かほさち【SS】
コンコン
沙知(ん。誰だろうか。)
花帆「こんにちは。生徒会長いらっしゃいますか?」
沙知「その声は花帆か。入りたまえ。」
花帆「失礼します。」
沙知「花帆が一人でここに来るなんて珍しいな。お茶を淹れるからそこで寛いでいてくれい」
花帆「あ、いえすぐに済みますから…」
沙知「まあまあ。せっかく来てくれたんだし、あたしと少しお話していこうじゃないか。はい、お茶淹れたよ」
沙知「あっはははっ。そんなにかしこまらなくてもいいんだよ。それで、あたしに何の用だい?」
花帆「生徒会長にお礼をしたくて」
沙知「お礼?あたし何かしたっけ?」
花帆「作曲であたしが行き詰っているときに街に連れ出してもらって助けてくれました。」
沙知「あぁ、あのことか。あっはは。その件についてはあたしは何もしていないよ」
沙知「まあ、最初に君から一人で作詞すると聞いたときは少し驚いたけどね。まああれだ、君の梢の前でカッコつけたい気持ちも分かるし、何より部室で見た梢の期待に満ちたあのキラキラな顔を見たらねい」アハハッ
花帆「生徒会長~」
沙知「いやごめんごめん。でも、花帆が自分から何かをやろうとするその姿勢は凄く良いことだし、そんな花帆の力にあたしが何か少しでもなれたらって思ったんだよ」
花帆「本当にありがとうございました」ペコリ
沙知「むしろあたしの方がお礼を言いたいねい。花帆の作詞した曲、すごくよかったよ。いいものを見せてもらった。ありがとね」
沙知「おいおい。そんなしけた顔は君に似合わないよ。」
沙知「いいかい。君はこれからのスクールアイドルクラブを背負っていく存在なんだ。もちろん、さやかも瑠璃乃もね。この間のライブの花帆、すっごくよかった。うん。今まで遠くから君たちのことを見てきたけど、今回の花帆は一皮むけた感じだったねい。それに一役買えたあたしはとても光栄だよ」
花帆「生徒会長~大袈裟ですよ//」
沙知「おお。照れてる花帆も可愛いねい。こりゃ梢がぞっこんなのも納得だ」ウンウン
花帆「一人で納得しないでください~//」
沙知「あははっ。ちょ~っと揶揄い過ぎちゃったかな。いやあ、君たちのような後輩を持てて、今の2年生は幸せ者だねい」
沙知「花帆、君といるととても楽しいよ。あたしはもうあと少しで卒業。この学校からいなくなる…」
花帆「生徒会長…」
沙知「あたしが現役のスクールアイドルだったころ、色々あってクラブの危機に陥ったことは聞いているかい?」
花帆「はい。センパイ達から少しですが」
沙知「この蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブは伝統あるクラブだ。それが、あたしのせいでもし万が一にでもなくなってしまうようなことがあったらと思ったら、もう生きた心地がしない毎日だったよ」
沙知「それが、今や6人になって賑やかに華々しく復活を遂げた。梢や綴理、慈が再建してくれたからだけどさ。そこに花帆が、さやかが、瑠璃乃が加わって賑やかになって、ラブライブ優勝まで手が届きそうなところまで来て。あたしが壊しかけたクラブがものの見事に返り咲いて」
沙知「とても嬉しいねい。おや、目から汗が」
花帆「生徒会長…。あんまり、自分を責めないでください。あたしは、当時いなかったからあんまり偉そうなことは言えないですけど。きっとセンパイ達だって、そんな風には思ってないと思います!」
沙知「あはははっ。ありがとう、花帆。君はいい子だねい。」
花帆「すみませんっ。あたしったら」
沙知「いやいいんだよ。もう過去の話だしねい。それに、君がクラブのことを思ってくれているのは凄く伝わっているからさ」
花帆「生徒会長…寂しいことを言わないでください…」
沙知「寂しい、ねい。そりゃああたしだって寂しいさ。ほんとはもっともっと君たちのことを見ていたい。でもね、花帆。卒業はいつか必ず訪れるものなんだよ。花帆はまだ実感が湧かないだろうけど、花帆にも必ずその時はやってくる」
花帆「…」
沙知「時間は有限なんだよ。スクールアイドルをやれる時間もさ。だからさ、卒業前にこれだけは言っておきたい」
花帆「はい…」
沙知「花帆、君の限られた3年間、悔いのないように過ごしてほしい。卒業するときにスクールアイドルをやってよかったって思えるように全力でやりきってほしい。」
花帆「そう言ってもらえると嬉しいです」
沙知「あたしはいつだって君のこと、君たちのことを見ていたんだよ。勿論、それは凄く羨ましくもあったね。あたしは最後まで出来なかったから」
花帆「でも生徒会長は、スクールアイドルとしてではなく生徒会長としてあたしたちのスクールアイドルクラブを助けてくれましたよね」
沙知「あははっ。まあ、それは何て言うかさ。一応、あたしも元・スクールアイドルだからねっ」
沙知「?」
花帆「最初、生徒会長のと会ったときすっごく意地悪な生徒会長だなあって思いましたもん。あたしたちに試練を与えて」
沙知「あはははははっ。そういえばそんなこともあったねい」
花帆「もうっ。本当に大変だったんですからねっ」プンスカ
沙知「そうだねい。でも、君たち3人はそれを見事に乗り越えたわけだ」
花帆「まあ、そうですけど」
沙知「いやあ、あの時に比べたら大きくなったねい君も」
沙知「まあまあ。でも、君たちの成長を見守れてほんとによかったよ」シミジミ
花帆「なんだかおばあさんみたい」フフッ
沙知「お、言うねえキミぃ。ん、でもまあ君たち1年生は孫みたいなものかな」フンフン
花帆「2歳しか離れてませんけど~?」
沙知「あはは。孫はともかく、可愛い後輩ちゃんだからね」
花帆「えへへ」
沙知「その可愛い後輩ちゃんたちよ、スクールアイドルクラブのことを託したよ」
花帆「はい、託されました」シャキッ
沙知「あははっ。いい返事だ。さっきも言ったけど、後悔のないように過ごすんだぞ。あたしみたいにならないようにね」
沙知「うんうん、その意気だぞ」
花帆「生徒会長、短い間でしたがありがとうございました」
沙知「おいおい。まだあたしはあと1カ月はいるぞ。まだ会うこともあるだろう」
花帆「それもそうですね」
沙知「まあ、その挨拶は卒業式の時までとっとこう」
花帆「はい。」
花帆「あ、ほんとだ。長居してすみませんでした。練習行ってきます」
沙知「うんうん。頑張るんだぞ。梢にカッコいいところを見せるためにもね」
花帆「生徒会長//」
沙知「あはは。さあ、行っておいで」
花帆「はい。ありがとうございました。では失礼します」
ガチャ
沙知(これであたしは、何の思い残すことなく、卒業できるな)
沙知(これで、よかったんだ。これで)
沙知(梢。綴理。慈。花帆。さやか。瑠璃乃。スクールアイドルクラブのこと頼んだよ)
おしまい
沙知先輩のSSもっと増えてほしい
特につづこずめぐはバチクソ泣く
さちかほ中心で進んでいく16話好きだったから続きが想像できて面白かった
面白かった
引用元:https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/11177/1707896219/
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