【平成Liella!】きな子「夏美ちゃんのために」四季「ミニ四駆大会で」メイ「優勝するぞ!」夏美「ですの!」【in1997】【ラブライブ!スーパースター!!】
きな子「おはようっす」
四季「good morning」
メイ「うーっす」
きな子「あれ?夏美ちゃんはまだ来てないっすか?」
メイ「夏美なら、さっき恋先輩と話してるの見たぞ」
きな子「そうなんすね」
きな子「ところで何があるんすか?教室着いたら「全校集会があるから講堂に集合」って黒板に書いてあったっすけど……」
四季「私も分からない」
メイ「でもきな子も何も知らないでここにいるってことは、生徒会関係じゃないってことだろ?」
きな子「そうっすね」
恋「えー……結ヶ丘生徒の皆さん、おはようございます」
きな子「あっ、始まったっす」
恋「本日は朝の時間を使いまして皆さんにお伝えしたいことがあります」
ザワザワ… ザワザワ…
メイ「なんだなんだ?」
恋「今後学校に『バトエン』の持ち込みは禁止といたします!」
メイ「なっ……」
きな子「なんじゃそりゃ~!!」
千砂都「というわけだから、今日は放課後練はいいから夏美ちゃんの様子見てきて?」
きな子「わかったっす」
すみれ「結局早退したのね、あの子」
恋「かなりショックを受けているようでしたから……」
すみれ「ま、名指しで呼び出し食らったらさすがに凹むわよ」
可可「『死の商人』ナッツの名は2年生の間にも広まってマシた」
かのん「私たちは別に気にしてないからって、伝えておいて」
メイ「わかりました」
四季「今回は私たちにも責任がある」
メイ「まあ、なんだかんだみんなやってたからな。バトエン」
きな子「四季ちゃんは結ヶ丘のバトエンチャンピオンだったっす」
四季「だから、夏美ちゃんを放っておけない」
メイ「だな」
きな子「ミルクレープ持っていけばきっと立ち直るっす」
夏美「……ありがとうですの……」
メイ「まあ、ミルクレープ食べて元気出せって」
四季「夏美ちゃんが勧めてた新発売の『プチシリーズ』も買ってきた」
メイ「そりゃバトエン流行らせたのは夏美だけどさ、賭けバトエンには関わってなかったんだろ?」
夏美「もちろんですの!改造バトエンも売ってませんの!」
きな子「なら退学にはならないっすよ!」
夏美「たいが……」ズーン
きな子「あっ、そういう訳じゃ……」
メイ「退学じゃないから反省文で済んだんだろ?」
夏美「まあ……」
夏美「でも、このままだと破産してしまいますの。バトエンバブル崩壊ですの」
四季「なら、代わりのブームを作ればいい」
夏美「簡単に言ってくれますの……。ミサンガの在庫だってまだまだありますの」
四季「ミサンガはどうしようもないけど、この店にはこれがある」コトッ
メイ「それは……」
夏美「ミニ四駆?」
夏美「……いや、ミニ四駆はもう流行ってますの」
きな子「ここに来る途中にも走らせている子いたっす」
四季「でも、結ヶ丘ではまだ流行ってない」
夏美「それはバトエンは文房具扱いだったから、学校に持っていけたのであって……」
四季「結ヶ丘では流行らない?」
夏美「そうですの」
四季「わかった。そう思うなら明日の放課後、科学室に来て」
夏美「どういうことですの?」
四季「来ればわかる」
夏美「?」
夏美「言われた通り来ましたの……っていうか、さっき一緒に掃除してましたの」
シャーーーーー…
夏美「この音……ミニ四駆?」
ガラガラ
夏美「四季?いますの?」
普通科生徒A「あー!またコースアウトした―!」
普通科生徒B「米女さん!次私のスピンアックスとやろうよ!」
メイ「おう!」
夏美「な……な……」
四季「あ、来た」
メイ「夏美、こっちこっち!」
夏美「何してるんですの……?」
メイ「何って、ミニ四駆だけど」
夏美「見ればわかりますの!」
四季「結ヶ丘でもちゃんとミニ四駆は流行ってる」
四季「もともと科学愛好会の一環でモーターの実験をするついでに作って走らせたら、興味がわいた」
四季「サンプルが欲しいから、他の生徒にも開放したらこうなった」
夏美「はあ……」
四季「ミニ四駆は興味深い。シャーシ、ギア、モーター……全てがかみ合ったとき、最高の走りを見せる」
夏美「……メイはいいんですの?」
メイ「私は今まで科学室に一人で籠ってた四季が、こうしてみんなと交流してるだけで嬉しいやら寂しいやら……」
夏美「…………」
四季「夏美ちゃんはやる?ミニ四駆」
夏美「まあ、一応作ったことありますの……」
四季「それはよかった」
夏美「?どういうことですの?」
ガラッ
きな子「お待たせっす!」
夏美「きな子?」
きな子「じゃ、早速行くっすよ。夏美ちゃん」
夏美「えっ?えっ?どこへですの?」
きな子「ここっす」
夏美「……いや、夏美の家ですの」
きな子「実はきな子、自分のミニ四駆持ってなくて……」
夏美「やってなかったんですの?」
