね」
ルビィ「つまり特別ってこと?」
善子「そのポジティブ思考はどこからくるのかしらね」
ルビィ「んーとね、善子ちゃんからかな」
善子「いや意味が分からないんだけど」
ルビィ「善子ちゃんがルビィをいい方に持ってってくれてるっていうこと」
ルビィ「ほら、違う人が相手だと態度が変わるなんてよくあることでしょ?」
善子「ああ、誰かに対してだけはやたらウザ絡みしたりとか」
ルビィ「逆に素っ気ない返事ばかりして軽くあしらおうとするとかね」
善子「ちょっと」
ルビィ「でも絶対邪険にはしない」
ルビィ「ルビィがネガティブにならない理由は、そういうところかな」
善子「……」
ルビィ「善子ちゃんと違って」
善子「一言余計よ」
ルビィ「だからね、そんなお気楽なルビィにも何かお手伝い出来ることがあるんじゃないかなあって思って」
善子「手伝いって何をよ」
ルビィ「たとえば…お悩み相談とか?」
善子「悩み?」
ルビィ「うん、さっきの儀式用の道具だったり。あと、配信のお話だったり」
善子「……」
ルビィ「どう?」
善子「…またずいぶんと、回りくどいことをするのね。たとえは直球のくせに」
ルビィ「こう見えてルビィも色々考えてるんだよ」
善子「そうでしょうね、だって今ので確信したもの」
善子「あんたは私の後ろめたいところばかり見てるって」
ルビィ「……そうだね」
善子「ようやく白状したわね、まったく」
善子「あのねルビィ、人をからかうのも大概にしないといい加減…」
ルビィ「そう見えるの?」
善子「愛想尽かされる…って、は?」
ルビィ「今の、からかってるように見えたの?」
善子「そうじゃなかったらなんだって」
ルビィ「……」
ルビィ「…そっか、なら悪いのは全部ルビィだね」
善子「……違うの?」
ルビィ「軽い気持ちでつっつかれるのは誰だって嫌だもんね」
善子「いやちょっと」
ルビィ「ごめんね、善子ちゃん」
善子「ルビィってば」
ルビィ「なに?」
善子「考え直させてよ、違うかもしれないんでしょ?」
ルビィ「ううん、もういいの」
善子「もういいって……」
善子「…………」
善子「」ハアーッ
善子「ルビィは最近、って言ってたけどさ」
ルビィ「え」
善子「前からそれなりに思うところはあったのよね」
ルビィ「…」
善子「最初は確かにね、好きなことしてみんなに見てもらえて、それだけで良かったんだけど」
善子「本格的にスクールアイドルをやり始めてから、なにか違う感じがしてきたのよ。少しずつだけど」
ルビィ「どうして?」
善子「一言でいうとズレね、現実の私とネットの私とのズレ」
ルビィ「?」
善子「充実度に差がついちゃったのかも。それくらい」
善子「今の私の学生生活って毎日が慌ただしいし」
善子「やれることも出来ることも増えていって面白いなって感じてるもの。それこそ、以前までの私と比べるまでもないくらいにね」
ルビィ「それって良いことなんじゃ」
善子「まあ、いち女子高生としては健全そのものよね」
善子「ただ、そうやってスクールアイドルを通して色々なことを知っていく度に」
善子「ヨハネとしての私がだんだんついていけなくなったっていうか」
ルビィ「そう? ライブのときのヨハネちゃん、かっこいいと思うけどなあ」
善子「ライブじゃなくて配信の話、寧ろライブはいいのよちゃんと自分を表現できてると思うから」
善子「でも歌からトークに変わるとね、どうにも引っかかるのよ」
ルビィ「何が引っかかるの?」
善子「よくない感じ。ううん違う、嘘臭さ? みたいなのが滲み出てくるような」
善子「もちろんヨハネである私も本当の私なのよ? でも現実のほうの私と比べると、こう…なんて言えばいいのかしら……」
ルビィ「中身がない?」
善子「失礼ね! でもそれよ! 配信だと何故かキャラが薄っぺらくなるのよ!」
ルビィ「なるほど、ネットでよく聞く”浅い”ってやつだね。もしかすると」
ルビィ「善子ちゃんが成長しすぎて、逆に何も変わらないヨハネちゃんが浅く見えるようになっちゃったってことなのかなあ」
善子「唐突に刺してくるのなんなの」
善子「けど実際問題その答えが一番近そう。あれね、大人になってから中二病時代を思い返すと…みたいな」
ルビィ「善子ちゃん今でも中二病入ってると思うけど」
善子「だからなんで刺してくるの」
善子「ともかく、私が配信やらなくなったのはそういう理由なの」
善子「自分の中で違和感あるままやっても、手応え感じないし……」
善子「このままで大丈夫なのかなって、思ったから…」
ルビィ「…そうだったんだ」
ルビィ(だから……)
善子「ふうーっ…けどま、話してみたら案外すっきりしたわ」
善子「お悩み相談どうも。さ、そろそろ別のことやりましょ」
