【SS】しずく「侑先輩、演劇部の助っ人に来てくれませんか?」侑「私が!?」【ラブライブ!虹ヶ咲】
侑「そんな、照れるなぁ……。でも私、演劇なんてできないよ?」
しずく「大丈夫です。侑先輩には、役者ではなくて音響をやって欲しいんです。」
しずく「いえ、流すんではなくて、ピアノを弾いて欲しいんです」
侑「私が演劇部でピアノ弾くの!?」
侑「うーん……期待してくれているのは嬉しいんだけど、同好会もあるしなぁ……」
しずく「確かに両立できるか不安ですよね……。でも、兼部なら私もしていますし、愛さんも色んな部の助っ人をこなしているじゃないですか!」
侑o(言われてみれば、うちの同好会ってスクールアイドル以外のこともやってる人多い?)
しずく「ちなみに今回のお話なんですけど、舞台は19世紀末ロンドン、14歳の少女ロージーのメイドとしての成長を描く話でして…」
侑「しずくちゃんがメイド!?」
しずく『お帰りなさいませ、ご主人様♡』
しずく『ご主人様、ダメですよ~♡』
侑「見たい見たい!!曲は何曲書けばいい!?練習はいつからはじまるの?」
しずく「決まりですね。」
侑「もちろん!」
侑「そういえば演劇部の子たちとちゃんと話すの初めてだなぁ」
ー虹ヶ咲学園 演劇部部室ー
ガチャ
演劇部一同「高咲侑さん、ウェルカムto 演劇部!!」
。・*・:゚ ᐛ ゚:・*・ 。 ッパーン(クラッカー)
部員「高咲さん、待ってました!」
部員「侑ちゃん、やっぱりかわいいね!」
部員「ほんとにピアノ最近始めたんですか!?」
侑「わぁ……すごい歓迎ぶりだ!」
部長「しずくがキミのこと、よく話してるから。」
しずく「ぶ、部長,やめてください」
侑「ありがとうね、みんな。私も演劇の伴奏なんて初めてだから、とても楽しみだよ!これからよろしく!」
部長「うちの部の音響は今まで有線を流してたんだけど、今回初めて生演奏でやってみようって試みなんだ。」
部員「侑先輩だけに……?」
侑「ぷひゃっ……ぶひゃひゃひゃひゃwww」
部員一同「エッ……」ドン引き
しずく「ほら、やめてください。侑先輩は、笑いのレベルが赤ちゃんなんです。」
しずく「そういうところが、とてもかわいいんです♡」
部員「しずくちゃん、高咲先輩のこと詳しいね。」
部員「流石、スクールアイドルで一緒なだけある。」
しずく「ふふっそんなことないよ~///」
部長「はい、高咲さん、これ、脚本ね。まずはざっと流れ通すから、前で見てて。」
侑「やったー!ついにしずくちゃんのメイドが見られる!配役はえっと……」
侑「…………あれ?しずくちゃん?」
しずく「なんですか?侑先輩?」
侑「しずくちゃん主役じゃないの~~!!??」
しずく「はい。でもちゃんと、メイドですよ?」
侑「それはそうなんだけど……」
キャスト
ー前略ー
メイド長 (桜坂しずく)
アップフィールド家のメイドの長 。下層階級出身。頑固者で新しくメイドを雇おうとする主人を快く思わない。新人メイドのロージーにキツく当たる。65歳。
「65歳。」
⎛(cVŌ ᴗ ŌV⎞
メイド長(しずく)『ほらロージー!洗濯はどしたザマスか!?あんたやる気あるザマスか!?』
ロージー(主人公)『は、はい!メイド長!今やろうと思っていたところです!』
メイド長(しずく)『思ってたはやったうちに入らないザマス!』
メイド長(しずく)『はぁ~ぁ、これだから新しいメイドなんて入れたくないないとあれほど……エドワード坊ちゃん!そら言った通りザマスよ!』
ご主人様(部長)『何を言うんだ婆や!セントラルアイランド家にはメイドが6人いるんだぞ!3人しかメイドがいないなんてメンツが立たないじゃないか!』
メイド長(しずく)『まーあいくつになっても見栄っ張りですこと!小さい頃はばあやばあや泣きついてた癖に!』
ご主人様(部長)『なんだって婆やはいつまでも僕を子供扱いする!僕はもうこの家の主人なんだぞ!』
ー後略ー
侑oO(なんか思ってたのと違う………!!!!!)