きな子「ずっと四季ちゃんとメイちゃんが走らせてるのを見てるだけだったっす」
夏美「そうだったんですの」
きな子「だから夏美ちゃんから色々教わりたいと思ったっす……」ウルウル
夏美「……」
きな子「……」ウルウル
夏美「…………」
夏美「……にゃは~!そういうことなら、夏美にお任せですのー!」
きな子「さすがCEOっす!ちょろいっすね」
夏美「え?今なんて……」
きな子「いやいやなんでもないっす」
夏美「えっと……まずミニ四駆は“本体”“モーター”“電池”この3つが必要ですの」
きな子「へぇ~」
夏美「そこから、色々パーツを換えたり足したりしていきますの」
夏美「ま、とりあえずは好きなマシンを選びますの」
きな子「どれでもいいんすか?」
夏美「まあ、シャーシの違いで走りとか変わりますが、最初はビビっときたのを――って、何を持ってますの?」
きな子「これもキラキラしてカッコいいなあって……」
夏美「それはガンプラ。『輝神大将軍獅龍凰』ですの。SDガンダムなのに、まあまあの大きさで値段も3000円する……って違いますの!」
きな子「どうしてもキラキラに惹かれて……」
夏美「やる気ありますの?」
きな子「も、もちろんっす。そりゃあもうバリバリっす」
夏美「それなら『フルカウルミニ四駆』シリーズから選びますの」
きな子「『フルカウルミニ四駆』?」
夏美「最近のマシンは全部この『フルカウル』ですの」
きな子「じゃあ、それにするっす」
夏美「といっても、フルカウルだけでもまだ種類ありますけど」
きな子「う~ん……なんかきな子っぽいのとかないっすかね」
夏美「きな子っぽいかはわからないですけど、『ファイターマグナムVFX』なら在庫ありますの」
きな子「ならきな子、それに決めたっす」
夏美「後はモーターと電池ですの」
きな子「モーターはどれがいいんすか?」
夏美「初心者向けはこの辺ですの」
きな子「へぇ~……こっちの方は……」
夏美「そっちは上級者向け。その上は非公式モーターですの」
夏美「公式大会には使えないだけですの。あと使うと発火したり……」
きな子「発火!?」
きな子「……きな子はこの『アトミックチューンモーター』にするっす」
夏美「じゃあ、次は電池ですの」
きな子「電池って単3電池っすか?」
夏美「そうですの」
きな子「ゲームボーイで使ってるやつでもいいんすか?」
夏美「使えることか使えますが、大会は公式電池じゃなきゃ出られないですの」
夏美「あと普通のアルカリ電池でもすぐになくなるから、おとなしく充電式のニッスイにしときますの」
きな子「そのニッスイ?ってやつは、逆にゲームボーイにも使えるんすか?」
夏美「……あなた、私と同じことしようとしてますの」
<科学室>
メイ「あの二人、大丈夫かな」
四季「きな子ちゃんと夏美ちゃんのこと?」
メイ「ちょっと強引過ぎたんじゃないか?」
四季「それはそう」
四季「でもきな子ちゃんなら夏美ちゃんを立ち直らせることができると思うし、腐っても夏美ちゃんも、おもちゃ屋の娘」
四季「私たちがするのは、その次のこと」
メイ「まあ……そうだな」
音楽科生徒A「米女さーん、私のマシン見てほしいんだけど……」
メイ「分かった」
メイ「ていうか、四季は走らせないのかよ」
四季「私はまだブレークイン中」
メイ「何してんだ?」
四季「ギアを軽量化した分、アルミバンパーで重心を前方にして……」
メイ「はいはい。先走らせてるから、四季も一回くらいコース出ろよ」
ーーーーーーーー
きな子「ええっ!?ミニ四駆って組み立てなきゃダメなんすか!?」
夏美「知らなかったんですの?でもまあ、そこまで難しくないですの。小学生でもできますの」
きな子「でもきな子、道具とか持ってないっす」
夏美「今回は一通り貸してあげますの。今回は」
きな子「ありがとうっす!夏美ちゃん」
夏美「言っときますが、さっきあなたが持ってきたSDガンダムも組み立て式ですの」
きな子「そうだったんすね」
夏美「ま、ガンプラはそのうち改めてやりますの」
きな子「それで、どうしたらいいんすか?」
夏美「説明書通りにニッパーで切っていくだけですの」
きな子「へぇ~」パチパチ
夏美「ニッパーで切った部分はカッターで整えると、見栄えが良くなりますの」
きな子「……結構面倒っすね」カリカリ
夏美「丁寧に作れば、その分速くなりますの」
夏美「ただ、怪我だけは気を付けますの」
夏美「これは接着剤がなくてもはめ込めば組みあがりますの」
きな子「え?じゃあ、これはなんすか?」
夏美「それはグリス。ギアに塗って嚙み合わせをよくしますの」
きな子「ふぅん……」ブチュウウ
夏美「ああっ!出し過ぎですの!」
きな子「えっ?」
夏美「ちょっとだけ出して、薄く延ばしますの」
夏美「まあ、この辺は後でブレークインの時に……」
きな子「夏美ちゃん、夏美ちゃん。ここネジを締めるって書いてあるんすけど……」