善子「ゲームやる? それともDVD? 映画とか、ちょっと偏ってるけど」
ルビィ「……」
ルビィ「善子ちゃん」
善子「なに?」
ルビィ「配信やろう。今から」
善子「…はい?」
ルビィ「そのうちやるって言ったでしょ? なら今のうちにやっておこうよ」
善子「話聞いてたの? 私は」
ルビィ「聞いてた。だからルビィがお手伝いします」
善子「それ、お悩み相談だけだと思ってたんだけど」
ルビィ「お手伝いその2、です」ブイ
善子「その2って、別にそこまでする必要なくない?」
ルビィ「そうかなあ、ルビィはそうは思わないけど」
善子「なんでよ」
ルビィ「だって善子ちゃん、さっき中身がないって言われた時ムキになってたもん、あと嬉しそうだった」ガサゴソ
善子「嬉しい?」
ルビィ「うん、やっとしっくりきた! って顔してたよ」
ルビィ「だからやっぱり何とかしたいんだなぁってルビィは思ったし」
ルビィ「やれることがあるなら、やっておきたいよね」ヒョイ
ルビィ「善子ちゃんから見たら勝手なことしてるんだろうけど」
善子「そうね」
ルビィ「あはは、やっぱり」
善子「……で、今持ってるそれは?」
ルビィ「新しい道具。念のために買ってきておいたの」
善子「…あんた、最初からそのつもりで来たわね」
善子「元から私に配信やらせる気で吹っ掛けてきたでしょ」
ルビィ「うん、だから途中で気まずくなったときもう駄目だなぁって思った」
善子「人のこと言えないくらい思いつきで行動してるじゃない」
ルビィ「だねぇ、善子ちゃんが優しくてよかった」
善子「そういうのいいから」
ルビィ「うーんわかった、ならそういうのは置いといてもう一回聞くけど、善子ちゃん配信やるよね?」
善子「……」
ルビィ「ね?」
善子「……まあ、確かに」
善子「リトルデーモン4号がいれば視聴者も盛り上がるかもしれないし」
善子「ルビィがそこまで言うなら…」
ルビィ「じゃあ衣装持ってくるね!」
善子「聞きなさいよ! ていうかどこにしまってるか知らないでしょ!」
ルビィ「え、いつもの場所じゃないの?」
善子「……もう好きにして、なに着るかもルビィのセンスに任せるわ」
ルビィ「今の善子ちゃんに一番似合う服でしょ? えへへっ、任せて!」
善子(自分の衣装じゃないんかい)
善子(でもなんか)
ルビィ「善子ちゃん善子ちゃん! ルビィね、今日はこれがいいと思う!」タタッ
善子「ちょっと気を付けなさいよ! 機材に引っかかるでしょ!」
ルビィ「ごめんなさーい!」
善子「ほらモタモタしない! もうすぐ始まるんだからね!」
ルビィ「準備できたよ! あいさつはルビィからでいい?」
善子「いいわけないでしょ! 弁えなさい4号!」
善子(懐かしいわね、この感じ)
……
…
ポチ
─ 本日の配信は終了しました ─
善子「終わったあ~……」
ルビィ「大盛り上がりだったね」
善子「そうね…」
善子(4号いるって分かった瞬間、視聴者が一気に湧いたのなんかムカついたけど)
ルビィ「やっぱりルビィがいて良かったでしょ」
善子「……そ・う・ね・え~」ムニーッ
ルビィ「いひゃいいひゃい、ごめんなひゃい」
善子「ったくもう、ほんとにこの子は」パッ
ルビィ「うぅ~…でもさ善子ちゃん、ヨハネちゃんのときも今みたいな感じで素が出てたけど」ヒリヒリ
善子「?」
ルビィ「すっごく受けてたよね、みんなに」
善子「そういえば。意外にも感触よかったわね」
ルビィ「うんうん、そうでしょそうでしょ」ニコニコ
善子「なんなのよコロコロ表情変えて…何か言いたいことでもあるわけ?」
ルビィ「ふふっ、だってそれってヨハネちゃんの中身がちゃんとあるってことでしょ?」
善子「!」
ルビィ「善子ちゃん、疲れてはいても全然不満そうな顔してないもん」
善子「…あんたは私でも気付かないようなことにポンポン気が付くのね」
ルビィ「善子ちゃんのことはそれなりに見てますから」
善子「それなり、ねえ……」
善子「じゃあ、それなりに私のことを見てるルビィに聞きたいんだけど」
ルビィ「うん?」
善子「今までのと今日の、何が違ったと思う?」
ルビィ「リトルデーモン4号がいたこと」
善子「それ以外で」
ルビィ「えー、それならもうさっき言ったよー?」
善子「まさか、素が入ってるかどうかって言いたいの?」
ルビィ「うん」
ルビィ「ルビィね、配信が上手くいかなかったのは善子ちゃんとヨハネちゃんを完全に切り分けたからだと思うの」
ルビィ「その人の一面とかじゃなくて、見た目だけの別人にしたのがやりにくい原因になってたのかなあって」
善子「…合ってるわね、続けて」
ルビィ「だから環境のほうを変えたらやりやすくなるのかなあとルビィは思ったわけです」
善子「それで手伝うって言ったわけ」