しずく 「侑先輩、驚かせちゃいましたね。」
侑「うん……色々と予想外だったよ……。でも演劇部のみんなも歓迎してくれたし、主役の子もとっても上手だったし、私も頑張らなきゃ! 」
しずく「何を予想してたんですか?」
侑「いやぁ、しずくちゃんがロージーだと思ってたからね、つい」
しずく「クスクス。侑先輩、流石に私も毎回主役って訳にはいきませんよ。」
しずく「それに、悪役がいるから作品が盛り上がるんです。今回は意地悪な老メイドになりきります!絶対成功させましょうね、侑先輩!」
侑「うん!」
ー音楽科ー
侑「引き受けてしまったものの……」
侑「演劇の伴奏なんてどう作ればいいのーーーーー!!!」
ミア「うるさいよベイビーちゃん。鼓膜破れたらどうするんだ」
侑「だってだってだよミアちゃん、演劇の伴奏だよ、私作ったことないよ!ねぇねぇ手伝ってよ!」
ミア「はぁ、演劇の伴奏なんて、適当にチャラチャラ弾いてればいいだろ。ボクは今忙しいんだ……」
侑「そんなぁぁ……。」
侑(まずい、スクールアイドルの曲は沢山聴いたから「大体の作り方」がわかるけど、)
侑(演伴音楽がなにもわからない……!!)
しずく「うーん……」
しずく「でしたら、いい見本を沢山観ましょう!」
侑「え、聴きましょうじゃなくて?」
しずく「はい、劇伴は演技と合わさって初めて劇伴なので」
しずく「あ、丁度侑先輩の参考になるかと思いまして、」チケットピラッ
しずく「今度の休み、この演劇、一緒に見に行きましょう!」
侑「行く!」
しずく「侑先輩、お待たせしました。」
侑 「今日は勉強だからね。張り切っちゃうよー!」
しずく「ノートも準備万端ですね。
私も今日は演技の勉強のつもりです。」
侑「そういえば最新版の脚本読んだよ。また大きく変わったんだね。」
しずく「実は毎回完成ギリギリなんです。私が主役やった合同演劇祭でも、前日に台詞変わったんです。」
侑「そうなんだ!そういえば部長さん、脚本も役者もやって大変だって言ってたなぁ……」
しずく「あの人も欲張りですからね。」
侑「すごい!あれ、オーケストラピットだよね!授業で習った!」
しずく「はい、昔は音源なんてなかったので、全部生演奏だったんですよ。」
侑「わーーっすごいなぁ~!しずくちゃん、こんなもの観られるチケットが余ってたなんて、私とっても幸せだな~!」
しずく「ふふっ♡」
アナウンス「ブーーーー」
しずく「先輩、はじまりますよ!」
侑「うん!」
ーー観劇中ーー
しずくoO(なるほど、手の位置をあまり動かさないで情報量をセリフに集中させてるのか……)
しずくoO(あ、ここで自然に後ろに下がってる。これで主役を目立たせてるのか……この劇団、見せ方が上手いなぁ……)
チラッ
侑(カリカリカリカリカリカリカリカリ)
しずくoO(侑先輩、さっきまであんなにはしゃいでたのに……あんなに真剣にメモとってる)
侑「はーーっすごかったーー!大迫力でとってもときめいちゃったよー!」
しずく「侑先輩、いい曲書けそうですか?」
侑「うん!しずくちゃんありがとう!」
侑「しずくちゃんも何か参考になった?」
しずく「はい、喋り方はもちろんなんですけど、セリフがない時の振る舞い、目線の回し方、入退場……次の練習に活かせそうです。」
しずく「それにしても侑先輩、すっごい真剣にメモとってましたね。」
侑「え、見られてた?なんか恥ずかしいな/// 私も作曲始めたばっかりだから、急いで周りに追いつかないとって。」
しずく「そういえば侑先輩って、同好会来るまでは何かしてたんですか?」
侑「いや、特に何も。」