夏美「ああ、ドライバーならここですの」ガチャ
きな子「夏美ちゃん、釣り具ケースに道具とか入れてるんすか?」
夏美「これは公式のミニ四駆ボックスですの」
きな子「へぇ~……きな子も欲しいっす」
夏美「もちろんうちで打ってますのー」
きな子「ちなみにおいくらなんすか?」
夏美「1500円ですの」
きな子「……きな子、今ので仕送りが……」
夏美「ミニ四駆だけじゃなく、バトエンやゲームボーイも入れられますの」
きな子「…………」
夏美「……はあ……。今回は励ましてくれたお礼にプレゼントしますの」
きな子「本当っすか!?」
夏美「ま、まあ、これからも鬼塚商店を贔屓にしてくれればそれでいいですの」
きな子「夏美ちゃんありがとうっす!」
夏美「さ、マシンを完成させますの」
きな子「そういえばきな子、色塗ってないっすけど」
夏美「別に塗らなくてもマシンは走りますの」
きな子「ふぅん」
夏美「ただ塗った方が愛着がわきますの」
きな子「きな子も塗ってみたいっす!」
夏美「あー……うち、塗装ダメですの」
きな子「そう……なんすか……」
夏美「ポスカでよければありますが……」
きな子「ポスカじゃダメなんすか?」
夏美「ダメってわけじゃありませんが、ちゃんと模型用塗料で塗った方が奇麗になりますの」
きな子「へぇ~……」
夏美「まあ、四季なら家にエアブラシ持ってますから、ちゃんと塗りたいのなら四季のところに……ってきな子?」
きな子「……夏美ちゃん、四季ちゃんの家に行ったことあるんすか?」
きな子「きな子、一度も行ったことないんすけど」
夏美「……さっきのボックスにニッパーも付けますの」
きな子「いいから説明してほしいんすけど」
夏美「…………」
きな子「できたっす!」
夏美「さすがきな子ですの」
きな子「じゃあ、早く走らせるっす!」
夏美「気持ちは分かりますが、もう遅いし明日科学室で走らせますの」
きな子「そうっすね。分かったっす」
夏美「くれぐれも地べたで走らせないようにしますの」
きな子「えっ?……わかったっす」
夏美「じゃ、また明日ですの」
きな子「今日はありがとうっす。また明日っす」
きな子「夏美ちゃ~ん!ミニ四駆壊れちゃったっす~!」
夏美「だから昨日、あれほど言ったのにオフロードで走らせたんですの?」
きな子「だって……ちょっと走らせるつもりが、手を離したらすごい勢いですっ飛んで行ったっす……」
メイ「あるある。私も側溝で走らせたら、ドブに沈んでいったことあるわ……」
きな子「どうしたらいいっすか?」
四季「これくらいならシャーシ替えるだけでいい」
きな子「四季ちゃん、ありがとうっすー!」
四季「それと夏美ちゃんにも」
夏美「?」
四季「特製モーター“鬼夏”」
きな子「特製モーター!?」
夏美「“鬼夏”!?」
夏美「これが……」
メイ「なあ、これさあ……」
四季「もちろん違法」
メイ「じゃあ使えないだろ!!」
四季「ストリートなら使える」
夏美「試しに使っても?」
四季「sure」
夏美「では……」
きな子「夏美ちゃんのマシン、カッコいいっすね」
メイ「へえ、夏美は“シャイニングスコーピオン”か」
夏美「鬼塚商店のすべてをつぎ込んだ“スペシャルシャイニングスコーピオン”!略して“SSS”ですの」
きな子「おおっ」
夏美「ありがとですの」シャーーーー
きな子「すごい速いっす!」
夏美「この回転数なら一等賞間違いありませんの!」
四季「回転数150,000rpm。どこの市販品よりも速い」
夏美「すごいですの!」
メイ「大丈夫かよ……いや、大丈夫じゃないな」
シャーーーー
きな子「なんか焦げ臭くないっすか?」スンスン
メイ「おい!煙噴いてる!」
夏美「これはまずいですの!」バッ
夏美「熱ぅっ!!」カチッ
夏美「シャーシ、熔けてますの……」
四季「市販のシャーシとギアでは耐えられなかったか……。ごめん」
夏美「夏美のSSSが……」
四季「代わりのシャーシとギアは用意する。スーパー1シャーシでいい?」
夏美「ええ」
四季「本当にごめんなさい」
夏美「もういいですの」
メイ「えっと……ほら!きな子のマシン直ったし、走らせようぜ!」
きな子「そ、そうっす!昨日夏美ちゃんと一緒に作ったっす!」
夏美「そうですの!今日はきな子の初走行がメインですの」
きな子「じゃあ、スタートするっす」シャーーーー
メイ「3、2、1、GO!!」
きな子「行けっすー!!」シャーーーー
夏美「もう気にしてませんの」
四季「そうじゃなくて、もう一つの方」
夏美「え?」
四季「yes」
四季「もともと夏美ちゃんが被ったバトエンの損失を埋めるためにミニ四駆に誘ったわけだけど……」
夏美「ああっ!そういえばそうでしたの!」
夏美「確かにこの学校でもミニ四駆流行っているようですが、バトエンほどじゃ……」
四季「そう。だから次の一手を打つ」
夏美「何かあるんですの?」
四季「これ」バァン!