ルビィ「善子ちゃんってルビィがいると絶対に何かしら反応してくれるでしょ?」
ルビィ「それにほら、ルビィって生意気だし、ツッコミやすいかなあって」
善子「そうね、メスガキの素質あるわよねルビィは」
ルビィ「善子ちゃんひどい」
善子「自分からフったんでしょ……」
ルビィ「だからね、えーっとどこまで言ったんだっけ…その、ヨハネちゃんだけじゃなくていつもの善子ちゃんの部分を見せれば」
ルビィ「解像度っていうのかな? そういうのが上がってヨハネちゃんがもっと魅力的になるから」
ルビィ「善子ちゃんの言ってる違和感も……うーん、なんだかこんがらがってきた……」
ルビィ「いちいち切り替えないといけないからややこしいんだよね、うん。善子ちゃんは面倒くさい」
善子「悪かったわね、名前を統一しない面倒くさい女で」
ルビィ「ほんとにね」
善子「おいこら」
ルビィ「でも、そこが善子ちゃんの可愛いところ、ルビィが好きなところでもあるし。それに…」
善子「?」
ルビィ「やっぱり堕天使ヨハネ様あっての善子ちゃんだもんね」
善子「ルビィ…」
ルビィ「やりかたが勿体なかったってだけだよ。どっちも本当の自分だって言うなら」
ルビィ「どっちか片方だけにしか寄らないの、もったいないよ?」
ルビィ「ルビィが本当に言いたいのはそれだけ」
善子「……そう」
善子「ルビィ」
ルビィ「なに?」
善子「ありがと」
ルビィ「えへへ、どういたしまして」
善子「…あとさ」
ルビィ「うん」
善子「ルビィって私のこと好きすぎるわよね」
ルビィ「……えへへへへ~」
善子「な、なに気味悪い…」
ルビィ「いや~、すぎまで付けるあたり善子ちゃん分かってるなぁって」
善子「……はあーっ…成程ね、これは確かに」
善子「お気楽以外の何物でもないわ」クスッ
それから数週間経って……
ルビィ『みなさーん、こんにちはー。4号でーす』ヒラヒラ
[出た] [出たわね] [4号ちゃん待ってた]
[これもう準レギュラーだろ] [既にかわいい]
善子「…なんか、すっかり受け入れられちゃってるわね。馴染みすぎて」
ルビィ「出ない方が珍しいくらい出してもらってたからね」
善子「ただの流れよ、流れ」
善子「あとはそう、手伝ってもらったほうが私も楽だから」
ルビィ「…へえ~」
善子「なんで嬉しそうなのよ」
ルビィ「頼られてるから」
善子「あ、そう」
ルビィ「嬉しそうだね」
善子「やかましいわ」
─初めはその迷いを拭ってあげたいと思った
そうすれば元の素敵な彼女に戻れるだろうからって
だけど素顔を見ようとすればするほど
影を追えば追うほど
ただ迷いを払うだけで終わらせるには勿体ないと
叶うなら、その後ろ暗さと共に在りたいと、そう思ってしまった
彼女の憂いを帯びた表情が、その瞳が
私にはとても神秘的で綺麗な宝石に映ったから
ルビィ「とにかく、これからもよろしくお願いしますね。ヨハネ様」
善子「なんか立場的には私が言う台詞な気もするけど」
善子「あんたは言わなくても勝手についてきそうだから良しとするわ」
ルビィ「鞭ばっかりだと流石に離れるよ? やっぱり飴がないと」
善子「…帰りにアイス買ってあげる。それでいいでしょ?」
ルビィ「わーい、やった」
善子「ほんと白々しい」
どんなに小さなものでもいい
彼女の悩みに居合わせられたならそれだけでいい
もっとやりたいことがあるから
もっと彼女を困らせたいし、怒らせたいし、力になりたいし、喜ばせたい
そしてその想いってきっと、ただ憧れてるだけじゃわからなかったことだよね?
だから私は、今日も彼女の影を追う
どこかに潜んだ隙を探して、ルビィが潜める好きを探して
善子「さてと、そろそろ練習に行くわよ。ほら」スッ
ルビィ「手を使わなくてもルビィは立てるんだけどなあ」ギュゥ
善子「離していい?」
ルビィ「でも今日の中で一番嬉しいかも」
善子「分かればいいのよ」
ただ
するりと入る彼女の影は、なんだかとても心地が良くて
つい長居してしまいたくなるんだけど
隣に立ったときに、ふと覗かせる眩しさもまた
それはそれであたたかくていいなぁ──と、私はそう思うのです。
ルビィ「……」クスッ
善子「何よ、私の顔になにかついてる?」
ルビィ「ううん」
ルビィ「今日もいい天気だなぁって」
終わりです、ありがとうございました
素晴らしい
乙 よしルビはいいぞ
よすぎる
Aqoursの切ない感じのss全部好きだわ
よしルビだいすき
引用元: https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/11177/1713281341/
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