侑「いや、本当に何もしてなかったよ。帰宅部でただなんとなーく生きてたかな。」
しずく「なんとなーくって」
侑「うん、学校終わったらゲームしたり寄り道したり、動画観たり。」
しずく「へぇ、そんな生き方があるんですね」
侑「生き方ってw特にあんまり考えずに生きてたからね。同好会に入っていなかったら、今頃予備校だったかな」
しずく「今日の観劇は?」
侑「なかっただろうね。」
しずく「そうですか。」
ーー夕方ーーー
侑「じゃ、今日の興奮が冷めないうちに、曲を書かないと!しずくちゃん、今日はありがとう!」
しずく「はい、また練習でお会いしましょう。」
しずく(そういえば侑先輩の過去って、初めて聞いたかも。侑先輩ってアクティブなイメージがあったから、なんか不思議な気分。)
俺に刺さる
侑「みんな!おまたせ!」
しずく「お疲れ様です。」
歩夢「あ、侑ちゃん、お疲れ様。演劇部は順調?」
侑「うん。無事に曲も完成してね。今は演技と合わせるのに手こずってるんだ。」
歩夢「そうなんだ。」
侑「本番には歩夢にも是非、見に来てもらいたいから!」
歩夢「侑ちゃんの舞台観るの、楽しみだな。」
かすみ「侑せんぱい!演劇部もいいけどちゃんと同好会に顔出してくださいね!歩夢先輩ここ最近目が死んでましたから!」
歩夢「え?そんなことないよ!」
かすみ「あります!」
しずく(そう、やっぱり、私はあの位置には、立てないのかな。)
しずく(私は侑先輩のこと、何も知らないんだなぁ……)
しずく「はぁ……」
果林「あら、しずくちゃん、ひょっとしてなにか悩んでる?」
しずく「え!?か、果林さん!?なんでわかるんですか!?」
果林「あら、本当だったのね。ゴメン。」
しずく「からかわないでください!」
しずく「……果林さんは、その、近くにあるけど決して手に入らないものがあったとしたら、どうしますか……」
果林「何?哲学かしら?」
果林「近くにあるけど決して手に入らないねぇ……。しずくちゃんにそういうものがあるの?」
しずく「はい。」
果林「よくわからないけど、決して手に入らないってのが決めつけじゃないかしら。」
果林「まず、手に入らないと思ってるうちは手に入らないんじゃないかしら」
しずく「そういうものですかね……」
果林「そういうものよ……」
しずく「ありがとうございます!」
部長「どう?演劇部は慣れた?侑ちゃん」
侑「はい、とっても。前にも1回見させてもらったけど、作ってるところに一緒に関わると、全然ちがうなって。」
侑「今まで主役しか見てなかったけど、演劇ってこうもチームでひとつのものを作るものなんだなって。」
部長「そうだよ。」
しずく「だからロージーはもっと儚げにです!『それでも、私はご主人に仕えたいです……』こう!」
ロージー「『それでも私はご主人様に仕えたいです……』」
しずく「あぁーーもう言ってもわからないかなぁ……!」
ロージー「えぇ、しずくちゃん何が違うの……」
部長「うーん……キミが来てからだよ。」
部長「侑ちゃんと一緒にやりたいっていうのはしずくが言い出してね。それから張り切っちゃって。」
部長「自分の役は脇役で負担減らして、演出に回るんだって言ってたんだよ。」
侑「そうだったんだ……」
しずく「侑先輩、今から2幕一場やるので来てください!」
侑「あ、うん!」
チャララララーンッ
しずく「侑先輩、それ前の曲です」
侑「あ!ゴメン!」
しずく「侑先輩、この台詞言い終わってからです!」
しずく「侑先輩、テンポ落としてください!」
しずく(そう、折角出会えたんだもん……全力で舞台を作らなきゃ……!!)