夏美「『代々木ミニ四駆カップ』!?」
夏美「えっ!?ちょ……どういうことですの?しかも「私たち」って……」
四季「この大会に出れば、鬼塚商店のいい宣伝になる。私もマシンのせいのを確かめたい」
四季「きな子ちゃんは大舞台での度胸がつく。メイは楽しんでくれる」
四季「まさにwin-win。さらにwin-win」
夏美「……確かにそれなら得ですの」
夏美「……いや、待ちますの。ミニ四駆大会って小中学生限定では?」
四季「『代々木ミニ四駆カップ』は公式じゃない」
四季「だから今回高校生の部がある」
夏美「なるほど。その大会で改良した“鬼夏”モーターを使いますの?」
四季「それはできない」
夏美「えっ?」
夏美「じゃあ、パーツは……」
四季「タミヤ純正のみ。モーターも電池も」
きな子「でも四季ちゃんがいれば優勝できるっす」
メイ「そう簡単じゃないけどな」
きな子「えっ?」
四季「高校生が参加できる大会は限られてる」
メイ「だから全国から強い奴が集まってくる」
四季「さらに……」
夏美「?」
メイ「ああ、夏美もLiella!に来る前だったか」
四季「私たちが入る前のLiella!は今年の春、優勝候補として『ヨヨギアイドルフェス』に出場した」
夏美「それで?」
きな子「優勝したのはウィーンちゃん。きな子たちは特別賞だったっす」
夏美「……」
きな子「ここ、代々木公園っす……」
四季「これはLiella!のリベンジでもある」
きな子「もう後悔はしたくないっす!」
夏美「……皆さんの気持ちは分かりましたの」
夏美「この大会、私たちで勝ち取りますの!!」
メイ「というわけで、早速大会に向けての作戦会議なんだけど」
夏美「あのー……」
メイ「ん?」
夏美「大会って個人戦では?」
四季「yes.レースは個人戦。ただチームとして情報を共有できたら、この中の誰か一人でも優勝できる可能性は上がる」
夏美「なるほど」
メイ「あと、ルールとして自分が走らせるマシンは自分で作ったものじゃないと認められない」
四季「私が代わりにみんなのマシンを作るのは無し」
きな子「わかったっす」
夏美「分かりましたの」
メイ「じゃあ、まずは私のマシンから」コトッ
メイ「ハリケーンソニック!!」
メイ「モーターはトルクチューンモーター。ギア比は5:1」
夏美「肉抜きメッシュに低い位置のローラーとスタビ。なかかな纏まっていますの」
メイ「言っても私も始めてから1年くらいだし、そこまで大きな改造はなあ……」
きな子「そうだったんすね」
夏美「四季のマシンはどんなのですの?」
四季「私のはビートマグナム」
夏美「おっ、新しいのですの」
きな子「なんか……すごいっす」
四季「改造に改造を重ねたから」
夏美「これ、公式レースに出られるんですの?」
四季「無理」
メイ「じゃあどうすんだよ!」
四季「……後は頼んだ」
メイ「諦めんな!」
メイ「とりあえず、大会までに自分の課題を克服していこう!」
きな子「はいっす!」
四季「私はみんなの改造の手助けをする。ブレークインの時は呼んで」
きな子「四季ちゃんもエントリーするっすよ……?」
四季「私は……新しいマシンを用意するところから始めないと」
夏美「それならまた私の店に……」
四季「大丈夫。積みから見繕う」
夏美「四季……あなたって積みモデラ―なんですの?」
四季「ちゃんと作ってる」
四季「ただ、作るペースより買うペースの方が早いだけ」
メイ「うわぁ……」
夏美「きな子はまずコースでの走りに慣れますの」
きな子「コースっすか?」
夏美「いきなり大会用のバンクやスロープばっかりのコースじゃ心配ですの」
夏美「最初は一般的なサーキットで走らせながら、直線やカーブ、レーンチェンジを覚えますの」
きな子「なるほどっす」
~~~~~~~~~~
四季「夏美ちゃんのマシンは軽すぎる。これだとジャンプの時にコースアウトする」
夏美「じゃあ、どうすればいいですの?」
四季「肉抜きは本体だけにして、シャーシには手を付けない」
四季「あと後ろのタイヤはペラタイヤにしよう」
夏美「いや、私タイヤの加工はしたことないですの」
四季「大丈夫。なれたら簡単」
夏美「えぇ……」
~~~~~~~~~~
メイ「……なんで同じ箱がたくさんあるんだ?」
四季「それは保存用」
メイ「…………」
メイ「じゃあ、どのマシンで大会出るんだ?」
四季「メイに決めてほしい」
メイ「そんなこと言われても……ってこれは……!」
四季「ああ、それ?」
メイ「反応薄っ!応募者全員サービスのブロッケンG、メッキバージョンじゃんか!!」
四季「じゃあ、それで出る」
メイ「やめとけ!もったいない!」
~~~~~~~~~~
きな子「メイちゃんはダッシュ系モーターじゃないんすね」
メイ「私はよくコーナリングでコースアウトするから、あまり飛ばし過ぎないチューン系の方がいいんだよ」
きな子「そうなんすね」
メイ「それに最近は急角度のバンクがたくさんあるコースが主流だから、速さだけじゃ勝てないんだよ」
きな子「へぇ~……」
メイ「だからこうしてコーナー対策としてローラーを低めにしたりしてんだよ」
きな子「きな子も、バンク対策したいっす」
メイ「きな子はまずレースチェンジ対策だな」
~~~~~~~~~~
時は過ぎ『代々木ミニ四駆カップ』本番当日――
夏美「お待たせしましたのー。やっと受付が終わりましたの」
きな子「すごい人の多さっすね。全員レーサーなんすか?」
四季「小中学生の場合は保護者もいるけど、今日はギャラリーも多い」
メイ「それだけ高校生の部が注目されてるってこと」
きな子「注目……。ううっ……なんだか緊張してきたっす……」
夏美「夏美も本格的なミニ四駆大会は初めてですの……」
四季「緊張しても仕方ない」
きな子「えっ?」
四季「車検が終わればあとは走らせるだけだから、今のうちに自分のマシンを見といたほうがいい」
きな子「はいっす」
夏美「えっと……今回の大会は……」
メイ「1ブロック10人で5人ずつレースをして、その中の上位2人が準決勝進出」
メイ「それをA、B、C、D、Eブロック繰り返して、準決勝はその10人がまた5人に分かれてレース」
メイ「その準決勝のそれぞれ上位2人、計4人で決勝。ってルール」
きな子「果てしないっす……」
夏美「激戦ですの……」
四季「私Aブロックだから行ってくる」
きな子「あれ?四季ちゃん、ビートマグナムじゃないんすか?」
メイ「結局、レギュレーション違反は避けられなかったから換えたんだと」
夏美「げ、限定のメッキバージョンのブロッケンGでしたの……」
きな子「キラキラだったっすね」
夏美「あれで勝てますの?」
メイ「ま、四季のことだからその辺は大丈夫だろ」
アナウンス≪また、予選Bブロックに出場される選手は受付までお集まりください≫
きな子「あっ、きな子はBブロックっす」
夏美「私もですの」
メイ「私はDブロックだから、まだここにいるわ」
夏美「じゃ、お先にですの」
メイ「二人とも頑張って来いよー」
きな子「はいっす!」
メイ「……さて、四季の応援にでも行くか」
ーーーーーーーー
メイ「!!??……四季!?」
四季「……レースチェンジ時の衝撃に対して、バンパーの角度が甘かった」
メイ「そんな……四季が予選落ちだなんて……」
四季「メイが落ち込むことじゃない。というか、落ち込んでる暇はない」
メイ「四季……」
四季「メイはこれからのレースに集中してほしい」
メイ「…………」
四季「メイ、私の分までよろしく」
メイ「……分かった。任せろ!」
四季「good luck」
メイ「……というか、改めて付け焼刃のブロッケンGじゃなくて、ビートマグナムを大会用に出チューンすれば勝てたんじゃないか?」
四季「それはそう」
メイ「…………」
きな子「……やっぱり緊張するっす……」
夏美「こんなのラブライブ決勝に比べたらなんともないですの」
きな子「それとこれとは別っすよー」
夏美「ま、あとは自分のマシンを信じるだけですの」
きな子「きな子、夏美ちゃんと一緒に決勝行きたいっす」
夏美「それは私もですの」
スタッフ「それでは番号H16~20番の方、スタート位置に」
夏美「みんなで決勝に行きますの」
きな子「はいっす!」
ポンッ ポンッ ポンッ ビーー!!
シャーーーーー!!
夏美(私のSSSで一等賞に……っ)シャーーーーー
きな子(やっぱり夏美ちゃんは速いっす……。でも、きな子だって!)シャーーーーー
実況≪ここで第1レーンを走っていた甲斐田選手のマシンがコースアウト!!≫
実況≪今回の難関!ライジングバンクが立ちはだかる!!≫
夏美(やはり今回のコースで1番の難関は、この序盤のライジングバンク!)
夏美(20度、45度、60度と徐々に急になっていく3つのバンク。ブレーキの使い方を誤ると一瞬でコースですの)
実況≪鬼塚選手、安定した走りで3週目に突入!続いて香川選手、桜小路選手が続いていきます≫
きな子(スピードを出し過ぎない……。飛び出したら失格っす……)
実況≪そのままゴーーール!!鬼塚選手見事な走りっぷりで予選通過!!≫
夏美「やりましたのー!!」
実況≪そして続いて森田選手がゴール!1秒ほど遅れて桜小路選手もゴール!≫
きな子「はあ……はあ……ゴールしたっすけど3位……」
きな子「夏美ちゃん、おめでとうっす」
夏美「きな子もよく完走できましたの」
きな子「……悔しいっす……。せっかく夏美ちゃんやみんなに教えてもらったのに……」
夏美「きな子は頑張りましたの」
きな子「……」
夏美「最初から完走が目的で、そのためにバンク対策をしてきたのでしょ?」
きな子「それはそうっすけど……。でも、それだと芝の直線でスピードが出なかったっす……」
夏美「それは次回への課題ですの。きな子なら次は優勝狙えますの」
きな子「夏美ちゃん……」
きな子「ありがとうっす!今からきな子は夏美ちゃんを応援するっす!」
夏美「きな子の分まで走りますのー!」
きな子「でも、とりあえずはメイちゃんの応援っす」
夏美「そうですの」
実況≪そのまま引き離してゴーーール!!≫
メイ「よっしゃあ!」
四季「congratulation.予選通過おめでとう」
メイ「四季のアドバイス通り、トルク重視が当たったな」
四季「これで予選通過はメイと夏美ちゃん」
きな子「二人とも頑張ってっす!」
メイ「きな子も惜しかったな」
きな子「次はもっと攻めるっす」
夏美「その意気ですの」
ワーーーーー!!!!