しずく「侑先輩、今日、ちょっと公園寄って、いいですか?」
侑 「いいけど……?」
ーー公園ーー
しずく「侑先輩、今日はキツく当たってしまって、ゴメンなさい。本番近くてつい熱くなってしまって。」
侑「あはは、今日のしずくちゃん、本当に役に入ってるみたいだったよw『それはどういうつもりザマス!』ってw」
しずく「ふふっ。今はもう、普段の私ですよ。」
侑「そうだね、同好会で見るいつものしずくちゃんだ。」
侑「今日ね、部長に聞いたんだ。しずくちゃんが私を推薦してくれて、張り切ってるって。」
しずく「それはその……そうですが……//」
侑「私ね、作曲の道に進むって言ってるけど、実は、怖かったんだ。」
侑「今までやったこともないこと、高校生になってから始めるだなんて。」
侑「音楽科って言ってもまだ始めたばかりだし、練習すればするほど、自分は何も知らなかったなーって実感する。」
侑「ひとりでピアノを演奏するのも楽しいけど、演劇部のみんなの声を聞きながら感情を乗せるのって、とっても楽しいなって。」
しずく「侑先輩……」
侑「しずくちゃんに出会って、演劇部に関わって。みんなが主人公って、こういうことなんだなってわかった気がする。 」
侑「演じるのは今回は物語の主役では無いけど、舞台の場自体が、みんなで作り上げるものなんだなって。」
侑「ヒロインも悪役もこなせるなんて、やっぱりしずくちゃんは演技が好きなんだね。」
しずく「悪役になれるのも、先輩のおかげですよ。」
侑「と言うと?」
しずく「美しいヒロインに憧れて始める人はいても、噛ませキャラに憧れて始める人なんていないと思うんです。」
侑「うん、確かに」
しずく「私も勿論、そのヒロインに憧れる1人でしたから。」
しずく「どんな役だってやりはするけど、本心はヒロインがいい。それが当然のことだと思ってました。変身願望ですね。」
侑「それが私となんの関係があるの?」
しずく「それはですね。」
しずく「現実でヒロインになれば、満たされてしまいますから。」
しずく「……そういうことです。」ボフッ
侑「そういう……こと……」カーーーーー
しずく「侑先輩、流石に今まで気づいてなかった、なんて、言わせませんよ?」
侑「う、うん、その……それは」
しずく「それともただの下心だったんですか??」
侑「気づいて、たし、わかってた、けど、まだちょっと早いかなーなんて……」
しずく「気づいた時から、もう、始まってるんですよ?侑先輩。」
侑「ふふっそうだね。」
しずく「……なんか、青臭い話しちゃいましたね、私たち。」
侑「いいんじゃない、実際青臭いし。」
歩夢「侑ちゃん!!お疲れ様!」
歩夢「演奏、とっても良かったよ!!」
侑「歩夢ーっ無事弾き終えたよ~!!」
ミア「ベイビーちゃん、一瞬止まったところあったでしょ」
侑「あ!上手くごまかしたと思ったんだけどなぁ、ミアちゃんにはバレてたかぁ~」
かすみ「ぷぷぷ、しず子ーww今回のしず子なにあれ~www」
しずく「このメイクね、特メイク同好会の皆さんにしてもらったの。凄いでしょ」
かすみ「へへへっこれでしず子の醜態が世界に広まったとこで、かすみんが人気を独り占めです!」
しずく「かすみさんはかわいいよ、よしよし。」
かすみ「そこはスルーしないで!」
しずく(こんな役どころ、今までだったら面白くもなかったけど、)
しずく(今回は、とっても素敵なお芝居になったな。)
しずく(あなたと一緒に作ったから。)
桜坂家
侑「ああ、それでもやっぱり見たかったなぁ……しずくのメイド服……」
しずく「ふふっ本番はメイド服だけど老けメイクしてたし、逆にリハまではずっとジャージで練習だったもんね。」
侑「いや、勿論本物のしずくがいるからいいんだけど……当初のそれで曲作るつもりでいたから……」
しずく「侑先輩 、変態さんだね♡」
しずく「でも、もし見たいんだったら、今持ってるけどここで着る?丁度洗濯のために持って帰ってきたから。」
侑「ほんと!ときめいちゃう!」
ー終ー
他メンバーにどう説明するつもりなんや
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