メイ「ん?なんだ?」
夏美「Eブロックですの」
実況≪圧倒的!2位と圧倒的差をつけてゴーーール!!≫
4人「!?」
??「思った通り日本のミニ四駆ってレベルが低いのね」
きな子「ウィーンちゃん!?」
夏美「どうしてここに……!?」
ウィーン「どうして?私も参加者だからに決まってるじゃない」
夏美「なっ……」
四季「そういえば聞いたことがある。オーストリアのミニ四駆中学生チャンピオンが日本に来てるって……」
ウィーン「それが私よ」
メイ「なん……だと……」
きな子「ウィーンちゃんが中学生チャンピオン……」
ウィーン「ここには澁谷かのんはいないのね」
夏美「いやかのん先輩はミニ四駆やってないですの。多分」
ウィーン「そう。ならこの大会も私が優勝したも同じね」
きな子「そうはさせないっす!」
メイ「優勝するのは私たちだ!」
ウィーン「ふんっ。あなたたちの本当のミニ四駆を見せてあげるわ」
四季「本当のミニ四駆を見せることができるのは、タミヤだけでは……?」
アナウンス≪準決勝の抽選を行いますので、予選通過者の方は運営テントまでお越しください≫
ウィーン「せいぜい準決勝で敗退しないようにね。楽しみにしてるわ」
メイ「そうだな」
四季「待った」
夏美「なんですの?」
四季「実際ウィーンちゃんのマシンはすごい」
メイ「そうなのか?」
四季「レースは観られなかったけど、一緒に走った人の話を聞く限りかなり手が入ってる」
メイ「……」
四季「もしかしたら、何か秘密があるかもしれない」
きな子「秘密って……武器が仕込んであったりとかっすか?」
夏美「そんなのは車検ではじかれますの」
四季「とにかく用心したほうがいい」
夏美「わかりましたの」
メイ「ああ」
四季「……きな子ちゃん、手伝ってほしいことがあるんだけど」
きな子「了解っす」
メイ「夏美とウィーンは次のレースか……」
メイ「ならトップで決勝に進んでやる!」
アナウンス≪それでは準決勝第1レース、スタートします≫
ポンッ ポンッ ポンッ ビーー!!
シャーーーーー
実況≪各マシン一斉にスタートしました!≫
実況≪中でも予選Dブロック1位通過の米女選手!いいスタートを切った!!≫
メイ(さっきの走りができれば、ライジングバンクは突破できる!)
メイ(あとはどれだけスピードを出せるか……!)
実況≪米女選手、安定した走りで2週目へ!≫
きな子「メイちゃん、さっきより速いっす!」
四季「まずいかもしれない……」
きな子「えっ……?」
きな子「メイちゃん、今ぶっちぎり1位っすよ?」
四季「メイのマシンはスピードではなくトルク重視」
四季「なのに、スピード勝負に出るとどこかで無理が出る」
きな子「そんな……」
四季「メイの奴、ウィーンちゃんに会ったことで気持ちが先走ってる」
きな子「メイちゃん……頑張るっす」
ーーーーーーーー
メイ(終盤の連続ヘアピンカーブ!これも私のハリケーンソニックなら!)
カシャシャシャシャシャーーーーー
メイ(抜ければ、あとは芝のロングストレート!!)
メイ「行け――!!」シャーーーーー
実況≪米女選手、一度も首位を譲らずゴーーール!!決勝進出決定!≫
メイ「よっしゃー!!」
きな子「おめでとうっす!!」
メイ「ありがとう。でもまだ夏美がいる」
きな子「そうっすね」
四季「メイ……」
メイ「私は大丈夫」
四季「今の走り、もう一度はできない」
メイ「…………」
四季「メイ……」
メイ「分かってる」
きな子「次は夏美ちゃんとウィーンちゃんの対決っす!」
ウィーン「出てきたわね」
夏美「悪いですが、夏美たちは負債を抱えてますの」
ウィーン「負債?まあいいわ。私が勝つもの」
アナウンス≪それでは準決勝第2レース、スタートします≫
ポンッ ポンッ ポンッ ビーー!!
シャーーーーー
実況≪各マシン一斉にスタートしました!≫
実況≪先頭は第2コース、マルガレーテ選手!やはり速い!!≫
夏美(さすがオーストリアチャンピオン……速いですの)
夏美(でも!その速さでは連続バンクには耐えられませんの!)
ウィーン「その程度のバンクでコースアウトするほど私のベルクカイザーは伊達じゃないわ」
夏美「にゃはっ!?」
実況≪マルガレーテ選手、無謀にもライジングバンクに突っ込んでいったー!!≫
夏美「なっ……」
実況≪なんと!スピードを落とさずライジングバンクを突破した―!!≫
夏美「コースアウトするどころか、少しも地面から離れてなかったですの……」
きな子「今の何が起きたっすか?」
四季「ウィーンちゃんのベルクカイザーは重心が傾くとブレーキがかかるように改造されてる」
四季「だからあれだけのスピードを出してもバンクに飛びこめる」
きな子「それいいんすか?」
四季「問題ない。バンクやスロープでのブレーキ対策はレーサー永遠の課題」
四季(まさかあそこまで的確に作用するブレーキが搭載できてるなんて……)
きな子「夏美ちゃん……」
ーーーーーーーー
夏美「くっ……こんなはずではなかったですの……」
実況≪少し遅れて鬼塚選手も今2周目をクリア!≫
夏美(このままでは差が広がるばかりですの……)
夏美(なら……勝負を仕掛けるのは――)
夏美(ゴール手前の芝!!)
四季「!?夏美ちゃん、いけない!」
きな子「え?」
ーーーーーーーー
ガシャン!
実況≪おおっと!ここで鬼塚選手、芝に激突してコースアウト!!≫
夏美「なっ……」
実況≪ほぼ同時に山口選手もコースアウト!≫
ウィーン「芝で抜くことしか頭になかったのね」
ウィーン「ヘアピンを抜けてから芝までの間に下りのスロープ。そこを忘れていたあなたの負けよ」
夏美「…………」
実況≪さすがオーストリアチャンピオン!堂々とした走りで今ゴーーール!!≫
夏美「し、失格……。私が……」
ウィーン「少しは見どころがあると思ったけど、私の気のせいだったみたいね」
夏美「負けましたの……。これで終わりですの……」
きな子「まだ終わりじゃないっす!」
きな子「まだメイちゃんがいるっす!」
四季「メイは決勝に行けた」
メイ「私に任せろ」
夏美「メイ……」
メイ「夏美の分も、四季もきな子の分も勝って優勝する!」
実況≪これにより決勝進出者は米女選手、秋山選手、福原選手、マルガレーテ選手の四名となりました≫
アナウンス≪決勝レースは10分の休憩をはさみ、午後5時20分から行います≫
夏美「後はメイだけですの」
メイ「……」
夏美「あっ、別にプレッシャーを与えるつもりでは……」
メイ「大丈夫。知ってる」
メイ「でも、これは私たちの戦いでもあるから」
夏美「「私たちの」って、前に行ってたアイドルフェスのことですの?」
メイ「もし……もしこの大会で優勝したら、将来先輩たちが抜けてもやっていけると思う」
夏美「あなたそこまで……」
メイ「こ、これはみんなには内緒だからな!」
夏美「分かってますの。私に内緒話をペラペラしゃべる趣味はないですの」
メイ「ならいいけど」
夏美「でもこれだけは言わせてもらいますの」
メイ「?」
夏美「さっきはああ言いましたが、ミニ四駆なんて所詮おもちゃですの」
メイ「……」
夏美「だから、思い切り楽しむのが一番ですの!」
メイ「……ありがとな」
アナウンス≪各選手はスタート位置についてください≫
ウィーン「私の優勝は確実みたいね」
メイ「それはどうかな」
ウィーン「ふんっ」
ポンッ ポンッ ポンッ ビーー!!
シャーーーーー
実況≪各マシン一斉にスタートしました!≫
実況≪最初に抜け出たのは……やはり速い!マルガレーテ選手だーー!!≫
メイ(やっぱり速い。四季の言う通りあの速さで連続バンクに飛び込むなんて……)
メイ(けど。私だって!)
実況≪その後ろを米女選手がついてくる!≫
ウィーン「くっ……なかなかやるわね」
実況≪しかし、第5レーンの米女選手にはライジングバンクを抜けるとナイアガラチェンジャーが待っています!≫
メイ「くっ……」
実況≪米女選手これをクリア!≫
実況≪しかし、マルガレーテ選手と差は離れてしまった!!≫
メイ「大丈夫。まだ1周目……」
実況≪そして残りの3名は2周目に突入!≫
メイ「くっ……バンクで差を縮めるつもりが……」
四季「やっぱり、準決勝での無理が祟ってる」
夏美「いつもよりスピードが出てませんの」
きな子「どうするっすか?」
夏美「どうするも何も、夏美たちは何もできませんの……」
夏美「もちろんメイ自身にも」
きな子「そんな……」
四季「頑張れメイ」
きな子「そ、そうっす!応援するしかないっす!がんばれっすー!」
夏美「……メイ!行きますの!!」
??「きな子ちゃん」
夏美「えっ!?」
きな子「あっ!」
ーーーーーーーー
実況≪これで勝負は米女選手とマルガレーテ選手の対決となりました!≫
メイ(けど、さっきからスピードが出ない……。やっぱり無茶し過ぎたか……)
ウィーン「もう終わり?」
メイ「まだまだ!」シャーーーーー
実況≪ここで米女選手のマシンのスピードが落ちてきた!これはトラブルか!?≫
メイ(もう……ここまでか……)
メイ(みんなごめん……!)
??「メイちゃん頑張って――!」
メイ「!?」
メイ「……かのん先輩!?」
すみれ「走りなさいったら走り続けなさい!」
恋「私が貸した『シャイニングスコーピオン』を思い出してください!」
可可「メイメイのマシンが一番速いデス!」
メイ「みんな……」
きな子「きな子が呼んだっす」
千砂都「大事な後輩が頑張ってるんだもん。応援しなきゃだもんね」
かのん「メイちゃんなら勝てるよー!!」
メイ「…………」
メイ「まだ……まだあきらめてたまるかー!!」
ギュゥゥゥゥン!!
メイ「!?」
ウィーン「なっ……何事!?」
ギュゥゥゥゥン!!
ウィーン「い、今更スピード上がったってもうラスト1周。私の勝ちは確実よ!」
メイ「行け――!!」
実況≪米女選手、じわりじわりと1位との差を縮めていきます!≫
ウィーン「だとしてもそのスピードじゃスロープは下れない。コースアウトよ!」
メイ「それはどうかな?」
ウィーン「なにっ!?」
ギュゥゥゥゥン!!
ウィーン「なっ……!?」
実況≪なんとなんと!スロープからのジャンプでマルガレーテ選手を抜いたーー!!≫
ウィーン「くっ……なら、芝で抜くまでよ!」
メイ「芝なら車高が低いベルクカイザーより私の方が有利!!」ギュゥゥゥゥ
実況≪ハリケーンソニックここでさらに加速!!≫
ウィーン「なっ……」
千砂都「行っちゃえー!」
可可「行くデスー!」
すみれ「行きなさーい!」
恋「行くのです!」
きな子「行くっす!」
四季「行け」
夏美「行きますの―!」
メイ「行けーーーー!!」シャーーーーー
実況≪ゴーーール!!!≫
実況≪最後の最後で大逆転!!米女選手が高校生の部、優勝を果たしました!!≫
メイ「ウィーン」
ウィーン「何よ!」
メイ「いい勝負だった」
ウィーン「…………次は負けないわ」
メイ「私だって」
ウィーン「……表彰台行くんでしょ?」
メイ「だな」
アナウンス≪これにて’97年代々木ミニ四駆カップを終了いたします≫
きな子「おめでとうっす!」
メイ「あ、ありがとう」
夏美「うぅっ……メイがやってくれましたの……」グスッ…
メイ「夏美が泣くことないだろ」
四季「メイ……」
メイ「四季もありがとうな」
かのん「私もすごい感動しちゃった!」
メイ「先輩たちもわざわざ来てくれてありがとうございます」
すみれ「何水臭いこと言ってんのよ」
可可「そうデス。ククたちだってミニ四駆くらいやってマス!」
メイ「そうだったんですか!?」
メイ「そういえばそうか」
メイ「いや、でも内緒にしてたわけじゃ……」
千砂都「知ってるよ。夏美ちゃんのためだったんでしょ?」
メイ「それは……はい」
かのん「大切な仲間、大切な友達のためだもんね」
メイ「そこまで言われると、なんか照れます……」
メイ「打ち上げ?」
可可「はい!メイメイの優勝と一年生の絆を祝って、今からかのんの家でパーティデス!」
すみれ「「私たち今回何もしてないでしょ」
千砂都「もう打ち上げの予定立ててたんなら無理しなくてもいいけど、どうする?」
きな子「きな子行きたいっす!」
夏美「優勝したのはメイですの」
メイ「……」
メイ「きゅ……9人で祝いたいです」
すみれ「決まりね」
かのん「今から家、貸し切りできるかなぁ……」
可可「ダメなら、すみれのとこでもいいデス」
すみれ「そんなのこっちからお断りよ!」
恋「とりあえず、移動しましょうか」
四季「?」
きな子「なんでメイちゃんのマシン、最後復活したんすか?」
四季「おそらくだけど、遅くなったのは電池切れが近かったのとモーターが熱くなってたから」
四季「でも遅くなったことで、その分マシンの隅々まで空気が入り込んで本体が冷えた」
四季「結果、一時的にモーターが復活した」
きな子「なるほど……」
四季「あと、ウィーンちゃんのマシンは車体が低いからバンクには強いけど、芝生は不利になる」
きな子「そうだったんすね」
四季「実際、ウィーンちゃんのマシン、芝ではストレートと比べると14%もスピードが落ちてた」
四季「けどそれ以上にバンク対策に重点を置いていた」
きな子「へぇ~」
四季「つまり、今回メイが勝てたのは奇跡」
四季「でもみんなの思いが込められた奇跡」
夏美「いらっしゃいませですのー」
メイ「よっ」
四季「どもども」
きな子「売上いいみたいっすね、夏美ちゃん」
夏美「皆さんのおかげで高校生以上の人にもミニ四駆が売れるようになりましたの」
四季「負債は減りそう?」
夏美「順調ですの」
夏美「して、今日は?」
きな子「前話してた通り、今日はガンプラを買いに来たっす!」
夏美「はあ!?今までの流れでミニ四駆じゃないんですの!?」
四季「この前、科学室の積みを見せたら興味がわいたらしい」
メイ「私はマスダンパーが目的だけど」
夏美「……」
きな子「きな子、今度はガンプラ甲子園に出るっす!」
おしまい
ちょっとおまけ
『代々木ミニ四駆カップ’97』
高校生の部
優勝:米女メイ(16)(私立結ヶ丘女子高校科学愛好会所属)
優勝車スペック
ボディ:ハリケーンソニック プラボディ
シャーシ:スーパーTZ
モーター:トルクチューンモーター
ギア比:4:1
タイヤ:ワンウェイホイール&フロントゴムタイヤ(フロント)、ローハイトタイヤ(フロント)
乙でした
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